『瓜畑秘密研究所 ナデシコ支部』


「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」


 そのドアは異彩を放っていた。・・・否、ドア自体は他の部屋のものと何ら変わりは無い。だが、ドアに張られた怪しげなプレート、そして何より、部屋の中から妄執、または瘴気、と言うか欲望・・・そのようなものが滲み出ているような気がした。

 ・・・そう感じたのは霊能力者である横島だけではあるまい。なぜなら、周りにいるウリバタケ以外の面々・・・ユリカ、ルリ、モモもそう感じているようだから。


(何でこんな所に来る羽目になったんだろーか・・・)


 横島は溜息をつきつつ、今までの経緯を思い返していた。










 ブリッジ。


「データ、全部消さなきゃ駄目なんですか?」


「駄目だな。オモイカネは絶対服従のプログラムに書き換える」


「でも、オモイカネには今までの戦闘経験が・・・」


「そんなもの百害あって一利無し!なまじ戦闘経験があるから余計厄介なのよね〜」


「そんな・・・。大人は都合の無かったことを無理矢理無かったことにするんですか!?この子の全てを消してまで・・・!!」


 その言葉に、調査団の何人かといつのまにか復帰していたジュン(ただしここ数時間の記憶は無いようだ)は目をそらす。だがムネタケはむしろ冷笑を浮かべ、


「ハン・・・!だから?今回はたまたま死人は出なかったけど、これからの戦闘で連合軍に死人が出ないって保証でもあるの?脱出装置やパイロットに直撃するかもしれないのにねぇ?一応訊いておくけど、死人が出た場合、その遺族の前で同じ台詞が言えるのかしらね?たかが欠陥AIを再インストールするのに躊躇したせいで家族が死ぬことになった遺族の前で!」


「・・・・・・っ!」


 ルリは悔しげに言葉を飲み込む。確かにムネタケの言うことは正論と感じたからだ。だからと言ってこのままオモイカネが消されることは容認できないが・・・。


「・・・・・・」


 モモはいつもと変わらない顔で、隣のルリとおろおろするユリカを見た。





 食堂。


 横島が料理を作っている所に訪問者があった。


「あのー。横島さん、ちょっと良いですか?」


「あれ?艦長・・・とモモとルリちゃんとウリバタケさん?なんか珍しい組み合わせっスね」


「はい・・・。実は、横島さんにお願いがあってきたんです」


「え・・・?」


 横島はいつになく厳しい顔をしたルリに、怪訝な顔を返した。





 〜中略〜





「・・・ってことがありまして。オモイカネを助けるためにも横島さんに協力を仰ぎたいんですよ」


「・・・・・・・・・」


 ユリカの説明を聞いていた横島だが、ぽつりと漏らす。


「・・・確かに俺もオモイカネを助けるのに協力するのには吝かじゃないんスけど・・・」


「けど?」


「何で俺なんスか?」


「え!?」


 ユリカは横島がこのように返すとは予想してなかったらしい。


「何でって言われても、横島さんなら何とかしてくれそうだな〜って・・・」


「別に俺じゃ無くても、専門家とか、そうでなくてもアカツキとかでも・・・」


「それじゃ駄目なんです。専門家を探すヒマは有りませんし、アカツキさんはどちらかと言うと初期化肯定派です。他のパイロットの皆さんだってどれだけ真剣になってくれるか・・・」


(まー戦闘でダイレクトに迷惑こうむるからなー)


「横島さんも、オモイカネなんかどうでも良いって言うんですか・・・?」


「いや、そうは思わない」


(俺だってマリアに「あんた誰?」って言われたら結構くると思うし・・・)


 腕を組んで天井を見上げ、むーーーと唸るが、


「了解。やりましょう!」


「あ、ありがとうございます!」


「それではさっそくレッツゴー!」


 ユリカはこうなることが解っていたかのようにずんずん歩き出そうとするが、


「って艦長、どこに?」


「オモイカネにアクセスできる端末があるところですよ。制御室が占領されてますからね。ウリバタケさんに心当たりがあるみたいです」


「ああ、それで・・・」


 ウリバタケがいるわけね。





 そういうわけで手伝うことになった横島だが、


「・・・忠夫、どうしたの?気が乗らないの?」


 横島は、確かにいつもと微妙に表情が違う。


「いやー最近おれって、結構曖昧な理由でいろんなこと頼まれるけどさー。本当はそんなキャラじゃないような気がするんだよなぁ。

 俺って向こうじゃ前線に立つことなんか少なかったし。むしろ主な役割は応援と荷物持ち?」


「お前が?」


 ウリバタケが意外そうな顔をした。ナデシコでの様子しか知らなければ無理は無い。


「ふーん。向こうの人はもったいないことするんですねー」


「俺はそっちのほうが性にあっとるけどなー」


「・・・・・・・・・」


 モモにはそんな姿は想像つかないようだった。



 そして、ウリバタケの部屋の前についた。





 ―――――――――――





「臭うな・・・」←横島


「臭いですね・・・」←ルリ


「・・・・・・」←モモ


「臭いますね・・・」←ユリカ


「じきに慣れる!!」


 四者四様の遠まわしの非難を一蹴するウリバタケ。


(慣れたくねーよ・・・)


