機動戦艦ナデシコanother 楔 kusabi  〜 第7話




◆ 1

 無数の攻撃を受けつづけるナデシコは、這うような動きで航行を続けていた。

 全天を覆い尽くすような敵の猛攻を受けながら、それでも前に進むことができるのは、ナデシコという戦艦の卓越した性能を示すものであろう。

 ブリッジから見える光景は、まばゆい光に満たされている。

 敵の攻撃を跳ね返す瞬間の、ディストーション・フィールドの輝き。

 無人兵器の群れと敵ミサイルを、確実に迎撃していくリョーコ、ヒカル、イズミの作り出す光球。

 鬼神のごとき奮戦を続けるアキトが作り出す、敵艦艇の断末魔の膨大な光輝。

 それらが長く短く世界を照らし出す。

 ユリカの指示は、その場その場の対処をするだけの精彩に欠けるものだった。

 ジュンの目から見てもあきらかなミスを何度もしている。

 ユリカは、震える体を必死で支えながら、目を背けたくなるような顔色で指揮を続けていた。

 気を抜けば、そのまま床に倒れこんでしまいそうな危うさを感じる。

 これが、本当にあのユリカなのか。

 ジュンは困惑していた。

「ユリカ、ボクが代わるよ。少し休んだ方がいい」

 ジュンのその言葉を、ユリカは大きく首を振りながら拒絶した。

 長い黒髪が、跳ねるように踊る。

 うつむいた表情が、よく見えなかった。

「ダメ――ただの人殺しになんて、なりたくないもん。だから――ダメ」

 うわごとのような声であった。

「いいから――」

 そのとき、ディストーション・フィールドを貫通した敵のグラビティ・ブラストがナデシコを直撃した。

 その衝撃にあおられ、ユリカの体がぐらりと倒れそうになる。

 とっさに伸ばしたジュンの手の中に、ユリカが倒れこんできた。

 その体のあまりの冷たさに、驚く。

 全身から力が抜けていた。

 ――あまりに弱い。

 ジュンの腕の中にいるユリカという女性は、どうしようもなく弱い存在だった。

 ユリカを艦長席に座らせ、ジュンはフクベ提督を振り返った。

「ボクが指揮を引き継ぎます。よろしいでしょうか、提督」

 それに答える声は静かだった。

「私は飾りにすぎんよ。ナデシコは君たちの船だ。信じるようにやりたまえ」

 ジュンはうなずくと、前方を見据えた。

 頭の中に、いろいろな思いが渦巻いている。

 ジュンにとって、ユリカは常に追いかける対象だった。

 初めて出会ったときから、大学で一緒に戦略・戦術論を学ぶ間も、いつもユリカはジュンの前を走りつづけてきたのだ。




「ルリちゃん。敵艦隊の展開状況を、再度確認。

 チューリップの位置と稼動状態を考慮して、今後10分の間、

 敵の陣営がもっとも薄くなると予想されるポイントを割り出して。

 ハーリー君はラピスちゃんと一緒にエステバリス隊のサポート。

 敵大型戦艦の動きに注意して、アキトを優先的に迎撃にまわすように。

 弾薬の残量は、つねにボクに情報をまわしてくれ」




 天真爛漫で、なにごとにも動じないように見える彼女を、ジュンは勝手に強い女性だと思い込んでいた。

 でも、事実はまったく違ったのだ。




「スバル機の弾薬が残量10%を切りました。

 マキ機32%。アマノ機40%。

 テンカワ機は80%をキープしています」

「三十秒後にディストーション・フィールドを解除。テンカワ機以外を収容する。

 それまでにグラビティ・ブラストのチャージを完了するように」




 ユリカは、あたりまえに喜び、あたりまえに傷つく、普通の女性だった。

 そんな“あたりまえ”のことにいまさら気づき、ジュンは驚いていたのだ。




「エステバリスの収容完了。ディストーション・フィールド再起動しました」

「整備班は補給を急いで。ディストーション・フィールド解除時の被害状況を報告よろしく」




 自分は幻想を追いかけていただけだったのだ。

 そんな自分が、ユリカにとっては友達以上の存在に感じられなかったのは当然のことだったろう。




「アキト。

 リョーコちゃんたちを再出撃させるために、グラビティ・ブラストのチャージを急いでいる。

 あと四十秒だけ耐えてくれ」

『まかせろって――! ゲキガン魂、見せてやる!』




 なぜか、突然ジュンには見えてしまっていた。

 勝手な思い込みと理想に凝り固まっていた、いままでの、情けのない自分の姿が。




『ジュン! 補給完了した。いつでもいいぜ! テンカワばっかりにムリさせらんねえもんな』

『あららぁ〜。もしかしてリョーコちゃん、アキトくんのこと気になってたりしてぇ』

『バッ、バカ言ってんじゃねえ! なんでオレがあんなヤツのこと……!!』

『ますますアヤシイ〜♪ 顔赤いぞぉ。リョーコちゃんって、結構カワイイんだぁ』




 自分の本当の姿に気づくということは、その自分を乗り越えたということだろう。

 ジュン本人はそれと気づいてはいなかったが、確かにジュンの中で何かが変わろうとしていた。




「グラビティ・ブラストのチャージ完了しました」

「よし、ディストーション・フィールド解除と同時にグラビティ・ブラスト広域放射。

 行けるね、リョーコちゃん」

『うぅぅ〜……行ける、行けるから早くしてくれぇ!』

『あはははは! 真っ赤っかだぁ!

