なぜなにナデシコ特別編

〜結構知らない嘘本当〜

 

第二回 「ブラックサレナ、意外と知られていないその真実」

 

 

 

 さぁ〜てやってまいりました第二回。

 皆さんの期待の声も大きい、テーマは「ブラックサレナ」!

 「Prince of darkness」ことテンカワアキト(黒)の愛機であるサレナですが、結構その正式なスペックは知られてない!

 ナデシコをSSでのみしか知らない方の、勘違いランキング1位ぶっちぎりの存在です。

 

 では、そのルーツを辿りながら行きましょうか。

 

 火星の後継者のラボから救出され、未だ囚われている妻の救出の為にアキトが立ち上がり。

 そんなアキトへネルガルがサレナを渡したと思ってる方。

 

 

 間違いです。

 

 

 そもそもアキトが立ち上がった時、「ブラックサレナ」なんてものは存在しませんでした。コレ本当。

 有るのは精々、サレナの原型と推測される『装甲強化型エステバリス』だけです(これはサレナが先の可能性も有りますが)。

 では、いつあのブラックサレナは生まれたのか!?

 

 当初アキトが対火星の後継者用に使っていたのは、「テンカワspl」と呼ばれる機体でした。

 これは後の量産型エステの一つ前の型のエステバリスをベースに、CCを1次フレームに仕込んだりバッテリーを新型の大容量のものに換えたり重力波アンテナを折りたたみ式にしたりワイヤードフィストとダッシュローラーをオミットしたり、といろいろな意味での実験機でした。

 実はこれ、試作型アルストロメリアだったのです。

 この実験機で、A級ジャンパーでなくとも機動兵器単位でのボソンジャンプが可能であることが実証され、アルストロメリアの正式な設計に移行していくのですがそれはまた別の話。

 研究チームが実験を終了したこの機体は、会長室警備部経由で横流しされアキトの元へ来ました。

 高性能実験機を手に入れたアキトは、火星の後継者の拠点を狙って出撃します。

 

 が。

 

 あっさり大破♪

 それも詮無い事で、この時点で既に夜天光と六連は存在していたのです。正確には、大戦終了一年後にはもうロールアウトしています。

 木連とクリムゾンの技術を使った新型7機に、いくら改造してあるとはいえ旧型のエステバリス一機。

 勝てるわけ有りません。

 それでも生還出来たのは、アキトがA級ジャンパーだったのと、機体自体がボソンジャンプ能力を持っていたお陰です。

 

 あっさりやられたテンカワspl。

 これじゃぁ勝てないってことで、ネルガルは急場での改造を施しました。

 北辰とその部下が常に複数で行動している為、対多数戦闘をコンセプトに改造し続けどんどんエステ本来のコンセプトからかけ離れていきましたが。

 その際に色々と外付けで様々な武装を施され、ココで初めて「ブラックサレナ」と呼ばれるようになりました。

 

 最初のサレナはS型(ストライカー)と呼ばれ、大型ミサイルや130mmカノン砲を装備、更に対弾性能を高める装甲をゴテゴテくっつけて、機動力が落ちたから敵と同じ燃料式スラスターをくっ付けて重力波推進と併用。

 むちゃくちゃです。まぁ急ごしらえの改造でしたでしょうから仕方が無いかもしれませんが。

 このS型、拠点侵攻には多大な成果をもたらしましたが肝心かなめの対夜天光は駄目駄目。

 何しろ向こうは機動力命の白兵戦仕様、こっちは火力命の鈍足仕様。当たるわきゃ無いし避けられもしません。

 やっぱり負けました。

 

 火力を幾ら増やしても足が遅ければ何の意味が無いということで前回の反省を生かす方向で出てきたのが、ブラックサレナA型(A1型)。Aはアーマードの略です。

 対弾性は落とせないけど装甲は重い、ならそれ以上の推進力を、ということでS型の脚部スラスターを肩につけ、足もスラスターの塊にしちゃおう。

 武器は両手に試作型ビームガンを持たせると手が使えなくなるからテールバインダーの先にアンカークローとマジックアームを付ける。

 そして、推力上げすぎて機体が持たないから四肢を半ば固定するような形で機体剛性を高めました。

 その後更にスラスターを追加し、装甲を厚くしたA2型、これが劇場版ブラックサレナです。

 A2型になった後も色々なバリエーションの高機動ユニットを外付けすることで、多種に及ぶミッションをこなしていったようです。

 

 実際にはもう少し改造中間型等のバリエーションもあったようですが、現在筆者の手元にある資料ではこんなものでしょうか。

 「幽霊ロボット」と呼ばれた所以は、このように改造に継ぐ改造で目撃されるたびに外見が変わっていったことと、機動兵器の癖にボソンジャンプを行っていた為でしょう。

 まぁ部品を既存品からの削り出し等殆どハンドメイドで都合していた為に全く同じ型に作るのも難儀したからかも知れませんけど。

 

 ……と、ちょっと高機動ユニットについても触れておきましょうか。

 既にA2型で改造の限界まで来ていたブラックサレナの汎用性を高める為に作られた高機動ユニット、実は結構愉快なバリエーションを持ってます。

 アマテラスで使用した型の他に「エアロタイプ」「重武装タイプ」「モールタイプ」などが資料として残ってます。

 愉快なのはこのモールユニット、なんとドリルとグラインダー付き!

