機動戦艦スペース・ヴァグラント

第三話『俺らしく』で逝こう!

    

    

 

    

 

「ユリカァァー――――――!!」

「ユリカ、ほら義父さんも怒ってるよ。」

 部屋の前で待っている影の薄いアオイ=ジュン……
 なぜ『義父さん』と言ったんだお前は?

 いくら足掻いても無駄だろうに……。

「だって、ジュン君この制服ダサダサできまんないんだもん。」

「はぁー、気にしたってしょうがないよ〜。」

「ねえジュン君、わざわざ連合軍辞めて付き合ってくれて、ホントによかったの?」

「ゆっ…ユリカひっ一人じゃ心配だから。」

「さすがジュン君それでこそ『犬』だね。」

 哀れだなジュン…もはや貴様は眼中に無いぞ…。

「ユリカ!」

 ムーミンパパ…じゃなかった、ミスマル=コウイチロウが走って向かってくる……そして!

「ドロップキック!!」

 グキッ!という嫌な音がジュンの首からしたそうな…………。 

「こらユリカ!!学生気分もいい加減にしないか!!」

 と叫びながらドアを思いっきり開けた!!

 その時、倒れていたジュンの頭にドアの角が直撃したが無視しておこう。 

「キャァァァァアア―――――――ッ!!」

「ユリカ立派になって……。」

 自分の娘の裸を見て、涙を流しながら感動するヤバイ親父が一名。

 もしコレが機動戦艦ナデシコならバックが飛んでくるだけですんだが、
 これは『機動戦艦スペース・ヴァグラント』……でて来る人の性格が色々変っている。

 ガウンッ!ガウンッ!ガガガガウンッ!!

 ミスマル=ユリカは実の父に『コルトパイソン6インチ』の六連射を浴びせた。

 文字道理浴びせた!

 

  

「我娘…子供と思えば…ナイス…グフッ!」

「キャー――!旦那様!!」

  

  

「ふっふっふっふっ…この上か、ネルガルの戦艦が置いて有るのは。」

 夜の廃墟でニヤニヤしながら何やら独り言を言ってる少年。

「ふっふっふっ…ここで三箇所目か…くっくっくっあはははははははは!!」

 この少年は、気が付かなかった……。

 ブォー―――――ンッ!

 後から…。

 ブォー――――――――――――――――――ンッ!

 車が来ている事に!!

 ドンッ!    

 

  

  

 あっ、轢かれた。

    

    

 

    

「どっどっどっどっ如何しよジュン君、人が!」

 車に乗っていたのはさっきの二人であった。

「しまったぁー―――――――ッ!!僕の輝かしい経歴に傷がぁー―――!!
 はっ!今逃げれば!!」

「まって!」

「うっ…やっぱり不味いよね…。」

「落ちた荷物の回収と、顔を潰して歯を砕かないと!!」

「そっ、そうか気が動転していたよ!!」

 絶対何か間違ってるよな…。

 つうかユリカなんでそんな事知ってる…?

 それでもDNA鑑定が有るだろ?

    

 

    

「いてててて…思いっきり轢きやがったな……。」

 少年は起き上がり自分の周りを見るとニヤリと笑った。

 そう、轢かれた時に落ちたスーツケースが少年の上に乗っかって居たのだ。

 それだけでこのクソ外道が笑うわけが無い。

 そう、スーツケースの中の下着が散乱していたのだ!!

 そうか、あの車には女が乗ってるのか…。
 最近溜まってるから慰謝料代わりに…。

 と、少年は考えていた…何処まで外道なんだ?

「げっ、生きてる……ちっ
 すみません大丈夫ですか?」

「おい、舌打ちしただろ?」

「そんな事無いですよ。それより怪我は無いですか?」

「…怪我は…掠り傷ぐらいか。」

 見た感じ軍関係の服装だよな…手を出すのは不味いなこりゃぁ。

「じょっ、丈夫ですね。」

「まあな。」

 と、前歯を光らせる少年…お前は大関スケコマシか?

    

    

    

    

「ユリカー!やっぱり荷物減らそうよ〜」

 十五回もトランクに荷物を詰めるのを失敗する、ジュン…。

「だ〜めっ!ユリカが三日かけて選んだお気に入りグッズなんだから! 全部持ってくのっ!」 

 その時、アキトは散らばった荷物をスーツケースに詰める…がっ!

 コイツがただで詰めるわけが無い!

