ナデシコ外伝 第10話

〜夢見る日〜

 

 

人は、夢を見る。

寝ている時に見る夢

理想という名の夢

 

夢は、人を動かし未来を作る。

未来を見る事が夢を見る事であるのなら

世界とは私と誰かの夢の中・・・

私達は多くの人と夢を見る。

 

それは、悪い夢?

それは、良い夢?

 

貴方の夢は幸せですか?

 

 

〜ネルガル本社  企画会議室〜

 

薄暗い会議室に中年ぐらいの重役達が集っている。

「こんな時間に我々を集めて何をする気ですかな? 副社長?」

痩せぎすの男がスーツを着こなした中年に問い掛ける。

「専務、君も解っているだろう新会長のことだよ。」

「スキャパレリプロジェクトの件ですな。」

白衣の男がメガネを押し上げて答える。

「そうとも開発室長、あのような計画は馬鹿げている。会社を危機に陥れるだけでは無いのかね?」

「確かに、キタガワとか言う火星上がりの新参者に新技術を良いように研究されるのは面白くない。」

「おやおや? 嫉妬は見苦しいですな。」

「な!   私はそんなことを言っているわけでは・・・・・・」

議論は脱線をはじめガヤガヤと腹の探りあいが繰り広げられる。

「そのような瑣末事はともかく!!

ハイリスク、ハイリターン、勝負事には危険が付き物ザマス。」

不毛な議論を断ち切るようにスーツをビシッと着こなした中年女性が言う。

「確かに危険はあるが、効果的なのは確かだ。」

第三支社の専務が応じる。

「それに、このプロジェクトについては過半数以上の賛成で決定している。」

「あのような買収済みの企画会議に何の意味がある。」

 

ドン!

 

副社長が、いら立ち気味に机を叩く。

「フム、しかし計画を止められなかったのは事実。」

第三支社の専務が副社長をいさめる。

「ならば計画が、こちらの意に沿うように変更してやればよい。」

 

薄暗い会議室に厳かに響く。

 

「計画は既に動き出している。」

 

〜アマツシマ研究所 港〜

 

アマツシマ研究所の港は、多くの港がそうであるように釣り場でもある。

実際、いくら自由度が高いといっても島という閉鎖空間、見えないところでストレスは溜まっていく。

野球、サッカー、バレー、さまざまなスポーツを出し抜いて生き残ったストレス解消法は趣味と実益をかねた釣りだった。

スポーツは、良いのだが対戦する相手がいつも同じだと飽きるし、これといった目標がないと続かない。

その点、釣りはボーッとしている時間が何だか心地よいし釣った魚は研究所で買ってくれるので副収入になる。

それに何も考えなくていい時間は、人間には絶対必要なもののようだ。

 

そんな訳で、アマツシマ研究所所員は暇になると研究員も整備士も釣りをしに港へやってくるのだ。

空気を裂いて竿が唸り、糸が飛び出していく。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

『ねえ、テルちゃん?

釣りっテ物まちがって覚えてない?』

ナカムラの隣に座っているパールは自分の顔をいつも覆っている視覚補正バイザーを外して調整している。

バイザーを外した状態では、ほとんど目が見えないのだが、それを恐れているようすは無く楽しそうにナカムラと話している。

竿のうねり、糸車の音に耳を澄ませる。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

波の音、に人の息遣い。

「これは、魚を引っ掛けて釣る釣り方だからこれでいいのさ」

ナカムラはパールの指摘を気にせず釣りを続ける。

『そんなものなのかな〜。』

そこに確かに彼はいるのだ。

びゅん・・・・・・キュルッ

おっ何かがかかったようだ。

カラン・・カラン・・

巻き上げられた釣り糸が勢い良く獲物を大地に引き上げる。

『こんどは、バケツが釣れたね♪』

パールは、バイザーをつけて何が釣れたか確認すると釣り針を外しに行く。

「・・・・・また、つまらぬ物を釣ってしまった。」

ナカムラの背後に出来上がっているガラクタの山に目を向けず釣りを続ける。

『おっけーだよー』

息が合った調子でガラクタを外し終わると釣りが再開される。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

