※このSSは別に壊れてないと思います。









GS横島外伝・「明乃の闘いU!!」






〜バレンタイン敗北編〜











 いきなりだが、ここ最近のナデシコ艦内の雰囲気はいつもと違っていた。





「ちっきしょ〜っ!! どいつもこいつもチョコレート会社の陰謀に踊らされやがって!

 俺だってなぁ、ナデシコに乗ってなけりゃ最低でもオリエからは貰えてるんだ!!」


「班長は良い方ですよ。整備班には彼女居ない歴20年以上のやつなんかごろごろ居ますよ。俺も含めて」


「そうっスよ! 班長は贅沢っス!」


「るせいっ! 今この時が重要なんだよ!!」


 整備員ズ&そのチーフがお約束過ぎる嘆き方をしていたり、





「え〜と・・・エミ君にリニア君にアサエ君にヨシコ君・・・。エリナ君がくれないにしても、20は固いかな。いや、もっとか?」


「てめえアカツキ・・・。わざわざ俺の前でそんなこと言うんじゃねぇっての」


「横島君だってたくさんもらえるだろう?」


「イヤミ野郎が・・・自慢じゃねーけど、俺の場合確実に貰える保証があるのはおキヌちゃんからの一個くらいなんだぞ!」


「・・・・・・・・・・・」


 アカツキは半眼になり、


「イヤミなのはどっちだろうねぇ。君の場合量より質だろう」


「はい・・・?」


 本気で怪訝な顔をする横島。


「はあ・・・」


 ある意味余裕に満ちた男たちも存在し、





「なあイズミ。またこの季節が来ちまったんだな・・・」


「リョーコはたくさん貰えて万々歳」


「同性から貰っても嬉しくねーよ! しかも変に大量に」


「アタシの場合、あげたら逆に皆引くのよね・・・」


(俺だって引いちまうって・・・)


 リョーコの頬が引きつる。


「スロバキアと分裂したヨーロッパの国。そりゃチェコ・・・・・・・ふ、ふふふふ、ふふふふふふふ・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


 常人とは違う悩み(リョーコの場合いろんな意味で)を持つ女性もいたり、




「ね、ね、もうすぐだね! リカはどうする? 手作り?」


「市販品で済ませるわ。特に本命の人居ないし」


「「「え〜っ!!」」」


「私は絶対手作り! あま〜いミルクチョコレートでアカツキさんのハートをキャッチよ!!」


「言っとくけど、早い者勝ち!」


「望むところね・・・!」


「ああ、バレンタインにかけるこの思い・・・! 青春だわ〜」


 女の子たちが熱く野望に燃えていたりもした。









 まあ何が言いたいのかというと。大半の人がお気づきの通り、もうすぐバレンタインデーなのである。


 どうでもいいところだが、ナデシコ内のバレンタインは日本式らしい。





 閑話休題。つまり、ナデシコ内は一部の人たちを除き、妙に浮かれた雰囲気だったのである。





 そして、心が浮き立ち野望に燃えていたのは、我らがヒロイン(の筈の)、天河明乃も例外ではなかった。




 明乃の自室。明乃は、泡立て機でボールの中身をかき混ぜている真っ最中だった


「フフフ・・・。今回ばかりは料理が出来る自分に感謝ね。横島くん・・・私の全力を見せますよ・・・!」


 チョコレートが付いた泡立て機を握り締める明乃の背後には、確かに燃え盛る炎のエフェクトが見えた。





 とまあ、つまりはそういう話なのである。





 ――――――――――





 明乃はこれまで男性にチョコレートを上げたことは無かった。子どもの頃父親に上げたことがあるかもしれないが憶えていない。

 それ以降はさっぱりだった。心からチョコレートを贈りたいと思う異性は居なかったし、義理チョコをばら撒くほどマメでも余裕があるわけでもなかった。


 しかし、今回ばかりは違う。なぜだか解らないが、明乃の熱の入れようといったら・・・・・・。


「ねえ明乃ちゃん。随分気合入ってるみたいだけど、どれくらい配るの?」


 声をかけたのは、なんとなく明乃の部屋に遊びに来たものの何もすることが無いイツキ。


 流しの下から鍋を取り出そうとかがんでいた明乃が、きょとんとした顔で顔をあげる。


「え? 一つしか作らないつもりですけど・・・?」


 キムタクってスマップだったっけ? と問われたかのようなキョトンぶり。その疑問が逆に不自然に思えてくるかのようだ。


「一つって・・・材料を見た感じじゃ随分ありそうだけど・・・。

 って一つ!? 一つだけ!?」


「ええ・・・」


「横島君にあげるんでしょ!? 横島君にしかあげないつもりなのよね!?」


「はい。そのつもりですけど」


 それが何か? と言うかのごとくあっさりと答える。


「タイガージョーも言ってます。

『本来プレゼントととは、自分の心の全てを贈る物に託して渡すこと!

