赤き力の世界にて

 

外伝「アキトのアルバイト日記」・第四話

 

 

 

 

○月*日(晴れ)

 

《アルバイト十八日目・・・・の後・・・・

俺はまた城に行くこととなりアルバイトを早めに切り上げた。

以前にも書いたかもしれないが、俺と王族が関わろうとすると何かしら良くないことが起こる。

            運 命 的 な
それはもう 断言できる ぐらいに・・・・

結果は・・・思い出したくない・・・何故あんな事に・・・・》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はめられた・・・・

 

                    心の叫び
その日、最後の俺に気持ちは正にその一言につきた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正午を大きく回り、遅い昼食を食べ終わった人達が帰っていった。本日は先程のお客で店じまいとなる。

                 アルバイト二人
さすがの店長もルナさんと俺が抜けたら

夕方から夜にかけてのピークを捌くにはちょっと辛いからだそうだ。

 

俺とルナさんは女王に呼ばれていた。

何でも近隣の王族やらその縁類等が用事でこの国に集まったらしい。

その人達をもてなすパーティーの席に、ルナさんと俺を呼んだらしい。

俺としては余り目立ちたくはないのだが・・・・

 

何故俺を呼んだのか?・・・・疑問が残ったのだが、ルナさんの

 

「この前のお詫びで呼ぶんじゃないのかな?」

 

との即答によって疑問は解決した。何となく頭の片隅に引っ掛かりを覚えたが気にしないでおいた。

 

しかし俺は正装などは持ってはおらず、

聞かされたのも今朝とあっては服は当然間に合うはずもない。

その事を指摘し、パーティーを辞退しようと思ったが、またも

 

「大丈夫!城にはかなりの衣装があるからそれを借りればいいわ」

 

とのルナさんの一言によって問題は解決した。

 

俺は断る理由を一つ一つあげていったが、ことごとく潰されていき、

俺もパーティーに参加するはめになった。

 

 

 

 

こういった行事に俺が参加すると何かしら騒ぎが起きてしまうので遠慮をしたかったのだが・・・・

こうなってしまっては騒ぎが起きないことを祈るだけだ。

              もてあそ
少なくとも俺を 弄 ぶのが好きな運命の神には祈りもしないが・・・・

 

 

 

 

 

俺は今現在、衣装室にいる。城の衣装室だけあって様々な衣装があった。

見渡す限り服、服・・・・これだけあったら手入れが大変だろう。

俺は何となく場違いな感想を抱いた。

 

 

そして俺の前に置かれた一着の服。

黒を基準とした礼服。派手ではない程度に飾り等があり、

かなりいい仕立てなのが素人である俺の目から見てもわかるほどだ。

 

侍女達がさも大量にある服の中から選びましたと言わんばかりに持ってきたのだが・・・

まるでオーダーメイドみたいにサイズがピッタリすぎるのは何故だ・・・・

 

(こうして考えていても仕方がない・・・とにかく着替えよう)

 

しばらくして着替え終わった俺は外に控えていた侍女の人達に

パーティー会場までの案内を頼もうとして衣装室から出た。

 

「「―――――!!」」

 

俺はすぐそこに控えていた侍女に声をかけたのだが・・・・

何故か二人とも惚けたような顔をして返事をしてくれない。

 

(な、何だ!?俺の格好が変なのか?やっぱり似合っていないのか?)

 

俺は多少、思案に暮れていた。

さすがに、と言うか先に起動し始めたのは侍女の二人の方だった。

 

何故か頬を赤くしていたのだが・・・最近風邪が流行っているのか?

 

 

 

 

 

試着室より歩くこと約15分。俺はパーティー会場に案内された。

 

この部屋もかなり大きく、豪華・・・の一言につきた。

しかし、行き過ぎた華美な感じはなく、清楚な落ち着きが俺の第一の印象だ。

彫刻品などの配置にも、ところ細かい気配りが効いている感じがする。

このあたりでこの城の主たる女王の性格が出てくるものなのだろう。

 

人が一番目につくところを観察することによって、その家の主の性格は如実に出てくるものだ。

 

 

会場には既にかなりの人がおり、俺は何となく視線を感じ居心地が悪かった。

 

(確かに俺がこんな所にいたら目立つかもな・・・・孔雀の中に雀がいるって感じで・・・)

 

俺は何時までも入り口近くにいても仕方がないと思い、

女王を捜すべく会場の人混みの中に入っていった。

 

(とにかく女王に招いてもらったことの感謝の言葉を述べ、早めに退場するのが良いだろう)

 

本来なら席にでも座っていそうなものだが、

女王はその様なことを嫌っているらしいとの会場警備兵の言葉・・・俺はその事を聞き苦笑した。

無意味にふんぞり返っている権力者に比べたらはるかに善い。

 

しかし護衛という観点から見ればこの上なく不用心に思えるが・・・

この会場周りの気配からするとかなりの手練れが隠れている。

 

(少なくとも外に40以上。そこそこの腕だな・・・・その中の半分は裏方か・・・)

 

枝織ちゃんや北斗なら単独突破は可能・・・・というか楽勝だな。

北辰なら・・・最終決戦時はともかく、生だった頃の戦闘力で考えると・・・

                                                     犠牲
中のあの四人を相手に構える事を考えると・・・六連のおまけは必要か・・・

 

(いかんいかん・・・・思考が危ない方向に向かっているな・・・・)

 

とにかく女王を探す為に氣を探ろうとした。

女王の側にはあの四人がいつも控えているだろう。

いつもではないにしろ、最低二人はついていることを予想し俺は気を探る。

 

あの四人とルナさんは多少距離が離れていてもわかる。

たとえ俺がこの会場の端にいたとしても感じることができるだろう。

特徴のある気配を放っているからよくわかる。

あの女王直属の護衛に選ばれるだけはある。

 

そこで俺は予想もしなかった気配を二つ感じた。

 

(何で二人がこの場に居るんだ?)

