豪華な内装の施された広い部屋。
 機能性も高いが、それ以上に品格と云うものを漂わせている。
 それが地球連合首相、地球に於いて最も偉いと呼び得る人間の部屋――執務室だった。

 1つだけ用意されている、天然木で作られた贅沢な机。
 そこに壮年の男性が座っている。
 レイニー・ゴールドマン。
 地球圏最高権力者、そう評しても過言ではない者。地球連合首相であった。
 手元にはファイルがある。
 その一番上の紙には、表題として『連合宇宙軍状況 2196-10』と書かれていた。
 それは地球連合直轄の情報機関、連合情報庁(UIA)が調査分析をした連合宇宙軍の内幕――海洋国家共同体派とユーラシア連合派、そして連合宇宙軍融合派(ジョインスト)による権力闘争の状況を纏めたものであった。
 電子化、ネットワーク化が極めて進んでいる現在、情報を紙に記載している理由は機密保持が理由であった。

 最後の一枚まで目を通し終わったゴールドマンが、ファイルをシュレッダーへと放り込む。
 ファイルは即座に粉砕攪拌される。
 ネットワーク化によって逆に、管理の容易な紙と云う情報伝達手段が重視されていた。

「――詳細は了解した。状況は好転しつつある。そういった所か」

 眼鏡を取って、瞼を揉みながら問い掛けるゴールドマン。
 その相手は、ゴールドマンの向いに立つ男、この情報を纏め上げたUIAの上級情報官、シカウチ・ヤスシだった。

「はい。閣下が地球主義者(ランド・マフィア)に転向されていないのであれば」

 シカウチの諧謔を含ませた声に、低く笑うゴールドマン。
 私がか、と。
 ゴールドマンは若手政治家であった頃から宇宙開発こそが人類の未来であるとの政策を掲げて来ているのだ、それが地球の再開発を優先しようとするユーラシア連合側と手を結ぶ――そう想定する事は冗談にしてもセンスが悪すぎる話だった。
 実際、ゴールドマンは連合情報庁を通してミスマル・コウイチロウら融合派へ支援を与えていたのだ。
 ユーラシア連合と手を結ぶ可能性など無かった。

アデナウワー1等監査官(ヴィクトル・アデナウワー)が中心になった、連合宇宙軍への権限委譲案は事前の報告通りです」

「戦時特別法の施行と同日だな、悪い手並みでは無い――しかし、法案成立後初めてだな。あの動員令の施行は」

「はい。閣下の名が歴史に残りますな。伝家の宝刀を初めて抜いた宰相として」

 皮肉を交えるでも無く言葉を連ねたシカウチ。
 対してゴールドマンははっきりと言い切る。抜けない刀に意味は無いのだと。
 戦時特別法。
 正式には戦時艦隊特別動員法と呼ばれる法律は、戦時に於ける連合宇宙軍の権限を飛躍的に拡大させる法案であった。
 連合宇宙軍が必要と思えば地球連合に所属するあらゆる艦艇や施設の徴発を可能とし、更には情報収集に於ける限定的非合法手段の容認にまで踏み込んだ、正しく戦時の法規であった。
 この施行によって、連合宇宙軍には莫大な権限が集まる事となる。
 それ故に一般市民の権利の保護や、それ以上に列強諸国の権限との兼ね合いもあって今まで施行される事が無かったのだ。
 それが施行される。
 それこそ地球が、この戦争に対する真の脅威を感じた証拠であった。
 この施行時をもって、地球は完全な戦時体制に移行すると言っても過言では無い。
 地球が、本気で戦争に取り組むのだ。

 その上で、ヴィクトルによる連合宇宙軍の改革、改編が行われる事となっていた。
 改革は連合宇宙軍の最上位機構、連合宇宙軍理事会の常任理事国が保持している強大な各種権限の委譲、或いは放棄であった。
 常任理事国、それは海洋国家共同体とユーラシア連合の中核を成す6カ国の事であり、これらの国は連合宇宙軍の発足時に莫大な数の人員や艦艇を融通した代償として、連合宇宙軍に対して強大な権限を持つ事を地球連合評議会より認められていたのだ。
 その権益を放棄させるのだ。
 融合派とUIAによる間接的支援があり、海洋国家共同体――シバムラによる情報操作が行われ、そして何よりも表向きはユーラシア連合にとって極めて有利な取り決めが行われるとされていたとは云え、それは決して簡単な行為では無かった。
 それをヴィクトルは成し遂げていたのだ。
 それは或いは賞賛されるべき行為であった。
 そして改編、それは具体的な艦隊の編成にまで踏み込んでいた。
 否。
 より正確には、この連合宇宙軍の組織再編があるからこそ、ユーラシア連合は連合宇宙軍への権限委譲を容認しているのだ。
 その目的は、地球本星の防衛。
 現在、連合宇宙軍の所属艦艇は任務ごとに6個の正規艦隊(ナンバー・フリート)を編成している。

 連合宇宙軍の主力であり、火星に駐留し外宇宙防衛を担当する最精鋭戦力集団第1艦隊(マーズ・バンガード)
 22世紀に発生した月叛乱の鎮圧部隊、第1宇宙艦隊を母体に編成された伝統と栄光に彩られた第2艦隊(コンバインド・フリート)
 衛星軌道上に配置され、地球最後の防衛線を構成する第3艦隊(オービット・フリート)
 連合宇宙軍に所属する全部隊の訓練の立案や実施を統括する第4艦隊(トレーニング・コマンド)
 戦時、平時を問わず地球圏全域を航行する航宙艦の安全を確保する為に編成された第5艦隊(エスコート・フリート)
 長距離航海型の調査用艦艇によって編成されている、地球圏外周部と深宇宙の調査を担当する第6艦隊(コースト・ガード)

 このうち所属艦艇の6割近くを喪失し、司令部機能すらも低下している第1、第2、第3の3個艦隊を解体して第5艦隊へと編入し、更には海洋国家共同体やユーラシア連合の保有する戦闘艦艇まで全てが第5艦隊へと編入されるのだ。
 同時に第5艦隊は、その任務を地球を中心として月軌道上までの防衛を担当する事となる。
 これは事実上の地球防衛艦隊(ホーム・ガード)の創設であった。
 その司令官は、現第5艦隊司令官のミスマル・コウイチロウ中将がそのまま充てられる――そう決まっていた。

