思いっきり、濃い吟遊詩人が、来襲してから三日・・・・

 

アキトが心配していたような事態は起こることなく、平穏な日々を送ることができた。

今日この日・・・・命知らずな男が来るまでは・・・・・・

 

 

 

今は昼を大きく過ぎた時間帯・・・

あれ程、混雑していた店内も、今は一人か二人の客が居るだけで、静かなものだった・・・・・

 

そんな店の片隅のテーブルに、休憩の為に陣取ったアキト達・・・・

そのアキトが、何やら困惑したように声をあげた。

 

 

「あの〜・・・何で俺はこんな状況になってるんでしょうか・・・・」

わからない?アキトさん」

「あまり解りたくないけど解ります・・・」

「ならいいじゃない。それとも、アリスやエルが食べさせるのはいいけど、私はだめなの?アキトさん」

「そうじゃないんだけど・・・・ああ!だからそんな泣きそうな目で見ないでよ!ティシアちゃん」

「ならいいですね。はいどうぞ」

「・・・・・大人しく食べさせて頂きます」

 

 

アキトはふか〜く溜息を吐きながら、諦めた表情で、なぜかやって来たティシアに料理を食べさせてもらった。

その周りを囲むように、ルナ、メアテナ、ニースが遅い昼食を食べていた。

 

ウェイトレス等が店内で食事をとるのは異例のことなのだろうが・・・・

この店で、そういったことを気にする人物は皆無だった。

店長自身、客に混じって楽しく食事をするのが好きだというのだから、

この店の大らかさがわかるといったものだろう。

 

 

「ティシアちゃん。今さら訊ねるのも何だけどさ・・・・仕事の方はいいの?」

 

「大丈夫。今日の分はもう終わったから。本当なら、お母様もくる予定だったんだけど、

急な用事が入ったから来られなくなったの。思いっきり残念がっていたわ。

それよりも・・・アキトさん、まだ腕の調子は悪いの?」

 

「うん、まだちょっとね」

 

 

アキトはそう言いつつ、腕をなんとか水平まで持ち上げる。

かなり無理をしているのか、腕は微細に震えている。

 

 

「この程度が限界なんだ。情けないことにね」

「アキトさん!わかりましたから無理しないで下さい!」

「ああ、ごめん」

「アキトさんが謝らなくてもいいです。でも、まだ完治にはほど遠いみたいですね」

 

「うん・・・やっと肩の高さまで持ち上がるようになっただけだからね・・・・

肘から先はまったく動かないし・・・・物が持てるようになるまでまだ当分かかるよ」

 

「そうなんですか・・・・・(でも、早く治ってほしいと思う反面、食事を食べさせる行為こういったことができなくなると思うと・・・

少し複雑な気分です・・・こんな事を考えてると、アキトさんに悪いですよね・・・)」

 

「どうかしたの?ティシアちゃん。俺、何か気になることでも言ったかな?」

「いえ、なんでもありません。気にしないで下さい」

「そう・・・・・」

「ささ、残りも少ないことですし。早く食べてしまいましょうか、アキトさん」

「悪いね、手数をかけるみたいで・・・」

「いえいえ、お気になさらずに。好きでやっているだけですから・・・・」

「そ、そうなの・・・・」

「はい」

 

 

その時、店の入り口が開き、一人の男が入って店内を一瞥する。

途中、アキト達・・・正確にはその周りにいる女性達に目をとめるものの、何もなかったかのように視線を外した。

 

 

「フン・・・・・」

 

 

男はアキトを見ながら鼻で笑うと、アキト達より少しばかり離れたテーブルに座った。

ニースとメアテナは、注文を取ろうと、席を立とうとしたが、

それより先にルナが立ち上がり、良いから休んでて・・・と、手振りだけで伝え、男の元に歩いていった。

 

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「ああ・・・・・子羊ラム肉のワイン・ロースト。それに野菜サラダをもらおうか」

「かしこまりました」

 

 

ルナは、男から注文を受けると、厨房にいる店長の元に向かった。

その様子を、ニースとティシアはじっと見ている。特に男の方を・・・・・

 

 

「二人とも・・・どうかした?」

「アキト・・・あの男を見て、何か感じないか?」

「何かといっても・・・・」

 

 

アキトは、気づかれないようにして、近くの席に座っている男を見た。

 

 

(黒目黒髪、顔立ちはなかなかの美形・・・と、世間一般では言うんだろうな・・・たぶん。

といっても、どことなく、薄情そうな印象があるな。

格好は・・・黒いマントを着込んでいる。この世界ではそう珍しいものではないし・・・・

おかしな点と言えば、態度がどことなく大きい・・・悪くいえば、威張っているような感じがする。

それ以外は、これといったものはない・・・・が・・・・)

 

「なんというか、何か引っかかるものがあるな・・・・上手く口に出せないけど・・・・」

「私には・・・・・・まるで、以前私に言い寄っていたアレと同類の感じがします」

「私にはアレと言われてもよく解らんが・・・・気にとめておく必要があるかもしれんな」

 

 

この場合、ニースが気にとめておくと言ったのは、男の『気配』を憶えておくという意味だった。

憶えておけば、この街にいる限り、そう労せずとも探し出すことができるからだ。

アキトも、ニースが言いたいことを察し、男の『氣』を憶えておくことにした。

 

