ナデシコ外伝 第4話

〜流星の落ちる日 後編〜

 

空を覆いつくす雲霞の群れ

進路に在るものを容赦なく食ベ尽くす。

虫の群れ

人は、なす術も無い。

人は、抗い続けます。

人は、戦い続けます。

しかし、人の全てが強く戦える訳では在りません。

人はむしろ弱い生き物です。

そんな、人間につらい現実は耐え切れるものなのでしょうか?

正義はこの世の何処にもないのだから

 

―月艦隊 旗艦エスカペイド―

 

「こちらの残存勢力は!」

ナミカタ提督が怒鳴りつけるように状況の確認を求める。

「駆逐艦74、巡洋艦52、戦艦32、艦隊損耗率21パーセント」

「チュ−リップ、2934個、態勢に変化なし。」

「敵艦隊、約4万5千隻、勢力を強めつつ接近中!」

「敵機動兵器 約95万機、壁を越え接近中!!」

絶望的な報告が続く。

「月脱出シャトルが脱出する40分をなんとしても凌ぎきれ!!」

 

・―地球 日本−

 

都市から少し離れた住宅街。

純日本風の邸宅、お金持ちの家であることが伺える。

老人は、お茶を飲みながらテレビを見ていた。

「我々、連合宇宙軍はこのような強大な敵にも怯むことなく市民の皆様をお守りします。

市民の皆様は、落ち着いてシェルターへの避難をしてください。

正義は必ず勝つのですから。」

お茶の間のテレビから流れる政府広報は月の戦闘を写している。

さすがに敗戦を隠すことはできないと感じた政府は、逸早く情報を公開することで市民からの非難から逃れようと考えたようだ。

老人からぽつりと言葉がこぼれる。

「正義など、どこにも無い。

ただ、人の欲望が在るばかりだ。

そう、正義は無かった。」

老人の口には、苦い笑みが浮かんでいた。

老人は名をフクベ・ジンという。

 

・―連合極東軍 サセボ基地―

 

格納庫前で、パイロットスーツを着た男が整備員たちと揉めていた。

「なんで、助けに行かないんだ!

あの宇宙には、正義の助けを必要とする仲間が戦っているんだぞ。」

「だから、ヤマダさん。

上からの命令で、今はどの機体も動かせないんです!」

「ちが〜う! 俺の真の名前はダイコウジ・ガイだ!」

「だから、駄目なんですって!」

整備員と争っていると警備員がやってきた。

「ヤマダ! また、おまえか!!」

「違う!俺様の名は・・・」

「はいはい、いいからちょっと詰め所まで来い。」

両脇を警備員に挟まれてヤマダくん連行される。

「俺は正義を・・・。」

「よくわかったから隊長の説教、聞きに行こう。」

 

・―機動母艦ペルシアーナ―

 

艦橋に艦長ルセア・ナイセリアの鋭い声が響く。

「デルフィニューム隊は何機、生き残っているの!」

「大破329機、中破246機、小破312機 無傷なのは113機です。」

「本艦も損傷率25パーセントを越えました!」

苦い沈黙が艦橋を包む。

撤退か!徹底抗戦か!

後ろには、月から脱出するシャトルが数百機、残されている。

「小破の物は月総合ステーションの防衛、中破の物はシャトルの随伴防御につきなさい。

無傷の物はこのまま本艦と共に戦線を支えます。

気合を入れなさい。」

地獄は、まだ終わる様子を見せない。

 

 ナカムラ・テルアキは小破したデルフィニュームを駆りながら月総合ステーションに通信を入れる。

「こちら、連合軍ペルシアーナ 第124デルフィニューム隊所属 ナカムラ・テルアキ応答願います。」

 通信ウインドが開き、40歳くらいで恰幅の良いオバサンのやや苛立ったこえがコクピットに響く。

「こちら月総合ステーション中央管制室長マリア・ノースライト。

何の用だい?こっちは忙しいんだ、手短に頼むよ!」

「そちらの護衛に就きます。管制制御をお願いしたいのですが?」

「だめだね!」

力強い拒絶の返答。

なぜです!

