時に、CE71年6月14日。
オーブ連合首長国は、連合軍による攻撃を受け陥落。
私は両親を失い、自らもまた死に瀕していた。
その時、幸いにも宇宙の管理者と名乗る精神生命体にその身を救われた。

幸い? いいや、そんな筈がない。
蘇った私を待っていたのは、件の管理者の都合に合わせて人を殺める。
10のうち9を救う為に1を殺して回る掃除屋への道だけだった。

今日、また何の罪も無い人を殺した。
でも、もう何も感じなかった。

今日、戦場で生き別れの兄とすれ違った。
たしか、インパルスとか言っただろうか、アレは。
汎用性に優れた良い機体だ。兄との相性も悪くない。
だが、それだけで勝てる程、このブローディアは甘くはない。
黒煙を上げ堕ちて行くその新型MSを前に、私が感じた事はそれだけだった。

そう。私はもうマユ=アスカなんて少女ではない。
戦場を渡り歩く名も無き傭兵。それで良い。







機動戦士ブローディアDestiny

第一章 Blank eight days





   ジュ〜、ジュ〜

「……………なんて、ちょっぴりダーク系の入った再構成物の最強系主人公になったと錯覚していた時期が私にもありました」

「マユ、どうしたの? お肉、焦げるよ」

現実逃避をしていた私を現世に引き戻す、桑○法子ボイス。
目を上げれば、そこには無駄に大きな………しかも、2年後には更に育つらしい豊かな胸をテーブルの端に乗っけた姿勢で、金髪の少女が此方を覗き込んでいる。

「ゴメン。現実の厳しさを再確認していただけ。あんまり気にしないで」

「(フニュ〜)ステラ、マユの話、難しくて判らない」

そんな幼児みたいな拗ね方しないでよ。一応、貴女の方が四歳ばかり年上なんだし。
アウルもアウルで、暢気にTVのグラビア系アイドルなんかに見惚れてないでフォローくらいしてよ。私、お客様なんだから!
胸なの! そんなに巨乳のお姉さんが良いのかい、アンタは!
……………あれ? なんかもう言ってて虚しいっていうか、総てがどうでもよくなってきた。
これが『悟り』ってヤツなのかな? かなりイヤだけど。



皆様、お久しぶりです。マユ=アスカです。
ホントは、あの運命の日からまだ一週間程しか経っていないのですが、
体感時間はひたすら長かったと言いますか、私的には二年近くハブられていた様な気がするので、矢張り『お久しぶり』でモーマンタイです。

(コホン)そんな訳で、この場を借りて近況報告などをさせて頂きます。
私は今、ブローディアがナイショで安置してある倉庫群の近くにある、とある焼肉店に居ます。
あれ以来、夕食は毎回此処なので、既に連続入店7回目と何気に常連さんです。
ちなみに、外から見るとこじんまりとした店構えなのですか、店内は意外と広々としています。
と言うか、焼肉用のテーブルは一組しかなく、お客さんは私しか居ません。
もっとハッキリ言えば、私、現在進行形でカモられていたりします。
そうです。此処は俗に言う所のボッタクリ系のお店なのです。

   イヤナラ、コナケリャ、イイジャン。

(ウッ)痛い所を。
仕方ないじゃない。このまま放っておいたら、いずれ絶対にトラブルになりそうで。
アウルは基本的に接客業に向いてないから、私以外のお客さんが来たらアッという間にケンカになりそうだし、
逆にステラは、愛想は良いんだけど疑う事を知らないから、仮面を着けた怪しいオジサンとかにホイホイついていっちゃいそうだし………
ってゆ〜か、人のモノローグに突っ込むのは禁止って何時も言ってるでしょ。
約束は守ろうよ、仮にも神様っぽいナニかなんだから。

   『カミサマッポイ』ンジャナクテ、100%カミサマ。ワクセイカンリケイ、ダイ2キュウゲンテイシンダヨ。

2級限定………(ハッ)ってことは、神様の中じゃ下っ端って事だよね? 上司が居るんだよね?
是非とも会わせて! できれば、今すぐに!

   ジョウシ、イナイ。スクナクトモ、コノセイケイニハネ。

……………ってコトは、アンタってば最低でも支社長クラスの待遇なの? 管理能力なんてゼロのクセに。

   シッケイナ。コウミエテモ、ユウシュウナセイセキデ、シケンヲパスシタ……………

イヤ〜〜〜ッ! 聞きたくない、そんな話! (グシュン)誰か…誰か助けてよ〜〜!

