漆黒の戦神こと、テンカワアキト・・・・
彼のこれからの旅路でこれ以上御手付きが出るかどうかは
・・・・・・・作者その一広島県人のその時の体調と
大蒲鉾発、電波改めBen波の受信率によることだろう。
(つまりは出る可能性大)











一冊の本が生んだ哀れな男の愉快な喜劇   
第4話       
―逃亡者を探す阿修羅達と匿う者達―前編
                       作者 広島県人+アヤカ









さて、今まで逃亡者サイドの話ばかりでしたが、
今回の話ではアキトが救出部隊(?)にさらわれてからの
ナデシコサイド(追跡者サイド)の話をば・・・



もっとも所々に逃亡者サイドの実況中継が入ります。






さぁ、ここから本格的な対同盟戦が始まる!
            By 作者その1広島県人


・・・・取り敢えず、やり過ぎないようにね。お兄ちゃん
            By 作者その2アヤカ















アキトが救出されて既に2時間が経過。
ちなみに、この時点でアキト達逃亡者一行は
舞歌の羨ましそうな眼差しを受けつつシャクヤクから送り出され
三人して地球で月を眺めている。
さてナデシコでは・・・・



・・・・阿修羅が闊歩していた。




「・・・何処にも居ませんね。アキトさん」

「だな、よくよく考えてみればナデシコ艦内にいれば
オモイカネに感知されるだろうしな・・・」


阿修羅その1、紅の獅子と
阿修羅その2、ナデシコの三つ編み謀略家が
ブリッジに向かいながら話をしている。
会話を聞けばだいぶ落ち着いているようだが・・・・
顔が微妙に微笑んでいる。
しかも眼がメデューサも裸足で逃げ出すぐらい凄まじい眼光をたたえている。
さらに二人そろって力の限り拳を握っている。
後もう少し力をこめれば血が流れるだろう。
そして彼女等だけでなく他某同盟メンバーにも言えることだが、
かつてヤマサキの薬品によって暴走した某戦神のように


闇を纏っている


すれ違う一般クルーが彼女等を発見すると同時に、
忘れ物を思い出したり、用事を思いついたり、急性の腹痛にみまわれ
道を引き返し、トイレに飛び込む。





哀れな某少年オペレーターや某熱血男性パイロットが、
『事故(と言う名の八つ当たり)により』闇に食われているが・・・
彼等なら大丈夫だろう・・・・・・・・たぶん





そうこうしている内にブリッジに到着する阿修羅二人。
彼女らが最後だったのか他のメンバーが既に揃っている。
そして全員が揃ったところで桃色髪の阿修羅が報告する。


「艦外にステルス処理されたシャトルを発見。
だけど・・・・中から生体反応は無いよ」

「・・・シャトル、か・・・・・やはり外部犯ね」

「そうですね。私と姉さん、レイナの三人で某組織の方に質問(尋問)したところ
『今回俺達は干渉していない』と言っていましたし」

「でも誰が・・・」

「今回、外部犯である事は確かです。
そしてこれが犯人を映した映像です」


阿修羅達が報告を終え外部犯という事で落ち着いた時を見計らったかのように
瑠璃色髪の阿修羅が荒れ狂うブリザードのような
凍てつく様な冷たさと竜巻の様な力が篭った声と共にウィンドウを開く
そこに映るのは・・・・
彼女等の捜し求めるものと
そうでない、存在・・・・





『ここまで来れば良いだろう』

『そうですね。しかし気は抜けません。直ぐにシャクヤクに飛びましょう』

『そうだな。おい!アキト!何時まで呆けている!!』

『へ!?あれここは・・・あ、北斗!千沙さんまで!』

『新しい本が出たと聞いてな。
どうせまた捕まってるだろうと思って助けにきてやったんだ』

『そうなんですよアキトさん。
あ、脱出のためにシャクヤクまでのナビゲートを頼めますか?
ナデシコに来るのはステルス使用のシャトルで来ましたが、
いくらステルス使用とは言えこの状態では
帰還途中で確実に捕まりますから』


