Act.0 ココロノコエ

 蔵人 醍醐という世紀末馬鹿王伝が路上で寝そべっていたとき。

 アキトとミナト、そしてホシカワ夫妻・・・・・・テンカワ夫妻は、目と目で会話していた。

 それは、本当にお互いのことを思っている家族だから出来たことであろう。

 ・・・カズヒサーーー カズトは思った。


(アキト・・・ゴメンな・・・・・・。

 本当は、どこにいるか知らせたかった。

 今、きちんと話をしたい!

 だけど・・・・・・出来ないんだ。

 いくら望んでも、ソレをすることはできない。

 だから、せめて・・・・・・)


 アキトは思う。


(分かってる・・・・・・、父さんが何を言いたいのか、分かってる。

 だけど・・・・・・ちゃんと、話をしたい。

 無理だっていうことも、分かってる。

 それでも・・・・・・・・・。

 だからせめて、親子としては無理でも・・・・・・・・・)


 ホナミーーー ミナミは思う。


(ゴメン、ミナト・・・・・・。

 私も、あなたとちゃんと話がしたい。 触れ合いたい。

 でも・・・・・・それは出来ない。

 だって、もし私たちが生きていることが知られれば、あなた達にまで被害が及ぶかも知れない。

 私は・・・・・・母として、ソレは絶対に避けたいの・・・・・・)


 そして、ミナトは思う。


(どんなに離れていても、私たちは家族よ、お母さん。

 だから、安心して。

 私もアキとも、お母さんたちのこと、ちゃんと分かってるつもりだから。

 でも・・・・・・・・・何でそんなに大きな娘がいるかな・・・・・・?

 ・・・・・・拾い子?

 お母さん、昔ッから捨て猫や捨て犬拾ってきたけど、いくらお義父さんと2人だけだからって、人間拾ってくる・・・・・・?)


 ・・・・・・・・・・・・。

 最初の内と最後のギャップがかなり激しいな。(汗)








機動戦艦ナデシコif 
AnotherNADESICO

第9話 『大会』










Act.1 vs ダイゴ

 そんな、ほとんど超能力的な会話をしていた四人だったが、そこに無粋な乱入者が登場した。

 その名は蔵人 醍醐。

 自称、ミナトの運命の恋人である。



「ふはははははははは・・・・・・・・・

 やってくれたね、キミ・・・・・・」


 ノソリと、水も滴るいい男というが、全くその正反対の男が立ち上がった。

 その男は、ぼたぼたと水を垂らしながら、ミルキー・ウェイに向かってきた。

 そして、


 バタム!


 凄まじい音を立て、ドアを開け、店内に入った。

 ・・・・・・車は、赤信号のため来なかった。


「やあ・・・・・・・・・。

 さっきはよくもやってくれたね・・・・・・・・・?」


 ダイゴは、彼には全く似合わない押し殺した低い声を出した。


「さっきって、てつざんこーのこと?

 ああ、あんなのダメよ。

 だって、ちゃんとアンタの鳩尾に入らなかったんだから。肘が」


 と、はるかがいたって冷静に返した。

 ・・・・・・・・・・・・。

 思えば、ダイゴとはるかの『はるか>ダイゴ』の関係は、この時に築かれたのかも知れない。


「クッ・・・・・・、減らず口を・・・・・・!

 ・・・・・・・・・。

 まあ、いい。

 とりあえずお前には勝てそうもないからこのガキにやーつあたりじゃぁ〜〜っ!!