 アキトく〜ん、これからリョーコちゃんが、そっち行くからねぇ。

 やさしくしてあげてぇ』

『……殺す……ぜってえ殺す! ブッ殺すっっ――!!』

『ヒカル機、行っきま〜す♪』

『殺おぉーーーす!!』




 以前のジュンであれば、こんな場面で、笑う余裕はなかったかもしれない。

 得意の防衛戦に徹していながらも、ジュンの指揮するナデシコは、徐々に敵の包囲網に取り囲まれ、追い詰められていた。

 何かが成長したからといって、別の能力まで伸びるはずもない。

 もう何分もしないうちに、敵の包囲網は完成してしまうだろう。

 それが現実だった。

 ユリカはまだ、自分の体を抱え込むような格好で艦長席で震えていた。

 せめてユリカが立ち直るまでの時間を稼ぎたい。

 その思いだけが、ジュンを突き動かしている。

 しかし、現実はそれを許さなかった。

「テンカワ機、被弾!」

 ルリの悲鳴のような声が響いた。

 二隻の大型戦艦を同時に相手にしながら、足止めまでしてのけていたアキトは、ついに物量の前に屈した。

 スラスターを半壊したアキト機が、落下する。

『テンカワあぁっっ――!!』

 リョーコ機が、凄まじい加速で、落下していくアキトのエステバリスを追った。

 それを援護するヒカルとイズミが、絶妙のコンビネーションを見せる。

 無敗を誇ってきたコンビが、一気にナデシコに押しかけようとした敵無人兵器を完璧に迎撃していく。

 それは、お互いの思考を完全にリンクできる二人だけが可能な、芸術的な舞だった。

 リョーコ機が、アキト機の右腕を捕らえた。

 地面ギリギリの危うい旋回で、どうにか減速する。

『おい、テンカワ! 大丈夫なのか! テンカワってば! オイ!!』

『――っつ! あぁ、クソ、油断した。リョーコちゃんか? ゴメン、心配かけた』

 続くリョーコの声には、大きな安堵が含まれていた。

『そうか。平気なんだな。ケガしてねえんだよな、テンカワ?』

『大丈夫だよ。本当にゴメン』

『気にすんなって。テンカワは早いところ、フレームを換装してこい。

 その間は、オレたちがナデシコを守るからさ』

 しかしそれは難しかった。

 リョーコたち三人を発進させるため、グラビティ・ブラストを撃ってしまったばかりのナデシコは、簡単にディストーション・フィールドを解除するわけにはいかないのだ。

 アキトの戦力を失ったいま、ディストーション・フィールドを解除した時の被害は、致命傷になりかねなかった。

 ジュンは迷っていた。

 アキトの戦線復帰のためにリスクを背負うか、グラビティ・ブラストのチャージまでの八十秒をアキトたちが耐えてくれることを祈るか。

 その迷いが、そのままジュンの限界でもあった。

 人並み以上の能力を持ちながら、それをいざというときに一点に集中させるだけの自信が持てない。

 常に広く浅く、能力を分散させているのだ。

 しかしこのとき、ジュンは迷いを捨て去るだけの強さを得ていた。

「ルリちゃん、アキトの収容用意。

 ディストーション・フィールドのダウン時間を最小にするようにタイミングは慎重にして。

 ――アキト、聞こえるか。回収する。あんまり迷惑かけるなよ」

 悪かったよ、というアキトの返事。

 さて、この窮状、どう切り抜けるか――

 ジュンが、そう思ったときだった。

 ナデシコの背後から、凄まじい威力を持ったグラビティ・ブラストの黒い光が、一直線に前方に疾ったのだ。

 それは、ナデシコのグラビティ・ブラストを遥かに凌駕する破壊力を有していた。

 敵大型戦艦のディストーション・フィールドを突き破ると、直接、艦体に命中する。

 一直線の爆発光が、空に描き出された。

『お困り?』

 そんな声と共に、優雅な艦影が、ナデシコに並ぶ。

 ハーリーが叫んだ。

「識別信号ユーチャリス! 味方です!」

 その声に合わせるかのように、もう一度、ユーチャリスがグラビティ・ブラストを放つ。

 新たな直線状の破壊跡が、敵艦隊の中央に穿たれた。

 ナデシコには不可能なグラビティ・ブラストの連射である。

「多連装のグラビティ・ブラスト!」

 驚愕の声があちこちからあがった。

 ただ一人、わずかに微笑を浮かべたラピスだけが「久しぶり、ダッシュ」という、つぶやきを洩らしていた。

 メインスクリーンに、灰色のバイザーを着けた、ぬけるような蒼銀の髪の女性が映し出された。

 透明な笑みが、そこにある。

『アキト君を回収するならいまよ。

 サレナが、敵の戦艦を落とします。それにタイミングを合わせるように』

 その言葉が終わらぬうちに、もっとも接近していた敵大型戦艦のディストーション・フィールドの内部に、蒼い光が疾った。

 そこに姿をあらわしたのは、漆黒の機動兵器。

 ブラックサレナであった。

 しかし、そのフォルムが、リョーコたちの知るそれと、あきらかに違う。

 高機動ユニットを装着したブラックサレナは、四発のハンドカノンを相転移エンジン部に放つと、一気に加速した。

 ディストーション・フィールドの消失と同時に、蒼い光が走り、またその姿が消える。

 次に現れたのは、もう一隻の戦艦のディストーション・フィールドの内部だった。

 両腕に装備したハンドカノンが、それぞれ二発づつ火を噴く。

 二隻の大型戦艦が、ほとんど一瞬といってもいい時間で、撃沈されていた。

 ナデシコの周囲を、その爆発が包み込む。

 千載一遇のチャンスだった。

「ルリちゃん、ディストーション・フィールド解除! アキトの収容急いで!!」

 アキトが、リョーコと共にディストーション・フィールドの範囲に入った瞬間を見計らい、フィールドを再起動する。

 ナデシコは被害を受けることなく、アキトの回収に成功していた。

『――ミスマル艦長。あなたは、いつまで、そこでそうしているつもり?』

 白い女性の声であった。

 ユリカは、その声にも反応を示さない。

 白い女性は、すべてを承知している態度で言葉を継いだ。

『悔しいよね。助けに来た人たちを、誰も守れなかったんだもの。

 辛いよね。あなたの判断ミスで、沢山の人が死んでしまったんだもの。

 だから、あなたはそうして現実から逃げている。

 当たり前だよね。辛いもの――哀しいもの』

 ブリッジを静寂が支配していた。

 ただ、敵と味方の攻撃が生み出す轟音だけが、どこか遠くの出来事のように響いている。

『でも、本当はわかっているんでしょう?