アキト達がそうこう言っているうちに、ルナが料理を運び、男がいるテーブルに並べる。

男は特に目立った様子を見せるわけでもなく、ただ静かに料理を食べ始める。

 

料理を運び終わったルナは、なんの表情も見せることなく、休憩していた席に戻った。

 

 

「ルナさん、ご苦労様」

「ありがと。と、いっても、そんなに大したことはしてないけどね」

 

 

苦笑をするルナ・・・・だが、そんな苦笑にも、どことなく不機嫌なものが含まれているのに、アキトは気がついた。

 

 

「ルナさん、どうかしたんですか?」

「え?何でもないけど?」

「そうですか?何となくですけど・・・・不機嫌そうな、怒っているような気がしたんですが・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「そうなの?ルナ姉さん。私が動かなかったから?」

「そうじゃないのよ、メアテナちゃん。それに、自分から行くといったのに、怒るわけないでしょ?」

「・・・・・あの男が気になるか?」

「ええ、ちょっとね。そう言うニースも気になったようね」

「少しばかりな。実力的には大したことはない。だが、何か引っ掛かる」

「・・・・・たぶん、あの客が、私達のことを見ていたからよ」

「確かに・・・この店に入ったときに見られましたが・・・」

「その時、どんな感じがした?」

「隣国の第五王位継承者エリウスと同じ様な印象を受けました」

「的確ね。まったくその通りよ」

 

 

ルナは吐き捨てるように言うと、横目で、チラリ・・・・と、黒ずくめの男に目をやる。

 

 

「あの男、上手く隠しているけど、私の体をいやらしい目で見ていたから・・・・

まるで、獲物を狙うかのようにね・・・・私は鳥肌が立って気持ちが悪かったわ」

 

「なるほどな・・・・思い返せば、戦争時に合同で野営をしているとき、

ああいった気配を向けられていたときがあったな・・・・かなり昔のことだが・・・・」

 

「そうなの?ニース姉さん」

「ああ、戦場に女とは、かなり稀有だからな。女日照りの男がどう出るか・・・予想に難くないだろう?」

「よく無事だったわね」

「襲いかかってきた連中全てを、再起不能にしたからな」

「どういった意味で?」

「愚問だな。逆に問い返すが、ルナならどうするのだ?」

「私もやっぱり再起不能かしら・・・二つの人生をね」

 

 

二つの人生・・・すなわち、『男』と『傭兵』の人生を絶つということ・・・・

ニースはもちろん、ルナは、不埒なことを考え実行する相手に、容赦することはない。

 

この二人・・・・女戦士という共通点か、結構思考的に似ているところがあるのだ。

 

 

「ルナさんも、ニースも・・・メアテナちゃんの前で、そういった話はしないで下さい。

教育上、よくないですからね」

 

「・・・・・・・それもそうだな」

「メアテナちゃんには、ちょっと早いかしら?」

 

 

アキト、ルナ、ニースは、そろってメアテナの方に目を向ける。

メアテナは、途中から意味が分からなくなったのか、隣にいるティシアに説明をせがんでいた。

 

ティシアはというと、正直に話すわけにもいかず、ひきつった笑いを浮かべながら、必死に誤魔化していた。

 

 

「ねぇねぇ、ニース姉さんやルナ姉さんの話の内容がよくわからないんだけど・・・ティシアさんは解ったの?」

「え、ええ・・・まぁ・・・・」

「ホント!?私にも教えて!」

「でも・・・そういうことは、もうちょっと大きくなってからのほうが・・・・」

「え〜!私大きいよ!胸だってリナさんよりも大きいし」

「は、ははは・・・・本人を目の前に、言わない方がいいわよ、メアテナさん」

「そうなの?」

「ええ・・・・」

「そうなんだ・・・・・」

 

 

メアテナはそう言いつつ、視線を自分の胸元に向ける。

そこには、服を力強く押し出す、二つの大きなふくらみがあった。(ちなみに、今だ発展途上中・・・・)

どう頑張ろうとも、リナには到達できない高さだろう・・・

 

 

「でも気になるなぁ・・・・やっぱり教えてくれないの?」

「そ、それは・・・その・・・・お願いだからそんな目で見ないで・・・・・・」

「???」

 

 

ティシアは、メアテナの好奇心で輝いた瞳に、かなり気圧される。

そんなティシアの様子を見かねて、アキトがメアテナに話しかけた。

 

 

「メアテナちゃん、今は気にすること無いよ。その内に解るから」

「何で?今じゃいけないの?アキト兄さん」

 

「もし、これが知る必要のあることなら、ルナさんでも、ニースでもすぐに教えてくれるさ。

今教えないのは、今知る必要が無いからなんだ。決して、意地悪とかじゃないんだ」

 

「そうなの?」

 

「ああ、メアテナちゃんが精神的に成長しもう少し大きくなって、世間を知るようになったらね。

こんな事いったら、誤魔化しているようなものだけど・・・解ってくれるかな?」

 

「ん〜〜・・・ちょっと解りにくいけど・・・そのうち解るんだよね?」

「たぶんね。誰にも教えられなくても、メアテナちゃんならわかるんじゃないかな?」

「じゃぁ、その時まで待ってる」

「解ってくれてありがとう。メアテナちゃん」

「うん!」

 