「男の人って皆こう?」


「・・・・・・」


「しょうがないだろ?ブリッジでんな目立つことは出来ねーし、制御室は占拠中だし・・・。

 あっと!そこのフィギュア踏むなよ!」


「・・・・・・・・」


「なんだよ横島その顔は!?お前も男だったらこういう事にちっとは興味あるだろ?」


「無いとは言わんけど・・・やっぱ二次元より三次元のほうがいい・・・」


「かっ!いまどき珍しい嗜好だな?」(←注・あくまでもウリバタケの偏った意見です)


 ウリバタケはやれやれと肩をすくめた。


「よっと・・・ここだ。こっからならオモイカネにアクセスできる」


「・・・すごいんですけど、いつの間にこんなものを・・・」


 ユリカは呆れ半分だ。


「プロスの旦那には内緒な」


 そのおかげで今回は何とか出来そうなんだし、ユリカもわざわざチクッたりしないだろう。


「さて!! それでは行こうか横島エステ!!」


「バーチャルルームみたいなもの?」


「原理は同じだ」

 
「私、バックアップします」


「わたしも」


「モモまで?」


「邪魔はしないから」


「(むぅ・・・モモって結構頑固なんだよな・・・でも何故か断り難いのは人徳か・・・?)・・・・・・ま、いいか」

 
「OK!! 宜しく頼むぜルリルリ・アーンド・モモ!!」


 ルリとモモもオモイカネ進入の準備をはじめ、


「準備完了です」


「わたしも」

 
「よっしゃ!では電脳世界にゴゥ!!」





 ヴン・・・・・・・!





 横島は、バーチャルルームの時と同様の独特の感覚を感じ、恐る恐る目を開けた。


「は〜・・・」


 あの時とは異なり、いかにも、と言う感じの電脳世界。ただし、たくさんの本棚が存在する不思議空間だった。


「何で本棚?」


『そこはMITの図書館を参考に作ってあるからな』


 目の前にウリバタケの通信ウインドウが現れる。


「へ〜」


『横島さん!その格好可愛いですよ!』


「へ?俺の格好・・・って俺の格好!?」


 それはエステバリスの頭が横島の頭に挿げ替えられているデザインだった。


「でも、似合ってる」


「同感です」


 横島の右肩にモモ、左肩にルリが現れた。UFOキャッチャーの人形サイズだ。客観的に見ても、超絶可愛い。


「なななな・・・!?」


「この大きさでも道案内するのに支障ありませんから」


「見学だけだから」


「いやそうじゃなくて」


『うわーっ!ルリちゃんとモモちゃん可愛い!!』


『な、な、今の二人、フィギュアにしていいか!?利潤の20%は譲るから!』


 売るんかい。


「「嫌(です)」」


 そっけないその返事に、ガーーーンという擬音が聞こえてきそうなほど絶望的な顔をするウリバタケ。


『ぐ・・・!!そ、そんな酷なことはないでしょう・・・』


「おばさんくさい真似をしても駄目」


「モモ、おばさんくさいって何の話ですか?」


「内緒」


 そんな会話を聞きつつ、


「・・・・・・・・・・・・不安やなー」


 と、横島は一人漏らしていた・・・。










 そんなこんなでオモイカネの自意識部分に向かう三人(?)。


 調査隊に見つかりそうになったりしたものの、ルリの的確な指示で回避する。オモイカネの妨害も予想できたが、今はまだ無い。


 そんな中、横島はルリの指示に従いつつも、思考は深く沈んでいた。


(はぁ。俺的には明乃ちゃんとの仲を一刻も早く修復したいんだけど・・・。謝るだけじゃたぶん無理・・・。ううむ・・・)


 溜息。


「どうしたの?ため息ついて」


「いや、何でもないぞ」





 モモに返事を返した、その時だった。





「ホントにしけた顔ねー。女の子に心配かけたらだめじゃないの」





「「!!」」


 ルリとモモは珍しく驚きの表情を露にした。それも当然か。前方に人影が立っていたのに、声をかけられるまで気がつかなかったのだから。


「そんな・・・あり得ない。何の前触れも気配もなしに・・・。さっきまで何も無かったのに・・・!」


 バーチャルな空間で気配と言うのもおかしな話だが、ルリがそう言うのならそうなのであろう。


 だが、横島の驚愕の度合いは、二人のそれをはるかに超えていた。


「お、お、お、お、おま、お前は・・・!?」


「やあね。私の顔、見忘れたの?」


 目の前に立つ女性が言葉を紡ぐ。いまだ色褪せることの無い、その声・・・!





