今日は皆さんが疑問に思っているであろう、しっとエステについてお話しいたしましょう。

 あんな高性能なエステバリスが、何故銃器や刀程度しかない嫉妬団が所持していたのか・・・・・・

 それにはこんな理由があったのです。

 

 

                        ナデひな外伝
                  シリーズ        浦島  アキト   ぶらり旅
                                                                 
              in スットン共和国                                                 外典 
                    しっとエステ開発秘話

 

 

 ある日のことだった。
 
「天下の公道でイチャイチャしやがってえ!!」
 
 そんなことを言いながら若いカップルに襲いかかるますくマンがいた。

 彼は通称しっとマスク。

 しっとの星に住むしっとの父に認められ、マスクをゲットし、日夜カップル撲滅運動に勤しむ間違った青春を謳歌する若人だ。

 彼が率いる嫉妬団の最終目的は全世界のカップル根絶と水島の首を殺(と)ること、そして漆黒の戦神テンカワアキトの首を殺(と)ることだ。
 
 おそらく未来永劫不可能だが。

 そしてカップルを一組殲滅した彼の周りに、ふんどし男達が集まってきた。

 彼らこそがこの嫉妬団を形成する団員達だ!

 その戦闘能力はアキトを1とすれば1y(ヨクト:1×10の−24乗)以下!

「総統!

 西のカップル15組を殲滅してきました!」

「こちらは東のカップルを12撃破!」

「北のカップル16を撃墜しました!」

「南のカップル8撃破後、異様に男性の強いカップルに3人が犠牲になりました!」

「3人の英霊に黙祷一分!」

 4人の報告にそう答えると目をつぶり、天国・・・・・・いや、地獄か、やっぱ。・・・・・・に逝ってしまった団員の冥福を祈る。

 それから、

「さて、ここで一つみんなに聴きたいことがある。

 我が団に科学班があっても技術班はあったか!?」
 
「ありません」
 
「それならばこのしっとマスクが設計したしっとエステはどうやって作ればいいのだ!?」
 
「はい!」

「はい、安藤」
 
「とりあえず現実逃避にこの『ドキドキメモリアル』をやってみては!?」
 
「ボツ」
 
「はやっ」
 
 安藤にそう言うとしっとマスクは考えた。

 そしておもむろにこう言った。

「やはり誘拐しかないか?
 
 ともかく、一刻も早くしっとエステを完成させるのだ!
 
 アレさえ出来れば水島も、漆黒の戦神なども簡単に殲滅できる!!!」
 
 その言葉を偶然聞きつけた者がいた。

 彼は某組織の技術部長を務める男だ。

 何故放し飼いにされているのかは分からないが、ともかくその場にいたのだ。

 だから彼はしっとマスクの前に行くとこう言った。
 
「おい、貴様!
                                        と
 テンカワアキトの首を殺るのはお前らじゃない!オレたちだ!!」
 
「何やつ!?」
 
「オレか?

 俺の名はウリバタケ セイヤ。
 
 漆黒の戦神テンカワアキトを倒すための組織、その名も素敵な『某組織』の技術部長だ!!」
 
「なんとっ!こんな所に同士がいたのか!!
 
 むっ、そうだ。

 おい、ウリバタケとやら。

 我らは嫉妬団。
 
 同盟を組まんか?
                       と 
 戦神の首を殺るために!!」
 
 ウリバタケは数秒黙考する。

 そして、

「ちょっと待ちな」

 といって無線機を取り出す。
 
「会長か?こちらウリバタケだ」
 
「なんの用だい、ウリバタケくん」
 
「会長に一つ相談がある」
 
「ほう。それはいったい?」
 
「嫉妬団という組織と接触した。
 
 そこでアキトのヤロウの首を殺るために同盟を組まないかと言ってきたんだが・・・・・・どうする?」
 
「信用できそうかい?」
 
「あの目は本物だ」
 
「君が言うんなら大丈夫だろうね。
 
 同盟の条件は君に任せるよ。じゃ」
 
 ウリバタケは無線機をしまうと返答した。

「同盟の条件次第だな」

「条件か。
 
 ただ単に、そちらの戦闘時はこちらからは団員を送り、そちらの戦力増強を、そしてそちらからは技術提供を」
 
「技術?」

「ああ、そうだ。

 このしっとマスクが設計した究極のエステバリス、『しっとエステ』を開発するためだ」

「しっとエステ?

 そりゃまたどんな機体なんだ?」

「こんな機体だ」

 設計図をウリバタケに渡すしっとマスク。

 なお、何処から出したのかは不明である。
 
「こ、これは!!」
 
 ウリバタケは驚愕した。

「これなら・・・・・・倒せるかもしれないな、アキトのヤロウを・・・・・・・・・。

 OK。

 同盟成立だ」


 そしてここにモテない男達の世界で最強の組織同盟を結んだ!!
 




 しっとエステは極秘に、パッパラ隊の格納庫で行われたいた。

 何故それが気付かれなかったかは不明であるが、隊長の白鳥沢だけは開発中のしっとエステを目撃していた。

 こんな感じである。





 白鳥沢は格納庫に来ていた。

 用事があったからだ。

 そしてそこで一体の異形のエステバリス(らしきもの)を見つけた。

「こんなエステバリスがうちにあったかな?」

 暫く、手を顎に当てて黙考する。

「・・・・・・まあいいか」





 そして白鳥沢はしっとエステの開発を許してしまったのである。





「どうだ、ウリバタケ?」

「おう、しっとマスクか。

 見てのとおり、完成だ。

 思ったよりも最適化が出来たんでな、一回り小型になっちまったが出力は150%程だ。
               グ ラ ビ ト   ン
 しかも新開発の『改・重力波動弾』を装備している。

 こいつは、マイクロブラックホールまで作っちまう代物だ。

 使うときには注意しないと自爆しちまう。

 もっとも、出力調整が出来るから、よっぽどのバカじゃなけりゃ自爆はできないがな」

「うむ。分かった。

 確認までに訊いておくが、慣らしはまだしていないな?」

「当たり前だろ。

 ほんの十分前ぐらいに完成したばっかだぞ」

「そうか・・・・・・。

 では、明日の作戦時に慣らし代わりに出撃させてみるか・・・・・・・・・」

「それじゃあしっとマスク、俺らは帰るからな」

「うむ。ご苦労だった」

「ああ。じゃあな。

 お互い、アキトの首を殺るために頑張ろうな」

 しっとマスクに背を向け、手を振りながら去っていくウリバタケ。

「ウリバタケ!

 お前達もがんばれよ ! !」

 

 

 翌日、しっとエステは実戦に投入された。

 

 

 本星への報告書 N−3’

 しっとエステが一体どうやって開発されたのか・・・・・・。

 その理由が分かっていただけたでしょうか?


 某組織との同盟・・・・・・。

 世界最凶(狂)の組織の一つですね、ハイ。


 それではさよ〜なら〜。
本星への報告書 N−3’ 終