『ブラックデビルメェ〜ン』アナザー:某ダメダメハーレム漫画の主人公の偽妹の場合





「議会の裁決も知っているのでしょう?」

「・・・まあな」

「知っていて尚続けますか」

「今更後には引き返せん」

「そうですか、私には好都合ですがね」

「ダメダメ、正義の使徒なんだから『王法』くらいまもれるだろう? 仲良くしようじゃないか」

「お断りします」

「うらみ骨髄に徹す、って感じだな」

「当然です」

「女たるもの、『テンカワスマイル』の前には『心』を乱し、我が愛刀『千人斬り』の前には『身』を滅ぼす・・・それが俺の勃てた法だ」

「(・・・誤字???)・・・あの時アナタの本性を見ていなければ私もそう言う宿命だったんでしょうね」

「ふん、たまにそういう『運の悪い』女がいる。もっともそう言う女は時間逆行時に宿命をいじって俺にベタ惚れ、という風にするんだが・・・」

「そして邪魔者は、アナタの御立派な王道を阻む強者は『宿命』の時点で排除する!」

「そうだ、それが一番効率がいい」

「それでは草壁と、あなたの大嫌いな草壁と・・・何の違いがあるというの!」

「愛と正義の違いだ!」

「ふざけないで! 正義の御旗の下に人が死ぬのは耐えられないくせに!・・・愛の御旗の下なら平然と、蟻を踏み潰すようにあなたは殺せると言うの?!」

「違うな」

「何処が違うと言うの?!」

「簡単なことだ・・・俺は下の人間を、楼閣の礎達をよく見ている。それこそどこかの馬鹿権力者達とは違ってな」

「それはアナタの王朝?」

「きついネェ・・・それ。だが違うな」

「だったらなんだと言うの?」

「・・・俺は奴等とは違う、至尊の位階に上ったものが恐れなければならないもの・・・それを俺は知っている!」

「傲慢よ・・・傲慢よ!」

「いつの時代も王位を脅かすのは若い、下の者だ! アホ権力者は誰彼構わずに無差別に踏み潰す・・・だが俺は断じて違う!
俺はトカゲロンどもを討つが如くよく注意して、よく分別して・・・叩き潰す!!



思わず彼女は怒りのあまり呪いの言葉が胸の奥からほとばしりそうになる感覚を覚えた。
だがまだ、まだなのだ。正義の使徒は大義名分もなしに『神』を振るうことは出来ない。テンカワ=アキトの『愛』は完璧に近い支持率の高さなのである。
ましてや『体力』の差が昨日今日影の宰相の一員になったものと王とでは比べ物にもならない。『空間』の『温度』を出来るだけ自分のものにしたかった。
怒りの、『心』のコントロールも出来ない人間が抜群の才覚を誇るこの悪鬼(ナデシコの末裔)にどう立ち向かえと言うのだ。彼は人間として最低だった。だが戦士としての武勇、王としての演技は言動王、冷酷王さえも及びつかないのである。はっきり言って勝てるわけない格の差である。だが彼には本編の行く先々で見られるように冒険の好きな勇者だった。彼女の属している『正義の使徒』とは、彼の建前上の目的『世界平和』から逸脱しきった支離滅裂な言動の辻褄あ・・・ではなく、偉大なる王者たるテンカワ=アキトを補佐し、王命を忠実に遂行するための『王の牙、王の爪』と言われる死神部隊のことである。それとは対照的に絵に描いたような偽善者だけを集めた『(花王)愛の使徒(劇団)』といわれる集団や、平和平和と口々に唱えはするが自分はそう言う努力をしないで平穏=平和と勘違いしている連中がメンバーの九割を占める『平和の使徒』(別称コウモリ愛好会)などの集団が王のもとには十六あるのだがここではあまりというか全く関係ないので後日に記す事にする。



「そして自分に都合のいい愚劣な官僚、横暴な軍人だけしか作ひ・・・世界に出させないのね!」

「そうだ、それでストー・・・じゃなくて歴史が破綻しようと俺個人の幸福は守られるからな」

「幸福? 相変わらず笑えない冗談だわ」

「何処が冗談だ」

「火事を消さずにその中であなたが得た物は何?」

「・・・・・・」

「英雄の名誉? ネルガル会長の権力と財力? それとも徒に戦争を長引かして作り上げたロマンス?」

「・・・・・・」

「どれもこれも・・・くだらない」
「そんなもののために私の兄は殺されたと言うの!?」





「・・・ああそうだ!」
「貴様の兄は俺の地位を脅かす存在だった」
「俺は俺にとって都合の悪い変化を望まない」
「だから維持する力を働かせたまでよ!」
「そこに何処が正義がないといえる!?」









「権力者の・・・弱者を踏みつけにする正義よ!」







「では君に問おう」
「戦火を蒙るのは御免だが自分から火を消そうともしない」
「幸福幸福と口やかましく唱えるが自分からそれを取ろうとも護ろうともしない」
「悪は憎むが平然と自分でそれを行い棚上げにして弾劾する」
「与えられたものなどいつかは奪われるはずなのに、それを解かろうともしないで平和を負け取る」


