ナデシコサッカー


「・・・・・というわけで、君に頼みたい」


「・・・おっしゃっている意味がわかりません」

ゴート・ホーリーは正直に答えた。

目の前の円卓にはネルガル国の首脳が並んでいる。

「なぜ選手の私が、しかもナショナルチームのメンバー集めをしなければい「勝つためだ」

正面の円卓の人物が遮った。

「知ってのとうりわが国の選手にビッグネームはいない。このままでは宇宙の
恥さらしだ。開催国が予選落ちしては国の威信にかかわる」

「しかしなぜ私が・・・」

「君はわが国唯一の宇宙に通用するDFだ。そしてこの国には他国で問題を起こした才能のある
 人間が、大量に亡命してくる。」

「そのため犯罪も多いがな」
「雇用問題も増加している」
「犯罪も増加しつづけ・・・」
「変人も増え続け・・・」

「それはともかく」

正面の男が遮った

「その中には有能なサッカー選手がいるはずだ。君はその人たちを探して説得してほしい」

「しかし自分だけでは・・」

「もちろん、有能なスカウトを用意した」

「はじめまして、プロスペクターと申します」

男が後ろのドアから音もなく入ってきた。


部屋を出るとそこにチームメイトが立っていた。

「長かったわね」

「・・・・知っていたのか?」

目の前の女性ハルカ・ミナトに尋ねた。

「まさか、さっき知ったわ・・・・・大丈夫?」

俺は答えた


「「軍人だから命令に従うだけだ」」


・・・・・・・・

「でしょ?」「ああ」

二人で軽く笑いあう



「スカウトの人は?」

「まだ中だ。俺抜きで話している」

「怪しいわね」

「サッカーだからな、政治が絡んでくる、いつものことさ」

「・・・・・そうね」


そのあと少したってプロスペクター(ペンネームみたいなものと言っていた)が出てきた

「すみません話が長くなりまして・・・・おやハルカ選手ですね?。はじめまして私は・・・」


・・・・・・・・


「では俺はどうしたらいい?」

「大体の当りはつけてあります。明日から回っていきましょう。」

「では10時に協会の前で」

「わかりました。それでは」

プロスペクターは去っていった


「というわけだ」

「じゃあこれから・・・」


「「ドライブに行かない?」」

「だろ?」
「ふふっ」
 

何とかなるさ、そう思うことにした。


 

とある高架橋の下、そのラーメンの屋台はあった。


「アキトさん!ラーメン二つです!」

「OKルリちゃん!」

屋台といくつかのテーブルがそこには有り、常連客も割と多い評判の店だ
そして一番人気なのは・・・・

「ルリちゃん今日もかわいいねーー」「ルリちゃんこっち向いてーー」


・・・・・・・・・


というわけである。
仕事帰りのおじさんたちのオアシスとなっていた。


「ちょっとエトウさんうちの看板娘に手を出さないでくださいよーーー」

「わかってるって!手を出していいのはアキトくんだけだもんなーー」

「な、な、何を言ってるんですか!!」

「ぽっ」

そこは平和な光景だった。


「ありがとうございましたーー」

最後のお客さんが帰って俺はルリちゃんと後片付けをはじめた。

「アキトさん、周りに落し物とかはないようです」

「じゃあテーブルを片付けるか」

「はい」


イスを重ねながら町並みを眺める

(ずいぶん高層ビルが増えてきたな・・・)

生まれたネルガル国と同様にナデシコ国はまだ最近まで荒れ果てた場所が多く見えていた。
だが人々のたゆまぬ努力によってXウォー以前の姿に戻ってきた。

(屋台を引き始めて半年か・・・)

ネルガル国でサッカー選手としてクラブチームのエースストライカーだったころを思い出す。

(いや、俺はもうサッカーはやらないんだ・・・)
(あんな思いをするくらいなら・・・・)


赤く燃える炎が脳裏に浮かぶ



・・・・・・・・・・・・・・・・


「どうかしましたか?アキトさん」

「い、いやなんでもないよルリちゃん」

いつの間にかルリちゃんが下から顔を覗き込んでいた。


彼女、ホシノ・ルリと生活を始めてもう4ヶ月になる
ある雨の日、彼女は高架橋の下でびしょぬれになって立っていた
警察には絶対いきたくないという彼女は俺の家に住みたいと言い出した

『そんなの絶対だめだよ!!なに考えているんだ!』

『どうしてですか?』

『どうしてって・・・年頃の女の子が男の部屋に来たりしたら・・・』
『手を出しちゃいますか?』

『そそ、そんなわけないよ!!』

『じゃあ問題ないですね』

『いや、でも・・・・』


結局あの後押し切られて今の状態になった。

自分は20、彼女は17歳(自称)というストライクな年齢だったので
正直6畳のアパートではギンギンとして眠れない日々もあった。

だが彼女と暮らしているうちに、自分の中で単純な男女の関係ではなくいとおしいものへと変わっていった


守りたいもの、大切なものへと・・・・・



「だいぶ町も立派になってきたと思ってね」

「そうですね、こうやってみんなが豊かになっていけばいいですね」

「そうだね」

「おや、もう店じまいですかな?」

振り返るとそこにめがねをかけた男性がいた


「あっすいません。今日はもう閉めてしまって。」

「いえいえお気になさらずに、クチコミできただけですから」


クチコミで来たという言葉につい笑みが出た


「そうですか、今度来られたときはおいしいラーメンをごちそうしますよ」

「いやいやありがとうございます。・・・それではまた今度」

男性がいなくなった後ルリちゃんと笑いあった

「私たちの屋台も有名になってきましたね」

「そうだね、、、そろそろ帰ろうか。」

「はい、アキトさん」


二人で屋台を引き、古アパートへの向かった


「なるほど彼があのテンカワアキト君ですか」

先ほどの男性、プロスペクターがリストを見ながらつぶやいた

まさか本当に屋台を引いているとは、意外だった


(だがもっと驚いたのは・・・)


隣にいた少女。


銀色の髪


金色の目


そして何よりスカウトなら誰もが知っているその顔


「どうやらものすごい拾い物をしたようですね・・・・・」


プロスペクターのつぶやきが闇に消えていった。


後書き


こんにちは、ハッピーマンです。

切りのいいところで終わりにするとこの長さになってしまいました

やはり長めの話は難しいと実感しています

次回は一気にメンバーを増やしてボリュームアップを図ろうと思います

次回は天才司令塔と、超攻撃的熱血左サイドバックが登場します

皆さんにとって楽しみな話にしようと精進あるのみ!

ではまた

 

 

代理人の個人的な感想

登場人物を増やしてボリュームアップ・・・・

一見理に適ってるようですが、それぞれを印象付けてやるだけの力量がないと

ぼんやりしたキャラがぞろぞろ出てくるだけの話に成りかねないかと。

慣れるまでは「一話一キャラクター」位のつもりで書いてみてはいかがでしょうか?