 プレゼントを贈る・・・これすなわち、相手に己の魂全てをぶつけることなり!!』

 と・・・」


「・・・・・・・・・で、その『魂』の過程がその大量の材料・・・?」


 どう考えても、一個のチョコレートでは収まりそうに無い量だ。材料そのものはオーソドックスな物のようだが。


「ええ・・・。仮にも魂ですから。

 んー・・・でも、それにしたらこれでも足りませんかねぇ・・・」


 どんなもんでしょ? とイツキに向き直る明乃。はっきり言って、否も応も無いと思うが・・・。


 そして、ふとイツキの表情が、驚きと呆れからニヤリとした笑みにスイッチする。


「明乃ちゃん。たった一個の豪華そうなチョコレート・・・それは本命チョコと見て、間違いないのよね〜?」


「は!? な、な、な、ななな、な、なな、そ、そんな、本命なんて、そんな訳無いじゃないですか!!」


「解りやすいリアクションありがとう」


「違いますっ! 違いますヨそれは! 単に職場の同僚に普段からお世話になっている礼としてほらよく言うじゃないですか親しき中にも礼儀ありとかナデシコクルーの中じゃ一番付き合いの深い男の人だし何気に命の恩人だしそれからそれから・・・・・・」


(ほんとに解りやすいわね)


 ドツボの見本、ここに有り。


「ふーん。だから義理チョコを。明乃ちゃんって義理堅いんだ」


「そ、そうでしょう?」


 明乃の心のガードが僅かに下がる。





「てことは、同じパイロットのヤマダ君とアカツキさんや、ヘリアンサスの整備と修理をしてくれるウリバタケさんは、義理を感じるに値しないと? ふ〜ん」





 その下がったガードを見逃さず、がら空きになったジョー(顎)に強烈な一撃を見舞うのはさすがと称えるべきなのか。


「――――――――――」


 明乃の誤魔化し笑いがぴしりと固まった。


「ふんふん。他の人よりちょっと親しげな彼にはすんごーい義理チョコ。他の人は眼中にさえ入ってないとは・・・ふーん。ふーーーん」


「――――――――――う」


 固まった明乃の顔に、一筋の汗が。心なしか、プルプル震えているような。


「いやー、明乃ちゃんの事、ちょっと誤解してたみたい。意外とドライな人柄だだったんだね。あ、それだけ横島君が特別だって事?

 うーん! モロ青春って感じねー!」


 リミットブレイク。


「ちっっっっっがいますっ!!! そんなこと言うのはッ、このっ、このっ、このっ、口ですかーっ!?」


「い、いひゃいいひゃいっへ、はきのひゃん〜!(痛い痛いって、明乃ちゃん〜!)」


 明乃は、「このっ」という声にあわせてイツキの口を横に引っ張る。


「わかった! わかったから!! もう突っ込まないから!」


「ならいいです。・・・横島くんにしかあげないのは、単に今までチョコレートをあげる習慣が無かったからで、それで横島君にだけあげてみて反応を見るためですよ。

 で、どうせあげるんだったらちょっと頑張ってみようかな、と。他意はありませんよ!?」


「・・・・・・あ、そうなんだ」


 イツキはへらっとした愛想笑いで無難な答えを返す。


 その様子に安心したのか、再び明乃は調理を再開する。




「ふっふっふ・・・カクゴしてくださいよ・・・! 明後日、2月14日! 私のチョコレート、絶対に食べてもらいますよ!! 食べて腰抜かさないでくださいね!?」




(うーん、本当に青春ねー)


 本当に誤解だとしても、誤解した人に責任は無いだろうと思うのは、はたして気のせいだろうか。





 ――――――――――





 その人物は、明乃の部屋に向かっていた。場所はコミュニケで調べるまでも無く知っている。


 そして何事もなく部屋の前に辿り着き、ノックしようとした所、





「ふっふっふ・・・横島くん、カクゴしてくださいよ・・・! 明後日、2月14日! 私のチョコレート、絶対に食べてもらいますよ!! 食べて腰抜かさないでくださいね!?」





 びくっ!!


 部屋の前の人物は、突然の大声(何しろ廊下まで聞こえるほどだ)に驚き、


「・・・・・・・・・・・・」


 暫く何かを考えた後、


「・・・」


 そのまま踵を返した。










「!?」


「なんですか? イツキちゃん」


「いま、部屋の外に誰かが居たような・・・」


「本当ですか?」


 そう言って、ドアを開けて廊下を確認する。誰も居ない。


「誰も居ませんよ。

 とは言っても、曲がり角が近いですから立ち去った後かも知れませんが」


「・・・・・・・・・」


「何か気になるんですか?」


 何かを思案する様子のイツキに、明乃も少しばかり不安を覚えた。


「・・・いや、もし誰か居たのなら、さっきの明乃ちゃんの叫び、当然聞いてたんだろうなぁ・・・って」


「・・・!」


 確かに。そういうことになるかもしれないが。


「それがなんだって気もするけどね」


「そうですね・・・」


 言葉では納得しながらも、明乃は何かが引っかかったような、そんな顔をした。





 ――――――――――





 そして、2月14日当日。





 決戦の日、来る。











 どきどき・・・。


 明乃は手に大きめの箱を持ち、高鳴る胸を抑えながら、食堂で横島を待ち伏せしていた。朝はまずここにくるであろう事はわかっていたからだ。


(今日一番にチョコレートを渡せば・・・かなり横島君の印象に残るはず・・・!

