「横島君」


「いきなりなんスか、スカさん」


「ちょっとホテル・アグスタに忍び込んで、レリックを盗って来てくれないか?」


「嫌っスよ。んな犯罪行為」


「ですよねー」


「用はそれだけスか? じゃあちょっと食材買いに行って来ます」


「……いってらっしゃい」


 そう言って出て行った横島を、スカリエッティは簡素な言葉で見送った。


「……」


「……」


「ドクター」


「なにかな、ウーノ」


「馬鹿ですか?」


「ですよねー」







 数日後。


 どうしてこうなった。
 横島忠夫は心の中で呟いた。


「……」


 現在、横島は椅子に座らされていた。周囲には美女&美少女が取り囲んでいる。
 この女性らが一つの集団に属する人員だとするならば、容姿を選考基準に含めたとしか思えない。

 本来、横島であれば喜ぶべき状況であるのだが、素直に喜べずにいた。


「兄さん……」


 自分を兄と呼ぶ、どえらい金髪美人の自分を見る目が、なんだか熱を帯びているように感じられたからだ。


 そしてなにより、


「あの、どうしてボクは後ろ手を縛られているんでしょうか?」


 横島は、椅子に座らされている状態で、後ろ手を縛られていた。


「何でって、兄さんが逃げたら困るもの(はぁと)」


(怖っ……)


 横島は、自分に迫る美人はこんな奴ばっかし……。と、どこぞの戦艦の整備班長が聞いたら激怒しそうな事を思いつつ、再度思った。
 どうしてこうなった……と。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「横島……。あいつ外に出たら厄介ごとを起こさずにはおれんのか?」


 トーレが偏頭痛を堪える様に頭を振った。
 ラボでは、高性能なステルス処理を施されたサーチャーが、横島の現状を伝えていた。
 いつもは最小の人員しか横島を監視していないが、今回、管理局に連行された事により、まず推移を見極めようとしていた。


「と言うか、なぜこんな形で捕まっているのでしょうか。見たところ、そこまで局員に剣呑な雰囲気は感じませんが」


「そうかしらぁ? きっと表に出してないだけよぉ。あの男の事だもの。モテてるって理由よりよっぽど説得力あるわぁ」


 ディードの言葉に、クアットロは「ないない」と、ひらひら手を振った。


 そこで、映像の中の金髪さんが、横島に向け、言った。





『兄さん……』





「……………………はぁっ!?」←全員





 しかし驚いているのは横島も同様だった。


『いや兄さんって! ワイにこんな歳の近そうな妹おらんぞっ!?』




「歳の離れた妹ならいるのか……?」


「さ、さぁ」




 へくしゅ、と違う宇宙のどこかで桃色の髪の少女がくしゃみをした。




『どうしてそんなこと言うの? 私よ』


『オレオレ詐欺か!? いや、美人局か!?』


『兄さん、妹のこと忘れたの? ……まさかあの時の闇の書が原因で……』


『妹……。心当たりは無いわけや無いけど』


『ああ、十年近く離れてたから解らなくても無理ないよね。私、フェイトよ』


『フェイト?』


『うん』


 ……。


『ってフェイトーーーーーっ!!?』


『ああ、やっぱり忠夫兄さん!』


『つーことは、こっちの美人はなのはちゃん!?』


『にはは……美人なんて』










「……………………」←全員


 沈黙が世界を支配していた。
 映像の向こうで横島らが漫才(?)を繰り広げているのを他所に、あまりの急展開に誰もまともに反応できない。

 ややあって、ウェンディが口を開いた。


「思いっきり、管理局の関係者じゃないっスか……」


「うむ……。本人が自覚していなかったのが尚更性質が悪い」


 チンクが重々しく相槌をうった。
 そして、スカリエッティが全員の方を見る。


「よし」


「ドクター?」


「夜逃げの準備だ」


「ドクター落ち着いて!?」


 と、その時、不意にサーチャーからの映像が乱れ、消えた。
 ザザ、とノイズ交じりの砂嵐である。


「あれ、故障?」


「さすがに酷使しすぎたか……。小さくて隠密性に優れる分、故障しやすいからな」


 スカリエッティは、映像の復帰に取り掛かる。
 ナンバーズはその傍ら、横島が見えないところで何をやらかしているか、不安でしょうがなかった。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ワイが消えてから、ぢうねん(十年)……。せいぜい数ヶ月しか経っとらんと思うとったのに」


「良かった。ミッドに住んでるのに会いに来てくれないんだもの。無視されてるんだと思った」


「そう言えば、横島さんは何処に住んどるん? お金とか持ってへんやろうし」


「あ、そう言えば食材の買出しに来てたんだった!」


 横島は、ミッドで親切な人に拾われたと話した。
 そこで家事等をしているとも。


「あっ、そうだね! 帰ってきてくれるにしても、ちゃんと家主さんには挨拶しないと」


 フェイトはポン、と手を合わせ、笑顔で頷いた。
 横島は、何の疑いも無く帰ってくると思っている彼女に苦笑しつつ、立ち上がる。


「さて、まぁ夕方までに帰りゃあいいし、もうちょっと居ようかな……」


「じゃあ横島さん、アレやろうよ」


 笑顔で人差し指を立てて、名案! とばかりになのはが言った。


「あれ?」


「六課名物、模擬戦!」


 立て続けに迫り来る急展開に、もはや横島には乾いた笑みを浮かべることしか出来なかったという。










 ティアナ・ランスターは苛立っていた。

 縮まらない先輩との実力差、急速に成長する後輩、中々上手くいかない実戦。
 つまりは自分の不甲斐なさである。

 つい先日も、ホテル・アグスタでの任務で、相棒のスバルを自分のミスで危険に晒したばかりだ。


 そんなティアナに、模擬戦の参加を命じられた。

 相手は、あの横島忠夫であった。




「ああっと、やる前に一言言っとくけど」


「なんですか?」


 いざ模擬戦開始というところで、横島からのこの言葉。
 スバルは素直に先を促し、ティアナも訝しげに眉根を寄せる。


「悪いことは言わない。バリアジャケットの形状をジャージに替えろ」


「え…………えっ?」


「何よそれ」


「んー、まぁ説明せにゃならんか」


 横島は、少しだけ言い難そうに頭を掻く。


「俺の力の源は、煩悩だ」


「はぁっ?」


「ぼんのう?」


 ティアナはあからさまに顔を顰める。スバルはよく分かってないようだったが、
 相棒の「要するにエロいことよ」と言われ、ようやく分かったようだ。


「んなミニスカや、フトモモ丸出しホットパンツに乳揺れを隠そうとせずに俺とヤりあうなんざ、
相手に魔力を供給しながら戦うようなもンだぞ。悪いことは言わんから、ジャージに替えとけ」


 言われ、スバルは微妙に赤面し腕で胸を隠しつつ、ジャージに替えようかと思っていたが、


「何よ、それ……?」


「ん?」


「だぁあっ!」


 クロスミラージュを構え、横島に向って全力で突撃する。
 ちなみに、横島に馬鹿にしているつもりは無い。なのはらの後輩だからこそ行った善意の忠告である。


「ま、待ってよティア!」


 スバルも遅れて飛び出すが、二人ともあまりに考え無しな行動だった。
 見ていたヴィータなど、「あー」と頭を押さえた。何やってんだ、と言いたい。

 模擬戦の内容は、それはひどい物だった。
 とにかく突撃するティアナと、何とかそれに追いすがるスバル。
 当然ながらそんな散漫な攻撃など横島に当たる筈も無く、ひらりと避けるその様が、余計にティアナの怒りの火に油を注ぐ。