ヤレヤレ、ナニモナカナクテモ、イイダロウニ。ショウガナイナ〜 ンジャ、スケットヲヨボウカ?

「えっ?」

………
……

そんな訳で、私は今、ブローディアを駆って宇宙に。
最終決戦が行われている宙域の端っこ。決して戦闘には巻き込まれない安全距離をキープした、見物には絶好のポイントに来ています。

戦いは既に最終回直前………じゃなくて、終盤戦に入っているらしく、
主人公達の乗せたMSはピンクのパワードユニットと合体して、リアル系からスーパーロボット系にジョブチェンジ。
どこかの魔王の嫁を彷彿させる巨大なビームサーベルを振り回して、紅い彗星の人も真っ青な勢いで次々に戦艦を墜としていたりします。

『自由』と『正義』。思えば、なんとも皮肉なネーミングです。
そうです。歴史の教科書を紐解けば、この二つの言葉は戦争を始める際の常套句。
数多の権力者が提唱してきた定番のスローガンだったりするのです。
これで『立て! 国民よ!』てなカンジの愛(国心)が加わった日には絶対無敵。もう手の付けようがありません。
目の前で展開されているワンサイドゲームが、それを証明してくれています。

閑話休題。取り敢えず、今回の戦争に関しては主人公達に総てをお任せして、初期の目的を果たすべく指定されたランデブーポイントへと機体を急がせます。
この殺人的なGにも最近は大分慣れたらしく、巡回レベルならば如何にかなる様に。
戦闘機動さえしなければ、速攻で気絶する事もほとんどなくなりました。
その代償として、人として大切なナニかがゴリゴリと擦り器で削られている様な気もしますが、今は深く考えない事にしています。
取り敢えず、二年後の戦争が終結した後も、まだ生きていたい。
お兄ちゃんにホントの身体を晒しても問題ない程度には、人間のままでいたいです。
そして、その為には。この恥ずかしい物語を、笑い話のまま終わらせるには………

『く…クロック・ア〜〜〜プ!』

『畜生、福○嫁か! この世界の修正力か〜〜〜っ!』

そんな実り豊かな戦後の人生設計をまっとうする上で、切り札となるべき人物。
私の前任者らしいオジサン。その第一印象は、ハッキリ言って最悪でした。

   ダイジョウブ。アアミエテ、ケッコウキヨウダシ、ジツリョクモ“ソコソコ”アルカラ。

それって、所謂『便利屋』ってこと?

   ソウトモイウ

(ハア〜)了解。

そんな諦めの吐息と共に、私はブローディアを最寄の非常口へと接舷を。
出来れば、もっと大物を。可能であれば、私が直面している難局を代わりに軽々と片付けてくれる様な人物を期待していたのですが………
やっぱり、世の中そう甘くはありませんでした。

………
……

「…………と言う事で、間違いはないだろうか?」

先程までは本気で頼りない。 パニックを起こし、訳の判らない事を叫び捲くるだけのオジサンでしたが、そこはそれ前任者。
この手の理不尽な事に対する経験値も豊富らしく、救助後はアッと言う間に立ち直り、此方の話の聞く体勢に。
時折、幾つかの簡単な質問をするだけで、私の拙い状況説明でも現状を把握したらしく、軍人っぽく、その要点部分だけを抜き出して復唱してみせ、

「はい。大体、そんな感じだと思います」

と同意する私の頭を『エライ、エライ』と幼子にでもする様な仕種で撫でながら。
慈しみに満ちた大人の瞳で此方を見詰めながら『よし、良く判った』と、己の胸を叩きつつ力強く協力を請け負ってくれた後、

「取り敢えず、ラクス=クラインを消そう。話はソレからだ」

そんな天に唾を吐く様な事を真顔で宣ってくれました。

「あの〜〜〜、それでは何の解決にもならないのでは?」

「うん? ひょっとして念の為にキラ=ヤマトも消しておきたいのかい? 中々用心深いな、君は。
 だが、ほっといても大丈夫だろう、アレは。
 基本的に主体性ってものが無いから、大義名分とMSさえ与えなければ、わりと人畜無害だし、
 ああ見えて、OS関係に関しても世界で指折りの実力者だから、上手く使えば充分有効活用出来る。
 頑固な自虐癖も、チャンと人様の役に立っているという実績が。自分が開発したOSのユーザから、お礼と励ましのお便りの一つもくれば如何とでもなるさ。
 何せ、脳内補完は彼の十八番だからな。
 とゆ〜か、あんだけ世間に迷惑を掛け捲ったんだから、せめてそれぐらいの償いはして欲しいと………」

