時の流れより、我、存在し・・・・・過の流れより、我現れん。



 全ては、虚無にして底にあるもの。



 我、再び英知を求め底に到達する者なり!!






 「全ては、これからだ。全てはここから始まる。」

 「その輝かしき先には、何があるのか・・・・」

 「私たちは、それを待つ。」

 「急いて書きなさいな。急いて書きなさいな。」

 「我らはただ待つのみ。」

 「闇は未だそこにある。」

 「ああ、待ち遠しいな。待ち遠しいな。」

 「考えずとも、我らはそれに震える。」

 「心は、厳しく押し付けられ、燃え上がる。」

 「さあ、疾くいらっしゃいな。」

 「それは悲劇か?それとも喜劇か?」

 「未来を手に入れるのも、失うのも、過去を持つのも、全ては貴方の自由だ。」

















 何もない空間で、一人の男が何やら画面をじっと見ながら手を動かす。

 カタカタ、という音が響き、彼は静かにため息をついた。


 ・・・・・彼の名はBen

 外見は、とても好青年に見える。


 ・・・・・・・

 ・・・・・・・いや、別に何でも








 

 やあ、元気かい?最近は、本当に様々に多くの事件が起こっているよね。

 おや、突然で驚いたのかな_?しかし、それほど驚くこともなかろう?


 私の名は風流(かぜる)。あらゆる所に存在し、変化するもの。大気の流れより生じ、

再び大気の流れの中に、霧散する者だ。・・・・ま、『物見高い旅人』とでも呼んでくれ。


 まあ、私は今ちょっとした『傍観者』気分でね。沢山の物語を覗いているわけだ。


 その中の一つ・・・『時の流れに』は、確かにトップクラスの出来栄えだと思う。 

 そういえば、このSS――『時の流れに』がスタートしてからというもの、随分な月日が流れた

ものだ。すでにホームページのアクセス数は240万を超え、投稿作家も100人をとっくに

超えている(200人征くんじゃないかと思うほどだ)。『時の流れに』のアナザーものや、

分岐もの、再構成ものや、あまつさえ作者自身まで登場するものまで書かれている。



 しっかし・・・・・それにしても・・・・ふふふ、ふふん、ふふふふふ・・・・

 ああっはっはっはっは!!

 やっぱりBenさんはすごいなぁ!!べらぼうにすごいな!存外にすごいな!!


 あれほど質のいい作品を作り上げるかと思えば、あの信じられない量!なおかつ、

100以上あった投稿作品を一夜にてUPしてのけた時は、震えが走ったよ。


 さあ、貴方のことをなんて呼ぶか。人外の腕前を持つ貴方をなんと呼ぶか。

 創造主?大王?神?魔人?いや・・・大魔王。やはり、貴方にはそれだけの力がある!

 作品を構築し、作品を取り入れられ、己自身も想像しえなかった物語は広がり、新たな

『時の流れに』は生まれ、登場人物は無数の世界に散らばっていき、思想は広がり・・・・・

 ―――そして、貴方は君臨する!!

 貴方は、我らが知り得なかった『ナデシコ』のベールを取り剥ぎ、新たな道を切り開こうと

しているのだ!!

 まさに21世紀!!世は、まさしく新世紀の到来を告げているのだよ(某少佐風に)。

 Welcome To This Glory Time♪
 この輝かしい時へようこそ♪

 貴方は確実に、偉大なナデシコ作家だよ、『Ben』さん・・・・・(微笑)





 ・・・・・ふう(一息)

 さあ、読んでみよう。再び触れるために、作品の中に入り込もう・・・・・

 ・・・・・そう、そうだ。失われし物語(THE LOST STORY)を!



 ≪時の流れより、我、存在し・・・・・過の流れより、我現れん。


 全ては、虚無にして底にあるもの。


 我、再び英知を求め底に到達する者なり!!≫











  

 時の流れに〜序章〜
第23話
THE LOST STORY














 カタカタカタ・・・・・

 静かに、奇妙な音が鳴り響いている。

 そして、彼はじっくりとモニターを見ながら、何やら世界を構築していく。

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 際限なく、響いていくリズム・・・・・まさしく、催眠効果もあるような気さえする。


 いや、実際あるんだと思う。 

 ・・・・・・特に、意味はない。



 ふぅ。彼は静かにため息をついた。

 少し、覗きこんでみることにしよう。


 ・・・・・・・なるほど。

 流石は大魔王・・・・と、言ったところか?


