火星極冠遺跡の中枢ユニットの消滅により争う理由の大半が消滅した両軍は、なし崩しに和平を結ぶ事となった。

 勿論、遺跡の存在を知らない人たちには、和平を良しとしない者は大勢いた。
 地球では、主に無人兵器に故郷を焼かれ、友人・家族等が亡くなった人たち。
 木星では、もちろん過去の遺恨、白鳥九十九暗殺未遂事件などに怒る人たちだ。

 だが、地球ではナデシコクルーにより広く流布された過去の事件、
 そして実際に木星からやってきた人間の証言などにより、同情的な意見が多数を占めることになる。

 木星でも、草壁中将による自作自演を糾弾する勢力によるクーデターにより、
 草壁は失脚し、地球に対する戦意は大きく削がれる事になった。

 世論に抗し切れなくなった連合軍は、ついに過去の事件を認め木連に謝罪。
 指導者を失いボソンジャンプを行う術も失われた木連は謝罪を受け入れ、双方の遺恨は相殺される事になる。
 そもそもの発端となった地球連合に少なからず非難が集まったが、当時の責任者がいないことを理由に、非難をのらりくらりとスルー。

 混乱は避け切れなかったものの、地球連合と木星連合、双方の歩み寄りにより、「統合軍」が新たに発足した。


 余談だが、草壁中将は神魔族の法に照らし合わせれば最低でも死刑なのだが、
 下手に殺すと、元木連の過激な人たちが反乱を起こしたり等するかもしれないのでまだ生きてたりする。
 とは言え、これから一生神魔族の監視下に置かれるので、下手な行動を起こすことなどできないだろうが。





 そして、二年の月日が流れた。










 長崎県佐世保。
 七月も半ばを過ぎたが、うだるような暑さは当然ながら増すばかりで収まる気配がまるでない。
 中学校の校門に背中を預けていた明乃は、もたれていた背中の部分のシャツが、汗でじっとりと肌に張り付く感触に顔を顰めた。
 これでもここには慣れたはずなのだが、夏はやっぱり辛い暑さだ。

 そんな事を考えていると、


「あ、屋台のお姉さんだ、こんにちはー」


「こんにちは」


 中学校から、生徒が吐き出されてきた。
 いつも下校時に居るせいか、声をかけてくる生徒も居る。

 中には、それなりに美人の明乃に憧れを抱く男子生徒も居るようだが、勿論明乃には知る由もない。

 いつの間にか終業式は終わっていたようだ。明乃はもたれるのをやめて、校門を覗き込んだ。
 すると、タイミングよく、四人の女の子が出てくるのが見えた。その中の一人が待ち人だ。


「ねー、夏休みはどんな予定があるの?」


「私はバイトかなー。えへへ、ちょっとツテがあってね」


「いいなー、普通の中学生バイト雇ってくれる所なんてないよー。あっても親が許してくれそうにないしー」


「モモちゃんは特別よ。僻みなさんな」


 明乃は未だに信じられない。
 声だけ聞いても、声と一緒に姿を見ても、未だに受け入れ難い。


 友人と楽しそうにおしゃべりしながら、輝くような笑顔を振りまいているその人が、
 あの横島モモであろうとは!


「……何時見ても……」


 微妙に顔を引きつらせている明乃にはまだ気付いていないようだ。


「そういえば、モモちゃんまた告白されたんだってー?」


 その台詞に、モモの笑顔がやや困った笑顔になった。


「うん……そういうのは困るんだけど……」


「無理もないよ。モモちゃん可愛いし」


 客観的に見て、その台詞は控えめに過ぎる表現だと明乃は思った。
 二年たって、モモは美しく成長した。腰のやや上まで伸びる、薄桃色のさらさらロングヘアー。
発育は同年代の平均よりやや遅れているものの、シミ一つないほっそりとした手足、細い腰の括れなど、
 バランスでは他の追随を許さない。

 いつも首から下げている小さな巾着袋は謎だが、人気が出るのも頷けようものだ。


「あーでも、モモちゃん好きな人いるんだよねー」


「……うん。遠くに居て、会えないけどね」


「そうらしいねー。でも、モモちゃんならどこに居たって会いに行きそうな気もするけどー」


「もしかすると、悲劇の恋ってやつだったりして」


「ちょっと、二人とも……」


 黒髪ショートボブの女の子が、他の二人を窘める。


「ごめんごめん! でも、やっぱりモモちゃんの思い人だもん。気にならない?」


「それは気になるけど、夏休みの予定の話はどうなったの?」


「ああ、そうね―――――」


 恋バナしていた女の子が、明乃に気付いた。


「あ、お姉さんだ」


 他の三人も、自分たちを見ている明乃に気付いた。


 そしてその瞬間、モモのテンションが急変した。


「……明乃」


 周囲の人間から見たら、モモの顔が一気に能面のような表情になったと感じたことだろう。
 一応、ほぼ毎日迎えにくる姉的存在と、その人に合流した時のモモの感情の急変は知られている。
 未だに慣れないようだが。


「あ、あははー」


 もちろん明乃はそんなことにうろたえたりはしないが、面食らう周囲に、思わず愛想笑いをしてしまう。
 そして、恋バナしていた二人は、会釈しつつもそそくさと校門から右に曲がって去って行った。元々、校門までの道連れだ。


「……あのお姉さん、よっぽど嫌われてるのかな?」


「私は感じが良い人に見えるけど」


 そんな会話は、明乃たちにもばっちり聞こえてしまっていた。
 しかし、去った二人とは帰り道が違う友人の少女は、去った二人の不見識を笑った。


「うふふ。あの二人、解ってないなぁ」


「優子ちゃん?」


 モモは、二人を見送る友人の言葉に、怪訝な(聞き慣れない人には平坦な)声をあげた。


「モモちゃん、このお姉さんの前では飾らなくていいだけなのにね?」


「!」


「あれ、知ってたの?」


 モモは、彼女にしては珍しく結構驚いているようだ。明乃もちょっと感心した。


「それに、悲劇の恋だなんて。悲劇の恋なんて、無いのにね」


 一瞬、少女がとても大人びた表情をした気がした。


「……そうなの? その心は?」


 明乃は、一瞬だけ見せた、年齢に似つかわしくない表情が気になりつつも、尋ねた。


「なんだったかな? どこかの小説の一節かな……」


 曖昧に言葉を濁し、先程の二人とは別に、校門の左方向に歩いて行く。


「モモちゃん、お姉さん、また新学期に」


「うん。ばいばい」


 モモは、優子に小さく手を振り、明乃に帰宅を促した。


「なんか、ちょっと不思議な子だね。今まではそんな印象なかったけど」


「うん。なんか、営業用の態度も見抜かれてたっぽいし」


 実は、明るく元気で社交的なモモは、中学校に通うようになって身につけた仮面に過ぎない。
 素は、未だに変わらない。


「でもなんで、私にあったら演技やめちゃうの?」


「……」


 素朴な疑問に、モモは少し逡巡したが、ぽつりと言った。


「だって、知り合いにあんなわたし見せるのって、ちょっと恥ずかしいし……」


 ちょっとだけ、顔が赤かった。


「可愛い……」


「ん?」


「ううん! なんでもないよ!」


 明乃はあわてて誤魔化し、誤魔化しついでにちょっとした疑問を尋ねる。


「そういえば、優子ちゃんてフルネームはなんだっけ?」


「芦 優子」


「ふーん……」


 そんな会話をしつつ帰り道を歩く二人の距離感は、
 ナデシコ時代から二人を知っている者から見ると、実に仲の良い姉妹に見えるだろう。

 そんな人物はこの場にはいなかったのだが。


「今日の晩御飯、なにがいい?」


「アジのひらき」





 ――――――――――





 明乃は、平日はもっぱらラーメンの屋台を引いている。
 若い女性の、しかも美味いラーメンが食べられる屋台として、佐世保近辺ではそれなりに有名だ。
 昼間は中華の勉強や仕込が主で、それが終わると大抵モモを迎えに行っている。
 生活費はラーメンの売り上げだけで賄えていないが、ナデシコ時代の給料はまだまだ残っている。
 それに、土日はモモと別のバイトを行っている。



