>SYSOP

時に、2199年4月23日。
第三新東京市の一角にて、数奇な運命に導かれたヒーロー達が、一時の邂逅を果たした。
そう。僕らのマッハ・バロンが、あの約束の土地へと足を踏み入れたのである。

「御嬢さん、そこの看板に出ていた、期間限定メニューのケバブセットAを貰えるかい」

モーゼの十戒よろしく、一瞬にして左右に退避した一般客達の間を悠然と歩き、マッハ・バロンはロ○てりや店内へと侵入。
バイトの娘がドタキャンした所為でレジに入っていたチーフ・マネージャー(29歳)に、得意のスマイルを浮かべつつ注文をした。

「ケバブセットのAですね。御持ち帰りですか?

怯む事無く注文確認をするロッ○りやの店員。
まるで、この手の異常事態に対する経験が豊富であるかの様な落ち着き振りである。
まあ、『お持ち帰りですか?』の部分には、多少力が入っていたりもしたが、これを未熟とそしるのは些か酷だろう。

「此方で。出来れば禁煙席を」

だが、そんな彼女の本心に頓着する事無く、その唯一の希望の火を吹き消すマッハ・バロン。
悪気は無いとはいえ、罪な漢である。
かくて、辛うじて営業用スマイルを維持しているロッテ○やの店員に案内され、彼は店内奥に設けられていたVIP室へ。
目立たぬ様に各種偽装が施されたドアを潜ると、そこには先客として、鈍い銀色の防護服を着た男が座っていた。

((な…なんて怪しいヤツ))

機せず、全く同じ感想を胸に抱く両者。
重苦しい沈黙がVIP室を支配してゆく。
だが、正義のヒーローともあろう者が、この程度の事で怯んではいられない。

「失礼。食事を中断させてしまっただろうか?」

全身を包む防護服にあって、唯一露出している目元の部分から放たれる鋭い視線を受け流しつつ、
まずは当り障りの無い挨拶をしてみるマッハ・バロン。
紳士な彼としては、相手がいかにに怪しい人物であろうと、問答無用で戦端を開くなど論外な行為なのだ。

「いや、気にせんでくれたまえ。只、相席となったのが『少々珍しいな』と思っただけだよ」

より正確には、初めての事例について語った後、口元も露出させ食事を再開する防護服の男。
意外にも、此方もまた、紳士のマナーを心得ている様だ。
互いを認め合い、一変して和やかな雰囲気となるVIP室。
だが、席に着いたマッハ・バロンがケバブを食べようとした時、
VIP室の空気は再び………いや、先程とは比べ物にならないくらい緊迫したものへと変わった。

「貴様、どういうつもりだ!
 まさかケバブに、甘ったるいヨーグルトソースをかける気じゃあるまいな!」

突如、激昂する防護服の男。
どうやら件のそれは、彼にとっては度し難い暴挙らしい。

「甘ったるいとは何だ! 
 ケバブにはヨーグルトソースに決まっているだろう!
 本場のトルコや中東では、お刺身に醤油をつけるのと同じくらい常識的な事柄だぞ!」

マッハ・バロンも負けずに言い返す。
日々平穏にて働いた経験もある彼としては、この辺、譲れぬ一線である。

「そんなものは、○○人がラーメンに砂糖を入れるが如き国民的邪道にすぎん!
 ケバブにはチリソース。これがワールドスタンダードだ!」

((コ…コイツは許せん!))

再び、同時に同じ感想………否、決意を胸に抱く両者。
かくて、譲れぬ信念を持った漢達による、壮絶な戦いの火蓋が切って落された。

「うりゃ!」

パワーで勝るのはマッハ・バロン。
圧倒的な腕力に任せ、グイグイと押してゆく。

「ふん!」

迎え撃つ防護服の男は、技で勝負。
巧みにその攻勢を受け流しつつ、ジリジリと有利なポジションへと移行してゆく。

   ギリ、ギリ、ギリ、ギリ………

両者の激闘に、そのリングが悲鳴を上げる。
そして、ついにオーバー・ザ・トップを果たした防護服の男が、カサに掛かって攻め立て始めた瞬間、

   バキッ

木っ端微塵に砕け散るテーブル。
これにより、両者の『腕相撲』は無効試合となった。
そう。彼らにとっては、憩いの一時を提供してくれた、心優しき店員達に迷惑を掛ける行為など論外な事。
ましてや、そこらのチンピラの如く乱闘に及ぶ等、あってはならぬ暴挙なのだ。