「納得はする。だが大丈夫なのかね、彼は評判が良くないのだろ?」

 コウイチロウの名に反応するゴールドマン。
 その眉は若干、絞られている。
 連合宇宙軍融合派と連携する際、数度ではあったが融合派首魁のコウイチロウと面会した事のあったゴールドマンは、その能力のみならず人柄にも信頼を与えていた。
 安定した人格と能力を有する一級の人材と判断していたのだ。
 それだけを見れば、コウイチロウに地球圏最大の戦力を与える事は間違った選択では無かった。
 にも関わらずゴールドマンが難色を示す、その理由はコウイチロウの政治的立場にあった。

「確かにご存知の通りミスマル中将は、ユーラシア連合のみならず海洋国家共同体側からも好まれていません。これは中将が政治的中立の立場を維持し続けていた事が原因ですが、その中立性が今回は役立っています」

「互いに与しないから、か」

「はい。海洋国家共同体側は、その国籍と実績から了承の意を表明しています。対してユーラシア連合側は、第5艦隊運用時の編成に関して伝達した所、同意を表示したとの事です」

「第13遊撃戦隊だな。戦隊司令に充てられるヘルガ大佐は、ヴィクトルが蛇蝎の如く嫌っているという話では無かったのか。大丈夫かね?」

「問題は無いかと。根回しの段階ではヘルガ大佐では無い、別のドイツ人佐官を任命する形となっていますから」

「誰かね?」

「アーダベルト・ギースラー中佐、ドイツ人です。実務に長け、政治的にも中立だと知られています」

「で?」

 其れだけでは無いのだろうと、促すゴールドマンにシカウチは笑って続ける。
 アーダベルトは融合派のシンパであると。

「編成開始時に本人の辞退の意を表明すると共に、抜擢人事でヘルガ大佐を准将配置とすると共に決着を付けます。尚、アーダベルト中佐は第13遊撃戦隊の首席参謀へ就任する事となります」

 そして一言付け加える。
 これは本人の希望でもあるのだと。
 元々アーダベルトは政治的な立場と云うものを苦手としており、そして何よりもヘルガが第6艦隊の戦務参謀時代に立案した資源衛星の叛乱鎮圧作戦を高く評価していた為、その幕下に入る事を自ら望んでいたのだと。

「他にも根回しは十分に行われています。欧州や海洋連合、中国以外の賛同は現時点で全て得られています」

 唯一の反対派である中国は、第5艦隊司令官の座を中国系の士官に与える事を声高に要求しているのだった。
 これは東シナ海にて、貨客船の遭難が相次いでいる事――木星蜥蜴の活動が活発化しつつある事を受けての要求であった。
 中国海軍の誇る最新鋭潜水艦が、何の成果も無く喪失しているのだ。
 安穏としていられる筈も無かった。
 尤も、単に日本人が連合宇宙軍最大戦力集団の指揮権を握る事が気に喰わないと云う可能性もあったのだ。

「相変わらずか、中国は」

「はい。あの国は若々しく、そして大変尊大(ナイーブ)な国家ですので」

「我々の主張が通らないのは対立国家の陰謀であり友好国の努力不足である、か? 迷惑な話だな。彼らとて既に第1級の国家だと云うに」

「であるからこそ中華人民共和国だとも言えますが」

「違いない」

 喉を震わせて笑うゴールドマン。
 そしてコツコツと右手人差し指で机を弾く。

「それで、対応はどうする積りかね?」

「どうにも。連合宇宙軍の監察評議会の議決規則で、議決は8割以上の賛成さえあれば可決されるのですから。それで十分だとの判断が為されています」

「ほう? 何とも勇気在る行動だな」

「はい。それもアデナウワー1等監査官の名で実施されます。この事での欧州に対する工作は完了済みです。海洋連合側も異議は無いとの旨、回答されているそうです」

 欧州に対する工作が簡単に終了した理由は簡単であった。
 欧州にとって重要な事は、地球圏防衛戦力の一本化による、北米やアジアに存在する海洋国家共同体の陸上戦力の欧州への投入であったのだから。
 これはナナフシと呼称される新型チューリップがドネツク市近郊へと着地し、以後、大量の無人機がオデッサからハリコフへと到る領域を支配しつつある状況が在った為である。
 特に欧州への入り口、オデッサ方面は仏独を主力とした欧州総軍(グランダルメ)による後先を考えない防衛戦によって攻勢が頓挫しつつあるが、ハリコフ側の戦線はロシア軍が頑強な抵抗を繰り広げているがゆっくりと、だが確実に押し込まれていたのだ。
 精強さをもって知られたロシア軍ではあったが、如何せん最初のドネツク市攻防戦にて投入された機甲戦力の7割近くを、ナナフシによって吹き飛ばされてしまっては抵抗のしようも無かった。

 ナナフシのウクライナ落下の報に接したロシア政府は、連合宇宙軍が撃ち漏らした木星蜥蜴の新兵器を撃つ事でユーラシア連合内でも埋没しがちな状況を脱し、国威を掲揚しようと判断していたのだ。
 それ故に、レニングラード軍管区やモスクワ軍管区、ウラル軍管区に北コーカサス軍管区と、ロシア軍の西部に配置された4個の軍管区が保有する機甲戦力の殆ど――4個装甲師団と15個の自動車化狙撃師団をもって第2戦略機動軍を編制し、投入していた。
 軍参謀部では、その余りにも集中し過ぎる運用を懸念する声も出ていたが、政府の判断が優先されていた。
 その結果が、第2戦略機動軍の壊滅であった。
 ナナフシの非常識極まりない攻撃能力(ブラックホール・キャノン)によって予備戦力として前線に貼り付けて居なかった部隊も含めて尽くが重い被害を被り、再編成を要する事となってしまっていたのだ。
 今ロシア軍の欧州方面――ハリコフに残された正規戦力は、シベリア軍管区から急遽輸送されて来た空挺師団1個と、人員充足率の問題から戦力的価値が低いとしてドネツク市攻略戦に投入されなかった2個の自動車化狙撃師団だけだった。
 後は、第2戦略機動軍の生き残りで比較的状態の良かった部隊を無理矢理に戦力としてかき集めて編制した、集成自動車化狙撃師団だけであった。
 開戦前には7個の装甲師団を基幹とした世界第3位の陸軍を誇っていたロシア軍の、それが現在の状況であった。
 シベリア軍管区や極東軍管区には、まだまだ有力な機甲戦力が残存し、部隊の欧州への移動も開始してはいたが、ハリコフからは余りにも遠かった。
 そんなハリコフ戦線が総崩れを起していない理由は、ロシア人の持つ民族的な粘り強さ、只それだけであった。
 直接火力の不足から砲兵師団までも前線に貼り付けて、その支援の下で歩兵が肉薄攻撃を敢行していたのだ。
 そんな血塗れの戦野と化したハリコフの先には東欧州のみならず全欧州でも最大の軍需工業地帯、クルスクが控えている。
 ドイツのルール工業地帯がナナフシの破片の落下によって甚大な被害を受け、その生産能力が半減以下に成っている現状、クルスクの陥落は欧州の喪失にすら繋がる危険があるのだから。
 欧州の状況は正に危機的。
 それが交渉の鍵となったのだ。