 テストパイロットである。



「テンカワちゃん、お疲れー!」


「はーい! ありがとうございまーす!」


 赤い機体から出てきた明乃に、格納庫の人間が労いの言葉をかける。


「どうよ、今回のスカーレットフレームは?」


「凄いです! まるでヘリアンサスと遜色ないですよ! でも……」


「でも?」


「誰が使うんですか、これ」


「そーなんだよなぁ」


 スカーレットフレームは、蜥蜴戦争で活躍したヘリアンサスのデチューン機である。
 デチューンとは言え、現在のこの機体はヘリアンサスとほとんど性能に差はない。
 せいぜい無用の長物と化したジャンプフィールド発生装置がないことと、
 ソーラーセイル、サンシャインフィンガーがオミットされたことぐらいだろうか。

 フィールド発生装置は元より、余り使用頻度の高くなかったこの二つがないことに明乃に不満はない。

 だが、その性能の高さに比例して、操縦の難しさも群を抜いていた。
 せいぜい、リョーコやイツキとガイ、元優人部隊員、優華部隊員、一部のエースくらいだろう。


 そして、正式な軍属でもない明乃がテストパイロットを行っている理由は、純粋に技量が高いからである。

 当初は蜥蜴戦争の名機であるヘリアンサスの専属パイロットの経歴だけを買われていたのだが、
 その技量は間違いなくトップクラスであった。へリアンサスに慣れていたから、という理由もある。
 過去の月で本気で特訓したことは、メタな言葉で申し訳ないが、原作アキトとの大きな違いだろう。


 ちなみに、ヘリアンサス・フローライトは普段は軍で保管されている。
 とは言っても、オーバーテクノロジーにしてロストテクノロジーの塊である機体である。
 神魔族の関係者の監視対象であるため、データの吸出し等はできない。
 今では、明乃が有事に備えて勘が鈍らないように定期的に試運転をしている。


 そして、格納庫に新たに二機の青い機体が降り立った。


「お、モモちゃんもお疲れー!」


「ふう……」


 青い機体ではなく、格納庫の隅の小さな部屋から、モモが疲れた様子で出てきた。


「アメージンググレースはどうだ?」


「やっぱり二機同時はキツイかも。私たち(マシンチャイルド)でも今のままじゃ一機までしか推奨できない」


「やっぱかー」


 アメージンググレースは、初の完全遠隔操作機動兵器である。
 元々、この時代の軍の戦艦、機動兵器ともに、かなり高度な脱出装置が搭載されている。
 しかし、さすがにパイロット搭乗部に直撃した場合はまず殉職だ。
 そのための、完全遠隔兵器である。

 現在では遠隔でありつつも、実際に機動兵器に搭乗しているかのように感じることができる。
 また、実際には搭乗していないため、体にかかる負担はかなり小さい。
 二機同時など無茶をすれば、脳にかかる負担は相当なようだが。

 欠点は、今現在ではマシンチャイルドにしかまともに扱えるOSが完成していないことと、
 命に危険がない故に機体が雑に扱われ、修理費用が高くつくことが多いことか。


 モモがこの実験機のテストパイロットをしている理由は、特にひねりはなく、モモがマシンチャイルドだからである。
 また、モモ自身が戦える力を欲していたこともある。
 この話を持ちかけられたときはまさに渡りに船だった。

 守られるだけの無力感。横島に連れて行ってもらえなかった寂寥感。
 それらに突き動かされていたモモは、土日と長期の休みしかバイトしていないにもかかわらず、
 アメージンググレースと抜群の相性を見せている。

 ちなみにこの機体、ゲームが上手いほど上手に扱える機体だったりする。
 将来は某ガンダムVSシリーズのトッププレイヤーがエースになるかもしれない。


「それにしても……」


「?」


「なんでこの機体の名前、アメージングフレームじゃないんだろうな?」


「……」


 余談ではあるが、スカーレットフレームの名前から勘違いされがちだが、
 この二機、ネルガル製ではあるが、エステバリスのフレームバリエーションではない。
 単にスカーレットフレームという名前の花があり、そこからとっただけである。
 ヘリアンサス=赤い→それにあやかり赤い高性能フレームを開発→ヘリアンサスがモデルの赤いフレームだからスカーレットフレーム!
 と思っている人が実に多い。


 そしてその手の質問は飽きるほどされた二人である。
 明乃は苦笑いに留め、モモは無言でスルーした。


「それにしても、アメージンググレースは手強くなったよ。連携は巧いし、有人じゃあんまりできない無茶な機動はするし」


「……二対一でも負け越してるんだけど」


「いや、流石にもう追い越されたら流石に立つ瀬がないって言うか」


 モモは、自分が足手まといにしかならないから横島に連れて行ってもらえなかったのだとまだ思っているフシがある。
 そのためか、その実力の高まり様はベテランも驚く程であった。実際、木連軍の残党の襲撃も明乃と二人で軽く退けたことがある。


「そういえば、もうすぐモモの誕生日だね」


「……そうだったかな」


 モモの誕生日は、横島に助けてもらった日である。


「みんな、雪谷食堂に来てくれるみたいよ。誕生日をここまで祝われるって、モモとルリちゃんぐらいだよ」


「……物好き」


 そう言いつつも、モモはかすかに微笑んでいた。


 だが、その表情の中に、ほんの少しの寂しさを感じるのは、本当に祝ってくれる人がいないからであろう。





 ところで他のナデシコクルーだが、

 ユリカ、ジュン、ルリ、ムネタケ→軍
 リョーコ、ガイ、イツキ→パイロット
 ヒカル→漫画家
 イズミ→行方不明
 ミナト→教師
 メグミ→火星で行方不明
 アカツキ、プロス、エリナ、ゴート→ネルガル
 ウリバタケ→自営業
 ホウメイ→料理屋

 となっている。
 当初ルリは、壮絶なじゃんけん合戦の末にユリカに引き取られてのんびりと過ごしていたが、
 横島にモモを頼まれていた事、そのモモがテストパイロットとして軍と関わりがあったこと、
 そしてナデシコの後継艦がロールアウトしたことにより、軍に復帰する事を決意。

 ユリカは、ほかにやりたい事が見つからなかった為、ルリに付いて行く形で軍に復帰した。
 それでいいのか保護者。

 ユリカとルリとジュンは、それぞれ別の艦の艦長として活躍中である。


 ナデシコクルー以外では、
 北斗→放浪中。時折零夜の家にふらっと立ち寄る。
 舞歌→軍
 零夜→大学生
 シロ、タマモ、ピート→後方の軍に配置換え(実際は不明)。
 カオス&マリア→行方不明

 となっている。
 北斗と枝織は、その好奇心の赴くままに世界を放浪し、零夜の胃を痛ませる原因になっている。
 零夜としては一緒に大学に通いたかったようなのだが、無理だったようだ。


 そんなこんなでそれぞれの道を歩んでいる旧クルーだが、ルリとモモの誕生日には多く集まるのが常である。
 もちろん、今回も例外ではなかった。


 横島モモ、13歳の誕生日であった。





 ――――――――――





 佐世保はその日も暑かった。

 雪谷食堂は、その日は貸切だった。といっても、食堂には誰もいない。
 母屋の座敷に、続々と人が集まってきていた。
 多くの人が集まり、その人口密度の前にはぼろいエアコンはあまりにも無力だった。

 集まった人たちは皆汗を掻きつつも、誰も帰ろうとしない。
 みんな、横島の妹を、そしてナデシコクルー全員の妹分を、祝いたくてしょうがないのだ。

 今日の上座は勿論モモだが、その直ぐ近くの席は空席だ。誰の席かは皆承知の上だ。


「いやー、遅くなったでござる!」


 集まったクルーの殆どは、驚きに目を丸くした。


「い、犬塚大尉!?」


 明乃の驚きの声と共に、シロの後ろからタマモとピート、カオスとマリアまで出てきた。
 明乃が驚くのも無理はない。カオスとマリアはともかく、シロらは現神魔族の一柱でありながら、
 横島の事を上層部に報告しなかった。それを理由に、地球駐屯の任を解かれそうになっていたのだが……。


「抜け出してきちゃったー♪」


「抜け出してきちゃったー♪ っじゃないでしょうが!」


 明乃は全力で、テヘペロするタマモに突っ込みを入れた。
 なし崩しに和平が成らんとするその混乱の中、クソ忙しいにもかかわらず、連合軍の超有名人が後方に回されたのである。
 事情を知る人は、神魔族的には横島の件を秘匿した事、
 軍的には、漁夫の利を得ようとする所を勝手に突撃して、ナデシコに加勢したことがよっぽど問題になったのだろうと推測を立てた。


