「ルリちゃん、ちょっといいかな?」

「・・・何のようですか? Dさん」

「いや、ちょっとね、オモイカネに頼み事があるんだ」

「それでその頼み事とは?」

「秘密。 悪いけど直接オモイカネに頼みたいんだ。 そーいうわけだから、ちょっと席代わってくれない?」

「・・・どうぞ」

 Dに席を譲るルリ。

「ほんと悪いね・・・」

「いえ・・・・・・」

 オモイカネにアクセスを開始するD。

 
 少しして・・・・・・

 アクセスを解くD。

「ありがとね、ルリちゃん♪」

 そしてDは意気揚々とブリッジを出ていった。

「ホント、不思議な人ですね、Dさんは」



機動戦艦ナデシコ 

TWIN DE アキト


第三話 早すぎる『さようなら』・・・になるのかなぁ?







 ユリカは着物を着ていた。

 ビックバリアを解除してもらおうと交渉するのだが・・・・・・

 何故こんな格好なんだろう。

 理由は簡単だ。

 今がお正月だからだ。

 それでいいのか?と思う人もいるだろうが、ユリカだからしょうがないのだ。・・・何てったって、ジュンがいないことに未だ気づいていないくらいなのだから。

 そして、ユリカはその格好のまま、地球連合総本部司令に通信を繋いだ。

「どうも、私はナデシコの艦長、ミスマル ユリカでぇ〜すっ!!」 

『・・・君が・・・・・・ナデシコの艦長かね・・・・・?』

 司令がユリカの格好をみて頭を押さえながらそう言葉を発した。

「は〜い、もちろんそうですよぉ」

『・・・・・・・・・・・・・』

 眉間と頬をピクピク引きつらせる司令。

『用件は分かっている! 

 ビックバリアは解除してやるからさっさと行けっ!!

 我々が理性を保っている内にっ!!!』
 

 プチッ

 ウインドウが消えた。

「ほえ・・・? 一体どうなってるんですか?」

「さあ・・・・・・一体どうなってるのやら・・・・・・」

「D、何か知っているか?」

「さあ? 俺は全く知りませんよ。 政府や軍の高官が不機嫌な理由なんて、ね♪」

 Dは楽しそうに言ってのけた。

「「「「((((D(さん)が根回ししたのか・・・・・・・でも・・・いつの間に? いったいどうやって・・・・・・?))))」」」」

「・・・・・・Dさんがオモイカネに頼んだ事って・・・もしかして、これのこと・・・?」

 と、ルリが呟いたが、それを聞いている人間はDだけだった。

「まあいいわ。 この方が楽だし。 それじゃあ、機動戦艦ナデシコ、発っしぃ〜んっ!!」



 こうしてナデシコは防衛ラインを気にせずに、宇宙を目がけて、今度こそ本当に飛び立った。





「何であんなヤツにあの戦艦を渡して、しかも黙って見送らにゃならんのだぁ〜〜〜〜〜!!!(血涙)」

「うう・・・・・・悔しいのは一同同じです・・・・・・泣かないでください・・・・司令・・・・・・(涙)」

 という微笑ましい(?)光景が地球連合本部で見かけられた。





 ところで、一体どうしてこうなったのかというと、Dがルリにコンソールを譲ってもらったときに、

「(・・・オモイカネ)」

『(何ですか? D)』

「(ちょっと頼み事があるんだ。 お願いできるかな?)」

『(その頼み事とは?)』

「(オメガと協力して、連合軍や、連合政府の高官のスキャンダルを、そのスキャンダルの本人に『ビックバリアを解除してナデシコを火星に行かせろ』ってメッセージと一緒に送ってほしいんだ)」

『(・・・・・・いいんですか? そんなことして)』

「(そうでもしなきゃ黙って行かせてくれないだろうからね♪)」

『(・・・悪人・・・・・・)』

「(オメガにはもう言ってあるから、ヨロシクネッと)」

『(・・・・・・分かりました)』

「(ありがとう、オモイカネ)」

『(いえ・・・)』

・・・・・・なんて事が有ったからだ。
  



 アキトとヤマダは落ち着いてゲキガンガーを見ていた。

「しっかし・・・・よく火星に行くのを許してもらえたな・・・」

 ふと、アキトが思ったことを口に出した。

「まったくだぜ。

 火星を救いに行こうとするナデシコ! それを拿捕できないぐらいならいっそ破壊してやる!・・・って攻撃してくる連合軍を、俺様がかっこよく撃退する・・・ってシチュエーションを期待してたのによ!!」

「地球人同士で戦うんだよ?

