機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第78話 オモイカネ、死す?





…ナデシコの格納庫から、ピンクのエステバリスが発進した…。

史実どおりで…でも、それでいてこのシーンは歴史を裏切った内容になっていたのである。


…ガシャン!


「…ひいふうみぃ…おおよそ30機。…まあ、敵じゃねぇな!


ヤマダ・ジロウ。…魂の名をダイゴウジ・ガイというこの男…。

『史実』においては現実の厳しさをアキトに教えるような形でこの世を去るはずの男である。


だが…本来ここでは自爆で足を折り、代わりにアキトが出る羽目になるのであるが…、


当のアキトは今、牢の中。

…そして…彼は足を折ることもなく、出撃していたのである…。


…。


「…や、ヤマダさん。…あなたじゃ無理ですあなたじゃ駄目なんです!!…降りて下さい

「おいおい…このままじゃナデシコ沈んじまうぞ。…まあ、泥舟に乗った気でいろ!」


…ブリッジに…ひやっとした沈黙が流れる。(爆)


「…ど、泥舟!?(汗)」

「あ、わりい…大船だった。(笑)」


…途端に爆笑の渦に包まれるブリッジ…。

いいのか…こんな事で…。(汗)


「そんじゃあ…派手にいくぜ!」

「…はぁ。(まあ、せいぜいアキトさんが来るまでの時間稼ぎをしててください)


…ルリさん…そりゃあ幾ら何でも酷くないですかい?(汗)


「そらそらそらぁっ…正義はかぁああああっつ!!」

「うわっ…。(…驚きました。まともに戦ってます)


…ヤマダはラピットライフルを撃ち続け、バッタをなぎ倒していく…。

恐ろしい事に、動きに無駄がない!!


「うらぁあああっ…これでラストだーっ!!

「…は?」


…ドォォォォオオオオン!!


破壊され…吹き飛ぶバッタ達…。

何と、ヤマダは30機のバッタ達をあっさりと壊滅してしまったのだ!


「よっしゃーーっ、見たか俺の活躍を!!」


「やった…ユリカ…今がチャンスだ!」
「そうだねジュン君…ナデシコ発進!…あれ、ルリちゃん?


「…敵…敵…まだいる筈です…。(滝汗)」


「ルリちゃん…今のうちに…行くけど…。

「…駄目です!!…まだ敵がいる筈です!!(絶叫)」


「ううう…ルリちゃん怖い…。」

「る、ルリ君…?(汗)」


…このままではアキトが乗れないので、ルリは必死に敵影を探していた。(笑)


このまま宇宙に行ってしまっては、アキトが追いかけてこれる可能性は限りなく0に近づく…。
彼女は…その前に何としても『史実イベント』を起こさないとならなかったのだ!!(爆)


「…敵がいます…居なくちゃ成らないんです!!

「…あのー、ルリちゃん…どうしたのかなー?(汗)」


血走った目をしているルリに怯えるクルー達。(笑)

だが…、


「気にしてはいけないな…ルリ君の言うとおりである可能性は高いよ…?(汗)」

「あの…兄さん、いえ…参謀…?」


「…いいから敵の探索を続けたまえ…責任はこちらが持つから…。(汗)」

「…手が震えてるよ兄さん?(汗)」


ポトッ…スミヤはタバコを取り落とした。(笑)

…そう、アキトが来てくれないと困るのは、ルリだけではないのだ!!


「敵…敵…。(必死)」

「ルリ君…出航時間の事は気にする事は無い。…急ぐんだ…。(滝汗)」


スミヤは気づいているだろうか…。

今自分が言っている事が、意味不明な文面になっているという事実に…。


「あ、あのー…二人ともどうしたのかなぁ?(汗)」
「ユリカ…こっちが聞きたいよ…。」



あっ!!…居た…こっちに向かってます!!(歓喜)
「よし!…良くやってくれた!」


…嬉々とした顔で言う二人。(爆)

…普通なら、正に不謹慎の極み…な話である。(苦笑)


「…敵戦艦…カトンボ10隻ですか。…ふふふ、幾ら何でもエステ一機で戦わすのは無謀ですよね?」

「ああ、無謀だ…一度ヤマダ君は下がって貰った方がいいようだね…。(邪笑)」


…不敵な笑みを浮かべつつ、そんな会話を交わす二人…。

だが、そんな時…


「ばっかやろう!!…ナデシコには予備パイロットも機体も無いんだ!
…俺が行かんで誰が行く?


…『それはアキトさんです』と言う声を必死に抑えるルリ。

…スミヤは…何故かしまったと言う顔をしていたが…。


当のヤマダは…既に敵陣に突っ込んでいた。(爆)


「勝手に行かせて貰うぞ!…ぉぉおおおおっ!!

