機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第91話 妖精・墜つ



…じっ…

通路から顔だけ出した幼女2名が、眼前の「人外対決」を見守っている。


…。


「食らえっ…ハーリービ〜ムっ!!


…パミーッ!!

…眼から怪レーザーを発射するペンギン!!


「なんのぉっ…マキビニ〜ドルっ!!


…バシュシュシュシュシュ!!

…全身の毛を某妖怪の髪の毛のように発射する針鼠!!


…。


「…凄いの…。(ドキドキ)」

「…確かに凄いけど…あれってホントに人間かなー?」


…因みにコガネちゃんは時折飛んでくる流れ弾を残像付きで回避しつつそんな事を言っている。

…彼女も結構人外である。(爆)


そんな時である。

格納庫の向こうから、何かが近寄ってきた。


「…あれ?…あれ…なぁに?」

「ん?…ああ、コガネのお父さんの機体。…天光だよー。」


…先の戦いで、八雲から役立たず呼ばわりされた北辰は取り合えず母艦に戻って来ていたようだ。

因みに天光の字が違っているが、気にしてはいけない。(爆)


「コガネちゃんのお父さん?…なら安心なの。」

「…うーん、そうは言い切れないんだよねー。(汗)」


…確かに。(爆)

そして夜天光は、キグルミ2着の傍に近寄り、ペンギンの方に攻撃を加え始めた!


「…ふはは…艦内で好きにはさせんぞ!」

「「…邪魔です!」」


「…なんだと?」


…。


ハーリー…キイイイイッ…ク!!」


…ペンギンが放った砲弾のような蹴りと、


「マキビ、回転撃ぃぃぃっ!!」


凄まじい回転を加えて突っ込んでいく針鼠が…、


「…待ていいいいっ一!!(泣)」
「「待てと言われて、
  待つ奴はいませーーーん!」」



…チュドォォオオオオオン!!


…一瞬で、夜天光をスクラップにした。

転がり出るアフロ北辰がいい感じである。(爆)


「…貴様ら…生身で機動兵器を破壊するなぁっ!!」


…北辰のシャウトが響き渡る中、人外コンビは再度戦闘を再開する。

そんな訳で無視されて、遂にキレた北辰にコガネが近づいていった…。


「キサマラっ…我は北辰!外道なんだぞ!?(絶叫)

「お父さん…そんな事言っても無駄だと思うよー?」


…はっ!


「コガネか?…何故ここに!」

「居ちゃ悪いかー!?…友達と避難してきたんだよ。」


…てこてこ


「こんにちは、コガネちゃんのお父さん。…サフィーなの。」

「…うむ。…これは…また。(ニヤリ)」


…ゴスゥッ!!

ニヤケた北辰の頭に、コガネの延髄斬りが決まったぁあああっ!


「…あぐっ!!」

「おとーさん…変な事考えない!!」


「…我は別に、
…外道な事しか考えておらぬ!!

「それが問題なんだってば!(汗)」


そんな…のほほーん、とした時間が流れていたまさにその時…、

…異変が起きた!




…。




…ガパッ!!


「へ?」「…何?」「ふぇ…!?」
「…あっ!」「何で!」



…突然壁に穴が空いた…!

そして…流れ出す空気は、全ての物を宇宙空間に押し流そうとする!!


もしや欠陥工事か!?(爆)


いや…既にこの船の寿命は尽きている。

今まで良く持った…と、褒めてやるべきであろう。


…だが、話はそれで終わらない。


「ふぇええええええっ!?」

「…サフィーちゃん!!」


…ふわっ…と浮き上がるサフィーの小さな体。

そして…彼女は穴の空いた壁の方に押し流されていく…!


「ふゃ…あ…あ…戻れないの…!」

「…駄目…サフィーちゃんの力じゃ、抵抗できるわけが無いよぉ!(泣)」


…ドォォォオオン!!


