機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第79話 襲いくる悪夢





ガラン…


「ぷはぁ…何とか表に出られましたね…。」


ルリは今まで、敵の攻撃で陸の孤島と化していたブリッジから他ブロックとの連絡の為に出てきたところであった。

…唯一通じていた通風孔のサイズでは、彼女しか通れなかったのが主な原因だが…。


…艦内自体のダメージは幸いにもそれほど大きくなかった。

だが、オモイカネを失ったナデシコは、もはやこのままでは動かないのは間違い無い所である…。


…。


「さて…先ずは格納庫にでも行ってみますか…。」


…と言う事で格納庫にまでやってきたルリではあるが…早速固まることになる。


「なんですかアレは!?(汗)」

「さ、さあ…。(名も無き整備員)」


…格納庫では、先ほどの攻撃の振動で倒れた部品を並べ直している最中であった。

…が、その中でひときわ目立つ人影(?)が一つ。


「危ないからどいてくださーい。」


…其処に居るのは…ペンギン!!

しかもエステの腕を平然と持ち運んでいるではないか!(爆)


「は、ハーリー君!?」

「…はい?」


「あの…ハーリー君…ですよね?(汗)」


「…やあこんにちは!(さわやか)」

「…はぁ。」


僕ハリえもん!23世紀の未来からやってきたペンギン型サイボーグさ!!(きらっ)

「…5年後じゃないですか…。(汗)」


「ちっちっち…おぜうさん、細かいこと気にしてたらいけやせんね!(きらっ)」

…アカツキさんじゃあるまいに…歯を光らせないで下さい。」


…。(セピア色の沈黙)


「…そうですか。(暗)」

「…ふう、ようやく素に戻りましたか…。(汗)」


いきなりと言えばいきなりな展開であった。

なお…勘違いされたら困るんで…一応彼はハーリーです。


「おい、ペンギン!…こっちのエステ…倒れてるから起こしてやってくれ!」

「あ…はーい。」


ぺけぺけぺけぺけ…ハーリーは行ってしまった。


「…困りましたね、今日は妙な夢ばかり見る日です…。」


エステバリスを人力だけで起き上がらせるペンギンを見ながら、ルリはそう呟いていた。

…現実逃避ではない…と、思う。(爆)


…。


余りのカルチャーショックによろよろとしながらも、ルリは次なる場所に向かった…。


「…こ、ここならまともな世界を見られるはずです…。(汗)」

「おや、いらっしゃい。…アンタが行方不明だった正規オペレーターだね?」


「あ、はい…こんにちはホウメイさん…。」

「おや、あたしの名前を知ってるのかい?…嬉しいねぇ。」


…そう、ナデシコ食堂。

ルリはホウメイに会うべくこの場所に来ていたのだ。


「「チーフーっ…例のもの取って来ましたーっ!」」

「おっ…サユリにジュンコかい…丁度いい所に。」


「…こんにちは。(変わりませんね皆さん…まあ、当然ですが)」


「あれ…もしかしてこの子が?」
「こんにちは!…宜しくね。」


「はい。…所でどうしたんですかそのお魚?」


…そう、ホウメイガールズたちは大きなマグロを担いで入ってきたのだ。


「うん。何でも甲板に乗っかってたらしいのよ。」
「で、丁度いいから拾って来いって言われて…。」


「そうなんですか。」


「丁度いいから…ルリ坊、刺身でも食べてくかい?」

「…はい、お願いします!」


…ニッコリと笑って言うルリ。

そしてニッコリとしながらマグロをさばき始めるホウメイ。


だが!!


「…あの…ホウメイさん…。(汗)」

「ん?…どうかしたかい?」


「なんで…手刀でさばいてるんですか…?(爆)」

「さっきの衝撃で…包丁がいかれちまってね。(苦笑)」


爽やかに笑いながらホウメイが言う。

そう言っている間にも、マグロは素手でバラバラにされていったが…。(汗)


(ホウメイさん…。そういう意味じゃないんです!!…なんで素手で魚をバラバラにできるのか…聞きたいのは其処なんです!!…一体何時の間に武道家になったんですか!?)


…声に出したくても、口がパクパク言うばかりで全く声にならないルリちゃんであった…。(笑)

が、正直この辺で気絶しておいたほうが良かったのかも知れない。(爆)


「ミカコ…ついでに唐揚げでも作るかい?」

「はーい、準備しまーす!」


ごそごそ…ホウメイガールズでも、変型ロールで最小のメンバー、サトウ・ミカコが明るく答え、倉庫から鶏を連れてきた。


「よいしょっと…ゴメンネ。」

「コケ…。」


ゴキィッ!!…ブチッ!
ベリベリベリベリッ!!



