機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第90話 キグルミ乱舞・地獄変




前回と同時刻。

…アキトが死闘を繰り広げているその頃…戦艦内部に迷子が3人。(笑)


「…ここは何処なのぉ?(半泣き)」

「…判んないよ…。(汗)」


…。(じっと年長者を見る二人)


「…北姉?」

「…ほ、北ちゃんは寝てるよ?(汗)」


…じーっ


じとーっ…とした目つきで、年上のお姉ちゃんを見ているお子様二人。

…枝織ちゃん、のっけから大ピンチである。(笑)


…。


「…いや、ほら…ここら辺って気密が駄目になった区画も多いし…。」


…じーっ(凝視)


「…あの…その…だからね、通れないところが増えてるし、案内板がもう役立たないし…。」


























…じとーーーーっ(疑惑)



























「ゴメン、枝織…方向音痴なんだよね…あははははは。(乾いた笑い)」




…。




「…最初から言えーッ!!(怒)」

「迷子?…サフィー達…全員迷子!?…ふ、ふぇぇぇん…。(泣)」




…遂に根負けして、真実を語る枝織ちゃん。(笑)

皆様お忘れかも知れないが、北斗は方向音痴なのである。(当然枝織も)


「枝織姉!…どうすんの。」

「…どおって…。(汗)」


…どぉ…ん!


「…ほら、そこで爆発してるし。…このままだと全員爆死だよ?」

「…コガネちゃん。あっさり言いすぎなの。(汗)」


「…アー君、助けて…。(泣)」


…何気に生死の境目に居るらしい。(笑)

しかし…危機感が全く伝わってこないのは何故なのだろう…?


…結局、彼女達は打開策を見出す事も出来ぬまま、暫くそこで立ち往生する事となるのである…。


そして…その時、彼女達は知らなかった。

…もう既に全ての隣接区画で、気密性が無くなっていると言う事実を…。





…。





さて…一方その頃、「山崎実験王国」に囚われたルリはと言うと…、

…手術台に磔状態で、冷や汗かきながらも…果敢な抵抗を続けていた。(爆)


「…さて、ホシノ君…楽しい実験の時間だよ?」

「…き、却下です!(泣)」


…逆光の中、楽しそうにニヤツク山崎…。

その手には斬馬刀と見まごうばかりの巨大なメスが握られている…。(汗)


「…でもね、泣いても騒いでも誰も助けにこないよ?」

「いいえ、助けはきっと来ます!お約束ですから!


…とんでもない断言方法である。(苦笑)

かなり精神的に追い詰められていると言うよう。


しかし!


…バタム!!


…突然蹴破られる扉!

なんと…お約束が発動している!!


「…誰だい!?」

「…助けが来たみたいですね!」


…そして、ルリに駆け寄る…ペンギン!!(爆)

今まで何処にいたんだコイツは…。
(注:問題はそこじゃ無い)


「ルリさん、大丈夫ですか!?」

「…ハーリー君?(冷めた眼)」


「はい、なんでしょう?」

「…お願いがあります。」


「…はい。」

「…アキトさん…連れてきてくれます?」




…この期に及んで…
えり好みかぁあああああっ!!(爆)





了解、少し時間が掛かりますけど?」

「…構いません。」



…了解すなーーーーっ!!(極爆)



「じゃあ、行ってきます。」

「…頼みますよ!」



…ぺけぺけぺけぺけ



…。



…しーん


ペンギンは本当に出て行ってしまった。

そして…足音まで遠ざかっていく…。




マジ行きやがったアイツ





誰も一言も口を利こうとしない。(爆)