 いきなりジャンプで中枢ユニットを奇襲され、あっという間にユニット大破で戦闘不能になったホスセリとウワツツは他と違い中破程度で済んでたり。

 

 

 

 

 ここまで読んで、「あれ? うちのサレナと随分違うな?」と思う人も結構居るでしょう。

 では、二次創作小説に良く出てくるブラックサレナと劇場版ブラックサレナ。どれほどの違いが有るか、「時の流れに」を例にとって比べてみましょう。

 

 

 

  「劇場版」ブラックサレナ 「時の流れに」ブラックサレナ
全高
  • 8m
  • 劇場版準拠
  • 武装
  • ハンドカノン×2
  • 胸部バルカン×2
  • アンカークロー
  • ハンドカノン×2
  • レールガン(ハンドカノンとどちらかを選択)
  • アンカークロー×2
  • グラビティブラスト
  • DFS×2
  • 動力
  • 重力波アンテナ
  • 新型バッテリー・及びCC含有による1次構造材
  • 相転移エンジン!
  • ジャンプ装置
  • 高機動ユニット内に装備
  • 機体そのものに装備
  •  

     

     ……つっこみどころ沢山で困ります。

     

     まず、「相転移炉搭載」。いきなりでなんですけど無理です!

     なにしろ月面フレームの相転移炉が目測で5〜6m。サレナの全高8m。代理人が言う所の「GGGの世界ならなんとかなりそうなダウンサイジング」でもしない限り、無理っぽい数字です。

     それに、サレナにはそんなもの搭載するスペース無いです。一番スペースのありそうな背中も、テールバインダーの基部(結構大きい)と中身のエステのアンテナが出っ張ってます。

     そう、テンカワsplの重力波アンテナが出るくらい背部装甲薄いんです。サレナは増設装甲。中にエステがあるのを忘れちゃいけない。

     次に、武装。

     テールバインダーは一本です。さっきも言った通り、基部がでかいんです。感覚的にはZガンダムの背部ウイングより邪魔です。

     それにスタビライザーの役目も持っているので、二本付けたらバランス悪いでしょう。

     DFSも……まぁ重要アイテムだから装備しているのはいいですけど、サレナって胸部装甲が出っ張っているので振るえません。

     サレナの腕はエステのままです。胸部装甲と半ば一体化している肩部装甲のお陰で、「気をつけ」から「前にならえ」までしか稼動部分無いんで「時の流れに」の1シーンを思い浮かべるとものすんごく間抜けな光景が浮かびます。特にレッドサレナとの戦闘

     レールガンも上記の理由で両手持ちは無理ですね。

     他にも、足の裏はスラスターの塊になってて歩けない(足首無い)しガシンガシン音を立てて歩いたら確実に破損しそうとか、

     8mもある上に全高と全幅がほぼ同じなサレナが、6m級でスリムなエステバリスの格納庫に固定されたりとか……。

     

     

     ……って、これは大蒲鉾吊るしにゃーコンテンツじゃないって!

     

     

    考察・ブラックサレナの真価とは!?

     以上から、ブラックサレナが皆さんの多くがお考えになっていた「すっげぇ新兵器」ではない、ということが分かっていただけましたでしょうか。

     では実際に戦力としてのサレナは、どういったものか。

     サレナの特徴は「機動性」「耐久力」、これにA級ジャンパーのアキトがパイロット。これだけしか自慢できるもんないです。

     火力がありません。悲しいくらいにありません。だから、実は大軍相手には高機動ユニット抜きでは大して強く無いんです(爆)

     ブラックサレナは所詮「対夜天光・六連用改造エステバリス」でしかない、というのが現実なのです。これは別に作家の皆さんが描くサレナを貶しているわけではありません。

     コロニー襲撃の時は、むしろ引っ掻き回して混乱させるのが第一だったのでは、と考えられます。

     撃墜数で言えばユーチャリス(+無人兵器)の方が圧倒的に多いでしょう。

     

     

     されなQ&A

     

     東 風雅さんからの質問
     「サレナの肩の役割って何?」

     A:上に書いた通り、あれは燃料式スラスターの塊です。

     

     Murasimaさんからの質問
     「サレナが相転移エンジンを本当に積んでいたか」「機体剛性ってなんですか?」

     A:積んでません。機体剛性とは、フレームのねじりなどに対する頑丈さのことです。例えば、自動車が高スピードでカーブを曲がろうとした時、ボディが横Gに耐えられずぐにゃっと曲がっちゃったら大変でしょう。この場合、車は機体剛性の限界を超えちゃったわけです。
     サレナのような高機動力を持った機体の場合は、当然それに見合う剛性を持っていないといけないわけです。

     

     

     

     尚、もし皆様に「こんなテーマを扱ってくれ」というご希望がございましたら、こちらまで。ネタが無くて困ってます。

     応援、ツッコミメールもお待ちしております。

     

     

     

     

    次回予告!

     

     

     「ルリちゃん、DF展開!ンジャンプで逃げます」

     「そうね艦長、ンジャンプで逃げるのが正解だわ」

     「ミナトさん、ンジャンプって危険じゃありませんでしたっけ?」

     「あらメグミちゃん、確かナデシコは一回ンジャンプを経験したじゃない」

     

     

     


    「……結局どっちなんです?」

     

     

    NEXT→第三回 「ボゾンジャンプ?ボソンジャンプ?」

     

     

     

     

     

     

     

     「しまった!もう公開済み!?