 正直、チョコの出来には自信が有るし、その結果として後から貰うチョコレートの印象は薄くなるのは自明の理!)


 義理を渡すのにそこまでするのか、と言う突っ込みは野暮なのだろう。きっと。





 そして、一瞬食堂から注意を逸らしたのがまずかったのだろうか。





「あの・・・横島さん、えっと、これは・・・」


 一瞬と言うのは錯覚で、まさか一分くらい経っていたのか。

 明乃が見たのは、真っ赤な顔で俯きながら、チョコレートを渡そうとするホシノ・ルリだった。


「え、ルリちゃん?」


「これ・・・! ちょ、チョコレート、です」




(先を越されたーーーーーッ!?)





「おわ、サンキュールリちゃん! 義理でも嬉しいよ!!」


「それ、義理じゃないんですけど・・・!」


 横島の言葉に、反射的に返してしまうルリ。


「え?」


「あ! あー・・・いえ、義理・・・ですけど


 その言葉は、どんどん尻すぼみになっていった。


「そ、それじゃあ失礼します。いま一応勤務時間なので・・・」


 たたた、と返事も聞かずに、ルリは走り去った。


「!」


 明乃は、真っ赤な顔で自分の横を走り去ったルリを、呆気に取られたように見送るしかなかった。


(まさか、ルリちゃんが・・・)


 これは、女の明乃の目から見ても、破壊力は抜群だった。


 普段はクールな少女が頬を赤く染めて差し出すチョコレート。


 さらに、一番乗りというインパクトもプラス。横島がロリコンでないとは言え、結構グッと来る物があるのではないだろうか。


 しかし、明乃に呆然としているヒマは無かった。


「んじゃ、早速ルリちゃんのチョコを食べよっかね」


(な!?)


 目的を達成するのなら、たとえ渡すのが二番目であろうと、さっさと出て行って一番に自分のチョコレートを食べてもらうべきだった。


 迂闊としか言い様が無い。





 しかし、そんな心配は杞憂に終わる。





「忠夫、先にわたしがあげたやつ食べてみてよ。一生懸命、頑張ったんだから」





 なぜなら、とっくに先約がいたのだから―――――




「あ、悪い悪い。そうだな、そういう約束だったからな」




「―――――!!」


 明乃は自分の浅はかさを呪う。そうだった。横島は、モモと言う同居人がいたのだった。


 同じ部屋なら、一番最初に渡すことも、一番最初に食べてもらうのも造作も無い。


 明乃は、戦う前に敗北していたのだ。





 横島は、でこぼこで不恰好な、だが心のこもった手作りであることが一目でわかるチョコレートを、嬉しそうにほうばった。実際、嬉しいのだろう。


「忠夫・・・おいしい?」


 不安げに、上目遣いで訊ねる。


「ああ。美味い。美味いよ、モモ」


 横島は、モモの頭に手を乗せ、ぐりぐりと撫でた。


「えへへ・・・」


 滅多に表情が変化しないモモが、本当に嬉しそうに笑った。





「・・・・・・・・・・・・・・・」


 ベタだ。あまりにベタな展開だ。だが、


「・・・・・・・・・う?」


 明乃は胸を抑えた。目の前のベタな展開を見ていると、やけに胸が痛かった。


 その時、偶然明乃とモモの目が合った。


「「!!」」


 固まる2人。そこに、おとついのイツキとの会話がリフレインする。




 ・・・いや、もし誰か居たのなら、さっきの明乃ちゃんの叫び、当然聞いてたんだろうなぁ・・・って



(まさか、モモちゃんそれを見越して!?)


 おそらく考えすぎだ。だが―――――





「どうした、モモ」


 横島が、それに気が付いた、と感じた時、


「・・・・・・!!」


 明乃は、脱兎の如くその場を駆け出していた。










「? 何か珍しい物でも見えたんか?」


「・・・べつに」









(あ〜〜〜〜〜〜っ! なんで逃げてるの私はーーーっ!!)





 前途は多難としか言い様が無かった。


 あんた本当に義理を渡そうとしているのか? と訊くのはやっぱり野暮に違いない。





 ――――――――――





 明乃は、とぼとぼ廊下を歩いていた。不甲斐ない自分を殴り飛ばしたい気分だった。


(はぁ・・・。もうこれ、自分で食べちゃおっかな・・・)


 一瞬そう思った。だが、長い構想、材料集め、製作時間、それらを思い出し、一回の失敗で諦めるのも馬鹿らしいと考え直す。


 ・・・無理矢理そう納得することにした。


「・・・うん、だったらできるだけ早いうちに食べてもらおう」


 そう一人ごち、いま来た道を引き返した。










「はいっ、横島君、チョコレートだよー」


「・・・チョコレートよ」


 いままさに横島にチョコを渡そうとしているのは、ヒカルとイズミ。リョーコの姿は見当たらない。


「え、マジっスか? いやー、嬉しいなー!」





(お、遅かった!?)


