【神々の干渉】




プロローグ




 「アキトさん、いいかげんに帰ってきてください!

  ・・・ユリカさんがもうすぐ目を覚まします。

  アキトさんが会わないで誰が会うんですか!!!」


 「ルリ、何度も同じ事を言わせるな!

  君の知っているテンカワアキトは死んだ!!

  今、この場に居るのはかつて復讐鬼と言われた亡霊だ。

  亡霊は表の世界で生きる事はできない。

  生きていけるとしたら裏の世界だけだ!!!」


  広大な宇宙をバックに純白の二隻の戦艦が今日も逃走劇を繰り広げている。


  その戦艦は現在一隻の戦艦を追う宇宙軍最強軍士官≪電子の妖精≫ことホシノルリを率いるナデシコC。


  また現在この宇宙でもっとも凶悪なテロリストとして軍で名高いテンカワアキトを率いるユーチャリス。





 「アキトさん、今日こそ帰ってきてもらいます。

  オモイカネ、アキトさんが次に行う行動は?」


 「・・・ルリ、ボソンジャンプで逃亡する確率は96.41%

  ほぼ間違いないね。どうする?」


 「また逃げるんですかアキトさん。

  今日という今日はそうは行きません。

  ハーリー君。」


  そう言うと黒髪の気弱そうな少年を呼ぶ。


 「なんですか、艦長?」


 「今から私はエステバリスでユーチャリスに行きます。

  艦の指揮よろしく。」


  その言葉に驚きを隠せないハーリー


 「艦長が行くんですか?危険ですよ」


  ルリを心配するハーリー・・・しかし


 「大丈夫ですよ。アキトさんが私を攻撃するわけありません。

  それからエステバリス隊に弾幕を張るよう指示して下さい。

  その間に私が出ます。」


  そう言うと颯爽とブリッジを後にするルリ

  その後姿を涙を流しながら見送るハーリー


  ハーリーは知らない。その後姿が

  ルリの最後の姿とは・・・




 「ラピス、ジャンプの用意だ。」


 「アキト、イイノ?カノジョタチハアキトヲヒツヨウトシテルケド」


  まだ子供にしか見えない少女、ラピスがアキトに質問する。


 「いいんだよラピス、さっきも言っただろ?

  俺はこの手で数千万人の命を奪ったテロリストだ。

  この手は血に塗れている…今更戻れん。」


  そう言っているアキトの顔はとても辛そうだった。


  私ではアキトを救うことができない。


  だから今、私に出来る事はアキトの望みを叶える事だけだ。


 「ワカッタ、アキト。ダッシュジャンプノジュンビ」

  ・・・・・・・・・
  ・・・・・・・
  ・・・・・・
  ・・・・・
  ・・・・
  ・・・
  ・・
  ・
  

 「アキト、ジャンプフィールドテンカイ」


 「わかった、ラピス」


  そう言うと行き先をイメージする。


  ルリちゃん、すまん。

  と胸の中で謝りながらジャンプしようとする。

  しかし予想外のアクシデントがアキトを襲う。


 「逃がしませんよ、アキトさん。」



  ガシャヤヤヤヤヤヤヤッン



  突然の振動がユーチャリスを襲う。


  そうルリがユーチャリスに捕獲用のアンカーを打ち込んだのだ。


 「そんな馬鹿な!!!」


  ルリがエステバリスに乗っていたことには気がついていた。

  そのうえで、自分の戦艦とルリのエステバリスとの距離を考え

  ジャンプをしようとしてたのだがアンカーを打ち込まれたのだ。


  何故・・・


 「セイヤさんに作っておいてもらったんです。

  こんな事もあろうかとって・・・。」


  案の定、ルリから通信で説明がある。


  そう、ルリはアンカーの長さをセイヤの改造で通常の五倍強にしてもらったのだ。

  しかし事態は俺の予想を遥かに上回っていた。


 「アキト、ジャンプフィールドガボウソウシテル。

  コノママジャランダムジャンプニナッチャウヨ!!」  


  ラピスが動揺した声で俺に報告する。


 「ランダムジャンプだと。」


  ランダムジャンプ・・・本来、ジャンプとはジャンパーのイメージを遺跡に伝え、

             行き先に跳ぶことである。

             しかし、イメージをしない状態でジャンプすると、

             どこに跳ぶのか分からない。

             文字通りランダムなジャンプになり

             無事にジャンプできる可能性は限りなく低いジャンプである。


  すぐにアキトはルリにコミュニケを開く。


 「ルリ、今の衝撃でランダムジャンプになった。

   すぐにアンカーを切断しろ!!」


 切羽詰った声で言う。


  しかしルリは顔を伏せ、返事がない。


 「ルリ?」


 「・・・嫌です。」


 「へ?」


 「嫌です、絶対嫌です。死んだって離しません。」


 「馬鹿、何を言っているのか分かってるのか?」


 「そうです、馬鹿です、大馬鹿者です。

  だから私はあなたを離しません。

  もうたくさんです、大切な人を失うのは・・・。

  もう離れたくないんです。」


  そう言ったルリの黄金の瞳は涙で溢れていた。


 「アキトモウダメ、ジャンプスルヨ。」


  もうだめか・・・


 「くっ、すまないルリちゃん、ラピス。」


  その一言を最後にアキトとラピスを乗せたユーチャリスと

  ルリを乗せたエステバリスはこの宇宙から跡形もなく消えた。


  跡形もなく・・・




  あとがき


  始めまして、ユピテルと申します。

  小説を書くのはこれが始めてなのですが

  いや〜、難しいですね。いや、マジで・・・。

  それから別人28号さん、E.Tさん、さとやしさん

  kitaさん、U悠G適さん、赤目の四十八滝さん

  takaさん、鋼の城さん、encyclopediaさん

  第四の男(日和見)さん。

  アドバイス、どうもありがとうございました。

  これからもよろしくお願いします。

  次回は一味違うと思いますので

  期待しないで待ってください。

 

 

 

代理人の感想

 

つーても感想の書きようがないな、この時点では(苦笑)

事実上状況説明と「アキトとラピスとルリがランダムジャンプして帰ってこない」

という前振りだけですからね。

まあ、逆行物や異世界ものではおなじみのプロローグなんで

「どういう世界(或いは時間)に飛ばされるか?」というのを楽しみにしつつ本編をお待ちしましょうか(笑)。