 そのまま責任を放棄して逃げてしまえば、あなたは本物の殺人者になってしまうってこと。

 艦長としての自分を拒否したとき、あなたはただの卑怯な人殺しになってしまうってこと。

 ――そうなんでしょう?』

 ユリカが顔をあげた。

 その瞳いっぱいに、揺れる思いが詰まっている。

 ギリギリのところで、悲鳴をあげながら精神のバランスを保っている、どうしようもなく、か弱いユリカの姿がそこにあった。

「わかってる。わかってるけど――苦しいよ。

 こんなことなら、ナデシコの艦長になんて、ならなければよかった。

 普通の女の子として、普通に生活をしていればよかった――」

 白い女性が静かに首を振った。

『――もう遅いのよ。

 あなたはナデシコを守るために、地下施設の人々を犠牲にする道を選択してしまった。

 もう、あなたは背負ってしまったの。人の命を――』

 重い言葉だった。

 彼女も同じ経験をしてきたとしか思えない、すべてを知っている者の言葉だった。

『教えて。

 ――あなたが地下施設の人々を犠牲にしてまで選び取ったナデシコを救うために、

 これからなにをするべきなのか。どうすればナデシコを救うことが出来ると思う?』

 ユリカはしばらく悩んだすえに答えた。

「――チューリップに入ります。たぶん、それが唯一の道だと思うから」

 ブリッジに驚愕の声が響いた。

「お待ちください、艦長! それは、いささか早計だと思いますねぇ。

 ナデシコを失った場合、ネルガルが受ける損害額がどのくらいのものになるのか、

 艦長はお知りでない。艦長御一人の責任では、とてもとても……」

「ならば、その責任、すべて私が引き受けよう」

 プロスペクターの言葉を止めたのは、フクベ提督だった。

「私も同じ考えだ。それだけがナデシコが生き残る、唯一の道だろう。

 それともプロス君、君だけでも、ユーチャリスに避難するかね? 敵の砲火の只中だぞ」

『ひとつだけ、情報を提供します』

 スクリーンの向こうで、白い女性が口をひらいた。

『これから転送する座標に、連合宇宙軍の護衛艦クロッカスがいるはずです』

「馬鹿な!」

 温厚なフクベ提督には稀有な、驚きの声だった。

『いいえ、本当のことです。

 あなたたちナデシコが、地球で連合宇宙軍の包囲網から脱出した直後、

 連合宇宙軍艦隊は、チューリップの襲撃を受けたのです。

 そのとき、護衛艦クロッカスとパンジーはチューリップに飲み込まれました。

 ――この意味、いまのあなた方であれば理解できますよね』

「クロッカスのクルーは無事なのかね」

 フクベ提督の問いに、白い女性は首を横に振った。

『残念ながら。しかし、強力なディストーション・フィールドを装備するナデシコであれば、

 チューリップを無事に通り抜けることが出来ます。保証しましょう。

 私たちが、ジャンプに関する技術を持っているのは、先ほどお見せした通りです』

 これは、漆黒の機体がジャンプして見せたことだろうと思われた。

『この場は私たちが引き受けましょう。

 あなたたちは、クロッカスのところまで行き、そこにあるチューリップに入りなさい。

 それがナデシコを救う唯一の道です』

「ユリカ……」

 ジュンが、決断しかねるようにユリカを見た。

 ユリカは青白い顔でうなずいて返した。

「お願い、ジュンくん」

「――わかった。これよりナデシコは、指定された座標に向かいます。

 ユーチャリスの皆さん。あとはお願いします」

『了解。しばらくお別れになるけれど、皆さん良い旅を』

 それだけ言い、ユーチャリスからの通信は切られた。

 ユーチャリスとブラックサレナは、信じがたい戦闘力を発揮し、五十倍を超える戦力の敵と対等に戦っている。

 彼らならば、自分の身は自分で守りきるだろう。

 ユーチャリスの援護を受け、ナデシコは単独で敵陣を突破してクロッカスが存在する座標へと急いだ。

 相当数の敵が追尾してきている。

 すでに大きな損傷を受けているナデシコには、それを振り切る余力はなかった。

