サレナ 〜希望の花〜 第二話 Bパート

 

アキトどこいっちゃったの????

顔の青い艦長が大声で私を呼ぶ。

艦隊と合流した私たちだったけど、アキトさんは戦闘中に行方不明。

艦長は戻ってくると信じて、今まで指揮していたけど・・・・もう限界みたい・・・・

「だめです、テンカワ機完全にロストしています。」

私はいつもと変わらない声で喋る。

 

どうして・・・ねぇなにがあったの??」

今まで忙しくて聞けなかったメグミさんがとうとう口を開いた。

そして、メグミさんの顔も青ざめていた。

 

「分かりません、オモイカネ」

『はい・・・・テンカワさんの乗るエステバリスが

戦闘中に何者からのハッキングを受けました。』

「ハッキングってだれから??」

ミナトさんも驚いている。

私も少しびっくりしていたりする。

 

「わかりません、戦闘中のため処理を回せませんでした。」

「うそよね・・・・アキトが、アキトがぁぁ〜〜

 

「クラッキング・・・・軍ですか??」

さすがにポーカーフェイスのプロスさんも驚いてる。

テンカワさんが行方不明になったことよりも、

クラッキングされたことを驚いてるけど。

 

「いえちがいます、クラッキングを受けたとはまだ艦隊はクラッキング可能と思われる

地点からだいぶ離れていました。

いくらオモイカネ級のAIが乗っていたとしても不可能です。」

そう私も驚いている。

クラッキングしてきた相手はどこからやったのだろう。

まさかバッタがやった?

まさかバッタに負けたの? ・・・・ 私?

 

ナデシコはこれより戦闘空域に戻りま・・・・

ユリカさんは半ば熱にうなされた虚ろな目で前方を指さした。

 

「だめだよ・・・・もう戦闘は出来ない。」

副長であるジュンさんも止めます。

 

「はい・・・・現在の状態では30%も発揮できません。」

私も現状を報告する。

さすがに今のナデシコでは、返り討ちに遭うだけ。

 

「でも・・・アキトが・・・・」

 

ドス・・・・・・

 

鈍い音が艦長から聞こえた。

体が傾いたとたんプロスさんが抱き留める。

 

「申し訳ありません、艦長は今まで頑張っていましたが・・・・。

もう、こうでもしないと止められませんから・・・・」

プロスさんは艦長を抱きかかえるとドアに向かいました。

 

「艦長を医務室に連れていきます。

後のことは副艦長たのみましたよ。」

「は・・・はい・・・」

みんな無言で艦長を抱えたプロスさんを見送りました・・・・

 

 

 

ネルガル  ヨコスカ ジャンプ研究所

 

「あと2時間か・・・・」

エステバリスのダメージ等も考慮し後2時間で生命維持システムが切れる。

救難信号も戦闘のダメージで信号がかなり弱くなっている。

救助もほぼ絶望的だろう。

 

「今サレナはエステバリスと繋がっているんだよね・・・・」

「ええ、そうよそれが・・・」

アカツキは現状を確かめる。

 

「たしか、外部サポートからのジャンプ実験はほぼ成功しているって話だよね」

「ええ・・・完成したわよそれが??」

もったいぶって話すアカツキにいらいらしながらイネスは答える。

 

「いやね・・・ブラックサレナのこの後の事を考えていたんだよ。」

「つまり・・・向こうにサレナを送るっていうわけ?」

ただそれだけの短い会話でイネスはアカツキがしたいことのすべてを知った。

 

「そう、そういうこと。

向こうのエステバリスは破損して全く動くことは出来ない。

このまま待っていれば間違いなく向こうのアキト君は死んでしまう。

でも人間に時間を超えたジャンプは危険すぎる・・・・

だからサレナを持っていけばいいって考えだけど・・・・ダメかなぁ」

アカツキはまるで新しいおもちゃを買うような目でイネスを見つめる。

 

「・・・・まぁ私が助けにいくっていう案よりはだいぶ成功確率は高そうね。

そもそも、私があちらの世界にいくのはかなり難しいわ・・・・イメージが難しいのよね。

それなら向こうのアキト君に自分の世界にサレナをジャンプしてもらうほうが確実ね。

まぁ持っているCCの秘密をおしえてあげるっていう方法が一番いいんだけど・・・・

でも、それでいいの?

サレナの改装費はかなり高いんでしょう?」

 

「・・・・サレナはあの事件を終わらせるために作った物だからね。

それがあの時代に飛ばせばあの事件をなかったことに出来るんだよ。

これこそ本来の使い方だと思うけどね。

それに今のアキト君には彼女は必要ないからね。」

 

「そうね、向こうの彼は間違いなく力をほしがっている。」

じっと不安と心細さにふるえるアキトを見ながらイネスはつぶやく。

そうあのとき力があれば・・・・・

歴史は変わっていたかも知れない

 

「ああ、そしてその力はナデシコにとって必要な力からね

まぁ過去の世界でサレナの敵はいないだろう?

どんな活躍をするんだろうなぁ」

アカツキの目に映る物は打算や策略などではない、純粋な好奇心だけだった。 

 

「・・・・・それが本心??

エリナにいわなくても大丈夫なの?」

 

「ふふ、彼女もたぶん同じ答えを出すよ。

結局ね。

あ、オペレーターを誰か呼べないかなぁ」

 

「・・・・何かするの?」

 

「一応最終点検もあるし少しばかりあちらのアキト君に餞別をあげないとね。

迷子になったのは僕たちにも責任があるんだし。」

 

「なるほどね・・・・

ルリとラピスはお兄ちゃんと一緒でしょう?

マキビ ハリならたぶんオモイカネの最終チェックでドックにいると思うから

大至急くるようにいっておくわ・・・・

あと、ウリバタケにも声をかけないとね。」 

そのまま立ち去ろうとするイネスをアカツキが引き留めた。

 

「ああ、よろしくお願いね・・・・

あ・・・イネスさんも何か餞別ある?」

 

「ふふ、これから考えるわ」

そういってイネスは部屋を出た。

 

 


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