赤き力の世界にて

 

第2話「出会い・・・」

 

俺は新しい気配を感じると共に、
その方向から聞こえた声と飛んでくる火球を見た。

「ファイアー・ボール!!(火炎球)」

俺は考える前にその場から飛びのいた!!
飛びのいた場所に火球が炸裂する!!

「チィ!!避けられた!!」

何だ!?どういうことだ?!

「フレア・アロー!!(炎の矢)」

これは!!さっきの悪魔もどきと同じ!!
今度は人間が?まさか悪魔もどきはあいつらが!!

俺は飛んでくる炎の矢をかわし、
あの攻撃がよけられるギリギリの間合いに立つ。

「あなたね!!人にデーモンけしかけたの!!
私に何の恨みがあってしたの!!」

・・・どうやら違ったみたいだな・・・


年の頃なら15、6といったところか、髪の色は赤、
黒い肩当て、マントをしている。服自体は動きやすい仕組みになっている様だ。
物腰からすると素人を簡単にあしらう程度の腕はありそうだ。

ファンタジー物にでも出てきそうだな・・・

「あ〜・・・そこの人、何かリナに恨みでもあるんなら、
きっぱり忘れた方がいいぞ・・・かかわるほど不幸になって行くから。」

「ちょっとガウリイ!!それってどういうこと!!」

「今更説明しなくともわかるだろ?」

「うっ・・・」


今度現れたのは長い金髪の男だった、ガウリイと呼ばれていたな・・・
年は二十歳少々といったところか、腰に剣を差している。
鎧は動きやすい形をしている、スピード重視の戦い方だろう、と検討する。
腕の方は・・・少なくとも改造前の北辰よりやや強い、ぐらいか・・・

「・・・とにかく、あの男を倒すのよ!!
あいつがきっと犯人よ!!」

「違う!!それに何の根拠があって・・・」

「そんな怪しい格好でしかも黒色ときたら、
暗殺者か何かだって相場が決まっているのよ!!」

「そんな横暴な・・・」

「それにそんな変なゴーレムつれていて、
『すみませ〜ん、私通りすがりのものですが?』
なんて理由が通用すると思う?」

・・・なんて強引な・・・ディア達怒ってないかな?

「いや・・・あの・・・概ねあっているんだが・・・」

「だからそんな事信用すると思う?
あんたが犯人だ、私が決めた!!
ということで、覚悟決めてさっさと吹き飛ばされなさい!!」

「そんな無茶苦茶な!!そこの人、どうにかしてくれませんか?」

先ほどガウリイと呼ばれていた人の助けを求める。

「いや〜スマン、そうなったら俺でも無理だ。
近頃イロイロあってな、ストレス溜まってるんだ・・・
犬にでも咬まれたと思って諦めてくれ・・・」

「冗談じゃない!!」

見知らぬ土地にとばされて、悪魔もどきと戦い、
そして今、訳のわからん少女に殺されかける・・・
先ほど感謝した運命の神をまた恨みだした。

「バースト・ロンド!!(爆煙舞)」


無数の小さな火球が襲ってくる。
訳はわからんが二体一だ、片方は北辰クラスの・・・
飛びのいた瞬間を狙ってくるかもしれない。
数瞬の間に考え、俺はディストーションフィールドを張った

「な・・・何!?あいつ、詠唱も無しに防御結界を!!
もしかして魔族!!」

魔族?何だそれは・・・
どうやらここは、俺が考えていたよりも異質な世界のようだ。

「俺は人間だよ、ちょっと事情があるけど・・・」

「・・・ガウリイ、どう思う?」

「たぶん本当じゃないのか?ゼロス達の様なにおいがしない。」

においって・・・犬代わりなのか?
それにたぶんって何だ、たぶんって・・・

「だから普通の人間だって・・・」


おそらく、ここにナデシコクルーがいたら首をひねったかもしれない。


「本当に〜?じゃあ今のは何?そこの奇妙なゴーレムも。」

「誰がゴーレムよ!!それにさっきから何?
私達の体を『変』だの『奇妙』だのと!!」

『そうだ!!、ひどいぞ!!』

「えっ、何これ?ヴィジョン(隔幻話)?
こんなヴィジョンの方法は聞いたことは無いし・・・どう言うこと?」

「それに何?その格好、何かのコスプレ?変なの〜」

「なにいってんのよ!!そもそもコスプレって何なのよ!!
あんたこそ、そこの変テコなゴーレムが体ってどういう事!!」

「アー!!また変って言った!!この胸無し!!」

『大草原の小さな丘!!』

「!!・・・このリナ・インバースに喧嘩売ろうなんて
いい度胸しているじゃない!!
しかも人が一番気にしていることを!!(怒!!)
黄昏よりも暗きもの、血の流れよりも赤きもの・・・」