「このっ、何で反撃しないの!?」


「わざわざ攻撃して隙を晒さんでも、待っとったら自滅しそうやし」


「このっ! フェイク・シルエット!!」


「おおっ!?」


 ティアナはフェイク・シルエットで自分の幻影を多数作り出し、横島を囲む。
 どこをどう見ても全て本物にしか見えない。実際、この魔法は肉眼や簡易センサー類では見抜けない精度を誇る。
 そしてそれぞれが、全てタイミングをずらし、違った攻撃手段で横島を一斉攻撃した。

 しかし、


「うーん」


 横島は頬をぽりぽり掻きながら、幻影の攻撃は全て無視し、本物の攻撃だけを避けた。


「な、なんでっ!?」


「美少女増やしてくれるのはいーけど、女の子のホンモノとパチモンをワイが見間違えるわけないやろ。
ま、幻術とは言え美少女増やしてくれるとか、ただの煩悩サービスでむしろ元気一杯。むしろ接待プレイやで。
それにしても、ある意味これって大勢の美女にもみくちゃにされてる状態? うはっ、ジョニー・B・グッド歌っちまうか?」


「……!」


「やられっぱなしじゃっ!」


 スバルは、笑う横島に大技を仕掛けようと腰を落とし気合を入れる。


「だがのっぴょっぴょーん!!」


「ぶはっ!?」


 それを察知した横島は奇声と顔芸でスバルの気を散らす。
 哀れ、溜めた気合はぷしゅー、と抜けた。


「い、いきなり何をっ」


「はっはっは。相手にやりたいことをさせないのは戦いの基本だよ君ぃ。とうっ」


 横島は、おもむろにサイキックソーサーを地面すれすれに生成し、その上に飛び乗り、悠然と腕組みをした。


「馬鹿にして!」


 激昂し、横島に対し魔力弾を連打するが、横島は腕組みをした姿勢はそのままに、スッと右にスライドする。


「なっ」


「はっはっは」


 横島は次々繰り出される攻撃を、全て腕組みのままスライド回避する。
 サイキックソーサーを文珠で『操』作しているのだが、なかなかどうしてかなり有効に働いているようである。





「あー、遊ばれちゃってるねぇ」


「そーだな」


 なのはの言葉に仏頂面で返すヴィータ。ティアナとスバルの残念っぷりにやや機嫌が悪いようだ。


「だが実際、あの板切れに乗られたらやりにくいな」


「……そうだね」


 なのは、少し真面目な顔をして同意した。
 人間、何かしらの動作を行おうとすれば、それに適した姿勢を取らなければならない。
 アスリートがダッシュするときは前傾姿勢になって腕を振るし、右に飛び退こうと思ったら基本的に左足で地面を蹴らなければならない。
 もちろん飛行魔法も例外ではない。

 しかし、横島のそれは、フィギュアスケートのステップシークエンスを、地面の上で上半身の動作なく行っているようなものである。
 舞散る落ち葉を捉えるのは難しいが、この落ち葉は思考する。捉えるのはさらに容易ではない。


「ま、それを除外しても、ね」


「そーだな」


「横島さんは色々ヒント出してくれてるのにね」


「……そーだな」





「もう打ち止めか? ならもうやめよーぜ。お茶でも飲みたいし」


 肩で息をする二人に、横島は軽く声をかける。


「……ふざけてんの?」


「ん?」


「あんたっ! そんな飄々として、馬鹿にしてんの!?」


「ちょ、ちょっとティア!」


 みっともないとは自分でも思うが、スランプや失敗、そして何より、自分にはない力を持つ横島を前にして、
 ティアナは感情を爆発させてしまった。


「なんなのよ……周りはみんなすごい人ばっかりで、横島さんはそのすごい人が憧れるくらい強くて……。
力が、私だって力があれば!」


 横島はその様子を笑いも呆れも白けもせず、言った。


「いや、俺がティアナちゃんの年の頃は、ティアナちゃんの百倍弱かったぞ?」


「えっ?」


「周りは俺より強い奴しか居なかったし。
なんつーか、上司の足を引っ張りまくりで、向上心も無くて、時給は安くて、戦力としては当てにされてなくて、時給は安くて、荷物持ちが存在意義で、時給は安くて、時給は」


「時給は分かったから」


「アッハイ。そりゃあ俺だって成長したさ。でも、成長する前だってギリまでなーんも焦ってなかったな。
むしろ、俺にしてみりゃ今それだけ強いティアナちゃんが羨ましい。嫌味じゃなくて。
なのに、なんでその強さを生かそうとしないか不思議だわ」


「私の、強さ? 会って間もないアンタに何が解んのよ」


「むしろ周りが強いからって焦るとか、ワイにはできひんかったなー」


 しみじみと昔を懐かしむ横島をよそに、ティアナは黙り込んだ。


 強さとは何か。まず思いつくのは腕力である。次に総合的な戦闘力だろう。
 財力や権力だって強さの内だが、戦闘能力だけに限定すればどうか。

 正面からやり合えば、自分はスバルに押し負ける。だから機転を利かせたり策を弄したりするのだが。


「っ!」


 ティアナは、顔が羞恥で熱くなるのを感じた。
 自分がスバルと二人で力押しするより、自分がスバルをサポートしつつ戦う方が戦果が上がる。
 それくらいとっくの昔に承知の上だったはずなのに。恥ずかしい。穴があったら入りたい。

 役に立たないなら、どうしたら役に立てるか考えろ。自分にはそれしかなかったはずだ。

 そもそもなぜ自分は強くなりたいのか。決まっている。守りたいからだ。
 しかし何かを守るために自分が強い必要はあるか? 必要はあるだろう。だが結果的に守れれば、強さは二の次。
 誉められたいから守りたいのではない。自分が目立つ必要は無い。連携、サポートに徹することで守れるならそうすべき。

 兄が死んだ、あの日から。


 そう。ランスターの弾丸は、


「……」


「ティア?」


「……」


「ちょっと、ティアー?」


「……スバル」


「え?」


「ちょっとアイツに隙を作って。私も、隙を作るから。隙が出来たら、お願い」


「……うんっ!」


 ティアナの纏う空気が変わった。スバルはそう感じた。


「反撃開始っ!」


「おお?」


 スバルは、フットワークを生かし横島に連打を仕掛ける。
 ダメージは狙っていない。

 そしてティアナは、クロスミラージュで横島を牽制する。牽制しつつ、何かを準備しているようだ。


(つーか、今の段階でさっきより大分やりにくいんだが)


 横島は、苦笑しつつひょいひょい二人の攻撃を捌く。
 やりにくいのは確かだが、このままだと決め手がない。だがそんなことは向こうも承知だろう。


「横島さん、教えてあげる。ランスターの弾丸は……」


「むっ!?」


「全てを撃ち抜くのよ!!」


「!!」


「てぇい!」


 スバルの一撃が、横島の近くの地面を抉り、衝撃が周囲に伝播する。


「げっ」


 スバルの一撃の衝撃が下からサイキックソーサーを煽り、横島はソーサーから転げ落ちた。


「今っ! クロスファイアシュート!」


 それに反応したティアナは、カートリッジを連続ロードしつつ周囲に生成した魔力スフィアから横島の周囲に魔力弾を乱射する。
 横島は、(いつも通り)陸上に打ち上げられたエビのように無様に、しかし確実にすべてを回避する。
 

(嫌な位置に撃ちやがる!)