アキトは若干の黙考の後、
千沙から手渡された蒼いクリスタルを握り締め
北斗と千沙の肩を抱きながらシャクヤクをイメージする。


『あ、アキト(赤)』

『あ、アキトさん(赤)』

『イメージ、シャクヤクブリッジ・・・ジャンプ!』





「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・北斗・・・・クッ分家の小倅か!?」


証拠映像が終わっても阿修羅達に変化は無い。
それどころか約一名は現実を認めることが出来なかったのだろう。
1990年代の格闘技漫画の名作『修羅○門』に取り憑かれたのか
明後日の方向を見ながら拳を握りしめている。
皆が茫然自失に陥っている中、
既にこの事実を調べ上げていた電子の妖精姉妹は
先ほどまでウィンドウが表示されていた場所をにらんでいる。


「・・・えーと、今の北斗君と・・・千沙さん・・・よね?」


真っ先に現実復帰した某同盟のオブザーバー、
皆のお姉さんことハルカミナトが妖精姉妹に問いかける。


「ええ、そうです。偽造データの可能性は在りません。
そして声紋や映っていた映像から
北斗さんと千沙さんと99.89%の確率で断定できます」

「どうして千沙さんがアキト君を助けに来たのかしら?
・・・まさか・・・ねぇ」

「・・・・とにかく。アキトさんの居場所はほぼ確定できました。
逃亡先はシャクヤクでまず間違いないでしょう」


ミナトお姉さんの言葉は誰にも聞かれることなく。
(あえて無視されたとも言う)
阿修羅達は逃亡した『生贄の羊(アキト)』を捕獲するべく動き出す。


「ルリちゃん・・・じゃなかった妖精ちゃんシャクヤクの位置は?」

「既に確認済みです。
ただ、通常航行では通信可能宙域に到着に
最低72時間程かかってしまいます」

「そう・・・だったら、
イネスさんか私ならボソンジャンプで直ぐにでも・・・」

「それは無理よ天真爛漫。
私達はTAとは違ってジャンプになれていないの
行った事のある場所にナビゲートしてもらいながらならともかく、
行った事もない場所にナビゲートだけではジャンプに不安要素が多すぎるわ」

「それに、TAが持っているジャンプフィールド発生装置
あれの戦艦クラスを飛ばす規模の物はまだ作ってないのよ」

「そういう事ね。
CCもTAの逃亡を防ぐ為に積んでいないし」

「っく!それでは仕方がありませんね。
・・・シャクヤクに向けナデシコ最大船速・・・発進!」

「了解!!」×14

「(・・・もしも私の予想通りだったら、私はどうすれば良いのかな。
・・・個人的に千沙さんには幸せになって欲しいけど)」


これまでの経緯を考えれば千沙には幸せになって欲しい。
今の自分の幸せはある意味彼女から奪った物だ。
言い方は悪いが、奪った事については後悔してはいない。
白鳥九十九と言う男性を好きになり
そしてその感情を抑える事など自分には出来ない事だった。
結果として白鳥九十九はミナトを選んだ。
それはとても嬉しい。
だが、同じ女であるだけに彼女の悲しみと言う物もよく解る。
だからこそ、
もし彼女に好きな人が出来たらそれを応援しようと
誰にも言う事無くミナトは考えていた。
だが、もし自分の考えが正しければ、
千沙の好きになった相手と言うのは
自分にとって妹のように思っているルリとラピスの想い人なのだ。
それだけでは無い。
これまで多くの女性から相談を受けている立場としては、
(現代倫理と言った問題を無視して)
彼女等の応援もしたい所だ。
北斗と枝織については薄々ながら気付いていたので驚きはしなかったが・・・。
千沙達とルリ達。
ミナトとしてはどちらの応援もしたいが、
そういう訳にも行かないだろう。
その抱え込んでしまったジレンマに意図せず表情が曇る。
普段であればブリッジの年少組が真っ先に気付くであろう
珍しいミナトの沈んだ表情。
だが、年少組はおろか現在のブリッジクルー全員が普通では無い状態だ。

