世界を司る者の運命


第1話「旅立ち」かな?



<ラングラン王城内にて>

「・・・と言うわけで、私が地上に行くわ。」
「ふーん。」
「ふーんって、何かもっと他に反応無いわけ(怒)?」
「・・・そんなもんダメに決まってんだろこのバカ!!!!!」
「な、何よ!?そんな大声出さなくても良いじゃない!」

私がした素晴らしい提案の何が気に食わないのか怒鳴ってくるマサキ。
うーん、何でこうなったかと言うとね。
この国ってちょっと前まで大きな戦争してたんだけど
それもようやく終わって国の復興も形になりつつあるって矢先に
この世界、つまりラ・ギアス各地で天変地異が起こって大騒ぎ。
あ、ラ・ギアスってのは概念上は地底世界ってなってて地上の混乱とかの影響をモロに受けちゃうの。
だから私が原因究明の為に地上に出て調査しようって言う結論に達した訳なんだけど・・・。
それをマサキに言ったらこうなったって事。

「今のラングランの政治の殆どをやってるお前が地上に出てどうすんだよアホ!
 そうでなくてもお前はこの国の王女だろ王女!!」
「む〜、政治なんか大臣とかだって出来るじゃない!そ・れ・に・貴方たち魔装機神の操者は今ここを離れるわけにはいかないでしょ?」

さっき言った戦争のおかげでとっても疲弊しちゃった我が聖ラングラン王国。
そんなわけでまともに動ける戦力が殆ど無い状態。
で、こんな状況の中で国の守神とも言える魔装機神が地上に出るわけにはいかないってわけ。
まぁ、それ以前にこのマサキとかに調査なんか出来るとも思えないんだけどね。

「おいセニア?聞いてんのかセニア!!」
「えっ?あ、何だっけ?」
「はぁ〜、これだもんなぁ・・・。大体お前はいつも・・・」

やーね、マサキったらヤンロンの説教癖が感染ったんじゃない?
あっ、いっけない!そう言えば自己紹介してなったわね。
私はセニア・グラニア・ビルセイア。
実はこう見えても私はこの聖ラングラン王国の王女!
だけど魔力が低い落ちこぼれだから王位継承権は持ってない。
今はラングランの政治を取り仕切ってるけど本当は機械弄ってる方が好き(笑)。
なーんて誰かに自己紹介してると向うから一人の男が歩いてくる。

「二人とも何を騒いでるんですか?」
「おっ、シュウ。丁度良い所に来たじゃねぇか。実はな・・・」

げ、また煩いのが来たわね(汗)。
この済ました顔した根暗男の名前はクリストフ。今はシュウ・シラカワって名乗ってるみたいだけど私の従兄。
破壊神なんかに操られて悪い事たっくさんしたおバカさん。
でも結局その呪縛も解けて「自分に命令した奴は許さん」って理由でその破壊神をやっつけちゃった非常識なヤツ。
色々理由があってマサキとは犬猿の仲だったはずだけどこの前地上から戻って以来そうでも無いみたい。
そんでもって紆余曲折あったけれども今はこのラングランにいて私達の手伝いをしてくれてる。
でもここにいる一番大きな理由は王位継承権のある連中、つまり私の弟妹二人がコイツの仲間だからかな?
実は妹と弟はこの根暗の仲間だったりしていつもベッタリ。コイツのいる場所にしか現れない。
だからあの二人を呼ぶ手段としてコイツの声をかけたってわけよ。
国が大変なのに流石に王位継承権持ってる人がブラブラしてるわけにはいかないもんね。

「確かに何らかの調査は必要でしょう。しかし、セニアが地上に出ると言う事には正直反対ですねぇ。」
「だろ?でも言っても聞かねぇんだよなぁ。お前からも何か言ってやってくれよ。」

何か好き勝手に言ってくれるわね。私って信用無いのかしら?

「そういう問題ではないでしょう。」

えっ、まさか私の心を読んだの?相変わらず非常識な奴よねクリストフ。

「何言ってるんです?言葉に出てますよ。」
「えっ?嘘!?あは、あははははは(汗)。」
「・・・はぁ。」
「やれやれですねぇ。」

わざとらしく大きなため息をつくマサキとクリストフ。
何かムカツクわね(怒)。
ちょっと不機嫌になった私は二人に反論を試みる。

「今更何言われても聞かないんだからね?もうイブン大神官にも地上へ行く許可は貰ってるわ。」
「何ぃ!?お前いつの間に?」
「さすがに素早いですねぇ。」

驚くマサキと苦笑するクリストフ。
ふふん、どんなもんだ。ざまーみなさい!