「いえ、そういう意味じゃなくて………」

「うん、判ってる。大丈夫、例のデスティニー計画に関しても心配は無用だよ。
 だってアレ、ラクス=クラインがチョッカイを出さなければ何の問題も無い話だから」

「えっ?」

「まあ確かに、『生まれついての遺伝子で人の役割を決める』っていう彼の計画の骨子は、神をも恐れぬ傲慢な愚行だと受け取れなくも無い。
 だが、冷静になって良く考えてみてくれ。『何を今更』な話だろう? 少なくとも、コーディネイターにとっては。
 だって、肉体的な長所を先天的に強化しているんだから、それを活かす職業に就くだろ、普通。
 白筋や赤筋の比率とか、反射神経や動体視力とか、その辺のデータもコーディネイト中に判る訳だし。
 そりゃ、異世界から来た俺の当てずっぽうだと言われればそれまでなんだが、『違う』としたら。
 敢えて苦手分野を目指しているのだとしたら、それってメチャクチャ効率の悪い。
 ある意味、判定Eの大学を延々受け続ける様なものだろ?
 正直言って、そういうチャレンジャーな人間が多数派だとは俺には思えないし、
 計画発動後は、社会の管理化は進むかも知れないが、それがイコール悪だとも思えない。
 効率的な社会生活を営む上での相互互助団体。
 所謂、職業安定所みたいなモンだと思えば腹も立たないだろ?
 実際問題、上手く適正Aとかの職種なら就職が有利になるかも知れんし」

「で…でも」

「ああ。勿論、夢を追い続ける事が愚かな行為だという気はサラサラ無いよ。
 でもね、人間、引き際を誤ったら人生を棒に振りかねない。それじゃダメなんだ。
 どれほど憧れようと、野球やサッカーでプロになれるのは毎年僅か数十人だけだし、東大に合格出来るのもホンの一握りの受験生のみ。
 選ばれなかった者に引導を渡す為。そして、無用の混乱を避ける上でも、ふるいに掛ける明確な条件を設けるのは寧ろ当然の事なんだよ。
 高校時代、甲子園で活躍した。共通一次の足切りを潜り抜けた。
 計画発動後は、これにDNAによる適正が加わる。只、それだけ。違うかい?」

そんなオジサン………シュンさんの話を沈思黙考し検討。次いで、思わず愕然としました。
『生まれついての遺伝子で人の役割を決め、そぐわない者は淘汰・調整・管理する』
思えばコレは、かの演説を聞いた際のラクスさん達の感想であって、実際に未来の議長たるデュランダル議員がそう言った訳じゃありません。
そうです。どこかの将軍様が統治する独裁国家じゃあるまし、そんな国民を社会運営の歯車として割り切る様な政策が議会で通る筈がないんです。
実際、『必ず最も適正の高い仕事に就け』なんて意味の高圧的な事は言っていませんでしたし、
現実問題としても、適性はソコソコでも本人にヤル気のある職種の方が作業効率は良いでしょうし。

そういった前後の事情を鑑みるに、おそらく件の計画とは、受験生が行う模擬試験の判定結果の様なもの。
あくまでも、将来設計の指針の一つに過ぎないという事に。
つまり、只の被害妄想? そんなんで謀殺されちゃうの、デュランダル議員って!?

「(フッ)どうやら判って貰えた様だね」

そんな私の胸中を見透かした様に、ワケ知り顔でそう宣うシュンさん。
次いで、『話は決まった』とばかりに、

「よし。ディアちゃん、早速だがGの人に繋ぎを。プロス君は、彼に支払う報酬を用意してくれ」

と、矢継ぎ早に指示を。
でも、それに応える妖精達の反応は鈍く、

「ん? どうした。楽勝だろう、君達なら」

不審がるシュンさん。私もチョッと疑問でした。
実際、件のGさんというのが何処の誰かは知らないけど、電脳関係では無敵を誇る彼女達ならば、それくらい造作も無い事な筈なのに。

と、そんな事をつらつら考えている間も二人の屈託は続き、最後には、嫌がるプロス君をディアちゃんが強引に画面の前に押し出し、
彼もまた沈痛な面持ちで、珍しく鯱ばった敬語などを使いつつ、