約一名の深刻な悩みを全く気にも留めず、
機動戦艦ナデシコはシャクヤクに向け加速を開始する。
















5時間後
逃亡者サイド
アキトは美少女と美女に挟まれて就寝していたりする。


「アー君・・・暖かい」

「スースースー(ここ数ヶ月無い深い眠りのため夢すら見ていない)」

・・あぅ、っはぁ!くぅ〜・・そ、そんっな!・・・   
あ、アキトさんそんな所・・・(真っ赤)


・・・・赤毛の天使と漆黒の戦神は熟睡しているようだが、
苦労性の某部隊隊長は眠っている内に『無意識』
抱え込んでいた戦神の手が
神の采配(作者その一の意思とも言う)によって
女性にとって凄まじく微妙な下半身某所密着しており、
時折アキトが動くとその微妙な所を刺激している。
この為30分ほど前に目が覚めそれ以降
寝られる状態ではないようだ(爆)
しかし手を離そうという事をしない。
むしろより強く抱きしめている。(核爆)
彼女はこの30分後ようやく睡眠がとれる。
もっとも・・・失神という形ではあるが(N2爆)











同時刻
ナデシコサイド

食堂には鬼気が満ち溢れていた。
元々食堂が職場である五花は元より
シャクヤクへ到着するまでは暇な某同盟の一部メンバー、
銀の糸、金の糸さらにメンテ、紅の獅子が自室ではなく
食堂で暇つぶしをしているからだ。


「なあ、アリサ・・・・」

「何です?リョーコ」

「さっきからどうしてかわかんねーんだが・・・
どうも、イラついて仕方ねーんだ。
シュミレーターに付き合ってくんねーか?」

「ふっふふふふふふふ・・・・
気が合いますねリョーコ。
実は私も先程から何故か苛立って仕方がなかったんですよ」


どうやら数万キロの距離を越えてアキトの身に起きている事を察知したようだ(汗)
驚嘆すべきはその苛立ちを某同盟加盟員全員が感じている点だろう。


「・・・アリサ、シミュレーターってIFS無しでも動くのよね?」

「そうだけど・・・姉さんもヤルの?」

「そうよ。アリサ達の様には行かないでしょうけど・・・・
ストレスの発散ぐらいは出来るかも知れないでしょ?」

「そういう事なら私も一緒に行くわ」

「じゃ・・・『イキ』ましょうか」


猛烈に違う意味で逝ってしまいそうな気がするが、
女傑として知られる彼女をもってしても声をかける事が出来ない。
ただ見守るしか出来ない事を自覚し、
嘆息しつつ食堂から出て行く女性4人を見送るホウメイ。


「・・・・まあ、最近ちょっとやりすぎだったしね〜。
テンカワも少しは息抜き出来れば良いけど・・・」


そんな事をいいながら食堂で仕事中の
五花を見て溜息をつく。
さらにこの場に居ない弟子にもついでの様に溜息をつき
五花に活を入れるために息を吸い込む。











1時間後
シミュレーションルームにて




「な!?何なんですか姉さん!?
その消火器は!?!?
何でフルバーストでの突撃を止められるんですか!?」

「沈みなさい!!アリサぁぁぁぁ!!!!!」

「んな!?飛燕を止めただと!?
レイナ!!その巨大スパナ何で出来てるんだよ!?」 


「まだまだこんなもんじゃないわよリョーコぉぉぉ!!」

「こんなの嘘だぁぁぁぁ(よぉぉぉぉ)!!!」×2






・・・エステバリスの武装にスパナや消火器が何故あったのか?
それは謎ジャムの原材料ぐらい謎だ。
まあ、何はともあれ
この後多少すっきりした様子の女性が二人シミュレーションルームから出て行き、
シミュレーションルームには煤けてしまった女性パイロットが二人残されていた。
本業のパイロットにすら勝ってしまう消火器とスパナ・・・
いったいどんな性能なのだろうか?
ちなみに、この事を知った某会計士が
消火器と巨大スパナを正式武装に加える事と
女性乗組員二人の契約変更による+−を
本気で試算した記録がオモイカネの記憶媒体の中に残されていた。







