『始めに:まずは、説明書をお読みください。
      読まずに講読すると、思わぬ事故や精神汚染をきたす場合があります』




 『説明書(本編とは直接関わりがないため、反転文字で書かれています)』


 『このSSは、ハーリー列伝です。

  一応、生誕からの続きではありますが、主人公が壊れています。

  特にプロットを考えていません。

  そのため、連鎖的に他の人物や世界が著しく壊れる可能性もあります。

  シリアス好きの方や、不条理さについていけない人は、生誕終話で、ストップするのが懸命です。

  ハーリーが微妙に最強主義です。

  Benさんの『ナデひな』に準拠しています。

  ほんのりダークです。

  版権ネタが出る場合があります。

  作者の独白が流れることがあります。

  ある意味、内輪ネタが出ることがあります。

  人によっては、何か真理を見つけるかもしれません。

  悟りが開けるかもしれません。

  ここではないどこかの映像が見える場合があります。

  神の声が聞こえる場合もあります。

  むしろ、それが破壊神である可能性がないように祈るばかりです。

  そんな風な事が見えたり聞こえたりした場合、それは幻想であり、幻聴であると述べておきます。


  以上の点に気をつけ、お読みください                        草々』









 ハーリーは、そっとその物体を見つめていた。

 それは、断ち切らねばならぬものだった。

 それは、何か不思議な想いが込められていた。


 それはハーリーと、何故か昔慕っていた彼女とを繋ぐ物体だった。

 考えてみれば、ハーリーはこれに向かって話し掛けたことは一回もなかった。


 それは不思議なような気さえしたが、今のハーリーにはそれは賢明だったとさえ思った。


 そう、ハーリーは知っていた。

 その通信機は、中に発信機が内蔵されているのだと。

 ……何故か知っていた。


 ハーリーは笑った。

 月に向かって、空に向かって笑い、そして、だから、ハーリーは。



 それを地面に叩きつけ、そのまま足で踏む砕いた。



 グシャッ と、小気味のいい音がした。









ハーリー列伝

第六話










 
 『人生というものに、流されながら生きてはいませんか?』



 ハーリーは戦場にいた。

 そこかしこに銃弾が雨霰のように降り注ぐ中、ハーリーは黙って月を見上げていた。


 綺麗な月だった。

 月の中で、うさぎさんが餅をついている。


 この科学万能の時代、月にうさぎさんがいると思うのは、甚だナンセンスなことかもしれないとは思う。


 だがしかし、昔ハーリーが子供だった時には、月にはうさぎがいると信じていた。

 微笑ましい子供時代だった。

 もとい、今でも傍目からは子供だが、ハーリーはもはや子供ではなく、大人だった。


 子供から大人になった瞬間のことは何故か霞がかったようになってはいる。

 けれど、自覚はしていた。

 自分は大人であると。

 自分は子供ではないのだと。

 少し寂しかった。


 後ろで何か蠢いていた。


 誰何(誰かと問うこと)してみると、どうやら黒い服を着て、赤い布を手首に巻きつけているようだった。

 ハーリーは銃を降ろし、詳細を尋ねた。











 戦場は、いつもそんな感じだった。

 何故戦っているのかもわからないまま、ハーリーは戦っていた。

 結局、あいつらの目的はわからないままだ。


 大砲の町のような感じだと思った。

 何と戦っているのかも知らず、ただ巨大な大砲がなるのだ。


 近くで地面が抉れた。


 しかし、根本的に違うことは、敵が確かにいることだった。


 確か、あの映画では他に『○臭兵器』と『彼女のおもいで』とか言うのとセットだった。


 前者はともかく、後者は何だか淡い思い出のような感じがした。


 その後、恐怖に身を竦めた。

 そう……不意に嫌な予感がしたのだ。








 



 世界は腐っていた。


 唐突で何よりだが、この世は須らく是正されねばならぬ。と、そんな境地に達していた。

 しかし、唐突に世界を統べた所で、愚民共はまずついてこれまい。


 そこで(以下略)