…流石の山崎も唖然としつつ、一言しぼり出すのがやっとだった…。



「…いいの?(汗)」

「…だ…大丈夫、アキトさんならきっと間に合うはずです。」


…内心、

「しまったああああっ!!」


とか思いながらも、上辺では冷静そうに振舞うルリちゃん…。

…だが、


「…じゃあ、邪魔が入る前に…改造、済ませておこうね!(さわやか)」

「…いやあぁぁぁぁ…。(汗)」


…自ら危機を招いたのは間違い無い所であったようだ…。


…。


…ごそごそ


そして…山崎がなにやら取り出した。

…どうやらメモ帳のようだが…。


「…じゃあ、一応リクエスト受け付けるけど?」

「…このままでいいです。(汗)」


…そんなルリの返答に、困ったように頭を抱えるマッドが一人。

そしてやむなく妥協点を探ろうと…。


「うーん、じゃあ取り合えずナマズヒゲでも…。」

「…却下。」


腕8本に興味は…。」

「無いです。(きっぱり)」


「…せめてエラくらいは…。」

「水の中で生活する予定は…。(汗)」


「…なら、肺の片方を取り出してそこに相転移エンジンを…、」

「入れてどうするんですか!」


「ワガママだね、じゃあ背中に羽根をつけて飛べるように…」

「…その手に持つ、蝙蝠の羽(こうもり)は何ですかーーーっ!!(汗)」


…中々デンジャラスな改造計画が練られていたようだ。(苦笑)

しかし…「せめて」で「エラ」とは…。(汗)


…。


「…つまりどれも嫌・・・と?」

「当然です。」


…。(沈黙)


「…じゃあ、こっちで勝手に決めるね。(嬉しそう)」

「…はうっ!!(吐血」


最初からそうするつもりだったのでは無いか…と、お思いの方も多いでしょうが…、

…全くその通りである。(爆)


何にせよ、思い立ったが吉日…とばかり、山崎は物置きに「材料」を漁りに移動していく…。

…ホシノ・ルリ、人生最大の危機は、間近に迫っていた…。


「…博士、何取りに行ったのかな?」
ヤモリだったりして。(苦笑)」
「…可哀想になぁ…。」
「うんうん。」
「…ところでさ…さっきのペンギン…どっかで見たこと無いか?」
「そうだな…何処かで見たような…。」
「…先輩そっくり。」
「…うんうん。」



…周囲は不気味・かつ洒落にならない事を口走っているが。(汗)



…。



さて…また舞台は変る。

艦内を縦横無尽に走り行く謎のペンギンキグルミが一つ…。


「さて…テンカワさんは何処かな…。」


…やあ、薄情者のハーリー君。(爆)


「だって、僕に助けられるの嫌そうだったじゃないですか。…ルリさんのご意向に沿ったんです。」


…だから、ナレーターに…!(怒)

まあいい、確かにそれが彼女望みだったし…。(爆)


…。


…アキトを探してハーリーが走り回っている。

そして…外壁を走り回っている時…彼は気づいた。


「…高度が…下がってる!?」


…だが、それを止める力を彼はもっていなかった…。

そして…、


艦の外壁にアキトがいる可能性が皆無である事に気づく事もまた…無かったのである。(爆)

なお…何故息が出来る?…等とは聞かないで下さい。


…語るまでも無いから。(爆)


…。


…そして、ハーリーがくるっと後ろを向くと…、艦内から視線を感じた。

半泣きでガラスに顔と両手をベターっ…と貼り付けた女の子が、こっちをじいーっと見ている。


因みにこの二人は、ナデシコ内部で顔を合わせる事は無かったので、

これが初対面である。


「…え?」


…口をパクパクさせているが、無論…真空中に音が伝わるはずも無い。

それに気付いたのか、女の子はガラスに息を吐きかけ…曇った部分に指で文字を書いた。


(…たすけて?)


…因みに、ガラス越しのハーリーには文字が裏返って見えている。(笑)

しかし、涙目の少女とその背後でパニック状態の姉妹を見ると、内容を考えるまでも無い。


…ボコッ


「…どうしました?」

「…ひゃ?(叫)」


…故に…壁から頭を突っ込んで、こう切り出したとしても…全く不思議は無かった。

…何故、頭突きで外壁を突き破れるかは別問題として。(爆)


「で…どうしたんです?」

「…迷子なの…。(泣)」


突然現れた(しかも壁を突き破って)ペンギンに対して、まるで警戒心を持たずに言うサフィー。

…実は結構大物なのかも知れない。


「そっか…それは困ったね…事情は判ったよ。」

「…道…わかるの?」


「うん。」

「連れてって欲しいの。」


「判った。…僕はマキビ・ハリ。…ハーリーでいいよ。」

「…サフィーなの…はーりー。…お願いするの…。」


…。


契約成立。…そしてその時…後ろの方からこそーっ…と手が上がる。

…枝織だ。


「…あのー…枝織、ちょっと質問があるんだけど…ペンギン君?」

「はい?」


「…あのー、…どっかで会った事無いかなぁ…。(汗)」

「…もう一人の僕と…会ってるんですね。」


…何処となく、きつめの口調でそう言うペンギン。

…でも緊張感は周囲に伝わらない。(爆)


「うん、コガネがたまに持って来るんだ…。」

「…持って…来る?」


「うん、犬…じゃないけど小屋もあるし。」

「…向こうも…ろくでもない人生を…。(汗)」


…何気に人間扱いを受けていないようだ。(爆)

しかし…もう一人のハーリーとは…一体?


