〜 同時刻。富士裾野、戦略自衛隊駐屯地 〜

「明日、実演会に行くぞ」

公私共に右腕と頼む副官が到着すると同時に、獅子王中将は、前置き無しにそう切り出した。

「実演会? ああ、例の日重のJA(ジェットアローン)完成式典の事ですね。
 ですが、あれの招待状なら提督が『こんなハンプティ・ダンプティの出来損ないみたいなもので戦争が出来るか!』
 と言って、碌に中身も見ずにシュレッダーに捨てたじゃありませんか。
 それに、明日は別の予定だって入って………」

「違う! 俺が行くのはJAが機動する直後だ。式典には出ん。
 そして、明日のスケジュールを空けるのがお前の役目だ」

なんじゃそりゃあ!
胸中で、思わずそう絶叫する大河二佐。
だが、目の前に居る上司のこの手の我侭は、今日昨日始まった事ではない。
素早く精神的再建を果すと、根本的な部分を確認する。

「せめて、何故に急に行く気になったかを御教え頂けませんか?」

「匿名のタレコミがあったんだ」

と言いつつ、手元のデスクトッップに表示されたのメールを指差す獅子王中将。
そこには、『JA完成式典にて何かが起こる!』という、いかにも彼が好きそうなアオリ文句が。
そして、幾つかの荒唐無稽な情報と共に、ネフルから葛城ミサトが参加すると書かれていた。

「覚えておけ大河。  争いの無い平穏な世界などというものは、頭のイカれた宗教屋の妄想にすぎん。
 どんな形であれ、至る所で争いは起こっている。
 極論すれば、『ダンナが午前様だった』とか『女房が内緒でヘソクリをしていた』だのといった理由でおこる些細な夫婦喧嘩も闘争なのだ」

「は…はあ」

「そんなものとは比較にならない規模の戦いもまた然り。
 何故そうなるのか? それは、その中心に核となりうる人物が。天下を揺るがす運気を授かった風雲児が居るからだ。
 そして、明日、龍が再び雲に乗ろうとしている。
 それが判っていながら、この俺が行かん道理があるまい。そうだろう?」

「………仰りたい事だけは概ね理解致しました」

要するに、面白そうな騒動が起こるみたいなので行きたくなった訳か。
胸中でそう結論付けると、大河二佐は実務レベルでの問題点を指摘した。

「まあ、スケジュール調整に関しては、明日は重要度の高いものが入っていませんのでなんとかなりますが、どうやって会場に潜り込むんです?
 向こうも、社運を掛けてやっている事業。機密保持には神経を尖らせている筈です。
 いかに提督でも、いきなり『入れてくれ』で『はい、そうですか』という訳にはいきませんよ」

「心配するな。
 アレにはウチの馬鹿息子共も一枚噛んでいるからな。その辺の事は、向こうでなんとかさせる」

「馬鹿息子って。提督のお子さん達は、兄弟揃って十代にして博士号を取得した天才達じゃありませんか」

息子さん達も気の毒に。
そう思いつつ、フォローのセリフを入れる大河二佐。
だが、嫌な事を思い出したとばかりに顔を歪めると、

「なんの。先祖代々優れた軍人を輩出してきた我が獅子王家に生を受けながら、
 科学なんぞに現を抜かした挙句、俺に内緒でマサなんとかという、頭でっかちの青瓢箪製造学校に入りおった出来損ない共よ」

獅子王中将は、不快そうにそう吐き捨てた。

「クソッ、今思い出しても腹が立つ! あの馬鹿者共が!
 まさか獅子王家の熱き血潮が、俺の代で途絶える事になろうとは。御先祖様に顔向けが出来ん!」

そして、どんどんエキサイトしていく。
何時いかなる時も、自分で自分をノセて高い士気を維持出来るのは、中将の長所の一つなのだが、
時に、この様に、自分で言ったセリフに自分で腹を立てるのが困りものである。

「………いずれ御生まれになる御孫さんに期待するというのはどうでしょう?」

取り敢えず、彼の怒りの自家発電を止めるべく、そんな事を言ってみる。
だが、成人した子供を持つ親ならばオールマイティと思われた孫の話題もまた地雷だった。

「冗談抜かせ!
 兄は、21歳にして両手の指でも足りん程に情婦をこさえる色キチガイ! 
 弟は弟で、もうすぐ成人だというのに、浮いた話一つ聞かん根性無し! これでどう期待しろと言うんだ!」

「それでは、ご自分で新たに後継者を御造りになっては? 提督もまだ40半ばなんですし」

「なにぃ!」

苦し紛れの発言をした挙句、ギロリと擬音が付きそうな物凄い目で睨らまれる。

「す、すみません。少々下世話な………」

「そうか! その手があったか!」

あたふたとその失言をフォローしようとしたが、時、既に遅かった。
そう、彼は再々度。それも、特大の地雷を踏んでしまったのだ。

「明日、第61戦車部隊を会場近くに待機させろ。それと、花束の用意も忘れるなよ」

「了解しました。(すまない沙耶子、今度こそ駄目かもしれない。お腹の子を頼む)」

態度を一転させ、上機嫌で指示を出す獅子王中将。
それを拝命しつつ、胸中にて、まだ見ぬ我が子と愛妻に別れを告げる大河二佐だった。



   〜 翌日。第17再開発予定地(旧東京都新宿地区) 〜

「此処が、嘗ては花の都と呼ばれた大都会とはね………」

VTOL機の窓から、水没した超高層ビル群その廃墟を眺めてながら、ミサトは嘆息混じりに呟いた。
柄にもなく、諸行無常を感じている様だ。

「セカンド・インパクトによる水位の上昇に、N2兵器の乱れ撃ちだもの。形が残っているだけでも大したものよ」

ノートパソコンから目も離さずに相槌を打つリツコ。
彼女の場合、某ウイルスセキユリティの如く、この辺は常時起動状態。
ウイルス侵入(ミサトが馬鹿な事を始める)までは、改めて脳の処理能力を割り振る必要もない事である。

「何も、こんな最果ての地でやんなくてもいいのに。御蔭で、今朝は朝食抜きだわ」

グ〜と鳴った御腹を擦りつつ、ぶちぶちと愚痴る。
零夜に餌付けされて早半月。もはや、少々の空腹ぐらいでは、コンビニ弁当など食べる気になれない。
生活水準が向上した代償に、食生活では、生来のハングリーさを失ないつつあるミサトだった。
これを人間的成長ととるか堕落ととるかは微妙なところである。

「それで、戦自は絡んでるの、この計画?」

「戦略自衛隊?
 いいえ。何故か物々しい警備をやってるみたいだけど、計画そのものへの介入は認められずよ」

「ふ〜ん。どおりで好き放題にやっているってわけだわ」

「日重も、貴女にだけは言われたくないでしょうね」

「どういう意味よ、それ!」

「言葉どおりの意味よ。あっ、見えてきたわね」

ふくれるミサトをいなしつつ、これでこの話は御終いとばかりに、リツコは窓の外に見え始めたドーム状建築物。これから開幕される喜劇の舞台へと目を遣った。



   〜 JA完成披露記念式典会場 〜

紅白の幔幕が張りまわされた会場に、幾つもの巨大な円卓。
その上には豪奢な料理が並べられ、それぞれ十数名の招待客が腰を下している。
そして、舞台の真正面に位置する円卓には、『NERV御一行様』と書かれたネームプレートが置かれ、たった二人の女性客の為に、一際豪華な装飾が施されていた。
だが、そのうちの一人。
ネルフが誇る作戦部長の瞳は、とても食べきれない量の料理でも、飾られた美麗な花々でもなく、