「うわっ!!待てリナ、こんな所でドラグ・スレイブかますな!!」

「放せガウリイ!!このゴーレム、塵にまで変えてやる〜!!」


・・・なにやら、かなりやばいモノだったみたいだな。


「ディアにブロス、二人とも言い過ぎだ、謝るんだ。」

「『ごめんなさ〜い』」

「・・・フウ・・・まあ良いわ、こっちも言い過ぎたからね、ゴメン。」

「これで問題解決だな・・・」

「そうだな・・・あっと、自己紹介がまだだったな。
俺の名はガウリイ ガブリエフ、ガウリイと呼んでくれ。
そしてあっちにいるのがリナだ。」

「リナ インバースよ、リナで良いわ、よろしく。」


リナちゃんにガウリイか・・・


「俺はテンカワ アキト。俺もアキトと呼んでくれ、
こっちにいるのがディアにブロス。」

「ディアちゃんで〜す、よろしく〜♪」

「ブロス君で〜す、こちらもよろしく〜♪」

「おおっ!!リナの名前を聞いて驚かないぞ!!
こうゆう対応は久しぶりだ!!」

「あんたねぇ〜!!」

「まあまあ二人とも・・・」




「さて・・・冗談はおいといて・・・」

「そうだな・・・」

「「そこにいる奴、出てこい!!」」

俺とガウリイが同時に言った


その瞬間、森の闇が一段と深くなった・・・
その闇よりにじみ出てくるように人が出てくる。

うすい緑色の髪をした青年、いや少年といった方が正しいか・・・
服も同じ緑色の神官服(に見える)を身につけている。
女性が可愛らしいと思うだろう顔。
親しみを込めた笑顔・・・その様に表すような顔でこちらを見ている。
ただし、見た目は、だが・・・



こいつは人とは相容れない存在だ・・・

俺はそれを本能で感じた・・・


「これはこれは・・・始めまして。
私は覇王神官をやらせてもらっているグロウという者です。
以後お見知り置きを・・・
リナ・インバース様、ガウリイ・ガブリエフ様。
それに異界よりの訪問者、テンカワ・アキト様・・・」

「こら〜!!あたしのことも呼べ〜!!」

「人に創られし、かりそめの者が少々騒がしいようですね・・・」

「むっか〜!!ブロス!!ラグナ・ランチャーの発射用意!!」

『無理だよ!!全く動かないもの!!』

「無理でも何でもやりなさい!!」

『・・・ディア、最近ラピ姉に似てきたよね・・・』

「何ですって!!」



徐々にエキサイトしていく二人を横目に、

「あの二人は俺の家族だ・・・そういった発言は慎んでもらいたい。」

そう俺は宣言する。

「そうですか・・・それは失礼いたしました。」

慇懃に謝罪する。ありありと人を小馬鹿にした雰囲気がする。

・・・好きになりたくないタイプだな。



「で?・・・その魔族でもお偉い覇王神官様が私達に何のご用でしょうか?
亡くなった同僚のシェーラの敵討ちかしら?
それとも私達にプライド傷つけられた飼い主の報復?」


リナちゃんも負けずに言い返す。良い根性しているな・・・


「そうです・・・といったら納得していただけます?」

「いいえ、まったく。」

「ですよねぇ。」

「で?本当のところは何のよう?」

「今回は我が主のことは無関係です。あなた方・・・
リナ様とガウリイ様に興味がわいてきたので、会いに来た次第です・・・」

「ヘ〜、興味・・・ねぇ・・・」

「七つに別れしルビーアイ様、その内の二つも倒され、
冥王・フィブリゾ様、魔竜王・ガーブを相手にしても生き延びた、
そして獣神官・ゼロス様も興味を示している。
これほど面白い対象はありませんよ。」



俺は黙って話を聞いていた・・・この世界の情報を少しでも得るために・・・
しかし、先ほどの現象といい、魔族とか魔王とか・・・
どうやら、根本的に違う世界のようだな・・・



「さっきのレッサーデーモンをけしかけたのはあなたって訳?」

「ええ、ほんのご挨拶程度に。
まあ、予想外の出来事もありましたが・・・」


そういってグロウは俺の方に一瞬、視線を向ける。


「じゃあ、挨拶が終わったのなら帰ってくれる?
これからお昼ご飯なんだけど。」

「いえいえ、アレは準備運動ですよ。」


言い終わると同時に、周りに奴と同じ様な気配が2つ生まれる。

強さは・・・男の方は奴に比べ弱いが・・・
女性の方は・・・妖気(みたいなもの)は奴らより小さいが、
闘気を隠してはいるが、感じるプレッシャーは二人よりも強い。



「あの程度ではあなた方に失礼でしょう?」


人畜無害、そんな顔をして奴は言った。


「まったく・・・ありがた迷惑ってヤツよ、
あのラルタークといい、ゼロスといい、あんたといい・・・
魔族の神官って奴はろくでもないのばっかしね。」

「ほめ言葉として受け取りますよ。」


そして、俺のこの世界での二回目の戦闘が始まった。

 

(第3話に続く・・・)

あとがき

どうも、ケインです。
正解はスレイヤーズでした・・・って、バレバレでしたね!!
正解率は100%・・・簡単すぎたかな?
とりあえず、次の話はアキトに魔族のことの説明が中心になるでしょう。

また問題!!次の話で、リナが最初に使う呪文は何でしょう。
ヒント、黒魔術・三人目に出番・雷
リナが使う魔術を考えたら、2つか3つに絞れますね、
まだヒントが欲しい方、感想と一緒に「ヒントくれ!!」とでも書いて下さい。

ちなみにこれは小説版の後日の話です。

最後に!!
nanakawaさん、神威さん、畠山幹央さん、八影さん、コメットさん、
感想どうもありがとう!!

 

 

 

代理人の魔法予想

 

『紅い、稲妻ぁーーーーーっ!』

 

でないのは確実ですね、ハイ。

 

しかし、アキトってレッサーデーモンはともかく純魔族相手に戦えるのかな?

「物理的攻撃は通用しない」以上、昂気で殴りつけるくらいしか有効な攻撃手段はないような。

それとも最後の一人が対アキト君用?

まあ、それは次回のお楽しみとして・・・・・・・

 

 

果たしてブロスとディアに活躍の場はあるのか(笑)!?