管制制御の補助無しでは、機動戦なんてできないですよ!」

「坊や、よくお聞き。今、このステーションでは2千6百隻のシャトル及び貨物船の制御を行っている。

 あんたらの制御までしている余裕はないし、脱出船の発射を遅らせてまでするのは本末転倒だろう?

この通信も苦しいぐらいなんだ。

管制制御は近くの基地に頼みな!」

「そんな! そんなんじゃ数秒の誤差がでる!」

一瞬が勝負を分ける機動戦で数秒の誤差は致命的な隙を生みかねない。

「お互い人様の命にかかわる仕事をしているんだよ!

がたがた言わずに自分の仕事をきっちりこなす!

それが、プロの仕事だよ!」

全ての月脱出船の発進完了まで、あと30分・・・

 

―地球連合大学 食堂 ―

 

食堂は混み合っている。

 だが、食事のために混み合っているわけではなく、食堂に設置されているテレビを見るために集まっているのだ。

なぜか?

 テレビが見ることができて、飲み食いでき騒げる場所が休憩室か食堂しかないからという単純な理由からである。

テレビには月の戦いが写し出されていた。

「ねえ? ユリカ、君だったら月でどう戦う?」

そんな質問をしたのは、ミスマル・ユリカの幼馴染のアオイ・ジュン。

わりとハンサムなのだが気の弱そうな感じがする。

小学校の頃とかにいじめられそうなタイプと言えば判りやすい。

「う〜ん? 戦力差が圧倒的すぎるからね、正面からじゃとても勝てそうに無いよ。」

ユリカは、母親ゆずりだと思われる綺麗な笑顔で答える。

「ユリカでもそうか、僕も戦いながら逃げるぐらいしか思いつけない。」

顎に手をあてて、真剣に考えるジュンにユリカは朗らかな笑顔で答える。

「でもね、でもね! ジュン君なにも手が無いわけじゃないんだよ。」

「本当かいユリカ? 僕には何も思いつけないよ。」

驚いた口調でその策を聞くジュンにユリカは無邪気そのものの笑みで答える。

「うん! 今、月の提督さんが使っている作戦は時間稼ぎをメインにしているだけだけど、この作戦に一つのアイテムを加えると勝てないまでも大打撃をあたえることができるの。」

「すごい! どんな道具が必要になるんだい?」

 

「宇宙ステーション」

 

「はっ?」

ジュンは、唖然とした表情になる。

「つまりね、つまりね! 正面の全艦隊を囮にして、ジャミングを思いっきりかけた宇宙ステーションを後方からチューリップにぶつけるの。」

「そ・・・それは大胆と言うか、何と言うか・・・。」

「そしてね、そしてね、核爆弾をジャミング代わりに使用するの。

 そしてね、そしてね!宇宙ステーションの各部にも核爆弾を仕込んでおけば巨大な機雷にもなるから強力だよ〜。」

その戦略に何も言えなくなる。

もし、この艦隊をユリカが率いていれば勝てたのかもしれないと思いながら。

 

―ネルガル 会議室―

 

広い会議室では、高級料亭のお弁当をつつきながら会議が行われていた。

「いやはや、連合宇宙軍は何の役にもたちませんな。」

「いやまったく。いくら数が違うといっても一矢も報えないとは情けない。」

「時間稼ぎ程度には役に立ってもらいたい物ですな。」

 いやらしい笑みを浮かべた重役たちが、勝手なことを言いながら弁当を食い散らかしている。

「それにしても、こんな時間に呼び出されるとは、迷惑ですな。

アカツキ会長?」

明らかに若造と馬鹿にしきった目でアカツキを見る。

「はっはっは、手厳しいね!

