機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第66話 未来からの負債





…チュン…チュンチュン…

気持ちの良い日曜日。…一人の少年がサセボの町を走っていた…。


「はぁ…はぁ…拙いな…このままじゃ、サイゾウ叔父さんに叱られちゃうよ…。」


アキト・ラズリ…かつて、テンカワアキトと呼ばれた少年がそこにいる。

…彼は一年程前に両親を殺され、今はその時に助けてくれた女性を姉と慕って暮らしていた。


「遅れたらバイト代減らされちゃう…。」


…まだまだ幼い彼ではあるが、姉への負担を減らそうと自分の小遣いは自分で稼いでいる。

雪谷食堂という店で働き出したのはそう言う理由だ。


それに…姉は彼が料理をすると、とても喜ぶのだ。

そう言う事情もあり、彼の技量はそこいらの料理人を上回る物があった…。


「…お客さんが、来ちゃうし…急ごう。」


そう、彼は固定客も持っていた。…年代・性別は聞くまでもあるまいが。(笑)


そして…彼は自らの職場に辿り着いた…。


…。


「サイゾウ叔父さん!…遅くなりました!」

「おおっ!…本当に遅いぞアキト。直ぐに支度だ、次の料理はまた今度教える。」


「はい!」


…そして…お昼を回ったあたり。

この辺りから店は大幅な賑わいを見せる。


…普通に食べに来る客もいるが、それはむしろ少数派。(ヲイ)

アキト目当ての女子高生やOL、その他もろもろ…
そして、その女性陣目当てでナンパにやってくる男達。
更に…そうした連中から、未来のアイドルを探し出そうとするスカウト等の怪しい人達。
…そして…そう言う怪しげな連中を現行犯で捕まえて、点数を稼ごうと言う警察官…。


…見事な連携である。(笑)


そして…そんな中、一際人目を引くテーブルが一つ…。


ここは、とある常連の女性用の席であった。

…そして…そこには決まって開店直後から閉店まで居座る女性が一人。


「アキト…頑張ってる?」

「ね、姉さん…。恥ずかしいから止めてよ…。」


ス・ラズリ…。かつてラピスと呼ばれ、電子の妖精の片割れであった彼女…。

彼女は今、株式の個人投資家として名を上げていた。


…売り買いなどは、手元のノートパソコン一つで事足りる。

故に何時もアキトの傍に居座っているのだ…。(ブラコンと言う事無かれ)


…何時も黒いバイザーを付けているので、一見するとかなり怪しい。
でも…行方不明の兄の形見だと言われてしまえば誰も何も言えなくなるのだ。

だが…それを外した姿を見たものは、例外無く驚愕する…。


金色の瞳…。

この世界において金色の瞳を持つ者は、2種類に分類される。


一つは伝説の英雄『黒き皇帝・テンカワアキト』の子孫…の中でも特に血が濃い者。

もう一つは、人工的に作られた『マシンチャイルド』の中で上位に位置する『妖精』…。


…この両者は、世間的にも上位として扱われる、一種の特権階級なのだ。

…そんな一族の者が何処にでもあるような食堂に出入りしている。


…いや、それ以前に眼の醒めるような美女が足を組んで一人座っているのだ。

人目の一つや二つ、当然のように引くのであろう。


そして…この時間帯になると、更に人目を引く要素が増える。

…別な美人がその席にやってきて、さも当然のように座るのだ。


「どうも。…ラビスさん、今日もお元気そうで!」


…まだ中学生か高校生…その位の年頃だろうか?

中華系の顔立ちを持つ、名門ウォン家の女性…。


その名を『エリナ・キンジョウ・ウォン』と言った…。


「こんにちは、アキト君。…ラーメンお願いね?」

「はい、エリナさん。」


…彼女は中学入学時から親元を離れ一人暮らしをしていた。

その際、何故だか条件の良かった今のマンション…アキト宅の横に越してきたのだ。


なんだか作為的な物も感じるが、ラピスには思い入れもある人物だろうし…まあ問題は無い。


「はい、エリナさんラーメン。…ところで、目標は達成できそうですか?」

「ま、今はその為の勉強期間だしね…五分五分かな。」


…因みに目標とは…ネルガルの乗っ取り。(ヲイ)

史実でもそれに近い事を言っていた気がするので…これも問題あるまい。(そうか?)

