ビュビュビュ、ビシュ!

 

目にも止まらぬ連撃を、少女は右に左に頭を振ってかわす。

そのまま、∞(無限大)の軌道を描きながら次々とパンチを打ち出す!

ところで影竜の住んでいるあたりでは「はじ○の一歩」が放映されてないので悲しいぞ。

次々に繰り出されるデン○シーロ○ルの一撃に、相手の頭は左右へと弾け飛ぶ。

やがて少女の強力無比な打撃に大きく体勢を崩す「敵」。

即座に相手の眼前へ飛びこみ、膝を胸に当てるくらいにしゃがみこんで

伸び上がるように繰り出すアッパー。

 

『真!昇!○!拳!』

 

さすがにふらついたスキに大きく後ろへと飛び、

スカートの裾を気にしながら片膝をつき、地面に拳を叩きつける。

すると、おお見よ!

彼女の前の土が盛りあがり、巨大かつ無数の黒いブタへと変わっていく。

ブタ達は主の敵めがけ、地響きを立てながら突進していく。

 

「ば、馬鹿な!宇宙最強のこのわたしが何故ぇ〜〜〜〜〜〜〜」

 

「敵」は土煙の中に消えていった。

ふぅ。

軽く汗を拭く。

他に彼女が戦っていたという印象を与えるものは全くなかった。

 

 

「ねーねールリちゃん」

「何ですユリカさん」

「今のって・・・・何?」

「『にんぽお』です」

「『にんぽお』?」

「とある世界でヤードラッ・・・もといフィオさんという方に教わった『伝統芸能』ですよ。

 ちなみに今のは『どとんの術』と言います。」

「なーんかユリカの知ってるのとはちと違うよーな・・・」

 

そこへ先程から彼女の戦いを眺めていた人たちの中から一人の男性が声をかけてきた。

「亀」と言うマークの入った山吹色の道着を着ており、

ボサボサ頭に優しく、強い意志を秘めた瞳が彼女の想い人を思い出させる。

 

「いっやあ、おめえ強ぇな。そいつセルって言って、えらく強ぇんだけどえらく悪ぃヤツだったんだ。

 で、おめえ何モンだ?」

 

「ねー、ルリちゃんさー。

 よそ様の世界なんだし、あんま干渉しない方がいいんじゃない?」

「するとやっぱり、ここに来るまでにフリーザとかいうのとかバビディとやらをツブしたのは

 内緒にした方がいいですかね?まあそれはともかく。」

 

一枚の写真を差し出す。

 

「この人知りません?」

「んにゃ、オラ知らねえ。

 で、こいつなんだ?」

「アキトはユリカの王子様なの」

「この人は・・・私の全てです」

 

 

 

 

時の流れに アフターストーリー

逃亡者達の日常と意見

 

 

 

 

木星と地球。この両者で行なわれた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。

その名はテンカワアキト。またの名を『漆黒の戦神』。

 

 

 

 

数人の男性が道を走っている。

いや、全員が「男性」と言うわけではない。

アフロ気味の青年と黒づくめの青年はともかく、二番目を走っているのは二本差しの侍のような、

どちらかと言うと少年と言った方がいい顔立ちである。

そして先頭は学生服と鼻の頭のバンソーコーが少年と言うか、悪ガキな印象を与える。

と、突然アフロ頭が叫ぶ。

 

「止まれ、瞬くん!」

「へ?」

 

振り向いた先頭の少年が激突する・・・・何もない空間に。

 

「あつつつ・・・これはまさか『鉄壁のゲート』?」

「そのとおり」

 

近くの草むらから数名の少女が現れる。

オコジョを肩に乗せた和服姿の少女や、西部のガンマンなカッコをした金髪少女らの中心にいるのは、

不釣合いなほど大きな黄色いリボンをして、険しい表情で洋弓を構えたセーラー服の少女だった。

学ランの少年が呟く。

 

「ル、ルリっペ・・・・」

「瞬クン、そして『自由への脱出』とかいうくそたわけた連中だったわね。

 逃すわけにはいかないわ。」

「馬鹿な!」

 

黒衣の青年、アキトが叫ぶ。

 

「我々はまだこの世界に来てから十分もたってない。そんなに早く我々に気付く筈がない!」

「あの人たちがアンタらの事追っかけてるだけだとでも思ったの?

