機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第69話 家族との出会い





…もし、運命と言うものがあるとするならば…それは正に運命の悪戯であっただろう。

少年は妖精達と出会い…数奇な運命を経て、家族として生活を共にする事となるのだ…。



だが、この時の彼等は…そんな自らの運命を知る由も無い…。


…。


その日、ホシノ夫妻の元に、ネルガルからボディーガードが一人派遣されてきた。

…夫妻の出した条件は、『一緒に暮らしていても怪しまれない様な、実力もある人材』である。


これは、MC…それも計画の鍵であるホシノ・ルリを安全に育て上げる為に必要な事であった…。


何故なら、万一その存在が明らかになった場合…彼女がナデシコ乗船まで生き延びられる可能性は限りなく零に近くなる。

そこで、ネルガルはホシノという夫婦を多数雇い、各自にダミーのMCを預けたりして対応していた。

…木を隠すには森…である。


だが…それ故、ガードも多数必要となる。

…足りない分を民間から雇う様になるのにも、そう時間はかからなかったのだ…。


…そして、それこそがネルガルの大誤算であった。


民間出身のガードは、機密保持のため短い期間で配置換えを行うようにしていたネルガルであるが、

肝心のルリ本人のガードは、ネルガル正規のガードのみで回っていた。


…そして…遂にクリムゾンは、ネルガル正規のガードのみしか当たらない家を絞り込んだ…。

それが、今回アキトの潜入する家である…。


…。


「…こんにちは、ネルガルSS本部より派遣されて来ました。…初仕事なので不慣れですが宜しく。」

「ああ…宜しく頼むよ…。」


…アキトはガード交代を見計らってすり替わった。

今回の仕事は、基本的に確認だけだ。…怪しまれる前には終れるだろう…。


そう、軽い気持ちでいた。…だが…事態は…意外な展開を迎えるのである…。


…。


リビングに入った時、アキトに近づく影が二つ。

その内一人の顔を見て、アキトの脳裏には、『ビンゴ』の文字が浮かんだ…。


「ガードの人ですか?…ホシノ・ヒスイです。…そして、この子がルリ。」

「ホシノ・ルリです。…どうも。」


「はい。…今回あなた方のガードを勤めさせて頂きます。(ルリ…そして金色の目…間違い無い)


…正直、この時点でアキトの目的はほぼ達成されていた。

今回の依頼は、基本的に確認だけなのだから…。


だが、この時アキトは気まぐれで2〜3日留まる事にした。

もしかしたら…彼は『暖かい家庭』と言う物を久しぶりに見てみたかったのかも知れない…。


…。


…もし、彼がそんな気まぐれを起こさなかったとしたら…彼らが家族となる事は無かったであろう。

そう、それは運命の悪戯…。


…もしかしたら…何処かの誰かが仕組んだ運命だった…かも知れないが…。


…。


事件が迫っていた。そして…その予兆は、晩飯時にやってきたのだ…。


「お母さん、お代わり。」

「…はい。」


…ヒスイと母親との当たり前の会話…。

だが、アキトはその中にある種の違和感を感じた。


(…あのヒスイと言う娘、実の母親に心を開いていない?)


…そして、アキトは良く彼女たちを観察した。

…だが、彼は気づいてはいけない事に気づいてしまう…。


(…あの子達、昼間とは眼の色が違う!?)


…正確に言うと、それはカラーコンタクトの色であった。


ヒスイは黒い瞳を金色のコンタクトで覆い、(見えているのかは不明)

変わりにルリは金色の瞳を鳶色のレンズで隠していた。


…それが何を意味するか…世間の影で暮らしてきたアキトには判り過ぎるほど分かった…。


(…あの子は…囮か!?)


…そう考えると、あの態度も頷けると言うもの。

…自分を我が子として扱わない親になつく子供が、何処にいると言うのだ…!!


…。


流石に同情したのか、アキトはヒスイにこっそりと話し掛ける。

だが…返ってきた答えは想像を絶するものだった…。


「大変だな、君も。」

「…いえ、親と言っても…血の繋がりしかありませんから。」


…あっさり言う台詞ではない。(汗)


「それに、家が妖精の教育係を頼まれたのも…私と言う囮役が居たからですしね。」

「…それは…また…。」


「ところで…ガードとしての仕事はきっちりとやって下さるんですよね、スパイさん?」

「…!!」


…アキトは正直、心臓が縮み上がる思いだった。

何故、そんな事が分かるのか…それが不思議だった。


…だが、ばれているのなら…この娘を殺して逃亡にかからねばならない。

そう考えてセイバーに手を伸ばしたその瞬間!