…。

なお…既に誰かは突っ込んでいるはずだが…労働基準法は?とか聞いてはいけない。

…ナデシコはそう言う世界だから。

…。


…そして、その日の夜…運命はまた動き出す。


「アキト…今日も頑張ったね。」

「あ、姉さん…ご飯どうする?」


「そうだね…チャーハンお願い出来る?」

「りょーかい。」


…その時…運命のベルが鳴った。…嵐のごとき一夜の始まりを告げる使者として…。


「はい…?」


そして…ラビスはDNA判定式の監視装置を作動させた。

…無論、不審者を締め出すための装置だ。…が、問題無し…と出る。


「…うん、今開けます…。」


がちゃっ…。だが…誰もいない。


「あれ?…エリナの悪戯?」


だが…その考えは甘かった。…異変は…台所から…!!


「う、うわあぁぁぁぁぁぁああああっ!?」


…ガチャーーーン!…ガラガラガラッ!!


そして…ラビスの眼前に転がり出てくるアキト!!

…だが…その顔は己の血で真紅に染め上げられ…片目を失っていた…!!


「あ、あ…アキトぉッ!?」

「ね、姉さん…め、眼が…眼がァッ!」


…正直、ラビスは迂闊だった…と感じた。

まさか、自分の構築した監視システムをすり抜ける者がいるとは思わなかったのだ…。


だが…事態は彼女の想像を絶していた…。

…ゆっくりと現れる黒い影…だが…それはラビスにとって覚えの深い…。


「アキト…アキトッ!?」


…だが、黒い男は答えない。…目は虚ろで、何を見ているのかも判らない…。

あまりの事に…ラビスはその場に崩れ落ちる。


「なんで…なんで…どうして…?」

「ひぃっ…姉さん助けて…たす…助けっ!?」


ガシィッ…アキト・ラズリはテンカワ・アキトに吊り上げられた!!

…だが…何故だ?…何を考えている?


心…俺の想いえてしまぬ内に…託す…

「あ…く…ひ…やだ…来る…なぁっ!」


「…壊れる…から…」


グィッ…

そして…テンカワアキトは
自らの瞳に指を突き立てた!!


「あ、アキト!?…アキト…アキトォッ!!」


「…これは…おれの心…うけとれ

「ひいっ…やだ…来るな…く、く、来るなよあああ…や…やだ、死にたく・・・死に…たくないよ……ギャアアアアアッ!?」


…。


…そして…テンカワアキトの黒い瞳がアキト・ラズリの片目に埋め込まれる…。

そして…医療用ナノマシンの光が一際まぶしく輝き…全てが終わった後…


アキトの双眸は…また両方金色に戻っていた…。


これいい…これでいいん

「あ、アキト?…な、何がいいの?…判らない…判らないよ…!!


「さよなら…ら…す


そして…アキトはボソンの光に包まれ…消えた…。

ラビスの叫びが上がる中…アキト・ラズリの脳裏に突然声が降りかかる…。



(…済まない…お前には辛い定めを与えてしまう。…だが…放って置くわけにも行かない…。)

「な…なん…だ!?」


(俺の過ち…俺さえいなければ起こらなかった災い…知ってしまったからには黙っていられない。)

「…な、それをどうにかしろって?…なんで!?」


(未来からの負債…そう考えてくれ……すまな…い…。)

「…な、なんで…なんで…なんでっ!?」


(お前…は俺。…俺…は…お前…)


…そして…アキトの脳裏に木霊する声は消える。

気がつくと、目の痛みも引いていた…。


「ね…姉さん…!」

「アキト…アキト?…アキ…アキト…。」


「姉さん…しっかりしてよ!!」

「…えっ…あ、アキト!?」


…そして…ラビスも正気を取り戻した。

よく見ると…アキトの瞳も両方ある。


「あ、あれは…夢…悪夢だったの?」

「…わかんない…判んないよ…。」


…だが…嵐の一夜はこれで終わりではなかった。

次なる…そしてもっと大きな嵐が…襲いかかろうとしていた…。


…。


その後…取りあえずアキトを寝かしつけたラビスは、今後の事を考えるべくリビングにいた。

…アキトが生きていてくれた事は嬉しい。

だが…もう一人の自分に対する扱いを見ると…何かあったのは間違い無いのだ。


だが…。


「…ラビス・ラズリはご在宅か?…戸が空いていたので勝手に失礼したが…。」

「え…あ、はい…どなたですか!?」


「…ま、勧誘でしょうな。」

「あ…いえ…今まにあっ…て…!!