 欧州の苦境を見抜いたヴィクトルは海洋国家共同体に要請を出した。
 欧州へ地上戦力の投入を、と。
 海洋国家共同体とて陸上戦力は豊富に存在している訳では無い。特に、大神に見られる様に木星蜥蜴の侵攻を間近に感じられる日本やナナフシの破片が落下した米国では、陸上戦力が不足していると言っても良いだろう。
 だがヴィクトルはその要請を出した。
 早期に地球の航宙戦力を統一し、宇宙権益の回復と確保こそが海洋国家共同体にとって至上命題だと認識したが故にであった。
 ヴィクトルと融合派、そして海洋国家共同体が見ている未来は異なっていた。
 だが今、為すべきことは同じだった。
 それ故に海洋国家共同体側は第1即応軍74000名、3個重師団規模の大戦力を欧州へと投入する事を決定したのだ。
 その手付け――先遣部隊として、英国の第7機甲旅団がクルスクへと移動を開始していた。
 ロシアは当然としても、欧州も機甲・機械化戦力の殆どをオデッサ方面の戦いで消耗させていた為、この状況下に於いて改革計画に反対する筈も無かった。

「ヴィクトル・アデナウワー。無能では無かったか」

「はい。なかなかの仕事ぶりです」

「残念だな、そんな人間が収賄で逮捕されると云うのは! そちらの準備はどうなっているかね?」

連合情報庁(ウチ)と軍の情報部とで集めた情報を統合検察機構に伝達しています。逮捕状の方は監査評議会後の、改革会議終了直後に出る段取りです」

「道化か、哀れだな」

 薄く笑うゴールドマン。
 それは権力を行使する側の余裕であった。
 或いは傲慢。
 法を定め、行使し、そして遵守させる側に居る者のみが身に付けた威であった。

 

 


 
機動戦艦 ナデシコ

MOONLIGHT MILE

 

第一幕 Arc-Light
Xa

THE ENEMY BELOW


 

 

――T――

 

 

 てくてくとホシノ・ルリとハルカ・ミナトは歩いていた。
 目的地は居住区にあるラウンジ、より正確には食堂にである。

「にしても初戦は見事な勝利って所かしらね、ルリちゃん?」

「そう思います。ミスマル艦長の指揮は見事でしたし」

「艦長か………信用出来ると思う?」

「どうでしょうか。初めてあったばかりですので、そこは何とも言えません」

「堅いわね、ルリちゃんは」

「私、少女ですから」

 堅いと云うよりも、歳相応の柔らか味に欠けている。
 ハルカにはルリがそう見えた。
 ブリッジからの道のりの雑談でハルカは、今までのルリが村雨人材能力開発研究所に居た事を知った。
 その研究所の名にハルカは聞き覚えがあった。
 前職の秘書時代、同僚が言って居たのだ。人間を人間として見ないような非合法すれすれの、或いは非合法そのものの場所だったと。
 ルリも又、人間としてでは無く研究材料、或いは素材として扱われていたのだろう。
 そうハルカは理解した。
 だからこそルリは、幼さを感じさせない浮世離れした雰囲気を身に付けてしまったのだろうと推測した。
 故にハルカは憤慨した。
 ルリの今まで居た境遇を、そして周りの人間達を。

「うーん、でも堅いだけじゃ人生渡っていけないぞ。ルリルリ」

「ルリ……ルリ?」

「そっ。ホシノ・ルリ、だからルリルリ。可愛いと思わない?」

 無茶といえば無茶なハルカの言葉に、キョトンとして小首を傾げるルリ。
 そんなルリを前にハルカは1つの決心をする。
 出来る限り、ルリが迷惑に思わないように押し付けがましくならないように見ていてあげようと。

「はぁ…でも、その……」

「いや?」

「……嫌じゃ…ないです」

 驚き、戸惑い、そして納得。
 それらは全て小さな反応だった。
 だが、ルリの表情を注意深く観察していたハルカはそれらを察知する事が出来た。
 だからこそ大胆な行動を選択した。
 抱きしめたのだ、優しく。

「仲良くしようね、ルリルリ」

「はい……その、宜しくお願いします」

 

 