「ル・・・・・・ルシオラ・・・・・・?」


「良かった。もしかしたら忘れられてるんじゃないかと思ったわ。

 お久しぶりヨコシマ。こうやって話すのは本当に久しぶりね!」


 女性・・・ルシオラは、にっこりと微笑んだ・・・。





「「『『・・・・・・・・・・・・』』」」


 他の面々は、あっけに取られるしかなかったわけで。





 ――――――――――





「な、なん・・・で?本当にお前なのか?」


 横島は嬉しさ6.5割、驚き3割と言う状態ながらも何とか言葉を紡ぎだすが、それに水を差すようにルリは押し止めた。


「多分横島さんの知っている人とは違います。おそらくオモイカネでしょう」


「え・・・?」


「オモイカネの妨害です。横島さんのイメージする最強の敵、攻撃するには忍びないほど親しい人、そんな人を読み取って再現したようです。持っている能力も同等と見て良いでしょう」


 確かに、ルシオラは横島がいくら文珠を使おうとほとんど通じない程の実力を持ち、それ以上に、横島にとって攻撃することなど論外なほどの事情を持つ、対横島では最強の敵と言えるかもしれない。


「んな・・・!」


 眼前のルシオラは特に否定もせずニコニコ微笑んでいる。


「・・・・・・あの人を迂回できるルートは、たぶん無いよ」


 モモが辺りを見回しつつ言った。


『時間が無いから後戻りするのは自殺行為だぞ!』


「・・・!」


 横島がわずかに体を強張らせる。


『戦うんですか・・・?』


「戦う・・・?無理だよ。無理だって。俺にそんなことできるわけ無い!今からでも遅くない、リョーコちゃんとかイズミさんを・・・!」


「そんなことしてもその人に合わせた敵が登場するだけだと思いますけど」


「だって・・・ルシオラだぞ!?俺は、二度もルシオラを・・・!!」


 そこまで言って、はっと口を抑える。


「忠夫・・・・・・」


「横島さん・・・私はあの女性が横島さんの何なのかは知りません。私はとても残酷なことを言っているのかも知れません。でも、あの人は偽者なんですよ!?偽者のためにオモイカネを見捨てると!?」


「・・・・・・・・・でも、」


 でも、駄目だ。たとえ偽者でも、横島にはルシオラの姿形をしたものを害せる筈もなかった。


 そんな時、ルシオラ本人から意外な言葉が出てきた。


「えっと・・・別に、私は邪魔をしようってわけじゃないの。ただ、ちょっとだけ話をしたくて・・・ね」


「はなし?」


 モモが、ひとり無表情で反復する。


「そう。・・・・・・ヨコシマ。あなた、今悩んでるでしょう?それもすごく」


「あ、ああ・・・」


「あなたがあれこれ悩んだって意味無いわ。時間が解決してくれることだってある。彼女だってバカじゃないんだし、いつも通りのヨコシマで接したら、いつかは演技なんかじゃないって気付いてくれるわ。辛気臭い顔で接したら、今までが演技でしたって認めてるようなものよ?」


「『『・・・・・・?』』」


「・・・・・・・・・・・」


 ルリとユリカとウリバタケは、『?』とハテナ顔。何の話か解らないのだろう。モモは解っているのかいないのか、特に変化は無い。


「・・・・・・お前、本当にオモイカネか?」


 横島は、やっとその言葉を搾り出す。ルシオラはクスッと笑い、、


「その質問は無意味ね。ヨコシマは今の自分が本当に自分だって断言できるの?今のあなたは単なる電子記号にしか過ぎないっていうのに。断言できるとしたらその根拠は?」


「根拠・・・って言われても・・・」


「出来ないわよね?だから無意味。コギト・エルゴ・スムってやつよ」


「え・・・?」


 横島の疑問の声には答えなかった、かわりに、残念そうな溜息をつく。


「久しぶりに話せて嬉しかったわ。最近のヨコシマは目に余ってたし・・・。渡りに船な状況がやってきてラッキーだった。

 ・・・・・・でも、そろそろ限界みたい」


「どういうことだ・・・?」


「もう存在するのも限界ってこと」


 その言葉通り、ルシオラの体が心なしか透けてきたような、否、確実に透けてきた。


「ちょ、ちょっと待てよ!まだろくに話もしてないってのに!」


「あら。私、もう死んでるのよ?むしろ謝らないとね。しなくていい葛藤させちゃ悪いし・・・」


『なんだって!?』


「『・・・!!』」


 ウリバタケは純粋に驚き、ルリとユリカは何かに思い当たったかのように息を呑む。


「でもさ、もう逢えないやつに逢えたんだぞ!?」


「・・・私は気が長いの。言ったでしょ?私にとって、死ぬことは別れじゃないの。それに、もういい加減笑って話すのも辛いわ」


 そう言って、少し顔を歪めるがすぐに元の笑顔に戻った。


「あっと・・・本当に時間切れみたい」


 もう視認するのが困難なほど姿が透けている。





 そして、





 ルシオラは透けた両手を横島の顔に添え、言った。





「元気を出して、自信を持って!ヨコシマはやる気になれば・・・」




 一拍。




「なんだって、できるんだから・・・!」




 もう一拍。




「・・・受け売りだけどね」





「・・・・・・あ」


 モモが声を漏らした。


 ルシオラはそのまま唇を重ねようとしたが、


「・・・あ・・・」


 お互いの唇が重なるか重ならないかというところで、ルシオラは完全に消え去った・・・。





「・・・・・・・・・・・・」


 横島は俯く。唇をぎゅっとかみ締め、口を開きかけ、そしてまたかみ締める。何も言わない。


「・・・・・・・・・・・・」


 拳が握り締められ、ぶるぶる震える。





「・・・・・・む」


 そんな様子に、モモは少しだけ頬を膨らませ、


「忠夫、忠夫」


 横島の顔をぺしぺし叩いて呼びかける。


「・・・・・・モモ?」


 のろのろとモモのほうに顔を向けた瞬間、


「おえあっ!!」


 モモは、ルシオラの真似をしようと唇を突き出していた。横島はとっさにかわし、モモの唇は頬をかする。


 もし横島が避けなければ、見た感じは大の男が人形にキスしているという、かなりヤバイ絵面になっていただろう。


「ちょっ・・・モモ!?