 よくも、こんな世界を構築できるな・・・・・絶望感に溢れた世界と、その中に見え隠れする

光が、更なる境地を作り出している。

 まさしく、無限の狂喜と、狂気が身を震わせる----それほどダークさは感じられないのに。


 「・・・・・・何か、何時の間にか物語が進んでいくよな----良い傾向だ」

 思わずつぶやいた言葉を耳にして、私は思う。

 ------なるほど・・・・・確かにそういうことはあるかもしれない。
だが、しかし・・・・

降臨している ということは、あまり無いような

気がするんだ。



 しかし、流石と言ったところだろうか?



 「む。」

 一息ついていた彼が、ぶるっと身を震わした。

 「・・・・・侵入者だと?まさか!」 彼は、驚愕の表情を見せた。

 当たり前だ。彼にとって、この世界は、自分が構築したものである。

 彼は創造者であり、支配者であり、絶対者なのだ!

 その世界が、彼の思惑とは別に動いている・・・・・・・
 
 
 「・・・・・・・・・呼びもしないのに、来た?」

 彼は、そっと目をつぶった。













 * * *












 「ここは・・・・・どこだ?」

 その寡黙な大柄の男・・・・・ゴート・ホーリーは、静かに辺りを見回していた。

 見たことも無いところだった。ただただ無限に続くかと思われる森が広がっている。


 違和感があった。

 そこには、音が無かった。

 更にはそこにある気配が、全て希薄だった。

 まるで、そこにあるのに、本当は何も無いかのように・・・・・



 -----不思議な気配が纏わりついている。


 「むぅ。」 彼は唸り、静かに思索を始めた。

 ・・・・・そうだ。己は確か、ディアの課題を受けていたはずだ。なのに・・・・・

どうしてこんな所にいるのだ?

 思索は、意味がわからずストップした。


 「どうしてこんな所にいるのか知りたいのは、こっちの方だよ。ゴート」

 はっと思わず腰元の銃に手を伸ばし、後ろを振り向く。









 ひょうしぬけするぐらいに、普通の男が立っていた。





 「貴方は?」

 「まったく、どういう方向でイレギュラーが生じたのか、甚だ疑問なんだがね」


 ゴートは、おもわず身構える。

 確かに、外見上は普通の青年にも見える(好青年にさえ、見えるほどだ)。しかし、

彼からは尋常ではないほどの『氣』が伝わってくる。


 それは、戦場を生きたことがある、彼の何よりも信じられる感だ。

 ・・・・・そう、騙されちゃいけない。


 「・・・・・む」

 「まぁ、そう身構えないでくれ。私だって、真相を知りたいだけなんだよ」

 「・・・・・貴方は誰だ?」 

 ゴートは、思わず尋ねる。そういえば、目の前の男には自分が誰だかわかっているらしい。



 「私は・・・・『Ben』だ。そう呼んでくれ」

 名前が彼の口から発せられた瞬間!

