機動戦艦ナデシコ
白銀と紫炎の双天使

 
第1話 来てしまった過去

 

 

[アレク………アレク………起きて下さい。]
 
「う………ん……………あと……5分………うにゅ……」
 
[そんな事言ってる場合じゃないんです!起きなさ〜い!] 
 
「うぎょ〜〜〜!!」
 
バリバリとアレクが寝ていた場所に走る電流。
 
「いちちち………なんだよ、ディーネ………人が気持ちよく寝てたのに……」
 
場所はディアボロスのコックピット。
なんとか電力は生きていたようでサポートAIのディーネはシートに電流の流したようである。
 
[速く外を!]
 
「わかったよ……」
 
アレクはコックピット内の電源を生き返らせてディアボロスの目であるカメラが見ている光景を見た。
 
「んな?!」
 
アレクはそれを見た瞬間、我が目を疑った。
 
「(ジョロにバッタだとぉ!なんだってこんな旧兵器が!)」
 
ディアボロスの目前にまで迫って来ているバッタをギリギリで躱し、周りを見る。
 
「おいおい……」
 
目の前にはチューリップ、そしてジョロとバッタの群。
四方八方と完璧に囲まれている。
 
「……ディーネ、ルシフェルは?」
 
[すぐそこに……]
 
ディーネがカメラを動かしてルシフェルを映す。
ディアボロスとルシフェルの距離は約200メートル、なんの支障も無い状況なら問題無い距離だが。
 
[スラスターが殆どダメになってます……動けてもあそこまで行くには時間が掛ります。]
 
と言う事で、ピンチである。
いくら相手が旧兵器とは言え、
無防備で攻撃を受けたらディアボロスもルシフェルもただではすまない。
 
「ルシフの奴は起きてるのかよ?」
 
[わかりません、アレクを起す前から何度も呼びかけてるのですが反応がありません。]
 
「ちぃ!フェザーは何機行ける?」
 
[60機中……20!残り40は動きません。]
 
ディーネは冷静に答える。
 
「くぅっ!」
 
アレクはジョロとバッタの攻撃をなんとか躱すようにディアボロスを動かす。
 
「フェザー10機はルシフェルを護るように動かせ、残りは敵殲滅。」
 
[了解!]
 
なんとか動くフェザー・ビット20機がそれぞれの役目を果たすために宇宙を飛び、舞う。
 
「使える武器は?」
 
[D・ソードがなんとか。]
 
「なんだ、D・F(ディストーション・フィールド)はれたのか………
頑張って避けてた意味無いじゃんか……」
 
アレクは言う。
 
[はれると言っても、出力は30%程度、D・ソードを使ったらD・Fははれ無くなります。]
 
「ちぃっ!他は!」
 
[ナックル……他は全部ダメです。]
 
ディーネはあっさりと言う。
 
ドドドドドドドドドンッ
 
「ぐぅぅ……」
 
D・Fで直接当りはしないものの震動がアレクに掛る。
 
「中途半端なD・Fじゃあ、こうなるか…………ディーネ、D・ソード!」
 
[!……本気ですか!守ってくれる物が無くなるんですよ!]
 
「無人機如きに遊ばれて、この俺のプライドが許すわけねぇんだよ!」
 
[ふぅ………なんで私、アレクのサポートAIになちゃったんだろ?D・ソード装備!]
 
溜息を混じらせたようなしゃべり方をするディーネ。
ディアボロスが腰の辺りの装着されていたD・ソードの柄を手に持つ。
 
[で?どうするんです?]
 
「スラスターは動かないんだよな?」
 
[はい………完璧に動かないわけではありませんが……]
 
「相転移エンジン……出力は?」
 
アレクは聞く。
 
[現在40%、一応どこも壊れてないので100%まで出せますが……]
 
「だったら100まで上げろ、チューリップに突っ込む。」
 
[特攻?]
 