 じょ、冗談でもそんな事したら駄目だろ!?もっと自分を大切にせなあかん!」


「あ、やっといつもの忠夫に戻った。行こう?あんまり時間無いよ。やれる時に自分の出来る最善のことをやらないと後悔するんでしょ?」


 横島は一瞬あっけに取られたが、


「あ、ああ・・・ああ、そうだな!早く行かないと・・・

 ルリちゃん、この道をまっすぐで良いんだっけ?」


「え、ええそうです。でも、異変を感じたらすぐに身を隠してください・・・」


「解った」


 そしてまた横島は歩き始めた。悩むのは後でも出来る。それに、もう悩むのはほどほどにしておかなければ。でないと明乃との仲も修復されないままだ。





「ねえ、ルリ」


「なんですか?」


「なんで、忠夫驚くばっかりで嬉しそうじゃなかったの?あのひとがしたときには嫌がらなかったのに・・・」


「・・・私、少女ですから・・・って言うか、解って訊いてませんか?」


 汗ジトで尋ねるルリに、モモは微かに笑っただけだった。。





「・・・・・・ウリバタケさん」


「どうした、艦長?」


「さっき消えた女性のこと、他言無用でお願いします」


「え、なんでだよ。そりゃ、笑って話せることじゃないけどよ・・・」


「ばらしますよ」


「う・・・」


 ユリカの目は据わっていた。ウリバタケは心当たりがありすぎた。


「ばらすって・・・なにをだ?」


「言わなきゃ解りませんか?」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「解りました・・・言いません」


「なら良し!です」


 ウリバタケは残念そうだったが、二人は横島たちが映るモニターに目を戻した。


 視界が開けた。天井が丸い、ドーム状の部屋だ。部屋と言っても、ナデシコ一隻は楽に収まりそうなほど広い。奥には一本の巨大な樹。


「ここが・・・」


「はい、ここがオモイカネの最奥にして中心。自意識部分です」


「あの大きな樹が、オモイカネの自意識みたい」


「オモイカネもさすがに邪魔しに来るかな・・・?」


「はい。そう考えて間違いないと思います」


「ふっふっふ。しかしこっちにはルリちゃん&モモ、さらに、バックアップとしてウリバタケさんと艦長が・・・!」


 そのとき、


『何!逆ハッキングか!?すまん横島!これの対処するから援護は出来そうもねぇ!』


『あ、あの・・・私はどうしたら?』


『艦長は応援でもしててくれ!』


「「・・・・・・・・・」」


(や、役にたたねーッ!!)


 特にユリカ。専門外なのだから仕方ないのだが・・・。だったら何故この場にいるのか。


「で、オモイカネはどんなやつを出してくるんかねー」


「・・・さっきの人がオモイカネでないのなら、横島さんが出会った中でも最強の敵が出てくると思います」


(最強の敵、ね)


 横島が心の中で呟いた時、横島は顔に陰がかかるのを感じた。


「・・・」


 顔をあげると、


「やっぱり・・・」




 いつのまにやら、一行の前には巨大な漆黒の巨人がたたずんでいた・・・。




「あれ、180メートルはある・・・」


「横島さんの巨大エステバリスも目じゃないですね・・・」


「つーか、この空間の高さが180メートル以上あったことに驚いたけどな。俺は」


「そんなこと言ってる場合ですか」


「忠夫。あんなのといつも戦ってたの?」


「いや。さすがにあそこまでやばいのとは一回だけだけど」


 傍目には場違いな会話に聞こえるかもしれないが、三人とも驚きを通り越しているだけである。


「それで、あれはどんな攻撃を?」


「それは、」


 言いかけたときと同時だった。


「グオオオオオ!!!」


 咆哮と共に放たれる、全方位360度に向けた光の弾幕!!


「ああッ!やっぱり!!」


『防』


 横島はすかさず文珠でシールドを張り、後ろに向かってダッシュ。


「一時撤退!!」


 ルリとモモには是非も無い。横島の肩にしがみつくだけだ。その時、光弾の一つがシールドに直撃する。


「なんか、ひびが入りましたけど・・・」


「・・・・・・!!」


 横島はもう喋る余裕も無い。走って走って走るのみ。


 すると、


「忠夫、攻撃が途切れた」


「射程範囲外でしょうか?」


 安堵したような声が肩の辺りから聞こえたが、背筋に走る圧倒的な戦慄に、横島はとっさに文珠を発動させていた。




『転』『移』―――――!!




