「どえええええええええええええええっ!!!!!?????」

 な、なんだいきなり最初から!? びっくりするじゃないか。

「か、体が! 体が!!」

 叫び声を上げた人物は、かなりの錯乱状態に陥っているのか、自分の言っている事が
あまり分かっていないようだ。

 その人物は、長い薄茶色のストレ−トヘア−に端正な顔立ち。瞳の色もこれまた薄茶色
で、全体的にふっくらした体型。スタイルはそこそこ良い(胸は、余り無いが)。つまり
女性である。

 ちなみにここはナデシコ内の医務室。とある人物(別名、医務室の主ともいう)の
見舞いに来ていたこの人物は、突然自分を襲ったこの出来事に、おもいっきり
パニクっていた。

 当然、ここが医務室ならば、ナデシコ名物の一人であるあの人が出てくるはず・・・

「ふふふ・・・。期待されちゃ仕方無いわね・・・。よろしい、説明しましょう!!」

 ・・・ほら来た。

「・・・なによ、期待してたんじゃないの?」

 いえ、別に。

「ま、いいわ。説明するわね。彼女は・・・」

 すみません、イネスさん。冒頭で説明が入ると後がつっかえますので、はしょらせて
もらいます。その代わり次の場面でたっぷりと説明させてあげますので、勘弁して
もらえませんか?

「・・・仕方無いわね。ちゃんと約束は守るんでしょうね?」

 もちろんですとも。

 

 

機動戦艦ナデシコ 時の流れに外伝
ナデシコであった、本当に怖い話Vol.3
彼氏?彼女?の事情

 

 

 話はちょっと遡る。

 ナデシコが誇るエ−スパイロットのテンカワ・アキトは、最近影の薄い同僚のエステバ
リスパイロットのダイゴウジ・ガイ(本名、ヤマダ・ジロウ)の見舞いに行くため、料理
を持って医務室へと続く通路を歩いていた。

「そういわれてみれば、ガイがExcaliberの書いたSSに出てくるのは
 始めてなんじゃないか?ジュンやムネタケも出たのに」

 空虚に向かって突然呟くアキト。そんな彼の様子を、通りがかった一般ナデシコクル−
がおもいっきり怪しむ。

 う、痛い所を。

 そんな事を思っていると、いつの間にかアキトは医務室の前に到着していた。

「・・・おもいっきりはしょったな、お前」

 いいじゃないか、別に。

「まあいいか。お−い、ガイ。 飯持ってきた・・・」

「なに、飯か!? もちろん食べるぞ!!!!」

 医務室のドアを開け、ガイに一声掛けようとしたアキトだが、ナデシコ一の騒音
(人はジャイ○ンのカラオケに相応するという)と呼ばれるガイが、勢い込んでベッド
から飛び起きた。