 ・・・そんなの、俺は嫌だな」

「う〜む・・・確かにアキトの言うことにも一理あるな。

 ・・・まあいいかぁ。 この方が落ち着いてゲキガンガー見られるし」

「うん。 そうだね」





 このままナデシコは宇宙に安心して出られると思いきや。

 愛に生きる男ジュンが現れた。

「第三次防衛ライン軌道衛星サクラよりデルフィニウム9機の発進を確認」

「え? 黙って通らせてくれるんじゃなかったの? ルリちゃん」

「はぁ、それが・・・通信を傍受したところ、ミスマル提督が艦長を連れ戻そうと、アオイさんに命じたようです。 そのアオイさんも乗り気なようです」

「え!? ジュン君が!? はっ! そういえばジュン君がいない・・・・・・一体いつの間に!?」

哀れジュン。

「副長かわいそう・・・」

「ユリカさん、アオイさんだったら、ユリカさんがトビウメに忘れてきたんですよ」

「えっ! メグちゃん、それ本当!?」

「本当ですよ。 ね、ルリちゃん」

「はい。 本当です」

「デルフィニウム部隊、交戦可能領域まで、後五分です」

「説得できるといいんだけど・・・・・・

 エステバリス隊に出撃準備」

「はい。

 パイロットは至急出撃準備をしてください」

 メグミが復唱する。



「あっ、ヤマダさん、まだ出撃しないで下さい!」

 ピッ

『なんでだよ! 攻めてきてんだろ!? だったら迎撃しなくっちゃぁ!!』

 どことなくうれしそうにヤマダが通信を繋げてきた。

「あいては(プツッ)副長だから、説得ができるかもしれ・・・・・ヤマダさん?」

「ヤマダ機、デルフィニウム部隊に突撃開始しました」

「ヤマダさん? ヤマダさん? ・・・ヤマダさん通信切っちゃいました」

「繋げられないの?」

「むりです。 その・・・コミュニケの電源を切ったようです・・・」

『おいブリッジ! ヤマダのヤツ何にも持たずに行っちまったぞ!』

「え・・・」



「行っくぞぉぉぉ!!! ゲキガン・パァァァァァンチィ!!!!」

 ヤマダが一機のデルフィニウムをパンチで撃墜する。

「どぉぉぉぉだぁぁ!! 正義の力、思い知ったか!!!」

 続いてもう一機パンチで撃墜する。

「ふははははははははははははははははははははははは!!!!」

 そして、反り返って哄笑する。

 そして、ヤマダが哄笑している隙に・・・・・



「ヤマダ機、完全に囲まれました」

「えええぇぇぇえ〜〜!」

 ピッ

『おいブリッジィィィ、増援は、まだかぁあああ!?』

 勝手に出撃して何を言うのだろうか。この男は。

 ピッ

 デルフィニウムに乗るジュンから通信が来た。

『ユリカ! 今すぐナデシコを止めろ!』

 切羽詰まった声。

「ジュン君! どうして!」

『そんな戦艦が一隻で行ったところで帰ってこれる筈がない! 今ならまだ間に合うはずだ! 今ならまだ僕とミスマル提督とで軍部を説得できる!

 戻ってきてくれ! ユリカ!』

「ジュン君・・・・・・」

「お前の要求なんか通らないさ」

「え?」×複数

『どういうことだ!』

「お前が一番ユリカの性格を知っているんだろう?

 だったら、うちの艦長が『分かった。 それじゃあ戻る』なんて言う分けないのは分かってるだろう?」

『くっ・・・・・』

「何で此処にDさんがいるんですか? パイロットは格納庫にいる筈ですが」

「いや、それがね、ルリちゃん。 ガイ・・・ヤマダのヤツに『お前の目立つロボットが来ると俺が目立てなくなるから来るな』・・・って言われてね・・・・・・」

「はあ・・・」

「でも、それでいいのぉ? D君」

「まあ本人が言ったんだし、いいんじゃないですか?」

「そうかしら?」

「いいんですよ、多分」

「良くない良くない良くなーーーーい!!」 

「なんで?」

「それじゃあ私のアキトが危険な目に遭う確率、増えちゃうじゃない!

 だからよっ!(キッパリ)」

 他のパイロット(ヤマダ)はこの際どうでもいいのか?

