―――――それはいつもの日常だと思っていた。いつもどうりに美神さんの事務所に行き、いつもどうり美神さんが悪霊をしばき倒し(仕事がない日もたまにあったが)、いつもどうりに美神さんの事務所でだべる。時々メシを恵んでもらう。そんな日常が終わる日が来るなんて、俺、横島忠夫は思いもしなかった。疑いもしなかったんだ―――――









GS横島 ナデシコ大作戦!!

第一話「夕日」













東京都内のとある廃ビル。



「いい、もういちど確認するわよ?今回の依頼はこのビルにとり憑いている悪霊を祓うこと。悪霊の強さは中の上。はっきり言って楽勝レベルだけど、かなりすばしっこいから念のため挟み撃ちするのよ」



この集団のリーダーらしき女性が「仕事」について説明している。かなりの美人でなかなかのナイスバディだ。こう見えても一流のゴーストスイーパーである(注1)。



「わかってるっスよ美神さん。美神さんとシロが悪霊を屋上に追い詰めて、屋上で待ち伏せしている俺とおキヌちゃんとタマモが迎え撃って、然る後全員でボコるんスよね?」



答えるのはこの集団唯一の男である額にバンダナを締めた青年である。いつもは締まらない顔も今は多少緊張しているようである。



(なんだか説明的な台詞だなぁ・・・)



仕事着である巫女服を着た少女が苦笑いする。



「そうよ。フッフッフッフ・・・!この程度の霊を祓うだけで八千万・・・!これよ!こーゆー仕事を待ってたのよ!いい!?くれぐれもポカミスなんかするんじゃないわよ!横島クン!」



「へーい」



「じゃ、シロ、私たちは待機ね」



「うー、拙者は横島先生と一緒がよかったでござるよー」



 なにやら古風な口調の少女が渋る。Tシャツと破れたジーンズというラフな格好だ。これこそ健康美の見本!って感じである。犬っぽい尻尾が生えているのが気になるが・・・



「無茶ゆーなって・・・」



「いーから来いッ!横島は私の丁稚で私はあんたの飼い主なのよ!?それにあんたも待つより追っかけるほうがいーでしょうが!」



「うー、わかったでござる・・・」



シロもしぶしぶ納得したようである。尻尾が垂れ下がっているが。



「んじゃ行こうか、おキヌちゃん、タマモ」



「頑張りましょうね、横島さん」



「さっさといきましょ」











  3人はだべりつつ屋上を目指す。現在2階。



「お、このイス使えそうだな。もってかえろっかなー」



「だ、だめですよ〜。泥棒ですよ、それ」



「あ、この棚もいいな」



「横島さんってば・・・」



三人に薄暗い廃墟が怖いとか悪霊がどこにいるか不安とかいうのは無いらしい。











現在四階。



「でもさー、いくら素早いっていってもわざわざ5人でボコる必要あるの?」



9本のポニーテールをたらしたパツキン少女のタマモが疑問を口にする。



「少ない労力で大きい実入りってトコだろうな。美神さんだから」



「そうね。美神さんだからね」



「ふ、2人とも・・・」



 平和である。











 その頃の美神とシロは、



「美神どの〜そろそろいくでござるよ〜」



「うっさい!まだ早いって言ってんでしょ。待つことが必要な事だってあるの。あんたそんぐらいの我慢も出来ないの?」



「でも先生たちが危険な目に会ってる可能性も有るのではござらんか?」



(あんたが心配なのは横島クンだけでしょ・・・)



それは概ね正しい。



「あ〜あ、優秀な猟犬は吠えもせずに何時間だってターゲットを監視する事だってできるのになー。あんたも犬みたいなもんなんだからそのぐらい出来なきゃダメでしょ?」



「拙者は狼でござるッ!」



 正確には人狼。ちなみにタマモは妖狐である。



「そーだっけ?」



こっちも概ね平和なようだ。











現在六階。



「あー腹減ったなー」



「油揚げ食べたいなー」



 横島に多少あった緊張感は既に無くなっていた。今は仕事後に食うメシのことに関心が行っているようだ。タマモが油揚げをほしがるのはいつものことである。



「でも金無いしなー買い置きのカップめんでも食うかなー」



「赤いきつね頂戴♪」



「おいおい、俺に死ねと言うのか?」



 見かねたおキヌが口を挟む。



「仕事が終わったら私が作りますよ」



「マジ!?ラッキー!さすがおキヌちゃんは優しいなー」



「油揚げもよ」



2人ははじめからおキヌちゃんがこう言ってくれるのを待っていたのかもしれない。











そんなこんなで屋上の扉の前。ちなみにこのビルは七階建てである。



「着いたか。んじゃ、待ち伏せの準備をば・・・」



 言いつつ鉄の扉を開ける。そこは―――――



―――ドクン。







赤い―――世界だった。







「わぁ、きれいな夕焼けですね」





 ―――――ちょっといい眺めでしょ?