 命中はしないが、本来は複数の相手に向けて使用する射撃魔法である。
 スバルに牽制してもらっている状況で、冷静になったティアナが一人に向けて弾丸を集中させれば、
 さしもの横島も容易には反撃できない。


「はぁぁぁあッ! リボルバーキャノン!!」


 スバルのやや打ち下ろし気味に放たれた衝撃波は、命中しないものの激しい砂埃が立ち、横島の視界が遮られる。


「ところがどっこい、視界が悪くても美少女の気配は分かる!」


「それはどうも。ところで……」


 砂埃が晴れた。そして横島は、ティアナの狙いを理解した。


「さっき私の幻影はあっさり見破ったみたいだけど、魔力弾なら、どうかしら」


 横島の周囲に、大量の魔力スフィアが浮遊していた。
 シューティングシルエット。フェイクシルエットと設置型シュートバレットによるフォーメーション。
 幻影の弾丸の中に実弾を混ぜる高等技術である。

 先ほどなのはが言っていた、横島が出したヒントの一つはこれのことである。つまり、


「美少女の真贋は分かるって言ったけど、それ以外の見分けはつくのかしら?」


 横島は、肩を竦めて言った。


「……つきません」


 しかし、それでも回避しようと身を屈める。


「無駄よ。言ったでしょう、ランスターの弾丸は、全てを撃ち抜くのよ!」


「ぬおわっ!?」


 四方八方から降り注ぐ魔力弾。実体弾がわかれば避けきれるだろうが、それがわかれば苦労はしない。


「ぐっ!?」


 魔力弾が一発、横島のわき腹にめり込んだ。


「今だっ! ディバイン……バスター!!」


「どこがディバインバスターじゃーっ!」


 練り上げられた魔力スフィアを拳で打ち出すそれを見て、なのはの遠距離砲撃バージョンしか知らない横島はツッコミを入れた。
 スバルのディバインバスターが、クリーンヒットではないものの横島を捉えた。大爆発に周囲が揺れた。


「やった!?」


「いいや!」


 爆発の煙を突き破り、一瞬で二人に肉薄した横島は、二人の喉に霊波刀を突きつけた。


「くっ」


 ティアナが悔しそうに顔をゆがめた。


「お、惜しかったな……」


 横島は息も絶え絶えで明らかに満身創痍であったが、どちらの勝ちかは明らかだ。


「もしティアナちゃんたちがジャージ姿だったら、煩悩差で負けてたな……」


「フン、いいのよ」


「え?」


「これは私の勝負服よ。見たけりゃ見れば?」


「……」


「な、何よ」


「この状況でそこまで言われちゃあ、俺の負けだな」


 横島は霊波刀を解除し、ハンズアップした。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ふむ。ようやく映像が復帰したか」


「あー、なんか和気藹々としてる」





『つーかなのはちゃんよ。あの子、一皮剥けんの早すぎね?』


『むっふふ、私が見つけた期待の新人だもん! でも、横島さんのおかげだよ』


『そうよ兄さん。なのはの目のハイライトが消えなくて本当に良かった……』


『……ギリギリの発言やな』





「あー、なんか横島のせいで戦力が増強されたように聞こえるんだけど?」


「そう言ってるのではないか?」


「チンク姉、そういうことじゃなくてな……」




 その後、横島は六課メンバーと顔合わせを行ったのだが……。


 ケース1:エリオ&キャロの場合。


『エリオは将来イケメンに、キャロはエライ美人になりそうやな……』


『僕がイケメンですか? そんな』


『そう言って貰えると嬉しいですけど、本当になれるかな……』


 エリオは、今はとりあえず強くなることに必死で、容姿など気にしてはいない。だが、横島に誉められて悪い気はしなかった。
 キャロは、フェイトもアリシアも超が付く美人なので、自分も美人と呼ばれる域に達せられるか非常に不安であった。


『だが、ワイには許せんものが三つある。イケメンと、金持ちのイケメンと、彼女持ちのイケメンだ』


『そんなっ、だったら僕はイケメンにはなりません!』


 血相を変えて無茶な宣言をするエリオ。どうやら余程フェイトに横島を美化して伝えられているようだ。
 キャロは、私は嫌われないで済みそうと、結構薄情なことを考えていた。


『あかん。エリオの顔は、将来を約束されとるようなもんや。だが、アレをしてくれれば』


『アレ?』


『そのイケメンで美人のねーちゃんを釣って、合コン開いてそこにワイを参加させてくれれば許せる。いや、むしろマブだ!』


『合コン……僕に出来るでしょうか……』


『エリオ君ならきっと出来るよ。がんばって!』


『キャロ……。うん! 僕がんばって美人のお姉さんを集めるよ!』


『イイハナシダナー』


『良い話じゃないでしょ!! なに子供に碌でもないこと吹き込んでんの!!』


 ティアナのフルスイング鉄パイプに、横島は吹っ飛ばされた。
 どうでもいいが、最早ティアナには横島に対し遠慮という文字は存在しなかった。


 セインのコメント
「敵ながらなんて見事な突っ込み」





 ケース2:はやての場合。


『なあなあ横島さん、フェイトちゃんのおっぱい見た? ドキワクもんやろ?』


『同感やけど、フェイトは一応妹やから。つーか、つい最近まで九歳やったから微妙にそんな目で見れん……』


『なんや勿体無い。じゃあなのはちゃんもアカンかー』


『せやな。でも、はやてちゃんなら昔あんまり関わらんかったから何の問題もないんやけどなー?』


『もう、いややわ! そんな私みたいなんおだてて! なんも出ぇへんよっ』


(別に冗談じゃないんだが)