注:全く顔色が変わっていません!(ルリ除く)


「チーフ、準備終わりましたよ!(にっこり)」

「よーし、羽も全部とったね!?」


「はーい、この通りでーす!」



…ぱたっ。



「ん?…ルリ坊?」

「…こ、これは夢…全部…悪い…夢です…。」


「あー、ちょっと刺激が強すぎたかもね…サユリ、医務室に連れてってあげな!」

「はい!」


…こうしてルリは医務室に運ばれて行く事となったのである。

彼女が目覚めるまではまだ暫くかかるが…。


…。


さて、その頃のナデシコブリッジでは…。


「…ねぇ…ルリちゃん遅いね…。」

「そうねぇ…遅いわねー。」


「所で…ミナトさん、体は大丈夫なんですか?」

「うーん、本調子じゃないけど…あー、太陽がドーナツみたいに見えるわ。…重症ね。」


メグミ謹製ジュースを一気飲みして気絶していたミナトだが、

どうやらフラフラとしながらも復活したようだ。


「…本当。…私にもドーナツみたいに見えますよ?」

「本当メグミちゃん…?…うーん、黒くポツっとは見えるけど…。」


…。


…ブリッジクルー全員で太陽のほうを目を細めて凝視する。

…目には間違いなく悪い。(爆)


「…はい。…確かに何かおかしいですな…。」

「ミスター…段々と大きくなっていないか…?」

「…コンピュータ解析が出来れば良かったのですが…。」


「…黒点…ですか?」

「違うと思う…何だか…。」


…そこに、ムネタケがぽつっと漏らした。


「ねぇ…アレって…もしかしてエステじゃないの…?(汗)」


「しかし…連合軍の地上部隊は壊滅状態のはずですし…。」

「むう…この周囲に作戦中の部隊も居ないはずだが…。」


「第一…あれってエステにしちゃゴツゴツとし過ぎません?」

「そうねー。…第一あんなエステ聞いた事が無いわよ…。」


「ジュン君はどう思う?」

「うーん…輪郭だけ見ればサレナフレームみたいだけど…。」


「…しかし…サレナフレームは既にロストした技術だよ。…第一完成品は黒帝のものだけ…。」


…。(謎の沈黙)


ごごごご…


……。(いやーな予感)


「あの…もしかして…。(汗)」

「ユリカ…もしかしてと言うより…。」


ごごごごごごごごごご…


「「「「「…敵!?」」」」」


…。


謎の物体は、ゆっくりと…だが、確実にナデシコに近づいてきた。

…その姿は…やはり往年のブラックサレナを髣髴とさせる。


何故か胸部に亀の頭がくっついていたが。(爆)


「ダークグリーンのブラックサレナ?…まさか!!」

「参謀?」


…ダダッ…


スミヤは駆け出すと、一目散に格納庫めがけて飛び出していく!

…だが、ブリッジの入り口まで行って、階段が落ちていることを思い出した。


「くっ…。」


…そして、後ろを振り返る。

迫るサレナとブリッジクルーたちを交互に見ながら、歯噛みをした後、

彼は元の位置に戻りユリカに進言した。


「艦長…最早これまで!…一度艦を捨てましょう!!

「そんな!」


「…こちらだって本意ではない!!」

「しかし…!!」


「アレを見てもまだそんな事が言えるか!!」


…ざっ…


指差された方向…先ほどのサレナ…。

だが…よく見ると周囲に小さな点がぽつぽつと存在した。


「なにあれ…。」

「バッタだよ。しかし…困ったものです。…まさかこんなに早く出てくるとは…。」


「…でも、バッタって…あんなに小さかったっけ?」

「…そう見えてるうちが幸せだよ…。」


そう、サレナに比べてバッタ達は異様に小さい。

だが…突然ミナトが「ああっ」と叫ぶ。


「あ…もしかしてバッタが小さいんじゃなくて…。」

「その通り。…彼我との距離はまだ離れているんですよ…?」


「え?…じゃあまさか…。」


…そうしている内に…敵はだんだんと近づいてくる…。

大きな…そう、大きな機体!…ジンシリーズと同じくらいだろうか…?


