「やあ、ちょっといいかい」

 

「アカツキか。何のようだ」

 

「つれないなあ、せっかく君にちょっとしたプレゼントを用意したのに」

 

「?男のプレゼントなんぞいらんぞ」 女のプレゼントにゃ気付かないくせに。

 

ちなみにラピスは食堂で「ホウメイ特製プリン・ア・ラ・モ−ド」を満喫している。

常にアキトにへばりついてるため、ホウメイには懐いたようだ。

 

「実はこの度また大規模な改修をナデシコに施す事になってね、クル−には三日間の休暇が支給されるんだ」

 

「それで」

 

「僕は女の子を誘おうと、映画のチケットを二枚買ったんだが用事でダメになってね。君にあげよう。

 ルリ君でも艦長でも好きなコ誘って行くといい。それじゃ」

 

 

 

起こり得るべきこんな事

 

 

 

彼は悩んでいた。床に座り込み、二枚のチケットを前にP○Aきゃ○っとで特製ハンバ−グを食べるか?

あるいは大○屋で本格的出雲蕎麦を食べるか? と、悩むのと同じ位苦悩していた。

 

「あうううううううう。ダレ誘っても角立つなぁ。どうしよ?」

 

とその時、背後から伸びた白く細い指がチケットを摘み上げる。

 

「あら、映画のチケットが二枚。どうしたの?」

 

見ると、副操舵手にしてネルガル会長秘書のエリナ・キンジョウ・ウォンが居た。

また会長秘書権限で勝手にロック解除して入ってきたのだろう。

 

とりあえず事情を説明する。

 

「ふっふふふふふふふふふふふふふ。じゃああたしが一緒に行ってあげるわ」

 

「い、いや、オレは・・・・」

 

「ならこのチケットの事レイナや艦長に言っちゃうわよ。どんな騒ぎになるコトやら」

 

「誘う。誘ってやる」

 

「なんかイヤイヤっぽいなあ」 当然だ。イヤイヤなのだから。

 

「解った、よおおおおおく解った。エリナさんと一緒に行きたいので、是非誘いを受けて下さい。お願いします」

 

「ん、オッケイ。そこまで言われちゃ仕方ないわね。一緒に行ってあ・げ・る。キップは預けとくから」

 

ひどく浮かれて、スキップなんぞしながら出て行くエリナ。

 

 

 

一方その頃、某所では・・・・・・・

 

「おう戻ったか会長。で、首尾はどうだ?」

 

「ばっちりだよ作戦部長。で情報統括部長の方はどうだい?」

 

「オ−ケ−です。ほとんどの女性クル−が一時間に一回

 ルリさん・・・S−2に至っては五分に一回(泣)アクセスする『テンカワアキトデ−タベ−ス』に

 テンカワさんがキップを入手した事を書き込んでおきましたから」

 

「S−6がどうやらTに接触したようだ。まだデ−タベ−スを覗いていないから偶然のようだな」

 

「たとえ今回の作戦がS−2に気付かれたとしても我々はTに映画のチケットを渡しただけ。

 何の責任も、攻撃されるいわれもない」

 

「まさに完璧ですね」

 

 

「「「あ−っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは・・・・・・・・・」」」

 

 

 

 

とりあえず、見なかった事にしよう。

 

そう決心したアキト君は、チケットをクシャクシャにして、後ろ向きにごみ箱に放り込んだ。

 

「これでいい・・・・これで・・・いいんだ・・・・エリナさんにはいつか服でもプレゼントすれば・・・・・」

 

がさ、ごそごそごそ。

 

「ふうん・・怒涛の恋愛大作ロングラン映画『炊いた肉』ですか。

 しかも服をプレゼント・・・・・なかなかいい度胸されてますねアキトさん」

 

「さっすがアキト。あたしが見たい映画のチケットを、あたしが言う前に用意してくれたんだね」

 

そんな・・・・・つもりは・・・・ないんだが・・・・・

 

「で、一体どなたと一緒に行くんですか?」

 

目ェ怖いよルリちゃん・・・・・

 

 

 

とりあえず、やっとの思いで格納庫に逃げ込んだ。

エステの調整とかいってコクピットに篭るとしよう。

しかしオレのプライバシ−って考慮されないのかな?