ラビスが振り返ってみると…そこには…編み笠!!


「但し…地獄への勧誘だがな!」

「ほ、…北辰!?」


そう、北辰と6人衆である!!
…しかし…何故だ!?



「ふふ…今日は随分と無用心だな。…開けっ放しではご自慢の警備システムも無意味。」

(…な、なんて事!?)


…最悪の事態は最悪のタイミングでやってくるものである。

しかし…ここまで不運なのも珍しい。


…なお、アキトが一度ラビスを玄関に誘い出したのは、
もう一人のアキトの眼をえぐるシーンを見られたくなかったためである。

だが、その結果がこれとは…お粗末にも程がある…。


「さて…閣下の…。草壁春樹中将の敵!、取らせてもらうぞ!!」

「くっ…!!」


だが…本来戦闘要員ではない彼女の事である。…本当にアッサリと捕まる。


「さて…木星に来て貰うぞ。…ふふふ、死んだ方がましだと言う位の辱めを与えてやろう!!」

「…!!」


ガチィッ…がくっ…


「な?」

「た、隊長!…この女、舌かみやがった!!


「おい!…まさか本当に死ねと言った覚えは無いぞーッ!?」


…北辰…意外と間抜けである。


「拙い!!…完全に舌が噛み切られてるぞ!!」

「…隊長!!…脈が…途絶えましたっ!!


「馬鹿者!…死なすな!…こ奴には、裁判に出てもらわねばならぬのだぞ!?…心臓停止だと!?


…喧喧囂囂…正に愉快な北辰一味である。(笑)

但し…目の前で起こっていることは決して楽観できる物ではないが…。


…そして…その騒ぎを聞きつけ…彼は来てしまった。(本当に不幸に敏感だ…。)


「うーん、姉さん。…何を…!?」

「ん?…肉親がいたのか…。」


「隊長…コイツ…金色の目を…!!」


「…ラズリの家…。「金目の一族」に男はおらぬ筈だ。」

「それならば…アオイ家の縁者!!」


「「「「「「ならば…死ねぇい!!」」」」」」


…ゴォォォオオオッ!!


六人衆は、取り囲むようにアキトに群がる!!…だが、


ゴスッ!!…ガスッ!


「ゴベェェェェッ!?」「がはあああっ!?」


…一瞬でそのうち二人を弾き飛ばすアキト!!


「姉さんは…何時も強くなれと言っていた。…まさか…こんな奴らに狙われていたなんて…。」


…どうやらラビスが英才教育を施していたらしい。…相当の体捌きを会得しているようだ…。

だが…それは所詮人の域を出ないものでしかなかったが…。


「良い動きだ…益々我らにとって必要か…あるいは邪魔なものである可能性が高まったな。」

「ふざけるな…貴様ら何様だっ!?


「我らか?…人にして人の道を外れた外道よ。

「…へえ…少しだけ見直したよ。(爆)」


「なに?」

「すぐに『正義』とか『大義』を振り回す連中なんかよりはずっとましだ。」


「…貴様…只者ではないな?…それは小僧に出来る考え方では無い…。」

「…さてね…行くぞぉっ!」


ガチィィィィン…


…。


そして…10分後、その場に立っている者は北辰一人だけだった…。


「末恐ろしい小僧よ…六人衆をものともせんとは…。」


…倒れ伏すアキト…。
だが、その周囲には6人衆の残り4人が同様に横たわっていた…。



その時…北辰の通信端末が鳴る。

…但し、着信音が「メリーさんの羊」(汗)


「ん、我だが?」

「隊長…俺らは先に撤収させて貰いました…。」


「おお、烈風か。…小僧にやられて死んだかと思っていたぞ。」

「…一応、報告の為の資料を持って、証拠の隠滅もしておきました。」


「ほお…中々良い仕事だ。…我はこの小僧を連れて行く。…檻でも準備しておけ。」

「ははっ」


そして…北辰はポツリと呟く。


「…愚息の相手には…丁度良かろう…。」


…そして…北辰はアキトに手を伸ばした。

…その時である。


ガシッ!!


…アキトの手が、突然北辰の腕を掴んだ!!