 そのまま指定された場所へと、敵を引き連れたまま到着する。

 しかし、彼らが見たものは、予想外の光景であった。

 不時着したクロッカスと、チューリップ。

 それは予想通りである。

 しかし、クロッカスはひどい損傷を受け、座礁するような形で、チューリップの入り口を塞いでいたのであった。








◆ 2

「私が行こう」

 フクベ提督が、何の躊躇もなく宣言する。

 プロスペクターは驚愕していた。

「なにも提督自ら行く必要はありません。危険すぎます。

 グラビティ・ブラストで破壊してしまえばよろしいでしょう」

「それでは、チューリップまで破壊してしまう恐れがある。

 それにクロッカスのマニュアル操艦が出来るのは私だけだ。私が行くしかあるまい」

「ならば、ボクが護衛として一緒に行きます」

 それはジュンの声であった。

「アキトたちは、ナデシコを防衛するだけで手一杯ですからね。

 いまエステバリスを動かせるのはボクだけです。

 ボクがクロッカスまでお連れします、提督」

 この状況を黒アキトたちが知れば、どう思ったことだろう。

 前回の歴史では、クロッカスはほとんど被害もなく、チューリップから数百メートル離れた位置に不時着していたのだ。

 クルーを失ったクロッカスの制御コンピュータが、緊急措置として、艦を着陸させたのだろう。

 しかし、この歴史のクロッカスは、全体にひどい損害を受け、稼動するかどうかも怪しく見えた。

 しかも、チューリップから離れることも出来なかったのか、その入り口を塞いでしまっているのだ。

 地球でナデシコがチューリップの相手をしなかったことが原因なのかもしれない。

 運命の悪魔が、黒アキトたちの思慮の外で、自在にその力をふるっていた。

「いいだろう、アオイ君に頼もう。ミスマル艦長、よろしいな」

 すでにかなり立ち直っていたユリカは、それを承諾した。

「お気をつけください、提督。――ジュンくんも危ないことしちゃダメだよ」

 かなり嬉しそうな表情でそれに応えると、ジュンはフクベ提督と共にブリッジから出て行った。

 二人は、そのままガイのエステバリスを使い、クロッカスへと向かう。

 アキトと、リョーコたち三人が、はるか後方で追撃してきた木星蜥蜴の足止めをしている。

 そう長くは持ちそうにない。

 時間との戦いであった。

「アオイ君は、私をクロッカスで降ろし、そのままナデシコに戻りたまえ」

「そうはいきませんよ、提督。

 あのクロッカスの状態では、わずかに攻撃を受けただけでも動かなくなってしまいそうですからね。

 チューリップから離れるまでは、ボクが援護します」

 正論であった。

 フクベ提督は、すまないと一言洩らしたきり、そのことには二度と触れようとはしない。

 どれほど危険であろうと、護衛が必要なことは、はじめから明白だったのだ。

 ジュンの操るエステバリスは、クロッカスのカタパルトから、ハッチを突き破り内部に侵入した。

 そのまま、進めるところまで進むと、アサルトピットを開き、フクベ提督を降ろす。

 クロッカスの内部は、細かい塵が降り積もり、薄汚れて見えた。

「奇妙ですね。なんだか、何年も経っているみたいに見える。

 この艦がチューリップに吸い込まれたのは、二ヶ月前のはずなのに」

「今はそんなことを気にしている場合ではあるまい。

 アオイ君、すまぬが、クロッカスの護衛を頼む」

 わかりました、と言い残し、ジュンは入ってきたカタパルトから、再び火星の空へと戻った。

『これより、クロッカスを浮上させる』

 そのフクベ提督の声を合図にして、クロッカスの鋭角な艦体が身震いする。

 降り積もった火星の土が、その振動に吹き散らされ、もうもうと空に舞い上がっていった。

 その砂塵を突き破り、悠然とすら言いたくなる動きで、クロッカスが姿を現す。

 五割がた原形を失うほどの被害を受けていながら、なおクロッカスはその生命を永らえていたのだ。

『アオイ君。敵機動兵器が、八時方向より接近。迎撃してくれたまえ』