 

俺は意外に思い、そちらに向かって足を進めた。

そこには、優雅なパーティーを根底から覆すような光景が見られた。

 

 

「うーん!なかなかいい味ね!さすがは城のおかかえシェフ!」

「そうか?店長やアキトの作ったヤツの方がかなりうまいと思うが?」

「ここではいいっこ無しよ!あ、こらガウリイ!それはあたしのローストチキンよ!」

「なにいってやがるリナ!早い者勝ちだ!それにお前さっき俺のキープしてた肉とっただろうが!」

「ふ・・・・何の事やら?」

「そんな事いう奴は・・・・こうだ!」

「ああ!あたしのエビさんを!おのれガウリイ!ていっ!!」

「お前なんてゆうことを・・・・こうなったら!!」

「あたしの分まで食べるな〜!!」

 

 

俺はしばらくの間声をかけるのを躊躇われたが・・・

勇気を振り絞ってその大食いコンテスト?の真っ只中に踏み込んだ。

 

(あうっ・・・注目あびてるよ・・・)

 

「やあリナちゃん、ガウリイ。二人も呼ばれたのかい?」

「ん?アキトか。まあそんなところだ」

 

ガウリイは一時食べるのを中断して俺に返事をした。隣のリナちゃんも中断している。

 

「姉ちゃんに呼ばれてね。帰ってきたのだから女王に顔を出すぐらいはしなさいだって。

それよりもアキト・・・・なかなか・・・ううん、かなり似合ってるわね」

「ありがとう。リナちゃんとガウリイも似合ってるよ」

「そうか?こんな固ッ苦しいのはどうも性に合わないんだが・・・・」

 

そうは本人は言うモノの、実際なかなか様になっていた。

立ち振る舞いさえ気をつければこの中に混ざっても不思議には思われないだろう。

ガウリイの格好と言えば蒼が基準となっている服だった。

細かいところまで丁寧に仕上げられている。どう見てもかなり値が張るだろう。

 

リナちゃんの方はと言えば・・・・

 

「うっさいわね!嫌味のつもり!!」

「そんなこと無いよ。本当に似合ってるよ」

「・・・・・・・嬉しくとも何ともない・・・・

こんな事だったら鉄球もって朝までマラソンしてた方がまだましだ・・・・」

 

そんな事を言ってリナちゃんはさめざめと泣く。

問題となっている格好はと言えば・・・・

魔導士風のローブ(後に聞いたところそれが正装らしい)を着ていた。

ただし、色はピンクだったが・・・・何がそんなに気に入らないのか俺にはいまいちわからない。

女の子らしくて善いと思うが・・・・そういやラピスの髪の色と一緒だな・・・・

 

ちなみに鉄球は外されている。その所為かいつもより動きが早い。

                                              食べ物の捕獲作業
どうやら筋力も鍛えられていたみたいだな・・・・ナイフとフォークがいつもより素早い。

 

 

「こうなったらやけ食いよ!付き合いなさいガウリイ!!」

「よっしゃぁ!とことん付き合うぞリナ!!」

 

そう言って二人は空き皿を加速的に増やしていった。

既にギャラリーからは拍手やお捻りなどが飛んでいたりするが・・・・

 

 

俺は二人を残したまま、当初の目的であった女王の元に向かった。

この二人の食事を止めることは俺には不可能だ。

 

 

 

 

 

ある程度まで近づいていったら女王の方から声をかけてきたくれた。

                                        見習いコック
一国の主に話しかけるのだ。本来ただの 一般人 である俺は話しどころか会うことすらなかったはず・・・

その関係上、挨拶というのはどうもやりづらいものがあったのだが・・・・

相手から話しかけてくれたので杞憂に終わった。

 

 

「ようこそいらっしゃいましたテンカワ殿。楽しんでいただけたでしょうか?」

「はい。でも俺は庶民なのでこう堅苦しいのはちょっと・・・・」

「そうでしょうか?でも私から見れば貴方はこういう場に馴れている・・・・・・

いえ、馴れるべき人物に見えますが?」

「それこそ買い被りですよ」

 

俺は本来、この様な事に関わることのない筈の男だ。

必要に迫られて体裁は取り繕ってはいるが、本来の性質は変わるモノではない・・・と思っている。

誰が何と言おうと俺は小市民だ。ちょっと交友関係と戦闘力が異常なだけだ。

うんうん。その通りだ。

 

「・・・・・・でも・・・・貴方が仮にそういう人物だった場合、

貴方の意志はともかく、周りの人は放ってはくれないでしょう・・・」

 

その時俺の脳裏に出てきたのは、ルリちゃんでもなく、ユリカでもない。

ましてや会長秘書でもないし、大企業の一人娘でもない。

裏で策略を巡らそうとしている何処かの王妃のニヤリとした顔だった。

 

ゾクゾクッ!!