「なのに大人しくするどころかなんでまた問題行動を起こしますか!」


「横島先生の妹御の誕生日でござる! これを祝わずして、何を祝うでござる?」


「いや、あの」


「去年来られなかった事こそ痛恨の極み!」


 この駄目犬、あかんわ。
 全員の心が一つになった。


「まぁ当初の目標は達成したわけですし、どうせ地球から離れなきゃならないなら、モモさんを祝ってから離れようかと」


「ピートさん・変わりましたね」


 なんでもない事のように言い放つピートに、マリアの声にも若干の呆れが混じっているように感じる。


「やー、どうせなら僕もドクターカオスを見習って、野良神族になって潜伏したほうが良かったですかね」


「フン、今頃気付くとは、やはり小僧よ」


「ピート、あんたよっぽど疲れてんのね……」


 はっはっは、と笑う馬鹿二人に、タマモは生暖かい視線を送る事しか出来なかった。


「おい、何時までこの面白くもない漫才は続くんだ? さっきから腹が減ってしょうがないんだが」


 足を崩して団扇を煽ぐ北斗は、心底くだらない物を見る目で遅れてきた客を見た。


「ほ、北ちゃん、神様に向かって失礼だよ」


「いやいや、確かにそこの女子の言うとおり、悪ふざけが過ぎたでござる」


「誰が女子だ。つーか顔見知りだろうが。わざとだろお前」


「でも、確かにお腹は減りましたね」


 隠れ大食いのルリが、汗一つ掻かない涼しげな顔で言った。


「はーい! じゃあもう強引に始めちゃいましょう!」


 パンパンとユリカが手を叩き、注目を集めた。
 そして明乃とミナトが、バースデーケーキの蝋燭13本に火を灯していく。


「……みんな、ありがとう」


 モモは、ささやくように礼を言った。
 そして、無意識ではあるが、モモは自分の近くに設けてある空席を見た。

 言うまでもなく、横島のための席である。

 横島は未だに音沙汰がない。ボソンジャンプが出来なくなったので、無事に戻れた事は間違いないのだろうが。
 もちろん、時間を隔てることが如何に難しいことであるかはわかる。
 横島以外のナデシコクルーや、元木連の友人たちに祝ってもらうのも、嘘偽り無く嬉しい。

 でも、やっぱり一番祝って欲しい人が居ないことが、どうしようもなくさびしく感じる。
 その雰囲気を感じ取ったのか、場がちょっとしんみりしてしまった。


(会いたい……)


 そんなモモを見て、明乃は思った。
 もういっそ、告白の返事をくれなくてもいい。モモの為にも、みんなの為にも、そして勿論、自分の為にも帰ってきて欲しい。
 今までなんとか我慢をしてきたが、そんな我慢などあっさりと吹き飛んだ。


 会いたい。


 モモの胸元が、淡く光った。


「え!?」


 モモは、首から提げている巾着袋をあわてて引っ張り出し、手に取った。


「それは……?」


「忠夫が、帰る直前にくれた文珠だけど……」


 モモは若干焦っていた。この文珠は、横島が残してくれた大切な絆。
 横島に再会できる可能性は限りなく低い。その客観的事実から、一生使わずにいようと思っていた文珠である。
 勝手に発動して消滅でもしたら目も当てられない。

 だがモモの焦りを余所に、文珠に文字が浮かび始めた。


『蛍』


「ほたる……?」


 勝手に発動したのはいいとして、なぜこの文字になるのか。全員の心中に疑問符が浮かんだ、そのときだった。


 ずん。


 世界が揺れた。気がした。


「なっ!?」


 タマモが、驚愕もあらわに辺りを見回す。


「時空震!?」


 シロの雰囲気が戦闘用のそれに切り替わる。その姿に、先程の駄目犬の面影はない。


「なあピート。時空震ってなんだ?」


「簡単に言えば、何らかの原因で時空そのものが歪み、たわむ事です。それにより……」


「のんびり解説してる場合かっ!」


 タマモの一喝より一拍置いて、天井付近に黒い球体が発生した。
 その球体は放電しており、容易には近付けそうにない。

 そして一際大きく光をを放出する球体。全員が身構えたその時、


 ぽとっ。


「のわあっ!?」


 今までの派手な光と音はなんだったのかと問いたくなるほどごくあっさりと、球体は人を吐き出した。
 そして、何の未練も見せず小さくなり、そして消滅した。

 だがしかし、そんな事を気に留めるものはこの場にいない。


「横島くんっ!!」
「忠夫!!」


 バースデーケーキの上に落下したその人、横島忠夫に、明乃とモモは誰よりも早く抱きついた。
 クリームまみれになるが気にしない。


「明乃ちゃ……イデデデッ!? 明乃ちゃん、モモ、痛いから! さばおり決まっちゃってっからっ!
ああっ、でもやーらかい……。いでっ!? でも痛い! しかしこの感触はっ!? おっふううううう!
これがヘルアンドヘブンっ!? いかん、光になっちまう! クーラティオーされちゃう!?」


「ああ、いつも通りだな」


「うん。懐かしいね」


「しっくり来すぎて素に戻っちゃったな。俺ら」


「……やっぱり馬鹿ばっか」





 ――――――――――





 三十分後。ちょっと幸せそうな顔で気絶している横島を囲み、喧々諤々の熱い議論が交わされていた。

 すなわち、誰が横島を引き取るのかという事である。
 横島自身の意思は何一つ省みられていない上、状況も良く分かっていないのに、である。

 しかも、議論している人の目的の大半は横島自身ではなく、彼に確実に付いて来るであろうモモが目当てだというから呆れた話である。


 勿論、大半の人は冗談と分かって議論している。……はず。


 ちなみに、明乃は暴走した事に流石に恥じ入って小さくなっている。
 でもそれでも横島を膝枕しているところに愛を感じる。


 モモは一切の後悔も無く、平然と横島の腕に抱きついたままである。


「だからよぉ、俺たちゃ同じ釜の飯を食った仲だろ? いくら古い知り合いだからって、それを理由にするのは横暴じゃねーか?」


「ノー・ミスター・ウリバタケ。私と・横島さんは・一緒に・この身一つで・大気圏突入をした・仲です」


「マジで!?」


「て言うか、もうほんとに話が進まないんで、さっさと起こしちゃいましょうよ」


「うん、そうねメグちゃん……って、え!?」


 そこにいたのは、火星で行方不明になっていたメグミ・レイナードその人であった。
 驚くミナトとその他を見て、頭を掻きながら事情を話し始めた。


「いや〜、あのとき横島さんのクローンを根絶しようと敵の旗艦に潜入して目的を果たしたのは良いんですが、
脱出する前に色々あって木星まで流されちゃいまして。しかもチューリップも使えないじゃないですか。
だから、地球に帰る木星の人たちの船に密航したりとかしてやっと帰って来れました。その道中だけで長編小説が書けそうですよホント」


 実際の話、チューリップが動かないため、木星→地球の道のりは、移動だけでも相当長い時間かかる。
 その移動時間の短縮の際にも神魔族が一枚かんでいるのだが、それは割愛する。


「ま、それはともかくさくっと起こしちゃいますよ?」


 メグミは横島の首筋に、ズビシと手刀を入れた。


「はうっ!?」


 あっさり覚醒した横島だが、首筋に走る激痛に無言で蹲った。ぷるぷるしている。


 そして何とか気を取り直した横島に再び明乃とモモがさば折りを極めたり、再度の強制覚醒を経て全員にもみくちゃにされたりで、
 横島が消えてから何があったかを説明するのに、一時間ほどの時間を要した。





 ――――――――――





「いてっ!?」


 コンメリア内で、激しい振動に横島は顔を顰めた。
 しかし直ぐに気を取り直し、コンメリアの手の上の文珠で小型化した遺跡を確かめた。……ある。
 それを確認して安堵の息を吐いた。そしてようやく周囲を確認する。


 時間帯は夜。辺りを見回すと、フェンスに囲まれた殺風景な広場。恐らくビルの屋上だろう。
 横島はコンメリアから降り、文珠で迷彩を施してから、ビルの縁から眼下を見下ろした。


 あたりはビル街だ。道路上をひっきりなしに自動車のライトが行き来しているのが見える。


「か、帰ってこれた?」


 そういえば、とおぼろげながら思った。この雑居ビルは横島が未来に跳ぶ直前に除霊をしていたビルではなかったか。
 しかし流石に二年前の事である。そこまで細かくは憶えていない。

 横島は、コンメリアをその場に残し、ビルを出た。

 仕事帰りの人の群れ、時折聞こえるクラクション、歩道者信号から流れるチープな音楽。
 横島の胸に、今になって懐かしさがじわじわと広がってきた。

 しかし、ここが横島が元居た時代だという確証はない。
 横島は周囲の人に道を尋ね、最寄の駅に向かった。





 そして、いまや殆どが駅の近くにしか確認できない電話ボックスの前に、横島は立ち尽くしていた。
 はっきり言えば、怖いのだ。もしかしてここは、現在より数年過去ではないか? もしくは十数年未来ではないか?
 元々横島の居ない並行世界の地球ではないか? オカルトの無い並行世界ではないか? そもそもここは地球なのか?