 

アキトのもの言いを、誤魔化しと取るか、それとも諭しと取るか・・・それは、第三者が決めることではないだろう。

メアテナが、アキトの言葉を理解し、その時まで待つというのであれば・・・・諭しと取れるのかもしれない。

 

ルナとニースは、アキトとメアテナの会話を傍で聞きながら、

『会話をするにも、メアテナ(ちゃん)の事を考えながらしないと・・・・』

と、反省していた。とくに、メアテナの保護者たるニースは、アキトに対し、済まないと言う表情を向けていた。

 

アキトも、そんなニースに、『気にするな』と言わんばかりに微笑む。

ニースも、アキトに感謝するように、微笑し返した。

 

 

多少問題はあったものの、アキト達は食事を再開、程なくして全てを食べ終わり、食後のお茶を楽しんでいた。

時間的には、夕食の仕込みにはまだ少々間があり、ゆっくりとした時間が過ごせた。

 

 

そんな中、アキト達が注意をしていた黒服の男が、スッ・・・・と、立ち上がり、

店中に聞こえるような大きな声で、言い放った。

 

 

「美味かった。この店の料理はまさしく一流だ。褒めてつかわす」

 

 

それだけ言うと男は、さも当然と言わんばかりの表情で店を出ようとした。

しかし、それは店の入り口に回り込んだルナによって、阻まれた。

 

 

「お待ち下さい、店を出るには、まず会計を済ませてからお願いいたします」

「何?私から代金を取ろうというのか?」

「例えどなたであろうとも、当店で食事をとった以上、代金を払うというのが筋ですから」

「ふん・・・私の事も知らんとはな・・・王都とはいえ、所詮は片隅の小汚いレストラン。その程度のものか・・・・」

如何様いかように思ってくれても結構です」

 

 

ルナの顔が、徐々に無表情になり、身に纏っていた気配も、張り詰めたものへと変化してゆく。

もし、男が少しでも変なそぶりでもしようものなら、

瞬時にしてルナの手の内に赤き神剣が現れ、男を斬り裂けるだろう。

いわば、抜刀術・・・納刀はしているが、いつでも斬り裂ける状態にある・・・と云うことだ。

 

しかし、その気配がわかるのは、この店内にはアキトとニース、メアテナの三人のみ。

奥で休憩中のこの場にいない店長は論外として、それなりに武術のたしなみのあるティシアにもわからないほどだった。

ただし、長いつき合いの為、どの様な行動にでるかは、薄々と感づいてはいたが・・・・・・

 

 

「この国を救った英雄『漆黒の戦神』に代金をたかろうとはな・・・・呆れ果てたものだ」

「何ですって・・・・・」

 

 

ルナの顔が、完全に無表情となった・・・かなり怒っている証拠だ。

ルナのことをよく知るティシアは、ルナの様子を見ただけで、顔を青くしている。

 

もし、この場にリナがいれば、一目散に逃げだして旅にでるか、

ルナの怒りが鎮まることを祈りつつ、問答無用でこの偽者を消し炭か塵に変えていただろう。

 

 

「もしかして・・・・・私の気をひくために、わざとそうしているのか?

それもそうだろうな。そんな貧弱そうな男と私を比べること自体間違ってはいるが・・・・

百歩譲って比べるのなら、そうなるのが当然の理だからな」

 

 

男は、蔑むような見下した目でアキトを見ていた。

 

その男の態度に、メアテナは怒り、男に殴りかかろうとしたのだが、隣にいたニースが抑えつける。

この場は、ルナに任せるべきだろうと判断してのことだ。

 

ニースとて、自分の全てを出し尽くし、命を賭けて闘った男の名を語る偽者に怒っているのだ。

それでも、男の始末はルナに譲ろうとしている・・・ルナの怒りのほどがうかがえると云うものだろう。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

ルナは、何も言わず、ただ黙って男を見ていた。

 

ルナにとって、自分のことをどう言われようとも大して気にはしない。

だが、その対象が親しい者や愛しいものの事になると、話はまったく違ってくる。

自分の大切なものを冒涜されるのが、絶対に許せないのだ。

公式な場であろうとも、それは変わることはない。

無論、手を出すということはないが、それなりの報復手段にでる場合が多い。

 

唯一の例外はリナなのだが・・・自業自得というのもあって、ルナは放っている。

その異名が、リナを救っている場合も、少なからずあると考えているのだ。

 

そして今、この男はルナの逆鱗を、そうとは気づかず、無遠慮に触れてしまっていた。

 

本来、逆鱗とは『竜』ではなく、『龍』にこそあるものなのだが・・・・

心の内で猛々しく怒るルナの心境を言い表すのに、これ以上的確な言葉はないだろう・・・・・

 

神の力を持つ竜の怒り・・・・・・・・それは生半可なものではない。

もはや、この時点で、物事を穏便に済ませるという選択肢は無くなっていると云ってもいいだろう。

 

 

「そうと言えば、私は拒むことをせぬのにな・・・もっと素直にせまればいいものを・・・・・」

 

 

男は、愉悦に歪んだ表情で、ルナの肩に手をかけようとする。

ルナはその男の手を、汚らしいものを見ると言うのが生易しいと思えるような視線で見ていた。

 