ナデシコ最大船速発進より96時間


当初最大船速を超えるスピードで航行していたが、
流石に最大船速を超えた速度を出し続ける事は
エンジンに多大な負担を負わせ、
地球脱出行より酷使してきた相転移エンジンの停止が起きてしまった。
一時核パルスエンジンによる航行に変え、
その状態でのエンジンの修理などといった離れ業をやってのけたが
いかんせん当初の予定時間より大幅に時間がかかってしまった。


「前方にシャクヤクを確認!」

「通信の時間誤差0.25秒!」

「やーっとミツケタァァァァァ・・・(邪笑)
クスクス・・・では、
第一種警戒態勢から第一種戦闘態勢に移行!
リョーコさんとアリサさんはエステバリスにて待機、
何時でも出れるようにしてください。
ルリちゃんラピスちゃんは全武装の安全装置を解除!
エステバリス隊と同じように即応状態にて待機、
必要とみなした場合は無制限、無許可での発砲を許可します。
・・・では、通信回線を開いてください!」

「・・・了解」×2

「わかった!」

「了解です」

「提督・・・何故エステバリスを用意させるんでしょうかね?」

「・・・緊急事態を想定してるんだろ」

「何故全火器をスタンバイしてるんでしょうね?」

「・・・プロスさん・・・解ってて聞いてるだろ?
想像通りだと思うよ・・・残念ながらね」

「そうですか・・・出来れば外れて欲しい想像なんですがね」

「俺も自分の想像が違う事を願いたいが・・・
無理だろうな」

「「起きないで欲しいな(ですな)
シャクヤクの武力制圧なんて・・・」」


名前を呼ばれたパイロット二人の元気のない返事を無視し、
彼女等の聖戦(ジハード)の準備が整っていく。
さらに既に止める気が起きない(止める事が出来ないとも言う)
正常な思考を保っている二人の大人を完全に無視し、
ブリッジ正面スクリーンにシャクヤクブリッジが映る。
もっともブリッジには必要最低限の要員しかいないが。
ちなみにミナトは大人二人の後ろで96時間前と同じ暗い表情のまま
何するでもなくただ事の成り行きを見守っている。




「こちら優人優華部隊旗艦シャクヤク艦長、哀河志狼木連大佐です。
突然のご訪問ですが、何か緊急事態でも?」

「・・・ナデシコ艦長ミスマルユリカです。
優人優華部隊司令東舞歌閣下に可及的速やかに、
テンカワアキトをこちらに返すように伝えなさい!!!」

「・・・・何事かと思えば、
・・・残念ながらただ今東閣下は就寝中のようです。
先程の用件でしたらはこちらで伝えて置きますので、
しばらくの間返答をお待ち下さい。ミスマル艦長」


哀河志狼と名乗った40代前半と思われる佐官に対し
一方的に言い放つユリカ。
しかし、哀河木連大佐も負けてはいない。
何せほんの数日前にアキトから自身の待遇について説・・・
ゴホ!(咳払い・・・のつもりがホントの咳)
教えられている。
シャクヤククルーの彼等彼女等は基本的にナデシコに対して友好的であったが、
現在はアキトに対して深く同情している。
そしてこの様な心情のブリッジクルーに対して
『ザ・ゴーイングマイウェイ』『究極の妄想娘』『ナデシコ惨大兵器』等
不名誉極まる渾名を持つ某同盟の人間が、
(シャクヤクブリッジクルーから見て)
高圧的、且つ自分たちに対して命令権が無いにも関わらず。
一方的な命令口調で自分達に命じている。
しかもそれは自分達の尊敬する上官である舞歌に対しても同じようだ。
これで大人しく出来るほど木連軍人は脆弱ではない。
そして某同盟も状況をしっかりと把握出来るほど冷静でもない。


「・・・アキトを匿うと、
それがそちらの答えなんですね?哀河艦長・・・」

「どこをどう取ればそんな
『短絡的』な結論に至るのですか?
自分には理解できませんよ。ミスマル艦長。
話に聞く天才戦術家も『所詮』
戦神に支えられた物だったのですか?
自分が申しているのは、
緊急を要する事でも無い、
私的な事で閣下の(これから)貴重(になるはず)な睡眠時間を削る事は出来ません。
よって後ほど東閣下に自分が責任を持って
伝えて置きますので連絡を待って頂きたい。
そういう事です」