「違う……アレ壊さないと厄介なんだよ………どんどん、出て来るし……」
 
どんどん出て来る物とはジョロとバッタの事である。
 
[わかりました………出力100%、スラスター稼動率10%、普段の1/10ですが行けます。]
 
ディーネは言う。
 
[もしかしたら暴走するかもしれませんから、その時は強制的に止めます、構いませんね?]
 
「当たり前だ……死ぬつもりは無い。」
 
矛盾している事を言うアレク。
無防備でチューリップに突っ込む事自体が自殺行為であり、
強制的に止まったとしてもジョロとバッタに集中攻撃される事は目に見えてる。
 
「逃げるにもガーネットが起きないと話しにならない!」
 
[D・ソード精製、出力普段の1/4。]
 
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
 
ディアボロスが一気に加速する。
加速したと言っても、完全なディアボロスなら数秒も掛らずチューリップを破壊できるのだが、
はっきりと肉眼でも確認できる速さでジョロとバッタの攻撃を掻い潜り、チューリップに迫る。
 
「どおおおおおりゃああああああああっ!」
 
ドズッ!ズバババババババッ! 
 
D・ソードを突き刺し、チューリップを切り裂く。
 
ドオオオオオオオオオンッ!
 
チューリップは爆発し無くなる。
 
「よし、後はフェザーに任せても大丈夫だよな?」
 
[はい、ジョロやバッタの旧兵器には負けません。]
 
「じゃあ、ルシフェルに近付くぞ。」
 
[わかりました。]
 
アレクはディアボロスを巧みに動かし流れ弾などを躱してルシフェルに近付く。
 
[……ルシフからの反応がありません。]
 
ディアボロスがルシフェルに触れて強制的に回線を繋げ様とするのだが繋がらない。
 
「強制起動プログラム発信……多少荒くして構わないからルシフを叩き起こせ。」
 
[はい。]
 
ガキンッ
 
ディーネがそう返事をして、ディアボロスがルシフェルを殴った。
 
[うおあっ!なんだなんだ!?]
 
「おはよう……ルシフ。」
 
アレクは静かに言う。
こう言う時のアレクは怒っている証拠だ。
 
[よ、よよよ、よう、アレク………どうした、そんなに怒って……]
 
ルシフは慌ててる。
 
「いつまで寝てる気だった?」
 
[自動的に目が覚めるまで……]
 
[ルシフ……さっきまでかなり危険な状況だったのですよ?]
 
[そ、そうなのか?]
 
そうなのかじゃなくて、そうなんだよ!
わかったらとっとガーネットを起しやがれ!

 
アレクが大声になる。
 
[わ、わかった!]
 
ルシフはそう言い、ガーネットを起す。
コミュニケが開いてガーネットが眠そうな顔をしている。
 
『ふみぃ……』
 
「ふみぃ……じゃねぇ!まったく……ディアボロスが不調のままで護ってやったのに気楽な奴……」
 
アレクはそう言う。
 
『ええ〜?………何かあったのぉ〜?』
 
「あったんだよ、だから……
とっとと目を覚まさんかいワレッ!
 
『わっ!………う〜………』
 
アレクの大声がガーネットの鼓膜に直撃して、ガーネットは耳を押さえる。
 
『むぅ………よし、目ぇ覚めたよ。』
 
ガーネットは顔を一回叩いてそう言う。
 
「まわりに転がってる残骸見な。」
 
『え?…………うそ、それって………ジョロとバッタ?』
 
「そうだよ。」
 
『なんでこんな骨董品が……』
 
「知るか……ともかくディーネ、現在地確認。」
 
[はい。]
 
ディーネは星の位置を確認しながらどこの宇宙にいるかを割り出す。
 
[わかりました……月と地球の間です。]
 
「なにぃっ?!」
 
『地球っ?!』
 
ガーネットとアレクは驚く。
 
[はい、間違いありません。]
 
[俺の方もそう出たぞ。]
 
ルシフが後から言う。
 
「地球ねぇ……」
 
『どうする?』
 
「降りれる?」
 
[現在のD・Fの出力からすると………無理です……
それに、バリアのような物がはられているので、普通に降りるのは無理です。]
 