 

俺は体中の鳥肌が立つのを感じた。

 

「はははっ!そんな事はありませんよ。そんな事は・・・」

 

俺は乾いた声で微笑み返すのが限界だった。

 

                    いとま
「では!俺はこれでお暇します」

 

俺は何だかこれ以上話をしていたら泥沼にはまるような気がしたので早々にこの場を離れようとする。

 

「ちょっと待ってくださいテンカワ殿」

「はい、何でしょう?」

 

女王は俺を呼び止めた。まだ何かあるようだが・・・

どうやら用があるのは側にいた四人とその端に来た宰相らしい。

 

「この者達が話があるというので・・・

この四人は護衛上、私から離れるわけには参りませんので呼び止めたわけです」

「そうですか」

 

俺と女王の話が終わったのを見計らって、宰相が俺に話しかけてきた。

 

「初めましてテンカワ・アキト殿。私はこの国の宰相を任されているラッセルと申します」

「どうも、でも初めてではありませんね」

 

        三馬鹿
先日の三人組の件でこの人と俺は出会っている。挨拶をしたわけではないが・・・

 

「はい。あの時ははろくな挨拶も出来ず申し訳ありません。

本来は私の方から謝りに行かなければならない方が多いのでしょうが、

なにぶん自由な時間がままならない身ですので・・・」

「そのお気持ちだけで十分です。俺よりも他に迷惑になった人が大勢いるでしょう?」

「はい。そちらの方は信頼ある部下に任せております。

私自身もできる限りの事は致します」

「頑張ってください。もう二度とこんな事がないように・・・・」

「はい」

 

ラッセル宰相は俺に向かって頭を下げると人混みの中に消えていった。

本来は挨拶回りなどでかなり忙しいのだろう。

その時間を割いてまで謝りにくるということはかなり気にしていたのだろう。

 

そう考えていると、今度は黄色い礼服を着ているかなり大柄な男が俺の前に立った。

全身から男臭さが漂ってきそうな感じがする。

ただそれはマイナス方面ではなく、頼りがいや力強さと言ったプラスになる印象を感じた。

 

「テンカワ殿。先日は私の部下がかなり迷惑をお掛けした」

「部下というと・・・地竜騎士団の?」

「ええ、地竜騎士団・団長ガイウス・アークレストです」

「やはりそうですか・・・どうでもいいですけど喋り方無理してません?

普通に喋ってもらって結構ですよ」

 

どうも違和感がある。無理矢理というか押し殺しているというか・・・・

 

「そうかい?いや〜すまんな。どうも俺はこういう席は苦手でな・・・」

 

その気持ちは分からない訳ではない。俺もこういう席は苦手だ。

 

「改めて、俺の部下が迷惑かけたようで済まないな」

「いえ、詫びは先程もらいましたし、

二度とこういうことは起こさないようにさえしてくれればもういいです」

 

そういわれたガイウスさんはニカっと笑った顔になり、

 

「おう、部下の奴をキッチリ躾けてやるぜ!

良かったら訓練所の方にでも顔を出してくれや。騎士団全員で歓迎するぜ!

まあちぃぃっとばかし手荒になるかもしれんがな」

「ははは、まあ暇が出来たら行きます」

「おお、楽しみにしてるぜ。じゃあまたな」

 

と言ってガイウスさんは女王の後ろに戻っていった。

 

こういう人の言う躾ってかなり厳しいんだろうな・・・・

俺は地竜騎士団の皆さんに心から同情した。

 

(恨むならあの三人の親を恨んでくれ・・・・)

 

 

今度はガイウスさんと入れ替わるように残り三人ともやって来た。

おそらく先日の事があるため二人で話をするように気をきかせたのだろう。

 

「失礼いたします」

 

青い魔導士のローブを着た女性が鈴を転がしたような声で俺に声をかける。

 

 わたくし
「 私 、水竜騎士団の長をつとめているエルネシア・レイクエンドと申します

テンカワ様。以後お見知り置きを」

 

黒曜石のような瞳に流れるような長い黒髪をした女性が自己紹介してくる。

 

「そんなに堅いような話し方しないで下さい。いつも通りで結構です。エルネシアさん」

「私はいつもこの様な話し方ですので・・・それよりもテンカワ様

私のことはエルとだけ呼んで下されば結構ですので・・・」

「いや、しかし・・・」

 

どうも様付けで呼ばれると最近まで忘れていた幼なじみを思いだしてしまう。

そういえば彼女も最後まで様付けだったよな・・・こういう人って頑固なのか?