 

「汚い手で私に・・・・・」

 

 

絶対零度の言葉とは裏腹に、ルナの周りに僅かながら熱気が渦巻き始める。

その熱気は、ルナの意志に従い、男だけを焼き尽くす炎となって具現化しようとしていた。

 

その後・・・・男は、自分がすぐに焼き尽くされないように調整された炎にまとわりつかれ、

数分の苦痛と絶望の後、この世に何の痕跡も残さず消えてくことになる。

ルナの張られた隔離結界の暗闇の中、誰に目に見られることなく・・・・・・・・

 

しかし、それが現実となるには、あと数瞬の時間が必要であった。

その前に、男に声をかけた人物がいた。

 

 

「すまないが・・・・勘定を払って出ていってくれないかな。これ以上、事を荒立てたくない」

 

 

男に声をかけた人物・・・・アキトはそれだけ言うと、ただ静かにルナの隣に立った。

まるで、女性ルナを守ろうとするが如く・・・・・

 

アキトが隣に立った途端、ルナの中で渦巻いていた殺気や怒気といったものが霧散し、

熱気も、りとなって周りの空気に溶け込むように消えていった。

無表情だった顔も、今は落ち着いたものへと変わってゆく・・・・

 

横に立っただけで、ルナの怒りを鎮めることができる・・・・

ルナのことをよく知る者にとって、それは正に偉業といえるものだった。

 

男は、今しがた、命の危機に瀕していたことにも気づかず、

突如として現れたアキトの姿を、小馬鹿にしたように鼻で笑いながら見ていた。

 

 

「ハッ!騎士ナイト気取りか?御大層なご身分だな。

どうやって女を口説き落としたのかは知らないが、お前ごときに惚れる女も、大したことはないな。

まぁ、外見だけはいいみたいだが・・・・」

 

「俺をどうこう言うのは構わない。が、彼女達を貶めるような発言はやめてもらおう」

 

 

彼女達・・・・それは、ルナ達に限らず、自分の帰りを信じてくれているだろう女性達のことを含めていた。

そして、彼女達・・・ひいては仲間を愚弄する行為は、アキトの逆鱗を触るに他ならない。

 

決して敵に回してはならない・・・・と、あのリナにまで言わせるこの二人。

その二人の逆鱗を、容赦なく踏みにじったこの男の運命は、既に決まっていると云ってもいいだろう。

 

 

「な、何だと!!」

 

 

アキトから放たれる、静かな圧力プレッシャーに、男は息苦しさをおぼえ、それを誤魔化すように声を荒げた。

 

ちなみに、殺気や怒気といった強さ的にいうのであれば、先程までルナが隠していたものの方がはるかに強い。

しかし、完全に抑えていたため、目の前の男には気づかれなかったのだ。

男が、アキトに気圧されている訳は、意図的に、男に向かって少量の闘氣をぶつけているにすぎないのだ。

圧力プレッシャーをかけ、男が穏便に帰ってくれることを祈りつつ・・・・

 

しかし、事態はアキトの予想外の方向に向かってしまっていた。

 

 

「この私にそういう態度をとるとはな・・・表へ出ろ!」

 

 

この男・・・不幸なことに、そこそこの剣の使い手だったのだ。

腕前は、世間一般で一流と称されても違和感がないほど。無論、それなりのプライドもある。

そのプライド高さ故に、優男アキトに気圧された事実が認められなかったのだ。

そして・・・・男は判断を誤り、破滅の道を自ら歩むこととなった。

 

 

「それじゃぁ、ちょっと行ってきます」

「ふぅ〜・・・・本当なら、私が片をつけようと思ってたんだけどね」

「ルナさん、ちょっと過激な手を使おうとしていたみたいですから」

「・・・・・・・・・・」

 

 

ルナは、アキトに何も言えず、目をそらして誤魔化そうとしていた。

 

 

「怒ってくれたのは嬉しいですけどね」

「そう言われたら、何も言えないじゃない・・・・でも、どうするの?男の相手。私がやりましょうか?」

「ここ最近、運動不足なんで、少しばかり運動してきます」

「そう。あの程度の腕なら問題はないでしょうけど・・・一応、気をつけてね」

「わかりました」

 

 

アキトはそう言うと、男の後を追って店の外へと出た。ルナも、アキトの後に付いて行き、店を出る。

ニース、メアテナ、ティシアも、何もいうことなく席を立ち、店の外へと出た。

 

 

 

男とアキトは、店の前の大通りを占領する形で対峙していた。

遠巻きに、何かのイベントと思った住民達が見物に来ている。

こういった騒ぎは半日常的なことなので、大騒ぎするということはない。日頃の行いがよくわかる反応である。

 

 

「この私を愚弄した事、死んで詫びるがいい!」

 

 

男は、腰に下げていた剣を抜き、隙のない構えでアキトを睨む。

男の持つ剣は、太陽の光を反射しているわけでもないのに、淡く光っていた。

おそらくは、何らかの魔法が掛かった剣であろうと、大衆の半分ほどが理解した。

 

対するアキトは、男の様子を眺めつつ、何の構えもみせず、自然体のまま立っていた。

 

 

「何も構えぬか・・・・馬鹿にするにも程がある!!」

「そう思うのなら、斬りかかってくればいいだろう?」

「クッ!!」

 