 しかし、今がビジネスチャンスであると言う事はモチロン理解していらっしゃるでしょう?」

「当然だ! これだけの敵が攻めて来たのだから新造戦艦、新型の機動兵器の発注がかかるのは当然の流れだ。」

アカツキは、商売人の顔でニヤリと笑う。

「そうなんだよね〜。

 そして、数を必要とする以上、開発会社同士のトライアルなんかは行なわれずに実戦での活躍が期待されるということさ。」

重役たちは不満げな顔で、アカツキに抗議する。

「そのような当たり前の演説を聞かせるために私たちを呼んだのかね?」

アカツキは、芝居のかかった仕種をしながらモニターをオンにする。

 そこに写し出されるのは、軍の機動兵器6機と試作エステバリスの戦闘(二話参照)だった。

「これは! 軍の機動兵器をものともしていない。」

十分な間を置く、重役たちにこの事実が浸透した頃合を見て喋り始める。

「ご覧のとおりエステバリスは、現用兵器を圧倒し、すでに軍からの発注がかかっているんだよ。

まっ、それだけ彼らが最新兵器を欲しがっている証拠なんだけどね。

 だけどねぇ〜、このエステバリスは試作・・・こんな中途半端なものを商品として売り出すのは商売人の倫理に反すると思うんだ。」

いらだった声で重役たちが問い詰める。

「いったい何が言いたいのかね!」

「あせらない、あせらない。

さて、悪巧みの相談を始めましょうよ。」

エリナ・キンジョウ・ウォンが重役たちに書類を配る。

「・・・スキャパレリ・プロジェクト・・・?」

 

―連合宇宙軍 月指令本部―

 

一人の男が指令室のモニターを見ている。

その広い部屋には誰一人いない。

月司令部の重要資料を持って脱出していった。

男は軍人の家系の長男として生まれ、軍人になること以外の道を閉ざされた。

 いつも聞かされるのは連合宇宙軍の栄光の歴史、百年前の独立テロを鎮圧した話、二百年前の連合宇宙軍設立の話。

いつでも、我が家の軍人は英雄で『そんな英雄になりなさい』と聞かされて育った男。

名前を、月総司令エバンス・グローリーという。

「そんな・・・馬鹿な・・・連合は・・・宇宙軍は・・・最強のはずだ。」

虫型の機動兵器に蹂躙される月の各基地が映し出されている。

自分の全人生を否定されるような光景・・・愚直なまでに周りに忠実すぎたため。

人は環境によって育てられ、作られる。

どんな宝石も磨かなければ、濁った石でしかない。

どんな、屑石も腕の良い職人に恵まれれば、美しいアクセサリーになる。

男の周りには、磨く者も人生を彩る良い職人もいなかった。

「そう!・・・連合宇宙軍は最強でなくてはならない!!」

指令席の前のコントロールパネルに鍵をさす。

ゆっくりと鍵がコントロールパネルに沈んでいく。

男は、破滅の鍵を使い、終末の門を開ける。

[オペレーション “ムーン・クライシス” 発動]

中央モニターには、その文字だけが大きく写されていた。

 

―旗艦エスカペイド 艦橋―

 

すでに相当な数の敵に降下されていたが、目の前の敵は減った様子は無い。

後ろから狙われて、挟み撃ちにされないだけましなのかもしれない。

「ナミカタ提督、このままでは本艦も持ちそうにありません。」

副官のヤマギワの報告にそろそろ頃合かと思う。

船の損傷率も40パーセントを越え、動いているのが不思議なくらいガタガタだ。

「よし!総員、退艦用意・・・・」

その時、全ての基地と艦のモニターがブラックアウトして白い文字を浮かびあがらせる。

「オペレーション “ムーン・クライシス”発動 友軍艦はただちに月面から退避してください。」

「オペレーション “ムーン・クライシス”・・・だと!」

聞いたことは、ある・・・。

しかし、あれは決して発動してはいけない核より忌むべき作戦。

 全月基地のジェネレ−タの暴走と爆発で月面に降りてきた敵と月軌道上の敵機を吹き飛ばす作戦。

「総員、月より離れろ。月の岩盤が散弾銃のように襲ってくるぞ!!」

時、すでに遅く月面基地は自爆を始めていた。

「連合宇宙軍 ばんざーい」

通信から聞こえてくる声

「あの!馬鹿司令!」

次に襲ってきた凄まじい揺れに意識を失っていく。

 

―月総合ステーション―

 

「あいたたたた〜。」

ナカムラは、何とか意識を取り戻すと機体のチェックをし始めた。

「推進系はだめか〜。 誘爆しなかっただけありがたいか!