 ―――ドクン。





「ほんと。夕焼けなんて見慣れともんだと思ってたけど」





 ―――昼と夜の一瞬の隙間・・・!短時間しか見れないから余計美しいのね。





 ―――ドクン。





「ねえ、もったいないけどそろそろ待ち伏せの準備したほうがいいんじゃない?」





 ―――――なんて名前なの?・・・人間の名前、ちゃんと聞いてなかったから・・・





―――ドクン。





「横島さん?」





 ―――――下っ端の魔族は惚れっぽいのよ。





―――ドクン。





「ちょっと、ヨコシマ!?」





 ―――――図体と知能のわりに精神がアンバランスなのね。





―――ドクン。



「!!まさか・・・横島さん・・・」





 ―――――・・・子どもと同じだわ。






 ―――ドクンドクン。





 ―――――破壊して!ヨコシマ!!





―――ドクンドクンドクンドクン。



 ―――――ありがとう。ヨコシ「横島クン!行ったわよ!」





「え!?・・・ああ!!」



 という間に背後から悪霊が迫る!



「おわぁあ!!」



とっさに回避。そして失敗に気付く。





「あーーーっ!!」



 この悪霊はすばやい分方向転換が苦手だったのか、勢い余って隣のビル(大手のスーパー)の壁に激突した。どうやら壁抜けは出来ないタイプらしい。



 一連の出来事に一瞬呆然とした美神だが、



「はっ!精霊石よ・・・!」



とっさに壁に張り付いた悪霊に精霊石(注2)を投げつけた。







グギャアアアァァァ・・・







 精霊石は見事、悪霊を消滅させた。が、それを喜ぶ奴は、少なくともこの屋上にはいなかった。



「はあ・・・精霊石使っちゃった・・・高いのに・・・大損・・・」



 他の面々はまだ呆然としている。ついでに隣のビルの壁も壊れていた。 



秋の夕方でも風は冷たかった・・・・・・











「こンの・・・バカ横島ぁーーー!!!」





 ボグッ!!





 その鈍い音に他の三人はビクッと縮まる。派手に吹っ飛ぶ横島。殴られたのだ。



「壊れた壁の修理費と精霊石代でこの仕事の依頼料なんか軽く吹っ飛ぶわよ!どーしてくれんのよ、えぇ!?」



「み・・・美神さん、もうそのぐらいで・・・」



「そ、そうでござるよ。先生も反省しているでござるし・・・」



 なんとか美神を宥めようとするおキヌとシロ。実に勇気ある行動といえよう。が、



「うるっさい!!」



 大損こいた美神に聞く耳などあるはずもない。



「あんたヘボいとはいえ、まがりなりにもプロでしょ!?特にこの仕事はいつも死の危険と隣りあわせなのよ!いつも気を張り詰めてろとはいわないけど締める時くらいはちゃんと締めたらどーなのよ!たいした怪我が無かったのは僥倖以外の何者でもないのよ!そこんとこ判ってんの!?」

 

 訂正。美神が怒っているのは損をしたことだけではない。たぶん。



「・・・・・・すんません・・・・・・」

 

 うなだれた横島がつぶやくように謝る。



(え?)



 タマモは横島の態度がいつもと少し違うような気がした。



(いつもなら必死にかんにんや―とか言って頭下げまくったり、おわびは体でーとか言って跳びかかってさらに殴られたりするのに)



 何気にひどいことを考えるタマモ。大体正しいがいくらなんでもこの場面でルパンダイブはしないだろう。たぶん。



(そういえば屋上に着いてから変だったかな・・・いつも変だけど)



 美神は怒りのあまりか、変な横島に気付かない。



「もういい!!続きは明日よ!あんたは歩いて帰んなさい!」



 返事も待たずに階段を下りていく美神。他の三人はまだ屋上に座り込んでいる横島と階段を交互に見やっていたが、



「さっさと来なさい!」



 階下からの怒声に、横島を気にしつつも美神に続いた。



 横島は、まだうなだれていた。











 美神たちがいなくなって数分、横島はほとんど沈みかけの夕日を見ていた。



「あ〜あ、美神さん怒っとるやろな〜。俺の給料にカットされる余地なんかもう無いのにな〜」



 誰に聞かせるでもなく喋る。あきらかに空元気である。事実、すぐに肩を落とす。



(短い間しか見れんから余計にきれい・・・か。名言やな・・・)