 

男は忌々しげにアキトを睨む。

男とて、無防備に立っているアキトに斬りかかろうと思っているのだが、思うように体が動かないのだ。

あまりの無防備さ、そして、アキトの態度から何かあると思い、迂闊に動けないのだ。

実際、アキトの構え・・・・というか体勢は、武術にそれなりに精通した者の目から見ても、

全くの無防備、と断言してもいいほどの状態だった。

 

しかし、ルナ達の目から見れば、それは至極当たり前のことに見える。

腕が動かなくとも、アキトの戦闘力からすれば、男など歯牙にかける必要はないのだ。

 

そして、アキトにとって自然体とは、どの様な攻撃にもすぐに対処できる構えの一つなのだ。

そのレベルまで昇華されている事を、対峙している男の剣士としての本能が悟っているのだろう。

 

しかし、人は、時に理性や感情が本能の警告を封じ込める場合がある。

今、この男も、プライドと激情が警告を頭の片隅に追いやっていた。

 

 

「真っ二つにしてくれる!!」

 

 

男は素早い動きでアキトとの距離をつめ、剣を大上段に構え、唐竹割りにしようと思いっきり振り下ろす!

しかし、振り下ろした剣は、アキトの手前で『ガキンッ!!』という音と共に大きく弾かれた!!

 

 

「なっ!?!」

 

 

男は、目の前で起きた不可思議な現象に目を見張り、呆然とする。

が、すぐさま気を取りなおし、再度アキトに斬りかかる!!

 

(なんなんだ!!一体何が起こっているのだ!!)

 

男の繰り出す剣は、アキトの手前までゆくと、

弾力性のある不可視の壁に当たったかのように、全て弾かれていた!

 

周りの観客も、何が起こっているのかわからず、しきりに首を傾げていた。

端で見ている限りでは、男が一人芝居パントマイムをしているようにしか見えないのだ。はっきりいって喜劇コントでしかない。

 

男は訳の分からない事態に焦り、剣をさらに振り回し始めた。

その顔は、余裕という言葉から、もっとも遠い表情をしていた。

 

 

 

 

 

「ルナ。見えるか?」

「ええ、かなり速いけどね。避けきれるか?と問われれば返答に困るけど・・・・」

「そうだな。防御はできても、避けるのは容易ではないな」

 

 

アキトを見ていたルナとニースが、二人にしか理解できない会話をする。

その会話に疑問をもったティシアが、二人に話しかける。

 

 

「ルナ姉様にニースさん。何がどうなっているのか解っているのですか?」

「ティシアには、アキト君の動きが見えないのね」

「やっぱり・・・アキトさんは何かをしているのですね」

 

 

ティシアは、アキトの体をジッと見つめ、集中する。

しかし、相変わらず、アキトが何をしているのか、見ることができなかった。

 

 

「私には何も・・・・わかるのは、アキトさんの気配が、剣が近づいた瞬間だけ、ゆらいでいるとしか・・・・・」

「それがわかるのなら大したものよ。メアテナちゃんはどうなの?」

「んん〜〜〜・・・・・・足で剣を弾いている?」

「正解よ。正確には、剣を横から蹴り飛ばしているのだけど・・・・・見えるの?」

「あんまり・・・光のような軌跡を辿ったら、足に続いていたから」

「そうか・・・・メアテナには、神と魔王の力が宿っているからな。見えても不思議ではないか・・・・」

「あの・・・ニースさん。何が見えてるのですか?それに光なんて何処に・・・・」

「普通の人間には見えないだろうな」

 

「ティシア。貴女も見たことがあるでしょう?アキト君とアメリアさん達が闘ったときに・・・・・・・

アキト君が氣功術を使った際、どの様な現象が起こっていたか」

 

「あ・・・・」

 

 

ルナの言葉に、ティシアは何が言いたいかを悟った。

あの時、ルナが張った結界の中では、本来、不可視のはずの<氣>が光のように見えていたことを・・・・

それは本来、精神世界面アストラル・サイドを見ることができる者にしか見えないものだと・・・・

つまり、メアテナは精神世界面アストラル・サイドを見ることができる。ということなのだ。

 

 

ルナ達三人の視界には、アキトの氣をこめられた蹴りの軌跡が、光の奔流のように感じ、、

そして、迫りくる剣を蹴るたびに、足にこめられた氣の光が、

水面にうつ波紋のように、煌めきながら広がっている光景が見えていた。

 

まともに人体に当たれば、洒落ではすまない程の破壊力を秘めた氣の一撃。

男が持っている剣が魔法がかかっているものといえども、

度重なる強力な攻撃の前に、粉々に砕け散るのも時間の問題だろう・・・・・・

 

 

「なるほど、それは解りましたけど・・・・アキトさん、剣を足で蹴っているのですか?」

「ええ、かなりの速度でね。たぶん・・・蹴る瞬間だけ、氣を爆発させて、筋力を増幅させているのね」

「そんな無茶苦茶な・・・・」

「そうでもないみたいよ?アキト君は完全に制御しているみたいだし・・・・」

「大したものだな」

「アキト兄さん頑張れ〜!!」

 

 

メアテナは、アキトに声援を送っている。

ルナ達もアキトに視線を戻し、静かに見守っていた。

 