 結構照れているのか、微妙にうれしそうなはやてだった。




『……』


『テスタロッサ。今にも人を殺しそうな目で主はやてを見るのはやめろ』




『横島さんの冗談はさておき、最近なのはちゃんもフェイトちゃんも、警戒してなかなか触らせてくれへんのよ。
ああっ! 触りたい……』


『……ホンマはやてちゃんチチが好きなんやな……』


『そらそうや! でも横島さんもやろ?』


『勿論やけど、やっぱ女の子はチチシリフトモモやろ』


『えーっ!? そりゃおしりも脚線美もええけど、女の子はおっぱいがあってナンボやろ』


『何でそこまでチチにこだわる……』


『ええか横島さん? 女の子の体はラーメンみたいなもんや』


『ら、ラーメン?』


 さすがの横島もその例えは予想外だった。


『太ももは具や! 無かったらさみしいけど、具がなかってもラーメンはラーメンとして成り立つやろ?』


『そらまあ』


『で、お尻はスープや! おっぱいの次に重要な部位やけど、やっぱりおっぱいほどやない』


『ラーメンにスープは必須やろ……。
っ!? いや、スープはラーメンに必ずしも必須とは言えん! 和えソバや汁無し坦々麺とかある……!』


 横島の言葉に、はやては我が意を得たり、とニヤリと笑う。


『さすが横島さん。飲み込みええやん』


『だが、ワイはそれでもこう考える! 女の子は、バレーボールや!!』


『ば、バレーボール!?』


『チチはスパイク。尻はレシーブ。そして太ももはトスや!』


『っ!? 目立つのはスパイク……でもどれか一つ欠けたら成り立たへん、ってコトか……』


『チチがあったら嬉しい。せやけど、最重要はバランスや! そういう意味では、はやてちゃんもなのはちゃんたちに負けてへんで!』


『ほ、ホンマに!?』


『ホンマや! 選考基準が顔だと言われりゃ信じてしまいそうなこの部隊! 全然埋もれてへん!』


『ややわもうっ! 照れるやんか! でも横島さんもそう思う? そう。機動六課は顔で採る!!』


 ※違います。


『ひらりはためくスカート! 覗く素肌! 垣間見える布地!』


『そんなカッコで 犯罪者とあんなことやこんなことを!』


『おねーさーん! あんなことやこんなことってなーに?』


『そりゃあもちろん、汗掻きながらくんずほぐれつ過激なプレイや! って、言わせんといてーな恥ずかしい!』


『ロリにショタからボインちゃんまで!』


『『機動六課サイコーーーーーッ!!』』





『あの二人、兄妹かなんかでしょうか……?』


『リィン、それは違う、…………と言い切れないような』


『ギリッ』


『テスタロッサ。殺すなら横島だけにしてくれ。頼むから』


 ウェンディのコメント
「チンク姉をディスるのはそこまでっスよ! って痛い! チンク姉、痛いっス!」





 ケース3:アリシアの場合。


『忠夫兄さん!』


『フェイト……じゃなくてアリシアか!? もしかして』


『うん! やっと会えたね!』


『うわ、アリシアさんがあんな無防備な笑顔を……』


『猫かぶりかな?』


 笑顔のアリシアに、エリオとキャロがとても酷いコメントをした。


『あー、そのジージャン、まだ持ってたのか』


『もちろん! 私の宝物だもん!』


『安モンやから新しいの買えばえーのに』


『値段じゃないの、こういうのはね。もう何度も繕ってるし』


『アリシアさん、あの服を馬鹿にされても怒らないなんて……』


『猫かぶりかな?』


『さっきからなんなのよあんたら! マジ喧嘩売ってんの!?』


『うわ、聞こえてた!』


『猫かぶりだったね』


『キャロ、エリオの三倍シメる!』




『アリシア……兄さんだけじゃなくエリオやキャロとあんなに仲良さそうに……私にはあそこまで懐いてくれないのに』


『……』←説得をあきらめたシグナム。


 セッテのコメント
「……? ああいうのが仲が良いというのなら、私たちは仲が良くないということでしょうか」







「……随分楽しそうじゃないのぉ」


 クアットロのつぶやきに返すものはいなかった。どことなく、面白くなさそうな雰囲気が漂っている。


「やはり、本物の家族のほうがいいものなんでしょうか」


「でもディード、横島のやつちょっと薄情じゃないっスか?」


「落ち着けウェンディ。元々横島は部外者だろう」




『あっと、そういやそろそろ帰って晩メシの支度せんと』




「!」


 その言葉に、ナンバーズ全員が反応した。


「そうだな、うん。前はどうだかしらないけど、今はアタシらの仲間だもんな!」


「居候だろう」


 セインが明らかにほっとしたような雰囲気で言った。
 訂正したトーレも、どことなく似たような雰囲気を感じる。




『あ、そう言えば、兄さんの居候先の家主さんはなんていう名前なの?』


『家主? ああ、スカさんのことか』




「!」


 再度ナンバーズ全員が反応した。先ほどと違い、その表情はちょっと青ざめている。
 言うまでもないことだが、スカさんことジェイル・スカリエッティは次元犯罪者である。
 今まで幾度と無く六課、ひいては時空管理局と干戈を交えてきた。バレるとヤバイでは済まない。




『スカ……さん? 愛称かな?』


『そうだけど、うーん、なのはちゃんちょい待って。ずっとスカさんて呼んでたから本名が思い出せん』


『蓮川一也?』


『はやてちゃん、そりゃグリーンウッドやがな!』


『私、こんな突っ込み欲しかってん……』


『はやて、話が進まないから』


『アッハイ』


 ボケにちゃんと突っ込みをもらいちょっと感動していたはやてだが、
 フェイトの絶対零度のにっこり笑顔に、すごすごと引っ込んだ。


『ああ、後日でいいですよ横島さん。今度は連絡くれるんですよね?』


『そらもちろん』


 そんなこんなで六課の人員と挨拶を交わし、六課から出ようとする横島。
 なんとかバレずに済みそうだ、とスカリエッティらは胸をなでおろした。


 が。


『あー! 思い出した!』


『え?』


『スカさんの名前! 確かスカリエッティやったわ! ジェイル・スカリエッティ』


『えっ…………えっ?』





「……………………さ、夜逃げの準備だ」


「ドクター落ち着いて!?」


「さっきもやったっスね。このやり取り」




『どーいうことや、横島さん! スカリエッティ言うたら、六課が追っとる次元犯罪者やん!』


『はい……? ギャグ?』


『ギャグじゃないよ兄さん! ジェイル・スカリエッティって、』


 以下、スカリエッティがどれほどの重犯罪を重ねてきたかをフェイトがまくし立てた。
 横島は半分も理解できなかったようだが。
 だが、フェイトやエリオはスカリエッティの技術を元に作られたクローンであることは理解できた。


