運命と絆、そして… 第3話 〜はやずぎる『さよなら』B−part






ナデシコ

「いよっっっしゃぁ〜〜〜! やっと、俺様の出番だぜ!」

ガイが、鼻歌交じりに、エステバリスの発進準備をしている

ウリバタケとブリッジからの通信なんて聞いちゃいない

ちなみに、ブリッジからの通信は、何時の間にか戻ってきたゴートである

「って聞いてんのか!!」

もちろん、ガイは聞いていない

「駄目だ、全然聞いちゃいねぇ。ブリッジからの通信、一旦切ってもらえ!」

《よぉ〜 博士 研究所のバリア開けてくれや!》

ガイが能天気に通信を入れてきた

「ところで、アキトの奴はどうした!」

《あん! アキトォ? あいつなら、ブリッジの女に拉致られたぜ》



一方、そのアキトは

「へっくしぃ! ずずず…」

ブリッジで盛大にくしゃみをしていた

「アキトさん、風邪ですか?」

「ううん、誰かが噂してるのかな?」

「そうですか」

「…っと、ルリちゃん、仕事しなくちゃ」

「あ、はい。左30度、第三防衛ライン、デルフィニウム9機接近。プラス60度、距離8,000m」

「相転移エンジンの臨界ポイントまでどれくらい?」

ユリカがルリに質問をしている

「あと1万9,750Km」

「どうしますか?」

メグミが、心配そうにユリカを見た

しかし、ユリカの心は既に決まっていた

「行きましょう!」

《そうこなくっちゃ! ヒーローの戦い方、とくと見せてやるぜ》

それだけ言うと、ガイはエステを加速させた

《そらぁ〜〜〜》



デルフィニウムに乗っているジュンは、突っ込んでくるエステに照準を合わせた

「アタァ〜〜〜ク!!」

大量のミサイルが、ガイに向けて発射された



ミサイルが向かって来ているにも関わらず、ガイはさらにエステを加速させた

《とぉぉぉぉぉぉぉぉ!!》

「あのバカ!」

ウリバタケが、ガイの無茶な行動に驚いた

《OK、OK》

ガイは、ミサイルを極限まで引き付けた後、急降下をして、ミサイルの下に潜り込んだ

《今だぁ! ウリバタケ! スペースガンガー重武装タイプを落とせぇ》

ガイの叫びを、格納庫のウリバタケは、

「……ヤマダさん、何か言ってますよ?」

「人の話を聞かない奴の事なんかほっとけ」

………全く聞いていなかった

《だからぁ〜! スペースガンガー重武装タイプを落とせ!》

「うちには、スペースだかアストロだか知らねぇけど、ガンガーなんてのせてないんだよ!」

「………TのBタイプの事じゃないですか?」

脇役整備員が鋭い指摘

《そう! それそれ!》

「分かった、スグ落とすから受け止めろよ」

やる気なさそうに、ウリバタケが射出準備を始めた



敵から逃げながら、ガイは自信たっぷりに笑い始めた

「ふふふ、完璧だ。俺が素早く下に廻り込み、敵を誘き寄せる。敵はこっちに武器がないと思ってる

 だが、射出された重武装タイプに空中で合体 一気に敵を殲滅!

 名づけてガンガークロス・オペレーション!!

《ほぉ〜ら 行ったぞ》

「来た来た来たぁ〜〜〜」

ナデシコからTのBタイプが射出され、ガイのほうに飛んでくる

………そう、一直線に

敵にとってこれほど狙いやすい的はない

つまり……

「いくぜぇ ガンガークロ…」

ドゴォォォォォォォォン

こうなるわけである

デルフィニウムのミサイルによって、TのBタイプは粉々になった

《あの〜 もしかして 作戦失敗ですか?》

ユリカが気まずそうに通信を入れてきた

「な、なんの〜〜 根性!!」

ガイはめげずに、デルフィニウムに向かって突っ込んで行った

「ガァイ スゥ〜パァ〜 ナッッパァァ〜〜〜〜」

ドゴォォォォォォォン

ガイはディストーション フィールドを纏わせた拳で、デルフィニウムを破壊した

「よぉし! こいつはいけるぜ!! でははは」

ガイが、バカ笑いしている内に、デルフィニウム部隊が周りを取り囲んだ



「ヤマダさん 完全に囲まれました」

「…………あいつはバカか?」

アキトが、深い溜息をついた

「頼むぞ、テンカワ。」

ポンっと、ゴートがアキトの肩を叩いた

「しょうがないなぁ〜 もう。んじゃ 行ってきます」

「「いってらっしゃい!! 気を付けてくださいね」」

ルリとメグミが見事なユニゾンで答えた

それに、笑顔で答えると、アキトは格納庫の方に走って行った



ドゴォォン ドォォォン

デルフィニウムのミサイルがナデシコを揺らす

《ユリカ これが最後のチャンスだ ナデシコを戻して!》

ジュンが必死にユリカを説得している

「ジュン君…………」

「君の行動は契約違反だ。よって、私がお仕置きを……グハァ!!

ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん

何処からか金ダライが現れ、ゴートの頭を直撃した

……例えるならば、G○Mの田辺さんの金ダライのように急に出てきた

「か、神よ ガクッ……」

はい♪ またしばらくおねんねしててね

ゴートは気絶した(ドラクエ風に)

《ユリカ、力尽くでも君を連れて帰る。抵抗すれば、ナデシコは第三防衛ラインの主力と戦うことになる》

ゴートの状況に驚きながらも、ジュンは説得を続ける

《僕は君と戦いたくない!!》

「どうします?艦長」

プロスがユリカに対して問い掛けた

ユリカは少し考えた後、晴れ晴れとした顔になって答えた

「ごめん、ジュン君。あたしここから動けない」

《えっ! ……僕と戦うって言うのか?》

「ここがあたしの場所なの。ミスマル家の長女でも、お父様の娘でもない、

 あたしがあたしでいられるのは、ここだけなの!」

ユリカの答えに皆が呆然とした

《………………そんなにアイツがいいのかい?》

「へっ?」

思わぬ答えぬユリカは面を食らった

《ユリカ、分かったよ。では、まず、このロボットから破壊する!》

ジュンが照準を向けた先には、囲まれたガイのエステバリスがあった

《ちくしょう…… これはさすがにやばいぜ》

いつもは自信満々のガイも、表情が青ざめている

《これで、終わりだ》

ジュンが、ガイに向けてミサイルを発射しようとした瞬間、

ドゴォォォォン

ガイの周りを囲んでいた2機のデルフィニウムが爆発した

「そこまでだ!!」

《おお〜 友のピンチに颯爽と現れる! くぅ〜 カッコイイじゃないか アキト!!!》

アキト登場である

「大丈夫か?ヤマダ」

《俺はダイゴウジ ガイだっつってんだろ!!》

「はいはい… ガイ 大丈夫か?」

《モチのロンよ! この俺様をなめてもらっちゃぁ困るぜ!》

《くっ!増援…… テンカワ アキトか!》

アキトの強襲から立ち直ったジュンが通信を入れてきた

「ナデシコは火星に行くんだ! 邪魔はさせない」

と言うとアキトは、急加速で1機のデルフィニウムに近づき、ブースター部分に蹴りを入れた

勿論この蹴りもディストーション フィールドを纏わせている

蹴りをくらったデルフィニウムは、上半身と下半身を真っ二つにされた

《おお〜 スゲェぜ アキト!!》

ガイも、アキトの増援に気が楽になったのか、さっきよりも動きが良くなった

《テンカワ アキト……、僕の邪魔をするのか!!》

「もうやめろ! 俺達、この前まで仲間だったじゃないか!」

《あくまで、立ち塞がると言うのなら、………僕と戦え!! テンカワ アキト

「えっ!!」

《僕が負ければデルフィニウム部隊は撤退させる》


これを聞いた人達の反応は、

「ピッピッピっと、ふ〜む、経済面から見ても損な勝負ではありませんな」

宇宙ソロバンをはじきながらの、プロスのセリフ

「デルフィニウムとエステバリスでは性能に差がありすぎます」

あくまでも、冷静なルリちゃん

「アキトさんの圧勝に決まっているでしょう!! アキトさんはとっても強いんですから!!」

…………………恋する乙女モードだったらしい

「アキトさん、頑張ってくださいね!」

既に、のりのりで、アキトの応援する気満々のメグミ

「ここで、逃げたら男の子じゃないぞ!」

ウィンクしながらの、逃げられないようにするミナト

「………………………………………」

気絶中のゴート

「…………か、神の力は、……」

ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁん

復活しようとしたところに、今度はやかんが降ってきた

「ぐふぅ……」

前回活躍させてやったんだから、もうしばらく寝ててちょうだい

「か、神よ… これも試練なのですか・・・・・・ ガクッ」

ゴート、再び気絶

《いけぇ〜〜! アキト! これでこそ男の戦いだ!! 敵の大将と一騎討ち!!