とてとてとパールはナカムラの横に戻り、退屈な釣りを眺め始める。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

「パールちゃん、セイカさんあたりと遊んだ方が楽しいと思うよ」

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

『セイカさんたち、追い込みだーって言ってて何時もより忙しそうだったよ』

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

「でも、ボクといるよりは楽しくない?」

素振りのように釣り竿を振り続ける。

『テルちゃん・・・・・・ヤッパリ間違ってない?』

「カツオ漁船のオジサンに習った時はこう教わったんだけどね〜」

ナカムラが苦笑いしながら答える。

どうやら、先の質問はナチュラルに無視されたらしい。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

わずかな沈黙、風の音と波の音だけが響く。

沈黙を破ったのは小声の問いかけ。

『テルちゃん・・・・・火星に行くの?』

パールが確認する様に問い掛ける。

「まあ、往復で四ヶ月と言ったところかな?」

問いかけの声は小さく、だが遮られることなく届けられる。

『じゃあ、テルちゃんの夢はナニ?』

空を見て、少し考えてからナカムラは答える。

「夢では無いけどやりたい事はあるかな?

取り敢えず皆のお墓を作ってあげる事かな・・・・連合が作った物とは別のね』

竿の音が響く。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

糸を巻く音がカラカラと響く。

地球には彼等の墓がある。

「戦意高揚のために作られた俺たちの慰霊碑・・・・それとは別の何かを残したい。」

利用されるだけに建てられた墓、それだけでは寂しすぎる。

『月ヘは?』

「皆の墓参りには、いずれ行くよ。」

パールの問いかけに微笑みながら答える。

空は綺麗だけど、それ故に寂しそうだ。

びゅん・・・・・・シュルシュルシュル

何気ないことが頭をよぎる。

「ナデシコで俺が乗るエステバリス何色だっけか?」

『ショッキングピンク♪』

「・・・・・・・・・・・・・・」

イヤガラセ デスカ? キタガワ ハカセ?

えいや、と恨み言を込めて飛ばした釣糸は思ったより遠くに飛んでいく。

びゅん・・・・・・カシッ

硬い手ごたえ、重い抵抗、小さな魚などではありえない。

「オッ? 何かかかったゾ♪」

『今度ハ、バケツかな? ナガグツかな? ン〜バッタとか〜〜〜♪』

気にせず釣り上げようとするナカムラの釣り竿が大きくしなる。

「これは、大物だ!」

シュル シュル シュル・・・・・

膨らむ期待と失望の予感。

巻き上げられた釣り糸から白い服が見え始める。

 

・・・・・白い服?

 

「『これは人?』」

 

〜エウロパ 木連司令部〜

 

コンコン

木製のドアを叩く涼やかな音が響く。

「失礼します。」

「入れ。」

「木連優人部隊、秋山 源八郎 入ります。」

ビシッとした声と共に扉が開き白いガクランを着た人物が入室してくる。

部屋の主は白い制服に勲章をつけているので軍服の印象が強い。

「ご報告いたいます。」

「頼む。」

草壁中将は目をつぶり厳しい顔をして報告に耳を傾ける。

「第一期 木連優人部隊 運用報告、

有人型バッタによる火星投入は投入数 百の内、

成功 九十三、行方不明 四、圧壊 三

であります。」

草壁は、ゆっくりと目を開き呟く。

「全て成功とはいかんか・・・・・」

「はい、残念ながら。

これまでも相当数の犠牲者が出ています。」

草壁は秋山の鎮痛な言葉に首を振り、力強い声で言う。

「犠牲ではない、犠牲にしてはいけない。

我々は先に逝ってしまった友のためにも悪の地球に勝たなければならない。

そのためにも次元跳躍の技術の確立は必要なのだ。

今後も更なる飛躍を諸君ら木連優人部隊に期待している。」

「ハイ!」

 