 これはこの時代にやってきた時の転移とは込めたイメージが違う。今回は目に見える範囲への、位置的に巨人の左、300メートルの場所にまで転移していた。
 

 紙一重だった。0.5秒前まで横島がいた地点を、背中に背負った大砲から放たれた光が薙ぎ払っていた。転移以外の、例えば加速、疾駆等だったら助からなかっただろう。さすがに電脳空間を破壊することはかなわなかったようだが、この大砲は島一つを吹き飛ばすほどである。文珠のシールドなど紙、転移以外の効果では逃れることは出来なかったであろう。


「くっ!!」


『迷』『彩』


 転移が終わると同時に姿を隠す。巨人は横島らを見失ったようだ。


 三人は大きく溜息をついた。


「ルリちゃん、もしこの空間内で死んだらどうなるの・・・?」


「解りませんが、最悪、精神に障害が残るか、永遠に目覚めないかも・・・。

 それより、あれは一体何なんですか!?あんな出力、ナデシコでも不可能です。木星蜥蜴が可愛く見えますよ・・・」


「・・・・・・『究極の魔体』・・・・・・」


「「究極の魔体?」」


「そう。とにかく最強最悪。無人島一個ふっ飛ばしても威力が衰えない主砲と、360度全方位に向けたこれこそ弾幕と言う呼ばれ方がふさわしい光弾と、こちらの攻撃を無限に無効化するバリア。知能は低いから隠れてれば見つからないだろうけどな。でもこのままだと時間切れか」


「あんなのどうやって倒したの?」


「うん・・・ま、何とかなると思うけど」


 質問に答えず、横島は俯いて目を閉じた。


「・・・横島さん?」


「ルリちゃん、モモ、ちょっとだけ静かにしてくれないか?

 奴に勝つには、並みの煩悩じゃ駄目なんだ!!


 ぐぐっと拳を握る。背後には荒波が見えるような気もする。


「マジな顔で言われても・・・」


 ルリは頭痛を抑えるように頭を抑え、


「それに、そんなことをしなくても大きな力を使えると思いますけど」


「なんで?」


「シミュレーターでは霊力は使えませんよね?基本的にはここもシミュレーターと同じです。ですけど、横島さんはさっき文珠を使いました」


「ああ、そういえば」


 ポン、と手を鳴らす。文珠を使えることに何の疑問も浮かばなかった(その余裕が無かった)からこそできたことだろうが。


「てことは、いつも以上の力を使おうと思えば使える・・・ってこと?」


「憶測ですけど」


「でも、攻撃を無限に防ぐ相手をどうやって倒すの?」


「実は、バリアには一部に穴がある。そこから攻撃を食らわせるんだ」


 そう言って、文珠を六個呼び出す。


「一気に行く!チャ○、しっかり捉まってろ!!」


 二人が突っ込みを入れるヒマを与えず、


『超』『加』『速』


 三人は、超加速に突入した。自分たち以外の時の流れが限りなくスローになる感覚。ルリとモモは、文珠の事は良く知っていたが、自分で体験する文珠の凄さには驚きを禁じえない。


(な、なんて能力・・・!それに、さっきから横島さんから妙な威圧感を感じるような・・・?)


 威圧感とは言っても不快感は感じないが・・・。


「グオ!?」


 魔体は迷彩が解けた三人を発見するも、次の瞬間には見失う。魔体=オモイカネは、とりあえず全方位に攻撃を仕掛けた。





 0.1秒と経たずに背後に回り込んだ横島は、持っていた文珠三つを発動させる。


(合体してないからあの時ほどの霊波砲を放てねーし・・・!)


 この空間ならイメージ次第ではそれも不可能ではないはずだが、思い至らなかったようだ。


 それはともかく、横島は魔体との戦いのことは忘れていなかった。そしてその記憶の通り、結界の穴に狙いを定める!



『波』『動』『砲』



 あの『ヤ○ト』のあれである。しかもチャージタイムが無い優れものだ。


「一回やってみたかった!!」



 ぎゅおおおおおおおん!!



 そして放たれるエネルギーの奔流。さすがに本家ほど破壊力は無いだろうが、横島の見立てでは、破壊するにはこれでも十分すぎるほどであった。ルリとモモはすさまじいエネルギーに、背中側の服に必死につかまる。


(な、何で横島さんはこのエネルギーの前で平然としてるんですか!?)


 無意識に自分に影響は出るはず無いと思っているのだろうか。それとも・・・


「うう〜っ」


 モモも必死だ。これなら敵を倒すことも十分可能か、と三人は思った。


 だが、


 しゅおおおん・・・


「え?」


 横島の放った波動砲は、魔体に命中する直前急速に消え去った。圧倒的なエネルギーは、結界の表面に波紋のような波を残しただけだった・・・。


「んな・・・ばかなっ!?」


 狼狽するのも無理は無い。そこは確かに結界の穴だったはずなのだ。


「横島さんっ!!」


「!!」


『堅』『盾』


 紙一重だった。光弾直撃を何発か食らったものの、さっきより強力なシールドを張ったので何とか無事に済んでいる。


「忠夫、穴があるんじゃなかったの?」


「あった・・・筈なんだけど・・・!」


「もしかして、オモイカネが?」


「・・・っく・・・!」


 唸りつつ距離を取る。


『迷』『彩』


 さらに迷彩で姿を隠す。


「あのバリアは一体?あれほどのエネルギーを完璧に無効化するなんて」


「・・・・・・・・・・・・・・・

 あれは攻撃を防いでるんじゃなくて、空間を歪めて攻撃を別の宇宙に逃がしてる・・・らしいけど・・・」


「それって、どうしようもないんじゃないですか・・・?」


「・・・・・・・・・」


 横島は完全に行き詰まる。確かに、ほぼ無制限に使える文珠を使えば生き延びることは可能だろう。だが、時間制限がある以上待つばかりではいけない。しかし、無敵の結界とそれの唯一の弱点はなくなっている。八方塞だった。


「くっ!ウリバタケさんが時間を稼いでくれてるっていうのに・・・!」


 とにかく突っ込む・・・無理。自分自身が異空間に飲み込まれるかもしれない。


 がむしゃらに遠距離攻撃・・・却下。下手すりゃ見つかって命取りになるかも。


 結界を破る、または無効化する方法を考える・・・今やってることがまさにそれだっつーの。


 諦める・・・Non。問題外。


 無理・・・


 無理。


 無理無理。


 無理無理無理。


 無理無理無理無理無理無理無理無理・・・!!