 こんなに燃える展開は滅多に無いぞ!! 勝負しないなんて言うなよ》

熱血思考のガイは、こんな勝負は大歓迎らしい

「ち、ちょっと待て! 何でいきなりそうなるんだ!」

アキトは、事の成り行きに慌てている

「アキト……」

ユリカが心配そうに呟いた

「アキト、またユリカのために戦ってくれるのね!」

………心配なんてしちゃいねぇ

「本当は行かないでって言いたい! でも、アキトが決めた事だもんね! アキトは男の子だもんね!

 だから、あたし、止めない! 戦って!アキト! 最後の最後まで思いっきり!!」

ユリカのこのセリフが、ジュンに油を注いだ後、火をつけた

《いくぞぉ!!テンカワ アキト!!》

本気になって、ジュンはアキトに向かって、ミサイルを発射した

「わっわっわ! ちょっと待てぇ!」

飛んで来たミサイルを避けながら、アキトは、ジュンに近づいて行った

《少尉!!》

残りのデルフィニウム部隊が、ジュンを助けに行こうとすると

《おおっと、お前等の相手は俺がしてやる》

ガイが、前に立ち塞がった

《男と男の戦いに、水差しちゃ、野暮ってもんだろ!! ええ〜

ガイは、涙を流しながら力説している



「第三防衛ライン突破、相転移エンジン臨界ポイントまで1万9,550Km」

《相転移エンジン稼動率50% 速度上昇中》

ルリとウリバタケが、報告をする

「ジュン君、何であんなにアキトに突っかかるのかしら?」

「「「「えっ?」」」」

ユリカの疑問に、ブリッジ中が驚いた

「そりゃぁ、艦長。お分かりでしょう? 男の純情…」

プロスの言ってる事も、ユリカは全然分かっていない

「だって、艦長にとって、アオイさんは…」

「大切なお友達よ」

「「「「はぁ……」」」」

ブリッジの全員が一斉に溜息をついた



「待てよ 待てよ! 待てよ! お前絶対勘違いしてるぞ!! 俺とユリカは何の関係も無いんだって!!」

アキトがミサイルから逃げながら、ジュンに通信を送っている

《そんな事信じられるか! 大体そんな個人的な事は関係ない!!》

対するジュンは、アキトと決着をつけたいらしい

「じゃあ、何でこんな事…… そんなに戦争が…したいのかよ!!

アキトは反転すると、ジュンの方へ突っ込んで行った

そして、デストーション フィールドを纏わせた拳で、デルフィニウムの右手を破壊した

しかし、ジュンも負けてはいない

残った左腕で、エステバリスの右腕を持ち、動きを止めさせた

《僕は子供の頃からに地球を守りたかった…… 連合宇宙軍こそが、その夢を叶える場所だと信じてるんだ!》

ジュンの言葉に、アキトの心の奥にあった出来事が甦ってきた

それは、火星でのアイちゃん達を救えなかった事に対する心の傷だった

「………俺だって、そう思ってた。信じれば、正義の味方になれるって…… ずっと思ってた

 だから、あの時、皆を助けようと思って、あんな事をしたんだ。

 でも、助けられなかった…… 皆を助けようとした俺がこうして生きている……

 俺は、正義の味方にはなれなかった…… アイちゃん達を救えなかったんだ!!」

アキトが、怒りと悲しみが入り混じった複雑な感情を見せている

《僕は違う!!》

ジュンは、デルフィニウムを加速させ、エステバリスを押し返した

《この手で地球を守ってみせる!! 正義を貫いてみせる!!

 一人の自由に踊って、
夢や誇りを、忘れたくない!!!

ジュンの言葉に、アキトの中にある何かがはじけた

「バァッッカヤロォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

ドゴォォォォォォ

アキトは、腕を振りほどき、力一杯デルフィニウムの顔面を殴りつけた

殴られたデルフィニウムは、顔面がへこんでいるが、たいした損傷ではない

ディストーション フィールドを纏わせなかったのだ

《やるじゃねえか! アキト!! 男と男の熱い戦いはこうじゃなくっちゃ!!》

大量のミサイルから逃げながら、ガイが賞賛する

《な、何をするんだ!!》

殴られた方をおさえながら、ジュンはアキトを問い詰めた

「……いい加減にしろよ、こんな風に好きな女と戦う正義の味方になりたかったのかよ!

