「ナオさん・・・わかっていますね?

私に逆らうことは許されませんよ。」

 

「今回の任務が成功したら・・・本当に例の件、約束してくれるんだろうな?」

 

「あたりまえじゃないですか?

このナデシコで最も慈悲深いと噂される私にかぎって問題はありません。」

 

「・・・・・・(”最も非情な”の間違いじゃねーのか?)」

 

「・・・なにか?」

 

「い、いえ!早速行ってまいります!」

 

「・・・・期待してますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナデ()』

嗚呼、文化系!!

 

【class2−A】出会い X 激突 X ヅカ?(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の人物が追いかけっこをしていた。

 

1人は制服等から見て中等部の男子生徒だろう。

もう1人の方は、黒いスーツに黒いサングラス・・・まず学校ではお目にかかるはずのない種類の人間だ。

 

 

「そんな!?僕のダッシュについて来れるなんて!!」

 

 

少年もサングラスの男も普通じゃ考えられないスピードで走っていた。

 

 

「ふっふっふ・・・追い詰めたぞハーリー!

さぁ!あきらめて”アレ”を返すんだ!!

 

 

とうとう少年の方が追い詰められてしまう。

 

 

「ダメです!これには組織の命運がかかってるんです!!

例え僕の命尽きようと、これだけは渡せません!!」

 

ボコスカボコスカ・・・

 

「おわたひひまふ。」

 

「うんうん、わかってくれればいいんだ。

悪いな、俺も今彼女達にちょっと逆らえない状態でね・・・

じゃ、もらって行くよ・・・」

 

 

男が見るも無残な状態の少年に手を伸ばす。

 

そこへ偶然通りかかるアキト。

 

 

「おい!何をしてるんだ!!」

 

「ちっ、邪魔が入ったか・・・」

 

「その手を放せ!!」

 

「おいおい、パッと見はオレの方が悪いように見えるかもしれないが本当は違うんだぜ。」

 

「だからってそこまでやることはないだろう!」

 

「まったく・・・ちょっと痛い目にあってもらうか・・・・」

 

 

そう言うと、男は素早くアキトの懐に入り鳩尾に一撃を入れる。

 

 

「ぐはぁっ!!」

 

「悪いけどしばらく寝ててくれないかな?

オレは学生さんと違って暇じゃないんだ。」

 

 

再び少年に手を伸ばそうとする。

 

 

「ま、まて・・・」

 

 

よろよろと立ち上がるアキト。

 

 

「ほぅ、さっきのを受けて意識があるとはな・・・

残念だよ・・・さっきよりも痛いかもしれないが恨むなよ。」

 

「くっ・・・」

 

 

男が1歩足を踏み出す。

 

ゾクッ

 

「・・・・・それ以上進めば命はないぞ・・・」

 

 

いつのまにか男の後ろに人が立っていた。

 

 

「・・・・全然気が付かなかったよ・・・・・」

 

 

男が振り返ると、そこには1人の少年がいた。

燃えるような赤い髪の毛が実に印象的だった。

自分と同じ制服を着てるという事はこの学園の生徒なのだろう。

 

 

「自分の命とそいつ・・・どちらを選ぶ?」

 

 

この男も相当な使い手の筈なのだが身動き1つ取れない。

 

 

「やだなぁ、そんなの決まってるじゃないか。

オレはハーリーの奴が盗み出したデータさえ返してもらえればいいんだから。」

 

「そうか・・・では取る物を取ったらさっさと消えるんだな。」

 

「はいはい、言われなくても消えますって。」

 

 

男は倒れている少年から何かの封筒を取るとさっさといなくなってしまった。

 

 

 

 

 

「・・・大丈夫か?」

 

「なんとか・・・」

 

「・・・しかし・・・・バカなことをしたものだ・・・」

 

「は?」

 

「見るがいい。

お前の助けようとしていたガキはもうとっくに逃げてしまったぞ。」

 

 

言われてみると、先程までもうこれ以上ないほどにボロボロだった筈の少年の姿がいつのまにか消えていたいた。

 

 

「ただの殴られ損という奴だな・・・

それほど強くもないくせに何故あんなまねをした?」

 

「・・・そうだな、あえて言うとしたら・・・偽善・・かな?」

 

「偽善?」

 

「あそこで見ない振りをしていたらきっと今日のご飯はおいしくない・・・

まあ、自分がそうしたかったからそうしただけって事かな。」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・どうしたんだ?」

 

・・・・・・・・・・あーっはっは!!

