稲妻。

 それが、ピンクのエステバリスの機動を表す言葉だ。

 俊敏な機動は、敵を寄せ付けない。

 ミサイルも、レーザーも回避し、バッタ達を盾にし、全く当たらない。

 上空からミサイルを浴びせかけるだけのバッタ達も、陸戦フレームの限界までジャンプし、ワイヤードフィストの攻撃で、墜とす。

 また、それでも届かないモノ達には、盾にとったバッタを投げつける。

 もう、敵の一割は撃破した。


機動戦艦ナデシコif 
THE AVENGER

第6話
 戦闘終了





 彼等は、それを黙って見ているしかなかった。

 いや、それは正しい表現ではない。

 言葉を発することが出来なかったのだ。

 その圧倒的なまでの、エステバリスの戦闘に気圧されて。

「な・・・・・・なんなんだ・・・・・・

 あれが・・・・・・初めて戦闘をする奴の機動だというのか!?」

 ゴートが・・・・・・かろうじて言葉を紡いだ。

 クルー全員が、それに準じた言葉を言う。

 だが、この人だけは・・・・・・・・・
 
「さっすがアキト!
 
 やっぱり私の王子様だねっ!!」
 

 こんなのが艦長で大丈夫なのか、ナデシコ!


 そんなこんなで、ルリからユリカに、

「あ、艦長、ドッグの注水八割がた終わりました。

 ナデシコ、出られます」
 
「それでは、機動戦艦ナデシコ、発し〜〜ん!!!」
 
 ユリカの掛け声にあわせ、

「了〜解」

 ミナトがナデシコのエンジンに火を入れる。



 今、佐世保軍地下ドッグから、白亜の戦艦が、水泡をなびかせて発進した。



「があああああああ!」

 相変わらず、アキトは雄叫びをあげながら攻撃している。

 そして、相変わらず、エステバリスには傷一つ付いていない。

 戦闘が始まり、6分ほどが経った。

 アキトの所に一本の通信が入った。

『アキト!そのまま海岸の方に来て!』

 という、ユリカからの通信だった。

 この時、通信はナデシコからの一方通行で、アキトの様子はナデシコ側からは全く分からなかった。

 で、アキトは暴走中なワケで・・・・・・
 
 アキトは通信を全く聞いてなかった。
 
 よって、海岸の方へ向かうことなく、戦闘を続けた。





 結果。
 
『アキト、お待たせ!
 
 ・・・って、あれ・・・・・・?』



 バッタ達は一匹残らず殲滅されていた。

 その残骸の中には・・・・・・

 バッタ達のオイルや燃料を、まるで返り血のように浴びて佇む、

 一体の機動兵器だけがあった。





 ナデシコの(特にブリッジ)クルーは、呆然と、エステバリスの映像を見つめるばかりだった。





 本星への報告書 TA−6

 あいや〜、本当に一話が短いでやんすね〜〜 ←アンタ誰よ?


 ナデシコがTVの第一話のシーンで全く活躍しないSSは幾つかあるが・・・・・・

 ここまで虚しいヤツはあるのかなー?


 ま、有っても無くても、どーでもいーけど、ね。


 それじゃ、この辺で。
本星への報告書 TA−6 終