生命の宿り木〜前編〜






 二隻の艦が停艦し、内部では話し合いがもたれている。

 

 「アキトさん、帰ってきてください!」


 ナデシコCに乗っているルリが叫ぶ。


 「でもね、ルリちゃん…。」


 ユーチャリス内にいるアキトが反論しようとする、

 が、ルリは最後まで言い終わってなかった。


 「だってユリカさんが、ユリカさんが

 
    『アキトさんの子を』

      『懐妊』

   なさったんですよ。」


 ルリから出た超ど級の言葉にアキトは目を白黒させながら叫んだ。


 「まてーーーーー!!!知らんぞ!」


 そんなアキトの言葉を聞いていたのかどうか知らないが、ルリはまだ続ける。

 

 「知らなくて当たり前です。私も出航する少し前に聞きましたから…。

  時期はユリカさんを助けた辺りです。

  アキトさん会わないみたいなこと言って、会うどころかそういうコトしてたんですね!」


 そう叫びながら、崩れるルリ。だいたいそういうコトってどういうコトだ?


 「信じてたのに…。」


 何を信じているのやらさっぱりだが…。


 泣き崩れるルリを見て、アキトに敵意満面のハーリー。


 「ルリさんに何をするんですか!」


 アキトは何もしていない。




 「知らないっていうのはそういう意味じゃなくて。」


 「じゃあ、どういう意味なの?」


 荒れた場を戻そうとしてアキトが放った言葉はラピスによってさらに悪化した。

 純粋とは怖い。


 「だから!」


 「だから?」


 アキト以外の全員の声がハモる。



 「シテないの!ユリカとそういうコトしてないの!」


 少し顔を赤くしながら半ばヤケになって自らチェリーボーイ宣言をするアキト。


 「何で、あんな美人な奥さんに手ださないんすか?」


 そんなアキトの言葉に一番先に反応したのは意外というか、その通りというか、サブロウタだった。



 「何でって、今は言うまでも無いし、屋台やってた時はルリちゃんいたし。」


 「わ、私のせいなんですか?

  確かにあの時は私も少女でしたし、

  でも、アキトさんさえよければ私はいつでも大丈夫だったんですけど…。

  そうです、アキトさんに度胸がないからいけないです!」

 
 突然自分に振られて焦り気味のルリ。

 しかもベクトルが妄想路線に変更されている。


 「ル、ルリさ〜ん。」


 後ろではハーリーが泣いているが、意味わかっているんだろか?





 「ともかく、俺には覚えが無い。

  あまり言いたくないし、想像したくないけど……俺の子?」

 
 場が納まったあと、アキトが再び切り出す。せりふ分からんでも無いが、ちょっとひどくないか?


 ルリが答える。


 「事実です。想像妊娠ではありませんので…。

  ユリカさんが自信満々でいっていました。それに、遺伝子データも合います。」


 アキトが頭を抱える。


 「じゃあ、何故だ?」



 「やっぱ、酔った勢いとか?」


 「残念だけど、俺は酒を嗜まないよ。」


 サブロウタの意見がアキトによって一蹴される。



 「あの、アキトさんいいですか?」


 何を考えていたのか顔を真っ赤に染めたルリがアキトに提言する。


 「なに?」


 アキトが答えるとルリは言いにくそうに言う。


 「火星の後継者の実験というかサンプルで『アレ』採られませんでしたか?」


 「アレって?」


 アキトが聞くと、ルリは怒ったように


 「アレといったらアレです!

  子供を作るのに必要な男性側のものです!」


 と叫んだ。

 恥ずかしさの頂点に達したようだ。あんな妄想するのに…。



 「…あ、ああ!」


 ルリの遠まわしな言い方にアキトは理解したようで、ポンッと手を叩いた。

 その後、少しうつむいて考えこむこと数秒、

 何度か顔をしかめるとゆっくりと答えた。


 「確かにあった…。」


 「では、それが原因ではないんですか?」


 「A級ジャンパー同士の子、奴等の考えそうなことだ。」


 ルリの問いかけにアキトが一つの答えを導き出した。



 その後、アキトは少しの間考えこんで一つの結論に達したようだ。


 「本当に俺の子なんだな。じゃあ、帰るか…。」



 そのアキトの言葉を聞いたルリは嬉しそうだ。


 「はい、帰りましょう!