「ひっ!?」

「くっ…この艦ももう終いだな…!」


…更に、近くの配管が爆発し、更にサフィーを吹き飛ばしていく…!


「お兄ちゃん!…助けて欲しいのーっ!!(泣)」


…コガネでさえも、周りのパイプにしがみ付くのが精一杯であった。

無論…北辰でさえも。(因みに89話ラストでアキトが聞いたのがこれ)


そんな時、ペンギンが声を荒げる!


「…フードを被って!…そうすれば呼吸は確保できるから!!」

「…ふぇ?…あ、ト〇ロの頭…よいしょ…よいしょ…。(半泣き)」


…そう言えば、着たまんまだったな…今回は功を奏した形だが…。


「被ったの…あ、でもまだ流されちゃうの…。」

「…とにかく何かに掴まって!!」


…じたばた


「ふぇ…無理なの…あ…お外に出ちゃうの!」

「…とにかく待ってて、直ぐに探しに行くから!」


…ふわふわふわ…。


そうして…白ト〇ロは白い点になって、宇宙に消えていった…。

…ついでにペンギンも、白い点を追って飛び出していく。


そして…取り残される形となった針鼠キグルミはと言うと…、


「ま、待て兄弟!…僕との決着は!?(汗)

「…コガネのお友達がどうなってもいいの!?」


…ゴスッ!

鉄パイプ針鼠の鼻突き刺さった!!


「…痛ああああッ!(絶叫)」

「いいから…言う事聞く!」


…般若降臨。(爆)

縮み上がる針鼠が、何処と無く哀れっぽく見える。


「はーい…とほほほほ…。

「うんうん。…素直でよろしー!」


…そして…それを見ていた外道が一言。


「哀れだな…その歳で尻に敷かれておるか…。」

「…うえをむーいて…あーるこぉぉぉ…な、み、だ…がぁ…。(泣)」


北辰までから同情を受けた針鼠は、がっくりと疲れたようにその場から去っていった。

どうやら木星に戻るらしく、小型チューリップの中に消えていく…。


…こうして、人外決戦尻切れトンボで終結した。(爆)

そして…、


…。


ドドドドドドドドドドドドドド…!!


「む…この殺気は!」

「…何…なに!?」


「…サフィイイイイイイイッ…、
 無事かああああああっ!?」


アキト兄さん(爆)遅れまくりで登場!!

無論、目を血走らせてだ!!(ヲイ)


ついでに言わせて貰えば、駆けつける場所を間違えてる気がする。

むしろ、この場合ルリを優先させるべきだったかも知れない…。


…まあ、当人にはそんな事関係ないのだろう。

なにせ、目の前の事しか見えてないわけだし。(爆)


「さふぃいいいいいいいいいっ!!(絶叫)」

「…居ないよー。」


…ぴたっ


「…なぬ?」

「お外に飛ばされてっちゃったよ…。」


ぎちぎちぎちぎち…

アキトの首がゆっくりと回る。


「…マジか?」

「まじだよー。」


…さーっ

アキトの顔が青くなる。


「…未熟者が。…遅かったな。」

「…北辰!…貴様かぁっ!?」


犯人と思い込み、北辰に怒鳴りつけるアキト。


…だが、北辰は鉄パイプに掴まって、辛うじて飛ばされないで居る状態だ。

窒息しかけている事もあり…威厳は無い。(爆)


…因みに壁の穴は空いたままである。

…コガネちゃんはト〇ロスーツ装備中で息の心配は無いが…。


「…頼む!…そこの穴塞いでくれぬか!!(滂沱)」


意地プライドかなぐり捨てた北辰の懇願!(爆)