 頭を抱える明乃。なぜかまた物陰に隠れてしまっている。


(しかも、かなり喜んでるし・・・)





「あはは、はい、どぞどぞ」


 ヒカルは、手に提げた紙袋の中の大量のチョコから、一つ取り出し手渡す。


「・・・ふふ、わたしからチョコを貰うのは、良くない兆候・・・。くく、くくくくく・・・」


 チョコと兆候とをかけたのだろう。不気味な笑みを浮かべながらチョコを渡すその様子は、引いたり良くない兆候を感じても無理は無い。


「うおお!、ヒカルちゃんにイズミさん、おれ、大事に喰いまーす!!」


「「・・・・・・」」


 引くどころか大いに喜ぶ横島に、ヒカルとイズミは思わず顔を見合わせる。


「ただの百円の板チョコでそんなに喜ばれたら、逆に悪いような・・・」


「いやいや、今までろくに貰ってなかったからそれで十分すぎ!」


「・・・横島君、引かないの?」


「なんでっスか?」


 嬉しそうな横島を見ると、演技をしているような気配は全く感じない。


「「・・・・・・」」


 ヒカルとイズミはもう一度顔を見合わせ、


「・・・横島君。その心がけ、大事にしなさい。そのままでいる内は、あなたに味方が居なくなることは無いでしょうから」


「? はぁ。そうっスか」


 よく解っていないようだ。


「んじゃ、俺そろそろ行きます。チョコありがとうございましたーっ!!」


 すたたたた、と横島は走り去った。


 それを見送ったヒカルは、大きく息を吐き少なからず驚いた様子で呟く。


「うーん・・・イズミちゃんが寒いシャレで落とさないなんて。

 もしかして、惚れた〜?」


「フ、ありえないわね。少なくとも三年遅いわね」


「遅い? それを言うなら三年早い、じゃないの?」


「別に間違ってない。遅いで正しいよ」


「・・・ふ〜ん。もしかして、イズミちゃんてショタっ気あり?」


 なぜか期待に目を輝かせながらヒカルが詰め寄る。


 イズミは無表情に、


「・・・・・・ヒカルは幸せものだね」


 とだけ言った。


「どういう意味ぃ〜!?」





「・・・はっ! こんなことしてる場合じゃなかった! 今すぐ追いかけないと!」


 明乃は本来の目的を思い出し、横島が走っていった方向に走った。





 ――――――――――





(うう・・・二個目以降でもあんなに喜んでもらえてたなんて。だったらさっさと渡しておけばよかったよ〜!)


 明乃は、後悔しながら横島が去った方向へ走る。もっとも、何処へ向かったかは解らないのだが。


「!」


 明乃は、遠くにチョコを受け取った横島と、手渡したミナトを発見した。またもこういう場面に遭遇してしまったので少々ひるんだが、


「かまうもんか」


 よく考えたら、隠れる必要など何処にも無い。そのまま二人に近づく。


 否、近づこうとした。


「ああっ!?」


 横島は、三代目ルパンのようにミナトに向かって跳躍していた・・・。   様な気がした。


「・・・!」


 条件反射だった。明乃はほとんど無意識に、横島に向かって突撃していた。










 そのちょっと前。


「はいっ横島クン、私からバレンタインのチョコレート!」


 そんな幸運に遭遇したのは、殺風景なただの廊下だった。


「え・・・!?」


 面食らったのは一瞬、大きな喜びが体を駆け巡る。


「ま、マジっスか!?」


「え、ええ・・・。なに、そんなに意外だったの? そう思われてたんだったら、ちょっと心外ねぇ・・・。


「あ、いや、そんなわけじゃ・・・」


 横島の思い出の中に、美神からチョコレートを貰えなかった憶えは、実の所、無い。

 だが、いつも「ついでに」とか「おキヌちゃんがあげろって言うから仕方なく」とそんな風にしか貰った記憶が無いのだ。

 だが横島は忘れていた。そのときの美神の顔にはなんとなくテレのような物が見て取れ、チョコレート自体も、市販品であるにしろ結構値段の張る物だったのである。


 それも忘れて、「確実に貰える保証があるのはおキヌちゃんからの一個くらい」との言い草は、アカツキに半眼で見られても仕方がない気がする。



 閑話休題。


 つまりどういうことかというと、美神に瓜二つな人物が、笑顔で当然のことのようにチョコレートをくれるのは、とても嬉しく思ったわけである。


 ミナトと美神の双方に失礼な気もするが。


「じつはね、これ手作りなんだ。結構気合入れたから、大事に食べるんだぞ? なんてね」


 喜びのメーターが、振り切れた。


「あっ、あっ、あっ、ありがとうございます!!」


 ミナトの両手をぎゅっと握ろうと踏み出す。


 その時、ミナトの視界から横島の姿が消失した。





 あ、喜びのメーターが振り切れたのは、ルリやモモのチョコレートがミナトのものより嬉しくなかったと言うわけでないので念のため。

 今日一日、今までに無いほどチョコレートを受け取ったので、それで今回とうとう振り切れた・・・とのことである。










 再び、明乃視点。


 別にいかがわしい行為を働こうとしているわけではないことは、なんとなく感じた。


 しかし、条件反射とは恐ろしい物で、もう完全に思考回路から逸脱した命令を体に送ったようである。


「はああっ!!」


 明乃の放った技、ウルフファングは、常人には目視すら叶わないほどの速度で、横島に炸裂した・・・。


 妙に気合の入った掛け声も、条件反射のなせる業なのだろうか。


(あ、し、しまった!?)