「うぅ〜、目の前のエビちゅがあるのに飲めないなんてぇ〜
 やっぱ、これってウチへの嫌がらせ?」

「だとしたら、さぞや腕利きのスパイを雇ったんでしょうね。
 貴女の個人的なカケの事まで調べあげたってことですもの」

既に半月以上に渡って胃に納めていない美酒に釘付けだった。

「ね…ねえ、リツコ。ものは相談なんだけど………」

「そう。さよなら、私、貴女の事が好きだったわ」

親友が飲酒許可とその隠蔽を訴え出す前に、半ば本気で愛想をつかしつつ、淡々と別れの挨拶を告げる。
論外な。自分で自分の死刑執行書にサインするが如き愚行。
流石の彼女でも、これはフォローしきれない。

「や…やあね、そんな故人の冥福でも祈る様な目で見てぇ。
 冗談に決まってるじゃないのよぉ〜 あはははははははっ!」

どう見ても本気だったじゃない!
胸中でそう絶叫するリツコ。と、その時、

「(クスッ)」

二人の会話を漏れ聞いたらしく、すぐ脇を通りかかったキノコが。
否、特大のマッシュルームカットの男が失笑した。
耳聡くその笑い声を聞きつけたミサトが、ジロリと男を睨みつける。
だが、安手のコメディアンの様な。良く見れば高級スーツと判るのだが、装飾が無駄に派手なその姿に気勢を削がれ、イマイチ迫力が無い。

「オ〜ホホホホッ。
 あら、御免なさい。アタシったら、お客様に向かって無作法な真似をして。
 御詫びの印と言ってはなんだけど、今、つまらない諍いのモトを排除させるわね」

今度はハッキリと哄笑しつつ、キノコの男は己の非礼を詫びると、後ろに居た取り巻きの一人に、ミサトを誘惑してやまない生命の水を片付ける様に命じた。

「あああっ(泣)」

運び出されて行くエビちゅを、恨めしげに見詰めるミサト。
既に、イチャモンをつける気力を失っている。
そんな打ちひしがれた彼女に構う事無く、キノコ男はさっさとその場を後にし、すぐ前の舞台へと上がった。

舞台には、こういった会での定番である金屏風と祝いの花輪が配置され、天井からは『祝 JA完成披露記念会』と書かれた看板かけられ、
その上部には、クス玉が抜かりなくスタンバっている。
一瞬、それらを満足げに見詰めた後、

「本日はご多忙のところ、我が日本重化学工業のJA実演会に御越し頂き、誠に有難う御座います。 
 私は、JA開発責任者の宗武サダアキ。スタッフ一同を代表し、心より感謝致します」

壇上に立った彼は、先程までのキンキン声とは似ても似つかない深みのあるバリトンで、開会の挨拶を行った。



「………とまあ、甚だ簡略ではありますが、以上で説明を終ります」

(なんか、この手のものにしては意外と短かったわね)

(でも、要点は良く纏まっていたわよ。
 事前に知っていて欲しい予備知識だけを抜き出したと言った所かしら。
 実質的なアピールは、実際に動かしてる時にやる気の様ね)

15分後。キノコの第一印象を裏切るソツの無い進行ぶりを見ながら、小声で囁きあうミサトとリツコ。
ライバルの思わぬ実力に、困惑の色を隠せない。

(困ったわね。まだ、こんなに残ってるのに)

いや、実際に困惑しているのは一人だけ。
そう零すネルフの作戦部長の目には、いまだ1/10も攻略されていない敵勢力。
テーブルを埋め尽くしているパーティ料理しか映っていなかった。
久しぶりの。それも、かなり美味な洋食。此処で戦闘を放棄する気など毛頭無い。

「なお皆様には後程、展望室の方にて試運転を御覧頂きますが、御質問のある方はこの場にてどうぞ」

「はい」

挙手したのはリツコだけだった。
意外に思われるかも知れないが、これはそう不自然な事ではない。
他の客達にしてみれば、JAは、いまだ海の物とも山の物とも判らない物。
質問は実物を見てからで充分であり、わざわざこの場で訊ねる必要など無いのだから。

そして、彼女にしても、この質問自体にあまり意味は無い。
単に、他の客達が、キノコの術中に嵌らない様に。
高まった期待を抱えたまま、試運転の場へと赴くのを防ぐ為である。

「これは赤木リツコ博士。
 御高名な貴女の興味を引く事が出来るとは、光栄の至りです」

そんな水面下の駆け引きの下、すぐにリツコの手にマイクが渡される。

「幾つか質問を宜しいでしょうか?」

「ご遠慮なくどうぞ」

「先程の説明ですと、内燃機関を内蔵とありますが?」

「ええ、本機の大きな特徴です。
 最大で、連続150日間の作戦行動が保証されます」

「しかし、格闘戦を前提とした陸戦兵器にリアクターを内蔵する事は安全性の点から見てもリスクが大き過ぎると思われますが」

「流石は実戦経験者、目のつけ所が違いますな。
 ですが、ご安心を。手元の資料を御覧頂ければお判りと思いますが、
 万が一にもチャイナ・シンドロームやチェルノブイリの様な悲劇を起こさぬ様、幾重にも安全装置を取り付けております。
 これに比べれば、老朽化した箱根原発を放置してある事の方が、余程重大な問題ですよ」

「遠隔操縦では、緊急対処に問題を残します」

「いや、手厳しいですな。
 見苦しくも言い訳をさせて貰うならば、JAは元々作業用ロボット。その辺の不備は御容赦の程を」

此処で、リツコは己の不利を悟った。
向こうは、此方の挑発に乗る気が全く無い様だ。
それ所か、やんわりと受け止め、自分の望む方向に話を誘導している。
しかも、これでは客観的に見て、此方が言い掛かりをつけている様にしか見えない。
何を言っても、相手を利するだけだろう。

「よ〜なさ〜よ、ほ〜なげない(よしなさいよ、大人気ない)」

その通りね。でも、貴女にだけは言われたくないわよ!
口一杯に料理を頬張りつつ諭してくるミサトをキッと睨んだ後、

「人的制御の問題もあります」

「それについては、私共も検討中。
 制式タイプは、現場にて主要操作を行うパイロット搭乗型とする事も視野に入れております」

彼女は、この暖簾に腕押しな舌戦を更に続けた。

一番前の目立つ席。しかも、隣には道化まで控えている。
自分のやっている事は、相手の宣伝をしてやっている様なもの。
彼女の中の冷静な部分は、しきりにそう訴えていた。
だが、それでも止められなかった。
カッなると後に引けなくなる所は、親友にそっくりなリツコだった。



   〜 1時間後。特設展望室 〜

『え〜、これよりJAの起動試験を開始します。
 何ら危険はありません。そちらの窓より、ゆっくりと御覧下さい』

スピーカーからアナウンスの声が聞えてくる。

「いよいよね」

全面がガラス張りの部屋のほぼ中央。見物客達の中に紛れ、一人、細笑むリツコ。
そう。先程の舌戦は惨敗に終ったが、彼女には起死回生の策が。
奇しくも、TV版からゲンドウを除いただけのシチュエーションで仕掛けた、キノコへの報復手段があった。
その時を、今か今かと待ち望む。
ちなみに、下の階では、いまだ親友が大皿料理と格闘中だったりするが、そんなものはスルーした。
保護者の責任を放棄したと言う無かれ。
『朱に交われば紅くなる』と言うが、今の彼女は、復讐こそが第一の優先事項。
ミサト級の問題児と化した現状で、自らの職務の全うせよと言う方が間違っているのだ。

   ガコ〜〜ン!