無論、アキトの答えは…、


「…俺は忙しい!他を当たれ!!」

「…がはぁっ!!」


…結構酷いものだったようだ…。


…。


そして…それから数分後、アキトはサレナの元へ戻ってきていた。

…勿論、サフィーを探し出すためである。


「…サフィー…無事で居ろよ…。」

「…大丈夫だよー、サフィーちゃん…結構運は有りそうだし。」


「…所で…。」

「うにゃ?」


「貴様は何なんだ、青ト〇ロ?(汗)」

「…サフィーちゃんの友達なのだー。」



…。(沈黙)



「そうか。…邪魔はしないでくれ。」

「おーけー。」


…それだけで信じるのかアキト。(汗)

しかも、機体が変ってるのに気付いてないし…。


「…じゃあ行くぞ。俺のの場所は判るな?」

「…電波が教えてくれるから判るよ。…コガネにお任せあれ!」


「ほぉ…発信機でも持たせたのか…?」

「ちょい違う。…はうっ!…ここから北北西…じゃなきゃ南南東に!」


…まるで方角が違うが!?(汗)


「…どっちなんだ!?」

「だって…どっちにも妹さんは居るって電波が…。」


…アキトは頭をひねるが、取り合えず行き当たりばったりで行く事に決めたらしい。(ヲイ)


「…よし、行くぞォッ!」

「…おー!」


そして…ブラックサレナは再び宇宙に飛び立つ。

…無論どっち方面に向かったかは定かではない。(爆)


…そして…アキトが気付いていない事がもう一つあった。

それはジワジワと落ちている高度の所為で大気圏に掴まり、既に周囲が白熱しかけている事…。


…。


…因みに北辰は、この頃…通りすがりのケンダッパに救出されたらしい。(爆)


…。


そんなこんなで、アキトがサフィーを探しに飛び出した頃…。


「さあ…材料は揃ったよ、ルリ君!?」

「…アキトさーん、まだですかーっ!?(泣)」


…此方もかなりやばい状況に追い込まれていた。(爆)


「しかし、どうしようかな?…これも良いしこれも捨てがたい…。」

「…どれもこれも最悪です…!」


…周囲に何が並んでいるかは、皆様のご想像にお任せいたします。(爆)

だが…どれもこれもいろんな意味で洒落にならない物である事は確か。


「もうこうなったら…誰でも良いから助けてくださーい…!(汗)」

「…無駄だってば、さっき自分でチャンスを潰したでしょう?」


…。(ルリ沈黙)


「…いえ、あれは…ほら、ヒロインのピンチはヒーローが助けに来る物ですし…。(汗)」

「現実は厳しいよ?」


…ぐうの音も出ないルリ。

だが…、


「現実は厳しい。…そうですね。博士。」

「…んー?」


…ごかっ…!

例のバニーガ…もといウサギさんが、山崎の頭部に近くのツボを打ちつけた!


「…カタオカ君…何するんだい…?」

「…ちょーっと眠っててくださいねぇ?(怒笑)」


…ドゴッ!!


バニーさんは、にこやかな顔に青筋浮かべて山崎をどつきまくる!!

…日ごろの恨み…だろうか?(汗)


「…きゅー。」

「…さあ、ホシノさん…今のうちよ!」


…ごそごそ

そして山崎が気を失った隙を付いて、ウサギがルリの縄を解いた!


「…あ、あの…なんで助けて」

「いいから急ぐ!!…次は無いわよ!!」


「は、はい!?(汗)」

「ほら…皆も移動開始してるし!!」


…どやどやどや…

周囲の人外な集団も、一斉に移動を開始する。


「…こ、これは…!?」


…訳がわからず困惑するルリに、ウサギは言った。


「…走らないと「実験台」よ!!」

「…はいっ!!」




…。(ゲルマン民族?大移動中)




…そして…気絶中の山崎を除いて誰も居なくなった。(爆)




…。




…それから少しして…

どやどやと艦内の廊下を脱出艇格納庫に向かい、爆走する百鬼夜行が存在した。(爆)


「…つまり…あなた方は脱走の機会を窺っていた…と?」

「まあね…あの人アレで結構ある意味の天才だから…隙を突くのが難しかったの。」


ルリは件のウサギと会話している。

…因みにここは、原理不明の肥大化をしている…たれパン〇の上。(爆)