  では、こちらにいらしてください。」


 「いや、ユーチャリスで直接行くから大丈夫だよ。」


 「えっ、でもこちらに来て頂かないと帰ってきたことには…。」


 「はっ?」

 「えっ?」


 どうも二人の会話がかみ合っていない。


 「いや、だから、俺は帰るって。」


 「ええ、だから、アキトさんは『私の元に』帰ってきてくれるんですよね!」


 ルリはどこか勘違いをしている。

 第一あの会話のどこにルリの元へ行くという風に聞こえたのだろうか?


 「いや、俺はユリカのところに帰るって意味だったんだけど…。」


 「何故です?」


 「何故って、ルリちゃんもそのためにユリカのこと話してくれたんだろ。」


 「はい?私はただ

     『妻が妊娠したら夫は愛人の元に逃げる』

             と聞いたので、ユリカさんの話をしたのですが…。」



 誰に聞いたんだそんな話、しかもかなりねじ曲げられているぞ。

 さらに言うと愛人って誰のことだ。


 「というわけで、アキトさん。私と甘い生活をしましょう!」


 と尋常じゃない目つきでアキトに迫るルリ。

 さすがのアキトもまずいと感じ取ったのか、逃げを決意したようだ。


 「ラピス!一刻も早くジャンプするぞ!」


 「やだ。」


 アキトの切なる願いはラピスによってあっけなく却下された。


 「ラピス、ナイスです!」

 「ラピス、なんで!」


 アキトとルリがハモる。


 「アキト、ユリカに会ったら私はどうなるの?」


 「大丈夫、何とかするから。」


 「うそ。アキト嘘つくときアレがソレしちゃうから…。」


 「な!」


 何がどうなっちゃうのかはわからないが、アキトのアレはソレしちゃったらしい。


 そんなアキトをラピスの会話が行われている間にも、

 ナデシコCはかなりの距離まで近づいている。


 「白兵戦よーい。アキトさん待っててください!」

 
 そんな声も聞こえてくる。




 
 「ダッシュ、艦長命令。ジャンプだ!フィールドを張れ!」

 
 アキトの声が響く。


 『でも、ラピスが…』


 「やれ。」


 反論しようとするダッシュを黒アキトになり強引に命令するアキト。


 『わかった。』


 ユーチャリスのフィールドが強化されていく。
 


 「やらせません!」


 フィールドが強化されるのを見ていた、ルリは作戦を伝える。


 「対フィールド強襲アンカー用意。」

 
 「準備できてます。」


 「てぇぇぇぇぇぇ!!!」


 アンカーを打ちこむナデシコC。



 「間に合ってくれ!」

 「間に合って!」


 アキトとルリの声が響き渡る。


 ユーチャリスはアンカーをくらうと同時にナデシコCを巻き込みジャンプした。


 そして、二隻の艦は宇宙から姿を消した。









 その6ヶ月後、ミスマルユリカに初めての子が誕生した。

 名は、二人(アキトとルリ)をしのぶことから『シノブ』と名づけられた。





 



  あとがき


  ひとみ みともです。

  『生命の宿り木〜前編〜』どうだったでしょうか?

  題名を見てシリアスだと思った人すいません、ギャグです。

  この話は前・中・後の三部になる予定です。

  実際、前編だけ見てもどんな話になるか予想つきませんよね。

  でも、書きたいことあるんでその辺のご理解を…。

  あと次回以降のギャグ度ですが、下がります。ちょいシリアスはいるかも…。

  でも(こればっか)、読んだ後にはギャグだったと言わせるものにはする予定です。

  

 裏話コーナー

  え〜、全体通してギャグが下品ですね。

  Rにはならないと思いますが、どうでしょう?

 
  

  ルリ壊れ過ぎです。

  書いているうちにだんだん突っ走ってしまいました。

  清楚なルリが好きな人ごめんなさい。



(注:必ず読んで下さい)

  作中にルリが言った『妻が妊娠したら夫は愛人の元に逃げる』と言うせりふですが、

  みともはこんな話聞いたこともありません!

  なので、

        真に受けないで下さいお願いします!!!!


  だけど、

  『妻が妊娠中に夫が浮気をする確率は非妊娠時より多いそうですね(ボソ)』

  いえ、なんでもありません。忘れてください!!




 ともあれ、次は黒衣の死神〜第一話〜で会いたいです。








代理人の感想

つーても、大抵のSSではルリって壊れてるか過度に美化されてるかのどっちかのよーなw

 

ま、それはさておき。

 

アキトランダムジャンプですか!

珍しく自分から帰る決意をしたと言うのに(爆笑)!

あれかな、これも今までの行ないが悪かったせいかな(笑)。