 帰る場所は、あるのか?

 そんな怖れを無理やり飲み込み、電話ボックスの中のタウンページを開いた。





「美神除霊事務所」





 安堵のあまり、その場にへたり込んでしまった。
 帰ってきたのだ。
 横島は、へたり込んだまま泣き笑いに顔を歪めた。

 道行く人が怪訝な顔をしながら通り過ぎるが気にもならない。

 現代の小銭は持ち合わせていないが、この時代でも使える元々持っていたテレカは薄い財布の中に数枚収まっている。
 横島は気を取り直し、テレカを挿入し、震える指で電話番号をプッシュした。

 とぅるるるる……。

 と、コールが一回鳴った時点で繋がった。





『はい、美神除霊事務所です』





 おキヌちゃんの声だ。


「っ……」


 声が出なかった。
 否、出そうとしたが、出なかった。


『……? あの……?』


 おキヌちゃんが戸惑っている。イタ電と勘違いされるかもしれない。
 横島は、かすれる声で、なんとか声を絞り出した。


「お、おキヌっ、ちゃん……?」


『っ!?』


 どもった声でも解ったのだろうか。今度はおキヌちゃんが息をのんだ。


「おキヌちゃん」


 今度はどもらず言えた。


『横島……さん?』


 ガタっ! と電話の向こうで音がした。


『横島さん!? 本当に横島さんなんですか!?』


「うん、俺……」


 そこまで言った時、





『横島ぁーーーーーーーーーーッ!!』





 受話器越しでも周囲に響くほどの怒声だった。


「み、美神さんっスか!?」


『あんた、今ッ、どこよ!?』


「ヒィッ!?」


『どこかって聞いてんのよ!!』


「○○駅前の電話ボックスっス!!」


『そこを動くんじゃないわよ……!』


 ガシャン!


 地獄から響く声ってこんな感じかもしれん。
 横島は耳鳴りを感じながら、背中に流れる冷や汗を感じた。










 意外な事に、美神は再会して直ぐに横島を張り倒そうとはしなかった。
 ただ、まだ買い手の付いていない雑居ビルの屋上、つまり人気のない場所に移動してからはそれを行ったわけだが。

 その雑居ビルは、横島が帰ってきた場所であり、そしてやはり横島が消えた場所でもあった。
 ここ近辺は行方不明になった横島が最後に目撃された場所であるため、捜索の為に美神は一帯の地理・状況を詳しく把握していた。
 だから、この雑居ビルにはまだ買い手が付いていない事を知っていたのである。

 
 閑話休題。





「この、ばかっっったれがーーーーー!!!」


「へぶぉ!」


 美神の拳が横島の頬を捉えた。吹き飛ぶ横島。


「たぶんあんたの行方不明は事故なんでしょうけどね、この一発は方々で迷惑をかけた分よ」


「すんません……」


「……フン」


 素直に謝り項垂れる横島に、ひとまず落ち着いたのかそれ以上ドツこうとはしなかった。
 えへんと咳払いをして、それ以上怒ろうとはしなかった。

 そしてシロが駆け寄ってきて横島の顔を嘗め回し、おキヌちゃんに涙ぐまれ、タマモには毒を吐かれた。


「……で? この二年間一体何処に行ってたの」


 一通りの挨拶(?)が済んだところで、改めて美神は横島に事情を聞く。


「信じてもらえないかもしれないんスけど」


「何よ」


「二百年後の未来にタイムスリップしてました……」


 間。


「なんですって!? よく帰ってこられたわね……文珠?」


「ええ。一か八かの大勝負っスよ」


「横島さん、帰ってきてくれて嬉しいですけど、何でそんな無茶をしたんですか?」


 おキヌの疑問に、横島がうっ、と言いよどむ。


「それもそうね。ちょっとリスクが大きすぎるわ」


「いや、博打をうたなきゃいけない事情が……」


「へぇ? そりゃ是非とも聞きたいわね」


 どうせ説明は必要だろう。
 横島は、「長い話になるっスよ」と前置きした。











「機動戦艦……?」


「GSの仕事が無いんですか!?」


「ロボットが飛び交う時代でござるか……」


「ヨコシマあんたって……。数奇というか、どういう星の元に生まれてんの?」


 呆れ交じりの感想を挟みつつ、横島の説明は佳境に差し掛かる。


「……で、核ミサイルの絨毯爆撃から皆を助けるために、遺跡ごと元の世界に戻ってきたわけっスね」


「…………」


 最初こそ呆れ混じりの感想を持った美神らだが、撃たれて生死の境を彷徨ったくだりや横島のクローンの話になると、
 流石に笑えなくなったようである。

 アシュタロスと賽の河原で会話した事は話していない。

 他にも、妖怪や神魔族がいない理由については横島も分からないとぼかしている。
 もちろん、未来のシロやタマモの想いもだ。


「……話は大体分かったわ」


 美神は固い声で言った。


「で、その遺跡とやらは何処にあるの?」


「あ、ここっス」


 横島は、文珠の迷彩を解除した。


「ちょっ……!? ロボットごと帰ってきてたの!?」


「はぁー、コンメリア……へりお? なんでしたっけ。かっこいいですね」


「本物持って来られたら信用するしかないのかしら」


「この手に乗ってるのがちゅうすうゆにっとでござるか?」


「そーだよ」


「はぁ……。まぁなんにせよ、肩の荷が一つ下りたわ。とりあえず私はママに連絡しとくから、
横島クン、ご両親にはあんたが報告すんのよ。
それと、これからしばらくは色んなトコに頭下げる毎日よ。覚悟しとくのね」


「……了解っス」


 肩を落とす横島に、おキヌちゃんが元気出してください、と横島を慰めた。


「ああ、そうそう。そういえば忘れてたわ」


 美神が何かを思い出したように手をぽんと叩く。


「ああ、そういえば」


「そうでござるな」


「そうね」


「??」


 まだ何かあるのだろうか。横島は心の中で身構えた。


「お帰り。横島クン」
「おかえりなさい!」
「お帰りなさいでござる!」
「おかえり(ボソ」


「―――――ただいま!」





 ――――――――――





「とまあそんな感じで向こうについたは良かったんだけど、もうそこから美神さんの言う通り頭下げる毎日で。
西条には嫌味言われるわ、タイガーは男泣きだわ、美神さんに半殺しにされた後にお袋にも半殺しにされるわで……」


「はあ……それはそれは、なんて言うか……。……ってそれ死んでるじゃないですか!?」


「ああ、美神さんに半殺しにされた後、お袋がくるまでに間があったから。多少は回復できたわけ。
そんで、直ぐにでも一回はこっちに来たかったんだけど、お袋が、休学扱いにしてくれてた高校を卒業するまで許さん! とか言って。
こっちに来る事自体はわりとすぐに説得できたんだけど」


「説得できたんですか!?」


「モモのこととか、明乃ちゃんのこととか、お世話になった人のこととか話したら、むしろ行けって。それで一回連れてこいって。
美神さんとか小竜姫さまとかは反対したけど、うちの家族の事だ、口を出すな! って」


「神族をビビらせたんですか……。流石ですなぁ」


 プロスが若干の敬意を込めつつ嘆息した。


「しかし気になるのは、どうしてそんなにあっさりこっちに来れたのか、ですな。いかにイメージ勝負の文珠とは言え、
無限に広がる時間と並行世界の中から、正確に今のこの場所へ来れるものですかなぁ」


 この時代では例外的に霊能に詳しいプロスは首を捻った。


「それは……」


 横島は、モモの手の中の文珠をちらりと見てから、話し始めた。


 最初は俺も途方にくれたんスよ。俺の知り合いに時間移動能力者は居ましたが、その人が協力してくれるはずもなかったし、
 そもそもその人自身行った事のない時代で、さらに俺を連れてなんてのが無茶な話らしいし。
 で、結論から言えば理論上文珠だけで戻ってくる事は出来るっスよ。場所と時間の指定に十文字以上の制御が必要っスけどね。

 今は何文字制御できるかって? そうだなー。二個までなら100%、三個なら今の俺なら多分80%くらい、四個なら30%くらいかな。
 美神さんは、30%なんか当てになる数値じゃないから絶対使うなって言ってたなー。四個無駄にするのはあの人には耐えられんらしい。
 で、なんでそんな事聞くんだよ北斗。……まさか戦力分析とは言わんよな? え、そうだってお前……。隠す気ナシかい!