ブラックサレナそのものとしか言えないフォルム。

だが、暗緑色の機体のあちこちには亀の甲羅のような網の目がついていた…。


「…玄武…。」

「えっ!?…参謀何か言いましたか?」


「駄目だ…ここは引くしかない…!(汗)」

「でも…今ナデシコは動けないし…。」


「…手なら…ありますが。」


…ぼそっと…ジルコニアが言う。


「へ?」

「しかし…オモイカネ無き今…最早、通常航法すら不可能ではないのかい?」


「はい。…ですが…相転移エンジンは生きています。」

「…だが…命令できない事なら同じ事じゃないの…かい?」


「…機関室に行き、直接手動で動かせば宜しいでしょう?」

「…しかし…航法プログラムは失われている。」


「…はい、艦を動かすのは無理でしょう。…でも、狙いさえ定めなければ撃つ事は可能です。」

「撃つ…グラビティーブラスト!?…そっか、攻撃できるならにげる必要もないね!」


…しかし、


「で、どうやって行くんだい…?」


…スミヤがチョイチョイと吹き抜け(元階段)を指差す。

…それを見てユリカが言った。


「…ジュン君で決定!(汗)」


…見ると…未だにジュンは下でピクピクといっていた…。

…成るほど、無難な人選である。(笑)


…ゴン!


「…ぐはぁっ!!」


が…その為、ジュンには何処かからか持ってこられた壷が投下された。

…直接行けないからとはいえ…惨い。(笑)


「ジュン君!」

「はっ…ゆ、ユリカ…酷いじゃない」
「次ぎ行くよー、絶対受け止めてねー!」

「はい?」


…そう言って上を見るジュン。

すると…上から降ってくる女性が一人。(笑)


「だわーーーーっ!?」


グシャ…!!


…。


こうしてジュンの尊い犠牲(笑)により、上から降ってきた女性…
ジルは何とか無事に着地したのである。


「ジュン。ついでに…格納庫に伝言を頼めるかい…?」

「あ、わ、わかった…よ…。(瀕死)」


何気に弟使いの荒いスミヤであった。(笑)

そして…格納庫に寄った後…二人は今機関室に向かっている。


「…つまり…君がコンピュータの代わりをすると…?」

「はい副長。…機関室に備え付けられた端末を私の脳内に備え付けられた記憶チップと接続し、私の脳を演算装置代わりにいたします。」


「記憶チップ…そんな物が付いているのか!?」

「現在…量産型にはほぼ全員に埋め込まれているはずです。…能力を補うために。」


「へぇ…。」

「なお、入出力装置は個人で違い…私の場合アイパッチの下に接続用コードが存在しますが…。」


「そうか。ところで…それで出来ることは?」

「恐らくグラビティーブラストの発射プロセスまでは可能です。…照準は多分無理ですが…拡散モードで敵を前方に捕らえたままの状態なら命中する可能性は存在します。」


「そうか…頼むよ…。」

「はい、私も能力制限版とはいえオモイカネのオペレーターですから。」


…そうして二人は機関室に辿り着いた。

だが…その時には既に、敵はナデシコの目の前まで迫ってきていたのである…。


…。


そのころのブリッジ。


今、敵はナデシコの目の前で停止していた。

…何のためかは分からないが…不気味な感覚がブリッジを支配していたのである。


「…ねぇ…敵さん、何考えてるのかしらね…。」

「さあ…分かりませんよ…。」


ミナトとメグミはそんな事を話している。

そして…上層部はというと…、


「グラビティーブラストのエネルギーはまだ貯まらないのかな…。」

「艦長…やはりここは一度引くべきです。…上手くいくか分からない事に賭けるのは…愚かだ。」

「参謀はそういわれますが…ネルガルとしてはこの船に大金をかけておりまして…ハイ。」


…緊迫してる筈なのに何処か緊張の糸の切れているナデシコ。

だが…目の前のダークグリーンの機体から、が出て来たことにより全員に戦慄が走った!


「お初にお目にかかる。…ナデシコ諸君!?」

「…え?…なんで木製蜥蜴の機体から人間が…?」


男は隻腕で…アキトに良く似た顔立ちをした男だった。

…無精髭が格好よく見える…そんな男だ。


「ふむ…ミスマル・ユリカ艦長か。…俺は草壁秋人…。」

「あ、あの…な、んで…貴方…人間が木製蜥蜴の無人兵器から…?」


「…本当に何も知らないのだな…まあいい。我々はもくせ」
「黙れ独立派の亡霊がっっ!!(汗)」


絶叫するスミヤ君。

…誤魔化す役も大変である。(爆)


「…スミヤ…か。」

「ふん!…人間を裏切り、保身の為に機械の下につく臆病者が!!…このアオイ・スミヤが成敗してやろう!!」


…ちらっ

一瞬だけ下を見るスミヤ。


「…貴様らにとっては100年前の意趣返しなのだろうが…」


ちらっ…ちらっ…


「その為に…その…人類が危機に陥っていることが判らないのか!!」


…ちらっ…
      ガッシャーーーン…!!