「名を聞かせて貰えるかな?」

「キャプテン・ブラボー」

「良い名だ。私の名はマッハ・バロン、御覧の通りの正義の味方だ」

良い勝負を演じた後という事もあって、先程までの刺々しさが消え、淡々と語り合う両者。そして、

「この決着は、次に会った時につけるとしよう」

そう言い残し、修繕費と称して先の店員に幾許かの紙幣を渡した後、

「マッハ・ウイ〜〜〜ング!」

と、掛け声も勇ましく、大空へと飛び去ってゆくマッハ・バロン。
その後ろ姿を見送りながら、

「ブラボーだ」

一言そう呟いた後、防護服の男もまた、何処かへと姿を消した。

ついに邂逅した二人の超人。
彼等が再び会いまみえた時、はたして、いかなる運命の調べが奏でられるのか?
神もいまだ、それを定められずにいる。







オ チ コ ボ レ の 世 迷 言

第4話 雨、(負けて)逃げ出した後







先の第四使徒戦から早三日。
あの敗戦のすぐ後、保安部に拘束され大量の始末書と共に懲罰室に監禁されていたミサトだったが、本日、目出度く社会復帰。
心機一転再出発すべく、まずは鈍った身体をほぐす意味も込め、実戦訓練を行った。



   〜 ネルフ敷地内、格闘技修練場 〜

「いくわよ!」

掛け声と共に、間合いを一気に詰める。
この時点で、既に対戦相手は戦意を失っていたが、それに頓着する事無く、

   バシッ、バシッ、バシッ、バシッ………

左ジャブ………いや、半ばストレートに近いノリで、拳の弾幕を張るミサト。
リーチの差を生かして相手の反撃を封じ込め、また、ウエイトでも勝るが故のパンチ力によって、
ガードの上から叩く強引な攻めにも関わらず、着実にダメージを与えてゆく。
そして、ついにはガードを打ち破り、

   バキッ

顔面に右ストレートが綺麗に入り、対戦相手の身体がガクンと揺れる。
だが、ミサトは左フックを引っ掛ける事でダウンを許さず、

   ドス、ドス、ドス、ドス………

そのまま、ボディに小刻みな左右の連打が。
頭部への攻撃と違い、ハッキリとした意識のまま際限なく打ち込まれるパンチに悶絶。
そして、永遠に続くかに思える地獄の苦しみ果てに、

    ボコッ

止めとばかりに繰り出されたアッパー気味の一撃を水月に受け、崩れ落ち痙攣を繰り返す対戦相手。
それを見下ろしながら、ミサトは、さも『スッキリした』と言わんばかりの晴れやかな笑顔を浮かべた。

二人の対戦を遠巻きに見守っていた男達の間に、表現し難い類の戦慄が走る。
荒事に慣れている筈の保安部の人間の目にも、ミサトに対する恐怖の色が。
そう。彼等には、目の前で起こった光景が信じられなかった。
まさか、仮にも現役の軍人が、ド素人の中学生を。
それも、虎の子のチルドレンを殴り倒すなんて事ある筈が………



   〜 三時間後 赤木ラボ 〜

「で、彼の腹部を何回殴打したか覚えてる?」

「え…え〜と」

調停者の仮面を被ったリツコの質問に口篭もるミサト。

「………良く判ったわ」

その態度から、ほぼ正確に事態を察するリツコ。
あまりの事に眩暈を禁じえない。
だが、このまま事態を放っておく訳にもいかず、気を取り直し、事件の焦点について再度尋ねた。

「そもそも、何故シンジ君なの?
 対戦相手なら、他に幾らでも居たでしょうに」

「だって、だって。
 みんな『忙しい』とか『他をあたってくれ』とか言って、何故か私のことを避けるんだも〜ん
 そんで仕方なく、食堂でヒマそうにジュース啜ってた彼に頼む事になって………
 あっ、違うの! 最初は、チョコっと手解きしてあげるだけのつもりだったの、本当よ!
 でもでも、なんて言うかほら、結構イイ反応とかして見せたもんだから軍人の血が騒いじゃって………」

「もう良いわ」

図らずも、親友のネルフ内部での評価を端的に知り、その余りの低さに落ち込むリツコ。
そして、嘆息と共に総てを諦めた後、

「冬月司令代理の決定を伝えるわね。
 今から約2時間前。本日、14:00をもって、碇シンジの登録を抹消。
 サードチルドレンは欠番となったわ」

「えっ? 確か、拘束期間は来月の初めまでだったと思ったんだけど。
 それに、どうせ守る気なんて無いんでしょう、そんな約束?」

「あ…貴女には、本当に状況が見えていないのね」

だが、これ以上悪くはなり様が無いというその予測は、まだ甘かった。
仕方なく、諦観に塗り潰されそうになる心をどうにか奮い立たせ、
リツコは、先程の話に至る経緯を、一番良く知っている筈だった当事者に説明し始めた。

