今後ルビを多用するのでIE5.0以降のブラウザーで読んでくれると嬉しい。

それでは先をどうぞ。

























当てのない旅に出てから早二ヶ月。

今、俺たち地球から38000光年離れた銀河系に来ている。

そこで俺たちは文明に出会った。

その銀河の半分を支配する「アーヴによる人類帝国」と

「人類統合体」「拡大アルコント共和国」「人民主権星系連合体」「ハニア連邦」

が残り半分を支配していた。

そして今は、「ハニア連邦」が四ヶ国連合から脱退して、三ヶ国連合となり、

「アーヴによる人類帝国」と三ヶ国連合の戦いの最中だった。

そして俺はアーヴを選んだ。














劇場版機動戦艦ナデシコAfter                   
星界へ続く道
第3話












「そなたがテンカワ アキトか。」

「そうです。皇帝陛下(スピュネージュ・エルミタ)。」



アキトがこの銀河の半分を支配しているアーヴに接触してから二ヶ月がたった。

百数十回のジャンプの末、星が発している電波とは明らかに異なる電波を発見し、

その発信元にて、アキトが探していた別の文明を発見した。

二ヶ月と言う短い期間で見つかったのはボソンジャンプがあってすら奇跡と言わざるを得まい。

最初は言葉も何も分からずそれを調べるために一ヶ月を費やし、その間もアーヴの船に追われること3回、

あちらの船とこちらの船では明らかにスピードレンジが違った。

加速度で10倍以上もあちらの方が速かった。

この一点だけでもアーヴの技術力の高さがよく分かった。

それでもアキトは追いつかれることはなかった。

それは勿論ボソンジャンプの力によるものである。



「そなたは別の銀河から来たと存するがが事実なのか?」

「はい。約4万光年の彼方から来ました。」



文化、言葉、その他いろいろなことが理解できるようになり、そしてアーヴと接触した。

突然消える船の存在は星界軍の中で有名になっていた。

そして、そのことはアーヴの時の皇帝、

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵(ドリュー・アブリアルサル)・ラマージュの耳にも届いてた。