 

「ムダムダ!エルの生真面目は今に始まった事じゃないし」

 

 

横から話しかけてきたのは深緑色の服を着た少女だった。

以前であったときは青い髪をポニーテールにしていたが今は後ろに流していた。

彼女の鳶色の瞳はまるで輝いているかのように感情をめまぐるしく映し出していた。

受ける印象は悪戯好きな猫といった感じか・・・

ただし時には冷酷な豹へと変化するであろう事は予想に難くない。

 

 

「アタイはアリス・ファールウィンド。空竜騎士団をまとめている。よろしくアキト!」

 

彼女は親しげに俺を名前で呼んでくる。

こうも邪気のない顔でいわれるとつい何も言えなくなってしまいそうになる。

 

「ああ、よろしく。アリスちゃん」

「ちゃん!?・・・噂に聞いていた通りだね・・・

(それにあの笑顔・・・油断してたら私も危なかったかも・・・・)」

 

一体どういう噂なのか一度じっくり教えて欲しいような気がする・・・

 

「まあいいや。それにしてもエルが愛称で呼ばせるなんて珍しいな・・・」

「そうなの?」

「うん。そう呼んでいいって言ってるのは私達四人の他にアナスタシア女王、それに王女・・・・

後は・・・ルナ姉とリナぐらいかな?とにかく両手で足りるくらいだと思うよ。かなり気に入られたみたいだね」

「う〜ん・・・・そうなのかなぁ??」

「そうなの」

 

アリスちゃんは何が納得いったのか一人で肯いている。

 

「あの?・・・・迷惑でしたか?」

 

エルさんが何か悲しいような顔で俺を見ている。

別に困るようなことはないのだが・・・

少し前に闘った相手にエルという名前があったので少し引っかかっているだけなのだが・・・・

こんなに悲しいような顔をされたらどうも弱ってしまう。

 

「いえ、そんな事はありませんよ。エルさん」

 

とりあえず心の葛藤を顔には出さず、俺はエルさんに話しかける。

 

「そうですか・・・・良かった」

 

エルさんはホッとしたような顔をした。

それよりも・・・・何が良かったんだ?

 

「そろそろいいか?俺はまだ自己紹介してないんだが・・・・」

 

二人の端にいた赤い服を着た男性が話しかけてきた。

                      帯剣
この四人の中で唯一、武装した人物だ。

                                        暗 器
といってもアリスちゃんは見えにくい所に物騒な物を持っているみたいだが・・・

 

「そういえばあんた居たっけ?」

「そういえば居ましたね?」

「最初から居るよ。ひどいな二人とも・・・」

 

男性は苦笑して二人の辛辣な言葉を受け流す。

 

「二人の事はおいといて・・・どうも初めまして。

俺は火竜騎士団・騎士団長、レニス・オルラング。どうぞよろしく」

 

そう言ったレニスさんは俺にむかって握手を求めてきた。

俺もそれに応えるべく握手を返した。

 

「こちらこそよろしく。ところでちょっといいですか?」

「何だ?答えられることなら何でも答えるけど?」

「それぞれ自己紹介してもらったか騎士団なんですが、何で四つもあるんですか?

それにレニスさんだけ帯剣しているし・・・」

 

俺は疑問をぶつけてみた。

まあ大体団長を見ていれば分かるようなモノだが聞いておくことにこしたことはない。

 

「ああ、それね。それは役割別になってるんだ」

「役割ですか。長の特徴そのままということですか?」

「はい。テンカワ様のお思い通りだと思います。

私が長をつとめている騎士団なら魔導士が中心となっております」

「みんな『水竜騎士団』じゃなくて『水竜魔導騎士団』か、ただの『魔導騎士団』って呼んでるんだけどね。

ちなみにあたしの所は諜報活動専門。名称は表向きそのままだけどね・・・」

 

まあそうだろうな・・・

いくら何でも諜報活動している者達が看板掲げてやるわけにはいかないからな。

 

「そして俺の所はこの都市の治安、及びこの国の町、街道といった所の治安活動が中心だな。

国境警備もうちの管轄になるな。まあ結構地味な仕事だ

名称の方は主にそのまま『地竜騎士団』だ。まあ偶に『地竜治安騎士団』なんて言うときもあるがな」

 

ガイウスさんはこちらの話を聞いていたらしく、自分の騎士団の話をしてくる。

女王は側で楽しそうにこちらの話を聞いている。

 

「その地味な仕事がしっかりする事でこの国の基盤が安定するんですよ。

         国を主に守る仕事
むしろ『縁の下の力持ち』なんですから誇ることじゃないですか」

「はっはっはっ!一本とられたな。しかしそう考えてくれるのは嬉しいな。ありがとよ」

「いえ、でしゃばってすみません」

「いいっていいって!面と向かっていいたいこと言ってくれる奴が少なくてな。

むしろ新鮮な感じがして面白いぜ」

 

ガイウスさんは本当に楽しそうに俺の背中を叩いてくる。

かなり痛いんですけど・・・・

 

                        ずうたい
「あんたがそんなにでかい図体しているから気圧される奴が多いのよ。

情けないったらありゃしない」

「そんな事を言っては駄目ですよ、アリス」

「いいって!本当の事じゃんか」

「あの〜・・・俺の騎士団の説明したいんだけど・・・いいかな?」

「ん?まだしてなかったの?」

「そう言えばまだしてませんでしたね」

「お前らの話しに気圧されてな・・・喋る機会がなかなか掴めなかったんだ・・・」

 

完全に手玉に取られているな・・・

ここでも女性の方が強いみたいだな・・・その気苦労は痛いほど分かるよ・・・

 

「気を取り直して・・・・俺の騎士団は国の重要人物の警護、及び戦争時における遊撃等が主な仕事だ。

この場でも帯剣をしているのはその為だ。

名称は『火竜近衛騎士団』の方が有名かな?