かくて、低い地響きと共に、格納庫が左右にスライド。
土煙の中、姿を現す巨大ロボットJAことジェット・アローン。
だが此処で、予想外の事態が起こった。

「な…何故?」

JAの外観に驚くリツコ。
それもその筈、その姿は、パンフレットの物に大幅修正が。
大仰にディフォルメされたフォルムに原色バリバリなトリコロールのカラーリングと、
無理矢理にではあるが、80年代のスーパーロボットを意識したデザインで、エヴァよりも、ずっと正義の味方っぽい感じなのだ。

「何アレ、頭身が目茶苦茶じゃない。
 なんつ〜か、初号機も大概悪役面だけど、コッチはSD系?」

と、背後からか間伸びした声が。

「いやもう。ホントわっかんないわよねぇ〜、科学者のセンスって」

それを言っちゃあ御終いなセリフを躊躇い無く吐きつつ、ミサト登場。
茶番が一段落するくらいまでは向こうで粘っていると思われただけに痛恨の計算ミスである。
回りの。取り分け、開発スタッフ達の白い目にさらされ汗顔なリツコ。
だが、彼女の計算違いは、これだけでは終らなかった。

『テスト開始』

『全動力、解放。圧力、正常へ』

『冷却機の循環、異常無し』

『動力、臨界点を突破。出力問題無し』

『歩行開始』

JAが、その巨体を一歩前に踏み出す。

「「「おぉぉぉぉぉぉ!」」」

バッテンの書かれた場所へと悠然と歩を進めるその堂々たる姿に、歓声を上げる出席者達。

『歩行システム正常。動力異常無し』

『了解。引き続き、プラクティスモードへ』

制御室からの指示に従い、バミの書かれた場所にてファイテングポーズ。
小刻みに上体を揺すり、時折パンチを打ち出すといった、シャドーボクシングの様な動きをとりだすJA。
その無骨な外見に似合わぬ、中々スムーズな動き。順調に機動プログラムが動いている証拠である。
だからこそ、リツコには、目の前の光景が信じられなかった。
何故なら、それは彼女が仕掛けた筈の仕掛けが。
その起動と同時にOSを侵食し、内臓されたリアクターを暴走させる自壊プログラムが作動していない事を示しているのだから。
だが、無情にも、機動試験は順調に進んでゆく。

(何故?)

いよいよ焦りだすリツコ。その背後より、

「そう言えば昨日、どこの誰かは知らないけれど、ウチのJAの制御プログラムをイジってくれたハッカーがいたわね。
 まあ、制御装置は丸ごとおニューの物に取り替えたから、今のあの子には関係ないんだけど」

と、聞こえよがしの宗武の声が。
そう。ネルフ側が概ねTV版準拠の対応だったのに対し、日重側には大きな相違があった。
世間知らずな時田なら兎も角、業界でもオカマキノコと………
いや、策士と呼ばれ恐れられている宗武が、他者の妨害を警戒しない筈がないのである。

計画の失敗のみならず、自身の犯罪の証拠まで掴まれた事を知り、狼狽するリツコ。
何せ、ハード的に隔離され、電気の恩恵が得られない状態では、どれほど完璧な自動消滅プログラムを組もうとも、それを起動させようが無い。

「へ〜え。思ったより、ちゃんと動いてるじゃない。自慢するだけの事はあるみたいね」

「オッホホホッ。アリガト、お世辞でも嬉しいわ。
 まして、使徒戦経験者である貴女の言葉ともなれば、あの子にもハクが付くってものよ」

そんな親友の心中など知る由も無く、何やら宗武と談笑を始めるミサト。
おだてに弱い人間と、おだてるのが得意な人間。
共に人間の後ろに疑問符が付きそうな二人だが、話が合うのは自明の理だろう。

(どったのかしらねぇ、リツコってば? なんか、どんどん顔色が悪くなってくみたいだけど)

(さあ? 何か心配事でもあるんじゃないかしら? 『色々と責任のある』立場ですもの)

かくて、リツコの背後には、猛烈に嫌な空間が。
その重みに耐えかね、彼女が押し潰されそうになった時、

   ビーーーーーーー!

突如、耳をつんざく様な電子音が鳴り響いた。

「何よコレ、オーバーヒートでもしたの?」

「いえ、違うわ。
 これは警告音。JAのセンサーが、何らかの異常を察知して、自動的に早期警戒モードに入ったのよ」

耳を押さえつつ訪ねるミサトに、傘の部分を閉じつつ大声でそう答えるキノコ………じゃなくて宗武。
そして、その言葉を証明するかの様に、

   シュッ

上空に、ロサ・カニーナのピンクの船体が現れた。



   〜 会場の外周部、弟61戦車部隊、指揮車輌 〜

「(フー)やれやれ、本当にきやがった。
 いや、傍迷惑なまでに冴えてやがるな、この手の事に関するあの大将のカンは」

シガリロの紫煙を大きく吐きつつ愚痴る毛利一佐。
何時も通り、指揮車輌の上部に陣取り、コンポでBGMを流しているのだが、
その選曲が、定番の某クラシックから、サ○北島の『がまん坂』に変わっている辺りに、彼の現在の心情が現れているらしい。

「いや、まだ中将だったか。
 いずれにせよ、謹慎明け早々、悪の秘密結社と戦わされるとはツイてないぜ。厄年には、まだ何年か間があるってのによ〜」

「そう言わないで下さいよ一佐。
 この間の大怪獣に比べれば、ナンボかマシじゃないですか」

「(チッチッチッ)判ってないねえ。これだから独身ヤローは困るんだ」

諌めようとする副官の言葉を、『日本じゃ二番目だ』ポーズを決めつつ制すと、

「ウチのガキがファンなんだよ、あの大豪寺とかいうパイロットのな。
 だもんだから、相手が怪獣なら兎も角、アレに負けた日には寧ろ喜ばれちまう。もう最悪だろ?」

「は…はあ」

何と言って良いのか判らず、返答に詰る副官。

「と言っても、やらない訳にもいかないんだよなあ〜 軍人はツライぜ、まったく」

尚もそう語散りつつ、シガリロの吸い差を灰皿へ。
無意味な愚痴だらけだが、これを怠惰、若しく臆病とそしるのは些か酷だろう。
これから、絶対に勝てない。それも、遊ばれる事が確定している、悪夢の様な戦いが待っているのだから。