アキトにとっての、正義の味方とは大切な人を守る者

自分の大切な人と戦う正義の味方は、正義の味方ではない

《好きな女だからこそ、地球の敵になるのが、……耐えられないんじゃないかぁ〜

再び突っ込んでくるジュンを、アキトは受け止めた

「だったら、地球に襲われても大丈夫なくらい、お前が守ってみせろ!!

お前が目指す正義の味方ってのは、そういうもんじゃないのか!!

それとも、好きな女のいない地球を、
守りたいのかぁぁぁ!!」

ドゴォォォォォォォォン



《好きな女のいない地球を、守りたいのかぁぁぁ!!》

ナデシコのスクリーンには、さっきとは逆の頬を殴るテンカワ機が映し出されている

ブリッジのクルーは、二人の対決を心配そうに見ていた

「……アキトさん」

ギュッ

ルリは、自分の首にある、アキトから貰ったペンダントを強く握りしめた

「……大丈夫、アキト君が何とかしてくれるわよ」

ミナトは、そんなルリを励ますように肩を叩いた

「アキト君を信じて、今はお仕事よ、ルリルリ」

「……はい。相転移エンジン臨界ポイントまで1万5,000km」

「武装衛星、ナデシコを捉えました」

「今、ミサイルが来たら避けきれないわね」

ルリ達も、着々と仕事をしている

「武装衛星のミサイルが、ナデシコに向けて発射されました!」



ジュンは、アキトとガイを捕まえて、ナデシコのエネルギーフィールド外に出した

ジュンは、アキト達に通信を送ってきた

《アキト…… 確かに君の言う通りだ…… 大切な人のいない地球を、命懸けで守る事はできない……

 でも、今の僕にも出来る事がひとつだけある。それに、君達を巻き込むわけにはいかない》

《おい! お前 何をするつもりだ!!》

「ジュン…… お前、まさか……」

それだけ言うと、ジュンは、ナデシコの前まで、デルフィニウムを動かした

そして、ミサイルが飛んでくる方に、機体を向け、残った左腕を広げた

《まさか、あの野郎 ミサイルの盾に!!》

ガイが、自分以上に無謀な行動に驚き、

「ジュン!」

ユリカが、ジュンのことを君を付けないで呼び、

「やめろぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜」

アキトが、思いっきり叫んだ

ジュンは、向かってくるミサイルを見ながら、アキトに言われた事を考えていた


(そう,……分かってたさ、正義の味方なんかには、なれやしなかった

 軍隊が戦争してるだけだ、そこに正義なんてあるもんか!

 ユリカ、……僕は最初から、こうなりたかったのかもしれない

 君を守るためなら、……ここが僕の居場所だったんだ)

ガシャン!!

不意に、衝撃が走った

両脇を見てみると、アキトとガイが、手と足を掴んでいた

《ったく、世話やかせんなよなぁ、お前!》

ガイが、珍しくカッコよく見える

《動けなかったんじゃ………》

「ナデシコが追いついてきたんだ」

ナデシコが、追いついてきたおかげで、エステバリスが、再びエネルギーフィールド内に入ったのだ



「相転移エンジン臨界ポイントまで、あと300km」

ほっとした表情で、ルリが報告した

「きたきたきたぁ〜〜! エンジンまわってきたぁ〜〜」

ウリバタケが、興奮してエンジンの状況を伝えてきた

「ディストーション フィールド、最大へ!」

メグミが嬉しそうに叫んだ

「3人を収容、全員バリア突破にそなえて!」

ユリカが、指示を出す。ちゃんと収容する人数の中にジュンもはいっている

「150……100……50……、エンジン、臨界点へ到達」

ルリの報告と同時に、ナデシコのスピードがさらに上がった

フルパワーになったナデシコは、第二防衛ラインのミサイルなどは物ともせず進んで行く



「まだ、正義の味方になれないって決まったわけじゃないさ

 俺は、守れなかったけど、ジュンには、まだ、守る人がいるだろ?