「(コホン)現在、碇司令が不在の為、ネルフは恒常的なものを除いた特務権限の殆どを失効中。
 これは、副司令が司令代理に就任した今でも、殆ど改善されていないわ。
 と言うのも、失った特務権限の大部分は、『ネルフの司令』にではなく『碇ゲンドウ』だからこそ与えられていたものなの。
 強制徴兵権なんて、その最たるものの一つよ。
 まして、今すぐ総ての特務権限が復活したとしても、相手は北斗君。
 『はい、そうですか』と承諾する筈がないし、実力行使に訴えようにも、ウチが動かせる程度の人員で、彼を倒すのは絶対に不可能だわ。
 それこそ、軍事は素人の私ですら、確信を持ってそう言えるくらいにね」

「そりゃまあ、危険な相手なのは認めるけど。
 なんかこう、見るからに単純っぽい相手だし、どうにかなるんじゃないの?
 上手い事、契約とかで縛るとかさあ〜」

その言の正しさを認めつつも、ミサトは、拗ねた様な口調で食い下がる。
だが、リツコの返答はにべも無く、

「甘過ぎる考えとしか言い様がないわね。
 確かに彼は単純な気質だけど、物事の本質を捉える目はかなり正確よ。
 何せ、今現在、契約で縛られているのは、寧ろ此方の方だもの。
 『第七条、碇シンジを故意に危険に晒した場合には、ただちに契約を破棄し、それによって生じた損害及び精神的苦痛に対する慰謝料を支払う事』
 貴女のやった事は、明らかにこれに抵触するわよ」

「ふみゅ〜」

戦闘力と交渉能力のどちらもが北斗に及ばない事を示唆され、口を噤むミサト。
普段からは、信じ難いような聞き分けの良さである。
いや、本当は彼女にだって判っているのだ。
北斗が、戦闘レベルで戦略をひっくり返す、特異極まりない存在だという事が。

「それに、どうせ拘束期間は、あと五日しかなかったんだもの。
 シンクロ実験をさせられないんじゃ、引き止めた所で意味が無いわ。

「何で? やれば良いじゃない。どうせ、プラグ内で座っているだけなんだし」

リツコの補足説明に対し、ミサトは、あっけらかんとそう言った。
自分が加害者だという事を忘れたかの様な気楽さだ。
実際、彼女にとっては、既に『終わった事』でしかないのだろう。

「そんな訳ないでしょ! 
 いくらLCLでも、身体にかかる水圧そのものは水と変わらないのよ。
 内臓にダメージを負った状態で入れたりしたら………」

「十中八九、ゲロを吐くな」

ミサトのあまりの物言いに、激昂しつつ彼女がやった暴挙の意味を語るリツコ。
それを補足する形で、出入り口付近から合いの手が入る。

「うわ〜、サイテ〜」

「誰の所為だと思ってるのよ!………って、北斗君! 何時の間に此処へ!?」

その声に驚き、リツコが周囲を見回すと、開け放たれたドアの前に北斗が佇んでいた。

「そうだなあ。たしか『なんかこう、見るからに単純っぽい相手だし』って、辺りからかな?」

「そ…そう」

返ってきた最悪の答えに絶句するリツコ。
それを尻目に北斗は、持っていた書状を差し出した後、用件だけを淡々と語った。

「果たし…状?」

「シンジからだ。書いたのは零夜だがな」

「え〜と、………葛城ミサト殿。貴女の……かかる振る舞い……武人にあるまじき………
 って、何よこのミミズののたくった様な字は。全然判んないわよ!」

「ちょっと貸して」

話の流れから、最悪の事態だけは回避出来た事を察したリツコは、
これ以上の心象の悪化を避けるべく、ミサトを黙らせつつ、そのフォローに回る。
だが、奪い取った書状に、彼女もまた、困惑の色を隠せなかった。
見事な草書体で書かれたそれを読み解くこと自体は容易かったが、その内容が余りにも無謀なものだったのだ。

「コレ、本気なの?」

「無論だ。挑戦の意思は、俺が直接聞いた事だから間違いない。
 まあ、それの内容に関しては、シンジの心情を意訳したと零夜は言っていたが」

そう言うと、用は済んだとばかりに、北斗は返答を待たずに赤木ラボを後にした。

嘆息するリツコ。
提示した条件自体を、シンジ自身も了承している事は確認出来たが、それだけに、この申し出を断る口実が無い。
いや、前後の事情を考えるのであれば、破格の好条件と言って良いものなのだが………

「結局、何なのソレ?」

事のもう一人の当事者がコレである事実が不安を煽る。
とは言え、暗黙の了承をしてしまった手前、説明しない訳にもいかない。
このままこの話を握り潰したい衝動を必死に抑えつつ、リツコは、ミサトに手紙の内容を語った。