「…やっぱり…好きでああなった方は居ないんですね。」

「全部じゃないけど…望まない連中は殆どがここに居る。…私は…自業自得かな?」


…何故か下を向いて、自嘲気味に笑い出すウサギ。(汗)

一体何があったのやら…。


「…はぁ…まあ深くは聞きませんが。」

「…そうね。気にならないならそれも良いかもねぇ?(邪笑)」


…じとーーーーっ


「…あの…聞いて欲しいんですか?(汗)」

「…別にー?、実の兄に襲われて一家全滅だとか…所詮その程度だしねー。」


…しょせんとか…そう言うレベルじゃない。

しかも、どう考えても聞いて欲しそうだ。(爆)


「…えー、そのー。(滝汗)」

どうしてもって言うなら話してあげても良いけど!?」


…ズズイっ


「…身を乗り出さないで下さい!…はぁ…もう、仕方ないから教えてください。」

「…サイトウさん(下のた〇パンダ)Uターンお願いします。」


…。(汗)


「…判りました!!
 …私が悪う御座いました!
 …教えてください!!
 …是非…
是非にィッ!!(絶叫)」


「そう?…仕方ないなぁ…特別だよ?(笑)」


…下のたれパ〇ダ…サイトウさんが冷や汗をかく中、ウサギさんの身の上話が始まった。

しかし…はて、…サイトウ?(滝汗)




…。(ウサギさん熱弁中)





「…つまり、貴方の家が謎の連中に襲われて、貴方も暴行を受けたと?」

「そ…家の父さん…結構名前の知れたジャーナリストだったの。…で、襲ってきたのが…、」


「…貴方の腹違いのお兄さん…。」

「…うん。…正直驚いた。…でも、それより全てを失った怒りの方が大きかった…。」


…腹違いの兄妹?…ジャーナリスト…?

はて…何処かで聞いたことがあるような…。(爆)


…。


「…で、叫んでしまったんですね…。(汗)」

「そう、『…あの男に復讐できる力が欲しい…悪魔を売ってでも!!』…ってね。(苦笑)」


…成る程、オチは読めた。(爆)


「…で、気付くとウサギ娘になってたと。(滝汗)」

「うんうん…浚われてから半月くらい気を失ってたみたい。…で、気付いたんだ…私はあの時まだ持っていた物があったんだ…ってね。」


「…それは?」

「…人としての尊厳。(泣)」


…そうして、人外化させられて…暫く理不尽な思いに浸っているうちに、彼女の中から兄に対する怒りは消えていったのだという…。

無論…その男よりも、早急に消さねばならぬ奴が居ると知ったからだ。(爆)


…しかし…不運なのもここまで行けば、もはや喜劇の域に達してしまうような…。

正直…大した物である。


「…これから皆さんはどうなさるんです?」

「さあ?…取り合えず故郷に帰るんじゃない?」


…ちらっ


ルリは周囲をチラッと見回す。

とても社会に溶け込めそうも無い連中ばかりが目に飛び込んでくる。(爆)


…ルリの額に汗が一粒浮かんだ。

そして…思わず口をついた台詞はと言うと…、


「…正気ですか?」
「…サイトウさん、Uターン。(怒)」


…びくっ


驚いたように上を見る、〇れパンダ・サイトウさん。(爆)

…爆走状態のせいか、ぜんぜんたれて見えないが…それは些細な事だ。


「…失礼しました。(汗)」

「判ればいいのよ。」


…ほっとしたように前進を再開するたれ〇ンダ。

そして…一行はようやく格納庫にたどり着いた…。



…。


…ひょい…ひょい

格納庫の端…開かれた扉から、改造人外達が次々と飛び降りていく…。


「…皆さん…生身で飛び降りていきますねぇ…。」

「伊達や酔狂で、人外やってないわよ。」


「…望んじゃ居ないんですよね?」


「…泣きたくなるからそこ…突っ込まないで…。(泣)」


ウサギさんは少々涙ぐんでいる。(爆)