『いやテスタロッサ。同姓同名の可能性もあるぞ。些か苦しいが』


『いいや……』


『横島さん?』


 別人の可能性を示唆したシグナムだが、横島は重々しく否定の言葉を呟いた。


『今にして思えば、スカさんって、たまに実験室に篭りっきりになったと思ったら狂的な高笑いを時々上げとったわ!』




「ドクター……」


「……」


 ナンバーズの半眼に、スカリエッティは無言で目をそらした。




『それにこないだ、ホテルなんとかにレリック盗って来て、って頼まれたわ!』




「……」


「……」


 無言でさらに冷たくなった視線から、スカリエッティはまた目をそらした。




『住んどる所はやけに辺鄙やし、ラボは無駄に広くて深くて警備も厳重やし、エロいボディスーツのねーちゃんらが戦闘訓練しとった!』


『さすがにおかしいって疑いなさいよ!!』


 ティアナの至極最もな主張に、スカリエッティらも立場を超えて深く同意した。


『まぁまぁティアナ。それに、これでスカリエッティの居場所が割れたって思えば良かったの!』


『えー、でも、スカさんは行き倒れのワイを拾ってくれて、親切にしてくれたけどなー……』


『兄さん! スカリエッティと私たちと、どっちを信じるの!?』


 フェイトの真剣な眼差しに、横島は言葉を詰まらせた。とてもではないが、ギャグは挟めそうに無い。
 六課とラボの全員が、固唾を呑んで横島の言葉を待つ。


 横島は、口を開きかけては閉じるという動作を繰り返すが、ためらいながらも言葉を発した。


『フェイトとスカさんのどっちを信じるか、って言われれば、ワイはフェイトを信じるわ』


『兄さん!』




「…………」


 スカリエッティは、ため息を一つつき立ち上がった。今度は本当に撤退するつもりのようだ。


「忠夫、どうして……!」


「どうしてもなにも、奴にしては至極正しく常識的で納得できる答えではないか」


「本当に残念だが……」


 憤るセインに、トーレはむっつりと、チンクは落胆を隠さず返した。


「……ドクター」


「解っているよウーノ。当てはある。早急に、」




『でも、今はスカさんを売る気は無い』




「!?」


 ラボの視線が、再び横島に集まった。




『忠夫兄さん、どうして!? フェイトは自分たちみたいな存在を増やさない為にも、ものすごく頑張って、』


『違うんだよ、アリシア』


『え?』


『フェイトの言う事が正しいなら、確かにスカさんは犯罪者なんだろーさ。今思えばそんな感じはするし。
でもそういうことじゃない』


『だったらどういうこと?』


『……』


 横島は、少し言うのをためらったが、ため息を付きつつ言った。


『ワイな、こう見えても彼女が居た事あったんだが』


『横島さん、いきなり何言い出すんですか!』


『まぁ聞いてくれ』


 彼女、という言葉に数人が反応するが、さすがにこの状況で食いついたりはしなかった。
 関係ない話になのはが怒るが、横島は手で制した。


『その彼女ってのは、世界を滅ぼそうとしたやつが造り出した尖兵だったよ』


『えっ、滅ぼすって、ええ……?』


『で、その彼女が俺たちの陣営に寝返ったモンだから、寝返りの原因の俺を彼女の姉妹が殺そうとしたんだが、
……その彼女はその時俺をかばって死んじまった』


『……!!』




「……世界を滅ぼそうとした? 造り出した尖兵? 尖兵には姉妹? なんだいこれ。傑作じゃないか」


 スカリエッティは、傑作と言いつつも少しも笑っていない。


「まるで、私たちみたい」


「ディエチ!」


 ディエチの呟きをトーレが咎める。


「滅多な事を、言うんじゃない」


「……ごめんなさい」




『死んだって、それは……でも、それが何の関係が』


『後日、その世界を滅ぼそうとしたやつにもう一回会う機会があった。そして訊かれたよ。
曰く、彼女が死んだ原因の自分を恨んでないのか、ってね。……さて、俺はなんて答えたと思う?』


『それは、当然恨んでたんじゃ……』


『はやてちゃんはどう思う?』


 話を振られたはやては、びくりと肩を震わせた。


『なんで、私に?』


『はやてちゃんなら解るんやないかなぁ、って思って』


『……』


『はやてちゃん?』


 押し黙るはやてに、シャマルが心配そうに声を掛ける。


『もしかしてやけど……恨んでへん、って答えたんちゃう?』


『はやて!?』


『正解』


 思いもよらぬ答えに、ヴィータが驚愕する。


『なんでかって言うと、そいつが居たから彼女は死んだかもしれんけど、
そいつがいたから、そいつが大それた事企んだから、俺はその彼女に出会えたんだからな』





 スカリエッティは、勢い良く立ち上がった。がたんと椅子が後ろに倒れる。


「横島君、きみは……」




『なんでワイが、フェイトの話を信じた上でスカさんに肩入れするかって言うと、簡単や。
スカさんは確かに悪人かもしれん。でも、スカさんが居たから、ワイはフェイトに会えたんやで』


『なっ…………!』


 フェイトが、否、その場の全員、スカリエッティやナンバーズの全員が絶句した。


『スカさんが居たからその技術でアリシアは助かったし、なのはちゃんは親友ができたし、エリオはフェイトやアリシア、キャロって家族ができた。
ついでに、ワイはウーノさんたちとお知り会いになれたしな。なんつって』


『そ、それ、は……』


『はやてちゃんもそうちゃうん?』


『……そうやね。横島さんの言う事も、なんとなく解るわ』


『はやてちゃん……』


『闇の書のせいで色々苦労もしたけど、でも、それがなかったら今の家族も、今の友達も出来ひんかった……』


『クローンや戦闘機人だからって、別に破壊行動せなあかんわけやない。そうだろ、スバルちゃん』


『はい、それはもちろん。私も、力は守る為に使ってるつもりです!』


『スカリエッティがどういう意図でクローニング技術を確立させたかはさて置き、技術自体に善も悪もない。
刃物は人を殺さない。クローンや戦闘機人にも人と変わらぬ心がある。全ては使う人間如何。そう言いたいのか、横島』


『そうそう。むしろ出会いの機会を増やしてくれるいい技術じゃね』


『だがその論法に従うならば、それを悪事に使うスカリエッティは紛う事なき悪ではないか』


『……』


 シグナムの言葉に、横島は苦笑いを浮かべた。


『ま、確かにスカさんは沢山の人を死なせたり、不幸にして来たかもしれねー。
でもな、仮に自分の親しい人が、過去に犯罪犯したことあるとか、昔兵士でたくさん人を殺したとか、
んなこと言われてもいきなりその人を嫌いになって絶交するとか、ちょっと難しいんちゃうかな。ワイは今のスカさんしか知らんし。
でもま、今から悪事しようとしよんなら話は別やけど。
取り越し苦労ならそれで良し。言ってやめてくれるんならそれも良し。
もしそれでもやめてくれへんねやったら、』


 ぶつり。


 突如サーチャーからの映像が途絶えた。
 故障ではない。スカリエッティがモニターの電源を切ったのだ。

 スカリエッティらは、しばらく誰も喋らなかった。
 全員、何も映さぬモニターを無言で見詰めていた。


 やがて。


「つーかさ、管理局はどうでもいいけど、忠夫が敵に回らずに済むなら、計画を中止してもいいんじゃないか?」


「の、ノーヴェ!?」


「どういうつもりぃ……?」


 相方の発言に、ウェンディは素っ頓狂な声を思わず上げてしまった。
 そしてクアットロの目に、俄かに酷薄な光が宿った。


「だってそうだろ。アレがそんなに大事な物かよ。結局あんなモン、」


「ノーヴェ!」


「……私も、ノーヴェの言うことが少し分かる、かな」


「ディエチまで!」




「計画に変更はない」




 大きな声ではなかった。が、スカリエッティの声に、喧騒は一瞬で収まった。


「おいおいみんな、元々横島君はここにいなかった人間だ。その為になんで計画を変更しなくちゃならないんだ?
ま、横島君が帰ってきたら話してみるよ。別に馬鹿正直に話すことはない。上手く丸め込んでだな……」


「ドクター」


 まくし立てるように喋るスカリエッティに、ウーノが静かに声を掛けた。


「……」


「ドクター」


「何かな、ウーノ」


 ウーノが再度声を掛けたところで、ようやくスカリエッティはウーノの方を見た。


「出過ぎた事を言いますが、丸め込もうとせずとも、ドクターのお心のままに語りかけたほうが良いと愚考します。
私には、丸め込もうとしたり騙そうとするほど靡かない。根拠はありませんが、そう思えてならないのです」