 詰めるふりをして下着をポケットにねじ込んでいるに違いない!!

「は〜、物のしまい方下手だなアンタ…ってどうした?」

 下着を盗むのに夢中だった少年は、ようやく自分を見つめている存在に気が付いた。

「あっ、すみません…………ところで何処かで会ったことありませんか?」

「遊びに使った女なんか覚えてられるか。」

 外道…このクソ外道!!

 貴様などしっとマスクに殺されてしまえ!!

「そうですか……見かけによらず女誑しですね。」

「ふっ、まあな。」

 認めるの!?

「ユリカー、そろそろ行かないと遅れるよー!」

「今行く〜それでは!」

 お辞儀をしてユリカは去っていく…がっ!

「その下着はお詫びに上げます。」

 と、最後に言った。

    

    

「……ちっ、やるねえあの女、俺の技を見切るとは。
 でも少し甘いな。ニヤリ。」

 そう言いながら彼は二つの財布でお手玉をしていた。

「あん?」

 ふと、足元に何かが落ちているのに気が付いた様だ。

「コレは写真立てだよな………はぁ?」

 彼は写真立てに驚いたのではない、写真に驚いたのだ。

「これって、俺だよな。」

 その写真に写っていたのは小さい頃の自分と、もう一人女の子が写っていた。 

「何でアイツが俺写真を……ああ、思い出した。
 あの女ユリカだったのか…そうか、だからさっき俺を見て…。
 まあ、縁が有ればまた会えるだろう。」

 この頃は良かった。
 何しろ親父や母さんが生きていたからな。

「さてと、行きますか。」

 彼は自転車に乗り何処かに向かって走り出した。

    

    

    

「一寸どう言う事よ!!フクベ提督を呼んどいて部下のあたし達は要らないって!!」

 佐世保のドック内のとある戦艦のブリッジで、不細工なオカマキノコが喚いていた。

「彼等は、各分野のエキスパートです。それに…。」

「よう、ムネタケ。相変わらず喚いてるのか?」

 キノコの頭を鷲掴みにして持ち上げる男…。

「なっ、ガヴァメント!君も乗るのか!?」

「久しぶりだなぁ〜、フクベ提督!」

 ブリッジに突然現れた男それはキャプテン=ガヴァメントであった。

 彼等から少し離れた所には、オペレーターを取り囲んで話をしている女性達が居たが、
 彼女達の一人が少しばかり不味い台詞を言ってしまった。

「あの人たちですよね。
 火星のコロニーを落とされて、残った人たちを見捨てて逃げてきたのって。」と。

「確かに、そうだな……。
 俺は部下を盾にしてまで生き残っり、その上一般市民まで見捨てて逃げ帰った。
 そんなヤツと一緒の戦艦に居るのは不満かも知れねえが……頼むからフクベ提督まで一緒に
 しないでくれねえか?
 この人はな、自分の乗っていた戦艦を破壊してまで火星を守ったんだからよ。
 あのまま、戦い続けるのは無理だったし、この人は宇宙に居たんだ。
 地上の一般は回収できなかったよ。」

 ガヴァメントの言葉に少々まずい事を行ってしまったと、後悔してたいメグミ。

「ガヴァメント!君はあの対戦で!!」

「……さてと、自分のエステの確認に行ってくるか〜。」

 キノコをつれて退場していった。

 その反対側のから…。

「はーい、私が艦長のミスマル=ユリカで〜すっ、ぶいっ!」

 と、能天気な声を上げたが重い空気のブリッジには意味が無かった。

    

 

「メグミくんだったか?」

「えっ、あっはい。」

 沈黙していたフクベが硬直していたメグミに声をかけた。

「ガヴァメントはああ言っているが…。
 アイツは一般人を、コロニーに落ちる寸前のチューリップを破壊してまで守り抜いた。
 だが、その後のグラビィブラストでコロニーは壊滅……部下も全滅したそうだ。
 その後、最後の一人に成るまで戦ってな。
 最後はボロボロの空戦フレームで宇宙を漂って居たのを偶然発見されたんだ。」

「はぁ…。」

「この老いぼれからの頼みだ、アイツを悪く言わんでくれ! たのむ!」

「えっ、あっうっ!」

 深々と頭を下げるフクベに、メグミはとまどった。

 その頃、この戦艦に潜り込んだ者が居た。

    

