赤き力の世界にて・・・

 

 

 

 

 

第50話「別れ・・・そして、始まり・・・・」

 

 

 

 

 

 

覇王ダイナスト一派との死闘より約一ヶ月少々・・・・

 

この世界に迷い込んだ過去の象徴ブラック・サレナを消すべくやってきた異世界よりの訪問者・・・

テンカワ アキトが、元の世界へと帰るべく、旅立つ日が来た。

 

 

 

 

 

「それでは・・・皆さん、本当にお世話になりました」

 

 

ゼフィーリア城の中庭に鎮座するブローディアの前に立ったアキトが、

自分を見送りに来てくれた人達に対し、簡単に礼を言う。

 

皆、この日が来ることは知って・・・いや、覚悟していたとはいえ、表情は今ひとつ優れない。

 

それは、アキトが去ることを悲しんでいるという事・・・

アキトは、皆に悪いと思いながらも、心底悲しんでくれていることが嬉しかった。

 

 

「アキトよぉ・・・本当に帰んなくちゃなんないのか?」

「済みません、シンヤさん・・・」

「いや、謝らなくてもいいんだけどよ・・・・やっぱり、帰っちまうのか」

「はい・・・帰りを待っていてくれる仲間が居ますからね。約束もしましたし・・・」

「そうか・・・・それじゃあ仕方ねぇよな」

 

 

アキトの言う約束の重さを感じたのか、シンヤは苦い笑いを浮かべると右手を差し出し、握手を求めた。

アキトはそれに応じ、力強くシンヤの右手を握った。

 

 

「元気でな。またこっちに来たときには、是非うちの店に寄ってくれ」

「ええ、シンヤさんもお元気で。来たときには必ず寄らせてもらいます」

 

 

シンヤはアキトの手を力一杯握りしめると、次の人物と入れ替わるように後ろに下がった。

 

 

「今までアルバイトご苦労だったね、アキト君」

「店長・・・・俺の方こそお世話になりました」

「いやなに、気にすることはないさ。アキト君が来てからこっち、楽しいことばかりだったからね」

「ははははは・・・・・そうですか」

 

 

店長が、本気で楽しかったと言っている事に、アキトは引きつった笑いを見せるしかない・・・

波瀾万丈・・・とまではいかないが、それに近いほどの騒動が頻繁に起こっていたのを思い出したからだ。

 

それでもなお、楽しいと言えるこの店長は、本気で器が大きいのかもしれない・・・

もしくは、それくらいでないとインバース一家と付き合えないと言うことなのか・・・真相は謎だ。

 

 

「人生は考え方や行動一つで面白くも、つまらなくも・・・そして苦しくもなる。

だったら、面白い方向に物事を運べばいい。もちろん、みんなが楽しめる方向にね」

 

「そうですね・・・・」

「今は全てを理解しなくてもいい。こういうことは、ある程度人生を送った後にわかるものだからな」

「はい」

「いい返事だ。アキト君・・・・元気でな」

「店長も、お元気で」

 

 

店長はアキトと握手を交わすと、先程のシンヤと同様、後ろに下がる・・・・・その途中、店長は振り返り、

 

 

「そうそう、サキちゃんとナックからの伝言だ。

『今度デートしてね』と『デートしたければ俺の屍を越えてゆけ』・・・・だそうだ」

 

「はは・・・覚えておきます」

 

 

アキトの苦笑に、店長も苦笑で返すと、今度こそ本当に後ろに下がった。

そして、入れ替わりに前に出たのは・・・ガイウスとレニスの二人だった。

レニスは一歩前に出ると、アキトと真っ直ぐに向き合う。

 

 

「アキト殿、いよいよ帰られるのですか・・・・」

「ええ、レニスさん、色々とお世話になりました」

「いえ、私の方こそ、アキト殿から色々と学ばせていただきました」

「俺、何かレニスさんに教えましたっけ?」

「直接的には・・・ですが、アキト殿の闘い、普段の立ち振る舞い等々、色々と学ばせてもらいました」

「大層なことはしていないと思うんですけどね・・・」

 

「いいえ、そんな事はありません。アキト殿は自分の価値を低く見ているようですが・・・

貴方は戦士としても・・・そして男としても尊敬に値する人です」

 

「それこそ、買い被りすぎですよ・・・俺の人生は、後悔の積み重ねなんですから・・・」

「それでも、貴方は前に向かって歩いている・・・それも強さの一つですよ」

「そう・・・・なのかな?」

「はい。私は貴方と知り合い、一時でも共に歩めたことを誇りに思います」

「俺も、レニスさんと知り合えて嬉しかったですよ」

「光栄です。アキト殿・・・・・お元気で」

「ええ、レニスさんも」

「はい・・・」

 

 

レニスはアキトと握手を交わすと、ガイウスに場を譲るべく、後ろ下がった。

だが、ガイウスは前に出ることなく、ただ、じっとアキトを見ている。

 

アキトも、ガイウスに習うように、目を逸らさず、真っ直ぐに見返している。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

両者、なにも語らず、身じろぎ一つもせず、互いを見ている・・・・

時間にして十数秒程度・・・・・だが、二人の間にある緊張感の前に、時の流れは遅く感じた。

 

その時、中庭に風が吹き、アキトとガイウスの間に何処からか運ばれてきた無数の木の葉こ はが割って入った。

 

―――――次の瞬間!!