騎士団員数が一番少ないのも俺達の騎士団だ。まあ、格好良く言えば少数精鋭といった処だ」

「個人の白兵戦における戦闘力で言うならば確かにそうなりますね」

 

その時、話を聞いていた女王が口を開いた。

 

「でも力の使う時を間違ったらどんな力でも役に立ちませんよ・・・・

四人がお互い足りないところを補いあう。それが大切なことですからね」

「「「「はい!」」」」

 

こうやって女王は時々認識を改めさせているのだろう。

どんな人間でも激務に追われていると最初に気持ちを忘れがちになる。

偶にこうやって思い出させる事が皆をまとめている者の務めなのだろうな・・・・

 

「話が長くなってしまいましたね。

最後にテンカワ殿に紹介したい者がいたのですが・・・・」

 

女王は周りを見回す。しかし探している人物を見つけることが出来ず、

結局は俺に視線を戻したが・・・・

 

「どんな人なんですか?」

「私の娘です。名はアルテイシアといいまして・・・

今年で十六になったばかりですが・・・」

 

娘!?しかも十六!?

俺はてっきり女王は二十代中頃か後半だとばかり思っていたのだが・・・・

レナさんといい女王といい・・・・

この国の母というのは若作りな人が多いのか・・・

それともそう言う人との巡り合わせが多いのか・・・判断に悩むところだな・・・

 

「つかぬことを聞きますが、レナさんとはお知り合いですか?」

「??幼少の頃からのつき合いですが・・・何か?」

「いえ、特に何も・・・・」

 

といいつつも、なんとなく納得してしまった。

若くみせる秘訣でもあるのだろうか?なんとなく聞いてみたいような気が・・・・

 

「ルナちゃんと一緒にいるはずですが・・・・」

「ルナさんならあっちの方にいますよ」

 

俺はそう言って人混みの中を指差す。

                                          神を宿した者の
確かに其方からルナさんの気配を感じる。常人離れした気配だから間違えようがない。

 

「そうですか、ちょっとついてきて貰えませんか?

今、機会をのがすといつ会わせることができるか分かりませんから」

「はぁ・・・・別に無理してまで会わなくても・・・」

 

確かに王族という身分上、会う機会は確かにないかもしれないが、

裏を返せば会う必要がないとも言えなくもない。

ましてや詫びという形で出会っているだけなのだ。挨拶どころか会う必要があるかどうかも怪しい。

 

「いいえ。テンカワ殿には是非会って貰いたいのです!」

 

女王はきっぱりと断言してくる。

何か怪しい・・・・何か企んではいないだろうか?

 

「なかなか面白い殿方と会えたのです。手放すのは惜しいですからね・・・・」

 

                  とんでもない
(・・・・・今、ボソッと恐ろしいこと言ってなかったか・・・・)

今確認しておかないと取り返しがつかなくなるような感覚に襲われ、俺は女王に問おうとした・・・

 

「あの・・・今なんて言いまし「いました!ルナと一緒にいるみたいですね」

 

俺の質問は女王のわざとらしい(俺はそう感じた)大きめの声によってかき消された。

 

「おや?どうやら厄介な相手と話しているみたいですね・・・・」

 

俺はその厄介な話し相手というのに興味を駆られ、

アルテイシア王女とルナさんの居る方向に向かって意識を向けた。

 

 

 

 

 

 

そこにはルナさんと一緒に、一人の女性と男が居た。

女性の方は母親である女王とよく似た顔立ちをしていた。つまりは美人だということだ。

違いといえば髪の色が女王は金髪だったのに対して、王女は見事な銀髪だということだ。

瞳の色も同じ緑だがこちらはライトグリーンと言った感じの色合いだった。

二人並べば、少し年の離れた姉妹で通るかもしれない。

 

男性の方は二十代後半。ともすれば三十路に入っているだろう。

世間一般で言うところの『そこそこのハンサム』といったところか・・・

しかし、俺から見た印象を一口でいえば『結婚詐欺師』。

何やら熱い手振りや口振りで王女と話してはいるものの、目は獲物を狙う獣のような感じがする。

 

 

 

 

「アルテイシア王女、今宵こそ良いお返事を返して貰えるものだと思っております」

「だから言っているじゃないですか!お断りしますと!」

 

王女はきっぱりはっきりと返事をしていた。

           すがすが
もうそれは 清々 しいまでに・・・・

 

「またまた・・・そんなに照れなくても・・・・」

「照れてません!」

「私の関心を買おうと本心とは反対のことを言っているのでしょう?

