機動戦艦ナデシコSS

涙を越えて
第一章 第四話 不器用な言い訳 Ver1.5 

 

「ユリカさん・・・・ すみません。アキトさんはまだ・・・・」

「いいんだよルリちゃん。

生きてさえいればいつかきっと合えるんだから」

病室でテンカワ ユリカは、にっこりと笑って娘ルリに向かって笑顔を返している。

「生きてるんだよね」

「はい。でもまだ会いたくないと・・・・」

「もう、アキトの恥ずかしがりやさん。

もぉ〜早く顔見せてよ。

ユリカが待ってるのに・・・・プンプン。」

ルリはそっと窓の外を見る。

(アキトさん。早く帰ってあげてください。生きているうちに・・・・)

ルリは今すぐにもアキトをここに連れてきたかった。

ただ、助け出された時のユリカの言葉を思い出すとぐっと涙をこらえるしかなかった。

 

 

ナデシコが救出された後・・・・

「もう、ルリちゃんもアキトも私に無断で2ヶ月もいなくなっちゃうんだもん」

「すいません、まさかランダムジャンプに巻き込まれるなんて・・・・」

そう、アキトさんを見つけ逃がさないために打ったアンカー。

それがランダムジャンプを引き起こしてしまった。

「いいよ、いったでしょ。帰ってきたんだから。」

「はい。でもそのせいでユリカさんが」

ランダムジャンプが発生した後イネスさん達は、私たちを助け出した。

イネスさんとユリカさん二人のA級ジャンパー

二人はどういう原理かはわからないが、私たちを無事助け出してくれたのだ。

でもそのせいで、ユリカさんの浸食が早まってしまった。

よくて後二・三年それが一気に半分ぐらいに・・・・

 

「そういえばさぁ、ルリちゃん・・・・」

「え?何ですか」

ユリカはにこにこしながら

「私夢を見たんだ。アキトが一生懸命歴史をかえようとしている夢」

「夢ですか?」

「そう。昔に戻って歴史を書き換えようとしている夢。

あっルリちゃんもいたよ。

ルリちゃんアキトにアタックしてたんだ。」

「え?アタックですか。(ポートアタックじゃないですね)」

「うん。向こうの世界ではルリちゃん積極的だったよ。」

「そっそうなんですか?」

「向こうにも『私』がいたけど、私はルリちゃんを応援しようかな。」

 

私も、アキトさんに恋愛感情を持ってる・・・・かもしれない。

でも、今のユリカさんを見て勝てそうにないなと思う。

昔どうしてアキトさんに会わないのかと問いつめたことがあった。

「どうして、会わないんですか。

夫婦でしょう?

アキトさんだってホントは会いたいに決まってます!!」

「ううん、今のアキトは私には会いたくないよ。絶対・・・・」

どうして、どうしてそんなこと言うんですかユリカさん。

「アキトは優しいからね。」

「優しいから会いたくないんですか?

矛盾してます。」

どうして優しいから会えないの?

こんなにアキトさんに会いたがっているユリカさんを見捨てて、何が「優しさ」なの?

「そうだよ優しいから会えない・・・・

アキトは私を助けるために犠牲になった人のことを、忘れるなんて出来ないよ。」

「・・・・!!」

そうだ、アキトさんはユリカさんを助けるためにコロニーを・・・・

「そっそれは、アキトさんは悪くありません!

火星の後継者の人体実験が・・・・」

ユリカさんが捕まらなければ、そんな事をしなくてもよかったのだ。

そう悪いのは火星の後継者 草壁春樹 なのだ!!

「ううん、それは言い訳。

どんな理由にしろ、アキトはたくさん人を殺してしまったんだよ。

アキトは優しいから、そんな言い訳出来ないよ・・・・」

アキトさんのほほえみが私の目に浮かぶ。

あの優しかったアキトさん・・・・きっと今でも罪の意識に苛まれているのだろう

「それじゃぁどうすればいいんです?」

このまま一生アキトさんの心は罪の意識を背負っていくの?

涙を浮かべた私にユリカさんはにこっと笑って

「大丈夫だよ、アキトは絶対戻ってくる!!」

・・・・・・・・

そうなんだ、ユリカさんは信じているんだ・・・・。

それとも何も考えていないとか・・・・

「だってアキトは私の王子様だから!!」

・・・・何も考えてませんね。

 

 

ネルガルの月面実験場

「なぜなにナデシコ」

そうかかれたホワイトボードの前に女性が二人

「はい、これが実験データよ」

イネスが憔悴したエリナに書類を渡す。

「すごいわね。いつもと変わらないじゃない。

ほとんど、IFSのレベルの低下がないわ。

人には一つぐらい長所があるモノねぇ。練習したのかしら?