 

ズガン!!

 

 

アキトとガイウスの右腕が霞むと同時に、とてつもなく重い物がぶつかり合ったような音が響き、

舞っていた木の葉こ はが全て砕け散り、直後に発生した衝撃波によって吹き飛んだ!!

 

二人は、お互いの掌底を付き合わせたような状態で、お互いを真っ直ぐ見ている・・・・

 

 

「さすが・・・あの一瞬のうちによくこれほどの《氣》を練ったな」

「氣功術の師匠が良かったおかげですね」

「へっ、いってくれるじゃねぇか」

 

 

そう・・・二人は一秒にも満たない一瞬で体内にあった氣を練り上げ、発剄を繰り出したのだ。

無論、事前の氣の蓄積、練り込みがないため、その威力は本来のものより遙かに弱い。

しかし、さすがは超一流の氣功師というべきか・・・人一人は軽くはじき飛ばせる。

実際、アキトは初対面の時、これをやられて吹き飛ばされている。

もちろん、不完全ながらも防御はした・・・のだが、

その時のアキトには、今回のように相殺はとてもじゃないが不可能だった。

 

アキトにとって、今回の『同じ条件』『同じ技』による氣の相殺は、最初の意趣返しでもあるのだ。

 

 

「今この時を持って、テンカワ アキトが『地竜式 氣功闘方術』を修めたことを認める。いいな」

 

「いいな・・・といわれても、俺は全ての技を修めていませんよ。

奥義級の技も一つしか教えてもらっていませんし・・・外氣功なんて、本当に基本しかできていませんよ」

 

「それで良いんだよ。『全ての氣の流れを感じ、同期する』それが基本にして奥義だ・・・

外氣功なんて、その尤もたるもんだろうが。それに、奥義の内容は口で教えただろう?

後は、『全ての氣の流れ』を完全に感じることさえできれば、全ての技は自然と理解できる。お前さんならな」

 

「・・・・・わかりました。頑張ります」

「おう、その意気だ!何事も努力なくして身に付くもの無し・・・だ。頑張れよ」

「はい」

 

 

ガイウスはその大きな手を差し出し、握手を求める。

アキトは、今までに世話になった事を思い返しつつ、ガイウスの手を力強く握った。

 

そして、ガイウスとレニスは後ろに下がった。

今度前に出たのは・・・案の定というべきか、残りの騎士団長の二人、アリスとエルネシアであった。

 

 

「アキト様。とうとう、お別れですわね」

「ええ。エルさんとアリスちゃんには何かとお世話になりました」

「気にすることなんてないさ、アタイ達は好きでやってんだから。ね、エル」

「アリスの申す通りです。私たちはその事を嬉しく思いはすれ、迷惑だとは思ったこともありません」

「そうですか・・・・」

「「そう(だよ)(です)」」

 

 

声をそろえて強調する二人に、アキトは嬉しそうに、感謝の気持ちを込めて微笑する。

二人も、解ってくれたことを嬉しく思い、自然と微笑んだ。

 

 

「アキト様。餞別・・・というほど、大層な物ではありませんが、受け取ってくれませんか?」

 

 

エルネシアは脇に持っていた物・・・やや古びた、一冊の分厚い本をアキトに渡す。

受け取ったアキトは、何の本か?と思い、表紙に目をやるが・・・そこにはなにも書かれてはいない。

 

試しに表紙をめくり、一ページ目に目を通したアキトは・・・書かれている内容に少々驚いた。

 

 

「魔導書?でも・・・・・エルさん、一体これは?」

わたくしの知りうる限りのことを記した、一冊しかない手作りの魔導書です」

「すごいですね・・・・」

 

 

アキトはエルネシアが自ら書いたという魔導書のページを次々にめくる。

白、黒、精霊の全ての魔術の概要、内容の説明、そして、アレンジの仕方やその方法・・・

 

魔力や魔力許容量キャパシティ等の、術の発動条件を別問題にすれば、ある程度の理解力や知識、

そしてこの一冊の本があれば、独自で魔術を修得するのも不可能ではないだろう。

 

 

「でも、いいんですか?大切なモノでは・・・」

「いいのです。内容は全て記憶しておりますから。どうか、アキト様のお役に立ててください」

「そう・・・ですか。わかりました、ありがたく貰います」

「はい」

 