 話を戻すと、そんな十何個の文珠を制御できるようになるまで何年掛かるかわからんし、四個程度でここに来るのもまず無理だし、
 じゃあどすんの、って途方にくれてたんスけど、それでも駄目元で四文字制御でここを必死にイメージしたんス。無理だったけど。
 何て言うんスかねー。ここを思い浮かべるのは余裕スけど、そこに転移しようとすると急に真っ暗になるって言うか……。
 あー説明し辛いなー。知り合い曰く、その真っ暗具合がここに来る難易度をあらわしてるとかなんとか……。

 え? さっぱりわからん? せやなー。ワイもさっぱりわからんわ。
 でも最近、同じ事をすると、暗い中に光ってる場所があるんス。言葉で表現するなら、暗い夜でも見える灯台の光みたいな。
 そうなんスよ。理屈じゃないけど解ったんス。その光は灯台でした。つまり道標だったんスね。
 この光を目指して転移すれば、きっとここに来る事が出来る。

 それから色々実験したっスけど、結論。「文珠一個で灯台の役割の目印を作れば、そのポイントへの転移は大幅に難易度が下がる」
 ええ。殆ど裏技っスね。数日レベルの時間移動なら、目印アリなら文珠二個で転移できましたよ。
 時間移動能力者の知り合いは、なんてインチキ! っていってましたね。


「まー大体そういうわけ。詳しく説明しようと思ったら長編小説が一本書けそうな……」


「そのネタはもういいから」


「そういうわけって、じゃあ横島くんはある程度自由に向こうとこっちを行き来できるってわけですか!?」


「俺以外にも数人程度なら行き来してもいいって」


「なんですと!? それは一体どういう理由で?」


 プロスの驚き様は半端ではなかった。彼にしてみれば、青天の霹靂といっても言い過ぎではない。


「いや、詳しい理由は俺にも伏せられてるんスけど、遺跡の封印の参考にこっちに調べ物をしに来る必要があるとか何とか。
で、こっちからも観光くらいなら行っても良いみたいで。でも、ものの持ち込みは厳しく制限されるし、
話す言葉にも検閲がかかって、ヤバいことは、喋る事すらできないらしいっス」


「さすが神様。なんでもアリね」


 ミナトが呆れて肩を竦めた。


「よーし、んじゃあ今日はモモの誕生日並びに横島帰還記念日だな!」


 やんややんやーと盛り上がる一行に苦笑しつつ、再びモモの手の文珠を見た。


『蛍』


「…………。お前、ホントにイイ女だわ」


 文珠は返事するかのように一度瞬き、蛍の文字は消滅した。


「わたし?」


「え? ああうん。モモも勿論イイ女だぞー。はは……」


「わたし「も」って……? あれ、この文珠、消えてない」


「ああ、なんか良く解らんけど、その文珠は使ってもなくならんらしい。そのつもりで作ったけど、ホントに出来るとは」


「無くならないって……!」


 明乃はびっくりしているモモと思わず顔を見合わせた。


「モモ、皆にも言っちゃ駄目だよ」


「うん」


 モモも珍しく狼狽して周囲を見回す。幸い誰にも聞かれていないようだ。メグミやシロタマは解らないが。


「ま、それはともかく……」


「?」


 横島は、きょとんとする二人に、心からの笑顔を見せた。





「ただいま!」




















 そして、時は巡る―――――










「よ、横島くーん!!」


「明乃ちゃん? んー、ワイと別れるのが寂しいんは解るけど、美神さんがいい加減こっちにも顔出せってかなりせっついて……」


「え、はい……。また会えるって解ってても本当に寂しいですけど……っていやいやいや! そうじゃなくて!」


「えー、もしかして「あっち」のシロタマがまたなんかやらかしたとか?」


「そうでもなく! 「こっち」のタマモさんが、ものすごく大きな時空震の前触れが来るって言ってるんですよー!」


「なんやて!?」




 で。




「……ナデシコ?」


「それとは別の艦までありますけど……」


 横島らが知るものとは細部が異なるナデシコと、そのナデシコから伸びるビームのアンカー? が打ち込まれたこれまた戦艦。
 それが時空震が起こった現場にころがっていた。
 辺りには、軍の関係者が忙しそうに走り回っている。マスコミの締め出しにも苦労しているようである。


「忠夫ー」


「モモ?」


 名前を呼ぶ声に、横島が振り返る。その先には、青い機動兵器を背後霊のように従えるモモ。


「モモ、もうアメージンググレースを鼻歌交じりに操れるんやな」


「うん。三機同時はまだ気を使うけどね」


 あっさり言うが、実は凄いことである。ハイレベルのマシンチャイルドでも、三機を操れる者は片手の指に満たない。
 そして、モモには文珠という奥の手がある。本当の命の危機というレベルでしか使おうとはしないが。


「でも、どうしてここに?」


「時空震が起こったって言うから、きっと忠夫も来てるだろうなって」


「ソウデスカ」


「……何、明乃」


「べつにー」


「ま、まあまあ。それより、このナデシコがどっから来たかは知らんけど、んー、どっちにしろワイらの出る幕はなさそーやな。
でもま、ちょいと中の様子だけでも探ろかな?」


「何をするんです?」


「これ」


『傍』『受』


「傍……受?」


「中に人が居ったら、なんか物音くらいするやろ」


「盗聴って犯罪ですよ」


「直ぐ止めるって。ま、ここまで来たんやし、中に命が危ない人も居るかもしれんし……」


 横島は、文珠を発動させた。


「忠夫、どう?」


「うーん……なんだ? 良く聞こえん……。むむ……。アキトサン? ハーリー君? なんかルリちゃんに声が似てる……」


 横島は、気付かなかった。


「なんか朦朧としてるっぽいか……。ハーリー君とやらに指示を出そうとしてる? アキトサンってなんだよ」


 横島は、気付かなかった。この戦艦が、時間どころか、次元さえも超えてここに現れたという事を。


「んー? マジでルリちゃんっぽいな……」


 横島は、気付かなかった。この戦艦が、天文学的確率によって、火星の遺跡すら影響が及ばない平行世界より現れたことを。


 そのとき、ナデシコ? から重い振動音が響いてきた。
 この場にいる人間には知る由も無いが、本来この場にあるはずがないイレギュラーが、何処からの修正力かは定かではないものの働き、
元の世界に戻ろうとしているのだ。 

 この場の人間にそのようなことは分からない。なにしろ、この世界には遺跡が無いため、ボソンジャンプは出来ない。
 ボソンジャンプはもう出来ないのは周知だが、ボソンジャンプではない時空転移は存在しないからそんなものは想像出来ないのだ。