「よ〜するに、二週間後にアタシと闘えって事?」

15分後。漸く内容を理解したミサトに、リツコは、最も重要な部分の念押しをした。

「正確には、彼が完治してからのね。
 負けた時は、今回の事を総て不問に伏すと共に、一ヶ月間、貴女の小間使いを務めるそうよ。
 でも、勝った時は………」

「ああ、いいわよソッチは。絶対ありえないから」

パタパタと手を振ってリツコの説明を制すと、ミサトはソファーに寝そべりつつ、シンジの挑戦を鼻で笑う。

「しっかし、随分と思い上がった事ぬかしたもんよね〜
 まあ良いわ。精々こき使ってやるとしましょうか」

だが、リツコにはそこまでの楽観視は出来なかった。
あの北斗が、何の成算も無い事をするだろうか?
とは言っても、地力の差は余りにも大きい。もしも、シンジがミサトに勝つとしたら………

「まさかね。漫画じゃあるまいし」

胸に生まれた妄想とも言うべき事柄を、一笑に伏すリツコ。
もっとも、事態は彼女のその予測さえも上回るものとなるのだが。




「逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ………」

あの暴行事件(?)があってから三日後の早朝4時。
零夜の治療によって負傷も癒え、病の床から脱したシンジは、
彼の代名詞とも言うべき繰言のアレンジバージョンを呟きつつ、家出の準備をしていた。
目前に迫った確実な死から逃れる為に。



   〜 三日前 影護邸 〜

「悔しいか?」

「………悔しいです」

病床のシンジの元を訪れ、主語も無しにそう尋ねた北斗の問いに、痛む腹筋に鞭打ち、絞りだす様に返答するシンジ。

「ならば抗え。お前の友が、そう教えてくれだろ?」

「でも………」

トウジの時とは違う。
そう言いたかったが、北斗の視線におされ、シンジは目をそらす。

「甘ったれるな!」

その弱気を一喝され、身を竦ませるシンジ。
だが、此処で再び逃げれば、北斗は絶対に自分を許さないだろう。
それは、とても悲しい事だった。
彼に見捨てられる事だけは嫌だった。だから、

「違うんです………あの人は」

なけなしの勇気を振絞りって目線を元に戻し、シンジはそう言い切った。

「まあな。今のアレに相互理解や友情を求めても無駄だろう」

僅かながら微笑を浮かべつつ、北斗はその言を認めた。
彼の期待に答えられたことを喜ぶシンジ。
だが、次の瞬間、

「一度、徹底的に叩きのめしてやれ。そうしなければ話にならん」

「出来るわけ………(痛!)」

予想外の北斗のセリフに反射的に叫んでしまい、天国から地獄へ一気に突き落とされる。
そして、漸く激痛が収まった時、彼を待っていたのは救いの手などではなく、
約十ヶ月振りに発行された、更に深い地獄への片道切符だった。

「今、出来ないのならば、これから出来るようになればいい。
 お前には、もう判っている筈だ。覚悟を決めて、自分の口で言ってみせろ」

暫しの沈黙と逡巡の後、シンジはそれを受け取った。

「あの人に………勝ちたいです。僕に、武術を教えて下さい」



   〜 再び、今現在 〜

「って、暢気に回想シーンなんて入れてる場合じゃないだろ、僕!
 漫画じゃあるまいし、たった二週間で戦闘のプロに勝てる訳がないじゃないか!
 もし、そんな事が出来るとしたら、それは………」

「漫画以上に非常識な修練を積む事だけ」

「嗚呼、やっぱりそうだったか!…………って、北斗さん!?」

突如、背後から北斗に声をかけられ、石化するシンジ。

「俺が言うまでもなくそれを悟ったばかりか、こんな早朝からその準備とは。
 やる気満々だなシンジ。正直、見直したぞ」

何やらポジティブな曲解をしている風な北斗に、最悪の事態だけは避けられた事を察したシンジは、

「チョット、イイデスカ? レイヤサンハ、ドコデスカ?」

硬直したまま、カタカナ言葉でどうにか声を発した。
いっそ卒倒したい局面だが、それで見逃して貰える様な甘い相手ではない。
頭で考えてというより、生存本能がそれを教えてくれている。

「ん? 零夜なら、台所だが」

だから、最後まで悪足掻きを続ける。
正気を手放すのは、やるだけやってからでも遅くはない。

「(シュ)恥を知りなさい!」

もはや逃亡は不可能と見たシンジは、怪しげな食材を乱切りにしていた零夜に泣きついた。
だが、泣き言を言う彼に、彼女は、持っていっていた包丁を鼻先に突き付け一喝。

「此処で逃げてどうします!
 あの様な女に、媚びへつらって生きるつもりですか!?」

「いえ、決してそういう訳では………」

「当たり前です!
 そんな真似をするくらいなら、たった今、この場にて腹を切りなさい!
 それが、木連男子の気概というものです!」

逆効果になりそうなので今日まで避けてきた策だったが、予想以上に地雷だった事を思い知らされるシンジ。

「いいですか、シンジ。
 人が人として生きるからには、決して踏み外してはならぬ道というものがあります。
 これを違えた者を外道と言って………」

取り敢えず、『僕は只の地球人です』等と、火に油を注ぐ様な失言を注意深く避けつつ、
尚も続く零夜の御説教を、彼は殊勝な態度で拝聴した。
異臭を放つズンドウの中身もチョッと気になったが、あえて尋ねはしなかった。