 キ−−−−−−−−ンッ・・・・・・・・・・・・。

「み、耳が・・・」

 自分を襲う耳なりと必死に格闘しているアキト。

かくいう筆者もそうだったりする。 ぐおお・・・み、耳がぁ・・・。

 しかし思うんだが、一体ガイはどうやってあんな大きな声を出しているのだろうか?
まるで熱○バ○ラが「俺の歌を聞け−っ!!」とか言ってるみたいだな。

「駄目よ、アキト君。ここに入る時は耳栓を装着しなくちゃ。
 鼓膜破れるかもしれないわよ」

 ガイの水月に肘鉄を埋め込みながら現れたのは、御存知というかなんというか・・・
イネス・フレサンジュその人である。もちろん、耳に耳栓をしている。

「!? ・・・・・・(ガク)」

 おお、一撃でガイを気絶させるとは・・・イネスさん、なかなかやりますね。

「まだまだこんなの序の口よ。・・・ところでアキト君、その岡持ちは何?」

「え、こ、これですか? ・・・ガイのために持ってきた火星丼ですけど・・・」

 かなり、引き気味のアキト。

「あら、ごめんなさいね、アキト君。今、ヤマダ君寝た所なのよ・・・。
 折角だから、私がもらうわ」

 あんたが眠らせたんだろうが!? と突っ込みたいアキトだが、
突っ込んだら突っ込んだで大変な事になるのであえて突っ込まなかった。

 うむ、いい判断だ、アキト。

「あ、ど、どうぞ・・・」

 反射的に火星丼を差し出すアキト。やっぱり、ナデシコ内で一番怖いのはこの人だと
アキト君は分かっているようだ。



「はひほふん、ほっほほほひふわっふぇ」

「・・・食べながら喋らないでくださいよ。それ以前に、何言ってるか分かりません」

 では、僕が通訳してあげよう。
・・・ふんふん。オイ、アキト君。イネスさんはこう言ってるよ。
「アキト君、ちょっとそこに座って」って。

「あ、そう」

 気を取り直してその辺にあった椅子に腰掛けるアキト。

「アキト君、せっかく来たんだから何か飲んでいかない?」

 大盛りの火星丼をものの五分で片づけたイネス。

 ・・・イネスさんって、以外と大食いで早食いだったんですね、知りませんでした。

 そして食器を片づけると、医務室備付けの冷蔵庫に缶ジュ−スを取りに行く。
「あ、じゃあいただきます」

 断るのも悪いだろうし、何よりちょうど喉が渇いていたアキトはイネスの行為に
甘える事にした。・・・あの、僕のはないんですか、イネスさん。

「あなたはそこの水道から水を汲んで飲みなさい。好きなだけ飲んでいいわよ」

 ひ−ん、水道水?

「贅沢言わないの。アメリカでは水道水は飲めないんでしょ?」

 まあ、そうですけど・・・。

「ゴクゴク・・・ぷはぁ。これ、なかなか上手いですね、イネスさん」

「・・・・・・(ニヤリ)」

「? どうかしました、イネスさん?」

「ううん、なんでもないのよ」

 そんなイネスを不思議がりながらも、完璧にジュ−スを飲み干したアキト。
・・・その直後、いきなり睡魔がアキトを襲う。

「ぐぅ・・・。な、なんか目茶苦茶強引な展開だな・・・」

 やかましい、さっさと寝なさい。話が進まないんだから。

「こ、ここで眠ったら何されるかわからない! オレの命がかかっているんだ!!」

 確かにそれは言える・・・。

 眠気を覚まそうと眼を擦るアキトだが、ヤッパリ眠い。その様子にイネスが

「どうしたの、アキト君。眠いんだったら、少しここで寝ていったら?」

「・・・そうさせてもらいます・・・。ふぁぁぁぁぁ・・・・・・」

と提案したので、アキトは渋々ながらも少し休ましてもらうことにした。

 やっと話が進んだぞ・・・。




 だがこの後、アキトにとって人生最大の汚点になる(予定の)事件が発生する。
後に、彼はこのトラウマに苦しむ事にもなるのだ・・・(遠い目)。




「ん・・・」

 だんだん目が冴えてくる。ここは・・・そうだ、医務室だ。

「イネスさんからもらったジュ−スを飲んだら、急に眠くなってきて・・・」

 そこで、何か違和感を覚える。オレの声、こんなに高かったかな・・・?

「・・・風邪でも引いたのかな・・・?」

 そこで額に手を当てようとして、ギョッとした。

「わ、わたしの手が、小さくなってる!? ・・・え、わたし?」

 あれ、何か・・・胸が・・・重い・・・?
 恐る恐る、という感じで自分の胸を触る。

 ・・・ふにっ。

・ ・・柔らかい。そう、あえて例えるならマシュマロ、あるいはプリンみたいな
柔らかさだ。

 次に最終手段、股間に手を伸ばす。

 ・・・・・・無い。男にしかない、あのシンボル(笑)が・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 暫しの沈黙。

「どえええええええええええええええっ!!!!!?????」

 ここで、やっと冒頭に繋がるわけだ。つかれたなぁ・・・。


「どうしたの、そんなに大声出して?」

 ひょい、とベッドの影から出てくるイネス。

「体が! わ、わたしの体が!!」

 錯乱状態に陥っている。その様子はまるで某有名ゲ−ムの混乱状態に
似ている(あのクルクル回っている状態)。

「落ち着いて。詳しく観察・・・もとい検査するから(成功ね・・・)」

「お、落ち着いてって言われても、落ち着けるわけないでしょう!!胸はあるし、
 男のシンボル(笑)は無くなるし!!」

「なんだ?どうかしたのか?」

 隣のベッドで三途の川ライン下りに乗りかけたガイが起きてきた。が、

「うるさいわね! ひっこんでなさい!!」

 ドムッ(機動○士ガ○ダムに出てくるモビルス−ツではありません、念の為)!!!