 民間企業の建造した重武装艦、機動戦艦ナデシコ。
 その誕生は宇宙戦艦の建造に於いて強烈なインパクトを与える事となった。
 例えるならば水上艦の様相を一変させた戦艦、ドレットノートの様な。
 後には遺跡技術とも評される、火星先史文明の遺産を解析研究(リバースエンジリアニング)した事によって生み出された相転移炉やオモイカネ型第9世代型電算機等の採用。
 或いは艦の防御に関する新基軸、従来型の外殻構造型(モノコック・スタイル)では無く、艦体各部のユニット化を行う事で強靭な生残性(サバイバビリティ)を得ると云う発想。
 これは従来の軍需産業、特に大型艦艇等の建造を行って来なかった新参の軍需企業故の柔軟な発想によって生み出されたものだった。
 ネルガルは建造工程の簡素化を狙って艦各部のユニット化を推し進める事を性能要求の段階で決定し、それを実現させる為にナデシコは従来型艦艇よりも更に踏み込んだユニット構造を採用する事となったのだ。
 工程を出来る限り簡素化した上で、艦の防御力を高める為の発想。
 それは或いは、間接的防御力とでも評すべき発想だった。
 だがそれの副次的な効果として、艦の稼働率の向上が見られたのだ。
 故障した区画を丸ごと交換する事によって、艦が修理の為に入渠する期間を減少させる事が出来たのだ。
 ユニット化、規格化はナデシコ登場以前より、採用されていた事ではあったが、ナデシコ程に徹底して採用した例は無かったのだ。
 故にナデシコ登場後に設計された戦艦は、撫子(ナデシコ)級戦艦とも呼ばれる事となったのだ。

 閑話休題。
 さて全く新しい大型軍用艦としての標準を確立する事となったナデシコだが、特徴はそれだけでは無かった。
 居住性である。
 確かに通常の軍用艦艇も居住性は重視されている。
 特に日米英、海洋国家であり外宇宙に利権を有する諸国が建造配備している艦艇群の居住性は、その作戦期間が極めて長期に渡る事からも特に重視されていた。
 住――居住性の良さが人間の能力の維持に如何に影響を与えるか、水上艦艇で培った経験が反映する形である。
 だがそれでもナデシコの居住性は群を抜いていた。
 幹部乗組員用の個室は当然としても、一般乗組員に対しても、狭いながらも2人に1つずつ部屋が割り当てられているのだ。
 そして食、食堂。
 通称はナデシコ食堂。
 その支配者は和洋中、全ての料理をこなし万人に美味いと言わしめる料理を創れる女傑。
 それが厨房長のホウメイ・ゲレルであった。

 

「おっ、いらっしゃい」

「お邪魔しまーす」

 快活な調子で厨房から声を掛けて来るホウメイ。
 対するハルカも調子よく応える。

「上は大変だったみたいだね。ご苦労様。珈琲と、軽いものでも摘むかい?」

「んーアタシはパスで。おやつを食べすぎちゃったから。ああルリルリ、この人は料理長のホウメイ・ゲレルさん。美味しい料理を作ってくれるわよ。それからホウメイさん、この子はホシノ・ルリ。今日からナデシコに乗り組みって事になってますんで」

 矢継ぎ早に口を開いたハルカに、ルリは圧倒されながらもホウメイに頭を下げる。
 ペコリ。
 そんな擬音でも聞こえそうなルリの挙動に、ホウメイは表情を崩す。

「ナデシコ電算機管制官のホシノ・ルリです。宜しくお願いします、ホウメイさん」

「ああ此方こそ宜しく、ルリちゃん」

「――で、注文はどうする?」

「えっと、じゃぁ………」

 促されてメニュー表に目を向けるルリ。
 その動作が些かぎこちなかったのは、自分で食べたい食事を選ぶと云う行為が、ルリにとって初めての行為だったからだ。
 与えられるのでは無く、自分で選ぶ。
 自分の好きなものを考える。
 今まで全く経験していなかった。それ故にルリは、たどたどしいと言える仕草でゆっくりと壁に掛けられたメニューを見上げ、真剣に選んでいる。
 その微笑ましい挙動に、ハルカとホウメイは微笑みを零していた。

「ルリルリ………ねっ、可愛らしいお客さんだよ」

「可愛い呼び方だと思いません?」

「そうだね、この子に良く似合ってると思うよ。ブリッジ勤務かい?」

「ええ。このフネの中枢コンピューターの制御を担当する娘、頭がいいわよ?」

「そいつは偉いね。あんなに幼いのに。まっ周りが気を付けておいてやらないとね」

「でもしっかりした娘だから、もしかしたらあたし達が見てもらう羽目になるかもしれませんよ」

「それでもさ。あたし等はあの子が持たないものを持っている。人生の経験ってやつさね。こればっかりは負けていない、違うかい?」

 暖かい笑みで断言するホウメイ。
 腕を組んで厨房にすっと立つその姿は、何とも優しかった。
 大人の女性。そう呼ぶべきだろう。

「確かに、それだけは負ける気はしないわね。そう言えば何時ものあの子達は?」

「ウチの子は皆、炊き出しと配食に出させているよ。お客さんが居たろ?」

「ああ、日本軍の」

「このフネに乗ったんだ。そんな奴等を空腹で放り出したらアタシの、ナデシコの名折れだからね」

 だから軽いものを作って配らせていると言う。
 そしてホウメイ自身が此処に居る理由は、時間外の客にでも対応出来る様にとの事だ。
 そう、ハルカやルリの様なお客を。

「ホウメイさん」

「おっ、注文が決まったかい?」

 ホウメイの問い掛けに頷くルリ。
 そして一言、注文をする。

 ハンバーガーだ。
 管理が簡単で、手早く食べられるから。
 只それだけの理由で、何時も与えられ食べていた食事だった。
 自分で選ぶ立場になれても、ルリは他に何を食べて良いのか、理解出来なかった。
 だからこそ、食べなれた食べ物を選んでいたのだ。
 この時代、食品への各種栄養素等の添加技術が向上している為に言葉どおりの禄でも無い食事(ジャンク・フード)と云う訳では無かったが、決して優良な食べ物と云う訳では無かった。
 ルリにとって食事とは、文字通りの栄養補給でしか無かった。

「それが最初の注文かい。じゃぁ待ってな。腕によりを掛けて作るからさ」

「お願いします」

 

 待つこと暫し。
 その時、新たな客が食堂を訪れて居た。

「チイッッス!」

 能天気な掛け声と共に入ってくるのは、男臭い、だがどこかしらに子供っぽい雰囲気を残した奴だった。
 ヤマダ・ジロウだ。
 豪快な風に笑っている。
 その後に、テンカワ・アキトも居る。