…ガシャー…ン!!


「なっ!?」

「蟲型!?…そんな、占いではまだ時間があった筈。


…見計らったかのようにバッタが数匹、邸宅内に突っ込んできた!!

アキトは思わず少女をかばい、セイバーでバッタの頭部を切り裂く!!


(…見捨てておけば手間が省けたが…俺も甘いな)

「…貴方は…誰です!?」


…ヒスイの問いに対し、アキトは凄みを利かせて答えようとした。


「俺か?…俺はアキト・ラズリ…純白の死神と呼ばれる男」
「貴方じゃないです!!」

「…なっ?」


多少顔を赤らめながら、アキトはヒスイの睨み付けている方を向く。

荒事に強かろうが、彼もまだ子供であった…。(笑)


が、後ろを向いた途端、アキトは戦闘体制に入らざるを得なかった…。

何故なら後ろに居たのは…!!


「我が名は北辰。『魔女』を頂きに参上した!!」

「わ…私に…何の用ですか?」


「嘘をついても無駄よ…。妖精は銀色の髪をしておる方だろうが!!」

「…うっ。」


…北辰の持つ情報はかなり詳しい。瞳の色ぐらいで誤魔化せる物ではなかった…。

そして、北辰はアキトに向かい言い放つ。


「さて、死神。…良くぞここまで精進したものだ。」

「貴様に褒められてもな…。」


「貴様ほどの男が動いた事で、上層部も『魔女』の所在が確認できたと喜んでおったぞ。」

「ちっ…俺の動きで判断するとはな。…木星はぼんくら揃いか?」


「まさか…現に魔女がここに居る事を確認した。…大当たりよ。」

「…。」


…アキトはセイバーを構える。そして…ヒスイに一言だけ言った…。


「姉の敵が見つかった。…お前達に味方する理由が出来たからな。…行け。」

「…信頼しても宜しいので?」


「ああ。」

「では失礼しますよ…。」


そして、ヒスイは走り出す。行き先は恐らくルリの下…。


…。


「…どう言うつもりだ?」


北辰は訝しげにアキトに聞く。

アキトはこの家に忍び込んだスパイの筈なのだから当然だろう。


「北辰…姉さんの敵、討たせて貰うぞっ!」

「ふっ…成る程な、仕事とは別問題か。…公私混同は関心せんがな。(お前が言うな)


「…貴様も仕事だった事は承知の上だ。…だがなっ!」

「…激昂を抑えきれんか…若いな。」


…そして…戦いが始まる…。


…ガチィィィィン!!


セイバーと錫杖ががっちりとかみ合い火花を上げる!

だが…年齢的な差だろうか?…アキトはじわじわと押されていった…。


「なんて力だ、化け物め…!!」

「我を相手にここまでやれるなら、貴様も十分化け物よ!!」


ガチィィィン…ガチィィ…バキィッ!!
ドッ…ドガァッ!!



「ぐわっ!!」
「…未熟なっ!!」


…力押しされて押さえ込むだけで精一杯になったアキトに対し、北辰は前蹴りを繰り出した!

…そのままアキトは壁に叩き付けられる!!


…流石は北辰である。…生半可な化け物ではない!


「ちぃっ…!」

「ふ…以前会った時の力はどうした?…耄碌するには早すぎるぞ!」


…そして、北辰が再び錫杖を振り上げた…その時である!


ドォォォォォオオオン…!!


大音響が轟く!…見ると、武装した部隊が家に入り込もうとしているではないか…。

しかもそれは…。


「クリムゾン諜報部?…奴ら、俺を…騙したのか!!

「…信じておったのか?…ただの偵察で終るような連中ではあるまいに…。」


なお、その時シャロンは攻撃を控えるように父親に進言していた。

だが、このときの彼女は子供である上、この時点で既に、父とは上手くいっていない。

…故に彼女の意見が通る事は無かったのだ…。


…。


だが、そんな事がアキトに分かる筈も無く…。


「クソッ…奴らを信じた俺が馬鹿だったか!…ネルガルもクリムゾンも同じだ!!」

「ふっ…当然だろうが。…所詮は営利企業よ…。」


ドゴォ…

そして、追い討ちをかけるように壁を突き破り、バッタが一機…赤いカメラをアキトに向けた!