「(シュ)動くな」

次善の策として、シンジは御隣のミリアに泣きつく事にした。
だが、チャイムを鳴らすべくドアベルに手を伸ばした瞬間、背後から何者かによって口を塞がれ、

「口を利くな。物音も立てるな。判ったら、右手を挙げろ」

首筋に押し当てられたナイフと、耳元で囁く相手のドスの効いた声にビビリ、言われた通り右手を挙げる。
すると、謎の脅迫者は、彼を小脇に抱えて路地裏へ。

「(フウ)危ない所だった」

芍薬から50m程離れたところで、さも窮地を脱したと言わんばかりの態度で一息つくと、シンジを開放。
そして、『二度とこんな馬鹿な真似をするんじゃねえぞ』と、捨て台詞を残して立ち去ろうとする。

「馬鹿な真似って何です、ナオさん?」

その背中に、雅を解さぬシンジの、全く空気を読まない質問が投げ掛けられた。

   シ〜〜〜ン

「何故、俺だと判った?」

暫しの沈黙の後、精神的苦痛に顔を歪ませたナオが尋ねる。

「何故って言われても………」

「自慢じゃないが、この変装には、嘗て無いくらい自信があったんだ!
 それを一目で見抜くなんて。何時の間に、そんな鋭い眼力を身に付けた!」

「だって、何時もと違う色のスーツを着て、サングラスを外しただけじゃないですか」

「充分過ぎるだろ!
 ナデシコの………嘗ての仲間達なんてなあ、その『サングラスを外しただけ』でも、誰も俺だと認識できなくなったもんだぞ!」

返答に詰まるシンジ。
一応、相手の言いたい事は何となく判る。
要するに、二昔前の漫画にあった暗黙の了解。
サングラスを掛けたら別人の逆バージョンなのだと。

「す…すみません。
 本当は他に心当たりがなくて、適当に言ってみただけなんです」

「なんだ、只のマグレ当たりかよ。脅かしやがって、まったく」

必死に考えた末に出した、シンジの雅を意識した答えに、相好を崩すナオ。
だが、二人のすれ違いは、これだけでは終わらなかった。

「それで、馬鹿な真似ってなんなんです?」

「判らないのか!?」

   シ〜〜〜ン

沈黙と共に訪れた険悪な雰囲気に、再度地雷を踏んでしまった事を悟り、うろたえつつもフォローのセリフを模索するシンジ。
だが、今度は巻き返しのチャンスは与えられなかった。

「ミリアはなあ、今でもメティちゃんの死を引きずっているんだよ。
 昨日なんて、一人でいる時、写真を手に涙ぐんだり、夜中、あの時の事を夢に見て魘されたりしてたんだよ。
 今、ミリアの元に訪れているのは、そうした深い悲しみに耐え抜いた末に、やっと手に入れた安息の一時なんだぞ。
 それを……それを!」

「あ…あの〜、ナオさん?」

「バカヤロ〜〜〜!!」

ついには涙声になり、罵声と共に走り去るナオ。
その後ろ姿を呆然と見送りながら、取り敢えず、ミリア=テアの安眠を妨害したら、只では済まない事だけは理解したシンジだった。




「………という訳なんだ、トウジ」

かくて、最後の手段。 シンジは、最近出来たばかりの親友に助けを求めた。
彼を巻き込む様な事は出来ればやりたくはなかったが、もはや手段を選んでいられる状況ではない。

「よっしゃあ。まかしとき、ジンジ!」

「トウジ………(グスッ)」

初めて返ってきた力強い言葉に感動し、涙ぐむシンジ。
だが、彼の頼もしき親友は、事態の本質を全く理解していなかった。

「わしも一緒に、その特訓を受けちゃる!」

「って、なんでそうなるんだよ!」

「判っとる、判とっる。よ〜するに、センセが怖いんやろ?
 まっ、相手があの人じゃ、無理ないこっちゃ。
 でもな、どんな真似をさせられるにしても、一緒に苦労する奴が居れば、少しはマシやろ?」