「いらっしゃい。何にするかい?」

「腹減ったんで、簡単な奴でいいんで早く喰えるモンをくれ」

「今、ハンバーガーの準備をしてる所だから、それでいいかい?」

「おっ、いいですな。宜しく、ホウメイさん」

「あいよ。そっちはどうするんだい?」

「俺は………珈琲を頼む」

 ホウメイの問いかけに、少しだけ逡巡して応えるアキト。
 袖を通すのでは無く、肩に掛けられている上着が少し痛々しい。

「出すのは一緒で良いかい? 今、ウチの子たちは出張っていてね」

「ああそれでいいって、お!」

 そこまで喋ってから、漸く室内を見回すヤマダ。
 ルリとハルカを発見する。

「お疲れ様。色々と迷惑を掛けちまったな」

 ガッハッハッと笑いながらも謝罪するヤマダ。
 反省の色は見えない。
 だからハルカは呆れて口を開く。

「迷惑をって思うなら反省しなさいって。まさか初戦で戦死者が出そうになるとは思わなかったわよ」

「いや、マジで反省はしてるし、助けて貰った連中にも感謝もしてる。嘘じゃないぞ」

 なぁテンカワと、隣に笑いかける。
 アキトも口元に笑みを浮かべる。
 苦笑に類されるものではあったが。

「そう願う。地上ならまだしも、衛星軌道上であんな事になったら重力に曳かれて即、死だからな」

「了解、了解。俺だってまだ死にたくは無いからな」

 そこで又、高笑い。
 何と云うか、本気で反省しているのかと問いたくなる態度ではあった。
 視線を交えて片や肩を竦め、片や溜息をするアキトとハルカ。
 ふと、アキトはルリがじっと自分を見ていた事に気付いた。

「どうしたんだい、ルリちゃん?」

「………痛い、ですか?」

 問い掛けに問い掛けをもって応えるルリ。
 その視線はじっと首元に見える包帯に固定されていた。
 背中の怪我。
 それはアキトがルリを庇った時に受けた傷だった。

「いや、痛みはもう無い。細胞活性化剤(メディカル・ジェル)の痒みはあるがな。もう少ししたら包帯も要らない筈だ」

 気負いも無く言うアキト。
 ゆっくりと右肩を動かして見せる。
 動きに齟齬は無い。

「だから、気にする必要は無い」

「ふーん。名誉の負傷って奴? お姉さん、チョット聞きたいな♪」

 ヒョコリと横から口を出すハルカ。
 目元が少し歪んでいる。
 愉しげに。

「庇ってくれたんです、私を。怪我から」

「ほうほう?」

 興味津々の態で頷くハルカ。
 その余りにも愉しげな表情に、チョット退くルリ。
 居なかったのだ今まで、ルリの周りにこんな表情をする人は。
 こんなに裏の無い愉しげな表情をする人は。
 だから戸惑っていた。
 対してアキトは、こんな雰囲気にも少しは慣れていた為に、苦笑と共に状況を説明する。

「木星蜥蜴の第1撃、あの時は工廠の管理棟に居た。当然、優先攻撃目標だ。それで喰らったんだ」

「それでそれで」

「天井が崩れて、庇った。それだけだ」

「優しいわね、アキト君って。最初、取っ付き憎いかと思ってたけど、合格合格♪」

 満足げに頷くハルカ。
 現役兵、それも最前線(オービット・ファイター)上がり――その経歴を聞く誰もが1歩、アキトから引いていた。
 年齢を感じさせない風格やふてぶてしさが原因だった。
 決して態度が悪いわけでも、口調が荒いわけでも無かった。
 だが纏う雰囲気と、何よりも自分から進んで会話を行わなかった為にアキトは、ナデシコの女性陣から“怖い人”との評価を貰う事と成っていた。
 その怖い人が身を挺して少女を護っていたのだ。
 割合に古風な倫理観と対人観とを持つハルカにとってそれは、高い評価を下すに値する行為だった。

「ウム、テンカワは良い奴だぞ。チョイと硬すぎる様にも見えるが、芯はある。後はゲキガンガーを見て熱血する心を持てば最高だ。そゆう訳で見ないか、テンカワ?」

「謹んで辞退する。今更、だ」

 ほろ苦いものを含ませながら、アキトは断った。
 純粋な熱血。
 曇りの無い正義。
 今更見るには些か皮肉が効き過ぎている。
 そう思えたからだ。
 特に過去、火星の後継者との暗闘や、この世界で経験した現実の戦場の情景を思うに。
 その何れにも、正義はおろか熱血すらも無かった。
 正義なんて存在しない、只の殺し合い。
 熱血、頭に血を昇らせていては絶対に生き残れない状況。
 それが現実だった。

「何を言うか! いい物は良い。そこに古さは無いのだぞっ!?」

 ヤマダが握りこぶしを作って強く主張する。
 問題を良し悪しとするならば、アキトはゲキガンガーを否定する積りは一切無い。
 だがしかし、ゲキガンガーが現実を表していると思える程に無邪気な訳では無かった。
 それは虚構と現実の隙間、或いは位置づけの差なのかもしれない。
 尤も、アキトにはそこら辺をヤマダに説明するつもりは無い。
 それは自分で自覚せねば、周りが何を言っても無駄だと思っていたから。
 だから、ヤマダの誤解を意図的に歪めて、煙に巻く。

「古いとは言わないし、時代遅れともな。だがまぁ色々とだ――そうは思わないか、ミナトさん?」

「んーまぁ社会人のお姉さんとしては、他人に迷惑を掛けない様に頑張れとしか言い様が無いわね。そこが重要よ?」

「ん。俺は迷惑を掛けようとして何かをする程に性格は悪く無いぞ」

「でもね、世の中は結果論よ? 意図がどうであれね。健全な社会人(オトナ)は自分が失敗した時の事まで考えないとね」

「ケッ、失敗が怖くて熱血がやれますかっての」

「んーチョット違う。失敗を恐れないんじゃ無くて、失敗した場合にどうするかってチャンと考えて、それで対処も考えた上で行動すべきって事。判るかな?」

「そりゃぁ軟弱って言わネェか?」

 