「……まぁ確かに、味方に引き込むことが難しいなら、少しでも悪印象を与えないほうがいいけどね」


「そうではありません」


「ウーノ」


「そうでは、ありません。
ドクター。ドクター御自身も、根拠も無くそう感じているのではありませんか?」


「……」


 スカリエッティは、ため息を一つついて、どかりと椅子に腰を下ろした。


「ウーノってさ」


「はい」


「君も大概、横島君に毒されてるよねぇ」


「恐縮です」


 ウーノは、少しも恐縮していない涼しげな顔で、慇懃に頭を下げた。










 その日の夕食は、少し豪勢だった。
 別段、別れの予感を感じていたわけではないのだが。





 ただ、食事が始まると、いよいよ違和感が大きくなった。


 トーレは、必要以上に食事が豪勢になっていても、「無駄だ」と怒らずに、黙々と食事を平らげていた。
 クアットロは、いつも以上に剣呑な眼差しを向けてきている。食事はしっかり食べていたが。
 チンクやオットー、ディエチ、ディードは、いつもより食が進んでいなかった。時折何か言いたげな視線を向けてきたが、結局何も言わなかった。
 セインとウェンディは、いつも以上に陽気だった。気のせいか、そうすることで横島に何も言わせまいとしている様でもあった。
 セッテは何も変わらなかった。いや、少しだけ、ほんのわずかにいつもと違うような気もしたが、横島にはわからなかった。
 ノーヴェはいつも通り不機嫌だった。そしていつもと違う姉妹たちを見るたび、不機嫌度が増したように感じた。


 スカリエッティとウーノは変わらなかった。
 本当にいつもと同じだった。










「さて、横島君」


「? なんスか」


「ちょっと飲みに行かないか? 奢るよ」


 食後、洗い物を終わらせた横島に、スカリエッティが声を掛けた。
 それにしても、その内容が酒である。横島は意外に思い、目を丸くした。


「俺そんなに酒は強くないっスけど。でもまぁ、うーん」


 別に断る理由はないのだが、スカリエッティの真意が読めないからか少しだけ逡巡する。
 だが、なぜか遠巻きにこちらを見ているナンバーズを見て、にへらと相好を崩した。


(つーことは、もしかしたら美人のねーちゃんにお酌してもらうチャンスじゃね?
しかも酔いから多少のお触りは大目に見てくれるかも! いやむしろ酔って開放的になった彼女らにお触り以上のことを……!」


「声に出ているぞ」


「しまった!」


 半眼になったトーレの突っ込みに、横島はNO!と叫び頭を抱えた。


「……触らせてあげたら、忠夫は出て行かずに残ってくれるんスか……?」


「ちょっ」


 ぽそりと呟いたウェンディに、ノーヴェの口から驚きの呼気がもれた。
 弛緩した空気が俄かに張り詰める。


「オイ馬鹿ウェンディ、何言って……いや、確かに減るもんじゃあねーわな……?」


「ノーヴェ! お前、また!」


「お、おいおい、何かみんな変だぞ!? メシん時からなんか違和感はあったけど!」


 困惑を隠せない横島に、スカリエッティはいつもと同じ調子で声を掛けた。


「ま、そこら辺の事情も含めて飲みながら話そう。娘の酌は次の機会に取っておいてくれ」


「いいっスけど」


 釈然としないながらも頷く。
 そして、二人にウーノは頭を下げた。


「行ってらっしゃいませ、ドクター。横島さん」


「ああ。留守は頼んだよ」


「ウーノさんも、次は付き合ってくださいねー」


「ええ。機会があるなら」


 ウーノは、薄く微笑み、頷いた。
 




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「乾杯」


「乾杯っス」


 落ち着いた雰囲気のバーの店内に、澄んだグラスの音が響いた。
 店内はバーとしてはそれなりに広い。客の入りも今は少なく、それが余計に広さを感じさせるのかもしれなかった。

 二人はカウンターの隅っこに腰をかけ、琥珀色のウィスキーを少し口に含んだ。


「うっ!? げほっ、ちょっと俺にはキツイっすねー」


「ははは、横島君は余りこういう所には来ないのかい。女性をモノにするには、酔わせるのは割りと有効だよ」


「それは知ってるっスけど」


「それとも、バーより赤提灯のほうが良かったかな? あそこはビールやチューハイもある」


「ミッドにンなとこあったんスか?」


 どことなくワインを嗜んでいるイメージのあるスカリエッティの口から、ビールだのチューハイと言った大衆向けの酒の名前が出たことに、横島は目を丸くした。


「ミッドでは、君たちの言うところでの地球の文化が結構流行でね。
かく言う僕も、内臓の煮込みを噛み締めつつ焼酎を煽るのがたまらなく好きなんだよ」


「いきなりオヤジ臭くなったっスね」


「フフ、セインにも同じことを言われたよ。
それにしても、どうして内臓ってやつはあんなに美味いんだろうね? レバーや心臓の刺身を、塩を混ぜた油にちょいとつけて頬張る……。
まさしく、地球に乾杯ってやつさ。娘たちは生のレバーには引いてたけどね」


「ああ、あれは地球でも日本以外では中々馴染みがないっスねー」


「とは言え、やっぱり主に楽しむのはワインなんだけどさ」


 そんな取り止めのない話しをしながら、横島はちびちびと舐めるようにウィスキーを味わった。
 やはり味はまだよく分からなかったが。

 そして横島のグラス内の酒が半分以上減ったころ、スカリエッティは本題に入る為、静かに揺れるウィスキー(二杯目)の水面を見つつ口を開いた。


「ところで、僕たちは君に黙っていた事があってね」


「何スか?」


「実は、僕たちは所謂悪の組織なんだよ」


「……」


「だから、横島君が外出するたびに、どこかに渡りをつけるんじゃないかと心配して監視をつけてたしね。
だから、今日横島君が管理局員と会ってた事も知ってる。そして局員の関係者だってこともね」