「つ〜わけで、全軍突撃!
 獅子王のオッサンに後ろから撃たれない様、余計な怪我などしない範囲で勇猛果敢に戦いやがれ」

かくて、色んな意味で諦めの境地に達した毛利一佐は、半ば投遣りに号令を下した。




>OOSAKI

「はい! おはようからおやすみ後の夢の中まで、アキトの心に住み続けて17年。
 ダークネスの女幹部、御統ユリカ只今参上です。ブイ!」

毎回チョッとづつ捻っているらしい口上を語りつつ、艦長が御約束の名乗り上げを決める。
だが、今回は少々状況が違った。

「ちょっと艦長。  幾ら何でも、今の発言は問題よ。断固として訂正を求めるわ」

キノコに含む所が無い事を理由に参戦を拒否したボナパルト大佐に代わって、ブリッジにエリナ女史がスポット参戦中なのだ。
しかも、アカツキの問題を始めとした様々な気苦労を抱えている所為か、かなりカリカリしている御様子。いきなり駄目出しが入る。
だが、その程度でメゲる艦長ではない。

『あっ、そうか!(ポン)
 ウッカリしてました。私ったら、もう一つの歴史分の年月を入れていませんでしたね』

『って、違うでしょ!』

『それでは改めまして。アキトの心に住み続けて22年の御統ユリカ、只今参上です。ブイ!』

『私の話を聞きなさ〜い!』

さて。今回、公私共に忙しい合間を縫って、『何故、使徒戦でもないのにこんな所へやってきたか?』なのだが、
そう問われれば、恐ろしい事に『その場のノリ』としか答えようが無い。
実際、俺達にしてみれば、わざわざTV版を踏襲し、茶番以外の何物でもないJA騒動なんかに関わる理由なんて無いので、当初、これは頭からスルーする事になっていた。
だが、昨日、ダークネス宛に送られてきたダイレクトメール。
JAの紹介文。その中にあった開発責任者に関する記述を読むうちに、俺の中に今回の企てが急浮上したのだ。

そんな訳で、八方手を尽くし、手の空いている者達を集め急遽出撃を要請する。
最初はいぶかしむナデシコクルー達だったが、スクリーンに映した開発責任者のポートレートを見た瞬間、俺と同じ結論に達してくれた。
そう。なんとその人物の名は、宗武サダアキ。
嘗てキノコと呼ばれ親しまれていた某提督と同姓同名であり、しかも、あの男の遠い御先祖様としか思えない様な容姿をしていたのである。
丁度、悪の秘密結社らしい作戦行動をしたいと思っていたところ。
これはもう『全力で邪魔してやるしかない!』と、ちょっぴりイジワルな事を考えたしとしても、一体誰に責められよう。

ちなみに、俺達が一致団結したその会議場で『あの、自分が責めても良いですか?』と、ナカザトが、あいも変わらず空気の読めない事を言ったりもしたが、
そんなものは、全員で丁重にスルーしたのは言うまでもないだろう。

「いずれはアキトの物になるこの世界に、放射能を撒き散らすなんて絶対ダメ。
 ユリカは、もうプンプンです。こんなアブナイ玩具は、私達で処分しちゃいます」

と、俺がモノローグを入れている間に、艦長の前フリの説明が終わり、画面はロサ・フェティダの発進シ−ンへ。

   ドウ、ドウ、ドウ………

会場の外周部に待機していた戦車部隊から、対空砲火が浴びせられられるが、当然、それはDFで防ぐ。
そして、そのまま一気に彼等の真上まで詰め寄り、

   ガコ〜ン
         ガララララッ〜

低空飛行に入ったロサ・フェティダから、搭載していたコンテナが投下。
地上に到着すると同時に、中からトライデント中隊専用戦車ウィスカーD型(改)4台が発進。

   バキッ
         ゴロン

懐に入り込み接敵するウィスカーD型(改)。
そのまま、敵戦車の横腹に激しく衝突。見事に横転させ、郷谷三曹が一番首を上げた。
サブウインドウで様子を見れば、操縦席は良い感じにシェイクされ、普段の彼らしからぬリアクションを引き出している。
とまあ、此処まで言えば、もうお判りだろう。
そう、これは例の叛乱軍メンバー四人に課せられた任務兼罰ゲーム。
わざわざウィスカーE型の予備機を再改修して有人操縦のD型に戻し、更には主砲を取り外して、代わりにフォークリフト型の特殊前部装甲を装着して(改)に。
体当たりだけで、自軍の15倍以上の数を誇る第61戦車部隊を無力化するという、双方共に過酷な耐衝撃訓練を強制的にやらせるのがその目的である。

ちなみに、コレにヴィヴィ三曹は参加していない。
更に深い。とある理由から、他の四人が追い返されてきた別の地獄で苦役についていたりする。
嗚呼。思えば、彼は巻き込まれただけなのに、なまじ適正があった所為で………
まあ、死にはしないだろう、多分。部隊のお母さんとも言うべき紫堂一曹もついている事だし。

「や〜ってやるぜ!」

   バキッ
         ゴロン

とか何とか言ってる間に、四人中三人は、既に失神寸前な状態。
それを尻目に、一人、スコアを稼ぎ捲くる鷹村二曹。
なんか知らんが、この無茶な戦法が、えらく肌にあっているらしい。
とは言え、多勢に無勢。
このままでは、敵の指揮官(奇しくも、あの毛利一佐らしい)の号令の下、主戦場から距離を取って再編成された別働部隊に、成す術も無く狙い撃ちにされるのは時間の問題だろう。
そんな訳で、戦闘開始15分とやや早いが、罰ゲームを切り上げ撤収準備に入る。

    ガチャン
           ガチャン

俺の指示を受けたロサ・フェティダが、JAに何本ものワイヤーフックを引っ掛けだす。
この辺は、基となっている機体が輸送艦なのでお手の物。
『蝶の様に舞い、蜂の様に刺す』と言うにはややドン臭い動きではあるが、確実にターゲットを絡めとってゆく。
何とか抵抗しようとする風なJAだったが、所詮は無駄な足掻きに終わり、ものの数分で、お持ち帰りの準備は整った。

「それでは皆さん、ごきげんよ〜」

艦長の別れの挨拶を合図に、固定したワイヤーを引っ張り、梱包されたJAを吊る下げて飛び去るロサ・フェティダ。
それと同時に、敵戦車部隊を置き去りにし、弾かれた様なスピードで逃走体制に入るウィスカーD型(改)。
何せ、アレの製作には、班長も一枚噛んでいる。
その最高速度は、戦車としては規格外の数値。予め指定しておいた合流地点に着く前に捕獲される心配は皆無だろう。

「さてと」

何時もよりテロップが少ないエンディングを流した後、マッハ2程の速度でゆっくりと航行しつつ、今回の首尾を確認する。

   ピコン

「どうだい班長。上手くいきそうかい?」

『おう、シュンさんかい。
 任せてくんな。正直、一から組み直しだと思ってたが、これはイケるぜ。
 特に、外観に関しちゃイジる必要が無い位だ』

『ちょ…ちょっと見て下さい班長! 普通じゃありませんよコレ』

『なんだよ、今、話中………って、嘘だろ、通信用のレーザー発信部に天然ダイヤを使ってるのかよ!』

『ええ。それも、この大きさなら、カットしても15カラットは固いでしょうね。
 それだけじゃありません。関節部なんて、オールマグネットコーテング済みなんですよ!』

何やら興奮している時田博士と、話し込みだす班長。
良くは判らないが、どうやら心配は無用。ある意味、嬉しい悲鳴状態の様だ。

『うわ〜、えらい金かけてやがるなコイツ』

『まったくですね。
 ですが、基本設計は。JAの根幹部である機動制御プログラム関係は、ほとんどそのままみたいです。
 先程、パスワード『希望』にて、原子炉の停止を確認しました』