「…さて…何にしてもここから早く抜け出した方がいいですよ?」


…すたっ

自らが侵入してきた穴を器用に塞ぎつつ、ハーリーは艦内に入り込む。


「…なんでなの?」

「…この周囲の区画は全て…機密性が失われてる。…もうじきここも危なくなるよ。」


…ビクゥッ!!


「…どうしたんですか?…えーと、枝織さん?」

「…あ、あ、あ…。」


…枝織は震えながら部屋の奥を指差す。

すると…そこでは…、


「このっ…ドアっ…、開け…ひーらーけーっ!!(怒)」
…ゴスッ…ガスッ!!


…快音を響かせつつ、ロックされたドアをこじ開けようとするコガネちゃんの姿が…。(爆)

しかも鉄パイプでガシガシとドアを叩き続けている…。


…普通のお子様なら問題にならないが、彼女はかなりの力持ちである。

それ故ジワジワとドアが歪んでいく…。


…勿論、このドアの向こうに空気は無い。(爆)


「…マジですか?」

「…そうだね。(汗)」


「…宇宙服…あります?」

「…無い。」


…プシュー…。


「…気圧が下がってません?」

「…下がってるね。(汗)」


「…あの…真空中では…?」

「…死んじゃう。(滝汗)」


因みに…彼のペンギンと一緒にしたら、枝織ちゃんに失礼である。(汗)


…。


そしてそんな時…彼女が動いた。


「…コガネちゃん…止めなくていいの?(汗)

「「 …はっ!! 」」


…。(炸裂音)


コガネちゃんを実力行使で黙らせた後、対策を練る3人+人外

…無論、じわじわと気圧は下がっていく。(爆)


「…とにかく、枝織たちは別の区画に移らないと死んじゃうよ…。」

「でも、宇宙服…ないの。(ベソかき)」


「…似たような物ならありますよ。」


…。(沈黙)


…ゴスッ!!


コガネちゃんのハイキックがペンギンの腹に突き刺さる!!

…その威力は、北辰を悶絶させうるほどだ!(着弾点が股間の場合)


「あーるーなーらー…出す!(怒)」

「…はいはい。」


…えれっ


「…こ、これは!?」
「…ねえ…ペンギンも電波受信派?(汗)」
「…可愛いのー。(笑)」



…そこに取り出だされたのは…、

「となりのト〇ロ」キグルミが3着!!(黒青白…もしくは大中小)


…。(謎の空白)


「もーりーの、なーかにー…昔から住んでる〜♪」

「枝織姉、錯乱しない!…でもこれでどうしろと言うかなー…。(汗)」


…ごそごそ


「かわいいのー、ほしいのー。…白ト〇ロになっちゃたのー♪」

「…さふぃーちゃん、速攻で着ちゃったね?(汗)…うーん、青は大き過ぎるよ。


ぴょんぴょんと部屋中を飛び回るサフィーちゃん。
…なお、ぶつぶつ言いながらも、コガネは青枝織は黒ト〇ロ既に着込んでいる。(爆)


「…当然、気密性はあるんだよね?」

「…ええ。」


「…誰が作ったの?」

「…それは秘密です。」


寒い沈黙が周囲を包む。

やばそうな代物である事は、ハーリーが眼を合わさない事からもありありと判るからだ。


「…枝織姉、細かい事言ってたら死んじゃうよ…。」

「でも…このキグルミ…山崎博士の匂いがする…。(汗)」

「…ふぇ?」


「…死ぬよりはいいでしょ?(爆)」


…否定の言葉は…?(汗)


…何にせよ、その数分後…、

宇宙遊泳するペンギンと、それに縄で繋がれて曳航されていくト〇ロ3匹が目撃されたらしい…。



…。


そして…30分後、彼らは空気のある区画にたどり着いていた…。


かぱっ…


ト〇ロのくちが全開になり、頭部がフードのように萎んで背中に移動する。

…中々にシュールな光景が広がっているが、
気にしてはいけない。(爆)