『残念ながら、それは不可能です』

「はい?」

『居ないんです。少なくとも、このCE71年の現在にはGの名を冠する男は存在しません』

「な、なんだって!」

と、それまでのシュンさんの余裕を木っ端微塵にする一言を口にしました。

………
……

「(コホン)という訳で、これから戦略・戦術の初歩を学んでもらう為の授業を始める」

「は〜〜〜い」

虚ろな瞳で教鞭を取っているシュンさんに、そんな生返事を。
授業態度としては最低っぽいですけど、実際問題として、聞いていてもサッパリ判らないのだから仕方が無い。
とゆ〜か、齢9歳の少女に、そんなものを理解しろという方が無茶でしょう。

『まあ、居ないのであれば仕方ないか。それに、流石のあの男でも、アレを殺すのはホネだろうし』
あの後、そんな戯言を口走りつつ、シュンさんは渋々ながらもラクスさんの暗殺を断念しました。
あんまりシツコク悔しがるので“つい”『それなら、自分でやったら如何ですか?』と言ったら、苦笑しつつ無理だと。
何でも、ランクA以上の概念武装による攻撃でなければバーサーカーには通じないので、ランク外な自分の攻撃では絶対にラクスさんに傷一つ負わせられないんだそうです。
正直、訳が判りません。

まあ、それは良かったのですが、こうしてラクスさんの存命を前提とした戦略・戦術の授業を受ける事になってしまったのには、正直、閉口しています。
それも、あからさまに彼女に有利な展開が連続する。
僅かな兵力で太陽系を二分する巨大な勢力を同時に相手取り、アッサリとその双方を一蹴するなんて、漫画でもありえない御都合主義な………
ああ。そう言えば、近い将来、それが現実のものとなるんでしたね。
なら、本気で意味がないじゃいですか、こんな事を学んでも。

「そうだな。例えば、君がカガリ嬢に先立って、連邦軍とオーブ軍との海戦のド真ん中に舞い降りて、ブローディアによる無差別攻撃に出たとする。
 その結果、どうなると思うね?」

そんな私の虚しい心の内を抉る様に、シュンさんがそんな質問を。

「それこそ無意味ですよ。そんな事をしたって、何の意味も無い。
 たった一機の機動兵器が戦いを止められる筈がないじゃないですか」

つい、刺々しい口調でそう捲し立てて。言ってしまってから、チョッと後悔しました。
そうです。この人は純粋な好意からこの授業を開いてくれているのに。

ですが、シュンさんは私の予想以上に狸な人でした。
彼にとっては、それが狙い通りリアクションだったらしくて“してやったり”と言わんばかりの口調で、

「いいや。もしも、それが世界の修正力を受けない行為だとしたら、戦いを止めさせるのはわりと簡単だし、何より、そこで一気に歴史を変えられるぞ。
 何せ、あの海戦には、この物語における主要人物が結構揃っているからな」

「えっ?……………ま、まさか!?」

「そう。その時は、両軍とも壊滅させてしまえば良いんだ。
 それだけで歴史は大きく塗り変わる。そして、おそらくはコレが最も民間人への被害が少なくて済む方法だ」

絶句する私。その後も、シュンさんは淡々と、

「無論、あり得ない話だ。
 実際問題、そんな事は『キラきゅん命』な、この世界の修正力が許さないだろう。
 だが、念の為にコレだけは覚えておいて欲しい。
 その時は、君は何もするな。只、コックピットに座っていさえすればいい。
 それ以上は求めない。そうだろ、ディアちゃん? プロス君?」

『うん』『勿論だよ』

……………脱帽です。
正直、シュンさんは最初がアレだったし、二人の妖精達も“ああいう”性格だったので今日まで気付きませんでしたが、彼等は本当にプロの軍人さん。
その事を、たった今、肌で感じました。

「それじゃ、次に………」

もう、いい加減な態度ではいられません。勿体無くて。
そして、私の態度が変わったのを察してか、シュンさんの講義も本題に。
一般論から逸脱し始め、どんどん非常識なものに。

それに付いていくだけで精一杯の3日間。
その後の2日は実戦を。SEEDの最終回を客観的視点から見物しつつ、介入が可能なポイントを探るディスカッションを。
シュンさん的には、この段階からでも良いから手を出したいらしいのですが、アークの前任者との協定とかの影響で、それはNG。
よって、今はまだ見てるだけの状態です。