「なっ…こ奴にそんな力など残っている訳が…!!」

「北辰…。」


「ぬっ!?」

「…許さない…貴様だけはぁっ!!」


「…貴様…一体何者だ!?」


…その時…北辰は修羅場を潜り抜けた者のみが持つ直感で、今まで相対していた子供と今目の前にいるものは、似てはいるが…全く違うものである事を完全に見抜いていた…。


「お前は…お前だけはあぁぁぁぁあああっ!!」

「き、貴様…その瞳は一体!?」


…アキトのその金色の瞳は…何時の間にか片方が黒く染まっていた…。

そして…その全身から発せられる殺気は…先程までとは桁が違う…!


「ごおおおおおっ!!…ナノメタルシステム起動…B・ブレイド!!

「…重力波が…収束していく…だと!?」


そして…アキトの腕に、漆黒に染まった剣が現れた。

…それを見た北辰に驚愕が走る!!


「…それは…まさか!?」

「死ねッ!」


…だが、その刀身が、北辰に届く事は無かった…。


ガスッ!!


「…ぬうっ!?」

「くっ…なんだ…貴様は?」


…見ると、アキトの腕に小石が深々と刺さっている。


現れたのは、アキトと同年代の子供であった…が、

まだ幼いその瞳は鋭く闘気に溢れ…その髪は真紅に染まっていた…。


「俺か?…俺は北斗。…そこのトカゲの息子だ。

「…邪魔立てするか?」


「いや…ただ俺は強い奴と戦いたいだけだ。…親父は邪魔だ、さっさと帰れ。」

「くっ…まあいい、愚息よ…ここは任せる!!」


…そう言うや否や…北辰は素早くその場から離脱した。(ヲイ)


「さて…始めようか。…最近手ごたえのある奴が少なくてな…少々乾いている。」

「退け…北辰の子だと言っても、こちらはお前にまで恨みを持っている訳ではない。」


だが、相手はあの北斗である。

無論言う事を聞く相手ではない。


「は…関係ない!!…さあ、俺の渇きを癒してくれっ!!」

「…。」


バッ…


それを見たアキトは、突然片腕を前方に突き出す!

その瞬間…北斗に全身を押さえつけるような力が掛かった!!


「がはぁっ!?」

「…動けまい?…さて、北辰は何処だ。」


「ぐっ…これは重力波?…これを自在に操るだと?」

「質問に答えろ。」


その時…何処からか声がした。


『その必要は無いな。』

「何ッ!…何処だ!?」「親父ッ!?」


…見ると、北斗の胸元にある通信機からだ。


『…今、我は帰りのシャトルの中だ。…今から爆弾を投下する。』

「親父!?…俺はどうするつもりだ?」


『これから逃げられないようでは、我の子とは言えぬ。』


「あいも変わらず…外道だな。」

「それは親父にとって褒め言葉だ。」


…そして、二人で同時に苦笑する。何故だか…とても気が合う。

二人とも、そんな気がしていた…。


「…だが、感傷に浸っている暇は無いようだな。」

「ああ…アレが地上に接地した時点で…ドカンだ。」


…見ると、頭上から一発の爆弾が投下されようとしているのがわかる。


「…つまり、地面に付かなければいいんだな?」

「なっ!?」



「ナノメタルシステム…フルドライブ!!」

「…光が…いや…闇が…収束していく…!?」


…そして…北斗が眩しさから開放されたとき…、

そこには漆黒の鎧を身にまとったアキトが居た。


「…その姿は一体!?」


「いくぞぉぉおおおっ!!」


…ダッ!


アキトは常識を覆すほどのスピードで飛び上がる!

そして…完全な重力制御により更に速度を上げつつ…爆弾に突っ込んだ!!


「なっ…あの馬鹿!?」


…カッ!!
ドゴォォォォオオオオオン…!!


…。


…その日、とある町で謎の爆発事故が起こった。
だが…空中高くでの爆発が、地上の人々に被害を与える事は無かった…。

…唯一つ…砕けた破片により死亡されたと言われる姉弟が居た事を除いて…。




…。(ここより先、『真紅の羅刹』ファンにはお勧めできません『爆』)



…そして2195年、木星…。


…仲睦まじい?姉妹が居る。

どうやら姉が妹に昔の話をしてやっているようだ…。


「んで、北姉。…その後アー君とやらはどうなったの?