「くっ・・・」


 頭を抱える。でも無理。抱えたって何も変わらない。


 このまま時間切れになるか、それとも脳がオーバーヒートするのが先か、という時、


「忠夫。忠夫ってその気になれば何でも出来るんだよね?さっきの人の言葉を信用するまでもないけど」


「!?」


 横島は顔をあげる。そういえば、モモとルリがいることを一瞬忘れていたようだ。


(何でも出来る・・・まさか。俺に一体何が出来るってんだ。最近皆俺を買いかぶりすぎだっての・・・)


 そこまで考える。そして、モモとルリがいると再認識した時、なにやら横島の脳にまだ形とならない一つの考えが思い浮かんできた。


「私たちに何か出来ることは・・・?有ったらで良いんですけど・・・」


「・・・・・・」


 ルリの言葉に脳内のビジョンがまた一つ鮮明になる。


「・・・・・・・・・・・・」


 考える。考える。考える。考える。考える―――――。





「・・・この手なら、もしかして・・・!」


「何か思いついたの!?」


「うん・・・でもその前に、

 煩・悩・全・開―――――!!!」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!



 横島から凄まじい霊波が放出される。


「な、な、よ、横島さん?だからこれは無意味なのでは・・・?」


「違う!やっぱり俺はこうでないと駄目だ。煩悩ある限り、俺は死なない!!


 横島の言うとおりだった。思い込みによってどんなことも可能になるこの空間、それでもなしえないような力・・・否、「煩悩こそ我が力」と思い込んでいるからこそのパワーアップか。確かに、自分は強い・・・と暗示をかけるよりは効果的だろう(横島にとっては)。


「真面目にやると死んじゃうかもしれないしな!特に俺は。古来よりギャグ漫画の主人公が死んだ話なんか聞いたことがないし!」


「それは漫画の話ですよ!」


「ここはそれが現実になるんだろ!?」


 そして思い浮かべる。ナデシコ搭乗初日、火星までの道のり、火星、長いことお世話になってきた愛機・・・!




 突如三人の視界がぶれ、すぐに安定する。




「アサルトピット・・・?」


「体も元の大きさに戻ってる・・・?」


 モモとルリは、いつのまにか自分がアサルトピット内にいることと、体が人形サイズでなくなっていることに驚く。


「やった・・・!成功、エステバリス!さすが不思議空間!」


 横島は自分がエステバリスに乗っている事実を確認し、安堵の溜息をつく。ためしにエステの手足を軽く動かす。動く。


「あの、わざわざこれを呼び出したのはなんでですか?また男のロマンかなんかですか?」


 斬艦刀の時のことを言っているのだろうか。


「これから一から説明する。よく聞いてくれ・・・」





 ――――――――――





「よし・・・いくぞ」


『集』『束』


 エステのディストーションフィールドが、心なしか薄くなっていくようだ。逆に、右手付近のフィールドの色は濃くなっている。





 ―――――二人とも良く聞いてくれ。奴を倒す方法。それは結界に似たようなものをぶつけて干渉させ、その付近にだけ穴を開ける。そこに攻撃をする。


 ―――――似たようなもの?


 ―――――ディストーションフィールド。時空歪曲場さ。


 ―――――確かに空間を歪曲させる点では同様ですけど・・・


 ―――――解ってる。比べ物にならないってんでしょ?でも、そのための文珠だ。





「なんて無茶なことを考え付くんでしょうね・・・集束にちょっとでも失敗したら、膨大なエネルギーが暴走してお陀仏ですよ」


「わたしは信じてるけど」


「言わなくても解ってます。それに、信じてないとは言ってません」


 ルリはなにやら落ち着かない様子で体をもぞもぞさせている。


「・・・やっぱり緊張する?」


「横島さんは気を散らさないでください。やるだけやりますよ。これだけお膳立てしたんですから成功するはずです。


 頼もしげな台詞と不安げな顔。台詞と表情は見事なまでに一致してない。





 ―――――いくら文珠を使うといっても不安は残りますね・・・エステの操縦もあるわけですし。


 ―――――大丈夫。俺は制御と攻撃だけに集中する。


 ―――――え?でも結界に干渉するなら近寄らないと。


 ―――――ふっふっふ・・・それについては二人に手伝ってもらう。特にルリちゃん。ルリちゃんがいなかったらどうしようもなかったかなー。


 ―――――・・・・・・・・・はい?