 

アキトはそう言うと、端に置いてあった大きめのリュックの中に、

今しがた貰い受けた、世界で一冊しかない、エルネシア手作りの魔導書を大切にしまい込んだ。

 

ちなみに、その中には他の貰い物・・・女王から貰った正装等が入っている。

 

 

「あ、そうだ。これも入れといて」

 

 

アリスはついでと言わんばかりに、持っていた物をアキトに渡した。

 

 

「これは・・・ペンダント?」

 

 

アキトは鎖を持ち、ぶら下げるようして渡された物を見た。

そう・・・それは、親指の爪より一回り大きい程度の透き通った蒼い石が填め込まれたペンダントだった。

蒼い石は無骨にカットされたのか、表面がかなり荒く、凸凹している。

 

しかし、その粗い表面が吸収した光を乱反射し、無骨なペンダントを美しく見せている。

 

 

「アタイからの餞別、大した価値のあるヤツでもないから、遠慮無く貰ってよ」

「・・・・・いいのかい?大切な物じゃないのかい?」

「え!?!そ、そんなこと無いよ。値段的にも大したもんじゃないし」

「そうかい?気のせいかな・・・・」

「そうそう、気のせい気のせい!」

「・・・・・・・・」

 

 

アキトはジッとアリスから手渡されたペンダントを見ている・・・

 

アリスは大した物じゃないと言ったが・・・・実際、云うとおり、値段的にはたいして高価ではない。

鎖は、錆びに強く、やや強度が高いミスリル銀を使っているものの、オリハルコンほど高価ではない、

そして、填め込まれた石は、宝石と言うわけでもなく、本当に変哲もない石・・・一般の人から見れば・・・

 

それは、この国出身でもなく、別の国・・・しかも捨て子だったアリスが、拾われた際、唯一持っていた私物。

アリスにとっては、なにものにも代え難い、大切なもの・・・・

アキトに渡したのは、それを二つに割り、自らが鎖をつけてペンダントに拵えたものなのだ。

もう一つは・・・同じようにペンダントにして、アリス自身が身に付けている。

 

 

「・・・・・・わかった、受け取るよ。ありがとう、アリスちゃん」

 

 

もし返されたら・・・・そう考え、暗い表情をしていたアリスは、

アキトに受け取ってもらえた途端、本当に・・・・本当に嬉しそうに微笑んだ。

 

それを見たアキトは、ペンダントをリュックにしまうことをせず、そのまま首にかけた。

 

 

「これでいいかな・・・・似合ってるかな?」

「うん!とっても!」

 

 

アリスは自分でも気がつかないうちに、胸の辺りにあるもう石の片割れを押さえた。

そこにあることを、確認するかのように・・・

 

 

「そう、良かった。二人とも、ありがとう」

「大切にしてくださいね、アキト様」

「アタイのはちょっとやそっとじゃ壊れないと思うけどね。でも、ま、大切にしてやってよ」

「ああ、大切にするよ」

「それではアキト様・・・お元気で」

 

 

エルネシアはアキトと握手すると、そのまま近づき、アキトの頬へと口づけをする!

いきなりの行為に驚き、アキトは一瞬硬直する・・・その隙に、アリスもエルネシアとは逆の頬にキスをする!

 

 

「元気でね!また、会おうね!」

「お身体にお気をつけて、アキト様」

 

 

やや呆然とするアキトを後目に、頬を赤く染めたエルネシアとアリスは別れの挨拶と共に後ろに下がった。

 

 

「もてるな、アキト」

「ホント」

 

 

入れ替わるように前に出てきた二人・・・ガウリイとリナが硬直していたアキトに苦笑する。

 

 

「なんか・・・・恥ずかしいな」

「照れない照れない、いつものことなんだしさ」

「リナちゃん、誤解をうけるような事を言わないでくれるかな〜・・・」

 

 

リナのもの言いに、アキトは苦笑しながらつっこむ。

一応でもつっこんでおかないと、際限なく話が広がって止まらないことを知っているからだ。

 

 

「それはともかく・・・アキトと出会って半年以上・・・と云うか、もう一年が近くなるけど・・・・

今思い返してみれば、あっと言う間だったような気がするわね」

 

「そうだな・・・ゼフィーリアに来る道中、デーモンに襲われて・・・ついでにリナがアキトに襲いかかって・・・」

「そうそう、いきなり火炎球ファイアー・ボールだったね」

「む、昔のことはもう忘れたわよ」

 

 

リナはその事にふれられたくないのか、気まずそうな顔をしてそっぽを向いた。

ガウリイはそんなリナの態度に苦笑しながら、頭に手を置く。

 

 

「懐かしい話だな・・・」

 

「そうだな・・・あの時、リナちゃんとガウリイの二人に出会えて良かったよ。

おかげで、俺はゼフィーリアに来ることができたし、様々な人にも出会えた。

二人には・・・本当に感謝しているよ」

 

