赤き力の世界にて

 

第1話「見知らぬ土地にて・・・」

 


『俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!

 皆が揃っているナデシコだ!!

 何処に跳ばされようと、俺は絶対に帰って来る!!

 例え、遥かな距離だろうと、時を超えても―――』

 

 

 

ズシーーーーン

「・・・・・・・・クッ・・・ディア!!ブロス!!大丈夫か!!」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「ディア!!ブロス!!・・・・・・
システムは?・・・フリーズしているようだな。」

仕方ない・・・手動で外の状況を見てみるか。

周囲の状況がスクリーンに映し出される。

「ここは・・・どこかの森のようだな・・・
ということは、地球のどこかにとばされたのか?」

俺は少し安堵した。
もしかすると太陽の中に出ていた可能性もあった・・・
銀河の果てかもしれない・・・
最悪なのは、そのまま消えて無くなる事もあるだろう・・・
まあ・・・また蜥蜴戦争をやり直す事になる可能性などを考えたら、
今現在のこの状況・・・運命の神に感謝しても良いかもな・・・

「相転移エンジンの調子は・・・20%ぐらいか・・・第1相転移エンジンは大破のまま。
各種の調子については・・・」

「・・・ア・・・アキト兄・・・」

「気が付いたのか!!ディア!!」

「ううん・・・私もブロスも最初から気が付いていたんだけど・・・」

「・・・?どうしたんだ?」

「うん・・・私達、遺跡と融合しちゃったみたいで・・・」

『一部だけの融合だけど情報量がハンパじゃなくて。
僕たち演算のため身動きとれなかったんだ。』

以前のコンテスト時のオモイカネみたいなモノか・・・

「そうか・・・それじゃあ仕方がないな・・・
ディア、現在位置の割り出しを、及び周囲の状況を調べてくれ・・・
ブロスはブローディアの武器、システムに異常がないかチェックしてくれ・・・!!」

そのとき、俺は今まで感じたことのない、凶悪な気配を感じた。
殺気、狂気自体は大したことはない・・・
だが、もっと根本的なもの、魂というべきモノが異質すぎた。

そして・・・その姿を表した

「アキト兄!!大変だよ!!ここは地球じゃない!!」

「ああ・・・その様だ・・・」

異様な気配の持ち主、その姿は空想上で語られる、悪魔そのものだった。




「ブロス!!機体の状態は!!」

『だめだよ!!ディストーションフィールドはおろか、
落ちた衝撃か動くこともままならないよ!!』

「ディア!!周囲の状況は!!」

「半径約500メートルほどの森の中、
その中にあの悪魔みたいなモノが120体、2種類いるよ!!」

「全くどうなっているんだ!!解析は?」

「うん、あれは一応生物みたい。身長は2メートル半、
強さの方は・・・木の倒し方、歩くときの身体のバランスからいって
それほどは強くは無いみたい。
アキト兄や北斗さんなら素手で楽勝ね!!」

「そうか・・・って、見た目が化け物に対して楽勝だなんて・・・」

なんだか複雑な気分だ・・・

『アキト兄!!囲まれてる!!』

油断したな・・・

「何体ぐらいに囲まれているんだ?」

「・・・約30、まだまだ集まってくるよ!!
後、もう一つアレが集まっている所があるの。」

もう一つ?

「人の反応は?」

「二つ、次々と悪魔もどきを倒しているみたい!!」

倒している・・・か、少なくとも今は敵対するものじゃないな・・・

「やられる可能性は?」

「無いんじゃないかな?もの凄い勢いで敵が減っているから。」

なら心配はいらないな・・・俺は目の前の掃除でもするか・・・

「わかった!!俺が外に出てあれを倒す!!」

「『気をつけて!!』」

 

思ったほど大したこと無いな・・・

そう考えつつも俺は携帯用DFS(以降DFS)を振るった。

「殺さずに・・・なんて考えはもたない方がいいな・・・」

何しろ数が多い、手加減して殺さず、なんて考えたらこっちが死んでしまう。
第一、相手はこちらを攻撃するのに躊躇さえない。

「幸いこいつらは動きが鈍い、時間さえかければ!!」

大技が使えればいいが・・・状況がわからない上、
ここら一帯の自然が消えてしまうからな・・・

振り向いたのと同時にフェザー・ブラスターを撃つ!!

直線上に並んでいた5匹の悪魔モドキを貫通する。

「全く・・・セイヤさんに感謝しないとな・・・」





「テンカワ、ちょっと待て!!」

ブローディアに乗り込もうとする俺をセイヤさんが引き留めた。

「どうしたんですか?セイヤさん。」

「忘れ物だ。」

「DFS!!充電してくれたんですか?」

「ああ、D・F発生装置の方もしておいた。ついでにこれも持っていけ。」

そう言って、フェザー・ブラスターを渡してくれる。

「でも、遺跡をナデシコの積み込むだけですよ?」

「良いんだよ!!未来を知っているからって油断すんなよ、
何が起こるかわからないのはお前が一番知っていることだろう?」

「・・・そうですね。ありがとうございます!!」

何かと忙しいさなか、隙をみてやってくれたことに感謝する。

「良いって事よ!!・・・ああそれと、ウリバタケ・セイヤ作、万能充電器、
ブローディアに取り付けといたからな、いつでも何でも充電できるぞ。」

・・・大丈夫かな?

「何もそこまでしなくても・・・」

「な〜に!!備えあれば憂い無しってな、
本当ならこいつ(ブローディア)も完全で出したかったぐらいだ・・・」






「セイヤさんには足を向けて寝られないよ・・・」

Gaaaaaa!!

「なんだ!?!」

奴らが叫びだしたと同時に、その周りに炎が生じる!!
それは瞬時に無数の矢の様な形となり、襲いかかってきた!!

俺はすぐさまディストーションフィールドで防御する。

「ディア!!アレは何だ!!」

「わからない!!いきなり何も無いところから発生したの!!」

・・・余り時間はかけられないようだな。
あの程度の炎ではブローディアは何でもないと思うが・・・

俺はディストーションフィールドを解除し、

数十本もの炎の矢の間をくぐり抜ける。

悪魔もどきの間を縫うように走り抜きざま、DFSで斬りつける。

奴らが一直線上になるポイントに奴らを倒しながら移動し、フェザーで撃ち抜く。

5分ほどの戦いで最後の一体を倒すことができた。

「おかしいな?もう一つ集まっていた場所があったわりには
倒した数が少なかったような・・・」

事実、倒したと思われる数は、40少々だった。
アキトは息一つ乱していない。

その時、俺は新しい気配を感じると共に、
その方向から聞こえた声と飛んでくる火球を見た。


(第2話に続く)


あとがき
どうも、ケインです。
赤き・・・の所でエヴァを想像した人は何人いたでしょうか?
実は・・・?だったのです。(どこでしょう?皆さん2話が出るまでに考えてください)
ちなみにBenさんは知っています。
わかった人に第2問、最後に出てきた人物(人間ですよ!!)と、
炎の正体・・・正解者には・・・何もありませんが、暇つぶしにでも考えてください。
ではまた、次回でお会いいたしましょう!!

 

 

代理人の感想

 

う〜んと、代理人の知識では思い当たる所が一つしかないのですが・・・・

主人公が

 

「炎の、矢ぁぁぁぁぁっ!」

 

と叫ぶ世界・・・・・・・じゃなくて(笑・・・大体ありゃ三人だ)、あそこですよね?

まあ、ネタバレになりそうなんでこれ以上はやめときます(^^;

でも、アキトだったら本当に素手で倒せそうだな、あれ(笑)。