 なんにせよ、このナデシコが現れたのは一時的なことでしかなく、直ぐに元いた世界(そこがどの時間であるかは定かではないが)に
戻ろうとしていたのだが……。


「……なんか、俺までこのナデシコの転移に巻き込まれてる感じじゃね?」


「ええっ!?」


 横島は気付かなかった。遠巻きに見ていただけにも関わらず、文珠でナデシコの内部に僅かながらも繋がったことにより、
転移に巻き込まれようとしていることを。

 
 横島は気付かない。物語が終わりを迎えても人生はまだ続き、終わりはまた新たな物語の始まりでしかないということを。


「はぁ……めんどくせ。何処に行くかは知らんけど、「マーキング」はしてあるから多分戻ってこられるか……」


 ため息をついた横島の手を、明乃とモモがぎゅっと握った。
 

「えっ」


「私も行きますよ。横島くん」


「え”っ」


 明乃が、にっこり微笑みながらそう言った。


「今度は絶対に離さない」


「ちょっ」


 モモは、今度は眠らされないように文珠をちらつかせている。逞しくなった物である。


 横島は気付いた。明乃とモモからは一生逃げられそうもないことを。

 自分自身も逃げる気は起きないだろうということを。


「はー……。まあしゃーねーかー。行き先もこことそんなに変わらんだろうしなー」


「一生付いていきますから!」


「明乃……。さりげにアピるなんて、こすい真似を……!」


「モモはいつもべったりじゃないの!」


(どう返せっちゅーんじゃ)
 

 横島は聞こえないフリで、ブレていく景色を眺め、目を閉じた。





 二人の言い争う声をBGMに横島は思う。
 今回だけでなく、これからも大地、星、時間すら越えて、明乃とモモと色々な騒動に巻き込まれるかも知れない。
 そしてこれほどの事態すら、横島の人生ではちょっとすごい事件に過ぎないのかもしれない。

 でも人生はまだ続く。そんな流れに乗るのも決して悪いことではない。


 そう。




 遥かなる時の流れに。










 END




























 イネス先生の、なぜなにナデシコ出張版

 良い子の皆さん、こんにちは。なぜなにナデシコ出張版もとうとう最終回となりました。
 ま、いつもとやることは変わらないけどね。

 て言うか、私の秘密が全く明かされないまま終わっちゃった気が……。


Q1:最終回にしか出番がなかった機動兵器+α

 正直、最終回で、しかもほんのちょっとしか出番がないからこそ許された超性能よ。


・コンメリア・ヘリオライト

武装:ラピッドライフル×1、イミディエットナイフ×1。それだけ。
特殊機能:文珠生成装置、展開式ソーラーパネル×6

上腕部、大腿部、腹部のパーツが赤くなったコンメリア。ヘリアンサスと混じることにより、
へリアンサスのソーラーパネルと、その数世代先の機動力を手に入れた反則機。
正直変わったのはそれだけなんだけど、それだけでこの時代のどんな軍でも敵わないでしょうね。

ヘリオライトとは、宝石の一種の日長石のこと。サンストーン、アベンチュリンとも言うわ。
日長石=太陽ということで、ヘリアンサスが混ざったコンメリア、って意味みたい。


ちなみに、現代では美神さんも有効活用したこともあるみたいで、


横「み、美神さん! 本当にやるんスか!?」


美「あったりまえでしょ!? 元手がかからず防御もカンペキ。使わない手はないじゃない!」


キ「い、いいのかなぁ……」


美「建物ごと壊していいって言われてるし、空から文珠で絨毯爆撃よ!」


横「……はぁ。やれって言うんならやりますけど」


 ちゅどーん。ちゅどーん。ちゅどーん。ちゅどーん。ちゅどーん。ちゅd(ry


美「おーっほっほっほ! 無敵無敵ィー!!」


キ「本当にいいのかなぁ……」





……とまあ、こんなこともあったらしいわ。
流石に母親と小龍姫様に大目玉くらったというオチがつくんだけどね。


・ヘリアンサス・フローライト

武装:ラピッドライフル×1、イミディエットナイフ×2、レールガン×2、CFランサー×2
特殊機能:ジャンプフィールド発生装置、展開式ソーラーパネル×6、光学迷彩装置、多目的スーパージャマー

上腕部、大腿部、腹部のパーツが白くなったヘリアンサス。とにかく豊富なジャマーが搭載されているのが特徴。
ミサイルなどの誘導兵器を撃てば狙いが逸れ、肉眼でもって狙い放つ非誘導兵器も何故か逸れ、
接近戦を挑めばその姿は幻影で、相手の認識を阻害し、気付きにくいけど第六感的スキルも効果を発揮しない。
本文中にもある通り、機械的にも、視覚的にも、霊的にもジャミングを行う反則機。
相手は幻を相手にしている気分になるでしょうね。

攻略法は超広範囲を攻撃することだけど、ただでさえ高機動であるに加え、満を持して解禁されたボソンジャンプで
それすら命中させることは難しいわ。

正直、横島君inコンメリアHLでも文珠を湯水のように使わなくちゃ厳しいと思うわ。

フローライトとは、鉱物(宝石に非ず)の一種である蛍石のこと。紫石英とも言うわ。蛍光するものは夜明珠とも。
蛍石=蛍、つまり蛍の化身ルシオラを暗示してて、彼女の力を借りたヘリアンサスって意味みたい。


・スカーレットフレーム

武装:イミディエットソード×1、ラピッドライフル×1、レールガン×2

ヘリアンサスのデチューン機で、量産のための試作機。
デチューンとは言え、現在のこの機体はヘリアンサスとほとんど性能に差はなくて、無用の長物と化したジャンプフィールド発生装置、
あまり使われることのなかったソーラーパネル、サンシャインフィンガーがオミットされてるわ。
でも原作のエステバリスカスタムみたいに、操縦出来るのは今のところの一部のエースだけみたい。要改良ね。
CFランサーはないけど、何気にナイフじゃなくて剣を持ってるわ。

ちなみに、本文にある通り、この機体は高性能機動兵器の量産試作機という位置付けであって、
エステバリスのフレームバリエーションじゃないの。
ヘリアンサス=赤い→それにあやかり赤い高性能フレームを開発→ヘリアンサスがモデルの赤フレーム=スカーレットフレーム
と勘違いする人多数。

スカーレットフレームとは、芝桜の一種よ。芝桜としてはポピュラーで、花弁はとても真っ赤な花色。
芝桜は、桜に似た花弁を持つけど、地面を覆うように密生する花で、木じゃないの。絨毯のように群生した芝桜は凄く綺麗よ。
別名ハナツメクサ。英名はモスフロックスよ。
花言葉は、「忍耐」「燃える恋」「臆病な心」「一筋」など。なんだか、明乃ちゃんとモモに合った花言葉じゃない?


・アメージンググレース
武装:イミディエットソード×1、ラピッドライフル×1、ミサイルランチャー×2

この機体は初の完全遠隔操作機動兵器よ。ぶっちゃけリモコンロボ。
木星の無人兵器のプラントがもう遥か彼方になっちゃったのも開発理由の一つなんだけど、
全くパイロットに危険が無く、それでいて高性能な無人機という無茶なオーダーを上から出されたという理由もあったり。

正直、操作感はテレビゲームのそれと殆ど変わらない上に、パイロットに命の危険が無いからかなり人気が出たんだけど、
有人機と比べて給料が安かったりするの。
なにしろ、危険手当は無いし、危険が無い分簡単に試作機をオシャカにされること多数だったから払いが渋いのね。
ま、命はお金で買えないから一長一短かしら。

でも実際、本当に真剣な人のスコアは有人機のそれと遜色ないし、無人である分かなり無茶な機動が可能よ。

アメージンググレースとは、これも芝桜の一種。花言葉も同じ。
芝桜の品種としては有名だけど、あまり流通していない結構貴重な花よ。全体が白色で中央がピンク色の花弁が特徴。

某賛美歌とは何も関係ないわよ。


・珠玉
武装:無し。

横島君のクローンを乗せた外道兵器。正式に量産される前に戦争は終わっちゃったけど、
試作機の時点で馬鹿みたいな数が作られたから結局量産になるのかしら。試作量産機?
試作機にも、クローンをそのまま乗せてる前期型、脳幹だけでスペースが開いた分スペックが向上した後期型があるわ。
結局は新兵器のひき立て役にしかなれなかったから、二重の意味で悲劇的ね。


Q2:モモってまだ中学生じゃなくね?

 飛び級。←マジ顔


Q3:芦 優子ってもしかして……?

 さ、さぁ? 一体何者なのかしら。
 普通の中学生じゃダメ?


Q4:横島が帰ってきた場所は雑居ビルって書かれてるけど、廃ビルじゃなかったっけ?

 美神除霊事務所が除霊したから改装したんじゃないかしら。


Q5:ラストで三人は何処に行ったの?

 ご想像にお任せするわ。と言っても、バレバレでしょうけど。










 オワタ。
 本編オワタ。
 完結してしまった。

 そう。

 完結しました。
 完結しました! イヤッホーウ!