「俺もな・・・アキトに出会えて良かったと思う。

おかげで、ちっとはリナを守れる強さを手に入れられたからな」

 

「あたしもよ。アキトと会って、色々とあったけど・・・・結構楽しかったし。

(それに、アキトのおかげで姉ちゃんの機嫌がすこぶる良かったし、お仕置きも半分程度だったし。

・・・・・・・アキトが帰ったら、すぐに旅に出よっと・・・・)」

 

 

後半の思惑は別として、リナはアキトに出会えて本気で嬉しいと思っていた。

ガウリイとて同じ事・・・アキトと出会いは、本当に得難いものだと思っている。

 

 

「ま、今度は堅苦しいこと抜きでさ、遊びに来なさいよ。御飯ぐらいは奢るからさ」

 

「わかった、珍しくリナちゃんが奢るって言ってくれていることだしね、また、来るよ。

それまで・・・ガウリイ、しっかりとリナちゃんを守れよ」

 

「ああ、守りきってやるさ。これから先・・・一生な」

「頑張れよ」

「ああ」

 

 

アキトは、リナとガウリイの二人と固く握手を交わす。

何だかんだ言いつつも、この世界に来てから一番長いつき合いは、この二人なのだ・・・

 

 

「リナちゃん、ガウリイと仲良くね」

「な!?!・・・・・・・わ、わかってるわよ」

「じゃあ二人とも、元気で!」

「ああ」

「アキトもね!」

 

 

リナとガウリイは笑顔で後ろに下がった。これが、二人の別れかたなのだ。

そして・・・今度は、ゼフィーリア王家の二人・・・アナスタシアとアルテイシアがアキトの前に立った。

 

二人とも・・・親子であるはずなのに、並べるとやはり少し年のはなれた姉妹にしか見えない・・・

それが、アキトがこの親子に、最初に抱いた感想であり、最後まで感じた事であった。

 

 

「アキト殿、とうとうこの日がやってきましたね・・・」

「女王様・・・色々とお世話になりました。ティシアちゃんも、世話になったね」

「いいえ、私の方こそお世話になりました。この街が襲撃された時も・・・人質になっていたときも」

「戦いと料理しかできない俺には、それぐらいしかできなかったんですけどね・・・」

「その『それぐらい』ができる人は、貴方以外にはいませんでしたよ。ねぇ、ティシア」

 

「ええ、アキトさんのおかげで、街の被害は少なくなったし、私達も無傷だった。

私達はもちろん、街のみんなもアキトさんに感謝している。心のそこからね」

 

「俺はただ・・・誰かが死んで、悲しむところを見たくなかった・・・それだけなんです」

「アキトさんらしいわ。そういうところが好きなんだけどね」

「ありがとう、ティシアちゃん」

 

 

ティシアは自分の言う『好き』の意味が最後までうまく伝わらなかったことに苦笑する。

これがアキトなのだ・・・と、思っていても、なんだか悔しい。

 

女王も娘の考えを知ってか、同じように苦笑し、少しだけ悲しげな瞳をした。

 

 

「アキト殿・・・貴方の旅立ちを邪魔する気はありません。

でも、これだけは憶えていてください。ここゼフィーリアは、貴方をいつでも受け入れることを。

貴方はすでに、この国のお・・・民なのですから」

 

「途中、妙にひっかかるところがあったような気がしましたけど・・・・わかりました」

「アキトさん!今度は一緒に旅しましょうね!ルナ姉様達と一緒に!」

 

「そうだね・・・機会があれば、色々なところを見てみたいね。

この世界は・・・色々なモノがあるみたいだから・・・」

 

 

アキトはこの世界で出会った様々な人達を思い出す・・・

まぁ、中には変人と呼ばれる人物も居たのだが・・・それでも、アキトには楽しい思い出なのだろう。

思い返すアキトの顔は、柔らかく微笑んでいたのだから・・・

ただし、頬には一筋の冷や汗が流れていたが・・・・・

 

 

「アキト殿。くれぐれもお気をつけて。

貴方に何かあったときに悲しむ人達が、此処にもいることを忘れないように・・・・」

 

「はい、気をつけます」

「アキトさんは騒動トラブルに巻き込まれやすいからね。本当に気をつけてよ」

「わかったよ。ティシアちゃんも、女王様・・・お母さんを助けてあげるんだよ」

「もちろん!」

 

「それでは・・・お二人とも、お元気で」

「ええ、アキト殿もね・・・」

「はい」

「アキトさん!」

「ん?何か・・・」

 

 

アルテイシアに返事をしようとしたアキトの口を、何か柔らかいものが塞いだ・・・

ほんの一瞬・・・軽くふれあう程度の時間だったが、ソレはアキトを完全に沈黙させた。

 

 