 また無言で夕日を見つめる。その顔はいつになくシリアスだ。いつもこの表情ならさぞかしモテるであろう。それぐらい男前である。



(もう吹っ切れたと思ったんやけどな・・・いや、思いたかっただけかもな。全然吹っ切れてねーじゃねーか・・・「悲しむのは止めにする」って宣言したのにな・・・こればっかりは文珠(注3)でもどうにもならんわな・・・)



 横島は誰にも、美神やおキヌにも、そして自分自身も気付かないうちに、以前の、”あの出来事”(注4)より前の横島を、さながら道化のように演じていたのかもしれない・・・



 横島は大きくため息をつき、柵がわりのフェンスにもたれかかった。そして胸に手を当ててつぶやく。



「ルシオラ・・・」



 横島は静かに目を閉じた。











 横島を除く美神一行は、美神の自動車で事務所に戻ろうとしていた。ちなみに自動車はコブラである。



 車内は重苦しい沈黙に満ちていたが、その雰囲気に耐えかねたのか、それとも怒りが静まったのか、美神が口を開く。



「そういえば横島クンって、あの時なんであんなにボケッとしてたの?」



(いくら横島クンでもあれぐらいは対処できると思うけど・・・)



 口に出さず思う。



「そういえば、あいつ急に様子が変になっちゃったのよね・・・屋上に着いた時だったけど・・・今思うと全然あいつらしくなかったな」



 と、タマモがコメントする。



「もしかして・・・先生は敵から精神攻撃を受けていたのではないでござるかッ!?こーしちゃおれんでござる!横島せんせーッ!今シロが行くでござるぅぅぅっ!」



「落ち着きなさいよバカ犬「オオカミでござるッ!」。ほんとにそうだったら私達が気付かないわけ無いし、ヨコシマも言い訳くらいするでしょ」



 今にも車から飛び降りようとするシロに冷静に突っ込みを入れるタマモ。



「た、確かにそうでござるが・・・」



「おキヌちゃんはどう思う?」



「・・・・・・」



 一緒に屋上にいたおキヌに意見を求めるが、考え事をしているのか反応が無い。



「おキヌ殿?」



「へ!?あっ、はい!なんですか?」



「横島クンが変なのに心当たりが無いかってさ」



「心当たり・・・」



「あるの?」



「ええ・・・たぶん・・・」



「何でござるかっ!?」



 シロが身を乗り出す。



「それは・・・」



「それは?」



 タマモも少しは気になるらしい。



「心奪われてたんだと・・・思います」



「心奪われてたぁ?」



 美神が怪訝な顔をする。



「はい。そ「誰でござるかーッ!!先生をたぶらかす毒婦め、拙者が成敗するでござるぁーーーッ!!」



「うっさいってのよバカ犬「オ・オ・カ・ミ・で・ご・ざ・るッ!」。誰もいなかった屋上でどこの誰に心奪われるってのよ?ちょっとはその足りない頭使いなさいよね」



「何にでござるか!?おキヌ殿!」



(それを言おうとしたんだけどな・・・)



 汗ジトになるおキヌ。が、気を取り直して言う。



「夕日・・・だと思います」



「!!夕日!?」



「「夕日?」」



 何でそんなモノに?と首をかしげるシロとタマモ。



 美神は驚きと納得が交じり合った複雑な顔をしている。それにタマモが気付く。



「美神さんは心当たり有るの?」



「ん〜まあね・・・」



「それは何でござるか?教えてほしいでござる」



 先生(横島)のことが知りたいのか、説明を求めるシロ。だが美神もおキヌもどうも歯切れが悪い。



「そんなに軽々しく話すことじゃないと思うし・・・」



「そうよねぇ・・・聞いても面白いもんじゃないと思うしね」



「そう言わずに〜!知りたいでござる〜!」



 美神とおキヌと騒ぐシロを見て、今度はタマモが物思いにふける。



(あの三人には私やシロが知らない思い出がいっぱい有るんだろうな・・・)



 夜空に響くシロの遠吠えを聞きつつ、タマモはほんの少しだけ、寂しさを感じた。













 ―――――ヨコシマ・・・



(ん・・・?)