 突然動き始めたクロッカスに、木星蜥蜴も脅威を感じたのであろう、かなりの数のバッタがクロッカスに襲いかかろうとしていた。

「了解!」

 ガイの遺したエステバリスを駆り、ジュンが火星の空を飛ぶ。

 次々と、バッタの爆発光が、空間を満たしていった。

 ジュンの戦闘能力は、ナデシコの最低ラインにも、遠く及ばないものである。

 一度ガイと対等に闘っていたが、あの時は相手が本気になっていなかっただけだということを、ジュン自身が一番よく理解していた。

 しかし、その闘いで、学び取ったものも確かにあったのだ。

「うわぁぁぁああああああーーーーっっ!!」

 雄叫びを撒き散らし、ディストーション・フィールドをまとった拳が、バッタの腹をブチ抜いた。

 それを敵の只中に投げ飛ばし、ラピッドライフルで狙撃。

 高出力のジェネレータに引火したバッタが、爆発する。

 ジュンはその爆炎の中に、自分から飛び込んだ。

 一瞬、バッタのセンサーが混乱する。

 紅い炎を背後に引きずりながらそこから飛び出したジュンは、周囲に群がっていたバッタを、手当たり次第に撃ち落した。

 新たな爆発光が、次々に生まれては消えていく。

『エステバリス隊、帰還してください。

 ジュンさんは提督の身柄確保を急いでください』

 ルリの通信だった。

 見ると、クロッカスと入れ替わるように、ナデシコがチューリップに突入できる位置に移動し始めている。

「提督! 迎えに行きます。さっきと同じ場所まで急いでください」

『――来てはいかん』

 その声と同時に、クロッカスに向かおうとしたジュンに、予想外の方角から攻撃が仕掛けられた。

 それはクロッカスからの砲撃であった。

 きわどいタイミングで、ジュンのエステバリスを掠めるように、光が疾り抜けていく。

「――っ! なにをなさるのです、提督!?」

『来るなと言った。

 ――私は、始めからこうするつもりでおったのだよ。きみは、早くナデシコに戻りたまえ。

 クロッカスの援護はもう必要ない』

『なにしてる、ジュン! もう時間が無い、敵がすぐ近くまで来てるんだぞ!』

 アキトの声だった。

「提督が……クロッカスに!」

『フクベ提督、お戻りください! お願いですから!』

 震えるようなユリカの声が響く。

 その声には、フクベ提督が何をしようとしているのかを、すでに承知している響きがあった。

 そして、そのことを本人の口から聞いてしまう事を、なによりも恐れていた。

『すまぬな、艦長。これは、私のけじめだと思って欲しい。

 一年前のあの日、この火星のユートピアコロニーにチューリップを落としてしまった私の、

 最後のけじめなのだよ』

 コミュニケを通じて、アキトの息を飲む音が、はっきりと伝わってきた。

『あんたが……あんたが落としたのか――あれを!!』

 まだ、その事実を消化しきれていないのだろう。

 その声には、怒りも激情も無く、ただ驚愕のみが含まれていた。

『テンカワ君。きみには本当にすまないことをしたと思っている。

 もっと早くに話すべきであったが、その勇気をもてなかった私を卑怯者と罵ってくれてもいい。

 すまなかった――』

 バシャンッ! という、なにか硬質なものを叩き割る音が聞こえた。

『ユートピアコロニーは、跡形も無く消えてたよ!! なんにもありゃしなかった!

 オレの知っていた場所は、ひとつも残っちゃいなかったんだ!!

 ――あんたもあれを見るべきだった! オレと一緒にあれを見なきゃいけなかったんだよ!!』

 血を吐くような叫びであった。

『死んで詫びるつもりか? ふざけるな!!

 あんたは生き残れ。生き残って、オレと一緒にもう一度あそこに行くんだ!』

『もう、やめてぇ――っっ!!』

 突然ユリカが悲鳴のような叫びをあげた。

『やめてよ、アキト! アキトは私を責めてる

 ――ユートピアコロニーの生き残りの人々を見殺しにしてしまった、私を責めてるの!

 酷いよ――だって、しかたがなかったんだもん! ほかにどうしようもなかったんだもん!!