 

 

 

 

「そろそろいいか・・・・・いい運動になったし」

 

 

アキトは、男の剣を幾度となく蹴り飛ばしたあと、ポツリ・・・・と呟いた。

男は、アキトの言葉に表情を歪め、憎々しげに歯軋りをする。

 

男の名誉の為に言っておくと、剣速は半端でなく速い。

先に述べたとおり、腕だけなら、間違いなく一流に分類されるのだ。

 

 

巫山戯ふざけるな!!」

 

 

男は怒りに我を忘れ、感情にまかせたまま剣を振り下ろす。

その太刀筋に、剣技といったものは活かされてなく、力任せに振り下ろされた単調な攻撃だった。

アキトの意図通りに・・・・・

 

そんな攻撃など、アキトならずとも見切るに容易いもの。

その攻撃は、アキトの蹴りの一撃・・・否、高速の二段蹴りによって大きく弾かれた。

 

 

 

「速いな・・・・周りの者には、ただの上段蹴りにしか見えないだろうな・・・」

「あれを見切れというのが、余程の無理難題だと思うけど?」

 

 

ニースの呟きに、ルナが苦笑しながら合いの手を入れる。

横で聞いていたティシアも、うんうんと頷いていた。

 

 

 

「なっ!?クソッ!!」

 

 

男の持っていた剣は、アキトの二段蹴りにより、手元から弾き飛ばされ、

長い滞空時間の後、二人より離れた地面に突き刺さった。

 

 

「勝負あったな。代金を払って消えろ」

「まだだ!!」

 

 

男は、纏っていたマントを、アキトに投げつける。

アキトは、軽く後ろに下がることでマントをかぶることを避ける。

男も、マントを投げると同時に、後ろに飛びずさっていたらしく、二人の間に少々間合いが空いた。

 

男は、アキトを睨みつつ、両手を胸の前で合わせるように構えた。

 

 

(てっきり武器を拾いに行くと思ったけど・・・・・魔法を使うつもりか・・・・・)

「―――――ッ!!」

 

 

アキトは、風に乗って聞こえる男の詠唱を聞き、顔色を変える!

 

 

「全ての力の源よ 輝き燃える赤き炎よ  我が手に集いて力となれ!!火炎ファイアー・・・・・!?」

 

 

今まさに、呪文を解き放とうとした男の前に、離れていたはずのアキトの姿が突如として現れる!

その速さ、正に神速で、先程の蹴りと同様、人の目に写る速さではなかった。

事実、周囲の者にはアキトが突然消えて、その次の瞬間、男の目の前に姿を現せたようしか見えなかった。

 

 

人がいる街中こんな所で、危険な呪文ファイアー・ボールなんか使うな!!」

 

 

アキトはそう言うと同時に、男を遠慮の欠片もなく蹴り飛ばす。

男は、為すすべもなく、地面の上をバウンドしながら、かなりの距離を飛んだ。

そして、地の上を滑り、土埃を盛大に上げながらようやく止まった。

 

 

「き、貴様・・・・よくも・・・・絶対に・・・・殺す!!」

 

 

男は、アキトの一撃により、全身に激痛が奔り、起き上がるどころか、喋ることですら難しそうだった。

受け身を取れば、ダメージを軽減できたかもしれないが・・・・

この男・・・・ひいては、人並みの実力をもつ者に、それを求めるのはかなり酷というものなのかもしれない。

 

地に倒れている男に、不意に影が差し込む。誰かが上から覗き込んだようだ。

 

 

「起きられないようだな・・・・・手を貸してやろうか?」

「・・・・今回だけは借りてやる。ありがたく思え」

 

 

声をかけた大男は、地に倒れている男の言いぐさに、ニヤリと笑いながら、

男の頭をガシッと掴み、宙にぶら下げる。

横からではなく、上から掴み上げている大男・・・・かなりの腕力、そして握力の持ち主だ。

 

 

「な、何をする!放せ―――――グゥァァァァァアアアーーー!!」

「おいおい、人がせっかく手を貸してやっているのに、そう言い方はないだろ?」

 

 

男の頭をギリギリと締め付けている大男・・・・ガイウスは、人懐っこそうな顔をしながら男を注意する。

ただし、その目は笑っていない。

 

 

「ガイウスさん、どうしてここに?」

「なぁに、ちょっとした野暮用でな。それよりアキト、あんまり無茶すると、完治が遅れるぜ?」

「大丈夫ですよ、この程度」

 

「この程度・・・・ね。確かにそうだな。相手の実力がわからんようじゃぁ、三流もいいところだ

(本当は、ルナちゃん達が心配する・・・・と言いたかったんだが・・・・ま、いいか・・・・・)」

 

 

ガイウスは、自分がぶら下げている男に、呆れたような目を向けている。

男は、ガイウスの言った言葉に怒り、アキト達をさらに睨む。

 

 

「貴様等!この『漆黒の戦神』にそんな事をして、ただですむと思うな!!」

「なるほどね・・・その『漆黒の戦神』さんは、一体どうしてこんな事になったのかな?」

 

 

ガイウスは、からかうような表情をしながら、男に問いかけた。

 

 