「そこまで準備してあるならもう止めねぇけど。具体的にはどうするつもりなんだ?」
「えっとね、取り敢えず地上に出たらブライト艦長とかプリベンターの皆のところに行くつもり。」
「なるほど、しかし彼等はこの間解散して通常の軍隊として機能してますからあまり自由には動けませんよ?」
「大丈夫よ、だってマジンガーとかは民間の研究所の機体なんでしょ?
 別に彼等の戦力を頼るんじゃなくて研究所とかに話を通してもらいたいのよ。
 私って皆の事は知ってるけど研究所の場所とか博士とか面識ないからね。
 話さえしてもらったら何処かの研究所のお世話になるつもりよ。」
「へぇ、結構しっかり考えてるんじゃねぇか。」

やたらと関心した風に言うマサキ。
クリストフは何か難しい顔して考えてる・・・何考えてるんだろ?
気になる私は彼の顔をじっと見つめる。
・・・む〜、分かってた事だけその表情からは何も読み取る事は出来ない。
この男と腹のさぐり合いなんかして勝てる自信は微塵もない私。
不毛な争いはやめにして直接聞いてみる事にした。

「クリストフ?何考えてるの?」
「いえ・・・ラ・ギアスにこれ程の影響が出てるのです。地上はただ事ではないと思います。
 マサキ、確か貴方はエーテル通信機を地上の誰かに渡していたはずですが連絡して地上の状態を聞けませんか?」
「それが実はな・・・(滝汗)。」
「・・・?実は何ですか?」
「あれ、取り上げちまった。」
「・・・はい?」
「ちょっと!どーゆー事よ!?」
「実は前に甲児の奴から呼び出されてな。
 何かと思ったらデカい耳糞が出てきたから呼んだって言われたから怒って取り上げたんだよ。」
「そ、それは確かに腹立つわね(汗)。」
「つまり地上に出る以外には何も分からない、と言う事ですね。」
「セニア一人で大丈夫か?また異星人か何かが攻めてきてたら滅茶苦茶危険だぜ?」

そう言われるとちょっと不安になる私、自分でも気が強いとは思うけどやっぱり乙女だもん。
私も一応は魔装機ノルス・レイを持ってるけど正直戦闘は得意じゃない。
でも誰かと一緒に行くって言っても魔装機神は動かせないし
他の魔装機の操者だってラ・ギアスを守るって義務があるから簡単にはいかない。
う〜ん、どうしたらいいのかな?
悩んでるとクリストフがこんな提案してくる。

「リューネかサフィーネを同行させたらどうでしょうか?
 リューネは元々地上の人間ですしサフィーネも魔装機の操者ではないので問題無いでしょう。
 実力はどちらも一流、サフィーネに至っては単独行動や調査は手慣れてますよ。」
「リューネなら親父を探すんだってちょっと前に地上に出ちまったぜ?」
「ふむ、ならサフィーネを同行させましょう。」
「えーーー!!??私サフィーネと一緒なんてイヤよイヤ!!」
「何か問題でもあるんですか?」

うーん、別にサフィーネの実力を疑ってる訳じゃなくて、彼女ってちょっとアレなのよねぇ。
一緒にいると誤解されそうって言うか・・・。
あの人ってタカビーでサドでマゾでニンフォマニア(モニカ談)だから・・・ねぇ?
『紅蓮のサフィーネ』の異名を持つだけあって頼りになると言えばそうなんだろうけど。
連れて歩くのはすっごく恥ずかしい気がする。

「とにかくイヤなものはイヤよ、サフィーネと行くくらいなら一人で行くわよ?」
「しかし、一人で行かせると言うのは許可出来ませんよ?貴女は仮にもこの国の王女なんですから。」
「そうそう、しかも今はお前が国王代理みたいなもんだろ?」