「随分とまぁ、警備が甘い事で…。」

 あの、少年で有った。
 彼は何のためか機関室に潜り込んでいたのだ。

「エネルギーバイパスは〜と。」

「何をお探しですかな?」

「いや〜、爆弾を取り付けたいからエネルギーバイパスを探してるんだけどね〜。」

「ほー、何処の企業の回し者ですか?」

「ネルガルに恨みが有るからね〜、個人で………アンタ誰?」

 少年の真後ろに立っていたのは、紅いベストのプロスペクター。

「あっ、申し送れました、私ネルガルの会計を務めていますプロスペクターと申しまして。」

「テメェがプロスペクターか!!」

 懐からナイフを取り出しながら、少年は距離をとる為に離れる。

「はて、何処かでお会いしましたかな?」

「テンカワ=アキト…そう言えば分かるだろ。」

「テンカワ夫妻の…。」

 少年はナイフを下に捨てる。

 プロスの注意が一瞬ナイフにそれた瞬間、アキトは彼の顔に目掛けて落としたナイフを蹴り付ける!

 しかし、プロスは余裕でそれを交わすが、アキトは既に居なく。

 死角から来る強烈な殺気と気配を頼りにその方向に拳を振る。

 が。

「なっ!」

 手に触れたのはアキトの頬ではなくピンクのパンティー。

「貰った!」

 この隙を狙って、全く逆の方向から新しく出したナイフで喉を狙うが。

 バキッ!

「危ない所でしたねぇ…まさか、気配と実体を切り離すドッペルゲンガーを使えるとは。
 末恐ろしい。」

 右肩から血を流すプロスだけが残っていた。

「ミスター。」

「ゴート君ですか、どうかしましたか?」

「いや、ミスター、何故そのピンクの下着をポケットにねじ込んでるんです?」

「いえいえ、お気になさらず……。それより彼をドックの独房に放り込んどいてください。」

「始末するのではないのか?」

「彼は惜しい人材です、内のSSにできない時は……。」

「わかった、取り合えず放り込んどく。」

「お願いします……。」

 そして、アキトの首を掴んで引きずっていくゴート…どうでもいいが首絞まってるぞ。

    

    

 格納庫に向かったキャプテン=ガヴァメント。

 その右手にはすでにキノコは無く、
 代わりにマッシュルームヘアだけが引きずらてれいた!!
 それもあの形のまま!!

「ゴミは、ゴミ箱に。」

 ガヴァメントはそのまま躊躇無くソレをゴミ箱に放り込んだ。

 が。

 なんと、マッシュルームは、そのゴミ箱かに這い出しフヨフヨと飛んで 行ってしまったではないか!

 恐るべしムネタ毛!!

 凄いぞムネタ毛!!

「さ〜て、俺のゲキガンガーは〜。おっ、コレだな。」

 格納庫に到着した彼の目の前にあるエステバリス。

 陸戦をベースに左肩に火炎放射機、右肩にニ連装苛粒子砲、
 両手にスパイクナックル、右腕に三連ミサイルポット、そして極めつけが
 両足に収納されている『ウリバタケ印の秘密兵器1号2号』である。

「見た目は完璧だな……問題は。」

    

    

「いてててて…思いっきりやりやがって…。」

 テンカワ=アキトは目を覚ました。

「何処だよここは………。」

 だが、めを覚ましたところが悪かった……。

「おお、目を覚ましたか少年!!」

「ギャァァァアアアアアアア!!目が!!目が腐るぅぅぅうううう!!」

 そう…密室空間に褌姿のゴートがはぁはぁしながら待ち構えていたのだ!!

「寝込みを襲うのはポリシーに反するのでな、起きるまで待たしてもらった。」

「くっ来るな!!」

「もう我慢が効かんからな、いっただきマー――――――――ス!!」

 拘束されて動けないアキトにゴートがルパンダイブを結構!!

 ああ…アキトの尻の処女は無残にもゴートに……。

「奪われるかボケ――――――――!!」

 危機一髪!!

 人外の力で拘束を引きちぎりゴートを壁に叩きつけ走り去った!!

 この時のゴートが『あの時、あの少年は青く輝いていた…まさか神か!?』っと、証言している。

    

    

「あ〜ひでえめに合った……。」

 逃げ切ったアキト。

 だが、この外道に幸せを与えるほど神は優しくない…。

『ふはははははははははははは!!』

「ツッ、何だッ!?」

 反射的にコンテナの後に潜り込むアキト!