「・・・・・・まさかエステの操縦させられるとは思いませんでした・・・。このIFSは戦艦用なのに・・・」


 仕方ないといえば仕方ないのだが。


「そのための文珠でしょ?」


 そう言って出したのは『心』『眼』。まだ発動させてない。


「・・・モモが文珠で敵の攻撃を予知・予測・・・それを心眼の効果でダイレクトに私に送信・・・何でまたそんなこと出来るんでしょうね・・・デタラメ、デタラメとは知ってましたけど、何回目の当たりにしても・・・」


「ここは電脳世界だし、もしかしたらナノマシンが仲介してるからかもしれない・・・」


「・・・この調子だと・・・集束が終わる頃に迷彩が切れそう・・・」


「だからそっちに集中してください」


 そんなこんな言ってるうちに、フィールドの集束は八割方終了した。





 ―――――あれ?でも何でわざわざ干渉にエステのフィールドを使うの?文珠を使えばいいんじゃ・・・。


 ―――――うーん・・・どんな文珠で結界に干渉できるかわからないってのもあるけど、二人は操縦を担当して手が離せないとして、俺が何らか・・・例えば『歪』『曲』で結界に干渉できたとする。つまり俺は、

 1、文珠で結界に穴をあける

 2、あらかじめ出しておいた文珠で穴から攻撃

 3、撃破!

 てな感じの事をするんだけど、結界が1と2の間に再生するかもしれないからなぁ。だから、エステの右手に集中させたフィールドを叩きつけつつ、左手にあらかじめ握らせておいた文珠でドカン。ってなわけ。


 ―――――なるほど。


 ―――――あ、完全に集束させたら右手以外の防御力はほぼゼロだから。


 ―――――プレッシャーかけないでくださいよ・・・





 そして、フィールドの集束は完了し。同時に、迷彩の効果も終了した・・・。





 ――――――――――





「今だ!」


「ふぅっ!!」


 ルリが飛び立つ。と同時に、魔体は光弾を全方位にばら撒く。


「・・・・・・!」


 モモは目を閉じてルリの頭に掌を乗せる。そのほうがイメージが鮮明に伝わるのだろうか。


 ルリは無言で機体を動かす。IFS以外のシステムならば、心眼の助けがあったとしても生き残ることは不可能であっただろう。


「く・・・!」


 緊張のためかルリの頬に汗が一筋流れる。かわす。かわす。掠る・・・否、掠っていたらそれだけで撃墜されていただろう。単なる嫌なイメージか。


「よっしゃ・・・!!」


 時間にして十二秒という短時間―――ルリにとっては無限とも言える時間―――であった。その十二秒で、魔体に肉薄する!


「光差す世界に、汝ら暗黒、住まう場所無し!!」


「だから余計なこと言って気を散らさないでくださいって・・・!」


「渇かず、飢えず、無に、還れぇぇぇぇぇぇッ!!」


 聞いてなかった。


「レムリ○ァッ!インッッッパクトォ!!」



 バリバリバリィッ!!



 結界とフィールドが激しく干渉する!


「忠夫、今!!」


「・・・オモイカネ。本気で俺を止めようとしかったんなら、美神さんやルシオラをぶつければよかったんだよ。だけでこれで終わりだ!人の心中を勝手に見たんだ。お仕置きをくれてやる!!」


 ここで、エステの左腕の中の文珠を発動させる。



『指』『向』『性』





 ―――――その文珠は?


 ―――――呼んで字の如く、指向性。


 ―――――それってどういう意図で?


 ―――――う〜ん・・・結界に穴をあけると同時に攻撃するんだけど、その時集中が乱れて集束させたフィールドが抑えきれなくなるかもしれない。


 ―――――まあ、そうかも知れませんけど。


 ―――――だから、わざと暴走させる。


 ―――――忠夫、それってわたしたちも共倒れになるんじゃ・・・?


 ―――――だから、この文珠さ。


 ―――――あ・・・。


 ―――――この文珠を使って、抑えがなくなって爆発するフィールドに、ある指向性を持たせる。・・・つまり、暴走したフィールドのエネルギーを、全部オモイカネのほうに向ける・・・・・・!!