結局ここに戻っちゃうわけね・・・(呆)。
と、その瞬間に私はとぉ〜〜〜っても素敵なナイスアイディアを思い付いた!
そうよ、いるじゃない!うってつけなのが!!
戦闘力抜群、頭脳明晰、地上の情勢に詳しいうってつけの人材が!!!
いきなり笑い出した私を二人が胡乱気に見てくるけどそれを無視して言ってやる。

「うふふふふふふふふふ。」
「いきなり笑い出して気持ち悪いな(汗)。」
「うふふふ、良い事思い付いちゃった♪」
「ほう、嫌な予感がしますが一応聞いてあげましょう。」
「ふふん♪クリストフ!貴方が一緒にきなさい!!」
「おー、そりゃ良い考えだなー。」
「・・・何でそうなるんです?」

呑気に相槌をうつマサキに心の底から嫌そうな顔をするクリストフ。
そう、この根暗こそうってつけの人材。
地上じゃメタ・ネクシャリスト(超総合科学者)の異名もあって世界十大頭脳の一人に数えられる超天才科学者。
しかもコイツの機動兵器グランゾンは魔装機神以上の機体だから戦力としても十分。
さて、クリストフの表情は気になるけど私は理路整然と説得を始める。

「だってクリストフは王位継承権も無いし魔装機の操者みたいにここにいる義務もないでしょ?
それに地上の事にだって詳しいじゃない。頭も良いから調査だって早く進むわよ♪」
「確かに一人でほうり出したら何するか分からねぇけどセニアと一緒なら俺も安心だぜ。
グランゾンなら並み大抵の連中には負けねぇしな〜。」
「・・・サフィーネも地上には詳しいし頭脳も優秀ですが?」

男のクセにごちゃごちゃと言い訳ばっかね、そんなに私と行くのが嫌なのかしら(怒)?
でも甘いのよね〜、この状況で私を言い負かそうなんて(邪笑)。

「サフィーネは優秀かもしれないけど私を置いて逃げちゃうかもしれないでしょ?
私はモニカやテリウスと違って彼女とあんまり親しいわけじゃないのよ。」
「アイツならモニカやテリウスだって置いて逃げそうな気もするがな。」
「でしょう?でもクリストフなら私の事置いて逃げたりはしないわよね〜?」
「それはまぁ、そうですけど・・・。」
「なら決まりね。出発は明日よ。しっかり準備しときなさいね。じゃ、私はノルスの調整して休むわね。おやすみ〜。」

素早くそして強引に話をまとめると私はさっさと格納庫へと向かって歩き出した。

「セニア、まだ話は・・・。」
「シュウ・・・お前の負けだ、気の毒だが諦めるんだな。頑張ってこい。」
「・・・仕方が無いですね。分かりました。
やれやれ、モニカやサフィーネに見つからない様に出ていかないといけませんねぇ。
後の事は任せますよマサキ。」
「ああ、安心して行ってこい。」
「・・・はい。」
「・・・元気だせよ、なっ?」
「すみません。」

尚も食い下がろうとするクリストフにマサキが気の毒そうに声を掛けていた。
ちなみに格納庫に向かっていた私は残された二人がこんな会話をしていた事を知る由もなかった。





<翌日、ソラティス神殿にて>

神殿の中に鎮座する二体の巨人。
片方は紫の衣を纏う天女の如く神秘的な風貌をしている魔装機ノルス・レイ。背中には光臨を背負っている。
そしてもう片方は群青の甲冑を着込んだ禍々しいフォルム。まさに魔神と言うに相応しい姿だ。
この機体こそがシュウ・シラカワの駆る愛機『DCAM-0(R-0)グランゾン』。
DC(ディバインクルセイダーズ)の保有するEOT(Extra Over Technology=地球外知的生命体保有技術)の全てと
組織の3分の2の予算、そしてラ・ギアスの呪術を結集して開発された対異星人戦闘用人型機動兵器。
究極の人型機動兵器の呼び名に恥じない性能を誇る無敵の魔神である。
二人は地上へと出る為に転送施設であるソラティス神殿に来ていた。
グランゾンだけでも地上へと出る事は可能だが許可も貰った手前ソラティス神殿を利用するのだ。