「違うんだ。違うんだよ、トウジ。
 北斗さんは、君が考えているような甘い人じゃない。
 こんな話を持ち込んだ僕が悪かった。だから、馬鹿な考えは捨てるんだ!」

一般的な特訓を前提に語るトウジの見通しの甘さに閉口しつつも、
シンジは必死に翻意を促す。
だが、トウジは畳み掛けるように、

「まっ、そう言うなって。
 ほな、すぐにソッチへ行くよって、センセに話を通しといてや」

と言って、一方的に電話を切った。

  ツーゥ、ツーゥ………

空しく響く発信音を聞きながら、後悔に沈むシンジ。
だが、トウジの言う通り、修行仲間が。より正確には、地獄への道連れが出来た事で、多少なりとも救われた気がしているも確かである。
かくて、総ての退路を絶たれた事で開き直った彼は、覚悟を固め、北斗の待つ死地へと向かった。



   〜 午前7時 影護邸 〜

「話はシンジから聞いた」

「そ…そうでっか。ほな、宜しゅう御願いします」

わざわざ玄関前で待っていた事とに驚き、しどろもどろになりながらも、どうにか入門(?)の挨拶をするトウジ。
だが、北斗の用件はそれではなかった。

「以前、面倒を見てやった弟子共に言わせると、俺は御世辞にも優しい師ではないらしい。
 零夜ですら、お前を巻き込むのは止めろと言っている」

「は…はあ」

「判るか? お前が今やろうとしているのは、そういう無謀な事だ。
 それでもやり抜く覚悟があるのならば、ついて来い」

そう言うと、北斗は室内へと消えた。
教壇に立っている時よりも更に増大した………
より正確には、普段通りの彼の覇気に圧倒され、その場に立ち尽し呆然とするトウジ。だが、

「ええい、男は度胸じゃい!」

己を一喝して奮い立たせ、すぐにその後を追っていった。
ちなみに、彼のこうした無鉄砲は、北斗がこの地を去った後も変わる事がなかったらしいのだが、それはまた、別の御話である。




「まずは、服を脱げ」

数分後。シンジの隣に立ったトウジを僅かに微笑みながら一瞥した後、北斗は二人にそう命じた。

「下もだ」

零夜の目が無い事もあって、首を傾げつつも、素直に脱ぎだしたシンジとトウジだったが、この予想外の命令に身を強張らせる。
流石に、パンツまでは抵抗があるらしい。

「どうした?」

そう促されても、やはり簡単には実行出来ない。
ためらいと緊張で、手がなかなか思うように動かないのだ。

(なあシンンジ。まさかセンセって、アッチの趣味の人なんか?)

(えっと。取り敢えず、それだけは無いと思うよ)

「さっさとしろ!」

北斗の叱咤に、弾かれたように直立不動の姿勢となる二人。

「回れ。背中が見たい」

彼等の包み隠さぬ裸体を、頭から爪先まで具に凝視した後、北斗は、新たな命令を下した。
舐める様な視線に恥じ入りつつも、それに従う二人。
だが、先程と同じ様に見詰められているかと思うと………

「もぞもぞ動くな。それと、今度は床に手をつけ。膝を曲げずにな」

(い…いよいよもって、マジなんやないか、コレって? 所謂、後ろから一突きってヤツじゃ………)

此処に来た時の勢いは何所へやら。
今にも泣きそうな顔になるトウジ。

(大丈夫。だってソレ、物理的に不可能だもの)

裏面の事情を知るが故に、シンジには、トウジが心配しているような事はありえないと断言出来る。
だが、それだけに何をされるのかが判らず、ある意味、彼以上の不安に晒される。

「右に上半身を捻れ」

「「……………」」

「次は左だ」

「「……………」」

「上体をそらせ」

「「……………」」

「屈伸してから、大きく跳躍しろ」

「「……………」」

かくて、まな板の上の鯉もかくやという諦観のもと、二人は唯々諾々と北斗の指示に従った。




「よし、だいたい判った」

そんなこんなで15分後。
全裸での柔軟体操が終了した後、瞑目して何事か考えていた風の北斗だったが、突如目を開けると、そう言った。

((きた!))

獲物を狙う肉食獣の様なその瞳に、受け取り方こそ違えど、同時に運命の時が来た事を悟る二人。

「もう服を着ても良いぞ」

「って、なんやコレで終わりかいな。もうホンマ、人が悪過ぎやで、センセ」

総てが取り越し苦労だった事を知り、あからさまにホッとした表情となるトウジ。

「そんな訳ないだろう。今のは単に適正を見ただけだ」

「つまり、此処から特訓の本番なんやな」

「そういう事だ。シンジ、お前の取り柄は身体の柔軟さと、そこそこ高い瞬発力だ。
 あの女に勝つ為に、その辺を生かした技を教えよう」

と、北斗がニヤリと笑いながら言った時、シンジは本能的に悟った。
もう絶対に逃げられない事を。
そして、この一月で急激に成長を遂げた知性は、こう告げていた。
訓練中、死にはしないだろうが、限りになくそれに近い状態にまで追い込まれる。
それが可能となるくらい、自分の肉体情報の一切合財が北斗に握られたのだと。