 苦節10年! 当時の10歳児が二十歳!!
 途中で自信がなくなってスランプに陥ってましたが何とか完結しました。長かったな……。

 ラストの神様に丸投げすることとか、最後に某作品の世界に跳んじゃう事とかは最初から決まってました。

 正直、もう最後は完結させることに必死で、原作の魅力的なサブキャラを殆ど活躍させられなかったのは心残りです。
 たくさんのキャラを使いこなしている作者さんは本当に尊敬します。私はどうにも力不足でした。


 何はともあれ、完結までこぎつけられたのも応援してくださった皆さんのおかげです。マジで。
 管理人さん、代理人さん、今までお世話になりました。





 で、以下は私の個人的なキャラ語り&精神コマンド+その他です。
 特に読まなくて問題ありませんが、ちょっとした裏設定が書いてあるキャラも。



























・横島忠夫
主人公。
言わずと知れた僕らのヒーロー。
いまだにクロスオーバー物の主人公を張る事があるのは凄いですね。汎用性高すぎでしょう。
馬鹿でスケベだが実は恋愛に臆病で、力づくで止めてくれる人がいないとそこまで派手なことはしない。
所謂、最後まで行けないヘタレ。
雪谷食堂でのバイトをこなすうちに、大衆中華料理が異様に上手く作れるようになった。
また、木星での生活で和食の腕前も強制的に上げる羽目になった。
木連式柔も習ったが、かじった程度でチンピラ程度にしか勝てない。
でも霊力と違ってシリアスモードになっても威力は落ちない(ぇ。

搭乗機:エステバリス→エステバリス複座フレーム→コンメリア(速攻で大破)→エステバリスプラス→コンメリア・ヘリオライト

応援20 脱力20 順応10 
閃き10 撹乱40 奇襲50 

性格:楽天家
技能:煩悩 強運 ヒット&アウェイ SPゲット 精神限界突破

エースボーナス:「文珠」の消費精神ポイントが70になる。SP+50

※横島の乗る機体の武装には、もれなく「文珠系兵装」が追加される。種類は機体により異なる。
 横島固有のコマンド「文珠」(精神コマンドではないものの、SP100消費)を使用することにより、
文珠が一個生成でき、その文珠を使用することで一種選択し使用可能になる。持続時間は効果により異なる。
※「文珠」は1マップ3回まで。生成した文珠の未使用分はストックでき、次のマップ以降に持ち越せる。文殊の個数は、様々なイベントでも増減する。
※「煩悩」は、特定の女性キャラと複座か隣接している時のみ「SP回復」効果を発揮。回復量は重複する。
※「精神限界突破」は、SPが回復するとき、最大値以上に回復できる効果(最大SP値の倍が上限)。

横島「どう見てもサブパイロットの精神です。本当にありがとうございました。
   本当は「覚醒」を憶えるはずだったのに、原作で覚醒済みなので無かった事に」
明乃「消費ポイントは控えめですけどね」
モモ「奇襲と文珠が強い。なんとかなる」



・天河明乃
ヒロイン。
修行前のスキル自体はアキトとほぼ同じ。それ以外はTSの名をかりたオリキャラ。
あ、序盤でも横島への突っ込みのときだけ、異様に戦闘力が高まりますw
このSSは明乃の成長物語と言う側面を持つ為、そういう意味では真の主人公。
だって横島ってあんまり成長させる要素がないんだもんw
ボソンジャンプで過去の月に跳び、月神族とカオスらの協力で猛特訓。飛躍的な成長を遂げる。
アキトとは違い、恋愛には結構積極的。
同い年以上には基本的に敬語。でも年上のユリカには敬語は使わない。
外伝で出会った、平行世界の同一人物である時ナデアキトのことを変態だと思っている(笑。

横島のことはLove的な意味で好き。

搭乗機:エステバリス→エステバリス複座フレーム→ヘリアンサス→ヘリアンサス・フローライト→スカーレットフレーム
CFランサー:ディバインアーム、普通のミドルソード(二刀流)

根性15 集中15 努力20 
直感25 熱血40 覚醒60

性格:強気
技能:A級ジャンパー 見切り 底力Lv6 ラーニング

エースボーナス:「熱血」が「愛」(消費40)に変わる。

※「A級ジャンパー」と「見切り」は月での合流時に取得。
※ラーニングは、特定の攻撃を見たとき、その技を習得できる。機体によっては使えないものもある。

モモ「何か普通」
明乃「うッ!」
横島「ワイと違って、オーソドックスに纏まっとるなー」
モモ「……主人公的?」
横島「うッ!」



・横島モモ
ヒロイン。
異様なまでの存在感と人気で、余裕でメインキャラに。
横島と同室で一緒に寝ている。あまつさえお風呂もよく一緒に入る。爆発しろ。
一応言っておくと、横島から一緒に入ろうとした事は一度も無い。
数年後まで横島に彼女が出来ていなかったら、確実にモモと結ばれることになると思う(笑。
つーか彼女が出来ても油断できないぞ、横島!
知らなかったとは言え、横島のクローンを殺したのがトラウマ。
最終回で中学校に通っている。
その際、学校生活を円滑に回すために明るい性格を演じている。
思ったより演じるのに抵抗はなかったが、知り合いに見られるとちょっと恥ずかしいらしい。
その影響か、特に演じる必要が無いときでも自然と柔らかい表情になることが多くなってきた。
火星で、横島から使ってもなくならない文珠(双文珠に非ず)を貰った。

横島のことは大好き。愛してる。刷り込み効果や依存もあるが、それよりも愛情の方が強い。

搭乗機:コンメリア→アメージンググレース

戦艦サブ
信頼15 分析20 応援30
期待60

パイロット
分析20 必中15 鉄壁30 
撹乱60 愛60 絆50

性格:強気
技能:システム解析 ガード 援護防御

エースボーナス:被ダメージが0.8倍。防御時は0.4倍。

※「システム解析」は、交戦中の敵がAI系なら相手の命中・回避を20%減少させる効果。掌握はまだ出来ない。
※パイロット時、横島同様文珠を1MAPに1回限りで使用可能。使用せず持ち越しても、次MAPの使用回数は増えない。

モモ「パイロット時は、忠夫がいないから「信頼」「応援」「期待」がない。でも「愛」と「絆」は不滅」<キリッ
横島(なんか「上手いこと言った」って顔しとるな……)
明乃(ドヤ顔……)



・ミスマル=ユリカ
このSSがギャルゲーならヒロイン候補。
アキトが絡まない拙作では、意外なまでにまともなキャラ。つーか普通にイイ女。
思い出したくもない厨二時代では、ヒロインどころかウザい奴だと思ってた。懐かしいw
原作でもイイ女だった筈だが若かった作者はそれに気付けなかった。
B3Yのユリカルートとエンドを見た人ならなんとなく解ってくれる筈。筈だよね!?
このユリカは、三十路を過ぎたら、某秋子さんや某桃子さんのような誰も逆らえないポジになる。間違いない。

横島のことは、内心とても頼りにしている。




・ホシノ=ルリ
このSSがギャルゲーならヒロイン候補。
横島に関わったせいか、結構感情豊かな電子の妖精。健啖家は多分公式。
ある理由により、横島が絶対に頭が上がらない人になってしまった(笑。
所々でちょいちょい横島への好意を表わしていたが、26話であえなく失恋する。
でもそれで諦めたと言う記述はまだない(笑。




・ハルカ=ミナト
このSSがギャルゲーならヒロイン候補。
美神さんと瓜二つという設定。(←活かせているとは言いがたい設定orz)
横島とはお互いにちょっと気になる関係だったりしたのだが、
やっぱちょいとアピールが足りませんでしたね。
実は中々の霊力の才能が有り、鍛えてない今でも霊力だけなら結構高い。
ぶっちゃけ美神家の血を引いているという裏設定有り。
ちなみに、横島のことを多少引き摺っているためか、九十九とはまだ清い関係w
とても情が深いお人です。マジ女神。