と鈍い音を立て、こめかみに青筋を立てたイネスの右ストレ−ト(メリケンサック付き)
がガイの顔面に綺麗に決まる。

 ・・・いや、手首までめり込んでいる(笑)。

 きりもみしながら吹き飛び、倒れるガイ。

 ガイの頭の中では、二十世紀の名作アニメ、「あしたの○ョ−」がハイビジョンで
流れていた。

〔へへ・・・燃えたよ・・・。燃え尽きちまったぜ・・・〕

〔たて−っ! たつんだ○ョ−!!〕

が、全然関係無い事である。話を続けよう。

「アキトさん、ここにいたんですか(怒)? ・・・あれ? 確かにアキトさんの
 コミュニケに繋げたはずなのに・・・おかしいですね・・・」

 通信元のナデシコメインオペレ−タ−、ホシノ・ルリが不思議がるのも無理はない。

 ・・・たしかにアキトのコミュニケに繋げたはずなのに、目の前のウィンドウに映って
いる人物は、自分の良く見知っているアキトではなく見知らぬ女性だったのだから。

〔誰でしょうか、この人?〕

 ちなみに、容姿は先程説明したので割愛させてもらいます。

 ここでルリは自前の灰色、いや瑠璃色の脳細胞をフル回転させて考え始める。
(ちなみに、ルリの頭脳はかのシャ−○ック・○−ムズやエ○キュ−ル・○アロ、果ては
 ジッチャンの名にかけて!の金○一少年よりも勝るのである)

〔新人クル−でしょうか・・・。でも、エリナさんは最近の補充の予定は無いと
 言っていましたし・・・。 ・・・はっ、まさかまたアキトさん浮気しましたね!
 だから、彼女がアキトさんのコミュニケを持っているんですね!?
 私という未来の妻がいるのに!! ・・・でも、十六歳の頃の私より、胸無いですね
 (ちょっと優越感)。 ・・・じゃなくて、これは最終手段・プロジェクトXを
 発動させなければいけませんね・・・〕

 う−む、恋は盲目というけれど・・・なんかルリちゃん暴走してない?

「これが暴走せずにいられますか!! オモイカネ、緊急事態。プロジェクトXを発動
 します。TA同盟のみんなを医務室に集めて下さい! 早く!!」

〔りょ、了解!!(汗)〕

 オモイカネ、君も苦労するね。

〔うん。ルリってば何時もアキトさんアキトさんだもん・・・。
 でも、それが一番ルリらしいんだけどね〕

 同感。君も他人のことが分かるなんて成長したね、オモイカネ。

〔まあ、成長するどころか逆に退化している人達もいるけどね〕

 全くだ。彼らには学習能力というものがないからね。

〔ゴメン、そろそろ定時点検だから〕

 ん、わかった。でも、何の点検?

〔TMRの活動を監視、もしくは妨害。最終目標はこの世から抹消〕

 ・・・・・・ふ−ん。頑張ってね。

〔うん〕



 それはさておき、他のTA同盟の様子を見てみよう。

「ふ−む・・・。ここをこうして・・・こう」

「おいアリサ。俺の赤雷の事なんだけどさ」

 ナデシコ格納庫で、自分達の愛機の微調整をしているアリサとリョ−コ。
随分とまた熱心ですね。

「「当然(です)! アキト(さん)のためだからな(ためですから)(はぁと)」」

 ごちそうさまです、はい。

「二人とも−、小休止しない?」

と二人のエステの足元には、整備士のレイナが笑顔でスポ−ツドリンクを持って
待っていた。

「お、気が利くじゃねえか」

「ありがとうございます」

「ど−いたしまして。頑張るわね、二人とも」

 スポ−ツドリンクをレイナから受け取り、一息いれるリョ−コとアリサ。

たちまちその場は女の子の会話になってしまう。いいねぇ、そういうの。

 だが、その穏やかな、そして華やかな時間も長くは続かなかった。

 ビィ−、ビィ−、ビィ−!!!

 リョ−コ、アリサ、そしてレイナのコミュニケに入る緊急事態のビ−プ音。

「なんだぁ? ・・・こ、これは・・・」

「まさか・・・」

「嘘でしょ・・・?」

「「「プロジェクトX・・・? 医務室に集合・・・?」」」

 暫く茫然と顔を見合せていたが、大きく頷き合うと三人は脱兎の如く掛け出した。

一体どこへ? ・・・運命の地、医務室へ・・・。



〔う〜ん、アキトの目を引くにはどの服を着たらいいかなぁ・・・〕

「ユリカ、はいコ−ヒ−。大変だね、書類のチェックは・・・」

「う〜、書類がこんなにあるんだよ〜。今日は徹夜だよ〜」

「がんばってユリカ。応援してるから」

 嘆くユリカ。そしてそれを慰めるジュン。

 それにしてもユリカ、某寝起きの悪い苺と猫の好きな女の子みたいだなぁ・・・。
(分からない人、ごめんなさい)

 でもユリカの頭の中は、アキトの気を引くにはどんな服を着たらいいか?
という考えでいっぱいだった。

 ちゃんと仕事しろよ・・・。

 ビィ−、ビィ−、ビィ−!!!