そして…そうこう言っている内にも、次々とダイブしていく改造人間達。

…気付くと、その場にはルリ達だけになっていた。


「…ホシノさんは、そこの脱出艇で逃げればいいと思う。…操縦は?」

「…出来ますよ…それくらいなら。」


「…そう、それじゃあね。」

「はい。」


…そうして、ウサギは表皮の伸びきったたれパ〇ダをパラシュートのように広げて艦の端に立った。


「…あ、あの…ウサギさん!…せめてお名前を!!

「…カタオカ・チハヤ。…それが私の名前。…忘れても良いけどね?」


…そして…ウサギ…いや、チハヤは地球に下りていった…。

にしても…彼女だったとは…。(汗)


…。


「…さようなら、チハヤさん。…貴方の事は忘れません…多分。(爆)


…何気に失礼な事をのたまいつつ、ルリはただ一機残った脱出艇のコクピットに座る。

そして…固まった。


「…風防は…どこです!?(爆)」


…そう、先程の「人外決戦」の余波で、脱出艇の窓は粉々に砕けていた!

一台だけ残っていたのには、それなりの訳があったのである!!(爆)


「…どうしましょう…。(汗)」

「…大人しく実験されれば良いよ?(邪笑)」


…天井からマッドの顔が降ってきた。

いや…天井を突き破って…の方が正しい。(爆)


「…ひいいいいいいっ!!」

「酷いなぁ…化け物みたいな扱いしないでよ…。」


…慌てて逃げるルリ!

そして、ゆっくりと追いすがる山崎!!


…復活が早すぎだ!!(爆)


「…こ、こないで下さい!!」

「…でもさあ…実験体に随分逃げられちゃってさぁ…。」


…山崎の目は血走っていて…かなりヤバイ状態であった。(爆)



…。(追いかけっこ中)



そして…ルリは遂に追い詰められる。

前方にはマッド…そして…後方には…、


「…落ちたら死にますかね。(汗)」

「…燃え尽きると思うよ、もうここは大気圏に入りかけてるし…。」


…じりっ


後ろに下がろうとして、もう足場が無い事に気づかされるルリ。

…このまま下がれば、綱無しバンジーを強行する羽目になる。(ヲイ)


「…嫌…。」

「…さぁおいで?(爽やか)」


…開いた格納庫の扉の端が、摩擦熱で白熱化していく…。

地球と、時折上がる火の粉をバックに佇むルリは…不謹慎だが至極美しく…儚げに見えた…。


…。


既に大気圏内に突入した艦内の温度は、加速度的に上がっていく。

…恐らく崩壊の時は近いのだろう。


「…もう時間は無いよルリ君?」

「…知ってます。」


…ベリッ


外壁の装甲が一枚剥げ落ちる。

そして…それは摩擦熱により一瞬で焼け落ちていく…。


「…見たまえ…このままいくと、君もあの鉄板のようになる。」

「…だから…貴方の慰み物になれと?」


「…慰み物?…違うね、進化だよ。…人類は今…次のステップに進化しなければならないんだ。」

「…何故…私なんです?…それこそ探せば実験体なんで腐るほど居るでしょうに。」


…ニヤリ


「君はマシンチャイルド…言うなれば次なるステップに進んだ、新たなる人類のプロトタイプじゃないか。…だが…マシンチャイルドはまだまだ肉体が脆弱。…改良の余地があると思うんだよ。」

「…一体何を?」


「…僕はね、知ってしまったんだよ。…このまま行くと近いうち地球人類は滅亡する。」

「…誇大妄想もいい加減にしてください…!」


…山崎はやれやれと言うように首を振る。


「事実なんだなぁこれが。…とにかく君には人類全体のために人柱になって貰いたいんだけど?」

「…嫌です。…なんで私が!