なんとも奥ゆかしい方だ。貴方こそ我が妻にふさわしい!」

「おぞましいことを言わないでください!」

「さあ一緒にダンスでも踊りましょう!」

「お断りします!」

「明日、盛大に婚約発表でもしましょう。何なら今からでも。

この場にいる王族の方々が証人となってくれるでしょう!」

「人の話を聞きなさい!!」

 

 

 

 

 

・・・・・まったく話がかみ合ってない・・・

いや、話をかみ合わさないように男がしているのか・・・

どう考えてもわざととしか考えられない。そうでなかったら電波系の人かゴートさんと同類の人だろう。

 

隣のルナさんもうんざりとした表情で立っていた。

ずっとあんな話を聞いていたら精神的にまいってしまうのも仕方ないことだろう。

 

(しかし一体誰だ?女王が厄介だというからにはそれなりの権力の持ち主だろうし・・・)

 

「今、王女と話しているのはエリウスといってね・・・隣国の王家の第五王位継承者よ。

まあ早い話、ただの五男坊って訳。

ここ最近になって果敢にアルテイシア王女にアタックしているの」

 

隣にきたアリスちゃんが俺にだけ聞こえるように小さな声で相手の男性の素性を教えてくれた。

 

「アタックしてるって・・・かなり一方的みたいだね」

「まぁね・・・根本的に嫌いみたいよ。その上あれの本心を知っているからね」

「本心?やっぱり何か狙って?」

「そ、本人はばれてないつもりかもしれないけどね・・・

あいつ、かなり権力に固執してるのよ。だから第五王位継承者という地位が不満なわけ」

「なるほど、だからこの国ただ一人の王女と結婚したら次期王になれると考えているのか」

「そう言うこと。一応、隣国の王家縁の者だからね、叩き出すわけにも行かなくてさ・・・・」

 

確かにお互いの立場上、もめ事起こすのは拙いって訳か。

下手しなくても国家問題に発展しかねないからな・・・

そうじゃなかったらさっさとルナさんが追い出しているか・・・

 

先程の女王の口振りからすると女王も余り歓迎してないみたいだし・・・

 

(とにかく・・・よそ者の俺が口をはさめる問題じゃないな・・・・・・・ん??)

 

「フフフフフ・・・・・・・・」(ニヤリ)

 

ビクッッッ!!

 

女王は何やら笑っていたと思ったら

『計画通り・・・』と言わんばかりのニヤリ顔で俺の方を見た。

 

俺はと言えばその目を見た瞬間、本能的に怯えた。

そして理性がこの場から即座に撤退を推奨する。俺はすぐさま行動を起こそうとしたが・・・

 

「何処に行こうとしているのですか?テンカワ殿」

 

女王にいきなり襟首つかまれて撤退できない状況に陥ってしまった。

こういうときの女性にはどうやっても勝てない。

それはナデシコに乗っていたときに嫌というほど思い知らされている。

しかし俺は儚い抵抗を試してみる。一縷の希望を託して・・・

 

「ええ、ちょっと知り合いの様子でも見に行こうかと・・・」

「後にしてくださいね☆」

 

有無をいわさず女王はきっぱりと引き留めた。こうなっては返事はただ一つしかない。

 

「・・・・・・・はい」

 

その様子に女王はにっこりと微笑むと、

 

「少々お名前をお借りしますがよろしいですか?」

 

はたしてこの質問に俺の拒否権はあるのだろうか・・・・

 

「一体どのようなことに使うんですか?」

「娘に寄ってくる悪い虫を払おうと思いまして・・・」

「(そこで何故俺の名前が必要なんだ?)・・・・・どうぞご自由に・・・・・」

「ありがとうございます」

 

女王はそう言うと娘の元に歩いていった。

一歩近づくごとに嫌な予感が強くなっていく。

 

 

 

 

「エリウス殿、今宵は楽しんでいただけたでしょうか?」

               ははうえ
「これはこれは義母上」

 

その言葉に女王は笑顔をひきつる。

おやこ
母娘そろってこの男が気に入らないようだ。

 

「それはまだ早いのではありませんか?」

                 こよい
「そうでしょうか?今宵私とアルテイシア様と婚約を発表すればそうなると思いますが」

「誰が婚約しますか!」

 

すぐさま反論した王女を、女王は手で抑えるように示した。

王女とルナさんは女王の『ニヤリ』とした表情を見て、

何やら怪しんでいるようだったが結局は何も言わず女王の成り行きに任せたようだった。

 

「婚約?アルテイシアと貴方がですか?」

「ええ、もちろんです」

「それはおかしいですね?」

「何がでしょうか?義母上・・・いえ、アナスタシア女王」

 

男は何やら不審なモノを感じてあえて女王と呼んだみたいだ。

俺はと言えば嫌な予感が最高潮に達していた・・・・

 

「娘にはすでに婚約者がいるのですよ。それなのに他の男性と婚約発表なぞ・・・・

おかしいことこの上ないでしょう?」

 

「「なっ!!」」

 

王女と男は期せずにして声が重なる。

                    女王のシナリオ
俺はと言えば大体の あらすじ を理解した。

                            逃げ出して
本来ならすぐさまこの場から 消えて いるのだが・・・・

いつの間にやら隣にきていたルナさんに腕を組まれて逃げることは不可能だった。

 

(な!何で・・・・・・・・まさか!最初から仕組んで!!)