「そういう愚民どもを君は如何しろと言うのだ?」


「俺は指導してやったまでだ・・・自分の力では死の境から抜け出す事も出来ない、弱く愚かな人間どもを!」
「そして教えてやったまでよ! 俺の奴隷になる束縛された幸福を、与えられた儚い平和を、俺の欲望の為の秩序の素晴らしさを!」
「純粋って素晴らしいいいいいいいいいいいいいいい!!!」











「・・・今は民主主義の時代・・・」
「どんなに傷付いても、人が死んでも、秩序が壊れかかっても・・・人外の力を持った者が干渉してはいけないのよ!」
「谷には谷の、山には山の法がある」
「山の法を谷の人々に押し付ける!・・・それこそが戦乱をさらに長引かせる原因よ!」
「環境に合わない夢物語を語るために弱者を虐げ詐略を持って名利を貪る!」
「お前のような人間を人は・・・火事場泥棒と言うのだ!」










「火をつけた人間より、そこで盗を働く人間を先ず裁くのか。先に火を消せよ、俺は困るけど・・・全くもってお前等の正義は基準が解からん」





「・・・確かに」
「規律を唱える為に弱ッちい悪人に地位を誇示しながら偉そうに鉄槌を下すのが暴虐だと言うのならそうだ!」




「愛を護る為に詐略まがいの事をやってそのあと『そう言わないでくださいよ、俺の両親を殺したくせに』とか言って
 『親同士のことだから俺たちには関係ない』などという明らかに矛盾したことを大物ぶるために言うのが狡猾だと言うならそうだ!」




「自由の為に平和への近道を無視して、孤高の男を装い忠を踏みにじり礼を破壊し、『それはお前のことを言っているのか?』的なことを言い
 ロリコン、ルドの愛人シレーネちゃんに『その方が威厳があるとでも思っているのね』と思わず言われそうな態度を取り続け不幸の原因をよく考えない、
 傲慢に振舞う天然で勘違いした馬鹿を演じることが頑迷だと言うならそうだ!」




「平穏の為に王の力を自分個人のためだけに使い、社会還元など全くせずにやたらと幸福ばかり求め超絶個人主義集団の竜堂4兄弟も真っ青な自分勝手振りを発揮し、
 未だに自分を弱者と仮定し未来に於いて被害者であった事を逆手にとって苛烈極まりない先制攻撃をするはずが、
 自分の欲望の為にナデシコに飛び込み過去でやったようなことをより一層情熱的に激しく繰り返し戦争を無駄に長引かせ
 挙句の果てには『この戦争には勝者はいらない』などと明らかに『(俺以外の)』と注釈を入れるはずが、徳性を保つ為に自分さえも偽らねばならず
 競争相手は設定面で殺す事が惰弱だと言うならそうだ!」





             「それ私の台詞!」







「確かに俺は王に相応しくない・・・かもしれねぇ。こんな純な俺が薄汚い慾の集団にいていいわけないもんな。
 だがな『人は自分のために戦い、そして生きる』そうである以上俺のやってることが
 このアキト最低。
 こいつは草壁以下の存在です。
 ・・・と声を大にして言われなければならない事だとしてもォォォォォッツッツッツ・・・・自分のためだからいいんです」







「さあ言え! もとは愛の使徒になるはずだった女!」
「明らかに場違いな空気の中で言う言葉はただ一つ!こういうときに言う言葉くらい分かるだろうォォォォ!?」






「くッッ・・・クッッ・・・クソぉぉぉ・・・・・・!!!」
「・・・・・・復讐の空気じゃないな〜ッッ、帰って寝るゥッッッッ!!(涙キラリ)」





「はははは・・・やれば出来るじゃないか小娘! ま、俺と戦おうと言うのが無理な話しなんだけどね!」
「爾来、俺は戦いを好まん。スキンシップの為に相手にしてやるのはともかく、鉄の刀より肉の刀を振るうほうが好きなんだ。
 大体女を殺したら評判が落ちるだろう? 男なら何の気兼ねなく殺せるからいいが、女とは本気の死闘はする気はネェ!」










「ひ、卑怯者おおおお!」








「実に惜しい、そう言う台詞を言われてもあれしてこれしてナニする方法がみつからネェ」

「帰れ帰れ」
「王とは時間を支配するもの、王とは空間を支配するもの、王とは人間を支配するもの」
「所詮正義の使途不明要員独りで何が出来る!?」

「なめるな」








泣きながら少女は退場。

満天に輝く星空を前にして男は呟く。







「誰も俺を責める事は出来ない」











馬鹿か、てめえは(爆笑)















コメント:アホ王子最高!!(爆)
某シリーズのパクりであるわけですがあんな仰々しい二つ名よりもこっちの題のほうが彼の性質を的確に捉えてると思うのは気のせいか?(爆)

 

 

 

 

代理人の感想

 

はい、今日はちょっぴりHELL○INGな飛燕さんの作品でした!

実はこのシリーズ(?)が大のお気に入りの代理人です(笑)。

深い。

実に深い。

他人の文章を読んでいて考えさせられることは多々ありますが

ここまで共感を感じたり考えたりする作品はそうありません。

系統的に何とはなしに筒井康隆に近いものがあるかな〜などと考えてみたり。

ともかく、次の作品が待ち遠しい数少ない作家さんの一人なんですね、実は。

 

 

 

 

 

・・・読んでいてちょっぴり耳が痛かったりしなくもありませんが(爆)