「ティ、ティシアちゃん!」

「エヘヘ、私からの餞別!元気でね!アキトさん!」

 

 

悪戯に成功した顔で、早足で後ろに下がるアルテイシアを、アキトは呆然と見た・・・・

一番近くの特等席で、娘とアキトのキス・・・・・・・・を見た女王は、クスクス笑っている。

 

 

「アキト殿は女性に対して油断がすぎるようですね・・・ま、今回は良いのですけど」

「それが母親の台詞ですか?」

「娘の恋を応援しているんです。良い母親でしょう?」

「・・・・俺に訊かないでください」

「フフフ・・・・それでは」

「はい・・・」

 

 

今だ笑いながら後ろに下がる女王に、アキトは呆れた顔をするしかなかった。

結局・・・あの人にはしてやられてばかりだな・・・そう思いつつ・・・

 

そして・・・次に前に出てきたのは、

剣技においては自分を越える戦友のニースと、可愛い妹分であるメアテナだった。

 

 

「アキト兄さん、あっちに帰っても元気でね」

 

 

笑顔でアキトに別れを言うメアテナ・・・

だが、その笑顔は無理して作られていることは誰の目から見ても明らか・・・逆に痛々しく感じる。

 

 

「メアテナちゃん・・・」

 

 

アキトはメアテナの名を呟くと、頭に手を置き、優しく撫でた。

髪を通して伝わるアキトの手の温かさに、メアテナの笑顔は崩れ、本心がさらけ出されてしまう。

 

 

「ア・・・・アキト・・・兄さん・・・・う・・・うう・・・・」

「ごめん・・・ごめんね、メアテナちゃん」

 

 

声を押し殺しながら泣くメアテナを、アキトはそっと抱き、何度も頭を撫でる。

いつまでそうしていただろうか・・・泣き終えたメアテナは、恥ずかしそうにアキトから離れた。

 

 

「ごめんね・・・本当は笑顔で見送ろうとしたんだけど」

 

「謝ることはないよ。本当に悪いのは俺なんだから・・・

自分の身勝手で起こったことを精算するために、この世界に来て・・・

そしてまた、俺は自分のためにこの世界を去るんだから・・・」

 

 

自分が去ることによって悲しんでくれる・・・本人にとっては嬉しいことだろう。

だが・・・悲しませるくらいなら、関わるべきではなかったのではないか・・・

本当なら、自分一人で片をつけなければならないことなのだから・・・

 

この世界を去るべき事が決まっていたのだから、

別れる悲しみを与えないためにも、自分は誰とも関わるべきではなかったのでは?

 

そう思い、アキトは今さらながらも後悔の念にさいなまれていた・・・・

 

 

「アキト、今お前は『悲しませるくらいなら、誰とも会わなかった方が良かったのでは』と思っているだろう」

「・・・・・・・・」

 

 

何も言わず押し黙るアキト・・・

その沈黙にて、ニースは自分の云ったことが当たっていたことを確信する。

 

 

「まったく・・・お前らしいといえばお前らしいが・・・まったく愚かだ」

「・・・・・・・・」

 

「確かに、お前と会わなければ、別れを悲しむ人もいなくなるだろう・・・

それもまた、悲しみを回避する方法の一つだ。否定はしない。

だがな・・・それは同時に、此処にいる者達と出会うことすら否定したことを意味する。

アキト・・・お前は『出会えた』と『出会ってしまった』・・・・どちらを選ぶつもりだ」

 

「・・・・・・そうだな、『別れる悲しみ出会ってしまった』よりも、『巡り会えた喜び出会えた』の方が大切だからな」

 

「なら良い・・・付け加えるならば、お前がいなければ、私とメアテナはこの場に立つこともなかっただろう。

北で死ぬか・・・それとも、破滅の道を歩んだか・・・どちらにせよ、此処にはいないだろう」

 

「俺が居なくても、ルナさん達ならきっと今と同じ結果になっていたさ」

 

「そんなこと無いよ。ルナ姉さんはいつも言ってるもの。

アキト兄さんがいるから、いつも最善の選択肢をとれる。とれなくても、最善を目指せるって・・・・」

 

「俺は・・・・そんなに偉くはないんだけどな・・・・」

 

「謙遜だな。お前は充分に偉大だよ。誰が何と言おうともな。

少なくとも、この場にいる皆はそう思っているはずだ」

 

 

ニースの言葉を皆は笑顔で肯定する。否定する者は誰一人としていない。

女性関係云々を持ち出せば、首を傾げるかもしれないが・・・・・・

 

 

「アキト・・・私はお前と出会い、闘ったことを誇りに思う」

 

 

ニースは柔らかく微笑みながら、アキトに握手を求める。

そんなニースの笑顔にアキトは見とれるものの、すぐに気を取りなおし、握手に応じた。

 