「センセ。わしは? わしの取り柄は?」

「骨格の頑健さと大きな拳だ。
 幸い、お前には時間制限が無い事だし、それに見合う身体作りから始めて貰う」

ちょっとだけ、トウジの能天気ぶりが、腹立たしくも羨ましいシンジだった。



   〜 翌日、 赤木ラボ 〜

「(カチャ)例の決闘の正式な日時が決まったわ。
 来月の11日、午後3時に。場所は、ウチの修練場よ」

何時も通りにダベリに来たミサトに、リツコはコーヒーを差出しながら、昨日、零夜から伝えられた事を告げた。

「何よ。大騒ぎするからどんな大怪我かと思えば、2〜3日で治る程度のものだったの?」

さも、『心配して損した』といった顔で呆れるミサト。
無論、実際に心配していたかと言うと、疑問符を付けざるをえないのだが。

「そんな訳ないでしょ。私の見立てでは、全治二週間は掛かる打撲だったわよ」

ミサトの勝手な感想に反論しつつ、その事実の意味を再確認する。
あの家には、医療面においても、自分の常識を覆す何かがあるのだと。
影護家の完璧な防諜対策が、心底恨めしいリツコだった。

「それと、彼等は強羅絶対防衛線近くの公園へ合宿に出かけたから。
 姿が見えないからって、調子に乗って『逃げた』とか吹聴したりしないでね。
 勿論、『陣中見舞い』とか称して、チャチャを入れに行くのも絶対駄目よ」

気落ちした心を奮い立たせ、リツコは注意事項の伝達を続ける。
そう。せめて、今語っているこの部分だけは、厳守させなくてはならないのだ。

「どうしてよ! イイじゃない別に」

合宿と聞いた時点で、からかいに行く事を脊椎反射的に決めていただけに、彼女の掣肘に噛み付くミサト。
だが、リツコとしても、これは譲れない。

「どうしてもこうしても、今シンジ君が習っている技は、貴女に見られたらその時点で意味を失う、手品の様なものの筈でしょう?」

「え?」

「惚けたって駄目よ。
 たった二週間で現役の軍人に勝とうと思ったら、相手の油断につけいるしか無いこと位、門外漢の私にだって判る事。
 仮にも専門家の貴女が、それに気付かなかったとは言わさないわよ」

リツコの説明によって、ミサトにも、なんとなくだが事態が見えてくる。
無論、専門家としての矜持から、『気付いていなかった』などと、本当の事は言わない。

「只でさえ圧倒的に有利な立場だというのに、相手の唯一の勝機まで奪おうなんて、ちょっと卑怯だと思わない?」

「別に、私はそんなつもりじゃ………」

云われ無き非難に晒され、ミサトは、拗ねた様に恨みがましい視線で見詰め返した。
だが、リツコはそれに頓着する事無く、尚も言い募る

「それにね、貴女には絶対に見せないって条件で、合宿先に監視カメラを設置する事を、北斗君が同意してくれたのよ。
 同時に『無意味な』ガードをつける事もね。
 御蔭で、漸く彼の動きを、分析可能なレベルの映像データとして入手できたし、保安部の不満も解消する事が出来たわ。
 もっとも、別の………それも、切実な不満が生まれたみたいだけどね」

「げっ。それじゃさっき、山崎課長が真っ青な顔してたのって………」

「ぼやいていたわよ、これじゃ闘う前に保安部は壊滅するって。
 実際、彼の実力を身をもって知った職員達は、全員辞表を出したみたいだし」

改めて、自分が相手にしている人物の危険性を思い知らされ、ゲッソリとした顔になるミサト。
だが、リツコはこの一件を、一つのターニングポイントと捉えていた。

「兎に角、私としては、この件を足掛りに、是が非でも北斗君との間に信頼関係を構築し、彼の超人的な身体能力のデータを取りたいのよ。
 したがって、今回個人的には、貴女に負けて欲しいとさえ思っているわ」

「そりゃ無いでしょ、リツコ」

「安心しなさい。
 なにせ、見るからに八百長が嫌いなタイプだから、わざと負けろとは言わないわ。
 その代り、事前に監視データを見るのだけは絶対に止めて頂戴」

お願い、これだけは守って!
内心ではそう絶叫しつつも、表向はき平静を保ち、リツコは忍耐強く説得を続ける。
だが、その努力は余り報われていなかった。

「………敵情視察位、普通だと思うけど」

眉間に皺を寄せつつ、ミサトは異を唱えた。
無論、これはシンジを警戒しての事ではない。
言われっぱなしでは業腹なので、専門家っぽい反論の一つもしておこうと思ったのと、
単に、『見るな』と言われたのでチョッち見てみたくなっただけである。

「言っとくけど、シンジ君を連れて行方を晦ます位、北斗君にとっては造作も無い事なのよ。
 彼との間のルールを無視すれば、此方が圧倒的に不利になる事を忘れないで欲しいわね」