「…ヤマダさん…死ぬ気ですかね。」


「え?…まさか…彼の事知らないのかしら…?」


「…副提督?」

「傭兵団アースヴァグランツの一人…『フレイム・ハートのガイ』ことヤマダ・ジロウ…。」


「…ふれいむはーと…ですか?(はて…どこかで聞いたことがあるような)

「そ、最強の傭兵の一人よ…心配ないわ。」


…ぴしっ…

ルリは…いろんな意味で石化した。(爆)


「…ちょっ…ルリちゃんが石になってるーっ!?」
「大変だ!…兄さんも固まってるよ!」
「あらら…どうするのかしら…。」
「…ヤマダ機、敵艦隊を殲滅しました。」


…パリィィイイイン(爆)


「ああっ…ルリちゃんが砕けちゃった!?」
「まさか…ギャグも担当できるとは…意外だ…。」
「ミスター…人は石になれるのか?」
「さあ…ギャグキャラ状態には人知を超えた力が働いているようですし…。」
「さっきのプロスさんみたいに?」
「うっ…。(ごそごそ)」
「ミスターっ…
胃薬は駄目だ!…それに手を出してはいけない!!


…喧喧囂囂…。


…。



「えー、ルリちゃんがなんだか死にかけてるんで…ジルちゃん。」

「はい、ナデシコ出航…浮上します…。」


ドックは注水され、艦が前進を続ける…。

…そして、ナデシコはゆっくりと浮上していった…。


スミヤ、ジュン等の『史実を知るもの』は首をかしげ、

…ルリはまた、エクトプラズムをエレエレと吐き続けていたが。(笑)


なお、誰もサフィーが居ない事に
未だに気づいていない。(ヲイ)



…。


…ブリッジが波を立て海面から顔を出す。
(なお、本来ならこの時アキトがエステで上に乗っていなければならない)


そして…艦の全体が海面から顔を出したその時…!!


「…艦長、高エネルギー反応…来ます!」

「え!?…総員対ショック防御!!」


…ごぉぉおおおっ!!


…。


…ブリッジクルーは…突然の事に頭がついていかなかった。

まるで太陽から攻撃を受けたようだった…と、クルーの一人が後に語ったほどだ。


…だが、仕方ない事である。

敵は朝日を背にし、攻撃を加えたのだから…。


そして…誰一人気づいていなかったが…既にこの時…勝敗すら決していたのである…。


…。


「ひ、被害状況報告!!」

「…危害箇所スキャン…不可…。ルリさん…ルリさん…。」


「きゅー……え?…は、はい!?


…まるで居眠りしていて先生に起こされる学生である。

声の裏返り具合が何ともいえない…。(苦笑)


「被害箇所のスキャンが出来なくなっています。…貴方では出来ませんか?」

「了解…あれ…オモイカネが反応しません…。」


「うーん、じゃあミナトさん。…取り合えず遮蔽物のある場所に移動して下さい…あれ?


…ミナトは…気を失っている。(爆)


「…ミナトさん!?…まさかさっきの攻撃で!?」

「違うんです…さっき私があげたジュース飲んだとたん…。」


「え゛…?(め、メグミさんからのジュースですか!?)

「いきなり泡吹いて…それっきりなんです。…なんでだろ?(汗)」


読者の皆さんなら分かるだろう。

…そう、そのジュースはメグミの手作りだったのだ!!


…あれ、じゃあさっき舵を握ってたのは誰!?


…。


「そんな事を言っている場合ではあるまい!!」


…突然の喝!

フクベ提督が全員に突然檄を飛ばした!!


「敵が迫っておるに違いない…早く迎撃体制を整えるのだ!!」


「あ!…艦内に第一次戦闘体制を発令して!」

「了解…あれ…?」


「どうしましたメグミさん?」

「コンソールが反応してくれない…。(汗)」


「おかしいですね…オモイカネ…どうしたんですか?…駄目です、拗ねちゃってるんですかね?」

「…ルリさん。…もしかしたら…最悪の事態かもしれません。」


「え…?」


「…見てください…何時の間にか艦は海面に着水しています…。」

「え…あ、オモイカネ…浮上。…また反応無しですか…。」


「分かった…ワシが見てこよう…。」


そう言って、フクベ提督は出口に向かう。

…危機が…提督としての彼を目覚めさせたのだろうか!?


そして、


「…何があっても…冷静さを失ってはいかんぞ…!」


と、言い残し出て行こうとしたその瞬間!!


…ドゥン!!