 だから、そんなに責めないでよぉっ――!』

 語尾は激しい感情の奔流に震えていた。

 泣いているような声であった。

 激情にかられていたアキトは、ユリカの言葉の意味に気づき、一気に感情の水位を下げた。

 ユリカとフクベ提督は、どちらも最悪の状況で、少ない選択肢の中から最善の行動をとっただけなのだ。

 自分にそれを責める権利があるのか。アキトには確信がもてない。

 なによりも、感情をむきだしにしたユリカの言葉が、アキトにひどい罪悪感を感じさせていた

『…………。

 ――悪かった。突然だったから、取り乱しちまったんだ。悪かったよ、ユリカ。

 提督、あんたにも言いたいことは沢山あるけど、もういい。死ぬ必要なんてない』

『――ありがとう。その言葉を聞けて、救われた思いだ。

 しかし私は戻れない。やらねばならぬことがあるからな』

「提督! なぜです!?」

 ジュンの問いに、フクベ提督は言い含めるように言葉を継いだ。

『木星蜥蜴の追撃を防ぐために、ナデシコが通り抜けたあと、チューリップを破壊する必要があるからだ。

 私は、このクロッカスを自沈させ、チューリップを巻き込む。

 そうすれば、もうナデシコは安全だからな』

『バカな!』

 複数の人間が、そんな驚愕の声をあげていた。

 その中にユリカの声は無い。

 彼女は、はじめからその答えを察知していたからだった。

 ジュンは焦燥に胸を潰される感覚を味わっていた。

「おやめください、提督! 何も提督が死ぬ必要はないじゃありませんか!」

『死ぬ気はない。自爆と同時にコックピットブロックを切り離す。

 うまくすれば、ユーチャリスに拾ってもらえるだろう。そうではないかね?』

 その確率が、どれほど低いものであるか、考えるまでもない。

 しかし同時に、それが必要なことであることも、また確かであった。

『――エステバリス隊……帰還してください』

 感情を押し殺したユリカの指令だった。

『それでいい。正しい判断だ、ミスマル艦長。

 私が教えられることなど、始めからありはしなかったようだな』

『――死なないでください、フクベ提督。お願いですから――お願いですから……』

『努力はしよう。成長した君に、もう一度会いたいものだ。

 ――行きたまえ、ナデシコの諸君。良い旅を祈っている』

『逃げるなよ、提督。あんたには、山ほど文句を言ってやりたいんだ。

 死んだりしたら、今度こそ本当に許しゃしないからな』

 その言葉を残し、アキトとリョーコたち三人がナデシコのディストーション・フィールドの中に入る。

 最後に残ったのはジュンだった。

 ジュンの脳裏に、ひとつの計画がまとまろうとしていた。

『なにをやっておる、アオイ君。ナデシコに戻りたまえ。もう時間がないのだぞ』

「提督。ボクも残ります。

 ナデシコのエネルギー供給が途絶えても、エステバリスはバッテリーで五分は動ける。

 そのあいだに、脱出した提督を拾い、ユーチャリスに向かえばいいのです。

 そのほうが生き残れる確率は格段に上がるはずだ」

『よせ! 危険を冒すのは一人で十分だ。

 きみはナデシコに必要な人間なのだ。ここで死なすわけにはいかん』

「提督が死んだら、ユリカがまた悲しみますからね。

 そんなのもう見たくないんです。だから残りますよ、ボクは」

 それは、すでに決意を固めた声であった。

『ジュンくん、ダメ! 戻って!

 危ないことはしないって、約束したじゃない!!』

「もう遅いよ、ユリカ。――ほら、敵がそこまで来てしまった。

 今から戻っても、途中でやられちゃうよ」

 ジュンの言葉通りだった。

 アキトたちの足止めがなくなり、木星蜥蜴の艦隊が、はっきりと視認できるところまで迫っている。

 すでに手遅れだった。

『そんなのオレの役目だろっ! ジュンが残ってどうすんだよ!?』

「こういう損な役回りは、ボクのお得意だからね。

 アキトには、ナデシコを守ってもらわなきゃ。そうだろ?」

『――くっそぉっっ!!』

 アキトの怒声と重なるように、ユリカの叫ぶような声が聞こえてくる。

『戻して! ミナトさん、ナデシコを戻して!』

 しかしそれすらも手遅れだった。

 チューリップに半ば突入したナデシコは、なにかに引きずられるように、徐々にその中へと吸い込まれていく。

 仮に回頭できたとしても、木星蜥蜴が迫るいま、それは自殺行為でしかない。

「提督、木星蜥蜴があまり接近しないうちにチューリップに近づきましょう」

『――馬鹿者が。こんな老身のために命を賭ける奴があるか。

 きみには、あとでたっぷりと戦いのなんたるかを教え込んでやらねばならんな。

 戦術・戦略論の基礎からみっちりとな――』

「はい、謹んでお受けします」

『まったく、こうも楽しみを増やされては、死ねぬではないか。

 馬鹿者どもが』

 悪態の中に喜びの感情を混ぜながら、フクベ提督はクロッカスをチューリップに向けて後退させ始めた。

 全砲口が木星蜥蜴の艦隊に向けて一斉に火を噴く。

 ジュンもバッタの群れを相手に、戦火を結んだ。

『ジュンくん! 地球で待ってるから!

 だから絶対、帰ってきて!