・メグミ=レイナード
非ヒロイン。
どうしてこうなった。いやマジで。
るろ●に剣心の師匠や、刃●の最強親父、めだ●の安心院さん的ポジションの万能無敵キャラ。
108個の隠し技をもち、隠し技を除いてもオールラウンダーで、ついでに109個目の隠し技、ボソンジャンプまで習得。
……した次の瞬間にジャンプ不可能になり途方に暮れた(笑。
元々火星に住んでいたが、木連の暗部に拉致られて色々ひどい目にあった。
そのひどい目にあったことの副産物として身体能力の超強化と、隠し技のいくつかを得るに至る。
A級ジャンパー以外に超常的な力は持っていない。でも持っている人でも多分勝てない(笑。

搭乗機:エステバリスコマンダーフレーム

手加減1 直感10 突撃10
直撃10 狙撃10 戦慄80

性格:冷静
技能:A級ジャンパー 天才 精密攻撃 再攻撃 EBセーブ サイズ差補正無視

エースボーナス:移動力+2 射程+2 交戦した敵の気力−10

※「EBセーブ」は「Eセーブ」と「Bセーブ」の両方の効果。
※「射程+2」は射程1の武器を含む。MAP兵器は含まない。
※「戦慄」は「覚醒(本家は再動)」「必中」「不屈」「熱血」「電瞬」「両断」が同時にかかる。
 つまり無限のフロンティア仕様(敵専用精神コマンド)。

横島「どうしてこうなった」
明乃「どうしてこうなった」
メグ「どうしてこうなったんでしょうねぇ」
モモ「戦慄のメグミ(笑)」


・三人娘
非ヒロイン。
三人纏めちゃった(爆。
リョーコとヒカルはあんまり原作とポジションに変化無し。
イズミは、自分の過去も相俟って、多少横島に協力的且つ好意的。
戦闘に日常に、何かと使いやすいトリオでありました。

搭乗機:エステバリス
CFランサー:特に元ネタの無い斧(リョーコ)、サンライトハート(ヒカル)、ノーマル(イズミ)


・ダイゴウジ・ガイ
例によって生き残りました(笑。
あまり目立たなかったのは作者の力不足です。
あと、作者に過去を捏造された。父親はブラックコンドル(嘘。
某優華部隊の彼女とフラグが立ったりはしてない。
余りにも名前を強調する為、リョーコあたりは諦めてガイと呼ぶ事が多い。

搭乗機:エステバリス
CFランサー:ゲキガンソード


・イツキ=カザマ
このSSがギャルゲーならヒロイン候補。
妖怪をやめた愛子の子孫。私は妖怪をやめるぞー! 横島君ー!!
見た目は愛子に似ているけど殆ど同一人物のミナトと美神さんほどではない。

横島のことは、話に聞いていた以上に面白い人だと思っている。

搭乗機:エステバリス
CFランサー:ロンギコルニス

狙撃20 根性20 直感20
祝福40 激励50 熱血40 

性格:強気
技能:援護攻撃 連携攻撃 Bセーブ

エースボーナス:援護攻撃時の攻撃力とクリティカル率+20%

イツ「精神コマンドに「青春」がないんですけど」
横島「あってたまるか」



・アオイ=ジュン
横島と一緒に女体化した人(笑。
好みのタイプはユリカと女化した横島。
アキトがいないせいか、ユリカの彼氏になるのも夢ではない。
また、原作と違いIFSは無い。
ヒロインではない筈。


・プロスペクター
実は、原作世界で横島が行方不明なった後に誕生した横島の弟の子孫というアホみたいな裏設定有り。
まー作中では最後まで明かすつもりは無かった設定なんですが。
オカルトサイドと繋がりがあったり、商売上手だったり、
決戦前に、横島から没収したと嘘をついて、パイロットに文珠を一個ずつ渡したのもその影響。
いくら横島でも、文珠を美神以外の他人に渡すことは基本的にないです。必要があったら渡しますけど。
あ、彼自身が文珠使いであるというわけではないので。念のため。


・北斗&枝織
隠しヒロイン?(ぇー
木星と地球の距離は、如何ともし難い大きな壁でした。
おかげで全然目立てないw だから隠しヒロインなのか(だから違う。

横島のことは、ライバルで一番の親友だと思っている(北斗)。とても大好き(枝織)
明乃のことは、横島に次ぐ、正面から戦えるライバル(北斗)。ライバル(意味深w)(枝織)

搭乗機:鬼神皇
対時空歪曲刀:閃刃鶴(なんだか凄い日本刀だと思いねぇ)

北斗
ド根性30 直感25 直撃15 
気合20 友情40 魂50

性格:超強気
技能:底力Lv8 見切り ガード 気力限界突破

エースボーナス:命中+15% 格闘武器での最終ダメージ1.1倍。

※任意に枝織にチェンジできる。


枝織
直感20 集中15 幸運30
直撃20 信頼15 勇気60

性格:楽天家
技能:強運 見切り ダッシュ サイズ差補正無視

エースボーナス:回避+15% 射撃武器での最終ダメージ1.1倍。

※任意に北斗にチェンジできる。

北斗「なんか弱くないか?」
横島「仲間ならこんなもんだろ」
明乃「再世編のルルーシュも、敵の場合は「天才」所持者でしたしね」
枝織「枝織はリアル系、北ちゃんはスーパー系なんだよ!」
モモ「エステのコンパチ機の神皇なのにスーパー系パラの北斗って、ボス戦にしか役に立たない……」
北斗「…………」orz
横島「げ、現実の北斗はスーパーに加えてリアルそこのけの回避技術あるからいーじゃん!」
モモ「枝織の場合、射撃武器が弱い神皇なのに、射撃系リアル……」
枝織「…………」orz
明乃「あ、だめ」
横島「それいじょういけない」


・零夜
隠しヒロイン?
描写は薄い物の、実は優華部隊で一番横島に対するフラグが立っていたり。
このSSでは部隊が連携する上で欠かせない、縁の下の力持ち的ポジション。
北斗の食事をずっと作ってきたものの、そのポジションをぽっと出の横島に奪われ、
ライバル心をめらめら燃やすことに。
出会いが違ったり、もっと長い時間を過ごしていたらモモと同等くらいにはヒロインしてた筈。

横島のことは、好悪入り混じった複雑な想いを抱いている。

搭乗機:闇神皇

偵察1 手加減1 集中15
閃き15 応援30 愛70





おまけ

シロ
直感20 電瞬40 熱血30 
修練25 両断40 神狼90

性格:強気
技能:神狼 極 底力Lv9 見切り 精神防御 気力限界突破

エースボーナス:出撃時の気力+30 気力170以上で最終ダメージ1.2倍。

※「電瞬」は、一度だけ移動力に+6
※「修練」は、「努力」、「幸運」が同時にかかる。
※「両断」は、3ターンの間、全ての攻撃に「直撃」の効果。
※「神狼」は、
精神:「勇気」「魂」「鉄壁」「狙撃」が同時にかかる。
技能:格闘値、命中率、クリティカル率、武器の攻撃力に+補正。

明乃「……」
モモ「……」
横島「シロ自重」
シロ「か、神だから別に良いでござろう……」


タマモ
直感15 感応20 分析10
結界40 祝福40 天狐90

性格:冷静
技能:天狐 天才 指揮官 Eセーブ 精神防御 SP回復

エースボーナス:最終回避率+20% 回避系技能の発動率25%アップ。「ジャミング機能」の効果と範囲が2倍。

※「結界」は、1ターンの間、味方ユニット全体が敵の特殊効果(EN減少、能力値半減、気力マイナス等)の影響を受けなくなる
※「天狐」は、
精神:「愛」「撹乱」「集中」「突撃」が同時にかかる。
技能:射撃値と回避率に+補正が入り、搭乗機が「ジャミング機能」、「分身(発動率50%)」を得る。

タマ「どう? シロより自重してるでしょう」
明乃「……」
モモ「……」
横島「もう全部メグミちゃんとシロタマでいいんじゃねーかな」



おまけ?







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代理人の感想
お疲れ様でした!
そして完結おめでとうございます!


いやあ、まさかまさかの再起動&完結!
尊敬します。いや、マジで。

しかし最後までドタバタでしたね。
アシュ様まで登場するとは正直思ってませんでしたw
(後、個人的にアシュタロスのあれは「死」ではなく「解脱」(そもそも転生しない)だろうなと思ってたのもあります)

そして落ちがこれかw
・・・・まぁ、らしいっちゃ
らしいですがw

後、個人的にはミナトさんこっそり応援してたんですが、結局振られて残念無念。

それでは最後にもう一度・・・完結おめでとうございました!



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