「テンカワか?…無事だったさ。…あの黒い鎧には傷一つ無く…戻ってきた。」


「ふーん。で…その後の展開はーっ?(ニヤニヤ)

「ん?…戻ってきた奴は、まるで別人だった。…それで…」


「それで!?」

「こら、引っ付くな!…姉の敵を取るって何処かに消えていったよ。」


「…。(怒)」

「な、何が不満なんだ!?」


…無敵のお子様コガネちゃん。…少々背伸びしたいお年頃であった。

…少々早すぎる気もしないでもないが…。(汗)


らぶすとーりーは!?」

「はぁっ!?」


「んー、だからぁ…すっごくあっついお話!!

「…いや…コガネ?…俺らあの時幾つだったと思ってるんだ?」


「あいに年齢など関係ナッシングゆー!(あるいみ意味不明)

「あのな。…第一、あの時はまだ枝織もいなかったんだぞ?」


「…判った。」

「判ってくれたか?」


…すると、コガネはおもむろに…何かの箱を焼却炉にぶち込んだ。


「ああーっ…さらしがぁぁぁあああっ!!」

「…つまんない。」


…『真紅の羅刹』北斗…ある意味最大のピンチだ!!


「…判った…分かったから…ジーンズは捨ててくれるな…。(滂沱)」

「うい、では…きりきり白状しなさい。(にっこり)」


「…いやな…おれより枝織に聞いた方が早いんじゃないかなーって…さ。(汗)」

「…。(怒)」


ぽいっ…ボォォオオオオーッ!

男物下着の入った箱が、焼却炉に投下される。(笑)


「…なんで怒るんだーッ!?」

「北姉…あの地獄のおのろけを…自ら聞けと言うか!?」


「ん…あの程度でか?」
「…こ…これだから同一人物って奴はーッ!!」



ぽいっ…


「ああっ…女だってジーンズは履くだろうが!!」

「そんなこと知らないのだーッ!!」


…木星は今日も平和だ。(笑)

…もうじき地球に戦争しかけようってのに…大丈夫なのだろうか…?


「あ、そうだ北姉。」

「…ん?(泣)」


「おとーさん何処行ったの?」

「…ん…さあな…。」


…そして…その時北辰は…。


ばさっ…。

木星のとある場所にある墓。…ここにそこいらから引っこ抜かれたぺんぺん草が放り投げられる。


「さな子。…化けて出られると迷惑だから今年も来てやったぞ。」


…言葉の割りに寂しそうに…北辰は言う。

…恐ろしい事に本人である。(爆)


「…お前が逝ってから…色々あった…。」


…北辰の脳裏には、彼女の死亡後遺産相続権を破棄しろと言った親戚筋を、実力で黙らせた時の事が昨日の事のように浮かんでは消えていく…。


貴様はゲンドウか?


「…愚息も元気でやっている。…よく蔵を壊すぐらいにな。」


…それは果たして良い事なのだろうか?(汗)


「後…後妻との仲だが…はっきり言って壊滅的だ。…我を見るたび発狂しおる。(泣)」


…それは妻の墓に報告する事じゃないぞ…。(汗)

だが、北辰だけに…さもありそうな話だ。


「最後に…愚息にお前が付けたがっていた『枝織』の名…確かに付けてやったぞ。」


…これだけ聞けば感動物語なんだけどな…。(爆)


「一緒に作った枝織の人格は実に良い娘に育ったぞ。…お前も草の陰から見るが良い。」


…そして…北辰は夜空を見上げる。


「お前が逝った日も…こんな綺麗な夜空の晩であったな。」


…犯人はお前だろ?懐かしそうに言うべきでは無いぞ…。

…って、真夜中に墓参りだと!?


「犬の鍋…が作った所為か、愚息達には評判が悪かったな…何時もは美味そうに食いよるが。


そして…北辰は墓参りを終えた。…何か引っかかる物言いを残して…。(汗)

なお…最大の問題は、暗殺のついでにここに来たと言う事実だろうが。


続く


::::後書き::::

さて、66話です、如何でしたか!?

アキト少年の辛い過去パート2から始まって、最後は愉快な北辰一家で締めさせて頂きました。

次は「北斗異聞」のBA−2バージョンになる予定。(あくまで予定)


…しかし…今回も沢山伏線張ってしまって…完全に消化できるだろうか?(ヲイ)


こんな駄文で宜しければ応援お願いします!

では!

 

 

代理人の感想

・・・・・・・本当に北辰かこいつ(汗)。

 

 

「おい!…まさか本当に死ねと言った覚えは無いぞーッ!?」

 

 

今年のAction流行語大賞決定か?(核爆)