「・・・」

「・・・」

「(素晴らしいです。哀河艦長!)」←プロスペクター

「(これだけの鬼気に当てられて
これだけの事を平然と言い放つとは!!)」←シュン


通信機越しでも解る凄まじいまでの鬼気を目の当たりしながら
一向に物怖じせず、むしろ挑発とも取れる事を堂々と言う哀河志狼木連大佐!
他のブリッジクルーは流石に冷や汗を流し始めているものの
普段と変わりなく仕事をこなしている。
ナデシコブリッジにいる正常な思考を保っている二人の大人(シュンとプロス)
はその様子を見て心の中で最大級の賞賛を送っていた。
一方最大級の賞賛を送られた方といえば、


「(そろそろかな・・・)」


ナデシコのブリッジに詰めている某同盟員が
傍から見てそろそろ暴発しそうだと冷静に判断していた。
哀河志狼から見て某同盟員は・・・
いくら鬼気を放っていようと箍(たが)の外れた我侭な子供にしか見えなかった。
持っている力や才能は確かに凄いが、
それだけだ。
ならば対応は簡単。
そして向こうは根拠のない感情論で来る向こうに対して
こちらは常に皮肉を含んだ正論で返す。


「(これなら13・・・いや14年前だったか、
結婚の許可を貰いに行った時の義父の方が1000倍怖い)」

何となく若かりし頃のことを思い出す。
結婚を申し込み、承諾してもらい、
妻となる人の両親に会いに行った時のことを思い出し背筋が寒くなったが
強靭な精神力でそれを微塵も表に出さない。

「(あの頃は若かったな〜)」

などと思いながら
哀河はナデシコ側には見えない様に他のブリッジクルーに指示を出す。


「クスクス・・・・(邪笑)
そーですか、そーいう対応をするんですか・・・。(満面の笑み)
・・・・そちらがその様な対応に出るというのなら
こちらは全力を・・・!」

「『全力を』何ですか?
武力に訴えるという事ですか?
それをなさるとこちらも全力で相手をせざるを得ませんよ?
そうなると極自然な流れとして
漆黒の戦神ことテンカワアキト氏の悲願である
和平が崩壊しかねない外交問題に発展する。
これを理解した上での事なんですね?」

「っく!屁理屈を・・・・」


完全に皮肉混じりではある。
が、正論なのだ。
だが某同盟にとっては『屁理屈』にすぎない。
とは言え、ここでこう言われてしまうと
いくら嫉妬に駆られた某同盟と言えど強硬手段に出ることが出来ない。
アキトが和平にかけていた気持ちをそばで見ているだけに、
ここで自分達が和平を壊すような事をしてしまえば・・・
決して戦神は彼女等を許しはしない。
・・・否、許すだろう。
あのお人好しが許してくれない、なんて事はまず無い。
だが彼女等への評価は地を這うどころか
確実にマイナスへと暴落すること間違いなしだ。


「では、後・・・そうですな。
5時間もすれば閣下も御起床されると思いますので、
・・・そうですな。
身支度等を考えると・・・・6時間ほど後にこちらからご連絡します。
では、ミスマル艦長。
多分に言い過ぎた点が在りましたが、
これも自分の任務の一端ですのでご容赦のほどを」

「・・・・・・」


視線で人を殺す事が出来るのなら、
シャクヤクブリッジクルーは誰一人として生きてはいないだろう。
いや、被害はブリッジクルーに留まらずシャクヤク全域に及んだだろう。
一部女性クルーの手がさすがに止まり、震えを隠せなくなってきている。
選抜を重ね木連でもトップクラスの人材で固めた筈のブリッジクルーが
恐怖の冷や汗を止める事が出来ない。
そんな中で同盟員の殺人的な視線もどこ吹く風といった態度を変える事無く、
哀河は答礼が無いのを見切った上で敬礼をした後、
一切の躊躇も見せず自分で通信を切る。
ブリッジクルーが哀河に改めて尊敬の眼差しを向けているが、
本人はそれに頓着せず就寝中の『はず』の舞歌に連絡を入れる。