 明乃は、ウルフファングと同じスピードで、とっさにその場から離脱した。





「よ、横島クン!? なんでいきなり真横に吹っ飛ぶの!?」


 ミナトは倒れ伏した横島を揺さぶる。


「いま・・・次元の狭間から何かが・・・・・・」


「私には何も見えなかったわよ!?」





「ひーん・・・なにやってんの私は!?」


 どだだだだ・・・と廊下を疾走する明乃。そこに、


「いやぁすばらしい。見事な一撃でしたよ」


 と声をかけてきたのは、


「メグミちゃん!?」

 
 メグミ・レイナード、その人であった。


「なんですかいきなり?」


「今日一日、なんとなく後をつけてましたが・・・」


「なんとなく・・・」


「あなたのこと空回り道化暴走特急って呼んでもいいですか?」


「お願いですから止めてください」


 0.2秒で辞退する。


「そうですか」


 特に残念でもなさそうに頷く。


「いきなりですが、迷える子羊に助言を与えましょう。・・・ああご心配なく。朝から一部始終拝見していましたから状況は把握しています」


 突っ込みどころは随所に見られるが、今更なので明乃は何も言わない。二人は廊下を歩きつつ会話する。


「横島さんが、チョコレートをあんまり貰ってなかったのは事実のようです。だからいまからでもさっさと渡すことをお勧めします。いまからでも十分すぎるほどに喜んでくれると思いますよ」


「・・・でも、出来るだけ印象に残るようにしたかったんですが・・・」


「今更どーしよーも無いですね」


「・・・・・・・・・・・・」


 明乃は溜息をついた。一週間前から頑張っていた結果がこれなので、かなり気落ちしている。


「・・・そういえば、メグミちゃんはチョコレートを誰かにあげないんですか? そんな様子は見えないんですけど」


 気持ちを紛らわすためか、なんとなく取り留めの無いことを訊ねる。


「チョコレート、ですか」


 なんでもない質問のつもりだったが、腕を組んでうーむと唸る。


「・・・なんですか?」


「いえ・・・チョコレートをあげたこと、一回だけあるんですけど・・・・・・」


「あるんですか!?」


「ええ、義理なんですけどね。とある仕事についてた頃、同僚に」


「食べた人の感想は、どうだったんですか?」


「・・・・・・・・・・・・」


 メグミはちょっと口篭もり、


「とりあえずチョコレートは何個か用意してたんですが、初めの一つをあげた時点で感想が気になりまして。渡してすぐに食べてもらったんですよ。そしたら・・・」


 一拍。





「ちょっとばかり目の焦点が合わなくなって、『メグたん萌え、メグたん萌え』としか喋らなくなったんです・・・」





「・・・・・・・・・その人は・・・いえ、なんでもありません・・・」


 その人がどうなったかを聞く勇気は、明乃には無かった。


「その後すぐに残りのチョコレートを処分して、それ以来私の中ではチョコレートや料理は禁じ手としたんです」


 どうやら80の隠し技の中に料理は含まれていないようだ。


 ・・・毒薬作成は入っていそうだが。





 ――――――――――





 そして、明乃はメグミの先導で横島に追いついた。そこで出くわした場面は・・・


「よう横島。チョコレート貰ってるか?」


 今度はリョーコだった。


「リョーコちゃんか。って、その紙袋の中、全部チョコ!?」


「いやーははは。女子高じゃねぇってのにな?」


 複雑なのか、表情は苦笑いだ。


「おっと。ここで会うのもなんかの縁だろ。オメーさんに俺の取っておきをやるよ」


 事が終わるまで様子を見ようとしていた明乃とメグミは、チョコレートか? と思ったのだが、違った。


「これ・・・せんべい!?」


「そう! その名も「ごま醤油せんべい」だ。ま、喰ってみろよ」


 横島は袋からせんべいを一枚取り出し、かじる。


「!? 美味い! 焦げた醤油の味にごまの風味が加わって・・・香ばしさの相乗効果か!?」


「やっぱ解るか? それに、横島も今日チョコレート食っただろ。甘ったるいやつばっかを食った後じゃ、何倍も美味く感じるはずだぜ。しかも食った後には、またチョコレートが美味く食えるというおまけ付きだ」