「話が噛み合ってませんね」

 目の前で展開される口論を、ルリが呆れる口調で批評する。
 アキトも同意する。
 全くだ、と。

「ヤマダは悪い人間じゃ無い。無能でも無い。だが、な。熱血と善意だけで渡れる程に世の中は単純に出来ちゃいないんだ。そこを理解出来れば、な」

 結局、平和だったと云う事だろう。
 そう言葉を締めるアキトを、ルリはじっと見ていた。
 ヤマダへのアキトの評価。その評価を形作ったアキトの価値観を形成したのは一体何なのか。
 フト、それがルリには興味深く思えた。
 平和な時代。
 その時代の申し子。
 そう評するアキトとて、年齢的にもヤマダと差は無い筈なのに何故なのか、そこに考えを馳せていた。
 或いはこれが、最前線で生きたと云う事だろうかと。

「?」

「………いえ、何でもありません」

 そう言うとルリは、先に来ていたジュースに手を延ばしていた。

 

 暫しの時間。
 各人の注文が届く。
 基本はファーストフードだが、新鮮な野菜をふんだんに使ったホウメイ特製のハンバーガーは見た目からして雰囲気が違っていた。
 可愛らしく、だが迫力のある姿。
 フライドポテトとサラダとがセットになっている。
 似てる。
 けれども何かが違う。
 そんな違和感と共にルリはハンバーガーを手に取り、そっと齧る。
 全然違った。
 味が。
 歯ごたえが。
 ゆっくりと咀嚼し、可愛らしい仕草で飲み込むと、しげしげとハンバーガーを見つめた。

「どうしたの、ルリルリ?」

 話し相手だったヤマダが、手元に来たハンバーガーに齧り付いた為、手持ち無沙汰となっていたミナトが、ルリの困惑に気付いた。

「いえ。その、違うなと思っただけです」

「口に合わなかったの?」

「美味しかったです、でも………」

 ルリは自分が抱いた気持ちを言葉に出来ず、口を濁していた。

電子音

 軽い調子で、電子合成された音が鳴る。
 艦内全域への放送の前振りだ。

「?」

 誰もが、スピーカーを見上げた。
 最初の一言は聞いて下さい(アテンション・プリーズ)との柔らかな声。
 その声の主は艦外のみならず、艦内の放送も全てを取りし来る通信士、メグミ・レイナードだった。

『準非常事態が発生しました。繰り返します。準非常事態が発生しました。よって現時刻、1521をもって当艦は第3種戦闘態勢へと移行します。各乗組員は第3種戦闘配置下の休憩を行ってください。繰り返します。全乗組員は第3種戦闘態勢下で休息を取ってください』

 第3種戦闘配置、その言葉を舌先に載せるミナト。
 ミナトが覚えて居る限りでは、それはナデシコに近いエリアにて戦闘の発生する可能性が極めて高い状況時に行われる人員配置だった。
 ナデシコへの乗り組みを契約する時に配られた艦内運用小冊子が定める所では、全乗組員が非常極まりない状況でも無い限りは、己の担当するエリアから出歩く事を厳禁するものだった。

「戦闘が近いと云う事かしらね?」

 自分が乗り込んでいる船が戦闘艦である事を深く再認識したハルカは誰に尋ねるでも無く、呟いていた。
 それをアキトが肯定する。
 その通りだと。

「ナデシコは初陣を遂げたばかりだ。そんなフネを無意味に連戦させる筈は無い。不可避の状況があるのだろうな」

 不可避の状況、それは即ち、敵がまだ居ると言う事。
 一戦したばかりなのにと思う反面、戦争は此方の都合で進む訳では無いのだと納得する気持ちもあった。
 ああコレが戦場に居る、戦闘艦に乗っている事かとハルカは納得した。
 命の危険があると云う事、だが 不思議と恐怖を感じなかった。
 それよりも、隣に座ってゆっくりとハンバーガーに食べているルリを護ってあげたいと強く思っていた。

 

 

――U――

 

 

 満面の笑みでディスプレイを眺めているアカツキ・ナガレ。
 場所は、ネルガル会長室では無い。
 ネルガル本社ビル地下最深部に設けられた、ネルガル・グループ会長室警備部第3課(ネルガル・シークレット・サービス)の第3予備室。
 この部屋を知る者の間では“会長の遊び場”として知られた部屋であった。

「素晴らしい状況だねぇ。まるでドラマじゃないか」

 声が踊っている。
 ディスプレイに浮かんでいるのは、大神工廠の戦闘状況の簡単なレポートだった。
 それはアカツキにとって願っても無い展開の連続であった。
 危機に陥った友軍。
 それを救った新兵器。
 大神工廠の攻防戦は、ネルガルが軍需産業大手へと飛躍する為の大切な商品――ナデシコとエステバリスにとって絶好の宣伝機会であり、そしてナデシコはその機会で果たすべき役割を果たしたのだ。
 そしてその事を世界中のマスコミが盛んに報道している。
 圧倒的な力を持つ新戦艦を。
 無人機に1歩も退かぬ機動兵器を。
 それまでの戦争報道は、戦況の劣悪さ故に暗色一遍だった。
 それが明らかに風向きを変えていた。
 驚愕と歓喜へと。

 無論報道とは言っても戦場は極東の、それも軍事施設を舞台に繰り広げられた戦争故にマスコミが得られた情報は乏しかった。
 大手や零細を問わず、戦場の大神にマスコミの取材班は居なかった事も原因だった。
 故に只々、不確定な情報がネットを駆け巡ったのだ。
 一撃で無人機動兵器を一掃した白亜の戦艦。
 低視認迷彩を纏った兵器史上初の完全人型兵器が圧倒的な戦闘力を発揮していくさま。
 それら両者に標された、極僅かに視認できる【NERGAL】の文字。
 アカツキにとって、何とも喜ぶべき状態であった。
 ネルガルが何の手を打たずとも人はナデシコを噂し、知ろうとする。
 否。している。
 大神の戦闘からまだ僅かばかりの時間しか経っていなかったが、連合宇宙軍や日本国防軍が情報管制をしなかった事もあってネット上では様々な推測が憶測が乱れ飛んでいた。
 絶好の宣伝だった。
 この状況を最大限に活用する為、ネルガルが開発した事を即座に発表するのでは無く、暫くは情報を断片的にネットを経由して流し、そして好奇心が高まった時を狙って、真相を発表するのだ。
 ネルガルは地球圏の軍需企業としては、下よりは上から数えた方が速い程度の規模を誇ってはいたが、それでも準一流程度の立場でしかなかった。
 それが期せずに、世界でも一躍有名な軍需企業へと成る機会を得たのだ。
 その機会をアカツキは最大限に利用する積りだった。