「…ここまでかっ!!」

「…ん?…無人兵器は『魔女』追撃に全て回しておるはずだが…?」


ごぉっ…グワァァァァァアアアアアッ!!


「来たかっ!!」
「馬鹿なっ!?」



…ドォォォォン…ズッシーーーン!


…突如として現れたバッタは、いきなり二人に向かって体当たりを敢行し、北辰もアキトも区別無く突き飛ばした!!


「ぐっ…故障かよ、北辰!」

「いや…これは!」


…北辰は何かに気づいたようだった。そして突然アキトに背を向けると走り出す!


死神…勝負は預けたっ!…我は報告に帰らねばならぬ。」

「逃げるのか!?」


「ああ、そうだ。…奴らが出てきた以上『魔女』が助かるとも思えんしな。…さらばだ!」


…そして、北辰は小型チューリップに入り、そこを戻ってきたバッタ達が警護し始める。

だが…。


…。


「…嘘だろ。…同じように見えるんだが…。」


…先ほどのバッタは警備のバッタ達を一網打尽にし、小型チューリップも破壊した…。

その戦力差からはそれが同じ物だとは、とても思えなかったのだ…。


…ギン!!


「…次はこっちか。…奴め、一体何処の兵隊だっ!?」


そう言いながら、アキトはセイバーを持つ手に力をこめる。

…相手の戦力は未知数だが、何時もアキトの戦っているタイプのバッタとは一線を画した戦力を持つのは間違い無い。…幾ら慎重になっても慎重すぎると言うことは無いだろう…。


「…来いよ。…おぉぉおおおおおおっ!!


…そして…アキトは敵に突っ込んでいった…。



…。



そしてその頃…ホシノ家の面々は、リビングに追い詰められ、クリムゾンの黒服達に囲まれていた。

なお…アキトを除くネルガルのSS達は、北辰の放ったバッタとの戦いで全滅していたりする。(笑)


「さて…『電子の妖精』を渡していただきましょうか、ホシノ博士?」

「ぐっ…やむを得まい。…金は惜しいが命には代えられんからな…。」


意外にアッサリとルリを引き渡すホシノ夫妻。…因みに史実のホシノ夫妻と同じかは不明。

だが、その時リビングのドアがバターンと開き、黒髪の少女が駆け込んできた!


「…父さん、母さん…ルリを見捨てると言うのですか!?」

「う…仕方ないだろうヒスイ、家族の命を守るためだ…。」


「…ルリは…家族ではないと!?」

「いや…まあ…勿論、ルリも…。」


…その時、黒服の一人がヒスイに近づき、腕をひねり上げて拘束する。


「…イタッ!?」

「ひ、ヒスイ?…娘をどうするつもりだ!」

…。

「…この二人、似ているな。…隊長、ついでに連れて行きますか?」

「うん、怪しいな…連れて行け。」


その時、ホシノ夫妻が僅かに走り寄る。


「待ってくれ、その子は私達の実の子供で…」


バタタタタタタ…


…夫妻の足元にマシンガンが撃ち込まれる!

被弾こそしなかったが、夫妻は腰を抜かし…へなへなとその場に座り込んだ…。


「…連れて行くが良いかな?(邪笑)」

「は、はひ…判りまひた…。」
「あわあわあわ…。」



…どうやら実の家族も守れないらしい。(ヲイ)

その上…。


…ドゴォォォオオオン!!


…部屋の中にマイクロミサイルが降り注いだ!!

そして、全身に傷を負ったアキトが追撃を続けるバッタを引き連れて突っ込んでくる!