「そ、そうか! なるほど・・・」


「バレンタインだからってチョコレートをやるだけが能じゃねーだろ。ま、これをチョコの代わりにしといてくれよ。

 言っとくが、俺がバレンタインに何かをやることなんか珍しいんだぜ?」


 にかっと笑い、リョーコは去っていった。










「・・・・・・・・・」


 明乃はショックを受けていた。さっきのリョーコの台詞が脳内にこだまする。


 バレンタインだからってチョコレートをやるだけが能じゃねーだろ―――――


「がーーーん・・・」


「ふーむ・・・これは一本取られましたかね」


「・・・・・・・・・」


 明乃は、まだショックを受けている。


 そこに、


「あーっ! アキノやっと見つけた!」


 やってきたのは、ユリカだった。


「え・・・? ユリ・・・カ?」


 明乃は、まだショックが抜けきっていない。


「はいっ、チョコレート!」


「あ・・・」


 差し出されたのは、きれいにラッピングされた(実はジュンにやってもらった)チョコレート。


「子どもの頃以来だよねー。自信作なんだ! 絶対食べてね!」


「あ・・・うん」


「もっとお話したいけど、今ちょっと忙しいんだ・・・。また食堂でね!」


「うん・・・」


 バイバーイと手を振りつつ歩き去っていくユリカ。


 姿が見えなくなったところで、


「あ、横島さん! ちょうど良かったです、チョコレート余ってるんですけど・・・」


 そんな声が聞こえた。


「・・・子どもの頃、ということは、以前も貰っていたんですか?」


「ええ。あの時は酷い目にあいました・・・・・・・・・・・・って」


 そこで、明乃の動きがぴたりと止まる。




「しまったーーーっ!! 横島くんちょっと待ったーーーーーっ!!!」




 と、横島の下に駆けつけたときには、手遅れだった。


「・・・! ・・・・・・!!(びくっ! びびくっ!)」


 うつ伏せでびくびく痙攣する横島(手にはユリカのチョコ)と、


「横島さ〜ん、床に寝転ぶと汚いですよ?」


 心底不思議そうな様子のユリカだった。


「お、遅かった・・・」


「・・・何がどうなってるんですか?」


「ユリカのチョコは・・・いえ、料理は・・・・・・とんでもない劇薬って言うか毒になってしまうんです・・・なぜか」


 そうだった。子どもの頃、そのせいで何度か生死の境をさまよったのだ。


「変だな〜。やっぱりお砂糖の分量間違えたのかな?」


 分量は確かに間違えていたが、そんなことなど問題にならないような致命的失敗を犯していたことをここに明記しておく。


「とりあえず、イネスさんの所に運びましょうか」


 メグミの提案に、明乃は力無く頷いた。










「明日の朝まで絶対安静ね」


「え?」


 横島の診察を終えたイネスの、開口一番がそれだった。


「えっと・・・それ、困るんですけど・・・」


「あのね、物理的に不可能なの。あんな毒を呑んで今日中に目覚めたら、私はその人を人類とは認めないわ」


「あぅ・・・!」


 もう、明乃はうめくことしか出来なかった。


「・・・今日一日、明乃ちゃんは幾度となく敗北してきたけど・・・まさかその最たる負けが艦長の手による物とは・・・。

 艦長、侮りがたし・・・!!」


「・・・・・・・・・・・・」


 明乃は、今日と言う日のためにどれだけ精魂を込めてきたのだろうか。それは定かではないが、二月十四日に渾身の自作チョコレートを渡す、という目的を達するのはほぼ絶望的となった。