それにしても、どうなってんだろ。月が弾けたと思ったらいきなり・・・」

不審に思い月面をモニターに写す。

「何なんだよ!!・・・なんだよ!・・これは!!」

月面のクレーターが、初めに見た時より大きく抉れている。

そこにあったはずの基地ごと・・・。

 

「坊や・・・騒ぐんじゃ・・ないよ!」

「マリアさん!大丈夫なんですか?」

 月総合ステーションも岩塊をうけてボロボロだが、通信が入ってきたことに希望を感じた。

「いいや、こっちは駄目さね・・・天井が落ちてきて、ろくに動きゃしない。」

「救助に向かいます!待っていてください!」

「馬鹿を言うもんじゃないよ。

壊れた機動兵器でどうやって?

気持ちは嬉しい・・敵の包囲は荷物抱えて突破できるほど甘くないよ。」

悔しいが、そのとおりだった。

「今から、このステーションの軌道調節用のブースターを切り離す。

あんたらは、それに・・・」

「なぜ! こんなことに?

逃げられた! ステーションの皆も! 俺たちも!」

マリアは、駄々をこねる子をあやすように語り掛ける。

「ねえ・・・坊やは・・・さっ!

人は、どんな時に死ぬと思う?

理不尽な事故? 戦争? それとも寿命?

どれも違う。

その人の死が誰にも影響を及ぼさなくなった時に初めて人は死ねるのさ。

死んだ私は何もできないけれど、坊やの心の泉に石を投げ続けることはできるのさ!

坊やが、私を忘れない限りね!」

やがて、ロケットが生き残ったデルフィニューム達に向かって飛んでくる。

かつて、船乗りたちを導いたセント・エルモの火を灯し。

「ステーションの利用ありがとう。

これからの坊や達の人生が、この旅と同じく祝福された物であることを祈って!

良い旅を!」

それが、月を百年以上支え続けたステーションの最後の通信でした。

 

―機動母艦ペルシアーナ―

 

「各部損傷のチェックをしなさい!」

これが、意識を取り戻したルセア艦長が最初にした命令でした。

「推進系損傷30パーセント通常航行に支障なし!」

「対空兵器沈黙、主砲三番を残し使用不能!」

「機関出力!40パーセントが限界です。」

「ジャミング、電子兵装!生きています。」

周りに展開されている敵機を見て絶望感を感じる。

「この状況では、周りの生き残りを集めても突破は、不可能ですな。」

副官のオギヤマは、こんな時でも冷静に勤めている内心はどうあれ。

周囲を包囲しているのは、10万ほどの機動兵器。

たしかに周りに展開されている百たらずの艦艇でどうにかできるとは思えない。

「万事休すか・・・。」

そう観念した時、メインモニターに光が灯る。

「そんなことは無いぞ!」

「き・・旗艦エスカペイドより入電!」

「どうゆうことですか?」

 この場から逃げられるのなら悪魔と契約してもいいと思っていた、私にナミカタ提督の言葉は魅力的に聞こえた。

「旗艦には、反物質爆弾がわずかではあるが積み込んである。

それを使う!」

「は?」

私は耳を疑った。

反物質は扱いが難しく、爆発しやすい。

 そんな、いつ爆発するか解らない代物は兵器として危なすぎるので使用されなくなったのだ。

「どうやって、そんなものを?」

「この船の格納庫いっぱいにコロニーの外壁補修剤を入れそのジェル状の水槽に沈めておいた。

 

 本日、これより・・機動母艦ペルシアーナを旗艦とし、全権をルセア・ナイセリアに譲るものとする。

 

後の事は、まかせたよ!