『全ての乗員が、その責務を果たしておりましたから』

 アカツキの右側に展開していた通信ウィンドウ越しに、厳つい顔をした男性が応える。
 ナデシコに乗り込むネルガル関係者の最高責任者、ゴート・ホーリーだ。

「だろうね」

 軽薄な仕草で髪をかき上げるアカツキ。
 流し目でゴートを見る。

「しかしこの成功、臨時ボーナスを期待して貰っても良いくらいだ。ここまで世間の目がナデシコに集まるなら、見た目にも麗しい人材を揃えた甲斐もあったと云うものだねぇ?」

『はい。美人の多い職場ですな』

 ゴートの言葉にアカツキは上機嫌に頷くと、切り札的戦艦に乗る美少女達と続けた。
 そして蛇足的に、まぁ少女と表現するには少しばかり年齢が高いかもしれないがねと、笑った。
 機嫌よく口を動かすアカツキ。

「後はテンカワ君か………逸材だね。もう少し覇気があれば画面にも映えるんだろうけども。残念だね」

『テンカワがどうかされましたか?』

「経歴を確認したら大層なものを持ってるじゃない。後、エステバリス・フレームの開発へも積極的に協力してくれてるしね。マスコミ向けに良さそうだねって訳だよ」

『はぁ………』

 アカツキの表現に、その意図を理解し切れずユーモラスな仕草で小首を傾げるゴート。
 そのユーモラスさに応える様に、アカツキは茶目っ気タップリにウィンクをすると説明をした。
 マスコミ向けの英雄(イメージ・キャラクター)として使えるかもしれないと。

「広報課から上がって来た話なんだけどね。エステは全く新しい兵器体系と言って良い訳だ。その新奇なものを受け入れて貰うには人の顔が見えた方が良いんじゃないかってね」

 益々笑みを大きくするアカツキ。
 要するに、エステバリス宣伝用のドキュメンタリーをテンカワ・アキトを中心にして撮ろうかとアカツキは考えていたのだ。

「まっ、詳しい話はもう少し広報課、それも戦略広報室の方で練らないといけないけどね」

『ですがその場合、テンカワをナデシコから降ろす必要が在るのでは?』

 暗に賛成しかねる――ナデシコの大幅な戦力低下だと告げるゴート。
 組織人としては極真っ当な認識を持つゴートは上司の言葉を否定する事にやや躊躇いを覚えたが、それでもコレから火星へと行く状況下に於いて機動兵器部隊の戦力低下は好ましく無いとの判断から、口を挟んでいた。

「撮影かい? 大丈夫だよ、ドキュメンタリー形式ならね。少しは記念スナップやら実況見分用の写真があるって話だから、後は合成ででもどうにか出来るって話だしね」

『はぁ。申し訳ありません』

「今のところはチョットした話みたいなものだからね、頭の片隅にでも入れててくれれば良いよ。他は何時も通りの面倒ごとだしね。今、君は美人の多いナデシコに集中してくれればいい。何かあれば連絡するからね」

 そう言って笑いながら手を振るアカツキ。
 それがこの通信の終了の合図だった。
 ゴートは慇懃な仕草で頭を下げた。

『了解致しました』

 画面が暗くなる。
 光源の殆ど無い第3予備室は、暗色に沈む。
 そんな中、アカツキは手元の珈琲に口を付けると、崩れた仕草で前髪をかき上げた。

「愉しくはあるが少しばかり寂しくもあるね。余りにも都合よく物事が行き過ぎると、ね」

 振り返って笑みを投げるアカツキ。
 その先には、一部の隙も無く上質なブランドスーツをタイトに着こなした、妙齢の女性が立っていた。

 

 

――V――

 

 

 てくてくと通路をブリッジに向けて歩いている4人。
 アキトやルリ、ハルカ。そしてヤマダだった。

「しっかし凄いわね、ご指名を受けるなんてね、アキト君?」

 ふんだんに笑いの粒子がまぶされた声で言葉を連ねているハルカ。
 それは先程の放送、その続きに関してだった。
 態々追伸です(・・・・)と続けられた放送で、アキトは名指しでブリッジまで絶対に来る様にと言われていた。
 無論、その理由は艦長だろうと、ハルカにも理解出来ていた。
 ナデシコの艦長たるミスマル・ユリカが、アキトは私の王子様! と言っていたのを見ていたのだから。

「幼馴染ですよ、只の………」

 そう返事をするアキト。
 だがその表情は、ハルカやヤマダでは判らぬ程度に少しだけ重かった。
 只、ふと見ていたルリだけが気付いただけだった。

「……」

 真っ直ぐに自分を見上げてくるルリの視線に気付いたアキトは、口の端を小さく歪めて笑みを作った。
 そして、結局結論は出なかったなと胸の内で呟いた。
 過去と未来。
 或いは今と昔、似て非なるもの。
 それは当然だったのかもしれない。
 だがそれでも逡巡があった。
 過去に干渉しても良いのか(・・・・・・・・・・・・)、と。
 在る意味でそれは今更な疑問だった。
 今、生きている。そして過去には無い道――軍人を生業と選んでいるのにも関わらず、そう自嘲気味に考える事もあった。
 だがそれでも尚、アキトの迷いが晴れる事は無かった。

 

 悩むアキト、だが世界はアキトを待たない。
 人々を飲み込み、只々流れてゆく。

「火星で、ウチの隣に住んでたんです。ユリカは。歳の近い子供が居なかったんで、遊び相手は俺しか居なくて、で、そう思い込んだんだと思いますよ」

 アキトの脳裏に浮かんだのはユリカの笑顔。
 花の冠を被せてくる姿。
 嫌いな筈が無い。
 だが割り切れないのだ。
 そんな感情の揺らぎが出たのだろう、ハルカが興味津々、好奇心全開で尋ねて来る。