〜アキツシマ研究所 医務室〜

 

薬の匂いの漂う医務室に白いガクランを着た男が寝かされている。

「また妙なもの釣り上げたネェ。」

と医務長さん。

「アハハハハ〜♪ 大漁だねナカムラ。」

とミヤビさん。

「そう いじめないでくれよ。」

とテルちゃんが頭を抱えている。

「で! キタガワ所長は何て言ってた?」

とダイスケお兄ちゃんが言ってきます。

『お父さんは素性がはっきりするまで、研究所に置いとくッていってた。』

「研究所を狙ってきたキョアック星人じゃないのか?」

とヤマダさん・・・・・後でわかることなのですがコレ実は正解にかなり近かったです。

 

「うううう〜〜〜・・・・・。」

白ガクランの人が唸り声を上げます。

「オッ 目を覚ますみたいだな。」

お兄ちゃん。

「面白い話 聞けるかな〜♪」

ミヤビさん。

「治療費は、やっぱりオレ持ちッスか?」

「当然だろ、自分で釣ったものには責任を持ちな!」

テルちゃんと医務長さん♪

 

「此処は・・・・・・」

目を覚ましたみたいです。

「アマツシマって言うネルガルの研究所さ。」

医務長さんが、ホットミルクを白ガクランさんに渡しながらいいます。

「うまい・・・・」

白ガクランさんは躊躇いがちにミルクを飲んでそう呟きます。

「で!何て名前、どこから来たの?」

ミヤビさんが待ちきれない様子で白ガクランさんに問い掛けます。

「私は・・・・・・ダレ?」

皆で顔を見合わせます。

「「「「『ハァ????』」」」」

その様子に彼は困ったように頬を掻いていました。

アマツシマ研究所にオバカな仲間の増えた瞬間でした。

 

〜連合軍 サセボ基地〜

 

Sound Onlyのモニターの前で、かなりの上級将校らしき人物が誰かと話している。

「ウム、ご苦労。

情報は確かに受け取った。」

通信モニターから送られてくる圧縮データーを情報をオペレーターが解凍している。

『いや〜。苦労しましたよ。』

「ふむ、トカゲどもの使っている重力波砲にバリアーか・・・・」

将校は渋い顔をしている。

『その他にもネルガルの虎の子、エステバリスの最新型を20機、格納しています。

納品は3日後。』

「しかし、もっと頻繁に報告はできんのかね?」

将校は渋い顔を崩さずモニターに問い掛ける。

『此処の監視は、なかなか厳しくてマシンチャイルドのお嬢様が外れた時以外は危なすぎてとてもとても

それより船の方の用意はどうなっているんです。』

おどけた声がモニターごしに聞こえてくる。

「偽装部隊の送り込みと武器の用意は順調だ。

君が心配する事ではない。」

「中将、ムネタケ准将が到着しました。」

オペレーターの報告が入る。

『おやおや、・・・・・・そろそろ切りますよ。

それでは、お元気で』

プツ

通信が切れる。

「いかがなさいますか?」

モニターにはムネタケが映っている。

「ああ、ここに通してくれ。」

 

イシハラは、屋外に立てられた組み立て式のアンテナを釣り竿の袋の中にしまう。

「相変わらず、お偉方は目の前しか見えていない。

もっとも、目の前すら見えていない者の方が多いか・・・・」

太陽が水平線に沈み始め、世界が赤く染まる刹那の時

全てが血に染めているように見える。

「醜く争い潰しあえ、連合もネルガルも・・・・・

最後にノイズが入ったな。

こりゃお嬢様に見つかったかな」

言い訳を考えておかないとなと頭を掻きながらイシハラは研究所に戻っていく。

 

〜アキツシマ研究所 医務室〜

 