「それは」


「ああ、彼女らとの接触が偶然だって言うことも分かってるよ」


「つーか、ンなお尋ね者がこんなとことウロウロしてていいんスか」


「気にするところはそこかい」


 スカリエッティは苦笑し、グラスを煽った。


「……ま、自分の立場くらい解ってるさ。そこら辺りはちゃんと考えてある」


「そースか。ならいいんスけど」


 横島は、全く普段通りな様子で、酒をちょびっと舐めた。


「……君は、僕たちのことを知っているんだろう? 何も言わないのか?」


「いや、俺の知り合いにも犯罪者は居ましたし」


 具体的には、雪之丈はモグリのGSをやってたし、ドクターカオスは美神に行おうとしたことを考えるとガチの犯罪者、と言うか悪人である。
 後、美神も脱税をやっていた。


「確かにフェイトにスカさんのことは聞いたっスけど、今もなんかしようとしてるんスか?」


「そうさ。そして横島君に聞きたい。正式に、僕たちの仲間にならないか?」


 スカリエッティは、単刀直入に言った。


「今なら漏れなく僕の娘たちも付いてくる」


「……」


「ああ見えて、君の事を気に入ってる子も多いよ。うまく立ち回ればハーレムだって夢じゃないと」
「スカさんは」


 横島は、スカリエッティの言葉を遮り、尋ねた。


「スカさんは、何をするつもりスか? そして、それはどれくらいの被害が出ると予想してますか?」


「……何をするかは、仲間になってくれれば詳しく話す。被害については……。沢山、としか言い様がないな」


「……」


「……」


「じゃあ」


「……」


「無理っスね」


「……」


 二人の会話が、しばらく途絶えた。グラスをカウンターに置いたまま、視線を合わせずに前方だけ見つめている。


「……僕たちは」


「……?」


「恐らく、六課に負けるだろう。それ以外の管理局には負けないだろうけど」


「え……」


「十中八九、とまでは行かなくても、六割から七割方と見ている」


「……」


「君が来てくれれば勝率は逆転して八割方勝てると踏んだんだけどね。いや、残念だよ。君が六課に協力すればほぼ十割負けか」


「……」


「本当、残念だよ」


 スカリエッティは、ウィスキーを煽るとやや強めにグラスをカウンターに置いた。
 氷が、澄んだ音を響かせる。





「……残念だ」


















「ただいま」


「ドクター!」


 スカリエッティがラボに戻ると、ナンバーズが彼に駆け寄った。
 そして彼女らは周囲を見回す。誰かをさがす様に。


「あ、あの、ドクター。忠夫は、忠夫はどこっスか?」


「さあ」


「さあ、って……!」


「出て行ったよ」


 その言葉を言った瞬間、ナンバーズの何人かの目が潤むのをスカリエッティは見た。
 潤むだけで泣いたりはしなかったが、スカリエッティの胸は、罪悪感に似た感情を覚えた気がした。


「……ま、なるようにしかならなかったってことさ。ま、少なくとも直ぐに管理局に協力しそうな感じではなかったし、
当初の予定通りに事を運べばいい」


 言いつつ、自分の台詞の空々しさに自嘲する。
 それにしても娘たちの反応が気になる。離反者が出るかもしれない。
 が、それもいい。しょうがない。半ば捨て鉢な気分で、スカリエッティはそう思った。


「ドクター」


 トーレの声に、そちらに視線を向ける。


「お疲れ様でした」


 トーレは一礼し、部屋を出て行った。
 他の姉妹も、スカリエッティに労いの言葉を次々とかけ、自室に戻って言った。

 スカリエッティは、そんなナンバーズの行動に目をしばたかせた。


「……離反者の一人も覚悟してたけど」


「ドクターが帰ってくるまではそんな雰囲気も無きにしも非ずでしたが」


 ウーノは、姉妹が出て行った方向を見つつ、言った。


「ドクターも、傷ついている感じでしたから」


「……」


 スカリエッティは、再度目をしばたかせ、溜息を一つついた。


「まったく、らしくない」


「ドクターも大概、横島さんに毒されてますね」


「…………こいつめ」


「ふふっ」





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「これからどうすっかなぁ」


 スカリエッティと袂を分かち、飲み屋街を離れた横島はオフィス街の路地で一人途方に暮れていた。
 彼の陣営から離れた。それはいい。ただ、彼らにも愛着がある為、いきなり全力で敵に回るのもなんかなぁ、と一人ごちる。

 かと言って、引き止める手を振り切ってスカリエッティらの所へ帰った手前、一日そこらで六課に舞い戻るのも体裁が悪い。
 なかなか今後の展望が見えず、とりあえずねぐらをどうするか、と思った時、路地の奥から何かが接近するのを捉えた。


「んー?」


 果たして、それは子どもであった。薄汚れた長い金髪で、襤褸布を纏っている。
 その子どもは、こちらに気付いているのかいないのか、ふらふら近付いて来たかと思うと、その場に崩れ落ちた。


「お、おいおい」


 横島は、慌てて駆け寄り、その身を抱き起こした。




 それにより、否応無く六課とスカリエッティらの戦いの渦中に結局巻き込まれることになる。
 横島はその事にまだ気付いてはいなかった。











 エピローグ










「……やあ、横島君」


「思ったより元気そうっスね、スカさん」


「それで、今日は何の用だい? 食事の差し入れがあるというなら嬉しいけどね」


「いや、そうじゃないんスけど。
スカさん、管理局からの技術提供要請を断ったらしいっスね」


「ん? ああ。別に減刑されるわけでもないし、精々、そこにあるのに手を出せない僕の頭脳と言う宝を眺めていろと言いたいね。
せめてもの意趣返しってやつかな」


「ここから出られるって言ったらどうします」


「ん?」


「技術提供により娑婆に出られるとしたら、どうします」


「……君、まさか」


「ええ。ここまでデカい組織だと、後ろ暗いネタには事欠かないもんで。俺の全力で持って交渉させてもらいましたよ」


「……脅迫ではなく?」


「はっはっは、それは言わぬが花ってやつっスよ。
それに、スカさんだけじゃなくて、ウーノさん達も、かなり強烈なリミッターをかけるという条件で、スカさんの助手扱いで出られます。
もちろん、監視は付きますけどね。つーかフェイトを説得する方がしんどかったわい」


「その程度の餌で、僕がここを出たがると思ってるのかい?」


「出たくないんスか?」


「ここも悪くないよ。時間は腐るほどあるし、思索に耽るには良い場所さ」


「……」


「ただ」


「?」


「らしくないとは思うけど、もう一度横島君と酒を飲めると思えば、それも悪くないと思ってしまうな」


「勘違いしないでよねっ、スカさんがいないと遺跡を安全に停止させられる人がいなくなるからなんだからねっ。勘違いしないでよ!」


「誰得なんだい、それ」


「サーセン。まぁ技術提供って言っても、もったいぶって当たり障りの無いトコを小出しにしていきゃいいんスよ! 
どうせわかりゃしないんだし」


「そこらへんの調整は追々ね。ま、それはともかく」


「?」


「娘共々またよろしく頼むよ、横島君」










「……と言う事があったのさ」


「甘く見てた……兄さんを甘く見てた……本当に管理局と交渉して、しかもスカリエッティをその気にさせちゃうなんて……」


 六課解散の日、新人らに混じって、元ナンバーズがなのはやヴォルケンに猛攻をかけるのを見て、フェイトは深くため息をついた。
 なお、スカリエッティに対して特に忠誠心が強かった、または管理局に協力する意思が少なかった元ナンバーズ、
 ウーノ、ドゥーエ、トーレ、クアットロ、セッテは、強力なリミッターが掛けられており、模擬戦には不参加である。
 スカリエッティは煩雑な手続きの為、いまだに娑婆に復帰していない。


「まーええやん。フェイトも最初なのはちゃんと敵対しとったし」


 炸裂する魔力光に、呑気にたーまやーと言いながら横島は言った。
 フェイトは再びため息をついた。それを言われると痛かったからだ。


「あ、兄さん。前髪に花びら付いてるよ」


「ん?」


「ああ、私が取るからこっち向いて?」


「ああ…………え?」


 フェイトの方に振り向くと、かなりの至近距離にフェイトの顔があった。しかもまだ接近してくる。
 あっと言う間にその差は縮まり、


 ちゅ。


 二人の唇が重なっていた。



「」


「うふふふ」


 硬直した横島に、フェイトが嬉しそうに微笑みかけた。
 そして頬をほのかに染めたままその場でおもむろに立ち上がり、









「今、兄さんに私のファーストキスあげちゃったーーーーーーーーーーっ!!」










「は?」





 その「は?」はいったい誰の台詞だったのだろう。
 模擬戦は自然と中断され、その場全員の視線が横島とフェイトに注がれた。なんか殺気まで感じる気がするが気のせいだろうか。