「なに、この音?」

「そんな・・・まさか・・・」

 警報の音の意味がわからないジュンだが、机につっぷしていたユリカの方は
顔が引き締まっていた。

 この警報を聞いた瞬間、見ていた書類を放り出して駆け出すユリカ。
慌ててそれを引き止めるジュン。

「ちょ、ちょっとユリカ!? 書類はどうするんだい!?」

「お願いジュンくん、それ全部やっといて!」

「そ、そんなぁ(泣)」

 ユリカの余りに理不尽なお願いに、泣きが入るジュン。

だがしかし、ユリカはこういう時にどう言えば効果的か、実に熟知していた。

「お願いジュンくん。ジュンくんだけが頼りなの(はぁと)」

「ゆ、ユリカ・・・(落涙)。・・・やぁぁぁぁぁぁぁぁってやるぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 某くだらないギャグを連呼する勇者の科白を叫び、ねじり鉢巻きを締め、○ゲインまで
飲んで気合を入れているジュン。

 おまけににじゅ−よじかん、たたか−えますか?なんて音楽まで流れてくる(笑)。

「24時間闘えるかだぁ!? ・・・8760時間(注:一年間に相当します)
 闘ってやろうじゃねえかぁ!!」

 ・・・性格、180度変わってるよ、君。

 おお、ジュンのバックには炎まで燃え上がっている!! 凄い気合だ!!!!

見てくれユリカ、彼は君のためにこんなに燃え上がってるんだよ。

 あれ、ユリカは・・・どこ行った?

 ・・・その頃には、ユリカはもう既に医務室に向かっていた(笑)。
 
ジュン、君ってやっぱり不憫な奴だよなぁ・・・。同情するよ。


「ふうっ・・・。やっと長い科白を言えるわね・・・。私なんか、こいつの御陰で
 殆ど科白が無かったのに・・・」

 ううっ、ごめんなさい、エリナさん。だってエリナさん使い所が難しいくて・・・。

「・・・エリナくん、どうしたんだい? 君に限って独り言なんて珍しいねぇ」

 ベッドに寝ていた包帯グルグル巻きの物体Xがエリナをからかう。

「・・・精神崩壊起こしかけて、〔あ、綺麗なちょうちょ・・・〕なんて言ってた人
 (前作、俺達の聖戦参照)よりは、マシだと思いますけど?」

「うっ・・・」

 エリナの鋭い突っ込みに、タジタジになる物体X。
 同感です、エリナさん。
「ちょっとExcaliber、何でこいつらに止めを刺さなかったのよ?」

 ・・・いやぁ、エリナさん。楽しみは最後まで残しとくものでしょ?
そう簡単に止めを刺したら面白味が無くなるじゃないですか。
いじめがいがあるやつらですしね。

「なるほど、そういう風に考えていたの」

 ええ、次は期待しててくださいよ。

「一応、期待はしてるわ」

 ビィ−、ビィ−、ビィ−!!

とそこに、ビ−プ音が鳴る。

「な、なんてことなの・・・」

 コミュニケをチラリと見るエリナ。心無しか、顔が青ざめている様に見える。
そしてそのまま器用にハイヒ−ルで駆け出して行く。

「お−い、エリナくん、僕のお見舞いは・・・?」

 そんな物体Xの呟きも黙殺し、エリナは部屋から出ていった。

「・・・僕の立場って、一体・・・」

 かわいそうな物体X。あえてネルガル会長、アカツキナガレとは言わないけどね。

「おもいっきり言ってるじゃないか・・・」

 ますます落ち込んでいるアカツキ。

 からかうと、面白いなこいつら。後で、ルリちゃんやラピスに教えてあげよう。



「・・・でね、こういう時にはこういう風にするの」

「・・・へぇ・・・、ありがとうございます、サラさん。今度試してみますね」

 ここはナデシコ、ナデシコ通信士メグミ・レイナ−ドの部屋。
なにやら女の子っぽいお話みたいですねサラさんにメグちゃん。

「「・・・女の子っぽいじゃなくて、女の子なんだけど・・・(怒)」」

 す、すみません(汗)。で、何話してたんですか?