ルセア君!」

ナミカタ提督はニッコリ笑って宣言する。

その顔には、どこか晴れ晴れとした物がある。

「どう言う事ですか?」

「そのままさ、もうエンジン以外動かなくてね。

船ごとぶつけるしかないのさ。」

「そんな・・・!」

「我々のことは気にしないでください。

貧乏くじを引くのは今に始まったことじゃありませんから。」

ヤマギワ副長は、そう言けれど、納得できない。

「もっと、良い方法があるはずです。」

「残念だが、時間がない。

敵が、この混乱から立ち直ればその可能性も消える。」

「でも・・・!」

ナミカタ提督は、諭すような声で言う。

「何かを犠牲にして生きることは罪ではないよ。

その犠牲に敬意を払い、忘れないでいてくれたらそれで十分なんだよ。

犠牲を忘れないで、その記憶を糧により良き明日を作りなさい。

その心を忘れてしまうことこそ罪なんだよ。

良い航海を!」

そう言い残すとエスカペイドは、弾かれたように飛び出して行き。

真っ白な光になりました。

それからは、よく覚えていません。

夢中だったこともあるし、心が麻痺していたのかもしれません。

多くの犠牲の上に私たちは生きています。

そのことは忘れない。

そう誓いました。

 

―地球 日本―

 

のどかな田舎に不釣合いな飛行機が止まっている。

エステバリス輸送専用機“アザレリア“

 僕たちは、爆撃機を改造した翼長50メートルある黒鳥、その翼を利用したテントを張って生活していた。

「あっ、13バイパスに問題発見!・・・どうするかな〜。」

ヒトコトノヌシを使って、先日の戦闘の問題点を検討している。

「IFSか・・・、そんなに珍しいのかな?

火星では、皆が持ってたから気にしなかったけど・・・。」

手に浮かぶナノマシーンの紋様を見ながら呟く。

買い物に行った先でオバちゃんに驚かれた。

なぜだ?

「このサバイバルを続けて半月が過ぎたな・・・いつまで続くんだ?キタガワ。」

ダイスケは、不満げにこぼす。

「キタガワ〜、せめてベッドで寝させろ〜。」

これは、ミヤビの意見。

「仕方ないでしょう。アザレリアのベッドはパールちゃんが使ってるんだし、頑丈な我々大人は寝袋で我慢、我慢!」

「でもな〜さすがに体が痛くなってくるぞ。」

「エステ使ってゴミ捨て場からまた何かあさるか?」

僕たちの日用品は大概そこでそろった。

 ここで買うより最新のゴミ(ちょっと修理すれば使える)を取ってきたほうが良かったりする。

都会の人は、贅沢だね。

修理した電子機器は良い資金稼ぎになる。

さすがに、パールちゃんの日用品は、新品で揃えたけど。

『おはよう〜。』

パールちゃんが起きて来た。

左手には、パールちゃんをデフォルメしたような人形がはまっている。

 これは、コンピューター言語の方が得意なパールちゃんの言葉を人の言葉に変換するIFS対応『通訳くん一号』(二カ国対応)だ!

こう、説明ばかりしていると“あの人”が跳んで来そうで怖いな。

まっ、説明のためとは言え、次元までは超えてこないだろう。

その予想が甘かったことを彼は後日、思い知る。

「おはよう!

よくねむれたかい?」

『うん!』

ちなみに音声サンプリング協力は、声優のメグミ・レイナードさん。

 声の不自由な子のために協力してくださいとネットでお願いしたら、快く承諾してくれました、感謝!

調整自体は、ヒトコトノヌシがしてくれた。

本社の方ではオモイカネシリーズとして本格的に研究が始まったらしい。

『あっ、お昼なのに流れ星が見える。』

「そうだね、願い事をしてごらん。

叶うかもしれないよ?」

ピピピ

アザレアの通信機に着信を告げる電子音が鳴り響く。

「お〜い、キタガワ! アカツキ会長から連絡がきたよ〜。」

月の敗戦から二日、アカツキ会長から連絡が入ったのは、チューリップが落ちた日。

流星が落ちた日だった。

 

予告 ナデシコ外伝 第5話

〜力 集う日〜

 

ようやく、サバイバルも終わり。

スキャパレリ・プロジェクトが本格的に動き始めます。

僕らの担当は、推進系と武装、そしてエステバリス!

孤島の研究所を与えられた僕たちのもとに

機械を弄らせたら世界一危ない男と世界一濃いかもしれない男がやってきます。

「か〜!仕様書を見ただけでも燃えるぜ!」

「すげ〜、すげ〜よ! ロボット、バリアー、研究所、ここは理想郷だ!」