 どうでも良いが壁との間が十センチしかないのは目の錯覚か、オイ?

「何だ何だ何のつもりだ!!」

 メガホンでエステバリスに吠える男…いや漢!
 ウリバタケ=セイヤ30歳(四捨五入)!!

『いや〜、IFSのリンクの制度と機体の状態を知りたかったからな。』

「だったら先にそういえ!!」

『さてと、最後のテストだ!』

 拳を握り肘を引き絞るエステバリス…心なしか辺りが暗くなり、
エステのバックに炎が上がる。

『このガヴァメント様のウルトラグレートデ
ンジャラスデリシャスゴールデンスペシャ
ル メガトンハイパーニュートリノオキシ
デンデラックスグラビデスクラップボンバ
ーゲキガン ギガトンマーベラスナビゲー
トイメージボンジュールピエロボーナスキ
タチョウセンイッテヨシ タリバンアフガン
ヒサゴンチュウカキャノンマグナムダムダ
ムブラックライノマテバナパーム サンダ
ーファイヤーサイキックダンピエールメラ
マハラギアギラオウミガンリクガンゲッタ
ー スルトハリケーンロッケトブーストオーバードライブヒャドブリザドメテオスサイ
クロプス ミキサーデンドロビームアトミッ
クフルバーニアターンエーダブルゼータ
ファーストブレスト  アルテマカイザーハリ
ケーントルネード必殺技!!』

「長いって……。」

『人呼んで―――――――――――ッ!!』

『マルチガヴァメントスクリューボンバー!!』

 強烈なアッパーを放つエステ。
 ビッシっと、普通のエステならこけるであろうポーズを持ち前の技術を無駄使いして
 バランスをとっている。

 だが、この技はアッパーと同時に三連ミサイルを発射する技である…よって。

「「「「「「「あ゛っ」」」」」」」(なんちゃって整備員一同)

    

 ヒュ〜〜〜〜〜ン

    

 ボン!

    

 ガラガラと崩れ落ちる天井……通路からそれを見て怒りの色で染まる某人物。

『ハッハッハッハッハ!!見たかこのパワー!!この破壊力!!この美しさ!!
 木星蜥蜴め!!来るなら来い!!つうかこっちから行ってやる!!』

「ヤマダさん……。」

『キャプテン=ガヴァメント!!……ゲッ!プロス!!』

 

 青筋浮かべてニコニコしながら近づいていくプロスペクター……怖すぎです。

「貴方は自分が何をしたのかわかっているんですか?」

『いやその何だぁ……。』

 うろたえるエステバリス…面白い光景である。

「言い訳は聞きませんよ…反省しなさい!!」

 プロスの全身が黄金に輝く!!

『何だこの光は!?』

 うろたえるガヴァメントに近づくプロスそして…。

「ハァッ!!」

 エステをパンチ一発でコンテナまですっ飛ばす!!

 それも、ウリバタケや整備班が巻き込まれるのは当たり前!!
 コンテナの後のアキトだって巻き込まれる!!

    

「明鏡止水を会得した者のみが使えるハイパーモードです。
 熱血バカの貴方では絶対に会得できませんよ、はい。
 …おや?」

 瓦礫の中から起き上がるエステバリス…所々破損してオイルが流れ出し血の様に見える。

『俺は火星に行くまでは負けられねぇ!!ウォォォォォオオオオオ!!』

 ガヴァメントのエステが炎の様に赤く染まる……怒りの、イヤ!
 熱血のスーパーモードだぁぁあ!!

「止めです…ハァァートネェェエエスフィンガァァアア!!」

『まけてたまるかぁぁぁァあああ!!シャァァアアイニングフィンガァァアア!!』

 激しく火花を散らす二人の拳!

 二人の闘気が共鳴、増大し恐ろしいほどのエネルギーの渦が巻き起こる!!

「班長アレは一体!?」

「さぁな…分かるのは見守るしかない事だけだな。」

 何時の間にか復活した整備班一同は通路まで非難、観戦をしている。

「ヒィィィィイイイイトォォォォオオオオオオ!!」

『エェェェェェェェエエエエエンンンドォォォォォオオオ!!』

 闘気が爆発し戦いに終止符が打たれた……そして立っていたのは。

「まだまだですね……。」

 プロスぺクターであった……彼は罅の入った眼鏡を捨て新しい眼鏡をかけなおす。

「貴方の敗因はそのロボットに乗っていた事です。
 生身ならもう少し戦えたでしょうが………ロボットの拳には魂を乗せられませんよ。」

 倒れ付しているエステをウリバタケに任せ、彼はブリジに去っていった。

    

    

「せーの!」

 ウリバタケの掛け声に合わせてエステのハッチがこじ開けられる。

 プッシュ〜〜〜〜!