「化粧品の話だけど?資○堂とかカ○ボウとか・・・」

「お化粧の仕方を教わってただけです。サラさんて、お化粧上手いんですよ
 (これで、何人の男が騙されることやら・・・)」

「え、それほどじゃないわよぉ・・・(アキトのために、日々努力してるからね。
 それにしても大体この子、色気がなさすぎるのよ! こんなんじゃ、アキトを
 落とすのは無理ね。私の時代はもうすぐね)」

 ・・・二人とも、心の中ではライバル心がメラメラと燃え盛っている(汗)。

恐ろしい・・・。女って、何考えてるか分からない・・・。

 ビィ−、ビィ−、ビィ−!!!

「あら?・・・これは・・・」

「プロジェクト・・・X・・・?」

 あともう少しで乙女のライバル心で部屋中が火の海になるところに、
警報が鳴りひびく。

「とりあえず、続きは後ね」

「そうですね」

 急いで化粧用品をまとめると、そのまま医務室に向かって走って行く。
一体、何がそこまで彼女達を駆り立てるのか・・・。



 一方、こちらはナデシコ食堂。

「ほらほら、遊んでる暇はないんだよ。さっさと仕事!!」

「「「「「は−い!」」」」」

 料理長のホクメイと、それに続くホウメイガ−ルズことテラサキ・サユリ、ミズハラ・
ジュンコ、サトウ・ミカコ、ウエムラ・エリ、そしてタナカ・ハルミの五人である。

 しかし思うんだが、この五人のフルネ−ムそらで全て言える人、かなり凄いと思う。
だって、この五人劇場版で売れた人達だし・・・それに僕、劇場版見てないし
(GEKINADE ZENBU読んで始めて理解した(汗))。

「「「「「何ですか、劇場版って?」」」」」

 あ、いや。こっちの話。

 ビィ−、ビィ−、ビィ−!!!

 ・・・いいかげん、この効果音書くの疲れてきたな。

「「「「「こ、これは!!」」」」」

 その警報音に、ホウメイガ−ルズの顔が険しくなる。

「「「「「アキトさん! 今私があなたを助けに行きます!!」」」」」

 カシャ、カシャ、カシャ、と複数のカメラが、彼女達全員の険しい顔を捕らえる。
・・・一体、何処にそんなカメラがあるのだろうか?
 某IQ180の探偵の〔謎は全て解けた!〕という雰囲気がピッタリだ。

「「「「「ダメダメ、気にしたら負けだからね」」」」」

 そうですか。わかりました。

「こら、何時まで無駄口叩いて・・・」

「「「「「ホウメイさん!! すみません、急用が出来ました!!!!」」」」」

 ・・・・・・その時の彼女達の目は、本気と書いてマジとよむ、というくらいに
据わっていた。

「あ、ああ・・・」

 あたしゃ、あの時程あの子達を怖いと思った事は無いね、あの子達何かに取りつかれて
いるんじゃないかなんて思ったよ、と後にホウメイは語る。

 そのまま彼女達は医務室に向かって走っていった。もちろん、道中の他の人達の事なん
て完璧にアウトオブ眼中だ。

 役立たずのムネ茸を踏み潰し、元クリムゾンのシ−クレットサ−ビスを吹っ飛ばし、
某整備班長を持っていたお玉で殴り倒し(!)ながら医務室へと急いだ。

 それにしても・・・彼女達の言う〔プロジェクトX〕とは一体・・・。



「教えてあげましょうか?」

 うわっ、びっくりした。突然出てこないでくれよ、ルリちゃん。

「でも、時間が無いので説明おばさんに説明してもらってください。
 行きますよ、ラピス(怒)」

「そうだね、ルリ(怒)」

「ほ−ら、ルリさん言った通りじゃないですか。こんな女たらし・・・」

 ハ−リ−君、随分いい度胸してるね(汗)。

「へ?」

「「・・・・・・(怒)」」

 後ろ、見てみな。

「はい? ・・・す、すいません! つい本音が!!」

 言い訳になってないぞ、ハ−リ−君。

「爆○!! ○ッド・・・」

「○ークネス・・・」

「そ、それだけはやめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 おお、格闘家史上最強の師弟同士の技を出すとは!