『そうか。ソイツは重畳』

流石の彼でも原発事故は怖かったらしく、明らかにホッとした顔になる班長。
そのまま、壁に貼られていたJA動力部の設計図(何せ、大本の設計者は時田博士)を一瞥した後、

『よ〜し、お前等! まずはヤバイ物から片付けるぞ。
 背後制御盤の撤去後、プルトニュウムの隔離。そして徹底洗浄だ。放射能防護服の着用を忘れるなよ』

彼は、大声で整備員達に指示を出した。

『『『う〜〜〜す!』』』

『とと、すまなかったなシュンさん。一体何の話だっけか?』

「いや、もう良いんだ。今の会話で、図らずも大雑把な所は判ったから。
 忙しい所を悪かった。撤去作業の方に集中してくれ」

   ピコン

かくて、JAの方は向こうに任せ、本来の問題に。
大打撃を受けたであろう日重へのテコ入れについての思索に戻る。
何せ、今回の企ては、完全に只の八つ当たりでしかない。
悪の秘密結社らしくはあったが、その所為で、路頭に迷う社員が続出したのでは寝覚めが悪い。
取り敢えず、パンフレットに記載されていたJA売却予定価格に5割程色を付け、ダークネス名義で日重に振り込んでおいたから、いきなり金銭面で困窮する事は無いだろう。
だが、失った信用までは補填が効かない。
そこで、JAっぽいものを、次の使徒戦において活躍させてみようというのが、俺の目算。
そう。詰め腹を切って七輪でコンガリ焼かれるのはキノコだけで充分なのだ。
………間違っても、食べたいとは思わないけどね。(汗)

突如浮かんだ悪夢の様なビジョンを振り払う。
そして、日重問題については、次の使徒戦後の株価状態を見て考えるという事で一段落つけると、ステルス機に乗り込むべく格納庫へと向かった。

そう。これから行う、もう一つの戦い。
これはカヲリ君にだけは絶対に聞かせられない話となる。
それ故、今回の私闘とは別の意味で、彼女のジャンプに頼る訳にはいかないのだ。



   〜 1時間後。マーベリック社 会長室 〜

   バタン

「一体どういうつもりなんですか、グラシス中将。
 フリーマン准将から聞きましたよ。週に一度は様子見に帰る約束だったのに、もう一ヶ月以上も西欧州司令部に顔を出していないそうじゃないですか!」

会長室に着くと同時に、切り口上で詰問する。
これまでであれば、こんな非礼な真似はしなかっただろう。
だが、今となってはそうもいかない。一歩でも引けば、逆に此方が丸め込まれてしまう。
そう。既に中将は、軍人から商人にジョブチェンジ済み。
煮ても焼いても食えない、カグヤ君と同種の人間なのだ。

「仕方ないだろう。
 今、我が社は過渡期。身体がもう2〜3欲しいくらい忙しいんじゃ」

「忙しいのはカヲリ君だけでしょう!
 おかしいと思っていたんですよ。その気になれば、ラピスちゃん一人でも可能な仕事なのに、不自然なまでに彼女が多忙なのが。
 豹堂を締め上げて吐かせました。
 最も忙しかったであろう第四使徒戦の直後でさえ、中将は毎日8時間のタップリ睡眠。
 しかも、仕事上の厄介事は、ほとんどカヲリ君任せで、彼女が学校に行ってる間にやっている事と言えば、趣味の映像編集だけだったそうじゃないですか!」

「だって、わし、カヲリが居ないと何も出来ないんだもん」

くっ、開き直りやがった。
こうなると老人は手強い。平気で捨て身の手を取る分、我侭な子供よりもタチが悪い。
だが、此処で怯んでいる暇など無い。俺の持ち時間は、カヲリ君が帰宅するまでの後二時間しなかいのだ。

「兎に角、わしだって忙しいんだ。
 これから、カヲリの地元公立高校進学などという暴挙を止める大仕事が………」

「そう、それです!
 いたいけな中学生に。マユミちゃんにスパイの真似事をさせるのは止めて下さい!」

「君だって、相田君を使ってやっている事だろう」

「………まずは、イーブンですか?」

「まあ、そんな所じゃろうな」

序盤の様子見は互角か。
やはり、厳しい勝負になりそうだ。




>SYSOP


   〜 同時刻。とある大型工場衛星の一角、特殊部隊メールシュトロノーム駐留基地 〜

『ぐわ〜〜〜っ!』

『ガイ〜〜ッ!』

執務室に、第五使徒戦序盤のハイライトシーンが流れている。

「また、例のSDVDを見ておいでなのですか?」

「あっ。来ていたのホウショウ?」

急加速&圧倒的な広域放射の所為で回避に失敗し、ダーク・ガンガーが直撃を喰らうシーンで一時停止を掛け、報告書を携えてやってきた腹心の部下に向き直るカグヤ。

「良いでしょ別に。
 これを手に入れる為に、法外な額の投資をしたですもの。元は取らないと」

「その事なのですが………
 経理部と人事部の連名で、この様な嘆願書がきております」

と言いつつ、エマ中尉は手元の書類を差し出した。

「あら、予想以上に派手な赤字だったのね」

書類を読みながら、笑顔でそう宣う。
その仕草に、エマ中尉は僅かながら懸念を覚えた。
彼女の知るカグヤは、失敗は真摯に反省する女性。
先程、ノックに気付かなかったのも合わせ、普段ならば考えられない態度である。

「………これは、責任問題になりますよ」

思わず、そう諫言する。
だが、それに対するカグヤの対応は、彼女の想像を絶するものだった。

「そうねえ。取り敢えず、この嘆願書の御要望通りに、暫くは此処で謹慎でもしていましょうか。
 ホウショウ、私の代わりに、この書類をカオルに。そして、リサコにプランBの成功をもって、プランAは破棄する様に伝えて頂戴」

「なっ!」

渡された書類の内容に絶句するエマ中尉。
そこには、現在、西欧州で、札束で頬を叩く様な買収工作を行っている現地担当者の不正についての詳細なデータが綴られていた。

「困ったものよね。
 確かに、工作資金は無制限に使っても良いと言いましたけど、御自分のポッケに入れても良いとは言っていませんのに。
 おまけに、これ以前にも横領をなさっているみたいで………これから大変よね、この方」

そう言いながら、クスクスと笑うカグヤ。
その姿に、エマ中尉は、これまで胸中にあった疑惑を確信へと変えた。

「やはり、プランAは捨て駒でしたか」

親しい者でなければまず気付かない程度ながらも、声音を幾分キツく変化させそう尋ねるエマ中尉。
そう。最初から現地担当者をスケープゴートにするつもりでなければ、こうもスムーズに不正の証拠が手に入る筈が無いのだ。

「あら、最初に西欧州司令官代理の攻略を主張したのは貴女じゃなかったかしら、ホウショウ?」

「その通りです。私は、もっとも確実な方法だと考え、そう進言致しました。
 ですが、此処まで論外な。いっそ暴挙とも言えるほど、資金を投入するとは思っていませんでした。
 まして、カグヤ様は、この策をオオサキ提督を油断させる為の見せ札として使った。そうでしょう?」