ディーネは言う。
 
「D・Fの事はわかるとして……バリア?」
 
『多分、ビック・バリアの事じゃない?』
 
「ああ……木連の攻撃から地球を守るために張られたって言う……アレ?」
 
『そうそう。』
 
ガーネットが頷く。
 
「でもアレって戦争が終ったときに無くなったんじゃなかったっけ?」

[それですね……終わってすぐと言う訳ではありませんが、無くなっている筈です。]

ディーネが答える。

「………ん〜……色々と調べる必要がありそうだな……」

[そうですね…]

「どこか近くにハッキング出来る所無い?」

[無理です、相転移エンジンは無傷でしたが他はもうボロボロです。
更にさっきの戦闘で余計に損傷が広がってます。]

「修復は?」

[自己再生プログラムでも完全に修復されるのは数日掛ります。]

ディアボロスとルシフェルはただのロボットでは無い、
その機体の半分以上は生体ナノマシンと呼ばれる物で出来ていて、
装甲を剥がすと人のような姿をしている。
つまり、半分以上が生物と言える物なのである。
自己再生プログラムとは、
修復不可能なナノマシンを破棄して新しいナノマシンを創り出してそこを埋める。
つまり、人間が怪我をして、治るまでの事によくにている。

「つまり、それまで動けないのか?」

[動けないわけではありませんが………動かない方が良いかと……]

[こっちも同じだな…]

ルシフがそう言った。

『じゃあその数日はずっと乗ってろってこと?』

[そうなる。]

『え〜!なんでよぉ〜!私……トイレ行きたいんだけどぉ〜……』

[なに?!マジかッ!]

ルシフは驚く。

「この状態じゃあどうにもならん………我慢してろ……」

『無理〜ぃ!』

[アレク、こちらに向かって来る戦艦あり、型式番号を照合します。]

「ちぃ!漏らすなよ!」

『いや〜!漏れるぅ〜!』

はっきり言って乙女が言うセリフでは無い。

[出ました……ナデシコAです。]

「はっ?!ナデシコA?」

[はい。]

[間違いは無いな……ナデシコAだ。]

ルシフは冷静に言う。

「ナデシコって火星の遺跡を連れてランダムジャンプしたんじゃなかったっけ?」

[はい、データ上ではそうなってます……
ですがこちらに向かって来てるのは、間違い無くナデシコAです。]

ディーネは言う。

『あうぁ〜!漏れる漏れるぅ〜!』

ガーネット、一応天才と言われている少女。
それが今はなんとはしたない言葉を連続している事か…

「あれ……人乗ってる?」

[はい………乗っているようです……生命反応はあります。]

「回線繋げてくれない?」

[やっていますが……距離が足りません…遠過ぎます。]

ディーネはそう言う。

「仕方ない、近付くぞ…」

ディアボロスがルシフェルを引っ張りながらスラスターをゆっくりと吹かし、
ナデシコAに向かっていく。

[あちらさん、襲撃してきたぜ!敵と間違われてるようだ。]

ルシフは確認した事を言う。

「敵の数と型式は?」

[数は2機、型式は……エステバリスと………ん!?ブラック・サレナ……]

「なにっ?!」

驚くアレク……驚いてばかりだな…アレク…

「なんだってブラック・サレナがある?!」

[わかりません!]