 約束だよ、ジュンくん!!』

 表現すら不可能な奇妙な輝きを放ち、ナデシコがチューリップに吸い込まれていく。

 それでもまだ、コミュニケの通信は、健在だった。

 ユリカの声を聞きながら、ジュンはやっと彼女のことが少しだけ理解できた気がしていた。

 いままで自分が追いかけてきた幻想ではない、本当のユリカの姿が。

「わかったよ。約束する――」

 しかし。

 なにがいけなかったのだろうか――

 ただの偶然だったかもしれない。

 その瞬間、気が緩んでいたのかもしれない。

 ――気がついたときには、敵のレーザー駆逐艦が放った輝きが、ジュンの視界を完全に占拠していたのだった。

 その閃光はエステバリスのディストーション・フィールドを突き破り、アサルトピットに直撃した。

 凄まじい勢いで、エステバリスが吹き飛んだ。

 装甲が一斉に破裂したようにこなごなに砕け散り、輝く光の粒子のように、エステバリスの周りを彩る。

 煙ひとつ残さず、ジュンのエステバリスは、慣性の法則に従って飛んでいた。

 原型を留めぬほどにぐちゃぐちゃになったコンソールが、ジュンの胸板を押しつぶしている。

 呼吸をしようとすると、かわりに血の塊が口から飛び散った。

 体を引き千切られるような激しい遠心力が、エステバリスが急激に回転しながら落下していることを知らせる。

 ――落ちてる

 どこに落ちようというのか。

 ショック状態に朦朧としたジュンの耳に、ユリカの悲鳴や、アキトの咆哮が聞こえていた。

 ――ごめん、ガイ。おまえのエステ、壊しちゃったよ

 そんな的外れなことを考えながら、ジュンの意識は暗くなっていった。

 もう、なにも感じない。

 ユリカのことだけが気がかりだった。

 自分のせいで、また泣かせてしまうかもしれない。

 ――まいったな

 ジュンは、困り果てながら、ゆっくりとその目を閉じた。








◆ 3

 ユーチャリスが、そこに到着したとき、すでにナデシコの姿はなかった。

 そしてチューリップは、骨組みだけを竜の屍骸のように晒すクロッカスの傍で、完全に活動を停止していた。

 奇跡的に破壊を免れていたクロッカスのコックピットブロックを発見した黒アキトたちは、救出したフクベ提督から、ジュンのエステバリスが撃墜されたことを聞かされる。

 彼らは数日の間、近辺を捜索しつづけた。

 しかし、ジュンとそのエステバリスはついに発見できず、失意の内にボソンジャンプで姿を消したのであった。








◆ 4

 草原に風が疾っていた。

 川辺に腰をおろす二人は、水の匂いを感じ、水の音を聞いていた。

 空に、次々と色彩を変えていく、ナノマシンのビロードが掛かっている。

 梢が風になびくザワザワという音が、心を掠め行く。

 木々の下を一人の女の子が高い声ではしゃぎながら走り回っていた。

 赤っぽい髪を、頭の上のほうで、二箇所、おさげにしている。

 その手に、黄色い蜜柑を握っていた。

 女の子は元気いっぱいに笑い転げながら、どこまでも走りつづける。

 ユリカはこの景色を知っていた。

 火星のユートピアコロニーだ。

 アキトといつも無邪気に戯れていた、川辺の記憶だった。

 なぜこんな場所にいるのか、不思議とも思わない。

 ごく自然なこととして受け入れていた。

 しかし、その胸に去来する悲哀は忘れようのないものであった。

「ジュンくん……死んじゃったよ」

「ああ」

 傍らで、ユリカと同じ格好で腰をおろしていたアキトが、それだけ応える。

「私が情けないから、だから死んじゃったんだ」

「オレの力が足りなかったからだ。オレ、誰も守れなかったよ」

 ユリカの胸を、哀しみが、ぎりっと絞り上げた。

 苦しかった。

 呼吸をすると、焼けるような感触が喉の奥からせり上がってくる。

 爆発しそうな感情が、巨大に膨れ上がっていた。

 ジュンとは、地球に渡ってからすぐに出会った。

 お隣さんだった。

 アキトと別れて泣いていた幼いユリカを、いつも気にして世話を焼いてくれた。

 ユリカが泣いている時にはいつも隣にいて、でも、どうしていいのかわからずに、おろおろとしていた。

 それが面白くて、わざと泣いたり、ふてくされて見せたりもした。

 優しいジュンくん。

 不器用なジュンくん。

 いつのまにか、そこに居てくれることを、あたりまえだと感じるようになっていた。

 ロースクールからハイスクールまで、いつも同じ学校の同じクラス。

 連合宇宙軍の大学に進んだユリカの傍らにも、やはりジュンがいた。

 ふりかえれば、困ったような表情のジュンが、必ずそこにいた。

 だからユリカは安心して前に進めたのだ。

 それがどれほどかけがえのない、貴重なものであったのか、そのことに気づきもせずに。

 “あたりまえ”などという、愚かしい考えを信じ込んで。

 無くした今になって、それがどれほど大きな存在だったのか、はじめて気がつく。

 ぽっかりと穴があいている。

 ユリカの心の大部分が、ジュンと共に無くなってしまっていた。

 心の一部、身体の一部を失った者だけが感じる、どうしようもない虚無感が、悲しみに形を変えて、きりきりとユリカの胸を締め上げる。

 もう遅いのだ。

 失ってから気づくなんて、救いようのない愚か者。

 感情の爆発は、もう止めようがなかった。

 大粒の涙が、ぼろぼろとユリカの目からこぼれおち、火星の土に黒い染みを作っていく。