「今日は随分とつっかかるのね。
 まあ、客観的視点からみれば、そんな風に受け取れない事もないから、貴女が怒るのも判る気がするのだけれど」

やっぱり!
微笑みながら韜晦するカグヤの姿に、思わず眩暈を覚える。
呆れた事に、彼女は失敗する事が判っている策に、湯水の如く資金を投入していたのだ。

「でも、その御蔭で、プランBは上手くいったでしょ?」

そんな心の内を読んだかのようなタイミングでの質問に、更に言葉すら失う。
確かに、オオサキ提督とラズボーン侯爵夫人を意気投合させて、彼女から必要な情報を得るという策は成功した。
実際、身内には大甘という、彼の弱点を巧みについた上手い策だとは思う。
これで、今後は使徒戦の進行状況が、ほぼ完全な形で伝わってくる事を期待できる。
また、オオサキ提督が、此方の策に気付く可能性も皆無だろう。
エマ中尉には、そう断言出来る。
もしも、今回の策略が露見したとしたら、それは彼が卓越した指揮官だからではない。
目の前の上司と同じ変人だからだ。

「………ノーコメントでも宜しいでしょうか?」

胸中では、言いたい事を言い尽くしたが、実際には力無くそう答えるだけなエマ中尉。
そう。策の存在を悟られない為だけに、一都市の年間予算並みの金額を平気でつぎ込める様な相手に、常識に縛られた彼女が語るべき言葉などあろう筈が無いのだ。

「あら、残念ね」

そう言うと、話は終わりとばかりに、カグヤは再び、SDVDの鑑賞を始めた。



  〜 午後7時。火星駐屯地、BAR花目子 〜

   ベンベベンベンベンベン、ベンベベンベンベン

普段はカラオケに使われている音響設備ある舞台で、派手な振り袖を着込みメイクもバッチリなBARのママが。
イズミが、三味線の音を軽快に響かせている。
その顔は、それを見詰めている従業員のアニタ共々、真剣そのものだ。
そして、一小節を奏で終ると同時に、彼女は、普段からは想像出来ない様なハイテンションな声音で、

「私は、カグヤ。カグヤ=オニキリマル。
 知性と美貌で勝負する、2199年の敵役。
 木連との流通シェアを独占中。いずれ世界もアキト様も、すべてが私のモノになりますわ。って、言うじゃない。
 でも貴女、この作品のラスボスじゃあ、ありませんから〜! 残念〜!
 悪ぶってても悪に徹しきれない、敵の女幹部系ヒロイン切り〜!
 ファンの皆様、申し訳ありません、自害!」

弾き語りにて口上を並べた後、懐が取り出した玩具の懐剣を突き刺す真似をしたポーズで見得を切った。

「(パチ、パチ、パチ)ヘ〜イ、ママ。ニューワークの三味線芸奴、ベリー・ワンダフルだったよ!」

そんな彼女へ向け、アニタが拍手しながら近づいてゆく。

「どうやら、枕営業をしてまで今後の展開を聞きだした甲斐はあったようね」

「イエス。ハードなビジネスだったよ、色んなピロウ(枕)を担いで、とあるホームへ………って、んなアホな!」

   チャン、チャン

「(クックックッ)次回の放送のトリは、これでイケそうね」

懐剣を懐にしまいつつ、それまでの態度を一変させ、イズミは、普段通りの不気味な笑顔でそう言った。

「イエス、ママ。後はプラクティスあるのみだね」

それを受け、勢い込んでそう応えるアニタ。
そう。彼女達は、ライバルの打倒に。
マニアックな司会者達の衣装と『契約手数料は、マーベリックが負担します』という歌い文句で一躍ブレイクした裏番組、
メイド部隊のテレホン投資信託を超える為、日夜、ネタ合わせに余念が無かった。

「(ドン、ドン)お〜い。いい加減、開店してくれないか?」

「えっ? あらら、もうこんな時間なの」

「オー、ミスティクね! ソーリ、アドミラル」

その結果、本業の方が疎かになりがちなのが玉にキズな二人だった。



   〜 同時刻。火星駐屯地のイネスラボ 〜

「彼の様子はどうですか?」

見舞いに来た少年の経過を尋ねるサイトウ。
その心は、コールタールよりも重かった。
そう。彼をラボへと運び込んで、既に半月が経過しているのだ。
これはもう、植物状態を覚悟する状況だろう。

「残念だけど、手遅れだったわ」

ともすれば、無神経とも言えるくらい率直な返答。
だが、それがサイトウには心地良かった。
普段は無駄に長い説明をしても、こういう時はスッパリと必要な事のみを端的に語る。
イネスのそういう所を、彼は気に入っていた。

「俺に出来る事はありませんか?」

門外漢の出る幕なんて無い。無論、そんな事は判っている。
だが、それでもサイトウは聞かずにはいられなかった。

「そうね。祈ってやってくれるかしら。せめて、来月号は落ちない様に」

(何時もながら、ドクターの言う事は正しい。俺には、祈る事くらいしか………ん?)

「ドクター、来月号って、どういう意味ですか?」

「良くぞ聞いてくれたわ!
 落ちたのよ。明日発売の月刊誌に載る筈だった、今月のときめき☆クッキング。
 エピソード的に見て、いよいよこの私が初登場しようかという山場の回だったのに!
 それも、助っ人のアシが例の5人だけじゃ心許無いから、私の弟子達までサポートに付けてやったのによ!
 こんな事が許せると思って? いえ、聞くまでも無いわ。当然、許せないわよね!
 私なんて、一昨日、ヒカル君から『残念ですが落ちました』の報告を受けた時、二度と机から離れられない様に、アマノ嬢の身体を改造してやろうかと思ったわよ!
 大体、彼女は計画性が足りないのよ。
 そりゃあ、二束の草鞋が大変なのは判るけど、それは彼女一人の事じゃないし、一度引き受けたからには責任を持って仕事をこなすのが………」

憤懣やるかたなしといった風に、怒濤の如く愚痴を零すイネス。
その勢いに押されながらも、サイトウは、一向に出てこない肝心な部分について尋ねた。

「ちょ…チョッと待って下さい、ドクター。
 何故、月刊誌やアマノさんの話になるんですか? 俺は、白鳥沢君の話をしているんですよ!]