此処までの話を全く理解していないミサトのセリフに眩暈を覚えつつも、リツコは、実務レベルでのペナルティを提示し、翻意を促した。
内心、『これで駄目なら、拘束も已む無し』と、胸に定めながら。

「なんかもう、北斗君には振り回されっぱなしね」

「振り回しているのは貴女の方でしょ。
 この一件の発端を、私が忘れたとでも思ってるの?」

「はいはい、判ったわよ。
 特訓場とやらへは近づきません。監視カメラの映像も見ません。これでイイんでしょ」

漸く返ってきたまともな返答に満足し、機嫌良く、実家から送られてきた紅葉饅頭をミサトに振るまいながら、『これでもう大丈夫ね』と安心するリツコ。

無論、彼女の考えは、そのお茶菓子よりも甘かった。



   〜 第一中学校近くの商店街 〜

商店街の入り口に位置する古びた駄菓子屋の前に立つと、ケンスケは初老の店員に声を掛けた。

「すみません、クスハ汁ありますか?」

「生憎と、クスハ汁は切らしていましてねえ。
 MEGUMIのスタミナドリンクでしたら、まだ倉庫を探せばあるかもしれませんが………」

「ちょっと見せて貰えませんか?」

店員に案内され、店の奥に入っていくケンスケ。
そして、裏手にある倉庫ではなく、店の二階にある茶の間の卓袱台前に、いかにも勝手知ったるといった感じで座ると、
分厚い封筒を差し出した。

「これが今週分のブツです」

笑顔でそれを受け取ると、中身を確認する店員。こちらも極自然な態度だ。
そう。先程の異常な会話は、ありえないシチュエーションによって他者の介入を排除することを目的とした、二人の暗号だったのである。

ちなみに、この初老の男性。実は、TV版の2A担任だったりする。
それが、何故こんな所に居るのか?
掻い摘んで経緯を語れば、北斗とミリアが教職に就いた事によって教師の頭数が揃ったので、年齢を理由に退職。
以後は、年金で悠々自適の生活となり、道楽で実家の駄菓子屋を再開させた所をスカウトされ、
副業として、ダークネスの現地連絡員を勤めているという訳なのである。

「それで、今、学校の方はどうですか?」

渡された写真のチェック兼観賞を終えた後、自ら煎れた茶を啜りながら、店員改め元教師金田平八郎は、さり気無く世間話を始めた。
教職を離れて、一ヶ月。流石にまだ、元の職場の様子が気になるようだ。

「新世紀の動乱の真っ只中です」

「まあ、そうなるでしょうな。  何しろ彼女は、常に闊達かつ颯爽としていますからね。
 人間、中々ああはなれないもの。やっかむ者も少なくないでしょう」

「いろいろツッコミたい所ですが、取り敢えず最大のものを。北斗先生は男ですよ」

元教師の語る北斗の人物像に困惑しつつ、ケンスケは、やんわりと反論する。
すると、彼は笑顔を浮かべつつ、

「はははっ。相田君、写真家を目指すのであれば、今少し観察力を養った方が良いですね。
 例えばそう。君も、北斗君の教員免許を見たことがあるでしょう?」

「はい。それが何か?」

「その免許の性別欄には、女性と記載してあった筈ですよ」

「え!?」

教師時代を彷彿させる淡々とした語り口の元教師。
だが、驚愕のその内容に、ケンスケは度肝を抜かれ絶句する。

「もっとも、実際に北斗君と接する時には、私も彼女を男性だと思って対応させて貰いますけどね。
 幾ら老い先短い身とは言っても、自ら終止符を打ちたくはありませんし」

そう言いつつ、元教師は不器用にウインクして見せた。
そのユーモラスな仕草につられて、ケンスケの顔にも笑顔が戻る。と、その時、

   ジャン、ジャカ、ジャカジャカ、ジャジャジャン(ピルルルルル)

軍艦マーチとノーマルのままの着信音が同時に流れ、
盗聴対策が施されたダークネス支給の携帯より、現地工作員の二人に、新たな任務が指示された。

「それじゃ先生、また明日」

別れの挨拶を済ませると、下された任務の準備の為、ケンスケは商店街内のディスカウントショップへ。
目的の品を探す傍ら、ふと見ると、在庫処分特価のハイビジョンTVが、午後のニュースを映していた。

『………市役所前のハンバーガーショップ、ロッ○りや上空を、謎の怪人が飛び回るという怪現象が起こりました。
 あっ。今、映像が入りましたね。御覧下さい、これは特撮などではありません。本当に飛行しているのです!』

「すっげえ! どうやって飛んでるんだよコレ!?」

麗らかな昼下がりの日差しの差込む、日曜日の一コマだった。




次のページ