提督はドアに全身を打ちつけた。(笑)

…そしてそのまま気を失う…。


「て、提督!?」

自動ドアが開かない?…何かあるに違いないわね…。」


「分かった、僕が行こう!!」


…ジュンが駆け出し、ドアをこじ開け先に進んでいく…。

そして、階段を駆け下り…


…ひゅーーーーん、ぺしゃ


…落ちた。(爆笑)


「…階段が途中から無くなってるわね。」
「エレベータは…駄目か、動いてない…。」
「これでは他部署と連絡が取れません…。」


…誰か…ジュンを心配してやってくれ。(爆)

現に今…下のほうでピクピクしてるから…。


…。


「しかし…これじゃあブリッジは陸の孤島状態ですね…。」

「ルリさん…貴方は現状を理解なされているのでしょうか…?」


…ジルコニア…量産型マシンチャイルドである彼女は、深刻そうにそういった。


「ジルさん…?」

「…ブリッジの下部が消失しています。…これの意味する所は?」


「はーい!…バーチャルルーム使用不可でーす!!」


「艦長…そういう問題ではないのです…。」

「…確かに…何か忘れているような…。(汗)」


さて、ここで説明させて貰うと、ブリッジの区画は緊急時に下部と分離して単独で脱出装置として機能する。

…その為、ブリッジ周囲にはナデシコの中枢部が集まっているのだ…。


そして…今回の敵の攻撃は…ブリッジの下の区画を、綺麗に貫通していた…。

…これの意味することはと言うと…。


「あ…。こ、コンピュータールームは…。(汗)」

「お分かりになられましたか…其処にさっきまでは存在していました…。」


「待ってください…それって…。」

「はい。…メインコンピュータ消失…ナデシコは死にました。


…ぱたっ…。


「ルリちゃん!!」

「…よく倒れる子ね。…家に帰してあげたほうが良くないかしら?(汗)」

「…そう言われても生まれてからのネルガルの投資分は回収させて頂かないと…。」


「…駄目…呼吸が不安定になってます…よし、ここはひとつ元看護学校生の力を…!」


…なお、このメグミの看病が効いたかどうかは定かではない。(爆)
取り出した栄養剤が彼女の手製なのが更に不安をあおるが…。



…。


「はっ!!」

「ルリちゃん…良かった、気がついたんだね。」


「ユ…艦長…。(な、何故でしょう…今さっき三途の川を見たような…。)


因みにルリは…何故か、口をゆすいだような感触があるが、それが何故なのか…、考えるのを脳が否定していたりする。(爆)


「…うーん、目を覚ましたばかりで悪いんだけど…お願いがあるんだよね…。」

「…は、はぁ…?」


…そして、ルリはエアダクトの前にいる。


「…つまり…これを通って他の部署と連絡を取ってほしい…と?」

「うん。ここのダクトは狭いから…子供じゃないと入れないんだよね。」


「…艦長。…私、少女です。」


…久々の台詞に何処か嬉しそうなルリであった。

…誰もそれに気づいてくれなかったが。(ミナトは気絶中)


「うんうん…ルリちゃんは子供じゃなくて少女だもんね。…じゃ、お願い。

「…わ、分かりました…。(汗)」


…そして…ルリはエアダクト伝いに下へと降りていったのである…。


…。


「ねぇ艦長。」

「なぁにメグミちゃん?」


「大丈夫かなっ…。て、おもって。」

「何が?」


「ルリちゃん…ダクトで怪我しかねないじゃないですか。…第一人の通る場所じゃあ…。」

「あー、聞いた話なんだけどね。…通風孔通らないと行けない区画も結構あるみたいだし…大丈夫だと思います!」


「…は?」

「なんでもね…設計者すら知らない部屋が沢山在るらしいから。…ナデシコって。」


「…どういう船なんですか。(汗)」

「私はウリバタケさん(現在失踪中)の秘密研究所の行き方しか知らないけどね。」


…ナデシコは…思った以上に魔窟と化しているらしい。(爆)


…。


そして…ブリッジがそんな大混乱のさなかにいた為に誰も気づかなかった…。
…東天を照らす太陽に、ぽつっとした黒い点が浮かんでいた事を。

しかも、それが…段々と大きくなっている事など…誰も気づく訳が無かった。


そして…艦内を徘徊する
謎のキグルミにも…気づくはずが無かったのである…。


続く


::::後書き::::

BA−2です。78話は如何でしたでしょうか?

…そろそろアキトの出番が近づいてきました…が、ガイがアキトの傭兵団に居たのは意外だったかもしれませんね…。


ルリは相変わらずたれたまんまですし…。(爆)


さて、そろそろ物語が本格的に動き出します。

…こんな物ですが、応援頂ければ幸いです。


では!

 

 

 

代理人の感想

ナデシコ、発進した途端撃沈(核爆)!

さあさあさあさあ!

いよいよ話が動き始める!

・・・・・・・・・・・ナデシコは沈んだけど。

きっと燃える展開が待っているはず!

・・・・・・・・・・・主人公は牢屋の中だけど。

ルリちゃん石化&粉砕!

・・・・・・・・・・・セメダインでくっつけたけど(核爆)。

 

う〜〜〜〜〜〜〜〜〜む(爆)。

 

 

時に、「手を出してはいけない胃薬」ってナンですか(汗)?