 ユリカのナイト役だって空いてるんだぜ?」

無事に収容されたアキト達が、話し合っている

《ナデシコならそれも自由だって言うのか?》

「ま、そう言う事! 俺は取り合えずこのナデシコを守る

 俺の大切な人達の為と、大切な人にまた逢うためにな。

 これが、あの事の罪滅ぼしになるかどうか分からないけど、

 俺に出来るだけの事はやるつもりだ」

アキト達は、完全なシリアスモードだ

《俺は生まれつきの正義の味方だからな!!》

《「はいはい………」》

が、それもガイの所為でぶち壊しになった



所変わってここは、連合宇宙軍総司令部

ナデシコの快進撃の様子を、地球連合軍総司令官が悔しそうに見ていた

「ビックバリア突破を許すな!! 核融合炉が壊れてもかまわん!!」

  そんな時、女性士官が、電文を持ってきた

「そ、総司令!」

持ってきた女性士官は、ガタガタと震えている

「どうした!!」

その様子をただ事ではないと感じたのか、大真面目な顔で詰め寄った

「あ、あの御方からの電文です。

 『ナデシコを素直に通さないと、お仕置きしちゃいますよ♪ Ms.H』

と、との事です………」

それを聞いた総司令は、一気に顔が青ざめた

そして…………

「大急ぎでビックバリアを解放しろ!! さもなくば、皆、あの御方の罰を受ける事になるぞ!」

作業していた者達は、さっきまでとは比べ物にならないくらい、大急ぎで作業を始めた

余程、『あの御方』って言う人が怖いのだろう……



「ビックバリアに接触します! 全員 ショックに備えて下さい」

メグミが、艦内放送をして、クルー全員がショックに備えた

しかし!ナデシコが、ビックバリアに接触しようとしたその時

急に、ビックバリアが開放された

「あ、あれぇ? バリアが消えちゃった」

ユリカが拍子抜けした様に、ポカンっと口をあけて呟いた

「地球で何かあったんでしょうか?」

さすがのプロスも、ビックバリアが急に消えた事には驚いている

「ま、とりあえずはいいんじゃないの? 楽に通れたんだから」

ミナトは、お気楽に考えている

「艦内放送、無駄になっちゃいましたね〜」

メグミもかなり脳天気だ

「………………………」

気絶中のこの人のコメントは、ほっといて

「……………………ふぅ」

ルリは何か真剣に作業をしている

ビックバリアが何故開放されたのか調べているのだろうか?

「アキトさん、カッコイイ……」

…………………………

ルリは、さっきのアキトの戦闘の映像を見ていた

映像のタイトルは、『アキトさん 名場面集 その2〜永久保存版のため持ち出し禁止〜』となっていた

……………何やってるんだ

って言うか、その2ってことは、その1もあるのか?

そうこうしている内に、アキト達が戻って来た

「お〜〜い! 何でこんな楽に通れたんだ?」

アキトが、当然の疑問を尋ねた

「分かりませんが、まぁ、いいじゃないですか。一件落着と言うことで」

どうやらプロスも、お気楽に考えることにしたらしい

「……ところで、何でゴートさんは倒れてるんですか?」

「金ダライやらヤカンやらが、急に降って来て頭に当たってました」

「……ゴートさんて、どういう人なんですか?」

「さぁ、私にも最近よく分からなくなってきました」

少なくても、作者のおもちゃであるのは確実だろう

「あ、あのぉ〜……」

今まで、アキトの後ろに隠れていたジュンが口を開いた

「お!これはアオイさん。どうかしましたか?」

プロスは、普段と変わらぬ態度でジュンに接した

「僕はどうなるんでしょうか?」

「重度の契約違反によって、即刻首です……っと言いたいところですが、ご判断は艦長にお任せします」

プロスは、1歩下がってユリカを手招きした

「ユリカ、……その、ゴメン……」

ジュンが、ユリカに対して迷惑をかけた事を謝った

「ううん、いいよ!だって、ジュン君は友達として、私が心配だったから止めに来てくれたんだよね?」

しかし、天然のユリカには、ジュンの命懸けの行動も意味をなさなかった

「あなたも大変ねぇ」

「若い頃は色々とあるものです」

「頑張ってくださいね♪ 陰ながら応援しますから」

「同じ艦に乗るわけだから、きっとチャンスがあるわよ」

さっきまで敵だったのに、ジュンは既に同情を集めている

「ありがとうございます、………でも、もう慣れてますから」

ナデシコ不幸役、ここに復活!!