「あちゃ〜やっぱり気絶してるか………あんっ?ここここここっコイツは!!

 ガヴァメントの顔を見て度肝を抜かすウリバタケ…その時、整備班も度肝を抜かしていた。

 ハッチが開いた再のエアー放出の再にウリバタケの髪が飛んだのだ!

 ウリバタケ…ズラだったんか!?

「何でコイツが……。」

「しっししししし、知ってるんですか班長?」

 整備班一同は笑いを堪えながら必死に話を合わせる。

 まさに拷問!

 笑を堪えさせると言う最悪の拷問である!!

「ああ…エステバリスにこの装備だからな、まさかとは思ったが……。  ホントに『火星帰りの裏切り者』とはな……。」

「!!」

 整備班一同が驚く!!

 けして二つ名に驚いたのではない!!

 ウリバタケの脳天に油性マジックで『鳥山明のサイン』が入っていたのだ!! 

   

「はっ班長…えっ火星帰りっプッ…あの?クスクスクス。」

 もう、大変外の整備班はもう大変!
 全員床で這いつくばって笑い転げている!

「ああ、第一次火星対戦まで活躍した英雄だ。…誰かコイツを医務室に運んでやれ……
 何に笑ってるんだ?」

「ぐはははははは!!河童!!ドラゴン河童!!」

「ヒー――こっち向かないでくれ!!わっ笑が、ぎゃはははははは!!」

「班長の頭に!頭にくはははは…もう駄目だ!ぷはははははははは!!」

 はっ、気付き自分の頭を確認して青ざめるウリバタケ。

 次の瞬間『整備班長による部下タコ殴り大会』が有ったとか無かったとか。

    

    

「いててて…危なく潰れるとこだった…。」

 拉げたコンテナを押し広げて出だす男、アキトだ。

 心成しか少しばかり薄くなったような?

「げっ、何やってんだアイツラ?」

 バイオレンスに生きる整備班達…一方的に河童がボコしてるような気もするが。

 そんな中、虫の息な整備班達に止めを刺しながら歩くアキト。

「コイツは…エステバリスか?」

 アキトの目の前に立つピンクの巨人。

 これでもかってぐらいピンクの趣味の悪いロボットである。

 でも何でピンクに塗ったんだウリバタケ?

 趣味か?

「……コイツに乗ってプロスぺクターを…ニヤリ。」

 と。

 

 エステバリスによじ登り勝手に運転するアキト!

 だが彼は知らない…プロスが生身でエステより強い事を!

 ああ、アキトはボコボコにされる運命なり。

    

    

 

「さーて、首を洗って『チュドォォォオオオン!!』なんだぁぁ?!」

 ハッチを閉めて起き上がろうとした瞬間、爆音と振動が響き渡る。

『現在、機動兵器と地上軍が交戦中。ブリッジ要因は直ちに戦闘配置に付け。
 繰り返す、ブリッジ要因は直ちに戦闘配置に付け。』

「……ちっ、ヤツラか!」

 立ち上がるピンクの巨人。

「ヤツラが来た!!」

 憎悪に燃えるアキトの心……死んだ火星の仲間の叫びが、バッタに囲まれた恐怖が、
 即席生体ダッチ○○○を壊された恨みが、再び彼の心を燃え上がる。

 が。

「まっ、どうでも良いがな。」

 燃え上がらしただけだった。

    

    

 その頃地上では地上軍の固定式対空砲や戦車、戦闘機による防衛がなされるが
 効果は薄く………殲滅されるまで時間の問題である。

    

    

「敵の攻撃は我々の頭上に集中している。」

 シリアスに報告するゴート…しかし、婦女子も居るのに褌姿はどうかと思うぞ?

 ミナトやルリは兎も角、ユリカとメグミは目を瞑ってるじゃねえか!

 プロスペクターよコイツを排除しろ!!

「敵の目的はナデシコか?」

 ふよふよ〜ふよふよ〜

 何かを言いたげに浮遊するムネタ毛。

 が!!

 誰一人見ては居ない!!

 否!!

 目が見る事を拒否している!!