「記憶喪失か〜。 大変だな・・・・うん、うん!」

ミヤビが腕をくんで頷いている。

「名前を考えないといけないな。」

「記憶喪失者の伝統的な名前はゴンベエに決まっている。」

「ゴンベエ・ナナシか・・。」

キタガワ所長とカタオカが今後について話あっている。

「ゴンベエは勘弁してくだいよ。」

ゴンベエ(仮)は結構馴染んでるようだ。

「まあ、記憶が戻るまでここに居ればいい。

人手は足りていないんだ。」

カシュっと空気の抜ける音と共に扉が開く。

扉の向こうからアカツキが現れる。

「彼はエステバリス隊で預かってもいいかな所長」

アカツキはニヤリとニヒルに笑う。

「別にかまわないが・・・・・・。

彼は記憶喪失なんだ、無茶はさせるなよ。」

「解っているさ、無茶はさせないよ。

無茶はね・・・・・。」

アカツキは軽く肩を落とすと医務室を出ようとする。

「今晩は、宴会だよ。参加するかい?」

アカツキの背中にキタガワが問いかける。

「いや遠慮するよ、僕も忙しい人間でね。」

「いろいろ、きな臭くなってきたな。」

「なに、まだまださ!」

そう言ってアカツキは医務室を後にする。

「さて、今は宴会を楽しむか・・・・。」

 

そして、懐かしい夢を見る。

 

草原が見える。

風がそよぎ空を仰ぎ見れば、ナノマシーンの光。

それは、火星の空・・・。

「テンカワせんせ〜〜〜〜い。」

十歳くらいの少年が、白い建物を背に走ってくる。

あれは、ネルガルの孤児院。

そして、あれは幼きころの自分・・・。

これは、過去の夢・・・寂しくも幸せであった幼い日の夢。

「ああ、キタガワくん、こんにちわ。」

ぼさぼさの黒髪に優しい微笑みを浮かべて男が挨拶を返す。

「はあ、はあ、はあ、先生! こんにちは!」

テンカワ先生を迎える十五年前の自分がいた。

先生は、研究の合間によく孤児院に勉強を教えにやって来てくれた。

やさしく笑いながら一つ一つ丁寧に教えてくれた。

先生とは、いろいろな事を話した。

家族のこと、まだ幼い先生の息子のこと、研究のこと・・・・それらのことを話す先生の目は、未来をみて希望に満ちていた。

それは、とても楽しい時間だった。

 

舞台は懐かしい草原・・・・・。

「ネルガルの研究室に就職が決まったそうだね。」

「ええ、先生のお蔭です。」

そう言って先生に笑い返し暫し雑談を楽しんでいると・・・・

不意に先生が黙り込んだ。

先生が真剣な顔をして聞いてくる。

「なあ・・・キタガワ君。

科学ってさ、何だと思う?」

先生の顔があまりに真剣なので僕は・・・・。

昔、先生に教わった通りに答える。

「科学は・・・・・人を幸せにする力だと思います。」

先生は、その答えを聞いて満足気に微笑む。

「そうだね・・・・・ありがとう。」

その微笑みは優しくて、僕も思わず笑い返す。

先生に何を決意させたのか知らないまま・・・・。

 

その数日後、空港テロで先生が死んだと聞いた。

噂話が聞こえてくる。

聞きたくないのに認めたくないのに

それは、聞こえてくる。

 

『テンカワ博士、亡くなったんですって』

 

『幼いお子さんだけ生き残ったんだって。』

 

『空港テロに巻き込まれたらしいわよ。』

 

『テンカワ博士、喉笛をナイフでザックリと切られてたってさ。』

 

『えっ?テロリストは、全員銃で武装していたんじゃなかったのか?』

 

『でも、それだけかしら?』

 

『研究の発表で本社と揉めてたらしい。』

『暗殺されたとか?』

 

『重役がもめてるらしいぜ』

 

『わからないわよ・・・』

 

『テンカワ先生の息子さん・・・国営の孤児院に預けられたらしいよ。』

 

『福利厚生の厚いネルガルでは滅多にない処理の仕方だよね。』

 

『まさか〜〜。』

 

『強欲会長なら・・・・・』

 