「そろそろ始めるぞ、二人とも準備は良いかい?忘れ物をしても取りには戻れんぞ?」

そう言うのは大神官イブン。
ラ・ギアスでもトップクラスの魔力を持つ老婆である。

「ええ、私はいつでもかまいませんよ。」
「私もオッケーよ。」
「本当ですかねー?セニア王女は結構そそっかしいんですから気をつけないと。」
「うるさいわよチカ!!」
「やれやれ・・・セニアもチカも遊んでる場合ではないでしょう。」
「「はぁい・・・。」」

真面目に二人は答えるが茶々を入れる鳥が一匹。シュウの使い魔チカである。
ナイチンゲールを模したこの小鳥はシュウの無意識を切り離して作られた存在だが主人とは違いやたらとお喋り。
実はシュウって結構お喋り好きなのかな〜。
そう言えば前半は作者がナレーションをしていなかったせいで二人の外見が分からない人もいると思う。
よって、転送が始るまでに説明をしておこう。

『はっ!?説明ですって!?私を呼んでるわ!!』

呼んでねぇよ(笑)。
何処かで『説明』と言う言葉に反応した女性がいる様だがこの作者は他の作者殿より甘くはない(笑)。
登場キャラクタの皆さんには申し訳ないが作者は神様です。文句を言えるのは読者の皆々様だけなのだ!
おっと、話が関係無い方向に進んでしまいました・・・失敬。
シュウは紫の髪にアメジストを思わせる瞳。長身痩躯でかなりの美形。口元には常に微笑を浮かべる。
髪の色とお揃いのシャツの上にローブ風にアレンジされた白衣の様な上着を羽織っている。
一見すると温和だが何処か人を寄せつけ無い冷たい印象を放っている為にセニアから「根暗」と称される。
で、こっちのメカフェチ少女セニアは青みがかったセミショート、アクセントとして肩まで一房だけ両側の髪を伸ばしている。
額に赤い宝玉を飾っている、ピアスも同じ物の様で両側につけている。瞳は青がかった灰。
はっきり言って十人が十人「美少女」と言う程の容貌。
こっちはシンプルな薄い桃色のドレスを着ている。動きやすくする為かアレンジされてはいるが。
胸元にはピアスと同じ色の宝玉が飾られおり気品を感じさせる。
まっ、こんなところかなー?

「説明は済んだのかの?」

ああ、気になさらず(笑)。続けて下さって結構ですよ♪

「うむ、分かった。」
「イブン大神官もボケが始っちゃったんですかねー?」
「だめよチカ、思っててもそういう事言っちゃ。」
「こりゃ!!儂はまだ耄碌なぞしとらんわ!!まぁ、いい。準備も済んどるようじゃしさっさと始めるかの。」
「ええ、お願いします。この二人に付き合っていたらいつまで経っても話が進みませんからね。」
「主も苦労しておるみたいじゃの。」
「ええ、全くですよ。」
「「どーゆー意味よ(ですか)!!!???」」

奇麗なユニゾンを見せながら怒鳴る一人と一匹にシュウとイブンは苦笑を交す。
この二人(一人と一匹?)って結構仲良さそうだね

「それではいくぞ・・・。」

イブンがコンピュータを操作してから転移の呪文を唱え始める。
少しすると二体の巨人を中心にして光が溢れる、これがラ・ギアスと地上を繋ぐゲートと呼ばれるものだ。

(これで地上に行くのも二度目かぁ。みんな元気かな?)

(何が地上で起きてるんでしょうか?あまり良い予感はしませんね。)

二人がそれぞれ思索にふけっている間にもゲートは大きくなりノルスとグランゾンを飲み込んだ。





<ゲート内部にて>

シュウは虹色に輝く空間、すなわちゲート内部においてこれから自分が遭遇するであろう事態について考えている。
ラ・ギアス各地で観測されている天変地異の数々。
これはラ・ギアスに原因があるのではなく地上の混乱の影響によるものだ。
だがしかし過去にこれ程の影響を齎したものは多くない・・・。
一つはエアロゲイターや宇宙怪獣の侵攻に代表される『パルマー戦役』
そしていま一つは自分自身も大きく関わっている『ゾラ事件』。
さらにこれは話を聞いただけではあるが『ゾラ事件』直後に新たな戦いもあったようだ。
その時にはシュウ自身は自分を操っていた破壊神と戦っており。
マサキ、リューネ等もラ・ギアスでの戦いの最中であったために地上へは出てはいない・・・それはともかく。
この三つの事件全てに共通するのはどれも地上が壊滅するか否かという程の非常に大規模な事件であった事。