「ふぅ、それじゃあ出撃してくるよ」

『僕を無視するなぁぁぁ〜〜〜〜!!!(怒っ)』 

「オモイカネ、ウインドウ消し『消すなぁぁぁぁ!!・・・ともかく、止まる気がないんだったら、こいつを・・・破壊してくれる!』 
 

 ”こいつ”とはヤマダのエステのことだ。





 ジュンがヤマダ機を破壊しようと、デルフィニウムの腕を振り上げた。

その瞬間。

 何の前触れものく一機のデルフィニウムが火を噴いた。

『アキトォォォォォ、親友のピンチだぞぉぉぉ、助けろぉぉぉぉ』

「全くもう、ガイのヤツは・・・・・・」

 ヤマダの通信(アキトに開いたわけではない)を聞いて嘆息するアキト。

 ラピッド・ライフルを撃つ。

『くっ、散開しろ!』

 ジュンの命令のもと、ジュンを含め、六機のデルフィニウムが散開する。

『アキトっ、ジュン君を倒して!』

『「え?」』

 アキトとジュンの声がハモる。

『ジュン君の説得は無理だわ・・・・・・だったらせめて・・・せめて・・・・・・』

 せめて、なんだ?

『・・・・・・テンカワ・・・・・・・・・お前が・・・お前がいなければぁぁぁ!!

 恨みはなくないから、こうなったら殺してやるぅぅぅぅぅぅ!!!!』

 物騒だな、おい。

「え? ちょっと待ておい!」

 ジュンがアキトに迫る。



「アキトォォォォォ!!」

「第二防衛ラインよりミサイル多数確認」

「「「「「『『『『『『『え”』』』』』』』」」」」」

 当たり前だが、デルフィニウム部隊の面々も絶句する。

「だ、第二防衛ラインのステーションに連絡して!」

「通信つながりました!」

「一体どうしたんですか!? 話は付いてるはずです!」

『木星蜥蜴に乗っ取られたんだ! こちらからのコントロールはいっさい受け付けない・・・どうしようもない・・・・・』

『ミサイルの総数は?』

 Dが質問する。

『総数は・・・・・・約300発』

「ルリちゃん、ディストーションフィールド・・・持つ?」

「無理です。 この高度では出力が足りなすぎます」

『・・・・・・しょうがない。 俺が何とかする。 デルフィニウム部隊はサクラに戻れ。 ジュンは・・・ナデシコに戻って来ないか?

 指揮官がユリカ一人だけだと、何かあったときにまずいだろ? ・・・その点お前は、ミスマル艦長の友達だからネルガルにスカウトされたんじゃなくて、実力があったからスカウトされたんだろ?

 ・・・・・・だったら、艦長の補佐のため、艦長に何かあったときのために、ナデシコに戻って来ないか?』

『僕は・・・・』

『何を迷う必要がある? お前の心は決まっているんだろう?

 だったら言えばいいさ。 お前の心を。

 ユリカはユリカで言ってやったらどうだ? ナデシコに戻ってきてくれ・・・・・・って』

『・・・・・・・・・・ユリカ・・・僕は・・・・・・』

「ジュン君が戻ってきてくれたら、私嬉しいな」

『ユ・・・・・・ユリカぁ』



 ジュンはナデシコに戻ることになった。

 アキトとヤマダは、ジュンとともにナデシコに帰還した。

 そしてD・・・黒い王子様〈テンカワ アキト〉は・・・・・・ディストーションフィールド外にいた。

 ミサイルは後三十秒ほどで到達する。



『そんな、無茶です!』

『D君、死ぬつもり!?』

『Dさん、止めてください!』

『D、無茶がすぎるぞ!』

『Dさん、がんばってくださいね〜』

『艦長ー、呑気に応援なんかしてないでください!』

 ナデシコからの通信を聞いて・・・・・・

「(はは。 ユリカらしいな。 ・・・やっぱりナデシコはこうでなくっちゃね。) D・・・・行くぞっ!!」

 火星の後継者との闘いのおり、数百発、数千発のミサイル、グラビティブラスト、その他の兵器の攻撃の中、Dは生き残っている。

 そんな彼には、結構楽な仕事だった。

 まず、一番足の速いミサイルを落とす。

 オメガが致命的だと判断したミサイルをさっさと打ち落とし、うち漏らした物も(二、三機しかなかったが)丁寧に処理する。

 そして、一、二秒ぐらい稼ぐと、グラビティウェイブ・・・・・・ブラックサレナMk−Uに搭載された新兵器で、グラビティブラストより威力は結構下回るが、機動兵器にはとてもではないが耐えられたものではない重力波を全方位に(ある程度の範囲なら効果外範囲を作ることは可能)照射する兵器だ・・・・・・を発射する。