「それはこいつらが悪い!この私から代金を取ろうとしたのだからな。この国を救った英雄にだぞ!?」

「英雄だろうが、勇者だろうが、金を払わなくて良いわけないだろうが・・・・とくにこの店ではな・・・」

「なんだと!それではこの店は、この国の王族からも代金を取るとでもいうのか!?」

「当たり前じゃないですか」

 

 

アキトの近くに来たルナ達・・・その中から、ティシアが男の前に立った。

男は、ティシアを馬鹿にしたように見下ろした。(今だガイウスが掴んでおり、宙づりのままだから・・・・)

 

 

「貴様みたいな小娘に訊いているのではない!!」

「あら?そうなんですか?」

「私は『王族でも』と訊いているのだ!!・・・・・・なんだ?」

 

 

ティシアは、腰に差していた護身用の細剣レイピアを、鞘に収まったままの状態で、目の高さまで持ち上げる。

ちょうど、柄の辺りがよく見えるように・・・・・・

 

男は、訳の解らないといった感じで細剣レイピアを眺めていると、次第に顔色が真っ青になってゆく。

 

 

「そ、そんな馬鹿な・・・偽物に決まっている!!」

 

 

男は、細剣レイピアの柄の装飾を凝視している。

そこには、ゼフィーリア王家の家紋・・・・紋章が刻み込まれていた。

 

通常、王家の家紋が入った装飾具を持つものは、王族のみ・・・・

例外的に、王の勅命を受け、必要に応じて与えられることもあるが・・・・

この状況下で、王族の家紋が入った武具を持つ者・・・・・答えを導き出すのは、そう難しいことではない。

 

 

「残念ながら本物です」

「どうしてこの様なところにいるんだ!!」

「この街に住んでいるのですから、何処に居ようと可笑しくはないでしょう?」

 

 

それで納得できる者は、普通いない・・・・当たり前だろう。

城下町のレストランで、昼食をとる王族・・・・

はっきり言って、そういうのは、吟遊詩人が歌う物語の中でしか思い浮かばない光景だろう。

 

あまりの事態に絶句する男に、ガイウスは事も無げに声をかける。

 

 

「まぁなんだ。お前さんをいつまでも吊り下げておくのもなんだから、そろそろ行こうか」

「ま、まて!だからといって何で私が!!」

「詳しい話は(自警団)事務所で話をしようや、なぁ?」

 

 

まるで、職種を間違っているのではないか?と思えるような台詞をはくガイウス。

親しげな表情の中にある冷たい目の所為で、かなり迫力があったりする。

 

男は叫きながら逆らうものの、有無を言わせぬほどに締め付けるガイウスの握力に悶絶する。

ガイウスは、そんな事は微塵にも気にせず、男を引きずりながら歩き始める。

 

 

「ガイウス、その男をどうするつもりなの?」

「ん〜・・・・とりあえず、犯した罪を認めさせますよ」

「その後は?」

「さぁ〜〜、その後の担当は、俺じゃないんで。『漆黒の戦神テンカワ・アキト』の偽者の処理は、エルとアリスがやっているもので・・・・」

「そうなの?」

「ええ、アキトの偽者やかたりの一斉摘発をするっていったら、進んで手伝ってくれて・・・・」

「通りで・・・・ここ二、三日、姿を見かけないと思ったら・・・そんな事してたの」

「本人達は、喜んで手伝ってくれましたよ。それぞれの騎士団まで使ってまで・・・・」

「二人に、事が終われば来るように伝えておいて、奢るからって」

「言っときます。じゃ、俺はこれで」

「頼んだわよ」

「わかってますって」

 

 

ガイウスは再び、男を引きずりながら、自警団本部に向かって歩いていった。

何となく、男に同情を誘う雰囲気があった・・・・無論、あっただけだが・・・・・・

 

アキトは、引きずられる男を見ながら、心底疲れたといった表情で、ルナに訊いた。

 

 

「ルナさん、名前が売れると、ああいった輩が多いんですか?」

「最初はね。私の時もあったそうよ。その時も、女王様が秘密裏に片づけてくれたらしいけど」

「そうですか・・・・・・」

 

 

アキトは、アナスタシア女王に心の中で感謝した。

 

 

「ところで・・・・なんであの男はこのレストランに来たんでしょうかね?」

「そうよね・・・・この店リア・ランサーにはスィーフィード・ナイトがいるって事は、それなりに知られてるものね・・・・何でかしら?」

 

 

アキトとルナが、そろって首を傾げて悩んでいると、不意に、アキトの服の袖が引っぱられた。

 

 

「ねぇねぇ、アキト兄さん、ルナ姉さん」

「ん?どうかしたのかい、メアテナちゃん」

「どうしたの?」

「あれ・・・・・」

 

 

メアテナは、店の入り口に向かって指をさす。そこには、急ごしらえの立て看板があった。

いつも使っている看板は、金具の部分が脆くなり、危ないということで昨日修理に出したのだ。

修理には一日かかるということなので、今日一日だけ、立て看板を立てているのだ。(ちなみに店長直筆)

 

 

「あれが・・・・どうかしたのかい?」

「そうよ、メアテナちゃん。何か変なところでもある?」

「うん、このお店の名前が変わったのかな〜って・・・・・」

「「変わった?」」

 

メアテナの言葉に、アキト達は立て看板に書かれてある文字を、読んでみる。

文字数自体は少なく、いたってシンプルな看板である。書かれてある文字は問題だったが・・・・

 