 ゴートの身を、凄まじい奔流が突き抜けた様な気がした。


 「・・・・・・むぅ」


 「さて・・・・少し聞きたいんだがね」 

 Benは、微笑して尋ねた。

 「どうやって、ここに入って来たんだい?ここは、可能性の空間・・・・・

現存が、現存の過程となる空間・・・・・つまり、君は可能性の一部な訳だ。

だから、ここにいる君でさえ・・・・・・現存していない可能性は高いんだよ?」



 「・・・・・・・・」 ゴートは黙る。Benが、何を言っているのか良くわからないということもある。


 「・・・・・ま、答えられないか。だろうね。」

 Benは、静かに自分自身で納得すると、再びゴートに尋ねる。

 「ところで、君はもう課題をクリアできるようにはなったのかな?」


 「むぅ・・・」


 「もっとも、君の特性にはないことだからね。・・・・・普通では、無理だ」

 彼は一方的に話すと、静かにつぶやいた。

 「だから、あげる






















































 光が満ちた。





















































 「行った・・・・・か」 


 静かにBenがつぶやくと、その姿はうっすらと空間に浸透し・・・・


 そして、掻き消えた。













 * * *












 「・・・・・ふぅ」 静かに、Benはゆっくりとため息をつく。

 モニターが、静かに点滅している。



 全ては・・・・・・



 そのイレギュラーは・・・・・・



 Benは、実はわかっているのかもしれない。

 しかし、彼は何も語らず、じっと画面を見つめているだけだ。




 


 外見は好青年なのに、内に人外の力と、氣を秘める者。

 我々は、彼のことを『Ben』と呼ぶ。












THE Ben’s Legend Closed


















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 後書きと、追記


  自分で煎れた珈琲を飲みながら、イネスは溜息を吐いていた。

 -------彼女は、決断を迫られていた。そして、決断した。

 決心が着いたと言っても、やはりその時の事を思うと胸が締め付けられる。

 孤児だった私を拾い、養ってくれた養母を見捨てるのだ。

 助ける事が出来るのなら、何としてでも助けてあげたい。

 

  だが、私の身勝手でナデシコに危機を呼ぶわけにはいかない。

 ましてや、今回は敵が万全の体勢で待ち構える場所に行くのだ。

 きっとあらゆる手を使ってくるだろう。

 そんな状態の中で下手な弱点を作るわけにはいかない。

 

 もし、養母を人質に取られれば―――

 

 私には無関係な人間だと言い切るしかない。

 アキト君にも敵の罠だと進言するしか無いだろう。

 

 それは養母も分かってくれるはず・・・

 だからこそ、悲しくやるせない気持ちになってしまう。

 

 シュン!!

 

 物思いに耽る私の耳に、医療室の扉が開く音が聞えた。

 

 「あら、誰か怪我でもしたの―――!!」

 

 「・・・点滴を打ってもらえないかな、イネス先生。」

 

 コクコク

 

 余りに変わり果てたその姿に、私は頷く事しか出来なかった。

 そう、医療室の扉の前には極度にやせ衰えた―――ゴートさんが居たのだ。

 しかし、その目に宿る意思の光は危険なまでに輝いている。

 

「ど、どうしたの、その姿は?」

 

 「ふっ・・・昔のヨガの達人は極限状態に自分を追い込み、悟りを開いたという。

そして俺も見た!! 神の世界を!!

 

 突然、極度の興奮状態に陥り。

 やせ細った身体を打ち震わせながら、何やら危ない事を叫び出すゴート。

 

 「あ、あのね?

落ち着いて・・・話しましょう?」

 

 「そこは光輝く世界だった!!

そして俺は遂にディア君の課題をクリアーする事が出来たのだ!!

今の俺にはブラスターの弾でさえ見切る事が可能だ!!

それは何故か!!

真実は一つ!! 俺が神に選ばれた存在だからだ!!

 

 

 

 ・・・駄目だわ、壊れてる。








 イネスは、静かに戦慄した。












 ・・・・・・ま、本当に神に会ったとは、信じられないだろうしね。

 それが、常識というものさ。


 以上で、私の話は終わりだ。

 え?それは神じゃないんじゃないかって?

 真実は、誰にもわからんよ。それこそ、神自身にしか・・・・・ね。


 そう、大事なのは過程だよ。


 ・・・・・?

 何か?

 ・・・・・・傍観者とは、そういう存在だよ?私は神じゃないんだ。





 まあ、それでも思うことはある。









 「何時の間にか、物語が書かれていることって、多いですよね?・・・本当に」





・・・・・ただいま、家を空けているため、メールは受信しても見れません。
    何か私に用がありましたら・・・ここに。 物見高い旅人 
かぜる









代理人の感想

 

・・・・・・僕、知〜らないっと(爆)。

いや、私には関係ありませんよ?

ええ。

全く。