本当の理由




<火星・極冠遺跡>


「帰ってきますよ。 帰ってこなかったら追っかけるまでです。」


ユーチャリスが消えた空を見上げて言うルリ。



「ルリルリ…」

ミナトが呟く。
ルリの心中を思いやって。




「だってあの人は… あの人は私達の大切な人だから…」


”私達”を強調してルリが呟く。



「そうね・・・・・・??」

(私達・・・・・確かに私達にとってもアキト君は大切な仲間よね。
 ・・・・でもルリルリはやけに強調してるわねぇ・・・・
 ・・・・・・んん!!)


ミナトは見てしまった。


ルリの、おそらくは無意識であろう行動。

お腹に手を当てる。

慈愛に満ちた微笑み。


そして、それらから導き出される”私達”の、本当の意味・・・・・・



(アキト君・・・・・・・まさかとは思うけど・・・・・・
 大人としての良識に期待するしかないわね・・・・・)



冗談であって欲しいとミナトは真剣に願った。



一方のルリの心中。

(アキトさん・・・・・・・・既成事実です・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶対に逃がしません。ずっと一緒です)





<ユーチャリス>


アキトは無言で佇んでいる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

ラピスも黙ったままだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」



不意に、ラピスが口を開く。


「アキト、聞キタイコトガアルノ」

「なんだ?」

”どうして一緒にいないのか”と聞かれるのだろうかと予想しながら応える。



「”認知”ッテ、ドウイウ意味ナノ?」



アキトは盛大にのけぞり、2,3歩後ずさる。


顔を緑に明滅させながらラピスに問う。


「ど・・・・何処でそんな言葉を聞いたんだ・・・・・・」(大汗)



「ルリガハッキングシテキタトキ、ソウ言ッテタ。
 ”アキトさんは、私の大切な人。認知してもらうの”ッテ」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


顔を緑に明滅させるだけではなく、大量の発汗を催すアキト。


(・・・・・・・・・・一刻も早く遠くへ行こう・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・・誰も行くことが出来ないところへ・・・・・・・・・・・)




アキトは明後日の方を向いてそう考える。


「アキト・・・・・ドウイウ意味ナノ。・・・ネェ・・・・・・・」


ラピスの問いかけは聞こえない。
いや、聞こえないように努めているだけだったりする。









[完?]


後書き

こんにちは。
FireWindです。

アキトが逃げるようにして去っていった理由が、これだったら面白いなぁと思って書いてみました。
Benさんの著作からすると大変に駄作ですが、シリアス続きの所で肩こりをほぐしていただけると幸いです。

では、失礼いたします。


作者:FireWind
e-mail addr:firewind@geocities.co.jp
WWW:http://www2.freeweb.ne.jp/~firewind/novels/ks/


Benの感想

FireWindさん投稿有難うございます!!

しかし・・・こうくるとは(笑)

案外Benの書いてる小説での、アキトの未来だったりして・・・

・・・洒落になって無いっす(苦笑)

でも、それも面白い・・・かも(爆)

それ以前に刺されてそうだなアキト。

では、皆さん是非ともFireWindさんに感想のメールを送って下さいね!!

FireWindさん素敵な小説有難うございました!!

また、何かお返しの小説を送ります!!

では!!

 

ナデシコのページに戻る