 いくつかの世界には先回りしてアンタらの同類――例えばそこの瞬クンね――の

 周りにいる女の子達に警告を与えてるのよ。

 周りは『百獣のゲート』で召喚した殺人アライグマや人食いナマケモノで塞いだわ。

 覚悟なさい。」

 

見ると、体操服姿の少女が巨大な通信機でどこかに連絡をしている。

 

「チェックメイトキングツー、チェックメイトキングツー、こちらコードネーム『カーネル』。

ポイントM1459771368445296はっちはちにーさんナッゾのひとっにおいて目標数名を包囲。

なお、目標内に捕獲優先レベルSSS、テンカワアキトを確認。

同様にレベルSS、アムロ・レイも確認しました。至急来援乞う。」

 

またマニアックなネタを・・・・

どーでもいいが、かの戦争ドラマ「コンバット」の原作者がアレと知った時の影竜のショックは尋常じゃなかったね。

一分とたたず、空間に門が幾つか開く。

 

ブゥン

 

「こないなトコに、いはったんどすか」

「マコトを返してもらうぜィ」

 

ブゥン

 

「汝らと話をするほど我はヒマではない。すぐさまあの者を返すがよい。

 古の皇帝ドゥグナーの作りし地獄を味わいたくなければ。」

 

ブゥン

 

「見つけたよ!新十郎」

「この野良猫みれんから逃げられるたぁ思わないほうがいいよ」

 

見ると背後にはあるるかんとスピネッツィーアが、上空にはリープタイプの宇宙船数隻が見える。

地中に響く音はひょっとしてドリルスペイザーか。

ちなみにリプミラ号のブリッジには鎖で繋がれた一人の人物が・・・

 

 

 

「くう・・・・何故だ!何故誇り高き我が伝承族反乱軍の一員たる私が・・・

 その最後の一人である私がこのような・・・」

 

どうやら神帝ブゥアーをはじめとする伝承族は「ついで」に粉砕されてしまったらしい。

 

「やかましい!まじめに運ちゃんやってろ」

「は、はい。わかりましたぁ」

 

卑屈にヘコヘコしている。伝承族の誇りとやらも地の底に潜ってしまったようだ。

 

 

 

 

ブゥン     ブゥン     ブゥン

 

次々と門が開き、包囲網は固くなっていく。

 

「待っててね、瞬クン。逃げられないよう両手両足切り落としてあげるわ」

「い、いや、ンな事されたら死んじまうよォ」

「大丈夫。あたしの『生命のゲート』の力で傷口塞ぐから。

 そうすれば逃げられないのはもちろん、食事もトイレもあたしがいないと出来ない、

 つまり瞬くんはあたし無しでは生きていけなくなるのよ」

 

その言葉に周囲の女の子達が一斉に手を「ポン」と叩く。

何か怖い事を考えているようだ。

だがその時、彼らの心の中に声が響く。

(今助けます。一つ所に固まって)

その声に従い固まるやいなや、ふわりと気弱そうな少年が現れふわりと消える。

一同と共に。

 

別の場所にふわりと現れた一同。

「これは・・・」

「瞬間転移(テレポーテーション)です。オレの名は春日恭介。あなたがたの同朋です。」

固く結ばれる彼らの手。そして彼らの手はそれ以上に固く結ばれていた。

 

 

 

 

「とりゃあ〜〜〜〜〜」

などと、変な耳のメイドがモップをかけてるここはラー・カイラム改。

どうやらアレは家電製品扱いのようだ。

 

「と、言うわけでまだD班が戻らないが新入りを皆に紹介しよう。」

「新入りの田波洋一です」

「・・・あ〜・・・田波くん。我々は軍人ないし戦士が多い。

 よって人殺しだの殺人狂だの罵られるのは我慢する。

 特に遺族達からはいかに責められようと仕方ないと思っている。

 だが、女たらしだの根こそぎだの手当たり次第だの、

 目が合えば惚れさせ肩が触れれば妊娠させるなどと言ういわれのない誤解は容認できない。

 わかるね?」 本当に誤解か?