ニースの手は、皮膚が厚く傷が多い・・・お世辞にも、一般的な女性の手とは言えないだろう・・・

だが、アキトにはそんなニースの手を否定することはない・・・むしろ、好意すらもっている。

 

 

「また会おう」

「ああ。また!」

 

 

固く握手するアキトとニースの手の上から、別の手が重ねられ、あたたかく包み込む。

 

 

「アキト兄さん!また会おうね。今度会うときまで、お料理とか一生懸命頑張るから!」

「ああ、楽しみにしているよ、メアテナちゃん。今度会ったら、是非食べさせてね」

「うん!!絶対にね!!」

 

 

メアテナは今度こそ、微笑んだ顔でアキトに別れを告げる。

ニースも、そんなメアテナと同様、優しく微笑みながら、後ろに下がった。

 

そして・・・最後は・・・アキトがこの世界に来てからもっとも世話になり、

そして繋がりが一番強かった者・・・・ルナ・インバースだった。

 

 

「ルナさん・・・ルナさんには本当にお世話になりました。

おかげで、俺がこの世界でやるべき事ブラック・サレナの破壊もできました。ありがとうございます」

 

 

アキトはルナに感謝と礼を述べる。

そのアキトの礼を、ルナは首を横にふり、静かに否定した。

 

 

「そんなこと無いわ、アキト君。みんなも言ったけど、私達の方こそアキト君のお世話になったわ。

女王様が言ったとおり、襲撃事件の時も・・・そして、北での時も。

アキト君には直接関わりがなかったのに、一生懸命皆を助けてくれた。

御礼なら、私の方こそ言わなくちゃならないわ。本当にありがとう・・・」

 

「それを言うのなら、俺と関わったばかりに覇王ダイナスト一派と闘い、

危険な目にあったルナさん達の方が割に合いませんよ・・・・」

 

「あれは良いのよ。遅かれ早かれ、ああなっていたでしょうしね。

むしろ、アキト君がグロウを引きつけておいてくれた分、やりやすかったかもしれないわ。

私とアキト君、お互いが迷惑をかけた。だから・・・おあいこ」

 

「でも・・・」

「私は好きでやったの。皆もそう、アキト君が好きだから手伝った。それじゃあダメ?」

「・・・・・・・・わかりました」

 

 

アキトはなおも何か言おうとした・・・が、ルナの言葉と微笑みに、なにも言えなくなった。

 

 

「それで?ディアちゃん達の準備は良いの?」

「ええ、良いはずです。なぁ、ディア、ブロス」

「準備オッケーだよ!」

『演算はとっくに終わっていたはずなんだけどね。ディアの我が儘さえなかったらもっと早かったけど・・・』

「うるさいわね!あんな傷だらけで帰られないじゃない!」

 

 

そう・・・ディアは、ブローディアの装甲の再生を優先させていたのだ。演算よりも・・・

理由は・・・本人が言っているとおり。女の子らしいといえば、女の子らしい理由ではある・・・

 

 

「なら、私はディアちゃんに感謝かな?おかげで少しでも長くアキト君と一緒にいられたし」

「どういたしまして、ルナ姉」

 

 

ディアは得意げな顔で胸を張っている。

アキトとブロスの男性陣は、そんなディアに重い・・・重〜い溜息を吐いた。

 

 

「ルナさん。本当にありがとうございました。

右も左もわからない俺に色々と便宜をはかってもらって・・・感謝しています。

俺は・・・ルナさんと出会えて、本当に嬉しかったです」

 

 

アキトはルナに向かって微笑んだ。心の底から、嬉しいという気持ちを込めて。

作り笑いではなく、自然とでた素直な笑顔に、ルナは心を奪われ・・・そして、

 

 

「私もよ。アキト君と出会えて、本当に嬉しいわ」

 

 

ルナも、実の両親さえ見たことがないような素直な笑顔を見せた。

 

 

「アキト君、元気でね」

「はい、ルナさんも・・・これから色々と忙しい・・・・・・・・・・でしょうけど、お元気で」

 

 

アキトは右手をさしだし、握手を求めた。

ルナも応じて、右手で握手を交わした。

 

握手が交わされた瞬間、二人の身体が一瞬だけ赤い光を放つ。

二人の体内にある赤竜の力が呼応したのだ。

 

 

ルナと手が放れると、アキトは名残惜しむところを見せないためか、

きびすを返して、ブローディアの搭乗口まで一足飛びに上がる。

 

 

「そうだ」

 

 

今まさにブローディアに乗り込もうとしていたアキトは、

何かを思いついたのか、振り返ってルナを見た。

 

 

「ルナさん、ずっと前の・・・勝負の賭はまだ有効ですか?」

「え?ええ、覚えている限りずっと有効だけど?どうかしたの?」

「だったら・・・お願いがあるんでけど・・・」

「なに?」

「いつか・・・必ずまた来ます。その時は・・・・歓迎してくれますか?」

 

 

ほんの少し・・・・本当にほんの少し不安を抱いているアキトの問い・・・・

それを感じ取ったルナは、そんな不安を吹き飛ばすかのように明るい笑顔を見せる!