「おい、ヒスイとか言ったな。…今の装備では奴は破壊出来そうも無い。…脱出するぞ。」

「…そうですね。」


バッタの攻撃をいなしながら、アキトは必死に叫ぶ。


「ん、ホシノ夫妻は…?」

「そこです。」


…見ると、夫妻はミサイルの直撃を食らい爆死していた。

腰が抜けて動けない所に、直撃弾が落ちてきたらしい…。


…家族はおろか、自分の命も守れなかったか…。(爆)


そしてアキトはヒスイとルリを抱え、その場から離脱したのであった…。



…。

…それから、一ヶ月ほどの時間が流れた…。


アキトはアジト代わりにしている古い山奥の廃屋(外見は)に、あの二人と共に潜伏していた。

…クリムゾン辺りにルリを引き渡せば莫大な金になるが…アキトはあえてそれをしなかったのだ。



無論…自分を(結果的にとは言え)騙したクリムゾンに対する当てつけでしか無かったが…。

…ある種の心地よさを感じているのも、また事実であった…。


「あの、ご飯出来ましたけど?」

「…ん、ああ…。」


…そして、ルリ・ヒスイと共に食事をとる…。

彼にとっては久々の平穏…。


アキトは正直、そんな久しぶりの平穏に戸惑っていた。

…だが…それに慣れた頃…。刺客はやって来た。


…運命は、余程アキトに平穏を与えたくないらしい…。


…。


ズゥゥゥゥウウウン…!!


…山じゅうに轟くほどの大音響を放つミサイルの爆音と共に、”あの時”のバッタが現れたのだ。

…アキトは巧妙なルートで逃げたものの、遂に場所を突き止められたのだろう…。


「くっ…ルリ、ヒスイ…!!」


だが、その時既に彼女達は我先にと逃げ出していた。…正確には逃げた訳ではないが。

…二人の姿は段々と小さくなっていく…。


(そうだ…それでいい。)


そしてアキトは、安堵の中に一抹の寂しさを覚えながら…

彼女達の逃げる時間を稼ごうと、敵に向かっていった…!


「さて…何処までいける…ああっ!?


…アキトは驚愕した。…バックラーの裏にセイバーが無い!


前回の戦闘で、敵にダメージを与えられたのは唯一それだけだった。

…しかも潜伏中に武器の補充は一切行っていない!!


「…これは、負け戦だな。…ふふっ、人の為に死ぬ事になるとは…。」


アキトはそんな自分に苦笑しながらも、何故だか誇らしげな気分であった…。


…。

30分後…アキトの死闘は未だに続いている。


ドォォン…ドォォン…ズシ、ン!!


以前の戦闘で、バッタも飛び道具を使い切ったらしく、体当たりしかして来ない。

だが、決定打を持たないアキトはじわじわと追い詰められていた…。


そして…崖を背にした逃げ場の無い場所で、アキトは遂に捕まった。


「ぐぅっ!?」


…繰り返される体当たりに、アキトは意識を失いかかる…。


…コツン


その時、上から小石がバッタに降ってきた。


…コツン、コツン…コツン…


…見ると…崖の上に小さな人影が…。

そして、その異物に反応したバッタが、上昇を開始した!


「…る、ルリ、それにヒスイ!?」

「…これを…受け取って下さい!」


…そして…アキトに対し、何かが投げ落とされた。


「…お、俺のセイバー!?」

「この一ヶ月で呪を込めておきましたから、少しは効く筈」


…ドォォォン!!


「「きゃあああっ!?」」

「…!!」


ダダッ!!…ザシュ!!


…相手が二人に突っ込んだのを見た時、アキトは無意識に地面を蹴っていた。

そして…セイバーをバッタに突き立てる!!


ズサッ!!


「刺さった!」
『…!!』


そのままアキトは敵を一刀両断にしようと力を込める。

…だが、その時…バッタの周囲に光が集まり始めた!


…フッ


「消えた!?」

…アキトは敵を見失う。…だがその時、アキトの背後に光が収束し始めた…。


フッ…ドォン!!


「グゥッ…後ろだと!?」


…短距離ボソンジャンプ…。ジンシリーズが得意とするあれだ!

だが…このアキトには、そんな知識は無く…。


…ズガッ…バギィッ…


「くっ…このままじゃ一方的にやられるだけか…!!」


…。


…一瞬、アキトの脳裏に『このまま逃げてしまおうか』と言う思いが浮かんだ…。

だが、ルリ達の方を向いたとき、その思いは霧散する。


二人は先ほどのバッタの突撃を食らい、傷を負って倒れていた…。


(そうだ…こいつ等は俺の為に、こんな危険な場所に戻ってきたんじゃないか…。)


…そして…バッタを正面に見据え、セイバーを構える。


「俺は…俺を信じてくれた者達の為に戦う!!」


…突っ込んでくるバッタ。

だが…それは木連で正規採用している物とは根本的にパワーが違う。
…まともに受ければ助かるまい。

だが、逆にいえばそのスピードは諸刃の剣。…こちらの攻撃も当たれば一撃であろう…。


「食らえっ!!」


だが、アキトの突撃に対し…敵はまたボースの光に包まれた!