 ………ハーリーは死にかけていた。

 銃弾が、胸元をつらぬいたのだ。


 世界はどんどん暗くなっていった。


 そしてハーリーは、別の世界の明かりが見えてくることを知った。

 そこは一面の花畑だった。


 ふと、川の向こうに知らないのに知っているという矛盾が生じた。

 彼女がいた。

 彼女は薄く微笑みながら、肩を竦めた。


 思わずハーリーはその女性に近づこうとした。

 だが、女性は手で制した。

 ハーリーは立ち止まった。


 女性はにこりと微笑んだ。

 ハーリーは微笑を返した。


 そこで、ハーリーは何故ここにいるのかという本質に突き当たった。

 ハーリーはその女性を視界に捉え、そして言った。






















 
「ナノマシン・ブラッドフォースの起動を承認する」




















 怒ったことは衝動だった。


 どうしようもない響き、そのものだった。


 
「オラは絶対ゆるさねぇぇ!!!」

 だとか、

 
「ディ○ォォォォォォ!! お前が泣くまで、殴るのを止めないぃぃぃぃぃ!!!」


 のような、

 そんな心の叫びに近いかもしれない。




 近くにいた敵を殲滅しようとさえ思った。

 もとい、

 そう思った瞬間には、ハーリーは既に殲滅してしまうという結果に終っていた。

 決してその描写を書くのが面倒だったからではない。


 
「ふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてる……」


 
「ひ……ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 ドカバキメシャッ。



 
「ふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてるふざけてる……」


 ドカバキメシャッ。


 そんな、どこか逝っちゃった人のようにぶつぶつ呟きながら、ハーリーは屠っていった。


 
「WRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」


 いや、訂正。やっぱ既に逝っちゃってるのか。










 近くに、一人の兵隊がいた。

 ハーリーは目を細めながらそいつを確認した。


 黒い服はおろか、赤い布も巻きつけていない。

 地面に手を突き、怯えた瞳で、ハーリーを見ている。

 仰向けだった。


 「なるほど」 ハーリーは言った。 「動物は降参すると腹を見せるというよな……」


 ふと、ハーリーは虚空を見上げた。

 ここではないどこかを、見ようとしたのだ。

 兵士は、一瞬殺気が緩んだのを見て、わずかな希望を抱いた。


 「しかし、元よりお前は動物じゃない。駄目だね


 哀しげに、手を頭にやり、顔を伏せ………

 いや、違う。

 笑ってやがる。この男。



 
オラオラオラ!

 オラオラオラオラオラオラ!

 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!

 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!

 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!




 些細な希望は、一瞬にして絶望へと取って代わった。











 暗がりの中、
血が溢れる中、

 轟音と銃声と、
慟哭が聞こえる空間の中、


 ハーリーは寂しげに微笑んだ。


 怪物になろう……とさえ思った。



 もとい、今の自分が近い存在であるとは思いつかなかった。


 もしくは、考えないようにしていただけなのかもしれない。




 

 こうして、もうしばらくハーリーの殺戮劇は続く。









 面倒なので、以下略。









 挨拶

 ごきげんようなのです。 どうも、風流(かぜるです。

 今回は、割と楽しく書けた感じです。


 :予告:


 ハーリーは、失われた記憶の一つを取り戻した。

 けれど、肝心の部分では、やはり空白ができている。

 しかし、この戦争の意味は何の意味も無いのだと、気づいただけでも上等だ。

 ハーリーは思う。


 意味も無いのに、何故彼らは戦っているのだろうと?

 やはり、大砲の町だ。

 当事者は、既に土の中にいるというのに。

 あ、野晒しにされている者もいるのか。

 さておき、

 嫌な予感はどこから沸きあがってくるのだろうかと、そう思った。


 『次回:このプレッシャー……××××か!?』


 ……こう、ご期待。








代理人の感想

ん〜〜〜〜。

なんというか、その。困る。(ナニがだ)

 

さて、そういうイマイチなつかみはさておくとして、

今回の作品は・・・というかここ最近の作品は・・・というかこの「ハーリー列伝」には

某BBCの連続ドラマ(モンティ・パイソンのナンセンスギャグでも可)を見てるような不条理感があります(爆死)。

そう、独特の味があるけれど「面白いのか?」と聞かれると言葉に窮するようなあの感覚です(爆)。

 

だから、この作品が理解できない人はそのまま理解できなくていいと思います。

そういう物ですから(爆)。