「白鳥沢君? 彼なら、此処に来た次の日に、アマノ嬢にスカウトされて、彼女のアシになったわよ」

「アシにって………じゃあ、ベッドで寝ているアレは!?」

「アレ? ああ、あそこに置いてあるのは、ダミー愛ちゃんプロトワンよ」

「何故、そんなまねを!?」

「持場を離れる時は、代わりに人形を置くのが、ナデシコAからの伝統。それにのっとたのよ」

「なんで教えてくれなかったんですか!?」

「だって貴方、毎回、今にも死にそうな顔で『彼の様子はどうですか?』としか聞かなかったじゃない。
 だから正直に、彼が手伝っているアマノ嬢の原稿の進行状況を教えてあげたのよ」

打てば響くといった具合に、間髪入れずに返ってくる返答。
その容赦の無さに、サイトウは言葉を失う。

「私、嘘は一つも言っていないわよ」

最後に、そう言いながらウィンクして見せると、イネスはダミー愛ちゃんプロトワンを片付け始めた。

(嗚呼、要するに、俺、遊ばれたんだな。愛弟子達が留守なんで、実は寂しいんだな、この人)

呆けた顔でそれを見送りながら、ふと、知られざる世界の一端を垣間見るサイトウだった。



   〜 数時間前。2015年では午後9時、花形モータース会長宅 〜

「すまない沙耶子。男の子だったら幸太郎、女の子だった幸代と名付けて………」

「ええぃ、勝手に諦めるんじゃない!」

軟弱にも遺言を語り始めた副官の襟首を掴むと、そのまま引き摺って塀をよじ登る。

「今日の所は、引き分けという事にしといてやる!」

庭に放された十数頭のドーベルマンに。
非致死性暴徒鎮圧弾を構えた警備兵達に。
そして、それらを指揮しているとおぼしき40歳前後の般若の様な顔で怒りに震えている女性の手によって、既に満身創痍の状態とされながらも、
最後の見得だけは切ってから、獅子王中将は戦略的撤退を行った。



「今回はまた、一段と拒絶反応が強かったですね」

20分後。運び込まれた近所のカレーショップにて、漸く再起動を果たす大河二佐。
年に一〜二回のペースで、既に二桁を超える参戦経験を誇るのだが、何度やっても、この戦いだけは慣れそうも無い彼だった。

「まったくだ。(モグモグ)
 この熱き思いを、(モグモグ)余す事無く正直に伝えたというのに(モグモグ)一体、何が気に入らないのやら」

そう言いながら、店の看板メニューを。
『30分以内に全部食べたらタダ』が歌い文句の、ルーと御飯を合わせての総重量が約2sという超特盛りカレーを頬張る獅子王中将。
既に完食は目前だが、特に気負った所は見られない。
そう。彼にとってコレは、先程の激戦で失ったエネルギーの補給でしかないのだ。

「正直すぎるんですよ、中将は。
 いえ、それ以前に。いい加減、元奥さんとヨリを戻すのは諦めた方が良いんじゃないですか?」

「何を言っている! 俺にとって、女は獅子王 勇気だけだ!」

同じ正直なら、こういうセリフを、本人の前で言ってくれればなあ。
嘆息しつつ、胸中でそう呟く。そして、

「兎に角、口説き文句に『追加の息子が欲しくなった』と言われて怒らない女性なんていません。
 いかに中将の事を良く知っている、『花形』勇気さんと言えど例外じゃありませんよ」

「う…うむ」

大河二佐に痛い所を突かれ、言葉に詰る獅子王中将。
巻き返しのセリフを必死に摸索するが、胸中で上手く纏まってくれない。

「親父、御代わり」

仕方なく、彼は追加注文をする事で御茶を濁した。

「知ってます、中将?
 勇気さん、怒っていない時は、優しげな顔立ちをした和風美人だって事を」

「(モグモグ)当たり前だ!(モグモグ)勇気の事で、俺が知らん事なんて無い」

「そうですか? 自分は、一番肝心な部分が判っていないと思うんですが」

御代わりのカレーを頬張りつつ、彼としては精一杯であろう惚気たセリフを吐く獅子王中将の姿を見詰めながら、
大河二佐は、目の前の熱血馬鹿が更生するのを、再婚もせずに10年以上も待ち続けている彼の元妻に同情した。



    〜 同時刻。某高級ホテルのとある一室 〜

「……………ええ、…………ええ、そうよ。
 アタシとしてもね、可愛い部下達に纏まった額の退職金を出してやりたいのよ。
 つ〜わけでコレ、オタクらの方で買い取ってくれない? 無論、御安くしておくわよ。
 えっ?………………駄目よ。だってアタシ、今週一杯までしか日本に居ないですもの。
 ………………判ったわ。それじゃ三日後に。お待ちしていますわよ、冬月司令代理」

   チン

受話器を置くと同時に、顔中の筋肉が緩む。

「オッホホホホホッ。もう笑いが止まらないわ。
 予定とはチョッと違う展開だけど、実入りはコッチの方が断然多いし。所謂、結果オーライよね」

JAの旧制御装置に残された、リツコのリアクター暴走プログラムをネタにした強請に成功し、上機嫌で哄笑するキノコ………じゃなくて宗武サダアキ。
彼にしてみれば、妬み重なるネルフへの会心の一撃。気分が高揚しない筈が無い。

「まさか、ダークネスがアレに引っ掛って来てくれるなんて。
 しかも、JAの代金まで振り込んでくれて。
 なんてお優しい大首領さんなのかしら。もう、思わず惚れちゃいそうよ」

そんな某提督が聞いたら卒倒しそうなセリフを吐きつつ、ギッシリと札束の詰った数十個ものトランクを眺めて悦に入る。
つい先程、日重を懲戒免職された者とは思えない豪勢な持ち物である。
否、形式こそ、今回の失態によって、彼は重責解雇された形なのだが、その実体は寧ろ逆。
日重が、宗武に切り捨てられたと言うべきだろう。
何しろ、JA開発に携わったノウハウを持つ技術者は、ほぼ全員が同時退社し、アメリカのとある軍需企業への転職が決定しているのだから。
そう。彼の狙いは、最初からこのヘッドハンティング。
JAは、その対象達の技術力を測る為の試験石に過ぎなかったのである。

と言っても、宗武は、あの式典自体も、雇い主へのアピールに利用する腹だった。
あること無い事、興味を引きそうな内容を乗せたメールを、匿名で獅子王中将に送ったのは、その布石。
当初は、会場に出席した彼を上手く挑発し、やられ役を務めて貰うつもりだったのだ。
そして、ダークネスにJAの紹介メールを送ったのも彼である。
こちらは本来、駄目モトの策。
実は、他にも罵詈雑言から哀願調子まで、各種バリエーションを揃えて50種類程送っていたのだが、アレ以外は迷惑メールとしてダッシュによって削除。
まったくのノーマルの物だけがオオサキ提督に届いた訳なのだが、偶然にも、その一通こそが最大の挑発になったという訳なのである。
結果、JAはボロ負けした訳なのだが、これは予定通りの事。
圧倒的な戦力を誇るダークネスが相手ならば、負けても言い訳は簡単なので問題ないし、破壊するのではなく持ち去ってくれたのも好都合だった。
実際、あの後、完成式典会場では、ダークネスに手も足も出なかったJAへの非難が殺到したが、宗武はそれを逆手にとって、
『なまじ有為の兵器であるが故にダークネスに目を付けられてしまった』
『エヴァなんて、毎回何時でも持っていける状態になるのに、見向きもされない』
『不意打ちでさえなければ。いや、せめて専用武器のディ○イディング・ド○イバーが完成していれば』
といった感じの詭弁を並べ立て、招待客達にJA>エヴァといった印象を与える事に成功して見せた。
そして、返す刀で、出世の目を絶たれ絶望する開発スタッフ達に、
『実は、こんな話があるんだけど』と言った具合に転職話を持ちかけたコンボは、正に彼ならではの手際と言えよう。

おまけに、こうして大金までが懐に転がり込んできた。
というのも、JA件に関する一切は、ほんの五時間前まで、総責任者の宗武が取り仕切っていたからである。
悪の秘密結社が強奪した物の代金を振り込んでくるなんて非常識な事、普通は考えない。
まして、思考が硬直しがちな日重の上層部達なら尚更である。
それ故、彼が『退職金代わりよ』と嘯きつつ、ポッポナイナイしてもバレる心配は皆無という寸法なのだ。

「さてと。こっからコッチは、今日まで頑張ってくれたスタッフへの御褒美に決定。
 そんでもって、コッチのアタシの取り分の中から、ライガちゃんとレオちゃんに………」

と言いつつ、宗武はトランクの山を半分に分け、その片方からトランクを一つ手に取った処で、ふと思案顔となり、

「そうね。そろそろ、レオちゃんも一人立ちするべき頃合よね。
 それじゃ、これは新たな門出を迎えるあの兄弟への御祝儀って事で」

そう呟いた後、トランクを二つ持って、深夜サービスをしているATMへと向かった。



   〜 翌日、獅子王兄弟の住む日重の社員寮 〜

   バタン!