「またか!!」


…正直、次が来たら勝てる見込みは無い…。


(…畜生、当たれよ!…跳ぶんじゃない!!)

『…!?』



…ぶわっ…


突然…ボース粒子が四散した!

いきなり起こった不測の事態に、
バッタの人工知能?は僅かに混乱する…。



「…隙だらけだっ!!」


…そして…攻撃の機会を得たアキトは、忌々しいバッタを一刀両断で切り裂いたのであった…。

また、これは後に『ジャンプキャンセル戦法』と呼ばれる、跳躍阻止戦術誕生の瞬間でもあった。




…。

それから更に3ヶ月ほどの時が流れて…。

アキトはあの戦いで負傷したルリ・ヒスイの見舞いに来ていた。


…無論、闇医者だ。

だが、腕は良かったらしく…二人とも傷が残る事も無く、退院できる事になったのだ…。


「で…二人ともこれからどうするんだ?」


「さあ…。両親ももう居ませんし…今更ネルガルに頼るのも嫌。」
「…ネルガルには…戻りたくない。」


…それはアキトにとって、予想したとおりの答えだった。

故にアキトは、予定通りの行動に出る。


「なら…俺と契約しないか?」

「え?」


「条件は一つ。…俺を裏切らない事。…これさえ守れるなら…。」

「守れるなら?」


「俺はお前たちを守ろう。…例え世界を敵に回してもな。」
…なんとも恥ずかしい台詞である。(ヲイ)

…二人は一瞬顔を見合わせ…こくりと頷いた。


「では、宜しくお願いします。」
「…お願いします。」


「よし、なら今日からお前たちは俺の妹だ。…宜しくな。」

「はい、…お兄様!」
「…宜しく。」


…。


そして…アキトは三度家族を手に入れた。

…だが、彼には気になる事がひとつあった…。


(姉さん…俺のしている事は、結局姉さんの真似なのかな?)


…無論、答えるものは居ない。

そして…アキトは膝の上に収まっているルリを見て思った。


(…でも…ルリがここに居る以上、『予言』とはもう違う。…ならば、出来るはずだ…。)


そしてこの時…アキトはある誓いを立てる事になる。


「俺は…歴史に逆らおう!…全ての理不尽な運命と戦うために!!」


…。


そしてこの日から、アキトは『予言』を覆すべく、様々な準備を始めた…。

…破滅が待っている事はわかっているのだ。…ならば甘んじて受ける必要など無いと信じて…。


なお…この時、突然大声を張り上げたアキトに驚いたルリが泣き出して、アキトは暫くの間、

『ドジョウすくい』の芸でご機嫌伺いを続けていたりする…。(笑)



続く

::::後書き::::


BA−2です。第69話は如何でしたか?


…さて、賢明な方はもうお気づきかもしれませんが、ルリの描写が殆どありません。

それは、この時点では未来からの干渉を受けていないので、まるで別人のように見えるから、あえて書かなかったと言うわけです。(あの段階では殆ど感情が感じられません)

ま、好きに想像なさってください。


それと…今回初登場の『ジャンプキャンセル戦法』…使い道は色々あるんですが…実は昂氣関連です。

…要するに敵のジャンプを阻止して戦闘を有利にしたり、増援を呼べなくしたりするんですがね…。


なお、「世紀を超えて」の昂氣は実は2種類出てくるんですが(現在の所)

その内一つはゴールドアームさん発案です。…チャットで聞いて使わせていただく事にしました。

…故に似ているのが出た場合、真似たのはBA−2の方です。(ヲイ)

あ、きちんと許可は貰いましたから。

では、こんなものですが…出来れば応援お願いします!

では!

 

 

 

 

代理人の感想

北辰・・・やっぱりそこはかとなくユカイだな(爆)。

しかし「ジャンプキャンセル戦法」ってどーゆー原理なんでしょう。

気になって昼間眠れず夜に寝ています・・・・・・・あれ?