(新たなる地球外知的生命体の侵攻、もしくはゼ・バルマリィ帝国の再侵攻。どちらも十分にありえる話ですね・・・。)

そこまで考えてから彼は自分の考えを一度否定する。
所詮は推測の域を出ない事であるが故にだ。
先入観と言うものはあまり良いものではない事をシュウは嫌と言う程知っている。
さらに考えを否定する事で多面的に理論を展開する為でもある。

(ラ・ギアスへの影響・・・何も戦乱によるものだけとは限りませんか。・・・そう、彼の男の計画の様に世界そのものへ何らかの影響を与える事態が起こっているとしたら。)

パルマー戦役のさいに力による解決とは全く別の方法をもって人類を救済しようと考えた者達がいた事を思い出した。
人類の救済、と言えば聞こえは良いがその本質は地球上の全ての生命体をたった一体の個体へと還元し補完する言う計画であった・・・本人達の意志に関わりなく。

(もし彼等と同じ、又は似た考えを持つ者がいたとしたら・・・不味い事になりますね・・・。)

あの計画はもはや実行する事は不可能である。
しかし、太陽系は未だ多くの謎に包まれている。
まだ自分が知り得ない"何か"が残っていたとしても不思議ではない。
そしてもしその"何か"があの計画に匹敵する事態を引き起こす力を秘めているとしたら・・・。
と、そこまで考えたところで彼の思考を遮る様に唐突に声が掛けられた。

「ご主人様、セニア王女から通信ですよ。」
「・・・。」
「ご主人様?」
「ああ、すいません、繋いで下さい。」

ピッ、と言う電子音に続いてコクピットのモニタにセニアの顔が表示される。
その顔は何処か不安そうな雰囲気が漂う。
シュウはそんなセニアを訝しく思いながらも声を掛けてみる。

「どうしました?」
『あ、うん・・あのね。』
「何です?」
『ゲート・・・抜けるのにこんなに時間かかったかなと思って・・・。』
「チカ?何かおかしいところはありませんか?」
「計器は正常ですよー。特に問題は無いと思います。」
「ふむ・・・。」

そう言われれば確かに妙である事に気付く。
通常ならば自分達は既に地上にいるはずなのだ。
先程は思考に沈んでいた為に気付く事は無かったが彼の念動力者としての勘が何かを伝える。
はっきり言って壮絶に嫌な予感がする。

「セニア、機体をグランゾンにもっと寄せて下さい。」
『分かったわ。』
「チカ、歪曲フィールドを展開してノルスとグランゾンの周りの空間を覆って下さい。
万が一の時はグランゾンの力で別のゲートを開いて一度ラ・ギアスへシフトしますよ。」
「わっかりました〜。」

(まさか既に地上は・・・!?)

地上が消滅している可能性は無い。もしそうならばラ・ギアスも消滅しているはずである。
だからと言って地上が自分の知っている状態であるとも限らない。
あの計画が実行されたらそうなると考えられた様に既に地上が何らかの変質を遂げていると考えられる。
そして今その可能性は非常に大きいものだと考えられなくも無い。

『クリストフ・・・私達、大丈夫・・・だよね?』
「何とも言えませんが、何とかするしかないでしょう。」
『うん・・・。』

先程より一層不安気に問いかけてくるセニアに対してシュウは苦々しく返した。
グランゾンは元から異空間での戦闘も想定して開発された機体だがノルスは違う。
自分とグランゾンだけならどうにでもなるがセニアを守りながらでは苦しいかもしれない。

「大丈夫ですよ。私が何とかしてみますから。」
『うん、信じてるから・・・。』

気休めである事は聡いセニアは気付いていよう。
しかし、それでも何も言わないよりはマシだと笑いながら告げる。
その言葉に多少は安心したのかセニアも微笑んで見せる。
まぁ、空元気には違いないが・・・。

