守護者、そして……

プロローグ1





一人の女性がベットの上の人物を見つめる。

寝ているのは彼女の父と言っても過言ではない人物だ。

男性は話さない。

否、話せない。既に彼はこの世界に区切りをつけているのだから。

最後は満足したように、いい笑顔だった。

しかし、彼女は知っている。完全に満足しているわけではないことに。

笑顔が、ほんの少しだけ曇っていることに。


「…もう、アキトさんを不幸になんてさせません」


彼女は祖父の形見のネックレスを握り締める。


「たとえ…全ての悲劇を私が受ける運命になっても」


それが、幼い頃彼女を拾い、育ててくれた彼に対してのお礼だから。

P.P.N.C――プロジェクト.パーソナル.ナノマシン.チャイルド―の最初にして最後…オリジナル。

体内に膨大なナノマシンを保有し、利益をもたらす福音。

単独で多数の無人艦隊、無人兵器をそれぞれ名艦長・エースパイロット並に操作することの出来る物。

情報戦で世界を支配する事が可能な物。

そのためだけに彼女は本来受けるはずの無かった生を受け、人生を弄ばれた。

彼女を人と扱う者などは、居なかった。

ついにある日、システム全てをダウンさせて脱走。

しかし、幼い上に運動という行動の概念すら皆無の彼女がそう遠くに逃げれるわけが無かった。

逃げ出したはいいもののすぐに力尽きた。

そんな彼女を拾ったのは彼、闇の王子―テンカワアキト―

足跡を消し、消息を見失わせることなどはほとんどを電子情報に頼っているこの世界。

彼女にとってはとても簡単なことであった。

そして、つい先日まで静かに暮らしていたのだ。

アキトの死を起点として彼女は一つの行動を起こそうとしていた。

ネックレスのCCが淡く発光し、彼女も発光した。


「使わせていただきます…………ジャンプ


それが、彼女のこの世界での最後の言葉だった。

アキトの遺体は明日、火星の大地へと埋められる予定だ。


彼の胸には、白髪で年老いた彼と銀髪と蒼銀の瞳をした少女の写真があった。

二人で撮ってそれぞれ分けた写真。

もう一つ、彼女の分はフォトスタンドと共に消えていた。






君がそう決めたのなら俺は何も言わない。

がんばれ。

生きるのを………

夢を見るのを………

希望を持つのをあきらめるな。

―――――――幸運を。




彼の遺体に横に『彼』が立っていた。

しかし、その身体は透けていて反対側がうっすらと見える。

しばらくして、彼はフォトスタンドの群れを見て微笑む。

(今でもアキトスマイルは強力な……いや、人生経験を積んだ彼の笑みはさらに破壊力を増していた。見る人物が限定されていて大変残念だが)

そして後ろを振り返り、ゆっくりと空に溶けていった。




プロローグ1 END


To Be Continued




あとがき


………と見せかけて独り言(笑)


さてっ!

新装リニューアル開店、元『無限の道』現『守護者、そして……』スタート!!

んでは次いこうっ!!

 

 

代理人の感想

ん〜、「祖父」って、アキトの父親のことですか?

それとも本人の祖父?

多分テンカワ博士の方なんでしょうけど、ちょっぴり気になります。

そしてもう一つ気になるのがアキトの年齢と二つ名。

「彼女」が少女の時に既に白髪だったわけですから、拾った時も結構な年の筈。

ならば「闇の王子」というよりは「闇のオジン」

言ったほうが的確なのではないでしょうか!?(殴)