 彼は、吠えながら突撃してきた。

 だが、不幸にも彼が狙いを付けたガキとは、ジュウゾウだった。


「うりゃあああ〜〜〜」


 そこら辺のチンピラなら、あるいは一撃で沈められたかも知れないパンチ。

 だが、生憎とダイゴが狙った相手は、その道のプロだった。

 反射的に、身を守ろうとするかのように体を縮めた。

 それで、鼻っ面に頭突きが入る。


「げふっ」


 縮めた体を元に戻すようにして、浮き上がり露わになったチン(顎)に再度頭突き。


「グフっ?!」


 端から見れば、ソレは全て偶然にしか見えない。

 ソレが偶然でないことを知るのは、この場では難波 零ただ一人だった。

 だが、ダイゴも並の人間ではなかった。

 鼻血は出しているものの、ほとんど効いた様子もなく、


「ちぃっ、ターゲット変更だぁっ!」


 今度はガイの方へ。


「ガァーイ、スーパーナッパァ〜〜ッッッ!!」


 車田 正美的な吹っ飛び方をし、


「ひでぶわぁっ」


 世紀末覇王伝な悲鳴をあげる。

 ついでなのでガイは、


「お前が死ぬまで後3秒」


 とか言ってみたりした。

 ・・・・・・特に意味はない。


「まだだ、まだ僕は死なない!」


 と叫び、今度はアキトに向かった。

 ・・・・・・・・・ミナトと、あっさりと勝てないと明言したはるかは別にしても、彼は見事に女性と男性を別々に扱った。


 ところで、アキトは運動神経が良かった。

 意外でも何でもないかもしれないが、ガイが、彼が通う小学校では一番運動神経があった。

 50m走は、6年生の全国平均が7.6秒、最高記録が6.1秒であるのに対し、6.7秒。

 ・・・・・・小4の記録である。

 走り幅跳びが平均3m36cm、最高が7m29に対して5m86cm。

 走り高跳びの平均が1m22cmで、最高が2m10cmで、彼は1m80cm。

 と、この様に地区大会は楽勝レベルだ。

 ・・・・・・繰り返して言うが、この平均と最高は小学六年生のもの。

 それに対してガイは、小学四年生の記録である。

 更に、陸上でなくとも、サッカーは小六と混ざっても何ら遜色なく、バスケットボールは中学生にも比肩しうる。

 そして剣道や空手といった武道に関しても、中学生の選抜クラスとほぼ互角に渡り合う。

 そのガイと、アキトは互角に渡り合えるのだ。

 ・・・・・・誰も知らないことではあるのだが。

 その理由は2、3合って、主なものとしては、元々彼はコック志望だったため、スポーツ関連の高校に進められる可能性を排除したかったことだ。

 しかも、大切な人を守れる力を欲し、軍人になる決心を決めた翌々日から、彼は道場に通うようになった。

 昔から道場通いをしていたガイと、ほぼ完全に独学のアキトが互角だった。

 そのアキトが道場に通い、空手、柔道、剣道、ボクシング、ムエタイ、サンボ(コマンドサンボ)、弓道を習うようになった。

 そして、普通ならまだ下積みしかさせてもらえないような年齢なのに、高学年や中学生と混ざって修練を積んでいる。

 めきめきと実力を付け、並の高校生では歯が立たなくなっている。


 よーするに、だ。

 並の高校生どころか、並の中学生にも遠く及ばないクラヒトダイゴは、楽々とアキトにノされたわけである。

 具体的な描写は、以下の通りである。



 ダイゴ、突進してくる。

 大きく右手を振り上げた。

 きっと、大振りのパンチが飛んでくるのだろう。

 というアキトの予測通り、大振りの弧を描くパンチが飛んできた。

 その腕を掴み、鮮やかな一本背負い。


 どすんっ!!


 いっそコミカルな音をたて、床に横たわった。

 ・・・・・・なお、彼は受け身をとれないどころか、その存在すら知らないことをここに明記しておく。










Act.2  第一回ダイゴボコ殴り大会

 脳震盪を起こしかけて、内臓に喰らった衝撃にむせぶダイゴに、追い打ちがかけられた。


「お客様・・・・・・店内で粗相は、ゴメン被ります!! ・・・天誅っっ!!!


 どごぉぉっっ!!


 ・・・・・・ヒスイの激烈な、亡きアンディ・フグも真っ青の踵落とし。

 鳩尾に完璧に入った。


「うおををぉぉおおおおお!!」


 怒声と、


 パチパチパチパチ


 爽快感のする、拍手の嵐。

 ・・・・・・それにしても凄まじいな、この5歳児のウェイトレスは・・・・・・(ヒスイ、並びにコウギョクは、ホナミの作ったウェイトレスをイメージした服を着ています)。


「すまない、ナナコさん。

 海には行けそうもない・・・・・・ぜ・・・・・・・・・」


 そのダイゴのセリフにガイが怒った。


「おどりゃ、ゲキ・ガンガーの品位を貶めンじゃねぇーーっっ!!」


 ぐしゃっっっ!!!


 ・・・・・・鈍い音が、顔の辺りからした。

 見てみると、鼻の骨が折れているらしかった。

 ガイの、フライングエルボークラッシュがクリーンヒットしたのだ。


「粗相は、御免! 御免! 御免! 御免んんーーっ!!」


 何というか・・・・・・ガイのエルボークラッシュに触発されたらしく、ヒスイが更に蹴りを繰り返した。

 踵落としや、ヤクザキックが主だった。

 ガイも、それを見て触発され・・・・・・・・・

 気が付くと、店内の人間全員(含むアキト一行全員)がダイゴをボコ殴りにしていた。



 そう!

 これこそが、後々にまで語り継がれ、実際に行われる『馬鹿息子ボコ殴り大会』の記念すべき、伝説の第一回目。

 「蔵人 醍醐ボコ殴り大会」だ!!


「伝説は・・・・・・、オレが造る。 ゲフッ」










後書き
 まず最初に、『湊 はるか』及び『蔵人 醍醐』は、別人28号さんの許可の元出演しています。


 んー、なんかダイゴをボコボコにしてたら終わっちゃいましたね、今回の話(苦笑)

 ま、ダイゴ君ですしね。



 それはそうと別人28号さん。

>で、醍醐に関してですが・・・

>まだ甘いデス(キッパリ)

 なっ?! あ、アレで!!?

 ということは、今話なんかソレこそまだまだじゃないですか。

 う〜〜ん、奥が深いな〜〜。


 それと、

>・・・あ、あと 醍醐の一人称は「僕」ですよ


「あはははは・・・・・・・・・。

 オレは吉本じゃないぞ・・・・・・ガクッ」

 というセリフにたいしてだと思うんですが、これはどっかのマンガだかから引用したセリフっス。





 それでは、この辺で。


コメント代理人 別人28号のコメント


は、話が進んでない・・・

醍醐のせい・・・かな?


アキトの方は案外あっさりと納得しちゃいましたね〜 家族との再会

TV版の性格だともう少しヒネた解釈しそうな気もしましたが

姉ミナトの存在のおかげでそれなりに満たされているんでしょうか?

幸せ者よのぅ・・・


子供を「拾った」とあっさり解釈されてしまうあたり血筋かも知れませんが




とりあえず、醍醐のパンチでチンピラ沈めるのはムリと思ってみたり


タコ殴り大会がはじまってますね〜

この調子で行けばIFミナト編(醍醐28才)で・・・300回ぐらい?(月2回)

ハイぺースですねぇ











しかし・・・ヒスイの攻撃が一番強烈に見えるのは気のせいでしょうか?