今、アスランさんが、ジェネシス内部でジャスティスを自爆させました。
爆炎に包まれ崩れ行くその様は、祖国のそれがオーバラップして、正直、憂鬱です。
そんな私のドンヨリした心境とは反比例する様に、カガリさんの隣に座る彼の顔は、如何にも『良い仕事をした』と言わんばかりに輝いています。
男の人と言うのは、そんなに自爆が好きなんでしょうか?
ハッキリ言って、理解に苦しみます。

まあ何にせよ、コレでこの戦争も終結する事に。
そして、シュンさんとも別れの時がやってきました。
名残おしい。出来れば、このまま私を導いて欲しいのですが、向こうは向こうで大変らしく、それは適いません。
せめて笑顔でお見送りする事が、今、私に出来る精一杯です。
さよなら、シュンさん。

………
……

という訳で、5日に渡る研修旅行を終え、私は当座の拠点へ。
ブローディアを隠している倉庫付近のブロックへと帰ってきました。
時刻は既に夕方。少々早いですが、夕食を食べに何時もの焼肉店へ。

その道すがら、これまで学んだ事を反芻しつつ、今後の方針の検討を。
シュンさんの話では、現在発現している幾つかのイレギュラーの一つ。
例の三人が、まだ幼い段階で施設からの逃亡に成功し、しかも、気の良い焼肉店の主人に拾われたというこの事実は、
歴史を塗り替える上で、大事にすべき重要な切っ掛けなんだそうです。

件の店の主人が交通事故で急死。
後を継いだ長男格のオークレーさんもまた、徴兵に引っ掛かって軍に。
言われてみれば、偶然にしてはチョッと出来過ぎている気がします。
これが、歴史の修正力というヤツなのでしょう。
ほおっておけば、いずれはアウルとステラも。
路頭に迷った挙句、軍に拾われ本来の歴史通りという訳です。
そんな事は許しちゃいけません。

ええ。何としても、彼女はこのまま無垢な一般人として。
そして、お兄ちゃんの嫁候補としてキープして置かなくてはなりません。

えっ、外道? (フッ)そんなの無関係な人だからこそ言える戯言ですね。
だって、そうでしょう。私は嫌ですよ、原作どおりの種死最終回なんて。
ええ。あの触角サイコ女を義姉と呼ぶくらいなら、アーパー巨乳娘の方がナンボかマシですとも!
たとえ家事能力が皆無だとしても、その辺はチャンと責任を取って。
小姑として、私が家事全般を担当し、お兄ちゃん達の面倒を見れば済む事ですし。

あと、ミーア=キャンベル関係のイベントは総てスルーする方向で行きます。
私的には、議長の後ろ暗い所といえばその点だけなので止めさせた方がイイと思ったのですが、シュンさんに問題点を指摘され、断念せざるを得なくなりました。
そうです。あのラクスさんを手元に置く危険性を考えれば、
後で色々と問題になったとしても、替え玉を仕立てた方がナンボかマシなのです。
はい。この辺の事情は、耳にタコが出来るくらい徹底的に指導されました。
宇宙を又に掛けるプラントの歌姫。その実態を知った時は、かなりショックでした。
私、ファンだったのに………

と、チョッピリ落ち込みながらも、何時もの焼肉店のドアを潜ると、

「グレイト! こんな物は焼飯じゃないぜ!」

其処には何故か、頭数合わせに最終決戦に参加している筈の金髪ガングロな人が。
それも、ステラを相手に、どこかの究極のメニュー担当者張りに大見得を切っている所でした。

「ララ? それ、チャーハンじゃなくて石焼ビビンバだけど?」

「と…兎に角、こんなもの俺は認めない!」

しかも、まるで的外れな批評をした上に、引っ込みがつかなくなって意地になってるし。
ああもう。こんな時、アレの横にミリアリアさんが付いててくれれば………
いや、そんな贅沢は言わない。
この際、一人でも常識人が。オクレ兄さんでもイイから居てくれれば、充分回避できるトラブルなのに。
ああもう。揃いも揃って、問題児達をほったらかしにして………

出て来い、保護者の人共! いくら温厚な私でも終いにはキレるぞ、コラァ!




PS:結局、激変してしまったこの状況に対応する術を学ぶべく、更に三日程シュンさんに付き合ってもらう事になりました。ゴメンね、シュンさん。





次回予告

空を染め上げる炎。轟く砲声。それは何かの目覚めの合図か?
すれ違う兄妹達が瞳の奥に隠すものは?

次回、機動戦士ブローディアDestiny、『遅過ぎた砲火』

機関最大、発進せよ!ミネルバ!