 

俺は全て最初から仕組まれていたのではと思いつき、隣にいるルナさんの顔を見た。

ルナさんはこれまでにないほどニッコリと微笑んでいた。

 

(は・・・・はめられた・・・・何でこんな事になるんだ!!)

 

 

「ど、何処の何奴なのですか!この私を差し置いて!」

 

男はわめきちらし始めた。周りの人達も何事かと注目し始めている。

この状態は非常にまずい。

 

「ルナさん、放してくれませんか?」

「あら、どうして?」

「ど、どうしてって・・・この状況じゃあ・・・・」

「面白いじゃないですか。『毒をくらわば皿まで』ですよ」

「へ〜、この世界にもそんなことわざがあるんですか・・・・ってそうじゃないでしょ!」

 

俺は振り解こうと色々と試したがルナさんの腕は器用に場所をずらしたりして離れなかった。

最後の方には俺の腕を抱え込むようにして身動きを封じた。

俺は腕から感じられるルナさんのふくよかな胸の感触に頭の中がオーバーヒート気味だった。

 

 

そうこうしている隙に女王の方はどんどん話が進んでいた。

もう取り返しがつかないぐらいに・・・・

 

「では紹介しましょうか!我が娘、アルテイシアの婚約者のテンカワ・アキト殿です」

 

『オオ〜〜』

 

周りの人達は一斉にどよめき、揃って俺の方を見た。

何だか珍獣を見ているような視線になっているような気がする・・・・

 

「といいましても、テンカワ殿はルナ殿と婚約者でもあります。

将来的にはどちらかを選んでもらうことになりますが、それまでは二人の婚約者と言うことになります」

 

『オオオオ〜〜〜』

 

周りの人達は一層ざわめきだし、俺への視線は増加するばかりだった。

中にはかなり鋭い視線が混じっていたが・・・・おそらくは嫉妬なのだろうが・・・・

その時俺は、

 

(俺は無実だ!はめられたんだ!!)

 

まるで無実を主張する犯人みたいな事を思ったりしていた。いや、事実そうなんだって!!

 

 

 

「ではそう言うことですのであしからず・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

 

男は俺のことを「視線で人を殺せたら」 と言わんばかりに睨んでいる。

完全に誤解というか・・・・俺は被害者なんだけどね・・・・もう好きにしてくれ・・・・・

 

 

「では向こうに参りましょうか」

「・・・・・・そうですね」

 

俺達はこの場を離れ、人が少ない方に歩いていった。

周りの人達は遠慮をしてくれてか近づいてはこなかった。

ただし、視線はしっかりと俺達に釘付けだったが・・・・

 

 

 

「一体どういうことですか・・・アナスタシア女王」

                         かあさま
「そんな他人行儀な・・・お義母様でもいいのですよ」

「あのですねぇ〜。自分の娘のことなんですよ!?

俺みたいな何処の馬の骨ともしれないような奴を仮にでも婚約者にしたら可哀想じゃないですか・・・・

王女も迷惑に思っていますよ」

「あら?別にいいじゃない。それに王女じゃなくて愛称で呼んで。『ティシア』ってね。

私達、一応婚約者なんだし・・・・」

「いいんですか!?こんな得体の知れない、会ったことのない奴の婚約者になって!」

「ルナ姉様が推薦した人なんだから信用してるわよ。

それに貴方の噂、かなり聞いててね・・・一度会ってみたいと思っていたのよ」

「しかし・・・」

「私も貴方のこと結構気に入ったし・・・一応なんだから気にしないの。ね☆」

 

ね☆って・・・いかん。王女も状況を楽しむ人だ。

ルナさんも今回は相手側の方だし・・・フォローは期待できない。

四人は・・・・状況を楽しんでるみたいだし・・・・

駄目だ・・・・四面楚歌。逃げ道がない・・・・

 

(もういい・・・・結局いつも最後に泣くのは俺なんだ・・・・)

 

俺の心の中で涙を呑むことにした。

 

「俺、疲れたんで帰ります」

「そうですか?それは残念ですね・・・」

「そうね、これからが面白くなりそうなのに」

 

あんた達、自分事なのに良くそんなに気楽にいられるね・・・・

 

「それでは案内の者を・・・・」

「いえ、結構です。城内の道は覚えていますし・・・それでは」

「アキト殿、その服は差し上げます。良かったら使ってください。

それと・・・いつでも城に遊びに来てくださいね。歓迎いたします」

「またね、アキトさん。今度はちゃんとお話ししましょうね〜」

「はい。覚えていたらそうします」

 

俺はそう答えるのが限界だった。

 

(もし、万が一この事がルリちゃん達にばれたら・・・・お仕置きフルコースだな・・・確実に・・・・

ただでさえ突然消えて心配かけているのに・・・・・早く元の世界に戻るようにしなければ・・・

お仕置きがもっと増えるかもしれん・・・)

 

俺はさっさと衣装室で普段着に着替え、帰路についた。

 

帰り道の途中、あのエリウスとかいう奴とその他大勢、

そしてそれらが引き連れた黒服を着たごつい男達に囲まれたが・・・・

ちょうどいい憂さ晴らしとして役に立ってもらった。

こんな奴でも役に立つことがあるもんだ。

 

ちなみに後始末は俺の後を付けていたアリスちゃんに任せた。

一応ではあるが王女の婚約者を闇討ちしようとしたからどんな弁解も無意味だということらしい。

駄目だったら氷付けにして川に流そうと思っていたのだが・・・まあ余計な手間が省けたので良しとした。

 

余談だが、この事実を用い、国家間の交渉を有利にはこんだらしい・・・・

 

(まさかここまで計画したんじゃないのか?)