 それは大地に染み込み、すぐに元の色に戻ったが、その上から、また新しい涙が落ちてきた。

 草原にユリカのむせび泣く声が、静かに響いていた。

「やだ……もうやだよ……こんなの、もうやだよぉ――――」

 子供がダダをこねるような声だった。

「なんでよぉ……みんな死んじゃう――ひどいよ、こんなのないよ……

 苦しい……苦しいよぉっ――!」

 涙でぐちゃぐちゃになった顔を、手のひらでこすりつける。

 あとからあとから、止めようもなく涙が溢れ出てきた。

『――泣かないで』

 そのとき、どこからともなく、そんな声が響いてきた。

『泣かないで――お願い。泣かないで』

 ユリカとアキトの正面、水面の上に、淡い影が現れた。

 人。

 16、7ぐらいの年齢に見える少女が、そこに立っていた。

 漆黒の髪を肩のあたりで綺麗にそろえた少女が、愁いをたたえた瞳でユリカを見ている。

 その瞳は、赤みを帯びた、不思議な色をしていた。

『泣かないで――ジュンさんは生きています。だから、泣かないで――』

「生きてるの――? ジュンくん、生きてるの!?」

 少女が黒髪を揺らしながら首肯した。

『はい。きっとまた会えます。だから、泣かないで。

 あなたが悲しむと、私も悲しくなるの。だから、もう泣かないでください』

 少女の言葉に嘘はないということを、なぜかユリカは信じることが出来た。

 ジュンが生きている。

 その言葉が、空虚に支配されかけていたユリカの胸に染み込み、満たしていく。

『これを――』

 少女が伸ばした右掌に、小指の先ほどの大きさの、金色の石片が乗っている。

 それは蒼い輝きをまとい、生命があるかのように脈動していた。

『これは記憶。歴史を書き留め記録するもの。あなたの存在を写した射影。

 これは、あなたのものです。――さあ、受け取って』

 ユリカは手を伸ばしていた。

 少女が、水面を滑るように近づいてくる。

 その手が、ユリカの手に触れ――

 金色の石片が、少女からユリカに手渡された。

 蒼い光が満ちる。

 ユートピアコロニーの懐かしい光景を光が包み込み、やがてユリカも飲み込んだ。

 蒼い。

 なにもかも――ユリカの心さえも、蒼い光で満たされている。

 そして――

 ユリカは目覚めたのだった。









あとがき


なんかもう、ナデシコから遠く離れた世界に逝っちゃってますね(^^;
一応ストーリーは、ここで第一部完といった所です。
さすがに暗いのを連続で続けたくないので、次回からは普通の雰囲気に戻るはずです(たぶん)。
書いていて、ちょっと、あざとすぎるかなという気もしましたが、正直、いっぱいいっぱい。
こんなのでも、週末の連休を二週分潰してたりします。
必要な通過点だったということで、どうかご容赦を。


以下は、勝手に作った設定の補足とか、いろいろです。
◆シーンナンバー
 シーンの切替で、ときどき空行が少なくて驚くことがあったという意見をいただき、今回から、
 シーンの切替時には空行に加え「◆ シーンナンバー」を付加することにしました。
 ただし、「ルリちゃん航海日誌」はある意味、神の視点ですので、シーンとしてはカウントしていません。
 ふり忘れとか、ふり間違えを多発しそうですが、ご愛嬌ということで(おい
◆ワーム・マシン
 手のひらサイズのナノマシンって、なんじゃい!? ということで、こんな名称にしました。
 ナノマシンの集合体かなにかなんでしょうか、あれって。
◆ステラ・サピルス
 逆行ルリが、二重人格化しそうだったので、まともな方に名前を付けてます(笑
 違和感バリバリですね。まあ、どうせ、こっちも壊れる運命なんですが。
◆リチア・フレサンジュ(24)
 やっと出せました。オリキャラです。
 イネスさんの、血のつながらない姉妹。
 外見は、エ○ァン○リオンの、リ○コ女史な感じです。
 なので、そのうちに黒アキトと不倫を始めることでしょう。
 作中でも書きましたが、エステバリスの基本設計者の一人です。
◆エステとサレナ
 戦艦クラスのフィールドには歯が立たないという設定にしてあります。
 サレナはボソンジャンプで無効化してますけど。
◆ジュン君
 「熱血ジュン」の活躍を期待する感想もいただいたのですが、残念ながらこんなことになってしまいました。
 一応、当初の予定通りなんです。
 無駄死にではありません。絶対に。
 しかし、目立たないキャラが、突然活躍するってのは、本当に危険ですねえ。
 二人も殺っといて、アレですが(^^;
◆最後に出てきた少女
 正直言って、ストーリー上どうでもいいような存在ですから、軽く流してください(爆
◆アキト
 ……。
 ……主役の座から脱落しました。


次回以降、ようやくTV版から離れた展開に入ることができます。
なので、すこし書き溜めをしようと思っています。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ではでは……。

 

 

代理人の感想

南無阿弥陀仏。

ユリカの為と見せてジュンの為の成長イベントだったのか?と思った瞬間にアレですから・・・・

まぁ、確かにあざといと言われても仕方ないですね(苦笑)。

しかし、そーするとゲキガンガーをすり込まれた時点でジュンの死は確定していたと言うことに(爆)

 

>リチアさん

一瞬マジで「イネスクローンか!?」と思っちゃいましたよ・・・・・って、不倫ーっ!?