…先ほどまで何故か下を確認しながらしゃべり続けていたスミヤだが、何かを確認すると、突然窓を突き破り、飛び降りた!!


…ぶあっ


そして…下から飛び上がってきた機体に乗り移る!


「あっ…あの機体!?」

「うわー、スミヤさん持ってきてたんだ…。」

「…あれが…伝説に名高きラティフォリウム…なの?」


…そう、格納庫から無人で射出されたラティフォリウムである。

スミヤはこれを待っていたのだ!(ジュンに頼んだ伝言の正体がこれ)


…そして…おもむろにナデシコからの通信をシャットアウトすると、スミヤは知っていたかのように敵との回線を開く。

オモイカネが無いとはいえ、ブリッジと繋がっていないとは限らないからだ。


「…いきなり木連の事教えてどうする、兄弟子!

「ははは…すまんなスミヤ。…しかし、何でお前がナデシコに!?」


…そう、アオイ・スミヤは以前木連に留学経験があったのだ。

そしてそこで木連式も学んでいた。


…無論…木星のことは基本的に秘密の為に、海外留学だと事情を知らない者には言っているらしい。

まあ…親戚付き合いは続いていたと言うことであろう。


…よくナツメに殺されなかったものだ。(爆)

いや…もう寿命が尽きていたのかも。


「木星で『史実』の存在を聞いた時に思ったんだよ。…そんな物があるならきっと邪魔が入るって。」

「俺個人はそんなもの…あまり信じていない。…それよりも、自分たちで出来ることをしたい。」


「…歴史を書き換える気かい?」

「ああ。…木連が無くなるのは嫌だからな。」


「…でも、それなら黒帝の動きも変わる。…なら、僕らも消えてしまうかも…。」

「それが…お前がナデシコに乗った理由か…消えたくは無い…だろうしな…。」


「…まあ、そういう事。…『史実』どうりに歴史は動いてもらう。」

「そうかスミヤ。…俺は…木連が生き残る道を模索する。…それだけは譲れないからな。」


…そして…双方ともに戦闘体勢に入る…が、


「ああ、そうそう…スミヤ。…言い忘れていた。」

「…何…?」


「もう、歴史は史実どおりには進まない。」

「何故…?」


「…見ろ。」
「…!!」


…その時…ナデシコの外壁を突き破り…一人の男がルリを抱えて飛び出してきた!

そして…バッタの背中につかまり、上空に舞い上がっていく…。


「八雲…よくやった!!」

『いえ…彼女はよく眠っていてくれましたから…簡単でしたよ閣下。』


通信から、連れ出したのが東八雲であることが判る。


「…な!?…何時の間に!?」

「北辰の突入の際に一緒に入り込んで潜伏していたのだ。…八雲は潜入のプロでもあるからな。」


流石は忍者。(笑)

…だが、精神的ショックで気絶してる少女を捕らえても手柄と言えるのかどうか…。(汗)


「くっ…!!」

「…だが、スミヤよ。お前には追えまい。…俺と『玄武』がここにある限りなっ!!」


…その時…ナデシコからグラビティーブラストが放たれた。

それは本当に幸いにも的を外さずダークグリーンの機体…『玄武』目掛けて突き進んでいく…。


「…はぁ…無駄なんだよ…実際。」

「なんだ…判ってて準備させたのか…スミヤ。」


「…実際…見てみるまで判らないだろう?…その…玄武の恐ろしさは…。」

「ふっ…まあ、そうかもな…まあいい、相転移防壁!!


…カッ…

重力波の光が玄武を貫く…筈だった…。


…。


「嘘…。」

「か、艦長…どうしましょうか…ハイ…。(汗)」


…ナデシコブリッジでも、声が出るものは殆ど居ない。


…敵は…健在だった。

だが…それだけならここまでにはなるまい…。


「な、なんで…グラビティーブラストが届かないの…?」

「…や、やっぱりオモイカネ抜きじゃ上手く制御出来なかったんじゃない…?」


…それはクルー全員の魂の叫びだったろう。


必殺兵器たるグラビティーブラストは、敵に届くことすら出来ずに消滅した。

…現状では…システム的なバグの所為だと考えてもおかしくは無い…。


…。


その頃…上空ではスミヤが秋人と対峙していた。


「流石は玄武…究極の防御力を持つ最強の機動兵器の名は伊達じゃないって事か…。」

「その通り…逆相に相転移することによって無限にエネルギーを奪う…対エネルギー兵器用防御兵装、相転移防壁だ!」


相転移防壁…それはより高位の真空に相転移して、周囲のエネルギーを奪うという逆転の発想から生まれた防御兵器なのだ!