「まぁまぁまぁ!! 生きていればその内良い事あるってもんよ!!」

ガイが、ジュンの肩に手を置いて、慰めている

「と言う訳で!! おい、新入り! 今から俺の部屋で ゲキガンガーの上映会をするから着いて来い」

それだけ言うと、ガイはジュンの手を持って引きずって行った

「ユ、ユリカ〜〜〜〜」

ズルズルズル


その様子を見ながら、アキトはプロスに話しかけた

「プロスさん、俺の部屋を他の部屋に移してもらえませんか?」

「はい?何故でしょうか?」

「ガイと同じ部屋にいると、寝れない上に、ゲキガンガー尽くしになっちゃいますから」

「はぁ… まぁ、いいでしょう。さすがに、ヤマダさんと同室では可哀相なような気もしますしね

 では、テンカワさんの部屋は、このもうひとつのパイロットの部屋でいいですか?」

「いいですよ」

アキトは、どうやらゲキガンガー地獄から逃れたようだ

ゲキガンガー地獄にはまったジュンは、三日三晩、ゲキガンガーにうなされていた



ちなみに、前回ゴートのお仕置きを受けた軍人達は、何時の間にか、宇宙に捨てられて、

さ迷っていたところを、第三防衛ラインに拾われた

救出された軍人達は、『セーラー服が……、決めポーズが……』とブツブツ言っていて、怯えていたらしい

特に、キノコは重症で、ずっと音はずれのムーンライ○伝説を唄っていたそうな

医者の診断では、こっちの世界に戻ってくるのは難しいとのこと

ナンマンダ〜ブ ナンマダ〜ブ








後書き

はぁはぁ、ここまで来れば

ちゅど〜〜〜〜〜ん

ぐはぁ!!

ルリ「私から逃げられると思ったんですか!!」

   こ、これはルリ様…… 本日は御日柄もよく、ご機嫌麗しゅうございます

ルリ「そんなことはどうでも良いんです! 何故第三話がこんなに遅れたんですか!!」

そ、それは………

ルリ「それは?なんですか?」

テストが終わった後、新しいゲームを買って、それにはまってたからです

どごぉぉぉ〜〜〜〜ん

ひでぶぅ!

ひ、酷いじゃないですか! 普通作者に向かって、ロケットランチャーを撃ちますか!

ルリ「これは、お仕置きです。話の続きを書かずに遊んでいたあなたが悪いんです」

しくしくしく…… この作品における僕の立場って一体……

ルリ「それはそうと、この作品では、ヤマダさんが死なないんですね」

いきなり話を変えるねぇ……

まぁ、友人からも殺さないでって頼まれてるし、ガイ自体おいしいキャラだからね

ちなみに、キノコはもう出てこないと思います

ルリ「じゃあ、副提督はどうなるんですか?」

考えていません(きっぱり)
ルリ「あなたは、バカですか…」

キノコは、嫌いだからね

だから、A-partでゴートに大活躍してもらったのさ

ルリ「大活躍…… あれがですか?」

最初は、ガイに向けて撃たれた弾を、自分の肉体で受け止めるって事にしようと思ったんだけど

それじゃぁ、あんまりゴートが壊れていないってことで、あんな風にしました

ルリ「どっちにしても、ゴートさんはあなたのおもちゃなんですね」

そうです!

作者の声を聞けるキャラは、作者のおもちゃになると言う運命なのです!

ルリ「この人の方が壊れてますね……」

ところで、ルリさん?

ルリ「はい?」

気になってたんですけど、その手に持っているハンマーは何ですか?

ルリ「ああ、これですか

   これは、今回私の出番が少なかった事に対するやつ当たりと、 
   私とアキトさんとのラブラブ話を、書かなかったあなたに対する第2のお仕置きです」

…………やっぱし?

ルリ「もし四話で、ラブラブにしてくれると言うなら、なしにしますが?」

脅迫かい!

ルリ「どうします?」

えっと、四話は少しまずいんです

出さなくちゃいけないキャラが沢山いるんで

ルリ「では、お仕置きですね」

ああ!振り上げないで

では、後にこんな事を考えているんですが、どうでしょう?

ごにょごにょごにょ

ルリ「………………それ、ナイスです!」

お気に召しましたか?

ルリ「その設定、出来るだけ早く使って下さいね♪ では」

ルリちゃん、退場

ううう…… 苦し紛れにあんな約束を…… これからどうしよう………

 

 

代理人の感想

ま〜、世の中には蜂の巣になる作者やミンチにされる作者もいることですし〜。

 

・・・・でも今回はTVまんまの展開でしたねぇ(苦笑)。