 泣き叫ぶハ−リ−君。だけど、それで収まっちゃったら史上最強の〔電子の妖精姉妹〕
という伝説は完成しない。・・・諦めろ、ハーリー。

「「○ィンガー!!!!!」」

 ドガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 何でこんな役ばっかりぃぃぃぃ!!!」

 意味不明な言葉を口走りながら、消し炭になるハ−リ−。

なんかもう、突っ込むのもアホらしくなってきたな。

 ちなみに○ッド○ィンガーがルリで、○ークネス○ィンガーがラピスだ。

「はあ、はあ、はあ、愚か者の裁きはこれくらいにして、今度こそ行きますよ、
 ラピス(激怒)」

「はあ、はあ、はあ、そうだね、ルリ(激怒)」

 そういうと、まさに縮地と言いたくなるような速さでブリッジを出ていく二人。
お−い、ちょっと待って・・・って行っちゃったよ・・・。

 それじゃあ、イネスさん。お願いします。

 ピコッ。

「これよ、これを待っていたのよ!!」

 何故かウィンドウの中で身悶えているイネス。・・・ちょっと、いやかなり怖い。

「よろしい、説明しましょう!! 〔プロジェクトX〕とは、アキト君の事を誑かす
 輩をこの世から滅殺することよ。 ・・・アキト君、自分がモテるっていう自覚無い
 から、TA同盟で可決されたのよ。 ちなみに、発案者はルリちゃんにラピスちゃん、
 艦長、メグちゃん、リョ−コちゃん、サラちゃんアリサちゃん姉妹にエリナさんレイナ
 ちゃん姉妹、ホウメイガ−ルズにこの私ね」

 それって、全員じゃないですか(汗)。

「考える事はみんな一緒って事ね」

 明後日の方角を見ながら言うイネス。

 女の考える事は、よく分からない・・・。



 さて、場面は変わって医務室。


「アキトさん!!」

「アキトッ!!」

 縮地の如き速さで駆け込んできたルリ、ラピスの電子こと妖精姉妹。

「アキトッ! もう大丈夫だからね!!」

 艦長室から走って・・・いや、文字通り飛んできたユリカ。その証拠に、背中には
ドラゴンの翼が生えている(俺達の聖戦参照のこと)。

 ・・・人間じゃねえ・・・。

「テンカワ! 大丈夫か!!」

「アキトさん! あなたにもし何かあったら・・・(泣)」

「アキトくんっ、私が助けてあげるからね!!」

 手に所々刃こぼれした刀を持ったリョ−コ、ひびが入った槍を持つアリサ、そして
血濡れた巨大スパナを持ったレイナが医務室に駆け込んでくる。

 ・・・なんで、刃こぼれしてるんですか、二人とも。

「壁ごとぶった切ってきたんだ。得意の斬○剣までしてな」

「私は閃○裂破で・・・」

「私は邪魔な人を伸してきたのよ」

 こ、怖えぇ・・・。

「アキトくんはどうなの!!」

 そこにエリナさんが器用にハイヒ−ルで駆け込んでくる。
ちなみに、そのハイヒ−ルのヒ−ル部分は真紅の血に濡れている。

「ちょっと邪魔な人をヒ−ルでドカッと・・・」

「・・・一体何処に説明して・・・ハッ!?」

 説明、という言葉を口にして、その行為を後悔するアリサ。
だがしかし、先程嫌というほど説明した後だったので、それほど関心を示さなかった。

「助かりました・・・」

 ホッと一安心するアリサ。

「どうしたの、アキト!?」

「アキトさん、しっかりしてください!!」

 所々へこんだ消化器を持ったサラと、赤く変色したデッキブラシをもったメグミが
駆け込んできた。

 ・・・ここへ来る道中、何をしてきたかわかったから、あえて聞かない事にするよ、
二人とも。

「いい判断ね」

「全くです」

 ははは・・・はぁ・・・。

「「「「「・・・私達に、おまかせ!!!!!」」」」」

 そこに、息も絶え絶えのホウメイガ−ルズが現れた。

 それぞれベコベコにへこんだお玉を持ち、エプロンの所々に赤い斑点がある。
・・・その赤い斑点っていうのは何なんだ?

「「「「「え−っと、ムネ茸にナオさんにウリバタケさんの血かな?」」」」」

 ・・・ムネ茸とウリバタケはわかるけど、ナオさんは酷いんじゃないか?