 ―――――ヨコシマ・・・



(誰だ・・・?)



 ―――――起きて、ヨコシマ・・・



(ルシオラ・・・?)







 頬に風を感じる・・・



「・・・・・・へ?」



 うっすらとまぶたを開く。夕日はとっくに沈み、辺りはすっかり暗かった。



「あ・・・俺寝てたのか」



 どうやらフェンスにもたれかかったまま寝入ってしまったらしい。



「はぁ・・・」



 横島はそのままの姿勢でため息をつく。明日美神にどんな顔して会おう、とか、“あの出来事”のことを全然吹っ切ってないことを自覚したりで(特に後者)、少々アンニュイな気分だった。



 そのとき、





 ミシッ





「?」



 何かが軋む音がした。



 この屋上のフェンスは、建設当時から今まで風、台風、酸性雨などにさらされつづけ、根元はすっかりボロボロだった。



 そこに長時間体重をかけていると、





 バキバキッ!





 根元が折れてもおかしくは無い。



「う、うわ!?」



(やばい!堪え切れん!)



 何とか屋上に踏みとどまろうとした横島だが、フェンスに全体重を預けていた体勢だったので、無駄な抵抗だった。

       

(こーなったら文珠しかないか・・・!)



 横島はとっさに文珠のストックの中から二つ取り出したとき、ついに屋上から落下した。



 横島は急いで二つの文珠に念をこめる。



 すると一瞬で文珠に文字が現れる。





『転』『移』





 文珠を発動させて横島が消えたとき、地面からわずか30cmの距離だった。



 屋上からの落下から地面への激突までの間に文珠に念をこめ、発動させ、そして転移に成功したことは賞賛に値する機転と反応である。



 だが、明確なイメージをこめずに転移したため、ナデシコSSによくある、「ランダムジャンプ」と同様の現象が起きてしまっていたのだ!



 もちろん転移する以外にも助かる方法はあった(というか横島なら普通に落下しても怪我するだけで終わる可能性のほうが大きい)。



 実際、以前横島はビルより高い所から落下したことがあり、『軟』の文珠で地面を軟らかくして無傷で地面に着地したことがあった。



 しかし横島も人間。落下の恐怖からとっさに『転』『移』の文珠を使ってしまったことを誰が馬鹿に出来ようか。だからといってそれは横島にとって何の慰めにもならないだろうが。



 そうして横島は、彼にとっての「現代」から消滅した。











 美神除霊事務所。美神はおキヌと2人で書類整理をしていた。



(!横島クン!?)



 美神の心に突然大きな喪失感がよぎる。その時になぜか横島の顔を思い浮かべてしまっていた。なにやらたまらなくいやな予感がする。



「美神さん、どうかしたんですか?」



 おキヌが声を掛けてくる。横島のことを考えていた美神はなぜか焦った。



「べ、別になんでもないわよ?」



 何でもないとは思えないくらいどもった。



「横島さんのことでも考えてたんじゃないですか?何か気になる〜とか」



「そそそんなわけないじゃないの!わたわたしが横島クンのこと、ことなんて・・・」



「そうですか?」



 これ以上無いくらい怪しい。路上なら職質されてもおかしくない。だがおキヌはおキヌで、深い思考に陥っていたので、怪しすぎる美神にも気がつかなかった(普通気付くが)。



(う〜ん美神さんも横島さんについて何か感じたと思ったんだけどなぁ。)



 それは聞き方が悪い。



(でもどうして突然横島さんがいなくなる感じがしたんだろう。・・・あんな横島さん見ちゃったからかな・・・あの時の横島さん、何か本当に消えちゃいそうなくらい儚く感じたしな・・・やっぱりあのこと、忘れられないのかな・・・)



 一方、美神は、



(らしくない・・・ほんとうにらしくないわ・・・くっそー横島め、あいつのせいよ!あンのドジバカマヌケ!も〜あんな態度じゃ「怪しんでください」って言ってるようなもんよ・・・)



 実はそうでもない。



(それにしてもあいつ・・・もう吹っ切れたもんだと思ってたけどね・・・あの後もアイツ、いつもどうりにバカだったし)



 心の中で首をかしげる。



(・・・・・・まさかあいつ、あの時から”いつもの横島クン”を演じてたんじゃないでしょうね!?)