「ふぅ…助かったぁ…。」

「ふわふわして面白かったのー♪」


「…何にせよ、ここから格納庫にいけるから…そこから脱出するといいよ。」


…枝織ちゃんの姿が見えないが、きっと気のせいだろう。(爆)
ペンギンに繋がれたロープの先が
切れているのも、目の錯覚に違いない。


「…さて、じゃあそこまで送って…」

「なら、僕は君を冥土に送ってやろう。」







…。(セピア色の硬直)







「…誰だっ!?」

「…僕だ!」

「…君かぁ!!」









「…古いよ!!(怒)」
「…知らないの。(汗)」


…唖然とするお子様コンビを尻目に、突然現れた謎の人影は天井から降り立つ。

ハリネズミのキグルミを着込んだその顔は…ハーリー!?


「久しぶりだね、兄弟…。(針鼠)」

「…うん…僕が山崎ラボから逃げ出してから…もうどれだけになるのか…。(ペンギン)」


…同じ顔が二つ並ぶのは…シュール以外の何者でもない。

しかし…やはりあのラボに居たのか…。


ならば…何が起ころうが不思議は無い。(爆)


「はーりーが二人居るの…。」

「…そーだね。…向こうのは知り合いだけど。」


…そう言えば、第62話でそれらしい奴が居たような…。(汗)

だが、本人達は盛りがる周囲無視してヒートUPしていく。


「…解せないな。…僕の…僕らの純情を弄ぶと言う魔女に、何故肩入れする!?」

「…ここでルリさんを山崎の魔の手にかける訳にはいかな…」


…はっ!

ビクン…と震えるペンギン。


「…やばっ!…ルリさんの事…
忘れてたぁー−っ!!(汗)

「…相変わらずみたいだなぁ…だが、間に合わす訳にはいかない!」


えれっ…チャキッ!


から取り出したカギヅメを両腕にセットするハリネズミ!

…貴様も人外か…。(汗)


「…戦うしかないのかな?」

「…ああ、…でも、君の事は他人とは思えなかったよ…。」


「…記憶は…まだ戻らないのか…。」

「何の事か判らない。…僕らは山崎博士のラボで生まれたはずだけど…?」


…針鼠よ。それを額面のまま信じているのか?(汗)


「…マキビ・ハリの意識は…2度、跳んでいるんだよ…。」

「…思考が理解できない。…不良品は不良品か…消えて無くなれ!」


…カキー・・・ン!!

ペンギンキグルミの皮に弾かれて、カギヅメが折れた!


「ひゃっ!?」

「…うわわっ…いきなり戦ってるよ!?」


「「…二人とも、危ないから下がって!!」」


同一人物恐るべし。…余計なところでユニゾンしている…。

…因みに第2話第77,7話を読めば「2度跳んだ」…の意味が判るかも知れない。


…。


そして…二人が通路の向こうに消えた後…、

残された2体はそれぞれ重火器を(口から)取り出して構えを取る。


「…消えて無くなれ不良品!…君を含めた3体の脱走者を始末するのが、僕の役目なのだから!」

「…まだ消滅するわけには行かない!」


…なお、双方キグルミ姿のお子様なので、周囲への迫力は皆無。(爆)

しかも、その事実に気付いていないところが哀れさを誘う…。


…。


…そして、人々は…少女の叫びを聞くのだ。



























「アキトさんはまだですかァアアアアアアッァァァアアアアっ!?(血涙)」



























…お後が宜しいようで。(ヲイ)

続く


::::後書き::::


BA−2です。

「世紀を超えて」も、気付いてみればもう90話。

この辺から少しばかり一話ごとに進む物語のスピードを上げなければ…などと目論んでおります。

…ハーリーは分裂していますし、ルリのピンチは相変わらずですが…まあ、暖かく見守ってくださると嬉しいですね。


…では…今後も頑張るので応援宜しくお願いします。

 

 

代理人の感想

アレがハーリーだったとは……この代理人の目を持ってしても見ぬけなかったわい(爆)。

 

ルリはルリでなかなかユカイな状況ですが……

どうでしょう、

せっかくだから改造してしまうというのは?(爆)