 

アキトの言葉に頷く田波君。

 

「よって性犯罪などにつながりそうな要素は極力排除せねばならん。

 そこで訊こう、その子はなんだね?」

「ペットです」

「なるほど」

シュボンと猫の姿になったまやを見て一同納得する。

「あのー、なんで皆納得できるんですか?」

背をよじ登り、頭の上に落ちついたまやを無視して尋ねる田波君。

「我々は様々な世界を回ってきたからね、しゃべる猫や妖精、改造人間まで見てきた。

 いまさら変身する猫なんぞ珍しくないよ。」

「で、次ですね。オレの名は早乙女乱馬、特技は拳法と変身です。」

「変身?」

「ちょっと事情でね、こうして水をかぶると・・・」

 

用意していたらしい水をかぶる。

 

「こう、女になっちまうんで・・・」

 

女の子になったらんま君がひきつけを起したかのように硬直する。

 

「どうした、どこぞの電気ねずみでも見たのか?」

 

そのネタは古いぞ。

やがて、らんま君はゆっくりと姿勢を整える。開いた眼が・・・赤い!

そして右に左にと視線をさまよわせ、視線を止めた一点目指して歩いてゆく。

 

「碇君・・・・・・・」

「へ?僕?ってその声、その瞳・・・・・・・まさか綾波?」

「さあ、帰りましょう碇君。大丈夫、あなたは私が守るもの。

 赤毛ザルからはもちろん、鋼鉄娘からも眼鏡使徒からも潔癖女からも碇君は私が守るわ。

 だから帰りましょう。あなたの帰るべき所、私の元に」

「あ・・・・綾波・・・・・・・・・・・」

 

そばにいたツンツン頭の青年・・・・大神一郎がとっさに当て身を加える。

気を失いくずれ落ちるらんま――綾波レイ――。

 

「何かわからないが女の子になった早乙女君には綾波さんとやらとシンクロしやすい要素があったのだろう」

 

と、そこまで口にして何かに気がついたかのようにアキト君が叫ぶ。

 

「いかん!移動するぞ!」

 

同時に志狼君も叫ぶ。

 

「転移システム起動!出力が足りないなら『ZINV』と『紅の神像(アーノンディガス)』を直結させて下さい!」

 

混乱する一同になおも叫ぶ。

 

「『綾波さん』が彼女達のメンバーなら恐らくここの位置座標もバレたに違いありません!追っ手が来ます!」

「し、しかしD班は・・・」

「その心配は無用だ・・・」

 

いいつのるシンジ君に悲しげに答えるアキト君。

 

「先程メールが入った。『10−4−10−10』。」

「『我レ脱出不能、見捨テテ逃ゲヨ』・・・・」

 

しばし沈黙する一同。

しかし、同志たちの為にも彼らに立ち止まる事は許されない。

 

「エンジン回せー!」

「シンバはどーする?『メタリックシンバ』は?」

「ほっとけ、アレはここじゃ使えん」

 

 

 

 

 

ラー・カイラム改が虚空に消えた十数秒後、山のような、城のような戦艦が現れる。

 

「どうやら逃がしたようですね」

「ほほぅ、ウチのノビタ君の同類共にしちゃ動きが速いナ」

 

その戦艦の主に外部から連絡が入った。

 

「ご無事ですかシーラ様」

「すみません、取り逃がしてしまいましたホシノルリ」

 

謝罪する艦の主、シーラ・ラパーナに笑いかけるルリ。

 

「気になさらないで結構です。それよりも朗報です。

 追撃第七班が連中を数名捕獲したそうです」

 

表情を引き締めるシーラ様。

 

「して、その構成は?」

「全四名。初代、二代目、三代目各ラムネスにショウ・ザマです。

 そう言うわけですのでシーラ様、長い事ありがとうございました」

「何を言うのです、ホシノルリ。私達の協力はこれからですよ」

「しかしようやく・・・それにスキを見て逃げ出すやも」

「それは大丈夫です。私とマーベル・フローズンとガラリア・ニャムヒーが」

「シーラ様ぁ、あたしも」

「そうですね、そしてチャム・ファウの四人で心を込めて『説得』すれば

きっとショウ・ザマも改心して心から協力してくれるでしょう」

 

その言葉を聞いて顔を歪めたのは右腕を三角巾で吊ったジェリド・メサ。

彼は気付いた時にはライラ・ミラ・ライラとマウアー・ファラオに左右の腕を掴まれていたのと、

逃亡者達の中にカミーユがいたので追撃隊に参加したのだ。

ちなみに彼の一撃でZガンダムは撃破されカミーユは捕らわれの身となった。

その時のカミーユの一言が「ジェリド、お前は俺のォ」だったとか。

そして捕まった彼はファ・ユイリィ、フォウ・ムラサメ、ロザミア・バダムら三人の

心からの『説得』の末に「お〜い誰かいませんかぁ」な感じになってしまっていたのだ。

後ジェリドが右手を吊っているのは先日エルクゥ捕縛の際素手でつかみかかった・・・・・

もとい、つかみかからせられた結果である。

 