「閣下、執務中失礼します。
予想より若干早いですがナデシコが到着しました。
そして閣下に対しテンカワ氏の返還を求めてきました。
自分の独断ではありますが、
6時間ほど時間を稼ぎました」

「確かに予想より4時間ほど早かったけど・・・
大佐が稼いだ時間も考えると2時間増えたわ。
ご苦労様」

「いえ、万が一の場合を考えてクラッキング対策と
完全マニュアル操艦の準備もしていたんですが、
仰られた通り、奥の手を使うと案外簡単に引いてくれました。
もっともかなり睨まれましたが・・・」

「・・・そう、ブリッジに居た皆は災難だったわね。
6時間か・・・・
アキト殿がここを出てから今日で5日。
大佐、6時間後の交渉からさらに2日位時間を稼げるかしら?」


哀河が先程までのブリッジの様子を思い出し苦笑する。
舞歌はブリッジの様子を想像し同じ様に苦笑し、
さらに時間が稼げるか聞いてみる。
哀河は若干黙考し、先程の某同盟の面々の状態を思い返す。


「(ミスマル艦長はこれまで聞いた情報から考えて余りこらえ性が在るとは思えん。
最後に挨拶した時かなりキレてる感じだった・・・皮肉を言い過ぎたか?
操舵席・・・だと思うがあそこに居た女性は確かネルガルの会長秘書だったか、
彼女はまだ大丈夫だな2日と言わず4日位なら持つかも知れん。
その隣に座っていた少女、彼女は・・・閣下のいう通り2日がやっとだな。
顔を見る事が出来た中で一番キツイ目だったしな。
後は・・・三つ編みにしていた女性だが、彼女が一番読めなかった。
ま、それでも閣下の足元にも及ばんが・・・彼女は条件次第で5日位いけるな)」

「・・・どう?」

「・・・・・・自分が見る事が出来たのは4人だけなので
同盟全体がどれだけ待てるか解りません。
よって観察する事の出来た4人に限って言えば
情報をどれだけ与えるか、こちらがどれ位譲歩するかによっては
2日〜3日程の時間稼ぎが出来るかと」

「そう・・・・
ありがとう。参考になったわ」

「いえ、では」


通信が切れ、ウィンドウが閉じた場所を何となく眺めながら
こちらが出せる情報の上限ラインを線引きしていると
アキトの笑顔が自然と頭の中に浮かんできた。
一時線引き作業を中断して映像ではなく、
自分が直接見たアキトの表情を一つ一つ思い返してみる。
戦争中に見た彼の顔はいつも真剣で
和平会議の時初めて顔を会わせた。
真正面から彼と眼が合った瞬間、
彼の放つその存在感に亡くなった兄以外の男性では初めて圧倒された。
実際の時間としては0.0何秒といった程度だが完敗だった。
思い返してみるとあの時からかもしれない。
彼の事を木連の少将としてでなく、
一個人―東舞歌―として見始めたのは・・・
その後色んなゴタゴタを乗り越えて
和平が完全に平等な形で終結されると彼の私生活も少し見る事が出来た。
戦いの中に身を置いていない時の彼は本当に普通の青年だった。
彼が時間逆行者である事は聞いた。
彼が前の時間でどんな人生を歩んだかを聞いて驚いたがそれ以上に納得した。
この感想は北斗や枝織ちゃん、千沙も一緒らしいけど
納得してしまったのだから仕方ない。

彼の持つ光と闇

光は彼が元々持っていた物であり、ナデシコで育まれ

闇も彼が元々持っている物、守りたい物を失うたび育まれる。

前の時間の流れでの戦争が彼の闇と光を育て続ける。

戦争が終わり光のみが育まれるが、

それも2年で終わり、

星の瞬き無き、宇宙の深淵のような闇が新たに生まれ・・・

爆発的に成長する。



何時しか話でのみ聞いた前の時間の彼を想像していた。
破滅を望むかのような前の時間の彼を記憶の奥底に追いやり
改めて今の彼の表情を思い浮かべる。
戦闘中の餓狼のような表情に心を鷲掴みにされ離れなくなり、
食堂での仕事中やちょっとした会話の中での
子供の様な無邪気な笑顔で心が和み癒される。
料理をしている時の真剣な顔、
立ち寄ったコロニーの子供達と遊ぶ時の慈愛に溢れた顔、
それら全てが自分の心を引き付ける。
彼はこれからどの様な道を歩むのだろうか?
私はそれを見続けたい。
出来うるならば彼の傍で、
それが出来るのなら
例えどんな道でも笑っていられる気がする。