 

『レア・ランサー!?』

 

 

そう、本来『リア・ランサー』と書かれるべきところに、『レア・ランサー』と書かれていたのである。

偽ブランド商品か何かと思わせるような誤字であった。

 

 

「店長・・・・一体何を考えてたんだか・・・・・」

「それよりも、なんで誰も気がつかなかったのかしらね・・・・・いつも通りの客数だったのに・・・・」

「あれじゃないんですか?いつも来ているから、今さら看板を見る必要がない、だから・・・・」

「気にせず店に入った・・・・というわけね」

 

 

アキトとルナは、呆れたような表情をしながら、そろって溜息を吐いた。

馬鹿馬鹿しさと、疲労感を感じたのだろう・・・・・

 

 

 

結局・・・・そのすぐ後、アキト達に言われた店長が、すぐに看板を書き直した。

苦笑いをしながら、照れていたが・・・・・

 

店長の話によると、なんでも昔、ロウファルナの父親と一緒に旅をしているとき、露天商をしたことがあるとのことだった。

その時の品物は、様々だったが・・・・その時、立て看板に書いていた言葉が、『レア物 有ります』だったらしい。

 

立て看板に文字を書きながら、昔を思い出していたので、書き間違えたらしい・・・・

なんとも、お粗末な結末だった・・・・・

 

 

余談その一・・・・

女王の命令による、『漆黒の戦神』の偽者達の摘発のおかげか、

それ以降、アキトの偽者が現れることはなかった。アキトは女王にさらに感謝した。

(ただ単に、アキトの女王への借りが増えただけなのだが・・・本人は今だ気がついていない・・・・)

 

 

余談その二・・・・・

その偽者達は、アリスとエルネシアのおかげで、今までの行いを悔い改め、真っ当に暮らしたとのことだった。

神に仕えたもの・・・大根を育てるのに命をかけるもの・・・漁師になり、漁をきわめんとするものといった感じで、

様々な職種に就いたのだが・・・・

なぜかその人達は、共通した口癖があるらしい。それは・・・・・

 

「私は神を見た!そして神はこう告げられた 『汝 古き道を捨て 新たなる道を極めよ』と!!」

 

・・・・・被害がないので別段気にするものはいない・・・・・が、別の意味で問題はあるのかもしれない。

 

 

 

 

(第三十三話に続く・・・)

 

 

 

―――――あとがき―――――

 

どうも、ケインです。

今回は、前々回の投稿時、三週間も待たせたので一挙に二話お送りします。

 

で・・・どうだったでしょうか?面白かったと思ってくれれば幸いです。

その1のユジーン・バイオレッタは、以前外伝を書いていた際に、

出してくれとの要望があったため、書いてみた次第です。

 

その2は・・・お約束みたいなものでして・・・あまり気にしないで下さい。

 

しかしまぁ・・・・これで、アキトの通り名『漆黒の戦神』がこの世界でも使えるようになりました。

どうしてルナが知っていたのかというのは、言うまでもありませんね、ディア達から聞いたんです。

 

さて・・・次回の話は、とある人からリクエストがあった、あの方を出す予定です。

誰かは・・・・秘密です。予測でもしてて下さい。(皆様絶対に知っているお方です)

答えはしませんが、○○ではないのか?といわれて、当たっていれば嘘偽りなく『正解です』と言います。

それほど仰々しいものではありませんし・・・・

代理人様の答えがあっていた場合は・・・・・感想外掲示板にでも書きましょう。当たっていますって。

(それ以前に、答えてくれるのかな?)

 

それでは最後に・・・・

K・Oさん、15さん、1トンさん、619さん、Assamさん、Dさん、MASAKIさん、m-yositoさん、

TAGUROさん、USOさん、watanukiさん、zainさん、アイハラ・ヒカルさん、ザ・世界さん、

カインさん、カインさん、ぺどろさん、ホワイトさん、下屋敷さん、霞那岐さん、森さん、絶望さん、

浅川さん、堕竜さん、百華さん、柳紳さん、ナイツさん、GPO3さん、ノバさん、零さん、のほさん、

憂鬱なプログラマさん、shineiさん、HYPERIONさん。

 

わざわざ御感想を下さり、誠にありがとうございます!!

ちなみに、カインさんの名前はミスではありません。同じ名前の人が二名いましたので・・・・

 

 

では、次回の後書き・・・・・では会えませんね、ディアちゃんが出番を待っていることですし・・・

ま、いいです。では、よろしければ次回も読んでやってください!!

 

 

 

代理人の感想

まぁ、なんだ。要するに馬鹿が成敗される話ですな(爆)。

 

>あの方

ふ〜む?

「絶対に知っている」という事は本編でもかなり重要な人か、

スペシャルで強烈な印象を残してる人ですよね。

そう言った人たちの中でまだ出てきていない人というと・・・・・

大本命は某悪の女魔道師ですけど、あるいは某仮○ライダー(近所の奥様に大評判)辺りでしょうか?

またはダークホースでキメラ爺か黒髪女神官。

ここは一点賭けで仮○ライダーのおっちゃんと言うことにしておきましょう。

 

・・・・これでアニメのキャラだったりすれば大笑いですが(笑)