…しかも…玄武と言う機体は更に防御能力の高いバリアも持っているらしい…。


「さて…スミヤ。降伏しろとは言わない…一つだけ要求を飲んでくれ。」

「なんです…。」


「黒帝の雛…テンカワ・アキトを…渡してくれ。」


…。(滝汗)


「いや…その…。(汗)」

「渡せないなら消えてもらうぞ…呪術砲の直撃すら無効化するこの玄武…倒せる者は存在せん!」


「…いえ、だから…。(滝汗)」

「お前ならわかる筈だ…俺達には無益な戦いをしている暇などあるまい?(熱弁)」


「えー、あの…大変申し上げづらいんだけど…」

「昨年…冬磨がやられた…もう知り合いが居なくなるのは…嫌なんだよな…。」


…未だ来ていない。(爆)

とは、とても言える雰囲気じゃない。(笑)


…そして…その後は気まずい沈黙が続くこととなる…。


…。


さてその頃…八雲はルリを抱えて母船に帰還していた。

…何故だか毛布にルリを包んだ状態で。まあ、高空は寒いから仕方ないかも…。


「ふう…さあルリさん、起きてください。」

「う、ん…あれ…ここは何処でしょう…?」


「木連軍旗艦『皐月』です。…貴方にはこれから魔女としてではない人生を送ってもらいます。」

「え?(それ以前にこの人誰ですか?)


「…木星圏は妖精の楽園です。…大丈夫、皆親切ですから…。」

「いえ…あの…帰りたいんですけど…。(汗)」


…だが、その時…


「ようこそ!!」

(この声…!?)


「…皆、親切な人ばかりです…ですが…まあ、例外も居るんですよね…目の前に。(汗)」

「酷いなぁ…僕は世界の発展と己の知識欲の為に精一杯働いてるのに。」


「…ヤマサキ…!?」

「あれ…彼女…なんで知ってるのかな…?…まあいいや、改めてご挨拶…!」


…ぞろぞろぞろ…謎の集団が楽器を手に集まってきた。

…何故だかルリからは視線を外して…何処か後ろめたそうに…。(汗)


「ようこそルリさん!」

「は、はぁ…。」


…にやり…と笑うヤマサキ。

八雲は「はぁー」とため息をついた。





『ヤマサキ実験王国』へようこそ!」





ぱっぱらぱーと鳴り響くラッパ…。

そしてルリは…、




「いやあああああああああああっ!!(泣)」



…こてん

こうしてルリは本日何回目か知らないけれど…意識を失った…。


今回は…流石に一粒涙がこぼれる。

…悲しかったわけではなく…やってられなかったのだ。(笑)


ぴちゃ…ん


ルリの涙が地面に落ちる…。


…。


…その時…地球のどこかで

ぴきっ…と言う音がした…。


「…ルリ…?」


ぴちゃん…ぴちゃん…


…そこは…ルリからは遠く離れた、とある地下室…。


…。


「妹が…危ない…!!(爆)」


ぴきっ…ぴきっ、バキィィィイイイッ!!


…。


「はぁ…はぁ…ようやく抜け出せたか。…しかし…ルリ達は何処だ…!?」


アキトは…動物的な直感らしきものでルリの危機を察し、地下牢を脱出した…。

そして…思い出す。(サフィーはいいのか!?)


「そういえば…あの戦艦の警備が異常に厳しかったな…。」


ふらっ…と、彼のシルエットが揺らいだとき…凄まじい突風と共に彼は駆け出していた。

そう…死神が…ナデシコに降臨しようとしていたのだ…。


あたかも…何かに導かれるかのように…。

続く


::::後書き::::

BA−2です。…遂にアキト復活です!

そして…ナデシコは危機のまま。(笑)


ハーリーがキグルミだろうが誰も気にしないでしょう。

更にホウメイさんがスーパーなのはもうご承知の事実。


ですが、それをいきなり目にしたルリは大変でしたね…まさしく悪夢。(笑)

さて、次は暴走するアキトを書くか、捕まったルリのその後を書くか…。


…こんな物ですが、応援していただければ幸いです。

では!

 

 

 

代理人の感想

妖精姉妹、二人ともあっさり木連の手に落つっ(爆笑)!

 

はるかな地底で謎の大怪獣アキト・ラズリも動き出し、

しかもこっそりと「呪術砲」などという謎の単語も飛び出して、更に事態は混迷の予感!

つーか、呪術ってなんやねん(笑)。