「艦長、何か作戦は有るかね?」

「海中ゲートを抜けて海中へ、その後浮上して敵を背後より殲滅します!!」

「無理ですハイ。」

    

 思いっきり横槍を入れるプロスペクター。

「残念な事に囮が必要な作戦ですが……囮が居ません、ハイ。」

 ズンッ!

「ブリッジ上部に衝撃……これはエステバリス?モニター出します。」

 戦況を流す中央モニターが切り替わり、一人の少年の顔が現れる。

『よう、プロスぺクター……懺悔の時間が来たよ〜〜〜。』

「てててててててててッテンカワ=アキト!?」

 ゴートに顔を向けるプロス、だがあからさまに顔を背けるゴート。

 はっきり言おう。

 ゴートをリストラしろ。

『プロスぺクター…良くも俺の両親を無断で殺してくれたな〜。』

「待ってください、その話はココではなく別の場所で!」

 今後の付き合いの有る、メインクルーに悪い印象を与えないように焦りまくるプロス。

『ざけんな!!人の物を勝手に壊したんだ!!金ぐらい払えゴルァ!!』

 はぁッ?

 

 何か、お前は親の命を金で売るのか?

 金で解決させるのか?

「そっ、そういう事なら……ヒーフーミーでこれぐらい?」

 咄嗟に宇宙ソロバンで金額をはじき出す!!

 が!

『………二桁たりねぇな…この、鉄板剥がそうかな〜。』

 金額が足りないと脅しをかける!!

「せめてこれぐらいで!!」

『安い!!もっと上げろ!!』

    

    

 

「私…両親の命をお金で売る人はじめて見ました…。」

「私もメグミちゃん……。」

 唖然とするミナトとメグミ。

「テンカワ…テンカワ……………アキト!」

 何かを思い出した天災少女?ユリカちゃん二十歳。

「アキト!アキトだ!!」

『あんっ………何やってんだお前?』

「うわ〜懐かしい〜そっか、アキトか!」

 思いっきり人の話を聴かないユリカちゃん二十歳。

「何でさっき知らん振りしてたの?」

『だから、何やってんだお前?』

「そっか、相変わらず照れ屋さんだね♪」

 全く話を聞く気の無いユリカちゃん二十歳!!

「彼女はこのナデシコの艦長です………これぐらいで勘弁してくれませんか?」

 見かねたプロスが変りに答える。

 ついでに、金額も提示してたりする…。

『ちっまぁ良いだろ………それより、お前は正気か?』

「そうだぞ、ユリカはナデシコの艦長さんなんだぞ!えっへん!!」

 回りの話を全く聞いていないユリカちゃん二十歳が立派なムネを張る!

 某通信士から強烈な殺意を送られても気が付かない!!

 無敵かこの女?

「いえ、性格は二の次で集めた人材ですから………。」

『それでも……アレなんだぞ?』

    

「ちょっと、ユリカ!アレ誰なの!?」

 先ほど轢き逃げかまそうとした某薄い人がユリカにアキトの事を聞く!!

 それはもう……すげー哀れな感じだな…フッ。

 そしてユリカは…。

「うん。」

 何故か頷いてから…。

「あの人はユリカの御主人様!

 思いっきり爆弾投下……。

 つうか待て。

 アキトとユリカが知り合ったのは幼少の頃だよな?

 てめぇ、そんな頃から何やってやがった!!

 答えろクソ外道!!

『……………さ〜て、プロぺクター。悪いんだけど就職先紹介してくれないか?』

「え〜と、ナデシコのパイロットか保安部などどうですか?」

『両方やるから給料倍遣せ…いいな?』

「はいはい…では上のを片付けたら契約書をお渡ししますので…。囮お願いします。」

 思いっきり、話を流す二人!

    

 

「おいテメー!!この美人艦長とどう言う関係だ!!」

「はははは…ユリカが…僕のユリカがぁ?…ははははははは。」

「艦長ってそういう趣味だったんですか?」

「案外…あの子に染められたのかもよ?」

「バカばっか。」

 ようやく再起動に成功した一同。

 一人ばかり完全に壊れて再起動しても無駄なのが居るが。

『……じゃ、俺はそういう事で〜〜。プロスペクター後頼む。』

「頼むってどうすれば!!?」

 思いっきりうろたえるプロス………明鏡止水はどうした?