『そこまでするかしら?』

 

『やりかねないわよ』

 

テンカワ先生は、死んだ。

テンカワ先生は、テロに巻き込まれた。

テンカワ先生は、殺された。

殺された

殺サレタ

コロサレタ

その言葉が頭の中をグルグルと巡る。

草原に寝転がっていると先生がいるような気がしてならない。

風が吹き 草を揺らし 木々がざわめく、そこにテンカワ先生がいるような気がした。

『キタガワくん、ここはね。

もともと人が住めない土地だったんだ。

百年前に入植が始まり、ナノマシーンの研究を進めていったんだ。

やがて、大気が作られて、窒素の不足で耕作に向いていない火星の土地でも作物が育つように改良していった。

すごい事だと思わないかい?

科学が、大地に実りを与え、この草原を大地に、人の心に広げていく。

畏怖されるので無く・・・人々に微笑みをもって受け入れられる。

そうする事で、人に恐れられるのではなく、おだやかな笑みで迎えられるのが、科学を手にした者のしあわせなんだよ。』

そう言って笑う先生の顔が見えた。

そう言って笑っている先生の顔はとても幸せそうだった。

 

「せんせい!」

 

先生を捕まえようと振り上げた手は宙を掻き、木で作られた古い天井が見えた。

「ここ・・・は?」

ゲキガンガーがエンドレスで放送されている。

そう言えば、ナナシがえらく気に入っていたようだが・・・。

体を起こし、窓から入る月明かりをたよりに周りを見渡す。

和式の宴会場に死屍累々となった整備班が横たわっている。

ナナシとヤマダは、涙を流しながら潰れている。

大声で熱く語り合ってたのが思い出される。

ウリバタケさんはビール瓶を抱いて眠っている。

カタオカが一升瓶を口に刺された状態で沈んでいる。

生きているのか?

ミヤビは・・・・・ちゃっかり逃げてやがる。

料理は、シズカさんが片付けてくれたようだ。

パールは、もう寝てるか・・・・。

不意に上を見上げると・・・・・

『ガンバレ ナデシコ出航まで あと14日』

と描かれた垂れ幕がある。

「そうか・・・ナデシコの完成したんで臨時休暇前の宴会してたんだっけか?」

ナデシコに積んだのは、アマツシマ研究所製 高出力の3番相転移エンジンニ基、通常航行の為に安定性の高かった7番相転移エンジンニ基、補機に核融合炉を六基、それらの組み込みが先週終わったばかりだ。

突貫で仕上げたにしてはイイ仕事だった。

建造開始から半年、思えばよくやってきたと思う。

ガンガンする頭を抱え外の空気を吸うためにベランダにでる。

空を見上げると青い月が輝いていた。

「先生が見たら何て言うかな・・・・」

懐のサイフから一枚の写真を取り出す。

写真の中では、笑っている自分、先生、イネスさん、院長先生・・・・・・・・。

アキトくん・・・・彼が火星に居ることを知りながら何もせず。

ただ地球に逃げてきた。

恩人の息子に何もしてやれず。

恩人の息子を見捨てて逃げてきた。

「最低だな・・・・・。

恐れられるのではなく微笑みをもって人々に受け入れられる事・・・・。

僕は出来そうにありませんよ。」

 

「先生」

 

ナデシコが出航するまで、あと二週間。

ついに運命は、回り始めようとしていた。

 

 

 

次回!

ナデシコ外伝 第11話

〜旅立ちの日〜 前編

 

墓とは死者のためのみならず。

「今度、火星に行くことになったよ月へは、まだ行けそうにないけど・・・・・。

そのうち行くから」

誓いは果たされることがあるのだろうか?

「あと、一週間で出航ですか・・・・・・いそがしくなりますね。」

さまざまな思惑を乗せ船が旅立つ。

「だからと言って会長自ら行くことは無いじゃない。」

「その方が、面白そうじゃないか。」

祝福は誰の手に?

「ようやく償いが始まるよ。」