「兄ちゃん!」

「ん? どうしたレオ、血相を変えて。
 お前のキライな上司とも縁が切れたし、此処も来週には円満退社する事になっている。
 今のボクちゃん達が慌てる様な事なんて、何も無いだろう?」

ノックも無しに入ってきた常ならぬ弟の態度に不審を覚えつつも、ライガは誰何の声を掛けた。
一仕事を終え、もうすぐ退職金も入ってくる手筈になっている。
丁度、その使い道を考え悦に入っていた時だった事もあって、レオの激昂の理由が、彼には判らなかった。
否、この時点では、想像する事すら出来なかった。
『弟からの絶対的な信頼』という、己の築いた財産に頼りすぎていたが故に。

「まあ、強いて上げれば今後の住居だけど。
 これだって、どこか安宿にでも泊まりながら、適当なアパートを探せば済む事だろう?」

「そんな事はどうでもイイ! 
 第一、ボクは慌ててなんていない。兄ちゃんの悪行の数々に、呆れると共に激怒しているんだよ!」

「悪行?」

「ボク達が、あのオカマキノコに拾われる切っ掛けになった、あの原因不明の多額の借金。
 あれ、実は兄ちゃんが、マフィアのボスの愛人に手を出した時の示談金だそうじゃないか!」

ヤバイ、どうしてバレたんだ!?
背筋を走る寒気と共に、ライガの頭に疑問符が溢れる。
この件は、向こうの幹部達と自分。そして、仲裁役を勤めてくれた嘗ての上司しか知らない筈………

「それだけじゃない!
 契約金と給料の半分は借金返済にあてたけど、残りの半分。
 此処半年分の給料が振り込まれた筈の共同預金の通帳に、2、530円しか入っていないってのは、どういう事なのさ!?」

「いや、その………」

「食事等の生活費は、寮費として別途に納めていたんだ。
 幾ら厚顔な兄ちゃんでも、まさか『気付かないうちにウッカリ浪費していた』なんて事は言わないよね?」

「お…落ち着けレオ。話せば判る」

「問答無用!」

この後、これが元で二人は袂を別ち、それぞれの人生を歩む事になる。

そして、その一週間後。
新たな道を摸索し始めた二人の所に、表に『学費の足しにして頂戴』と書かれた差出人不明の封筒によって、
それぞれ多額の預金の入ったキャッシュ・カードが一枚づつ届いたり、
50年後には、とある大事件で再び力を合わせたりするのだが、これはまた別の御話である。




『次回予告』

ドイツのベルヘルムハーフェンを出向し一路日本へと向かうエヴァ弐号機とそのパイロット。
やたら勝ち気な少女にまたもやシンジは戸惑う。
そして突然の使徒襲来は起動した弐号機に初の水中戦を強いる。
しっちゃかめっちゃかのエントリープラグでミサトは使徒に勝てるのか?

次回「アスカ、リタイヤ」

一足先に自由になった兵士のために。




あとがき

『ど〜こかで小売店(こうりて〜ん)が、泣いて〜いる。魔神、日本政府(にほんせ〜ふ)が笑ってる』

………嗚呼、二ヶ月も間を空けた挙句、ナイツ様にさえ通じるかどうか怪しいマイナーなネタを。
すみません。漸く確定申告が終った思ったら、7月1日から某税金が値上げされる事が済崩しに決定してしまい、ちょっぴり鬱なでぶりんです。
本当なら、このあとがきの冒頭は『これででぶりんは、後1年は戦える』とか嘯くつもりだったんですけど。(嘆息)
そんな訳で、本業の影響から、書くペースが更に落ちる事になってしまいますが、どうかお見捨てなきよう伏してお願い申し上げます。(土下座)

それでは、もったいなくも毎回御感想をくださる皆様に感謝すると共に、再びお目にかかれる日が来る事を祈りつつ。

PS:ネットでガガガの資料を探すうちに、偶然、とあるデータバンク風のサイトで、判らなかったエヴァ子供キャラの身体データを知る事が出来たのですが………
   碇シンジ 身長141cmってナニ!? 一体、どこの小学生!? 
   特に背が低いという設定も無いのに、全国平均より15p以上も背が低いってのはサギでしょ!
   おまけに、他の子達もまた、私の予測のより10p以上も低くいし。
   それでいて、ゲンドウや加持といった、長身に見える大人の男性キャラは見た目通りの数値だし。
   山岸マユミに至っては、データ自体が存在しない始末………
   そうです。TV版でのあの身長差を表現する為に、第四話で私は、ミサトの身長を172cmと捏造しましたが、
   実はアレ、大人と子供を差別化する為の演出ではなく、見たまんまだったらしいんです。(驚愕)
   そんな訳で、捏造に捏造を重ねて申し訳ありませんが、この作品のシンジの身長は154cm。
   他の子供達も、それに準拠するものとしてお読み下さい。




オマケ


 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

変身するためにタンスに入り込むんですよねー。

今だったら「ナルニア」と言われそうですが、当時もあれは中々夢があってよかった。(謎回答)

ちなみに、何のことか分からない人のためにフォローしておきますと、

兄貴が弟の乗ったバイクを担いでビーム発射という、インパクト抜群の必殺技をもつ某特撮番組の主題歌です。

ちなみに歌っているのはうっかり八兵衛(の中の人)!

で、小ネタはおいといて・・・

 

だから「ハーデット」じゃなくて「ハーテッド」だってば!

 

ぜいぜい、最近のどが調子悪いモンで大声出すと痛む・・・・まぁそれはさておき、「ハーテッド」ですね。

何故か知らないけど時ナデのオリキャラでは一番名前を間違えられやすい人たち。

(ちなみに原作キャラで間違いが多いのは月臣元一朗。元一「郎」だったり「源」一郎だったり、秋山源八郎あたりと混同されてる節あり)

出身がイギリスという設定から考えるにあの家名はリチャード獅子心王(ライオンハーテッド)を意識してつけられた可能性も高いかと思ってたりしますが・・・・今度聞いてみよう。

後、今回だけで「ッ」が抜けてるところが4,5ヶ所あったのでご注意。(「シュレダー」とか)

 

それはともかく、なんかキノコが好き放題だなぁ(笑)。

こういう「シリーズ初!悪が勝つ!」みたいなのは人によっては割とストレスたまる展開かもしれません。

シュンたちが正義というわけではないんですが、それでも敵役が勝っちゃうのはねー。

毛利一佐とか獅子王中将と大河副官とか、そのへんは思い切り笑かしていただきましたが、

ちょっと落ちで後味が悪かったですねー。