そこに一人の少女がとてとてっとやってくると、手にしたスケッチブックに何事かを書きこみ女王へと見せた。

 

『あのね、暴力はいけないと思うの』

「大丈夫ですよ。私達とて彼らを苦しめたいわけではありません。

 さあ、食堂でジャンボパフェでも食べてらっしゃい」

 

そんな彼女達の後ろをたい焼きを抱えた少女が走り、「食い逃げだぁ」の声が響く。「うぐぅ」

 

「ええ、私達だって彼らを傷つけたくはありませんとも。

 私達が愛でるべき彼らの体を、私達を愛でるべき彼らの体を、何故好んで傷つけましょうか。

 ええ、そうですとも」

 

いささかヤバげな表情になっていく女王に顔を引き攣らせるのはスコット・サマーズ。

どうやら三人のジーン・グレイ全員にとっ捕まったらしい。

 

「ふっふっふっふっふっふっふっふっふ・・・・・・」

 

含み笑いを始めたのは果たして赤き瞳の女王か、金の瞳の少女か。

やがてその笑いは少しずつ大きくなっていき、いつしか追う乙女全員に広がっていった。

 

「くっくっくっくっく・・・・・・・」

 

「ほほほほほ・・・・・・・・・」

 

「あ〜〜っはっはっはっは」

 

それは、決して彼女達の想い人には見せられない光景だった。

 

「あーっはっはっはっはっはっは」

 

 

 

 

 

おまけ

 

「ねぇ、メーテ○」

「何です?鉄○」

「ルリさん達って、大好きな人に会えたかな?」

「きっと今頃、その人達に猫のように甘えてるよね、ミーくん」

「みゃ」

「私は・・・・・・あのひとたちがうらやましい。

 あれほどに強大な力を持ちながらこの世の理、『因果』から自由な彼女達。

 そしてあそこまで強く想えるひとに出会えた彼女達・・・・」

 

メ○テルにもそのような男性がいたのだろうか。

尋ねかけた○郎は彼女の瞳に宿る悲しみを目にして、問いかけることができなかった。

 

(・・・・・あああ、どーしましょ・・・・あの人達がついでにダークイーンやらなんやらツブしてったおかげで

 鉄○を旅に連れ出す口実がなくなりそうだわ・・・・・・

 せっかく十数年ぶりに復活したってのにプーに逆戻りなんてイヤぁ・・・・・・・・・)

 

 

 

 

後書き

「どーも、鋼の城さまに迷惑かけてすみません第2弾、

 あーんどBA−2さん許可して下さりありがとうな作品っす。

 ちなみに私はナイコン族。抗議も苦情も感想もメールでは受け取れませんからね」

「なんですソレ?」

「まあ色々あるのだよルリちゃん。

 それは置いといて良くされる質問にSSの書き方というのがあるので答えましょう。

 『ひたすら読め』

 これに尽きます。あらゆるジャンル、あらゆる種類の本を読み、映画を見るのだ」

「小学校の頃から司馬遼○郎読んでたあなたらしいですね」

「ただし、ヘタぁすると盗作もどきになりかねないので注意した方がいいな」

「経験からですか」

「まあね。あと映画ではヒッチコックなんか素晴らしい作品が多いぞ。

 絶対見てみんさいって感じだ。特に『ハリーの災難』」

「シブい趣味ですね」

「ありがとう。約束した作品もまだ×2あるし、もっと書かなきゃ。と言うわけで失礼します」

 

 

管理人の感想

 

 

影竜さんから十七回目の投稿です!!

もう、ここまで来るとオールスター揃い踏みですね(笑)

Benにはちょっと分からないネタもありましたが。

・・・奥が深いぜ、影竜さん(爆)

しかし、本当に異次元を征服して渡り歩いてるな〜

面白そうだからも俺も一本、書いてみようかな(爆)

 

では、影竜さん投稿、有難うございました!!

 

影竜さんはご自分のメールアドレスを持ってられないそうなので、

感想はこの掲示板に出来れば書き込んで下さいね!!

宜しくお願いします!!