「…地球滅亡を防ぐためなんだけどねぇ…。」

「…他当たってください、他を!!」


…。


「…まあいいか…じゃあ今日は引くね。」

「…見逃すんですか?」


「…ああ、また今度会うときにもう一度返事を聞くことにするさ…。」

「何度会っても同じ。…実験体なんか嫌です!!」


ルリは取り合わない。

…まあ、当然だが。(爆)


「…あ、そ。…じゃあ、僕は消えるね。」
「さっさと消えてください!!」


「後悔しない?」
「しません!!」


「ふーん…じゃあ生きてたらまた会おうね。」

「…い・や・です!」


…すたすたすたすた

そうして…山崎は何処かへと消えていったのであった…。


…。


「…はあ…助かりました。」


安心して…どっと疲れが出たのか、その場にルリは座り込んだ。

だが…、


…熱いッ!」


…気付かないうちに床の温度は、火傷しかねないレベルまで上昇をしていた!


もはや…崩壊まで数分も無いだろう。

頼みの綱の脱出艇(風防無し)も、崩壊に飲み込まれ四散して行く…。


「…あ、このままじゃ…帰れません…。(汗)」


…その時、ルリは山崎の「後悔しない?」の意味を悟った。

…そう、このままではルリは大気圏突入で燃え尽きる運命なのだ。


「…なんて事…このままじゃ…ああっ!?」


…ガクゥッ!!

…ズルズルズル!



「…嘘ッ…もうここも崩壊するんですか!?」


…一瞬、床が歪んだ…そう思った途端に格納庫内のあちこちの床が抜ける!

斜めになった床に足を取られ、ルリは転倒し…表に向かって滑り落ちていく…!


「…こ、このままでは大気圏内にダイブです!…くっ!」


…ガシッ


幸い、横に張り出していた鉄パイプに腕が届いた!

…だが…最早…命脈を伸ばすだけの行為でしかない…。


「…アキトさん…助けてッ!!」


…無論、叫びは空しく虚空に消える。

そう簡単に…奇跡など起きてはくれないのだ…。


…チラリ


ルリの下方には、雄大な地球が見えている。


…かつて…それを見たガガーリンは「地球は青かった」と言ったが…、

…ルリに感傷に浸る余裕は残されていなかった…。


「…ううっ…誰でもいいから…助けて…ください…。」


涙声で呟くルリ。

…恐怖と心細さで…流石の彼女もすっかり参ってしまっていた…。


…。


…そんな彼女に…神の慈悲が差し伸べられないはずが無い!!


…。


「…大丈夫か!!」

「…はっ…誰です?…いえ、この際それを問うのは止めです…助けてッ!!


…ぬっ。

上のほうからルリを見下ろす人影が一つ。


「さあ、の手に掴まるのだ!!」
「…北辰?(汗)」


…差し伸べられる北辰の手…。

ルリは、迷わず…、


「…やっぱいいです。(爆)」

「…何?(汗)」


…。


…ぺこり……ひゅうううううううっ…。


自ら大気圏に飛び降りていった…。(ヲイ)

せっかくの神の慈悲だが…今回も自分の好みを優先させたらしい。


…。


そして…取り残された人々はと言うと…。


「…何故だ?(汗)」

「北辰…おめぇ…一度自分の顔を鏡で見ればいいんだな…。(呆)」


「…八部衆の…。」

「んー?」


「…貴様にだけは言われたか無いわっ!!(怒)」

「助けて貰っておいて、その言い方は無いんだなっ!!(激怒)」


…そして…戦いが始まる。(爆)