 

 

「もちろんよ!!」

「そうですか・・・・良かった」

「じゃあ、アキト君・・・またね!!」

「はい、また!必ず!!」

 

 

今度こそアキトはブローディアに乗り込み、シートに深く座った。

 

 

「帰ろう、ディア、ブロス・・・俺達の、あの世界へ」

「『・・・・・・・・・・』」

「どうかしたのか?二人とも」

 

「い、いや、なんでもないよ〜」

『そうそう、なんでもないって』

「??・・・・・ならいいんだが・・・・」

「さぁさ、早く行こうよ、アキト兄!もうジャンプフィールドは張ってあるしさ!」

「あ、ああ・・・・じゃぁ、行くぞ!ジャンプ!!」

 

 

ゼフィーリア城の中庭より、虹色の光ボソン粒子と共に、ブローディアは消え去った・・・

 

 

 

 

 

 

その様子を、ルナはただ黙ってみていた・・・虹色の光ボソン粒子が消え去った後でも・・・・

 

 

「姉ちゃん・・・・大丈夫?」

 

 

いつまでも中庭の一点を見ているルナに、後ろから近づいたリナは(恐る恐る)声をかける。

もしかして泣いているのでは?と思っていたが、振り返ったルナは予想外に微笑んでいた。

 

 

「私なら平気よ」

「ならいいけど・・・でも、良かったの?姉ちゃん、アキトを行かせて・・・本当は一緒に行きたかったんじゃぁ・・・」

「アキト君を引き止めることはできないわよ。でも、そうね・・・できるなら、私もついて行きたかったわ」

 

「だったらついていったら良かったじゃない。姉ちゃんなら、アキトだって拒まなかったと思うし・・・

(その方が、私の今後はとっても安泰なんだけど・・・・・)」

 

 

リナの本音を察し、ルナは苦笑しつつも、ゆっくりと首を横にふった。

 

 

「この世界を放っておいて、ついていこうとすれば、アキト君はきっと悲しむ・・・ううん、怒るわ」

「この世界って・・・・何か問題があったっけ?」

 

覇王ダイナストが滅んで、神と魔のバランスは崩れているのよ。

このままだと、神魔戦争再来になるわ。それも、泥沼の・・・ね」

 

「神族だって馬鹿じゃないんだからさ、そんな事は・・・・」

「だといいがな」

「どういうこと?ニース」

「確かに、三柱の神火、地、風の竜王は馬鹿ではないが・・・配下までそうだとは限らない・・・ということだ」

 

「そういうこと。優勢だからって戦争を仕掛けても泥沼な状況になるだけ・・・

そうなれば、人にも被害は当然及ぶ・・・被害が及んだ人間は神や魔を恨む・・・

もし、その中に魔王の欠片を宿した人物がいれば・・・・どうなるかは、リナも知っているわね」

 

「確かに泥沼・・・というか、神族が破滅の引き金を引いてるし・・・」

 

「そうならないために・・・私は色々と動く必要がある。アキト君も言っていたでしょ?

『この後、色々と忙しいけど』ってね」

 

「あれって、そういう意味だったんだ・・・」

「そういうこと、それさえ済めば、私は晴れて自由って事」

「そんなに後に自由になっても・・・アキトが来るまで、姉ちゃんはずっと待つの?」

「まさか。こっちから会いに行くのよ」

「どうやって?異世界に渡る術なんて無いし」

「とりあえず、知識の奔流である異界黙示録クレア・バイブルでもあたってみるわ。無ければ作ればいいだけだし」

「でも、アキトの世界なんてどこにあるのやら・・・下手すればまったく別の世界に出ちゃうんじゃないの?」

 

「それは大丈夫。アキト君の赤竜の力の波動を辿ればいいだけだし。

元々、私の中にあった力が分化したものだから。世界を渡る際に目印になるわ」

 

「ま、まさか・・・そうなるのを見越してアキトに力を渡したんじゃぁ・・・・」

「まさか。気のせいよ」

 

(いや、絶対に確信犯だ。すでにあの時北の一件から、こうなることを見越してたんだ・・・・)

 

 

リナの疑惑に満ちた視線に、ルナは不敵に微笑むことで対抗する。

 

 

「さ、そうと決まったらさっそく行動!とりあえず・・・眷属が全滅している空竜王エア・ロードや、

水竜王アクア・ロードに並んで温厚で知られる地竜王アース・ロードは後回しにして・・・・

世界の平和の番人を自称する火竜王フレイム・ロードの眷属が問題よね。頭固そうだし・・・

いや、それよりも魔族の方を説得してからの方が早いか・・・

ついでに、ゼラスさんの所でゼロスでも借りれば、色々と役にたちそうだし」

 