「ぅ・・・く・・・!」


 それもこれも、全ては自分の責任。トドメはユリカだが、いままでまごついてきた自分が悪いのだから。


「・・・メグミちゃん、後、頼みます・・・」


 パッと見でも憔悴しているとわかるその姿に、メグミとイネスが何かを言おうとしたが、明乃の背中は会話を拒んでいる雰囲気を漂わせていた・・・。





 ――――――――――





「・・・・・・・・・」


 明乃は身を起こした。


「・・・・・・・・・」


 周りを見回す。自室だ。あの後部屋に帰ってきて机に突っ伏した憶えがあるが、そのまま寝てしまったらしい。


「え・・・と」


 時計を見る。午前一時半。バレンタインデーは、もう終わっていた。


「・・・・・・・・・」


 また机に突っ伏す。構う物か。起きていても無意味だ。このまま朝まで寝てしまえば―――――


「明乃ちゃんー? いますかー?」


 寝れなかった。


「・・・メグミちゃん」


「オヤオヤ、電気くらいつけたらどうですか」


「・・・寝る時に電気はつけないでしょう」


「む。ごもっとも」


「で、なんですか? 私は寝ます。今日はもう気が抜けたと言うか・・・」


 そのまま突っ伏そうとするが、


「何言ってんですか。早くチョコレートもって行きましょうよ」


 平然とのたまった。


「・・・え?」


「横島さん、11時ごろには目が覚めてたんです。イネスさんびっくりしてましたよ。うん。実に興味深い」


「ユリカの料理を食べて・・・二十四時間以内に目が覚めた・・・!?」


 明乃の感覚で言えば、興味深いどころではない。


「でも、もうバレンタインじゃありませんし・・・もうなんて言うか、自分の駄目さ加減に腹が立つどころか呆れて・・・」


「ふむ。もうどうでもいい、と?」


「・・・まあ」


「解りました。それじゃ、行きましょうか」


 メグミは、ごく自然に明乃の腕を掴んで立たせる。


「え!? あの、ちょっと・・・!」


「どうでもいいんでしょう? ならば一日遅れのバレンタインチョコを渡すと言うのも悪くない。そう思いませんか?」


「む・・・」


「まあ騙されたと思って。たまには私に付き合ってください」


「・・・・・・・・・」


 ・・・確かに、このままチョコレートが傷んでしまうのはもったいないが・・・。


「・・・解りました。行きます」


 やはり、横島にチョコレートを食べてもらいたい、と言う気持ちはなくなってはいなかった。


「決まりですね。早速行きましょう!」


 メグミの声に背中を押されつつ、思う。


(一日遅れのチョコでも、少しだけでも喜んでくれるかな・・・?)


 現金な自分自身を笑う。まだ期待する気持ちが残っていたとはね・・・。





 ――――――――――





「―――――」


 横島の部屋に入った明乃が見た物は、


「ああ、明乃ちゃん。らっしぇい」


 謎の迎え文句を呟くいつも通りの横島と、


「・・・・・・・・・#」


 見るからに不機嫌そうなモモがいた。


「えっと・・・」


「? なに、明乃ちゃん」


「その、ですね、遅くなりましたが・・・えと、チョコレート・・・です」


 おずおずと、チョコレートが入った箱を差し出す。


「・・・・・・」


 横島は数秒目を丸くし、


「うをを! サンキュー明乃ちゃん!!」


 普通に大喜びだった。


「・・・・・・・・・」


「この箱なんか大きいけど、開けていい?」


「あ、どうぞ・・・」


「ふむ」


「・・・・・・」


 メグミも中身が気になったのか、箱の近くに移動する。モモも無言で覗きこんだ。


 そして、箱を開ける。


「・・・これって」


「チョコレートケーキ!?」


「はい。これなら小分けに出来ますし、他の人に振舞うことも出来ますし」


「うわ・・・なるほど!」


 横島とメグミはしきりに感心している。だが、明乃は暗い表情のままだ。


「・・・でも、14日以内には渡せませんでしたが・・・」



「え? でもいまはまだ14日だけど」


 
 あっけらかんと言った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は? え、そんなはずは」


「でもほら、時計」


 横島が指したこの部屋のアナログ時計を見る。確かにまだ11時を過ぎた程度だ。


(・・・確かに自分の部屋の時計は一時を回っていたのに)


 さらに明乃が考え込もうとした時、


「あ、ほら明乃ちゃん、せっかくだからケーキ切きりましょうよ。私はコーヒー入れますから。

 横島さーん? ちょっと流し借りますよ?」


「いいけど、お客にそんなこと・・・」


「まあまあ、気にしないでください。こんな時間に押しかけてきたんですからそれぐらいはやりますよ!」


 返事も聞かず、メグミは戸惑う明乃の手を引っ張った。










「なんか納得行かないって顔してますね」


「ええまぁ。納得いかないってのは時間に関してだけですけど」


 備え付けの包丁でケーキを切り分ける。表情とは逆に、手の動きによどみは無い。


「確かに不思議ですねー。医務室で横島さんが目を覚ましたのは、確か十二時過ぎだったはずですが」


「やっぱりそうなんですか? でも、だったらなんでわざわざ私を呼びに来きたんですか」


「簡単なこと。横島さんに頼まれたからです」


 ちなみに、この会話は全て小声で行なわれている。


「横島さんが目を覚ました時、思わず「明乃ちゃんが残念がってたー」って言ったら、三秒後にがばぁって起き上がって、ダッシュで医務室を出て行きまして。

 部屋まで追っかけたら、いい度胸にも私をパシらせたんです」


「ちょっと待ってくださいよ。私のこと言っちゃったんですか!?」


「14日中に渡せなかったから残念がってたって言っただけですよ」


「・・・そうですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ、ということは・・・・・・」




「忠夫は、時計の針を巻き戻したの」





「うわっ!?」


 明乃は、突然背後から聞こえた声に、飛び上がらんばかりに驚く。


「どういうことですか?」


「どうもこうもない。忠夫は、明乃のためだとか言って針を戻しただけ」


 モモはさっきから不機嫌そうな顔をしていたが、話している最中も、現在進行形で不機嫌さが深まっているような気がする。


「うわっ! こらモモ! 言っちゃ駄目だって言っただろ!?」


「むー」


 モモの声は聞こえたのか、横島はとっさにモモの口を塞ぐ。


 無論、手遅れだったが。


「・・・はっ!?」


 横島は、自分に注がれる、2人分の視線を感じた。





「・・・・・・自分で、針を戻した?」





 明乃の声は、驚いたような、呆然としたような、信じられないような、そんな声だった。


「あ、いやほら、メグミちゃんが言うには、今日中に渡せなくて残念がってたっていってたし、それに、おとつい明乃ちゃんも、なんか凄い意気込みだったし、えっと、絶対食べてもらうーとかなんとか」