 

と俺は疑心暗鬼にかられたが・・・・気にしても仕方がないので考えないことにした。

 

 

 

 

思い返してみると、何もかもルナさんと女王の手のひらで操られていた。

やはり俺はどう頑張ろうとも女性には敵わないことを改めて認識した一日だった。

 

 

誰か俺に平穏な日々というモノを与えてくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記―――――アキトが去った後の女王達・・・・

 

 

「アリス・・・後のことはお願いします」

「はい。まあ死なない内に止めておきます」

 

アリスは女王に一礼すると風のようにかき消えた。

 

「アキト君なら心配する必要はないんだけどね。

相手の死なない限度というのがよく分かっているみたいだから・・・・」

 

どうやらルナ達はアキトのことではなく、会場から姿を消した者達の心配をしているようだった。

といっても『死ななかったら良し』というかなりアバウトな考えではあったが・・・

 

「それにしても・・・アキト殿はかなりお疲れになったようですね・・・」

「アキト君、女性関係でかなりトラウマがあるみたいですから・・・・」

 

                                              某組織
少なくとも今現在、アキトの心を占めているのはルリ達からうけるお仕置きの心配なのでそうは間違ってはいない。

 

「しかし、いいの?ルナ姉様・・・アキトさんを私の婚約者にして・・・」

「あら?私の婚約者でもあるわよ」

「それはそうだけど・・・・」

「いいのよ、私は私のままでアキト君を振り向かせるつもりだから。

そのための努力は惜しむつもりはないし、自信もそれなりにあるわよ。

他人がどうこうしようと構いはしないわ。まあ実際にそうなると邪魔の一つはするかもしれないけどね・・・

私が好きになった男性ですもの。他の女性が惹かれるのも仕方がない事よ」

 

そう言いきったときのルナの笑顔は同姓から見てもかなり魅力的だった。

恋は女性を綺麗にする。女王はそれを懐かしく思い、王女はそれを羨ましく思った。

 

「はぁ・・・ルナ姉様・・・アキトさんのことが本当に好きなんですね・・・

そこまで人を好きになれるなんて・・・・ちょっとだけ羨ましいです」

         あなた                                           気づいてないだけ
「いつかティシアにもそういう人が現れるわよ。もしかして もう現れている かもしれないわ」

「そうかなぁ・・・・」

 

女王はそんな二人を見ながらかつてのレナと自分を重ね合わせていた。

 

「(懐かしいですね・・・あたしもあの様な頃があったんですね・・・)

頑張ってねルナちゃん。名目上はティシアの婚約者でもあるんだから、

もし逃げ出しでもしたら空竜騎士団を使ってでも探し出してみせるからね」

「ふふふ・・・その時はよろしくお願いします。では私もそろそろ帰ります」

「そう?では帰ったらレナによろしく伝えておいてね。偶には会いに来いってね」

「わかりました。言っておきます」

「ではルナ姉様、お気をつけて」

「ええ、ティシアも偶には店に遊びに来てね。最近面白いデザートを作りだしたから楽しみにしてね」

「はい、暇が出来たら行きます」

「それでは・・・・」

 

ルナはそう言って人混みの中に入っていった。

今だ食べ続けているリナとガウリイを回収して帰るために・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

どうも、ケインです。外伝の第三話と四話はセットになっています。

いや〜・・・長かった・・・・文字打つのが遅いからかなり時間はかかるし・・・・

ブラインドタッチ?あれは神の領域に感じますよ・・・

 

気を取り直して・・・一応外伝はこれで一時中断です。次からは本編始動です。

とある者の策謀が本格的に動き始めます。

 

 

懐かしのキャラもでてきます。といってもそんなに昔じゃないんですけどね・・・

どんな人物かというのはかなりネタばらし・・・というかあらすじがばれてしまうので割愛します。

 

最後にMurasimaさん、カルマさん、白い鉄さん、川嶋さん、和樹さん、音威神矢サン。

感想どうもありがとうございます!

今回掲示板を見ている暇があまりなかったので名前を書いていない方、申し訳ありません!

 

それでは皆さん。第10話「旅立ち・・・・(仮名)」でまた会いましょう!

 

 

代理人の予想

 

懐かしの人物・・・ほほぉ。

そう聞いたなら予想してみたくなるのが世の常人の常。

それではいっちょ行ってみましょうか!

 

 

一、ゼルガディス(略してぜるりん)あるいはアメリア

 

♪ぜるりん ぜるりん ぜるりんりん 便秘にすっきり ぜるりんりん♪

 

・・・すいません、毒電波が(爆)

 

 

二、ダジャレドラゴン&タカビーエルフ

 

・・・・なんかこー、イツキさんに通じるものが(笑)。

アキトスマイルは亜人種にも通用するのでしょうか!?