実に興味深いわ・・・・」

イネスはエリナに渡したコピーを見ながら不気味なほほえみを浮かべている。

「そりゃ、痴漢用のアラームやらスタンガンを受けながらオペレートしているらしいから。」

「え?そんな訓練してるの?

さすがはホシノ ルリね・・・・後継者をスパルタ教育・・・・

「訓練なのかしら?」

首をひねるエリナ。

 

 

 

施設のドアがずらりと並ぶ廊下をエリナは歩いている。

ひときわ大きなドアの前にたつ。

「あらお姉さんなによう?」

ドアが開き多少汚れてはいるがぴしっとした作業服を着た女性が声をかける。

「レイナちょっといい?」

「ん?なに?」

髪をなおしながらレイナは聞いている。

「ここにブラックサレナのクラッキングタイプあったでしょ?」

「ええ、あるわよ。使うの?」

「ええ、ちょっとね。」

レイナはあきれ顔で答える。

「あれは並のパイロットじゃ乗りこなせないわよ。姉さんも知ってるでしょ?」

「別に100%乗りこなす必要はないわ。オモイカネ級を載せた機動兵器がいるだけ。」

「は?まさか、また機動兵器にで電子戦するわけ?」

「そうよ」

「あれは欠陥品よ。」

「ふふ、別にアキトが乗る訳じゃないわ。」

ブラックサレナ クラッキングタイプ

これは、テンカワアキトのIFSを通じラピスがサレナを使いクラッキングするというシステムだ。

ラピスが乗り込まなくてもリンクシステムを通じサレナにアクセスすることが出来る。

ラピスとアキトは遺跡経由で繋がっているため電波の届かない場所にいても、ユーチャリスと同等の電子戦を行うことが出来る。

しかし、そのためにはアキトの感覚の補助が落ちるという重大な欠陥のため使用されなかった。

 

「じゃぁ、まさかオペレーターも乗るの?」

「そう」

「そんなこと無理だわ。高Gの中のオペレーティングなんて。」

「大丈夫よ。スタンガン受けながらオペレーティングできるそうだから。」

「え、そうなの」

「ええ、このユニットは使えるわよ。絶対に・・・・」

「ふーん、じゃぁわたしのスタンガンは大丈夫かなぁ。」

ふっと、腰から長方形の物体を取り出すレイナ。

「あなた、そんなモノ持ってるの?」

「ええ。私が改造したの。

コンパクトだけど出力は10倍以上!!」

(それは運がよければ真っ黒焦げ、悪いと死ぬんじゃないかなぁ??) 

 

 

 

「なるほどね。ハリ君をつかって機動兵器から電子制圧か・・・・」

「なかなかいいでしょ。この考え。」

エリナはにこにこしながら、新しい提案をする。

珍しく白いスーツ姿のイネスは首をひねっている。

「確かに、高Gの中あの子のIFSのリンクできてたけど。

いきなりそうくる??」

「ええ。これは絶対つかえるわ。」

「まあ、実験するのはいいけど、まさかブラックサレナを使うとはね。」

(あの失敗、まだ根に持っていたのかしら。)

そう、クラッキングタイプはエリナの発案なのだ。

失敗してかなり屈辱を味わったらしいが。

 

 

 

エステバリス演習上

 

わ〜〜〜〜〜〜〜。

マキビ ハリはエステバリスの中にいた。

「うぎゃぁぁぁぁぁ。」

「めがぁぁぁぁ。」

「ままままわぁぁぁるぅぅっっ。」

「やめてーーー」

「おっ見込みがあるなぁ、これだけやってまだしゃべれるとは。

よし、これはどうだ。」

おじさん・・・・これはしゃべっているんじゃない、叫んでいるんだ。

「ぎゃぁっぁぁぁ。うげぇぇ、どわぁぁ」

「ははっ、戦闘ではこんなモノじゃないぞ。

エステ乗りならこのくらいでを根を上げるなよ、わっははっ。」

「僕はエステ乗りじゃなーーい!!」

「男なら、一度は乗らないとな!

それにおまえはIFSもってるだろう?」

「僕のはちがーーう」

この後三時間無料の絶叫マシンの中にハーリーはいた。

 

 

あとがきのまきまき

今回はちょいと調子が悪かったりして・・・・

ここからハーリー君最強伝説が始まりません。(涙)

ハーリー君の受難は続く・・・・

ハーリー君最強化まであと・・・・13話(たぶん)

このくらいハーリー君をいじめたら十分でしょう? アクションのみなさん!!

ふへぇ? まだ全然足りない? ・・・・(汗)

もう勘弁してあげて(笑)

代理人の感想

 

いや、十分だとは思いますけどね(汗)。

キノコに続いて起こりつつあるハーリー復権運動ですが、

この作品では果たしていつ実を結ぶのでしょうか(笑)?

 

 


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