 美神は自分の中にいやな予感が暗雲のように湧き出てくるのを感じた。だがそれを無理やり無視する。



(まさかアイツに限ってそれは無いか。とにかく明日よ。明日になりゃあいつも来るし。その時になりゃ判るでしょ)



 しかし美神は、自分の「カン」や「予感」がよく当たる事を忘れていた。あるいは、気付かないフリをしていたのかもしれない。











 その日横島の知り合いの何人かは、美神、おキヌらと同様の喪失感を覚えたという。











(う・・・)



 横島は閉じた目を開いた。薄汚れた壁とポリバケツが目に入る。どうやらどこかの路地裏らしい。自分でもどこに転移したかわからなかったのだが、どうやらここは文明社会らしい。



「た・・・たすかった〜」



 大きく安堵のため息をつき、よっとかけ声を掛けつつ立ち上がる。特に痛む箇所は無い。



「とりあえずここがどこか調べないとな」



 路地裏から出る。すると文字が浮いていた。どうやら道案内のようだ。



「え・・・?文字が浮いてる・・・?」



 何の変哲も無い(?)都会、ざわめき歩く日本人(たぶん)。見覚えの無い看板や店の売り物もあるが、横島は浮き文字(仮)に見入っていた。



 浮き文字や看板を見る限りここは日本らしい。



「もしかしてこれって立体映像?」



 その考えに思い至ると、この場所に興味が湧いてきた。横島はとりあえず街の見物を始めた。











 しばらく歩いているとなにやらくすくす笑う声が聞こえる。笑い声のほうを向くと、自分を笑っているようだ。



(笑われとんのは俺か?)



 それはここを歩く人にとっては当然といえる。浮き文字を見つけるたびにおお〜とかすげ〜とか言っていてるのは横島だけである。おのぼりさんと見られても仕方が無い。



(街の様子をめずらしがっとるのは俺だけか。浮き文字はあって当然ということか・・・こんなもん東京にも無かったぞ・・・?この地方特有のもんか?)



 考えつつ歩く。考えた所で答えなど見つかるはずも無かった。人に場所を尋ねようと思ったら、本屋が目に入った。



「本屋か・・・」



 なんとなく入り、なんとなく新刊の棚を見た。すると、



(こ、こ○亀970巻!?)



 驚愕する横島。ものすごい阿呆面だが、仕方の無いことである。あまりマンガは買わない(金が無い)横島だが、この長寿派出所マンガは知っていた。



(今こ○亀って110巻そこそこじゃなかったっけ・・・?)



 900巻以上では断じてない。



(今って1999年だったよな?)



 誰に聞いているのか。



(作者が違うぞ・・・)



 あやしい。だが横島の脳裏に本の奥付を見れば良いという考えが湧いた。心のどこかで「買うな!」という声がしたような気がしたが、無視する。



「420円になりまーす」



 買った。



 余談だが、横島から代金を受け取った店員は受け取ったお金を着服した。



 横島の持っていたお金はこの時代では珍しかったからだ。



「奥付・・・奥付・・・」



 本をめくる。



「・・・・・・・・・」



 目をこする。



「・・・・・・・・・」



 目を閉じる。見間違い見間違いと自分に言い聞かせる。



「・・・・・・・・・」



 やはり書いてあることは同じ。ああ神様。小竜姫様。



「に・・・に・・・」



 人目が多いことなど気にならない。



「2195年!!!」





 



 







 続く。

















 イネス先生の、なぜなにナデシコ出張版





 3!2!1!どっか〜ん!なぜなにナデシコ!



「よい子の皆さんこんにちは。才色兼備な説明お姉さん(自分で言うなよ)イネス・フレサンジュです。ここでは主に「GS横島ナデシコ大作戦!!」の専門用語・ギモン等を、判り易く、かつコンパクトに説明するわ。本編の出番は結構先になるだろうから、これくらいはいいわよね?」





Q1:注1のゴーストスイーパーって?

 ゴーストスイーパー(略してGS)とは、依頼人から依頼を受けて悪霊、妖怪、魔族等を祓う霊能力者のことよ。依頼料は安くて数十万円、高ければ数億円ね。ぼったくりって言う人もいるけど、死と隣り合わせの危険な仕事に、除霊を行う際の霊能道具(破魔札、見鬼くんなど)も安くないから妥当な値段だと思うわ。

 

 まあ、GSとしては知名度の高い美神令子が依頼人の足元を見て報酬を吊り上げることも珍しくないがめつい性格だから、ぼったくりってイメージがあるのも仕方ないかもしれないけど「一流のGSはギャラも一流なのよ!」・・・あら?どこかのギャルソンみたいな台詞が聞こえたような?







Q2:注2の精霊石って?