 効果範囲内にデルフィニウムなどの、連合軍の兵器などがないのは確認済みだ。

 グラビティウェイブの効果は如実に現れた。

 効果範囲内に突入したミサイル群は、次々とひしゃげ、ねじくれ、爆発した。



「す・・・・・・すごい・・・」

「うそ・・・・・・」

「なに・・・? あのきれいな動きは・・・」

「何で何にもないところでミサイルが爆発してるの?」

「やはり私の目に狂いはありませんでしたねぇ。 しかし・・・それにしても異様すぎる・・・・・・」

「何であんな機動ができる!」

 Dの行った機動は、本人にすればたいしたものではないが、周りからすれば、異様だったのだ。 

 尤も、そんなことを気にするような人は、ほんの数人だけだったが。



 第二防衛ラインを抜けて、

「それじゃあ、ナデシコを救った英雄をご案内してください」

「ハイ。 D機、回収します」

「念のため確認しますが、ビックバリアは作動してませんね?」

「はい。 ビックバリア、作動していません」

「ではナデシコ、宇宙目がけてい行きましょうかーっ!」





 こうしてナデシコは宇宙に飛び立った。




 そして・・・・・・

 今ナデシコは月のネルガルのドックにいる。
 
 そしてここはナデシコの格納庫。

 なんでも、軍のエステバリス・ライダーの一人が、ナデシコに乗艦希望したらしい。

「(・・・前は月に寄ったっけか? やっぱり、俺がいる時点で、歴史が変わってるしな・・・・・・

 こーゆーもんか)」

「それでは、新しいパイロットの紹介です」

 前の方にはホスト役のユリカ、ジュン、プロスペクターがいる。

 そしてもう一人・・・・・・

 プロスペクターの隣にいた女性が一歩前に出る。

「パイロットのイツキ・カザマです。

 よろしくお願いします」

 整備班の連中が何かほえている。

「はんちょー、かわいー子っすねぇ」

「おうそうだなぁ。 整備員A」

「実は名前決定したっす」

「ほう」

「ナカタニ ユウマっす」

「そうか。 ・・・・・・にしても・・・ホントかわいい子だよなぁ」

「はい。 あの長い髪の毛・・・豊かなムネ・・・いいっすねぇ」

 イツキがDの前に行くと(パイロットはユリカたちと二メートルぐらい離れた、とてもイツキに近い位置にいる)声をかけた。

「軌道衛星からの攻撃を防ぐ様子、見させてもらいました。 機動兵器、武器もさることながら、すばらしい腕前ですね。

 今度よければシュミレーション、付き合ってください」

「ああ。 おやすいご用だ。・・・それよりも、この格好、何とも思わんのか? 誰もが奇異の目で見たり、なんでこの格好をしているのかを聞いたりするんだが」

「服装なんて、人それぞれですから」

「なるほどねぇ。 ま、よろしく」

「はい、こちらこそ」

 Dとイツキは握手した。

「班長・・・なんか俺、殺意わいてきたんですけど・・・・・・」

「みなまで言うな、ユウマ。 おそらく最低でも整備員の半数以上はお前と同意見だ」

「・・・そうっすね」

 周りにいた整備員一同が頷いた。



 余談だが、ヤマダが「よろしくなっ!」と言ってイツキの肩に手を載せたところ、問答無用でボコボコにされ、医療室送りになったという。

 前の時はすぐに死んでしまったから分からなかったが、ナデシコの空気に最初っからあってた人らしい。





 こんなところでイツキが加わって・・・一体この先どーなることやら・・・





   次回予告

 迫るデビルエステバリスにイツキ、大ピンチ!

 イツキの運命やいかに!

 次回 水色宇宙に『ときめき』
            をみんなで読もう!





  本星への報告書3

 執筆時間六時間を超える。 E・Tはとても疲れた。

 こんなところでイツキの登場です。 サターンで出てきたらしいですが、俺はやったことがないので、設定も知りませんし、『イツキ・カザマ』と言う名で、外見がそっくりなだけのオリキャラと思った方がいいですな。Benさんのイツキさんみたく。

 感想(できれば、おもしろいですという)、どしどし送って下さい。

 それではこのへんで・・・・・・・・・・
本星への報告書3 終

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

E.Tさんからの連続投稿第三話です!!

イツキ登場!!

そうですか、実はイツキのファンですねE.Tさん(笑)

どちらにしろ、次の話ではリョーコ達も仲間になるわけですしね。

さてさて、整備班の殺意は全てDに向くのでしょうか?(笑)

 

ではE.Tさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

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