するとなにか?お前は今日のおいしいご飯のために殴られたって言うのか?」

 

 

少年はお腹を抱えて笑っている。

 

 

「悪いかよ!

オレは将来コックになるんだ!

君にとってはくだらない理由でもオレにとっては大事な事なんだ!!」

 

「悪い悪い。

・・・面白い奴だ、気に入ったぞ。

機会があればお前の料理を食べさせてもらいたいものだ・・・

・・・だが、コックとは体が基本なのだろう?

もう少し自分を大事にするんだな。」

 

「大丈夫だよ、オレ、体は丈夫なんだ!」

 

「そうか、では気をつけて帰るんだな・・・」

 

 

そう言うと少年はアキトに背を向け歩き出そうとする。

しかし、途中で何か思い出したように振り返る。

 

 

「・・・・・そういえばまだ名を名乗っていなかったな・・・

オレの名は北斗・・・同じ学園ならまた会う事もあるだろう・・・」

 

 

再びアキトに背を向けると今度こそ止まらずに歩き始める。

 

(・・・・ふっ・・・このオレが男に名を名乗るとは・・・・・面白い事もあったものだ・・・)

 

 

 

 

 

少年の姿が完全に見えなくなる。

 

 

(かっこいい子だったな〜。

ちょっと小柄だけどすごい美形だよな・・・

ああいうのを”美少年”って言うのかな?

・・・・・そういえば・・・誰かにすごく似てたような?)

 

 

そんな事を考えながら自分も帰ろうとしてふと気が付く。

 

 

「あっ!?お礼言うの忘れた!!

オレの名前もいってなかった!!

・・・・・・まいっか、今度会ったときに言おうっと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜・・・・・

 

 

「パパ!北ちゃん!枝織新しいお友達できたんだよ!!」

 

「そうかそうか、それはよかったな〜枝織。」

 

 

父親らしき男が本当に嬉しそうに微笑む。

しかし爬虫類系の顔なので気持ち悪いことこの上ない。

 

 

「それで、そいつはどんな奴なんだ?」

 

 

北斗は微笑みつつも相手のことが気になるようだ。

 

 

「アー君はとっても優しいんだよ!」

 

ピシィッ

 

一瞬にして一家団欒の空気が凄まじいほどの緊張感を帯びる。

 

 

「・・・・枝織・・・そいつは男か?」

 

「しぃーおぉーるぃぃぃ―――!!(号泣)」

 

ガシャン ガシャン

 

男の声にテーブルのコップが割れる。

 

 

「男!?男なのか枝織!!」

 

「そ〜だよ〜!

テンカワ・アキトって言うの!!」

 

「「・・・・・・・・・・・」」

 

 

2人の背後にメラメラと燃え盛る炎が見える・・・ようだ。

 

 

「どうしたの〜?」

 

「テンカワ・アキト!我の娘に手を出すとは愚かなり!!

我が直接その腹を切り裂き臓物を握り潰してくれよう!!」

 

「待つがいい、父よ!

その役目、オレに任せてもらおう!!

同じ学校に通っていながら妹を守りきれなかったとあっては天国の母上に面目が立たん!!」

 

「そうか・・・よくぞそこまで立派に育ったものよ・・・・・」

 

 

男は感極まったのか目頭を手で押さえている。

 

 

「よかろう、お前の手で我の前にテンカワ・アキトの首を持ってくるのだ!!」

 

「ふっ、オレに心当たりがある・・・任せておくがいい!!」

 

「よくわからないけどみんな仲良し〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

中編へ続けっ!

 

 

 

 

 

 

 

 


【あとがき】

どもです。

冒頭にて暗躍する組織の影がチラッと出てきました!

が、まだしばらくは登場しないでしょう。

 

今回は北斗君のお話です!

北斗君一家は、父1人、子供2人の3人家族です。

ちなみに父親の職業は私立探偵です()!

末っ子の枝織ちゃんはそれはもう溺愛されております。

愛すべきおバカちゃんと言ったところでしょう。

家族仲はいたって良好のようです()。

 

しかし・・・自分の子供が首を取って来て感動する父親って?

まあ、あの人らしいって言えばそれまでなんですけど・・・

・・・・・カイゼル髭との融合・・・ちょっとムリがあったかな()?

号泣してましたし・・・まいっか。

 

ではまたお会いしましょう。

ではでは。

by. Chobi

 

 

 

 

部屋に戻る