 エステバリスの右手の黒い球体が・・・爆ぜる。


 音は無かった。ただ黒い力が漆黒の巨人に炸裂しただけ。


『グ・・・オオ・・・・・・!!』


 魔体は身をよじる。それはかわそうとしたためか。それともエネルギーの衝撃か。


「・・・成敗!!」


「忠夫、そのキメ台詞は、レムリ○・インパクトじゃなくてゴッドハン○スマッシュ・・・」


「はうっ!そうだったー!!」


 その言葉を最後に、三人は、爆発による衝撃によって意識がとんだ・・・。


 ディストーションフィールドは常時発動しているので、機体に大したダメージは無いだろう。





 ――――――――――





「・・・・・・あれ?」


「あっ、起きた?」


「モモ・・・。あ!!どうなった!?」


「残骸も見当たらないよ。負けを認めたのかな?」


「だといいけど・・・。

 あれ?そういえば、俺ってどれくらい意識とんでたの?」


「ほんの二、三分くらい。わたしもさっき起きたとこ。ルリは今起こしてる」


 横島は体を起こす。見ると、モモがルリの体を揺らしている。


「う〜ん・・・」


「起きた」


 それを確認し、まだタイムリミットがきていないことも確かめ、横島は盛大な溜息を吐き出した・・・・・・





 オモイカネの記憶を司る大きな木。三人はその上空にいた(エステバリスは消し、三人は元の姿に戻っている)。


「ここを切ればいいのか?」


「はい・・・。

 オモイカネは少しだけ物を忘れる・・・。でも思い出は残ります。そして少しだけ大人になる。横島さん、お願いします・・・」


 そして、横島は枝切りバサミをかまえ、


「オモイカネ。わかってんだろーけど・・・俺の記憶、誰にも言うなよ?」


 木がなんとなく震えた気がしたのは気のせいだろうか・・・。





 横島はくたばっていた。


 あれから元の空間に戻り、ルリとモモが後始末のためにブリッジに戻る。ちょっとふらふらしているが・・・


 横島はさらにフラフラだった。全力で戦い、知恵熱が出そうなほど頭を働かせた。無理も無い。そして横島の役目はもう終わっている。


「ウリバタケさん・・・ちょっとベッド借りていいっスか・・・?」


「いいけど、回りのもん踏むなよ!」


「りょーかい・・・」


 そしてベッドに倒れこむ。部屋は相変わらず臭うが気にならない。


(ルシオラ・・・・・・結局あのルシオラはなんだったんだろう・・・偽者か、白昼夢か、本物か、幻か・・・)


 急速に襲ってくる睡魔。


(明乃ちゃん・・・・・・またいつもの関係に・・・・・・)


 

 そこで意識が途切れた。


 目覚めるとまた新たな難題が待ち受けていることだろう。なぜならここはナデシコで、こいつは横島だから。


 


 横島は一時の休息を得た・・・。










 続く。










 イネス先生の、なぜなにナデシコ出張版

 良い子の皆さんこんにちは。今日もなぜなにナデシコの時間がやってきました。ここではいつものように「GS横島 ナデシコ大作戦!!」のギモン・専門用語・モトネタ等を、解りやすく、かつコンパクトに説明するわ。


Q1・ルリがちょっと饒舌すぎない?

 仕様よ。このSSではこんな性格、と作者はもう割り切っちゃったみたい。


Q2・ジュンが不穏な台詞を口にしたような・・・?

 たぶん疲れて勤務中に夢でも見たんでしょ。


Q3・あのルシオラは結局なんだったの?

 う〜ん・・・。解らないわ・・・屈辱だけど・・・。


Q5・コギト・エルゴ・スムって?

 哲学者、デカルトの「方法序説」に見られる言葉で、「われ思う、故に我あり」という意味よ。つまり、あらゆること・・・それも意識の内容さえも疑う対象だけど、意識そのもの、意識する自分の存在は疑い得ないということ。


Q6・波○砲

 波動砲。戦艦ヤマトの主砲で、凄まじい破壊力と膨大なチャージタイムがある事で有名ね。


Q7・何でモモが二個の文珠を同時に使えたの?

 モモが「二個同時に使うことくらい簡単」って思ったからよ。横島君が三個同時使用の文珠をバンバン使っていたのも同様の原理。本来なら、横島君以外の人はたぶん一個が限度でしょうね。


Q8・レムリ○・インパクト

 レムリア・インパクト。デモンベイン最強の必殺技で、右手に発生させたマイクロブラックホールを直接相手に撃ち込み、爆縮燃焼効果で完全に破壊するすんごい技よ。ちなみに、キメ台詞は「昇華!!」。ゴッドフィンガーって言わないように。元ネタは「螺旋」って噂だから。(そういう問題か?)

 名前の元ネタは、クトゥルー神話の伝説の大陸レムリア。ムー大陸と同一視されることが多いみたい。って言うか、クトゥルー神話内じゃまんま同一の存在だけどね。

 デモンベインの元ネタは、「斬魔大聖デモンベイン」


Q9・ゴッドハン○スマッシュ

 ゴッドハンドスマッシュ。バイカンフーの最終奥義。作者が原作を見たこと無いから解らないけど、見た目は手刀を突き刺し電撃を直接叩き込むって感じだけど、本来は相手の心臓部分をえぐり取ってるらしいわ。「スーパーロボット対戦IMPACT」のこの技は必見よ。成敗!

 バイカンフーの元ネタは、「マシンロボ クロノスの大逆襲」





あとがき

「いくらオモイカネでもエステの動きにまで干渉できるわけねーじゃん」とか「オモイカネとの戦闘、もっと他のやり方があったんじゃないの?」とかその他諸々いろいろ言われそうですが、まず一言・・・・・・





 見逃してください!!





 だめっスか?





 まぁそれはともかく。


 次回には明乃編を終わらせたいなー・・・・・・。

 

 

 

代理人の感想

おおぅ。

ルシオラは出るかなとは薄々思っていましたが、これは意表を突かれました。

精神が存在してるということは、このSS世界では復活もありえるのかな・・・?

 

 

>ジュンの失言

一瞬画面がブラックアウトして、ジュンの位置に人体模型が置いてある・・・・

というシチュエーションを連想してしまいました(爆)。

まー、モンティパイソンじゃないし、K999さんの芸風はw

 

>元ネタは螺旋

シナリオライター本人が言ってたので多分間違いないでしょうw

ちなみに螺旋の元ネタは「覚悟のススメ」。