Alien
序章
プロローグ

by 逆行好きのIKU



雄大な火星をバックに二隻の船がチェイスを繰り返していた・・・

追う者には譲れぬ思いと、忘れられぬ思慕が・・・

追われる者にも譲れぬ決意と、何者にも許しえぬ己の罪の意識を抱き・・

今日もまた、お互いの想いを抱えながらすれ違うばかり・・・・・・・・ではなかった


「アキト!!ジャンプフィールドが暴走してる!!」

「っく、フィールドは間に合わんか!!済まんルリちゃん!!ナデシコのクルー!!」



ヴオォォォォォォォォオオオンンンン・・・


こうして、二隻の戦艦は姿を消した・・・

時刻――3時43分――





此処とは別の、限りなく似ていて違う世界・・・
そこで、新しい物語が始まろうとしていた・・・・




キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

極々平凡な、何処にでもありそうな学校・・・
此処の裏庭で、大きな怒声が上がっていた

「貴様等ぁぁぁぁぁ!!一体何をやっている!!」

「どわ!田中だ!!総員撤退ぃぃぃ」

雲の子の如く散ってゆく生徒たち、
大声を上げた教師は、生徒たちのいた場所に近寄ってゆく

「あのワルガキどもめ、一体何を・・・・ぬおお?!」

――体育教師田中の秘密告白掲示板――
――裏庭支部――

「あんのクソガキァァァァ(怒)」



「お〜お、“今日も”よく吼えているな〜」

そう呟いた青年は、学生服を身に着けており、身長は平均よりやや上だろうか?
頭髪は黒髪でやや長く、手入れをしてないようでボサボサになっている

「おい、影道!今日は4時にスポーツセンター集合だぞ。急げ!!」

一人の男子生徒が青年に声をかけて走り去ってゆく

青年の名は影道京谷と言う
ちなみに、別に格闘技の達人とか希代の天才と言うわけじゃなく、普通の学生である

「4時・・・って!今3時4分じゃんか!!だぁぁくそ!!」

そう言うや否や、京谷は走り出した

「くそ〜、なんで俺の家はこんな遠いんだぁぁぁ(涙)」

愚痴っている間にも時間は過ぎてゆく・・・







「はあ!はあ!はあ!あ、あと少し・・・」

長時間の全力疾走に、かなり疲れ果てたようだが頑張って走っているようだ

「だ、駄目だ・・・少し休まなければ・・・」

そう言うと京谷は、ちょうどあった公園のベンチに腰掛て、時間を確認した

「今の時間は3時42分・・・家まで後5分・・・・スポーツセンターまで10分、
ギリギリ間に合うな・・・・」

京谷は四肢をだらしなく伸ばして呟いた・・・

「疲れたぁぁぁ」

その時、時計の針が動いた

時刻――3時43分――

キュワァァァァァァン

「え?」

突如、青色の光が発生し、京谷の体を包み込む

「な、なん・・・」

キュアァァァァァァァァァァァァァオン

京谷は言葉を言い終える前に、虹色の光に包まれ世界から姿を消した・・・







――木連――

木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家反地球共同体、通称木連
それがこの国家の名称である

100年前、月の独立運動に地球連合は政治的介入をし、独立派の人間は月を追われ火星へと逃亡することになった
しかし、独立派の面々による自分達の汚点を曝け出される事を恐れた高官達は、火星に核を打ち込み、追い討ちをかけた
これによって火星すら追われた独立派の生き残りは木星へと逃げ延び、偶然あった古代人の遺産“プラント”を使用し生き延びることができた

そして出来た国が“木連”だった

その木連を率いている人間、草壁春樹は此処、木連で最も忌み嫌われている場所“山崎ラボ”に木連暗部を統括する人物“北辰”と一緒に居た

「山崎はいるか」

「く、草壁中将!!主任なら、A―25に・・・」

「わかった」

草壁は一言言うと、北辰を連れ歩いて行った


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「助けてくれ!助けてくれぇぇぇぇ!!」

「殺してやる!!貴様ら絶対殺してやる!!」


辺りから響く苦悶の声に顔を顰める草壁
やがてA―25と書かれているドアの前に着いた

「あれ?春樹ちゃんに北辰さん?二人そろって何やっているの?」

ドアの中には木連一のマッドサイエンティスト、山崎良夫が居た

「山崎、跳躍因子についてはどうなっている?」

跳躍因子・・・現在木連で最も研究している課題の一つ
木星にあったプラント――都市――に残されていた技術の一つに、空間跳躍というのがあった
これを利用すれば敵の重要拠点に自軍の兵器を瞬時に展開すること等ができ、来るべき地球連合との戦争での切り札となり得る物として研究していたが
これには欠点があった

普通の人間では空間跳躍に耐え切れないのである

徹底的な研究により、“空間跳躍には特殊な因子が必要である”という所までは判明したが、
肝心の因子がどういうものか未だ解っていないのが現状だった

「あ〜・・・あれね、駄目駄目。
ちょっとは絞り込めたけどまだ跳躍に耐えれる程じゃないよ」

「そうか・・・」

山崎の答えに、明らかに落胆した様子の草壁
そんな草壁に山崎がそのおどけた口調で言う

「あ〜あ、こんな時、謎の助っ人が現れて解決法を教えてくれたらいいのに〜」

「そのような都合の良い事が起きる訳・・・」

北辰は言い掛けた言葉を中断して、爬虫類じみた目をギロッと天井に目を向けた

キュウァァァァァァン

いきなり、天井に青い光が現れた

「へ?ってどぉぉぉぉわぁぁぁぁぁ、ぶべし!!」

青い光から青年が現れたと思ったら、青年は情けない声を上げて床に激突した

「痛って〜、一体なんだ・・・・」

そう言うと、青年――影道京谷は草壁達の方を向くと、驚愕に顔を歪め、北辰に指を向けて口をパクパク動かした

「な、なんだ?」

いきなりの展開に呆然としていた草壁がぼそっと呟くと、それが引き金になったのか京谷は叫んだ

「と、蜥蜴人間!!」




・・・・・・・・・・限りなく的確でシビアな指摘だった・・・・・・・・・・

後書き

ども!逆行好きのIKUと言います
今回新しく投稿させてもらいました!!

このAlienは、前々から構想していた物です
予定では京谷の木連生活の序章、後に時ナデの第一部となるはずです(予定は未定)
では!

 

 

代理人の個人的な感想

む、微妙。

主人公が家まで走るだけでヘタばるような凡人だったり

ジャンプに何か裏がありそうだったりと話の運びは面白いんですが・・・・

次回以降の成長に期待します。