「ごっ、ご主人様!!!」
「どうしました?」
「ひ、光が!!」
「っ・・・・!?」

それまで計器を見守っていたチカが悲鳴を上げる。
グランゾンとノルスを包み込む様に光の粒子が集まり始めた。
明らかにゲートの放つ光とは異なる光が歪曲フィールドをも抜けて集まってくる。

『クリストフッ!!!???』
「くっ、グランゾンでゲートを開きます!!座標は何処でもかまいません、ラ・ギアスへシフトします!!」
「だ、だめです!!機体の制御がっ・・・!!!!ご主人様〜〜〜〜!!!!」

(馬鹿な・・・グランゾンの制御がこうも簡単に不能になる等・・・。)

異空間戦闘すら可能なグランゾンが制御不能と言う事態に驚愕するシュウ。
耳にはセニアやチカの恐怖に彩られた声が入ってくる。

『なっ、何よこれっ!!!???』
「ご主人様さっきの光が機体の中まできてますよ!!!」
「どうにもなりませんか・・・。」
「そっ、そんな〜〜〜〜(泣)!!!」
『嫌ああぁぁぁっっっ!!!!!』

そんなやり取りをする間にも光はコクピット内を満たしていく。
ノルス内部も同じ様でセニアと通信していたモニタはとっくにホワイトアウトしている。
そして光がコクピット全てに満ちた時、彼等の意識は沈んでいった。
次に彼等が何処で目覚めるのか、そもそも目覚める事があるのか。
それは三人の中には誰も分かる者はいなかった。








<後書き>
全然ナデシコじゃねぇ(笑)!!
つーか魔装機神やんこれ(爆)!!!

ルリ「作者ってバカ?」
アキト「ルリちゃん、セニアさんも言ってたけど思ってても言っちゃいけないよ?」

そうそう、あんまり作者を罵倒すると後が恐いよ〜。
私はこれでもアキト×ルリ信者なんだけどねぇ。
でもシラカワ博士以上に捻くれ者でね。
あんま調子の乗ってるとムネ茸×ルリとかにしちゃうよ(邪笑)?

アキト「ルリちゃん大丈夫か!?」

ふふん、あまりのショックで凍ってしまった様だねぇ。
ちなみにアキト君?
思 っ て て も って何かなぁ〜?

アキト「あっ、いやっ、言葉のあやみたいなもんで(滝汗)。」

うんうん、人間誰だって間違いはあるのよね。
次からは気をつけてよ〜?

アキト「はっ、はい・・!」

素直が一番さ!!
私はアキト君も大好きだけど同じくらいにガイや会長や副長にハーリーも好きでねぇ。
一時は彼等が主役の話にしようかとも考えてたんだよね〜。
アカツキが逆行してネルガル大繁盛!戦闘でも一番槍!なんて考えてたしね。
ほら、彼等ってあんまり活躍しないじゃない?
他の作者殿みたいにボコボコにしちゃうのも可哀想だし何とか活躍させたいと思うわけさ。
そこでいつも大活躍のアキト君やルリちゃんには降板してもらって・・・ねぇ?
あ、アキト君も固まってるわ(笑)。

魔装機神側の設定はアルファシリーズを使ってます。
時間としては第二次アルファが終わった後くらいかな?
ラ・ギアスではEXで起った事件も終了してます。
特別ゲストでブライトさんや甲児の名前も出てるけど名前だけです(笑)。
多分だけどね・・・ふっ。

と言う事で次回はやっとナデシコのキャラも登場します。
あ、それとこの話ってシュウ×セニアだったり(多分)。
まぁ、他のキャラも絡ませたいけどシュウってあんなキャラだから難しいんだよね〜。
と今はそんな事を試行錯誤してます(苦笑)。
アキト君を誰とくっつけるかはまだ未定、一応最有力候補はルリちゃんだけどね。
上記の男性キャラも活躍させるつもりですので応援宜しくお願いしますね♪
密かにムネタケも活躍するかも、って結構彼って他のSSでも活躍してるけど。

ではまた次回〜。

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

でっかいミミクソ・・・・懐かしいネタだなぁ(笑)。

「第四次」ももう下手すると10年前だもんな〜。

 

それはともかくセリフや地の文で”(笑)”などを使うのはよろしくありませんねー。

読んでて嫌な気分になります。

作者がナレーションなどをしてしまうのもあまりいい傾向とはいえませんのでお気をつけを。