 後ろめたいことがあるかのような怪しさだが、横島はボディランゲージも交えて説明を試みる。


「・・・もしかして、おとつい私の部屋の前に入ろうとしてやめたの、横島くんなんですか?」


「あが!」


 横島はビジー状態に陥った。自爆だ。


 明乃は、何かをこらえるかのように体を震わせている。


「だから、その・・・明乃ちゃんからもらうまでは、俺の部屋だけでも14日って事で通そっかなー・・・なんて・・・」


「――――――――――」





 そこが、限界だった。





 その言葉と、困ったように、だが真剣に説明する様子を見てしまっては、もう限界だった。





「・・・・・・く・・・・・・あはは、あははははははははははははははははは!!」





 明乃、大爆笑。


「「「・・・・・・・・・・・・」」」


 メグミは苦笑しつつ、横島とモモは、どんな顔をすればいいかわからない様な表情で、爆笑する明乃を見つめる。


「あは、あははははは、あはははははははははは!!」


 負けだった。完敗だった。完璧に敗北した。


 横島の表情、心遣いに、明乃は完全に、ノックアウトされた。


 メグミも苦笑しつつ、話し掛ける。


「アキノちゃん、『今日』は負け続きの日だったけど、これは極め付けだったわね。

 ・・・・・・で、この負けはどんな気分?」


 「今日」という言葉を強調しつつ、問う。


「あは、ははは、もう、なんて言うか、はは、最高ですよもう。あはは、こんな嬉しい負けは、ふふ、初めてです―――!」


 涙をにじませつつ、最高の笑顔で、何とか問いかけに答えた。


「ふふふ、初めっから横島くんの掌の上だった、ってことだったんですね。いやホント、まいりました」


「あー・・・ごめん明乃ちゃん。こっちでも明乃ちゃんを探してたつもりだったんやけど・・・」


「あはは、もういいですよ。さ、私のバレンタインチョコ、皆で食べましょうか?」





 その顔は、雲一つ無い空のように、晴れ晴れとしていた・・・・・・










「・・・・・・・・・」


 モモは、ケーキを一口食べ、顔をしかめる。


 不味かったのではない。その正反対の理由だ。


「・・・・・・・・・」


 自分のチョコを味見した時のことを思い出す。


「・・・・・・・・・」


 不機嫌レベルがアップした。


「・・・・・・・・・」


 そして、明乃のために時計の針を戻す横島と、爆笑する明乃の姿を思い出し、


「・・・・・・・・・」


 眉間のしわが一筋増えた。


「・・・・・・・・・」


 現在の心中はともかく、ふくれっ面でケーキをほおばる様子は、微笑ましさを覚えるほどに可愛い。


「・・・・・・・・・」


 それはともかく、自分がこんなに不機嫌だと言うのに、


「ん? なんだよモモ、そんな難しい顔して。さすがにもう眠いのか?」


 などと鈍すぎる台詞を言われた日にゃ、





「・・・・・・・・・はぁ」





 ・・・もう、溜息をつくしかなかった。










 END










 イネス先生の、なぜなにナデシコ出張版

 うーーーーーん、青春ね。

 あら? イツキちゃんのが染ったかしら?


Q1:オリエって?

 整備班チーフ、ウリバタケ・セイヤ氏の奥さん。

 この人にはもったいないほど、美人で出来た人・・・・・・って言ったら失礼よね。やっぱり。


Q2:ウルフファングって?

 登場作品:「大番長」

 久しぶりの、明乃ちゃんの技シリーズね。

 主人公、斬間狼牙(ざんま ろうが)の切り札と言うべきスキル。白き疾風をまとい、目にもとまらぬスピードで拳を叩き込む技よ。

 消費気力3、攻撃力1.5倍、回避+20、先制攻撃。


Q3:なんで横島はユリカの手作りを食べたのに夜にはぴんぴんしてたの?

 実は、11時ごろには目が覚めてただけで体の自由はほとんど無かったんだけど、メグミちゃんの言葉を聞いて、無理矢理文珠で復活したのよ。台詞を聞いてから起き上がるまでに3秒のタイムラグが有ったのはそのため。










 あとがき

 どうもこんにちは。K-999です。

 本編はどうした。とおっしゃられるかと思います。でも、最近私生活が忙しすぎて、バレンタインまでに完成しそうに無かったわけで、急遽作り置きが先になりました。

 時期的には、ちょっと未来の話ですね。


 まぁ、サブタイトル通りの内容になったと思いますが、こんなのもありかと思います。


 メグミの行く末がどうなるか、作者も気になる今日この頃。

 

 

管理人の感想

K−999さんからの投稿です。

確かに壊れてはいませんね、ハッスルしてるだけで(苦笑)

ただ、メグミ嬢が随分大人しくなっていたな、と(笑)

ここは自らの封印を破ってでも、何らかのトラブルを呼び込んで欲しかったな、と(爆)