「「「「「今は、アキトさんの方が大事よ!!!!!」」」」」

 あ、そう。

「「「「「「「「「「「「「「覚悟!!!」」」」」」」」」」」」」」

 一斉にアキトの彼女(笑)を取り囲むTA同盟の面々(イネスは除く)。

「ちょ、ちょっと待ってよ!!!」

「「「「「「「「「「「「「「問答無用!!!」」」」」」」」」」」」」」

 完璧に聞く耳持たない彼女達。

「・・・・・・アキト君も幸せ者ね・・・・・・」

「「「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」」

 ポツリと呟いたイネスの言葉に、唖然となる一同。

「ま、まさかイネスさん・・・」

 ルリが恐る恐る尋ねる。何かの冗談であって欲しい様に。

「そうよ、彼女がアキト君よ」

 暫しの沈黙。

「「「「「「「「「「「「「「ええ−っ!!!」」」」」」」」」」」」」」

 医務室に、彼女達の悲鳴が響き渡った。




「何で、こんな事になったのよ・・・」

 ここはミナトさんの部屋。ポツリと、アキトは一言愚痴をもらした。

それにしてもアキト君。・・・君、口調が完璧に女になってるよ。

「仕方無いでしょう! 言語中枢がこうなっちゃったんだから!!」

 言語中枢? なんだそりゃ?

「ここにビデオがあるから、それ見てちょうだい。わたしから言いたくない」

 了解。それでは、再生・・・。




〔何でこんな事したんです、イネスさん!〕

 ルリがイネスに詰め寄る。

〔科学の発展のためよ〕

 サラッと切り返すイネス。

〔でも、どうしてアキトが女の子になっちゃったの?〕

〔・・・このジュ−スを飲んだら、急に眠くなって、気が付いたらこうなってたのよ〕

 と、空き缶をユリカに見せるアキト。

〔なになに? ・・・ホル○ンガ−?〕

〔・・・もしかして、マ○カル○ルる−とくんに出てくるやつ?〕

〔・・・と、とりあえず、このジュ−スの効能を説明しましょう〕

 突っ込むラピスだが、イネスは無視する。

〔このジュ−スには特殊なナノマシンが入っていて、対象の染色体、つまりDNA
 遺伝情報を書き替えるのよ。 性染色体の事はみんな知っているわね?
 XYで男に、XXで女になるけど、このナノマシンはそれを書き替える事が
 可能なの。XYからXXに、XXからXY、という風にね〕

〔じゃあ、女が飲んだら・・・〕

〔逆の現象が起きるわね。 ・・・試してみる?〕

〔いや、いい〕

 即座に断るリョ−コ。

〔〔じゃあ、口調が女になっているのは?〕〕

 これはサラ、アリサ姉妹。

〔このナノマシンは脳にも影響するのよ。脳の言語中枢(言葉を司る部分)を変換して、
 より女の子らしくするのよ。だから、男が飲んだら口調が女っぽく、女が飲んだら
 口調が男っぽくなるわけ〕

〔うう・・・、あ、頭が・・・〕

 頭を抱え始めたリョ−コ。その他殆どの人が頭を抱えている。
どうやら、難しすぎて頭がパンクしかけているようだ。

〔で、結局いつ元に戻るんですか?〕

 ルリが、もっともな質問をする。

〔そうねぇ・・・。大体三日、っていった所かしら?〕

 イネスはノホホンとした口調で言う。
 
その科白に、アキトは目の前が真っ暗になった気がした・・・。




 ・・・事のあらましは大体分かったけど、今何やってるんだい?