『はぁ〜?自分で考えろ…あっ、俺の部屋は要らないから。』

「チョー―――――――!!」

 ズシャズシャ音を立ててエレベーターに向かっていってしまった。

    

    

    

「さて、エレベーターは何処だ〜〜ブッ!!」

 アキトは吹いた…ついでに絶句している!

 本来エレベーターが有ったであろう位置には赤いベルトがグルグルと回り、
 階段が出たり引っ込んだりする物…。

「何故に機動兵器サイズのエスカレーター?」

 ……誰だよ作ったの?

    

    

 エスカレーターでゆっくりと上がるエステ。

 トンネルを抜けると、そこはジョロやバッタの鮨詰めだった。

『参戦は十分間…とにかく敵をひき付けろ……後で私の部屋で…。』

「死んで来い!褌魔人!!」

 ゴート…褌魔人に昇格。

    

 

「さーて…どうしたもんかね?」

 ココまで敵、敵、敵、敵、敵、敵!!

 一面敵だと流石の外道王アキトでも困るらしい。

 ナレーター的にはぜひとも死んでもらいたい。

    

 そうこうしている内に、アキトのエステがジョロの一体をエスカレーターの 
 階段部分に挟む!つうか押し込んで酷い目に合わせる!!

    

 

 良い子も悪い子も真似しちゃダメだよ。外道はやるべし。

    

「ふふふふ……次は誰だ!

 アキトの外道な行動に流石に一歩さがるジョロ達!

 流石にあんな情け無い死に方はしたくない様だ!

「こねぇならコッチカラ行くぞ!!」

 外部スピーカーで叫びながら突撃する!!

 ジョロ達はアキトを避けて丁度いい道を作ってくれる!!

「あぁーはははは、あーばよ!!」

 アキトが走り去って好い加減してからハッと気が付いたジョロ達が追う!

 これでもか!!ってぐらい追う!!

「ふふふふ…死ね。」

 アキトがコックピットハッチを少し開けて有る物を捨てる!!

 その有る物を踏んだジョロが扱ける!

 鮨詰め状態だから一体扱けると……そりゃあ凄い事に。

 一つだけ言おう…アキトが捨てたのはバナナの皮である。

 何故にバナナの皮?

 何処から出したんですか?

 何でそれで扱けるんですか?

    

    

「おっしゃッ次!!」

 バーニアを噴射してジャンプする!

 丁度ジャンプした瞬間を狙ってバッタがミサイルを放とうとするが!

 後に回り込んだアキトが無理矢理背中のハッチを閉じる。

 スルト当然。

 ボンッ!

 内部で爆発する。

「次はどいつだ!!」

 やはり逃げ出すバッタ!!

    

 

 そして、着水すると同時に競り上がるナデシコ。

『お待たせアキト!』

「御主人様だバカ……それと十分経ってないぞ?」

『貴方の為に急いできたの!』

 

 さすが!ユリカちゃん二十歳!!

    

 

    

 その時ブリッジではルリの「敵残存兵器殆ど……入ってません。」という、
 台詞で他のクルーが困り果てていた。

「えー、それじゃどうしよう〜?」

『俺に任せな!』

 アキトに何やら策があるようだ!

    

『全体!!列を揃えて前習え!!』

 外部スピーカーマックスでろくでもないことを叫ぶ…。

「敵残存兵器全て有効射程内に整列しました……木星蜥蜴もバカ?」

「てぇぇぇえええええええええ!!」

 ユリカの掛け声と共にグラビィブラスが放たれ、何とか初戦を勝ち取ったナデシコ…。

 だが、コレでコレからの戦いをやっていけるのか?

    

    

    

    

 あとがけ?

 どうも、『グレート魔王軍特別親衛部隊隊長直属隠密行動部隊最高司令官補佐、電撃!! 

 and元祖二十四時間営業牛肉甘辛煮丼屋副店長(以下略)』事『中華鍋』です。

 えーと…朝起きたら出来上がっていた不思議な作品です……せかっくだから投稿しました。

 追記

 ウリバタケを長髪にすると、某院内感染とか言うゲームのOVAの主役に似てませんか?

 追記2

 この作品ではブースターがメイン推進力、スラスターが機体制御や方向転換用です。

 

 

 

 

代理人の感想

・・・・・毛が本体だってのははじめて見たなあ(笑)。

 

後、ブースターってのは普通追加装備でして。(「ブースト=増幅するもの」って意味ですからね)

メイン推進力だったら「メインスラスター」とでも言うのが適当かと。