三軍神の憂鬱

始まり

「完成だーーーーー!」

「やりましたね!博士!」

薄暗い格納庫で二人の男が暴れている。

一人は貧弱な若い男、もう一人は髭を生やしたデカイおっさんだ。

「市川ー!本星に連絡だ!」

おっさんが叫ぶ。

「ウイッス!わっかりました。」

貧弱な男、市川がハイテンションで通信機を手に取る。

「こちら多瑠研究所です、ついに例のアレが完成しました!つきましてはテストパイロットの派遣を・・・えっ?中止?」

おっさんの顔色が変わる、

「そうゆう事だって・・・ちょっと待って下さいよ!」

「どけえ!市川!」

市川は吹っ飛ばされ、バウンドして動かなくなった。

「どういうことだ!やっとジンシリーズの最終形態の三機が完成したと・・えっ?いらん?新型機がロールアウトした?十分な戦果がでてる?今更いらん?」

バキッ

鈍い音と共に通信機がくだけた。

「ふざけんな!木連伝統のジンシリーズをなんだと思ってやがんだ!いいか、そもそもジンシリーズってえのは・・・」

市川が復活してつっこみを入れるまでの小一時間、おっさんは壊れた通信機に向かって、ジンシリーズの優秀性を熱く語っていた。

                                      「ちくしょう!なんでだー!何でこんなことに・・・」

「落ち着いてください、博士!」

おっさん、多瑠博士はつっこみをくらってからずっと、ヤケ酒をあおっていた。

「大体よ、ジンシリーズをおしのけるほどの兵器ってなんだよ?」

「ほら、あれですよ、なんか向こうさんの兵器を参考にしたってヤツ。」

「あのクソ兵器が!んな大それた真似しやがって!」

「クソ兵器って・・一応戦果をあげてるみたいですし・・」

「相手さんの技術パクって勝っても嬉しくねーだろがよ?いや、むしろ反則負けだ。」

「わけわかんないですよ!なんですか反則負けって!んなこと言ってるから左遷されるんですよ!」

「左遷じゃねーよ。逆に栄転じゃねーか。」

「廃棄寸前の衛星+助手一人のどこが栄転ですか!」

「いや誰にも邪魔されないで研究が・・・」

「無人補給船のトンボ以外、な〜んもきませんよ確かに!」

「栄転じゃなかったのか・・・」

「気付いてなかったんですか!?」

漫才がはじまりかけたが、

ピーピーピー

突然の機械音によって中止とあいなった。

「なんだ?」

「木星からのデータ資料が来たみたいです。」

市川が内容を確認する、

「優華部隊交戦記録・・・」

「モニターに映せ!」

「はい!」

中には、ダリアを中心とした最新木連兵器やそれらと交戦したエステバリスのデーターが戦闘画面と共に記載されていた。

「すごいですね・・レベルが」

市川は、自分が研究所に入る前に見たデーターとの違いに唖然としていた。この様子ではマジンやテツジンはおろか、ダイマジンやダイテツジンでも相手は難しいだろう。

「ふっ、ふっ、ふ・・・・」

すべてを見終えると、多瑠が笑い始めた、

「はっ・・博士?」

市川が普通に脅える。

「たいしたことないじゃねーかよ!期待して損したぜ。」

「たいしたことないって・・あんなすごい機体がゴロゴロいるのにですか?」

「ふっ、市川。やはりまだまだだな。いいか、これは木連の虎の子と言われる優華部隊の記録だ。」

「はあ・・・」

「だとすれば、やつらの腕は超一流、そんなすげえのと互角に戦うあの連中・・ナデシコだっけ?そいつらも一流・・」

「なるほど!パイロットの腕を引いて考えろと!」

「その通り、いくら機体性能がよくてもよ、そんだけでチューリップ一撃で破壊できるわけねーだろ?じゃそうゆうことで、パイロット探しよろしくな。」

「はっ・・・?」

「パイロット探しだよ、パイロット探し。この三体の性能をフルに発揮できる奴等。」

「いやそんなの本星にでも頼めば・・」

「だめに決まってんだろう?こんなところによこすのは良くて二流だな。多分、本星には素行や性格に問題があって干されてる奴がいるはずだ。そいつらをひっぱってこい。」

「博士は来ないんですか?」

「俺はこの三体の仕上げに入る、早めにつれて来いよ。」

そう言い残すと、多瑠は奥にひっこんでしまった。市川は肩を落としながらも、連絡艇に向かっていった・・・

「すまねえな、市川。」

出発する連絡艇をモニターで見送る多瑠、後ろには三つの巨大な影があった。

(不憫な奴らだ・・・・・・・こいつらも)

ダイマジンやダイテツジンが追いつかない相手、そのせいでジンシリーズの評価がガタ落ちし、あのような冷たい本星の態度を生んだのだろう。

(しかし、なめられたもんだな。この俺も。)

本星はこいつらを、単なるジンシリーズの発展系と捉えている。そんなものを作るために隠遁したとでも思っているのだろうか?

「もう少しだ。もう少しで暴れられるぞ。」

それに呼応するかのように、三対の目が光った。

 

あとがき
初投稿です、少しでも興味を持ってくれれば幸いです。

 

 

 

 

代理人の個人的な感想

時ナデの三次ですか。

とりあえずつかみは上々かな?

もっとも、コレを維持できるかどうかがかなり難しいわけですが。

頑張ってください。