「そう、笑っていたい。
彼の傍で・・・・
彼が微笑んでくれるのなら、
彼の為になるのなら・・・・
あんな娘達になんか負けはしない!

・・・・アキト殿、事が一段落したら
私も傍に居ても良い?」


何処か艶を含んだ声と表情で幻と解っている
目の前に浮かんだアキトの笑顔に向けて語りかける。
本人に会う事はもうしばらくの間出来ないから・・・。





















後書きならぬ
・・・なかがき?



ははははははは・・・・・
ども、作者その一広島県人です。
今回このあとがき学校で書いてます。
よってアヤカは登場しません。
ドツキ漫才期待していた人は・・・諦めてください。
えーでは、まず・・・・

すいません!まとめ切れませんでした。
さらに本当なら後編と一緒に投稿すべきなんでしょうが、
後編は昨日(4/22)襲来した桃色の破壊神によって
消え去ってしまいました。
やはり『アレ』がいけなかったんだろうか・・・・
感想を頂いた読者の方に読みたいと言う人がいた為
急遽書いてみたアキト×北斗+枝織+千沙・・・。
確実にR指定を受けてしまいそうな内容だったんです。
・・・・やはりこれが原因ですね。
唯一の救いはアヤカに見せる前だったという事でしょうか。
うん、これは未成年(アヤカ)の教育に悪い。
よって削ろう!
ゴシャ!(右肘が左こめかみを抉るように痛打した音)

アヤカ(以後ア):
そう、そんな物書いてたんだ。お兄ちゃん・・・
あ、皆さんお久しぶりです。
作者その二アヤカです。
広島県人(以後広):
ツー−−(痛みをこらえている)
な、何故にアヤカがうちの大学に・・・・
ア:
だって私ここの短大に行ってるんだもん。
広:
・・・初耳だぞ。
お前確か広島○○大学に受かったって・・・
ア:
私は保母さんになりたいの。
ここの短大保育士の免許取れるし。
広:
さいですか・・・・。
・・・あ、そういや聞きたい事があったんだ。
ア:
ん?何?
広:
うん、ここで聞いとこう。
ここならそれ程ひどい目に会わんだろうし。(そこはかとなく逃げ腰)
毎年思ってたんだが、
お前俺の誕生日知ってるよな?
なのになんで毎年誕生日から正確に13日遅れでプレゼントをくれる?
どうせなら当日にくれ当日に。
ア:
え!?
えーっと・・・・
だって・・その・・・お兄ちゃんの誕生日の辺りって
お金ないんだもん。
広:
それで、毎年遅れたんかい。
「おめでとう」だけは毎年朝一で言いに来るのに・・・
ア:
あう!
あ、お兄ちゃん・・・
話し逸らそうとしてない?
まだ釈明聞いてないよ?
本当にR指定覚悟の物書いたの?
広:
・・・・(滝汗)
えーっと・・・・あ!俺次講義だ!
じゃ!そ言う事で!!(ダッシュ)
ア:
お兄ちゃんがああいう反応返すという事は・・・
ほんとに書いたんだ・・・。
クスクス・・・
お兄ちゃん今日は『かれー』だよ♪
では皆さん
まだ後編に続きますが、
一から書き直すので時間がかかるかも知れませんが、
どうか気長にお待ちください。


 

 

代理人の感想

毎年誕生日プレゼントか…羨ましいですねぇ。←片手で数えるくらいしかもらった事のない人(爆)

 

ま、それはそれとして(And Now,For Something Completely Different!)

 

凄いぞ哀河志狼木連大佐!

さすがは某軍師と同じ名前を持つだけはある(爆)!

でも、アレを凌駕する彼の義父って一体何者(笑)?