 精霊石とは、どんな霊、妖怪、悪魔にも大きなダメージを与えるGSの切り札的アイテムよ。他にも土地を清めたり、人狼を人間の姿にとどめたりする万能っぷりよ。でもとても高価で、三億円以上はするみたいね。美神令子はイヤリングやネックレスとかにして常に3個以上身につけてるわ。



「GS美神」の本編では敵が強すぎて目眩まし程度の役にしか立たなかったことがほとんどだったけど、本当ならそんなことは稀よ。



 横島君は精霊石は一個も持ってないわ。買うお金が無いし最近は文珠があるしね・・・







Q3:注3の文珠って?

 文珠(もんじゅと読む)とは、霊力を球形に凝縮させ、一定のキーワードを込めて解凍する能力よ。詳しく説明すると、

@手のひらに霊力を集め、凝縮させる。そうする事によって、そのままでは何の効果も無い“素”の文珠が生まれる。



A素の文珠に任意のイメージを込める。すると素の文珠に漢字が一文字現れる。



Bその文珠を発動させる。発動のさせ方は用途によって違うが、例として、投げる、掲げる、飲み込むなどがある。



 つまりは、莫大な霊気のカタマリを、ある一定の方向性を持たせることによって幅広く活用させようってことね。



 例えば、たくさんいる敵を爆発でまとめてふっ飛ばしたいっていうイメージを込めると、文珠に『爆』って文字が浮かんでくるの。それを投げつけると、大爆発が起こるって寸法ね。



 他の使い方として、「文珠の複数個同時使用」ってのがあるわ。これはぶっちゃけて言うと、複数の文珠を同時に使ってより大きな効果を得るというものなの。例えば『盾』の文珠は敵の攻撃をはじくシールドを作り出す効果だけど、『大』の文珠を加えることで『大』『盾』となってさらに大きく強力なシールドを作ることができるってことね。



 でも、使用する文珠を三つ、四つと個数を増やすごとに制御が飛躍的に難しくなって、超人的な霊力、集中力が必要になってくるの。今の横島君じゃ普通に使えるのは二個が限度。三つ同時使用の成功率は30%程度ね。「GS美神」本編でも文珠を三個以上同時に使ったことは滅多になかったわね。



 ・・・とまあこのように、文珠は精霊石とは段違いの威力、汎用性を持つのに自分の霊力が元手だからタダ。文字を入れることで様々な効果が得られ、複数同時使用もあるからバリエーションはほぼ無限。しかも今のところ文珠を作ることができるのは横島君だけ。作り出すのに莫大な霊力が必要だから基本的に一日一個が限度、何も無い状況じゃ、文珠の作成、イメージ、発動と三つのステップを踏まねばならないから、素早い敵とのタイマンのときは使いにくいっていう欠点も有るけど、そんなの問題にならないくらい有効かつ反則的能力よ。



 



Q4:注4の「あの出来事」って?

 ん〜これはまだ説明できないわね。横島君に大きな影響を与えた忘れられない事件・・・としか言えないわね。後々本編で語られるかもしれないけど、語られたとしても横島君の口からの説明だから断片的になる可能性は大よ。どうしても知りたいって人は「GS美神極楽大作戦!!」の29〜35巻を読んでね。









Q5:これって本当にナデシコSSなの?

 もちろんよ!











あとがき

 みなさんこんにちは。K−999です。Actionには初投稿。未熟な点は多いですが今後とも宜しく。



 それから、このSSの登場キャラはモトネタと大きく性格が違うとおっしゃられる人もいると思います。そんなキャラは、「同姓同名のオリキャラ」として見て頂ければと。



 あ、一応最終回は考えてあります。予定は未定ですが。






 

代理人の感想

いまだに美神SS、多いですねぇ。

エヴァやナデシコと同じで結末やらカップリングやらに納得いってない人が多いからなんでしょうねぇ。(爆)

 

 

まぁそれはさておいて。

 

 

導入としてはいい感じだと思います。

一つの話としてまとまっているし、ヒキもちゃんとしてます。

作品に対する説明も過不足なく綺麗にまとめてあると思いました。

 

まぁ細かいことを言えば200年後なのにジャンプコミックスの単行本がまだ420円なのかとか、

秋本治先生じゃなけりゃ誰がこち亀書いてるんだとか、色々ありますが

これはどっちかというとギャグのレベルなので置いときましょうw

(ひょっとして歌舞伎役者みたいに「○代目秋本治」とか襲名してるんでしょうか(爆))