結局、彼らの争いは艦が崩壊するその寸前まで続いたらしい。

…因みに、なんとか脱出は出来たようだ…。



…。



…そして…羽根を失い…地上に向かって墜ちていく妖精が1人…。


「…アキトさん…私…もう駄目かも…。」


…今は、ただ…落ちているだけだが…直ぐに肉体は摩擦熱で燃え上がり、

地上に着く頃には消えて無くなっているのかも知れない。


「…嫌です…まだ…何も始まってない…何もして貰ってないのに…!」


…無念と絶望が彼女を包んでいく。

この状態でルリに出来る事など何も無く…最早無念を叫ぶしかない…。


…。


「…結婚式は海の見える教会でジューンブライドの筈がああああああっ!!(爆)」


…因みに、二人の間にそんな約束は無い。(爆)

…かなり錯乱しているのだろう…きっと。


…そして…ルリは目を閉じる。

楽しかった思い出だけを瞼の裏に浮かべて…。


「…アキトさん…私は貴方の事を…。」

























…そして…ルリの瞳から、一粒の涙が零れ落ちた…。
















…。















『ルリイイイイイイイイイっ一!?』

「…はい!?」


突然の奇声!!

…びっくりしてルリが目をあけると、遥か彼方から黒い影が迫ってくる!


『サフィーを探しに来て、お前を見つけるとはな…ルリ、今行く!!』

奇跡です!!…アキトさんですよぉっ!(感涙)」


…くやし涙が一瞬で嬉し涙に変わる。(爆)


「…いやー、そう言えばサフィーちゃんにはおねぇちゃんも居たんだよねー。(苦笑)」

「…やるな、青〇トロ。…まあいい…今はルリに追いつかないと…!」


…電波、恐るべし!!

だが、ルリが危険なのは変わらない…。


「…追いつけるか…?」

「…このままの速度じゃあ無理だよー?」


…VBも満足に出来ないと言う割には、結構な計算能力である。

コガネちゃん…実はテストの時…手抜きしていたんじゃあ…。(汗)


だがまあ…この際それは問うまい。


「…スラスター全開!!」
「アキトさん!!」



…差し出されるルリの手に反応するかのように、

摩擦熱で火の粉をあげつつ…サレナがルリに肉薄する!


「…今助ける!!」
「…はい!」



…ざっ!

そして…サレナの黒い手がルリを包み込んで…、


…。


「…やった…間に合ったぞ!」

「おめでとー!」


…アキトがガッツポーズしたその瞬間!!






…プチッ






「…ぷち?」

…そおー…っとサレナの腕を見るアキト。


…だら…だら…だら…


「…機体の手…赤いね…。(汗)」

「…。(硬直)」


…だらだらだら…


「もしかして…ガッツポーズの時…手に力入れちゃった?

「…びくっ!(図星)」


アキト君、どうやら…やってしまったようだ。(滝汗)
…何処の世界にも、救いようの無い奴は居るものである…。



「…もしもーし。」

「…。(気絶)」


「…白いお船が来てますよー?」

「…。(まだ気絶)」


…。


『こちらナデシコ!…識別信号…アキトさんですよね!』

「…呼んでるよー?」


『アキトー、アキトアキトアキト大丈夫?…大変、エステが真っ黒焦げ!?

「…駄目だこりゃ…。(汗)」


…そうして…パイロット共々固まったままのサレナは、

ようやく追いついたナデシコに回収されていく。


…。


無論…サレナの腕から瀕死のホシノ・ルリが発見されて大騒動となり、

早速医務室に運ばれていったが…。


…はたしてルリの運命や…いかに…。

続く


::::後書き::::

…作者逃亡、後書きは無し!(爆)

…因みにヤバイのはルリのみに非ず。(ヲイ)

 

 

 

 

代理人の予想

 

一、ドウエル教授

二、サイモン=ライト博士

三、ジェイムスン教授

四、司馬遷次郎博士

五、メビウス教授&ラプラス博士

 

さあどれ(爆)。

 

ちなみに、元ネタが知られると代理人の身が大変にデンジャーなので

知ってる人は口に出さないようにお願いします(核爆)。