「なーんだ横島さん、そんなに模擬戦がしたいんなら言ってくれればいいのに」


 なのはが、虹彩の消えた瞳でレイジングハートを構えた。


「…………」


 ティアナも、無言でデバイスを構える。


「なんでティアナちゃんまで怒んねん!」


「は? 別に全然怒ってなんかないけど?」


「アッハイ。でもなんか殺気が」


「あ?」


「スンマセン」


 その殺気は横島に対してだけではなかった。フェイトにまで殺気が突き刺さる。


「あ、あはは、さすがなのは……すごい殺気」


「なんであんなこと言うたんやー!」


「んー、兄さんへのちょっとした意趣返し、かな?」


「ちょっとですまへんぞこれー!」


「じゃあどうするの? 戦う?」


 いくらなんでも多勢に無勢。原因はフェイトとはいえ、ボコボコにされるのは忍びない。自分も痛いのは嫌だ。


「……某北の運行部長は言いました。『戦うから、負けるんじゃないですか』と」


「つまり」


「戦略的撤退ー!」
「てったーい!」


「待てやコラーーーッ!!」


 怒号から逃げるように、横島はフェイトの手を引いて駆け出した。


抜けるような青空の下、横島は思う。
 いつか、この世界を去る日は来るのだろうか。去らなければならない時、自分も皆も笑顔で別れられるだろうか。

 分からないが、一つだけ分かることがある。
 

 悲劇の恋なんてない。恋に出会えないほうが、よっぽど不幸だから。
 ならば、いつか別れが来るとしても、こんなイイ奴らと出会ったことが悪いことのはずがない。

 輝くような笑顔で駆けるフェイトを見て、横島は思うのだった。





「こうやってると、なんか駆け落ちみたいだねっ」


「やかましーーーーー!!」









 END


 









 おまけ1


「こんにちはっ、横島ヴィヴィオですっ!」


「わー、かわいいー」


「ちゃんと挨拶できてエライやん」


 ヴィヴィオは紆余曲折の末、横島が引き取ることになった。
 また妹か……と思っていた横島だったが、「パパ」と呼ばれたことにより父親代わりになっていた。


「おとーさんに、ちゃんと挨拶はしなくちゃダメだって教わったの!」


「おとーさん、ねぇ……プクク」


「笑わんといてーなはやてちゃん。妹の次は子持ちかい……いやいいけどよ」


 ちなみに、横島はパパとは呼ばれたくなかったので、なんとか「お父さん」に矯正した。


「ヴィヴィオ、あたしは忠夫兄さんの妹のアリシアよ」


「私はフェイト」


「アリシアさんに……フェイトさん?」


「忠夫兄さんがおとーさんだから、おかーさんって呼んでもいいのよ? むしろ呼んで?」


「ずるいよアリシア! 私もおかーさんって呼んで!」


「俺の妹みたいなもんやから、ヴィヴィオも仲良くしたってな」


「いもうと?」


「そうよー。ヴィヴィオ、抱っこしてあげよっか?」


「服を買いに行くのもいいかもね」


「ありがとう! アリシアおばさん、フェイトおばさん!」


 …………。


「「お、おばさんー!?」」


 天使の笑顔で言い放った言葉に、周囲の人間は凍りついた。


「ちょ、ヴィヴィオ!?」


「ヴィヴィオ知ってるよ! おとーさんのきょうだいって、男の人はおじさんで女の人はおばさんって言うんだよね?」


「いやっ、でも流石におばさんは……」


 横島は、「おばさん……ハタチ前なのにおばさん……」と黄昏る妹を尻目になんとかフォローを入れようとするも、


「……ちがうの?」


「違いません……」


 ションボリしかけたヴィヴィオの眼差しに屈服した。


「弱っ! 弱いで横島さん!」


「あ、(フェイトちゃんたちと同い年で親友だけど)私は横島さんの妹じゃないからお姉さん、でいいよ?」←なのは


「(フェイトさんたちの家族だけど)私も妹じゃないからお姉ちゃん、って呼んでね?」←キャロ


「(フェイトさん以下略)じゃあ僕はお兄ちゃんかな?」←エリオ


「この裏切り者どもー!!」


「なのはひどい!!」


 ここぞとばかりに、非兄弟アピールを始めるなのはらに、アリシアとフェイトは半泣きで抗議した。





 ヴィヴィオが若い女性におばさんは禁句であると学習するのに、この後数年の時間を要することになる。合掌。





「もちろんあたしも」


「ヴィータちゃん!」


「なんであたしだけちゃん付けなんだー!!」


「……だめなの?」ウルッ


「ダメジャナイデス」







 おまけ2


「忠夫と」


「はやての」


「「一発ギャグ、コーナー!!」」



「えー、勢いではやてちゃんとコンビ組んでもうたけど、ちゃんとできるか心配やわぁ」


「何言うてんの! 私が横島さん以外に誰と組むねん?」


「リィンとか」


「もうちょい捻れや!」バシッ


「すんませんw えー、ところで、なにやらはやてちゃんからワイにクイズ出してくれるとか」


「そうや。親睦を深めるにはレクリエーション。その一環として、ってことや」


「ほぉう。どんな問題?」


「ほい、これや『ス●ラ●カー』」


「……伏字?」


「せや。伏字の下を推理して、単語を完成させて欲しいんよ。簡単やろ?」


「ルールは簡単やけど……んー、わからんなぁ」



「めちゃくちゃ簡単じゃない!」
「僕でもわかりますよー!」


 ティアナやエリオからから声援? が飛んだ。


「ヒントは、六課のフォワード陣が目指しとるモンや」


「……!? もしかして?」


「わかった?」


「ワイの考えとう通りやったら、ティアナちゃんらってめっちゃ勇気あるなー」


「そうやろ?」


「有名な作品の題名にもなっとるしなー」


「え、ちょ、そんなメタなこと言うてもてええの?」


「わかった。正解は……」


「正解は?」





「『スペランカー』やっ!!」
「ちゃうわーーーーーーー!!」バシッ




「どうも」
「「ありがとうございましたー!」」




「へええ。忠夫の妹ってお嬢様(フェイト)だって聞いてたっスけど、こっちのがそれっぽいっスねー」


「髪も茶色がかってるし、顔立ちもどこか面影あるし」


「利発だがお茶目な妹と、普段はいいトコ無しだが決めるときは決める兄か」




「ウェンディ、ルーテシア、チンク。その気が無いのはわかっているが、テスタロッサを煽るのは止めろ」


「……」


「テスタロッサ。その……」


「」ギロッ


「すまん。なんでもない。だが頼むから、その手のバルディッシュをしまってくれないだろうか?」






 本当に終わり。




 あとがき。
 
 え? これで終わり?
 はい。 終 わ り で す 。(ぇー

 さっくり終わらせると最初に言ってたでしょ。(ぇー
 さっくりどころか半年以上経ってますけども(ギャフン


 ティアナと横島は相性がいい。
 そして、はやてとクロノとスカさんとも相性がいい。

 間違いないッ。

 

 

 







感想代理人プロフィール

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代理人の感想
色々と笑いどころはあったけど、スカさん組のシリアスがかぶっちゃった印象。
そしてフェイトに対して何か思う所はないのか横島w

後ヴィータにちゃんづけするのは甲児君やシンジくんにくんづけするのと同レベルのジャスティス(ぉ


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