『こちらはナデシコのエステバリスライダー、ディオ……お前達は何者だ?』

「え〜い!こっちの状況がどうだとか不明な点の質問と答えは後回し!トイレ貸してくれない?」

『は?』

『漏れる〜ぅ!ダメ〜!破裂するぅ〜!トイレ〜!漏れちゃうよ〜!』

「と言う状況なもので……」

ディオと名乗った者のコミュニケからもガーネットのコミュニケの様子が見える。

『了解した……案内しよう……』

「そんな簡単に信用して良いの?……どうもおかしいと思うんだけど……」

『そちらは危機なのだろ?』

「まぁ……危機と言えば………ある意味危機だな……」

『ナデシコは殺人集団では無い………それに君達は宇宙軍だろう?』

ディオは言う。

「違います……民間人……」

『ならば尚更だ……ついて来い……と言いたいのだが………動けるか?』

「無理。」

『ならば引っ張っていってやろう。』

ディオがそう言うと、ブラック・サレナがディアボロスとルシフェルの腕を掴み、
スラスターを逆噴射してナデシコに向って行く。

『ディオさん、大丈夫なんですか?』

『大丈夫だろう……本人は民間人と名乗っているからな。』

『それだけで……』

『普通は信用しないが、俺はする………それだけだ……』

ディオはエステバリスに乗っている者に言う。

『こちらディオ、遭難者2名救助、着艦する。』

ブラック・サレナがディアボロスとルシフェルを連れて格納庫に入って行った。

 

 

「あうあう……と、トイレどこ?」

「ああ、あそこだ。」

「ありがと〜〜〜!」

だだだだだだだだだっ!バタンッ!

かなりのスピードでトイレに駆け込むガーネット。

「はぁ〜………まったく………」

アレクは溜息をつきながらディアボロスから降りる。

「一応……ありがとうございます、Dさん。」

アレクはDにそう言う。

「いや……気にするな……」

「名乗ってませんでしたね……俺はアレクサンドラ=アンブローシア……
トイレに駆け込んだバカは双子の姉、ガーネット=アンブローシアです。」

「……そうか………アレク……と呼ばせてもらおうか?」

「ええ……サンドラの方つけられるとつい手が出るんで、そうして下さい。」

「はは………一つ聞いて良いか?」

Dは真剣な顔になる。

「なんです?」

「君は……どこから来た?」

「……ん〜……それを答えるための質問……今って何年ですか?」

アレクは問う。

「今は2196年だ………その質問からすると……君達は……」

「……俺達がいた場所は2263年の土星……です。」

「67年先の未来か……なぜここに?」

「俺にもわかりませんよ………ランダムジャンプしたらさっきの宙域にいたんです。」

アレクはそう言ってディアボロスの脚に寄り掛かる。

「Dさんは、なぜこの時代に?………
<黒の王子>は2202、3年に出て来る人物ですよ?」

「知っているのか?」

「ええ……歴史の授業で出てきましたから。」

「……俺が歴史に……か……………大虐殺者とでも出てたか?」

Dは問う。

「いいえ……A級ジャンパーと言う理由で拉致され人体実験された人物、
愛しき人を取り戻すために、戦場を駆けて、そして、
その手が血で汚れている事を理由に愛しき人の所に帰らなかった悲劇の王子………だったかな。」

「ほぅ………それは間違っているな……」

「そうかもしれないけど………歴史ってそう言うものでしょ……」

アレクはそう言い、小さく笑った。

「はぅ〜……ギリギリだったよぉ……」

「トイレトイレと連続で叫びやがって…………恥かしいったらありゃしない………」

「しょうがないじゃない……」

ガーネットはハンカチで手を拭きながら言う。

「さて……揃った所で、ついて来て欲しいんだが……」

「質問の答えを聞いてませんが?」

アレクはDに言う。

「…………ランダムジャンプだよ……君達と同じだ。」

Dはそう答えた。

「なるほど………少し納得……」

呟くアレク……それで良いのか?

「どこに行くんですか?」

「ブリッジ……艦長達が聞きたい事があるそうだ。」

「わかりました。」

アレクとガーネットはDに着いて行く事にした。

 

 

 

≪軍神の後書きのような戯言(笑)≫

ふぅ……書き終わった……
と思ったら普通のアキトが出てない!
ユリカが!ルリがぁ!

あうぅぅ……ボンバーヘッドです。(意味不明)
一応、逆行小説です。
主人公はアレクとガーネットそれと黒アキトであるDです。
この3人がどう本編に関わって行くか……お楽しみにです。

あ、Dの由来はダークネスの頭文字からとりました♪
 
ではでは〜♪

 

 

代理人の感想

 

おお、有名人(笑)。

歴史の教科書に乗ってて、しかも割とヒーロー扱い(爆笑)。

まあ、土星の教育が特殊な環境下にあった可能性も否定できませんが。