 

そんな事を考えてるオレの前にリョ−コちゃんが立ちはだかった。

 

「な、なあテンカワ。あたい、今度の休みにゃちょっと・・ヒマ・・・持て余して・・・」

 

「あ−アキト君!なんか映画のチケット手に入れたんだって?誘ってくんない?」

 

「な、何故?何故レイナちゃんがその事しってるんだ?」

 

「そんな事ど−でもい−からさ、一緒に行こうね、ね!

 

「あ、アキトさん!チケットの件なんですけど・・・・」

 

「アリサちゃんまでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

この調子じゃあ厨房も駄目だな。

ホウメイガ−ルズに包囲されたら、マジでヤバい。

それに今あそこにはラピスも居るハズ・・・・命の危険がピンチだ!

 

リンクしているので何処へ行こうがラピスからは絶対に逃げられないのだという事を必死で頭から追い出す。

 

 

「解った。結論を出そう」

 

あれから事態はさらにエスカレ−ト。

何時の間にやら「今回映画に誘った相手とアキト君は結婚する」という所にまで話は進んでしまっていた。

一行を前にアキト君は決意を表明する。

 

「オレが今回映画に誘うのは・・・ラピスだ!」

 

ざわわわわわ!

 

「あ、アキト君・・・それちょっと・・・・」

 

「う、うん・・・児童福祉ナントカとかあって・・・・」

 

「だああ!何考えてるんだ!ラピスはついこの間まで施設の中から出れなかったんだぞ。

しかも気付いたらなんかヘンな風に成長してるし」

 

ここでギロリと、ハ−リ−君を睨む。

 

「ラピスへの情操教育だ!文句あるか?」

 

あるのだろうが、文句を口にしたらアキト君に嫌われてしまいそうなので我慢する。

 

「よし!これでこの問題は終りだ!」

 

 

さてここは怒涛の恋愛大作ロングラン映画「炊いた肉」を上映する映画館。

事故で沈もうとする地球−月間の定期便で、お金持ちのお嬢様とかいしょ無しの作家志望の青年との恋愛を描いた作品である。

宇宙服着込んだお嬢様が男と二人、船の穂先で「アイムキングオブザスペ−ス」とやるのが一番の見せ場だとか。

さっきまでニコニコ上機嫌だったラピスも、今はひどく不機嫌。

 

「なんでルリやユリカがここに居るの?」

 

「自分でチケット買ったのです。あ、ハ−リ−君。全員のコ−ラとポップコ−ン買ってきて下さい。

 あとパンフは鑑賞・保存・予備の三つですよ」

 

「そういえばこのコマ−シャルって映画始まる前に必ずやるね。

 テンカワ君の給料三ヶ月分の指輪ってどんなのかな?」

 

女性陣全員が自費でチケット買って、ついてきてしまったのだ。

 

「う−−−−。アキトとあたしふたりっきりのデ−トだったのに−−−」

 

「言ったでしょうラピス。あなたの思い道りにはさせない・と」

 

終り

 

 

 

 

管理人謝罪・・・(すんません、ゴメンナサイ、僕が馬鹿でした、そうさ俺が全て悪いのさ・・・)

 

 

影竜さんから十回目の投稿で〜す!!

・・・まずは謝罪をば(汗)

うう、実はこの投稿作品は影竜かんさから4月7日にいただいたんです(汗)

それを・・・Benが・・・(ガハッ!!)

下手な言い訳はしません!!

影竜さん、掲載が遅れて済みませんでしたm(__)m

 

で、感想ですが・・・

さり気無く活躍してるんだな、あの組織(苦笑)

しっかり、彼も入ってるし。

・・・まあ、彼が入る事は確定してましたけどね(爆)

作中ではアキトにラピスの事で睨まれてるし(笑)

 

では、影竜さん十回目の投稿、有難うございました!!

 

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後、影竜さんはどちらかと言うと掲示板に感想を欲しいそうなので。

この掲示板に出来れば感想を書き込んで下さいね!!