 

一人でうんうんと納得していたルナは、皆の方・・・正確にはニースやメアテナ、リナやガウリイを見る。

 

 

「で?どうする?私はもう行くけど・・・ついてくる?」

「ああ、是非ともついて行こう」

「私も!アキト兄さんに会いに行くため頑張る!!」

「ありがとう、ニース、メアテナちゃん。リナ達は?」

「姉ちゃんのために一肌脱ぐわ。偶には姉ちゃんに恩を売っておかないとね」

「リナが行くなら、当然俺もだな」

 

「二人とも、ありがとう。女王様、ティシア、後のことは頼みます

アリスにエル、ガイウスとレニス、貴方達もね」

 

「アタイとエルはついていくよ」

「そうです。私達も微力ながらお手伝いいたします。女王様の許可もありますし」

 

 

エルネシアの言葉に、アナスタシア女王はニッコリと微笑んだまま頷いた。

 

 

「いいんですか?」

「いいのよ。次期王のためですもの。頑張ってきてね」

「はい」

「私は行けないけど・・・私の分まで頑張ってね、ルナ姉様!」

「ええ、わかったわ」

 

 

「じゃぁ、みんな行きましょうか!」

 

『おぉーーっ!!』

 

 

 

女性達の声が、雲一つ無い青空に響いた・・・アキトに届けといわんばかりに・・・

 

それは、新たな時代の到来を報せる鐘の代わりだったのかもしれない。

 

 

 

事実・・・これより後、魔族と神が人の歴史の表舞台に現れることはない。

人と魔、そして神の関係は今まで通りだったが・・・神と魔が表立って争うことは、金輪際なかった。

その裏に・・・数人の女性達が動いていたことは・・・言うまでもない。

 

その後の彼女達が異世界に渡り、アキトに会えたのか・・・それは、また別の物語・・・・・

 

 

 

 

――――― 完 ―――――

 

 

 

―――――あとがき―――――

 

 

どうも、ケインです・・・ここに、『赤き力の世界にて…』の最終話を送らせてもらいます。

 

色々と納得行かないところもあるでしょうけど・・・こういう終わり方となりました。

読者の方々から、アキトは帰さない方がいい・・・と色々といわれましたけど、こういう形にしました。

 

仮に、アキトが帰らずに、この世界で安穏とした日々を過ごす・・・それは確かに、幸せかもしれません。

しかし、残されたルリ達はどうなるのでしょうか・・・

帰ってくると言ったアキトを待ち続ける・・・でしょうね。いつまでも・・・

全員が全員・・・というわけではないでしょうけど、少なくとも、ルリとラピスは死ぬその時まで待つでしょうし・・・

たぶんですけどね・・・でも、もしそうだったら・・・悲しすぎると思ったんですよ。

私は基本的に、不幸な人達を作りたくないんです。我が儘なんですけどね・・・

 

とにかく・・・これでアキトは、悠久の世界へと跳びました。

(最後にディア達がどもっていたのは、元の世界に帰れないことを知っていたからなんです・・・)

 

それから後は・・・まだ未定です。一応、棄てプリを書こうかと思っていますけど・・・

出現位置的には、クリスとパシフィカ達が初めて出会った時期あたりで・・・

もうすでに、ちょこっと書いていたりします・・・

以前、入院した際、励ましなどのメールをくれた人にはあげたんですけどね・・・短すぎて迷惑だったかも・・・

 

 

それと・・・今、悩んでいますが・・・今回でキリがいいので、投稿を暫く停止しようかと考えています。

色々と考えたいこともありますし・・・戦闘シーンやらなんやら・・・

長すぎるだの何だの・・・それは好み次第なので、仕方がないと思います・・・私だって、好き嫌いはありますから。

しかし、ことある事に言われ、その度に書く気が無くなるのであれば、

思いきってやめるのも手かと考えまして・・・思案中ですが・・・

 

それでは最後に・・・K・Oさん、15さん、1トンさん、Dahliaさん、haruさん、K−DAIさん、TAGUROさん、

            tomohiroさん、ナイツさん、ホワイトさん、やんやんさん、逢川さん、下屋敷さん、外川さん、

            狛犬さん、時の番人さん、堕竜さん、大谷さん、巽さん、覇竜王さん、遊び人さん、

            黒川はじめさん、ノバさん、Dark−Asasssinさん、零さん、GPO3さん。

 

感想、ありがとうございます・・・

 

それでは・・・

 

 

 

 

 

代理人の感想

大団円・・・・というにはやや足りませんか。

ハーフ・ハッピーエンドというところですね。

ですが当人たちにとって決して悪い終りではなかったと思います。

 

 

 

・・・どーせ追っかけてくんだろしなw