その結果のアーヴの皇帝との謁見である。



「だいたいのところは聞いております。ですが、いきなり信じろと言われても

なかなか信じられる物ではないのです。”ボソン・ジャンプ”・・・でしたか。」

「それもそうですね。それでは今ここでご披露しましょう。」

「ほう、ここでそれをやるというわけですか。」

「最初からそのつもりでしたので、すぐにでも出来ますが。」

「いや、それは後でいい。他のことが聞きたい。」

「なんでございましょう。」

「そうだな、なぜ我が帝国に来ようと思ったか、その辺から聞いても良かろう。」

「簡単な話ですよ。結婚という制度はご存じでしょうか?」

「うむ」


アーヴは結婚しない。

愛しあう者同士が一緒に住むことはある。それが結婚と呼びうるほど長くなることも。

だが、それは制度ではなく、あくまで生活の一態様に過ぎない。

激しく燃え、そして跡形もなく燃え尽きる。

これがアーヴの愛の典型なのである。

生涯青春のアーヴは共に老いていくという結婚制度は合わないのも原因であろう。

したがって、『両親』という物はいない。

親は普通1人なのだ。


「私には妻と娘がいます。その娘は私がいた世界で遺伝子改造を受けております。

 娘はいずれ帰るかここに残るかは本人に選択させるつもりですが、今はここで私が育てたいと思います。

 私自身もいろいろな実験を受けた結果、遺伝子が変わっています。

 人類統合体では遺伝子改造は禁忌ということもあって、最初から選択肢はアーヴしかなかったのです。」

「なるほど。確かに選択肢が存在せぬな。だがこの耳に聞きたかったことは違う。質問の仕方がまずかった。

 あらためて質問しよう。なぜこちらの世界に来たのか。銀河を越えて来るには相当な決意が必要であろう」

「それは・・・・・やはり話さなければならない・・・・か。」


アーヴがいるこちらの世界に来た理由。

テロリストとして有名になってしまったこと。統合軍が失地を回復するためにアキトを

捕らえ、そして処刑しようとしていること。

アキト自身、復讐が終わった今、あらためて考えると他にやりようがなかったかと考えてしまうこと。

このことを話して、果たして受け入れられるか。

アキトの元いた世界の常識で考えれば受け入れられることはない。

下手したら実験動物にまた戻ることも考えられる。

アキトは知らない。

アキトがやった復讐とは素晴らしくアーヴ的な行動であることを。


「話したくれた方がこちらとしてもうれしい。」

「くっ・・・」


苦悩しながらもぽつぽつ話し始める。

時折緑色の光を顔に浮かべながら。







「なるほど。辛いことを思い出させて悪かった。この身は帝国を統べるためのもの。

 話如何によってはそなたを殺さなければならなかった。

 だが安心した。至極当然の行動だ。そなたをアーヴとして迎えよう。

 もちろん、いろいろ協力してもらいますが。」

「分かりました。」

「それでは、その”ぼそんじゃんぷ”とやらを見せてもらおうか。実を言えばさっきから気になってはいたのだ。

 と、その前にファラムンシュ。」


ラマージュは皇帝杖(ルエグリュー)で召喚の模様を描いた。


「御前に」


呼ばれたとたんに、ラマージュの前に立体映像が浮かび上がる。

ファラムンジュ、軍令長官(ワロズ・デュアゾン)ファラムンシュ・ウェフ=ルサム・ラザス帝国元帥(ルエ・スベーヌ)である。


「話は聞いていたであろう。そなたも一緒にどうだ。どうせなら生で見た方がよかろう。」

「御意。それでは10分ほどお待ちください。」

「そういうわけでちょっと待って欲しい。」

「分かりました。」






そして10分が過ぎ、ファラムンシュが儀仗兵の呼び出しに応じてラマージュの前に現れた。

一言二言儀礼的な挨拶を交わし、そしてアキトに簡単に自己紹介をした。

そしてラマージュが一言声を掛ける。


「それでは始めてください。」

「はい。」


そう短く答えてボソンジャンプ態勢に入る。

CCの活性化、イメージング・・・・そしてジャンプ

ボソンの輝きが消えるとアキトがいた場所の後方10メートルに移動している。

「いかがでしょう」とアキトがラマージュに問いながら元いた場所へ歩いて戻る。


「面白い。ファラムンシュ、どうだ。」

「はい、面白いですがその前に危険性を考えざるを得ません。話ではこの技術で数万光年を越えてきたとか。

 このような技術があるのではいつ帝都(アローシュ)に攻め込まれるか分かりませんね。いろいろ研究してみたいところですね。

 まずは、このような技術が存在することが分かったことを喜びましょう。前もって知っていれば何とかなりましょうから。」

「そうだな。まず、技術科(ファズィア)にまわして調べてもらおう。それからそなたの体を調べるのに軍医科(ガイリート)に行ってもらって

 何とかなるか調べてもらおう。後、そうだな。領地を与えよう。どこかは後で決めるとしてだな。」


ラマージュの言に驚くアキト。

それは当たり前と言えば当たり前な反応。

どこから来たとも分からない人間にいきなり領地を与える。

普通に考えれば考えられないことである(変な日本語だ)。

もちろんラマージュも考えあってのことである。

まずは純粋に技術の伝達に対しての報酬とこれからの協力に対する報酬。

別の理由として帝国内に領地を持っていれば帝国に仇をなすことーボソンジャンプを他国に漏らすことーを

しないだろうという思惑である。

そのためアキトに断ることを認めなかった。

結局貰った領地は現在有人化を進めている星系で、黒薔薇の国(リュグパリューニュ)と呼ばれる1星系である。

大した出世である。

元は農園のアルバイター。そして食堂のコック、戦艦のコック兼エステバリスパイロット、ラーメン屋台の店主、

人体実験の実験体、そしてテロリストを経て今度は1星系の領主である。

幸福量という物があったらこれで収支はプラスになるかは未だ分からず。

次へ


中書き

後半へ続きます・・・・
一応1話10kb前後を予定しているのですが、思うような容量にならず・・・
というわけで、前後に分けて1つ10kbと言うことに。
切りもいいしね。

以下、アキトが受領する領地の詳細というか説明を載せておきます。
知っていようがいまいがあまりストーリーに関係しないので、読み飛ばしてもらっても
いっこうに構いませんけど。




黒薔薇の国(リュグパリューニュ)領の詳細
総惑星数11
その内、第2惑星がテラフォーミング中である。
第1惑星は恒星に近すぎるため有人化不能、第3惑星は8標準重力(4G)もあるため
有人化が困難(出来ないことはないがコスト対パフォーマンスが著しく悪い)。
それ以降は恒星から離れすぎのため不可能。
第5第9は水の惑星。第7は水素の惑星。他は硅素を主成分とした普通の惑星。
第6第7と第8第9の間には小惑星帯がある。
水、鉱物資源に事欠かない上に恒星も青年期を迎えたばかりで爆発するのは遙か将来であり、
かなり有望な星系である。
地理的には帝都まで11日、前線は遙か彼方。最寄りの有人星系まで最速で33時間。
 第2惑星の詳細
 公転周期:約210.6日
 自転周期:19.53時間
 極点上の重力:0.93G
 赤道上の重力:0.91G
 惑星の直径:約8131km
 陸地の割合:70%(やや水が少ないか?)
 大気の組成:地球より二酸化炭素がちょっと濃いだけ。今後植物が増えれば地球と同等になる。
 衛星数:2
 備考:10年後には人が住めるようになる。惑星の固有名称はまだ付いていない。
    有人化にかかった費用は帝国持ちになったためアキトは無借金で領地経営を出来る。
    アキトは移民が始まれば子爵様から伯爵様に格上げが決定。
 注:かなりいい加減な数値ですので突っ込み不許可。