「・・・みんなの着せ替え人形にされてるの・・・(溜息)」

 ・・・ふ−ん。

「ねね、アキト君。これなんかどう?」

 フリフリのドレスを持ってくるミナト。・・・実は、彼女が一番楽しんでいる。

「・・・アキト、これ」

とラピスが持ってきたのは、某セ−ラ−服美少女戦士のコスチュ−ムだ。

「あら、アキト君だったらス−ツなんて似合うんじゃない?」

「こっちのワンピ−スは?」

 こちらも以外と楽しんでいるエリナ、レイナ姉妹。

「アキト君、白衣羽織ってみない?」

 ちゃっかり、自分も便乗しているイネス。

「アキトなら、艦長服も似合うよねっ(はぁと)」

 自分と同じ服装、つまりペアルックになるからとっても嬉しいユリカ。

「て、テンカワなら、女性用パイロットス−ツも似合うんじゃないか?」

 何故か、顔を真っ赤にしているリョ−コ。

「アキトだから、化粧のやり甲斐があるわぁ(はぁと)」

「同感です(るんるん)」

「あ、アキトさん動かないでください!」

 サラ、アリサ、メグミの三人は、アキトに化粧をして喜んでいる。

「「「「「アキトさ〜ん、エプロン付けて私達と一緒に料理しましょ〜」」」」」

 見事なユニゾンでアキトを催促するホウメイガ−ルズ。

・・・一緒に歌ったり、踊ったりしてみたいらしい。

 ・・・あれ? ・・・そういえば・・・誰か足りないような・・・。

「私の事ですか?」

 うん。ルリちゃんは参加しないの? まっさきに飛びつくと思ったんだけど・・・。

「いえ、後で一緒にお風呂入ってもらおうかなって思いまして(ポッ)」

 ちょっと、頬を赤く染めながら呟くルリ。

「「「「「「「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」」」」」」」

 そのルリの呟きに、敏感に反応したユリカ達。

「・・・そうね、その手があったわね」

「・・・今、アキトは女だから・・・」

 イネス、ユリカがその科白の意味を理解する。

「「「「「「「「「「「「「「「合法ね(ですね)!」」」」」」」」」」」」」」」

 何故か、みんな眼が怪しく輝いている。

「ちょ、ちょっと!?」

 アキトはただならぬ雰囲気に気が付くが時既に遅し。

「さあ、アキトさん! 一緒にお風呂に入りましょう!!」

「ちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「そんなに恥ずかしがらずに、ね?」

「そうですよ。女同士なんですし」

 ガシッ、とアキトの両腕を抑えるサラとアリサ。

「さあ、女湯に向かってLet’s Go!!」

 ズルズルズル、とアキトを文字通り引きずっていくTA同盟の方々。
ついでにミナトさんも便乗している。

「だってぇ、面白そうだしぃ」

 そうですか。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」








 ナデシコに、アキトの悲鳴が木霊した・・・。








 後日、アキトは一週間程高熱を出してうなされていた。

 それは、男には分からないベルリンの壁の向こう側を覗いたからなのかは、
神のみぞ知る・・・という所だろう。





Fin



おまけ



 着せ替え人形と化したアキトの写真が流出し、ナデシコクル−男性陣の間で
かなりのプレミアが付き、かなり高額で取引されるようになったという・・・。














後書き



「・・・書き上げちゃいましたね」

 わはははははは(笑)。

「な、なんでオレばっか不幸に・・・」

 何言ってるんだ、男湯と女湯の間にあるベルリンの壁の向こう側を覗いてきた
幸せ者が。女湯は、男にとってロマンでもあるんだぞ。
 
 でも、アキト君女の子バージョンの声優さんって誰だろ?
誰か、いい人いないかな?

「でも、何でイネスばっか活躍してるの? 不公平だよ!」

 そのことだけど、イネスさん程ネタにしやすい人もいないんだよ、ホントに。
あと、ムネ茸もね(別の意味でだけど)。

「次はどうするの、Excaliber?」

 そうだな、久し振りにムネ茸を出してみよう。

「「「ちょっと、正気(か、ですか)!?」」」

 それなんだけど、ちょっと耳をかしてちょうだい。

「「「?」」」

 ・・・というわけ。どうかな?

「「「・・・いいね(な、ですね)(ニヤリ)」」」

 それじゃ、次回予告。

ナデシコであった、本当に怖い話 Vol.4
 REVENGE OF MUNETAKE
       ムネ茸の逆襲

でお会いしましょう。

 なんか今回は良い子の正しい科学教室みたいになっちゃったな・・・。
でも、あそこまで書くの結構大変だったんですよ(汗)。


  恐らく、書き上がるのは八月になる予定です。気長に待っててくださいね。
(こんな駄作でも、楽しみに待っている人がいればですが(汗))

感想、誤字、脱字、クレ−ム等メ−ル、待ってま−す!

 

 

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

ExcaliberさんからSSの投稿です!!

投稿有難うございますね!!

しかし、このネタを使いますか(苦笑)

まあ、何時か誰かが書いてくれるとBenは信じていました!!

・・・自分で書くつもりは全然無かったわけですね(爆)

それと!! 今回はちゃんとジュンも不幸です(笑)

勿論、ハーリーも某整備班長も、ちょっと会長はインパクトが弱かったけど(苦笑)

でも何より凄いのは!! ナオさんが被害者(爆)

う〜ん、このままExcaliberさんの小説では、不幸の坂道を転げ落ちるのでしょうか?

凄く楽しみにですね(ニヤリ)

 

では、Excaliberさん投稿、本当に有難うございました!!

 

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この掲示板に出来れば感想を書き込んで下さいね!!

 

 

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