「でも、只の幼馴染って云うには、凄く入れ込んでたわよ、艦長?」

 アレは本気だった、そう断言する。
 と云うか、本気でなければ人前であそこまで言えない、と。

「ユリカは昔っから思い込みの激しい奴でしたからね」

「思い込み上等じゃねぇか、アキト! そこ迄女性に想われるってのは男冥利に尽きるってもんだ。そうは思わねぇか、嬢ちゃん?」

「はぁ、判りません。私…少女ですから」

 燃えるぜ! っと握りこぶしを作るヤマダに、ルリは冷静に切り返した。
 冷静な色を漂わせたルリの目が、細められてヤマダを見る。
 困ったような、呆れたような、そんな表情。
 だからミナトはルリを後から抱きしめる。

「最初はわからないわよね、ルリも」

「判らない方がいいかもしれない。アレは強烈だからな」

「恥ずかしいのですか?」

 ミナトの腕に、そっと手を充ててアキトを見上げるルリ。
 ルリの目にアキトは、疲れたような暗い表情をしている様に見えた。

「ああ、とてもね」

 それは重い重い、溜息混じりの一言だった。

 

 意味の無い会話。
 只、する為だけの会話。
 エステバリス隊の訓練時には、意図的にも先任下士官的な役回りをしていた事もあって、そんな柔らかな会話は意図的に避けていた。
 だからこそ、今、これは久しぶりだったのだ。
 会話の間合いすら読める、気心の知れた仲間との会話は。
 軍時代の同僚が仲間ではなかったと思っていた訳では無い。
 だがそれでも違った。
 今ではそう思える。
 それがアキトには懐かしかった。
 この雰囲気が。
 それ故に苦しく感じた、それも事実だった。

 何時までも続くかに思えた時間。
 だが無限に続く通路と云うものは無い。
 当然の如く、目的地に着く。
 ブリッジだ。

溜息

 耐爆構造も兼ねた重厚なブリッジ入り口の扉。
 その開放ボタンにアキトの手が伸びて、そして止まった。
 何か、嫌な予感がしたのだ。
 背筋を何かが登ってくるような感覚。
 故にアキトは躊躇っていた。

「そんなに辛い?」

 余りにも気重げなアキトの様子に、流石に苦笑を抑えきれずに尋ねたミナト。
 その苦笑はアキトに対するものでは無かった。
 ミナトが見る所、アキトはユリカを嫌っている様には見えなかった。
 何と云うか、躊躇いを感じてはいる様だが、それは否定的なものでは無い。
 言うならば、好嫌では無い理由で分かれた元奥さんに必要があるから会う。会おうとする元旦那――何故か、そんなイメージを自分が抱いていた事に気付いたが故にミナトは、苦笑をしていたのだ。
 何を考えているのか、と。
 尤も、それが真実に最も近かった事をミナトが知る筈も無かったが。

 そんなミナトに対してアキトは、答える代わりに小さな苦味を交えた笑みを返すと、ゆっくりと開放ボタンを押した。
 過去(ブリッジ)への扉が、開く。

 

 ブリッジの3層目、戦況表示用の床型ディスプレイのあるステージ。
 緊急的な形で艦運用の基幹要員を集めた為、本来であれば即、状況説明が開始されなければならない筈が、今はそんな雰囲気では無かった。

「何て言うか、微笑ましいっていうのが正しいですかね?」

「ん〜? まぁ、そう見るのが優しいかも」

「誰にですか?」

 暢気な口調で行われた現状把握。
 メグミもハルカも顔に笑みを浮かべている。
 有体に言えば、2人の眼前で繰り広げられている状況を愉しんでいた。
 女性ゆえに、当然の如く色恋沙汰(ゴシップ)が大好きなのだから。
 この状況でルリが疑問を提したのは、本人も言う通りに少女だからかもしれない。

「ここに居る全員。当事者(アキト)も含めて。まっ黄昏てる人(アオイ・ジュン)も居るけど、まぁ視野外に置いといて良いでしょ」

 そう言って最後に肩をすくめてみせたミナト。
 そんな3人の前では主演女優曰くの、愛しい幼馴染と再会の熱烈さ――と云うものが上演されていた。
 無論、ユリカとアキトである。

「でも、何か雰囲気が違いますよね」

「何が?」

「艦長さん、“アキトは私の事が大好き”って言ってたんですけど………」

「そうね。困惑っていうか、困ってるって感じよね。でも人前でここまでされたら、ああなっても仕方が無いかもよ?」

 アキトはユリカによってしっかりと抱きとめられているのだ。
 ユリカは満面の笑み。
 だがアキトの顔に浮かぶのは、メグミの指摘する通り、笑みとは呼び難いものだった。

 

「アキト、アキト、アキト。うん、本当に有難うねアキト」

「いや、何度目だよそのセリフは」

 溜息交じりの声で呟くアキト。
 心なしか、その肩が力なく垂れている。
 一応、ユリカにも聞かせる様には言っているアキトであったが、残念ながらもユリカには届いて居なかった。
 エンドレスで再会の感激と感謝、そして喜びとを口にし続けていた。
 ある意味で仕方が無いのかもしれない。

 新しい自分として生きる為の職場。
 そこを襲った危機的な状況。
 そこで幼馴染が活躍したのだ。
 それも、今まで連絡も取れなかったにも関わらず。
 それでは運命と云うものを感じても仕方の無い事なのだから。
 特に恋に夢を見る様な性格では。

「うんうん、判ってる判ってる。アキトってば照れてるんだよね!」

「………頼むから人の話を聞いてくれ………………」

 疑問形ですら無く、断言するユリカに、アキトは力なく抵抗を続けていた。
 取り留めの無い状況。
 その収拾をつけたのは当然の如くムネタケ・サダアキ、ナデシコ運用監督だった。
 しかし鎮圧を行うにあたってムネタケは、誰に言う訳でも無く10分という時間を猶予として考えていた。
 これはユリカがアキトと会うのが、実に10余年ぶりとの事を勘案しての行為だった。
 流石に、再会をして即、分けるのも忍びないと思っていたのだ。
 もっとも、ムネタケはそんな10分前の自分の判断をかなり後悔していたが。
 無論、再会してからのユリカの言動を聞いてである。
 ある意味でアキト以上に疲れ果てた表情で腕のコミュニケを確認したムネタケは、自分の中で決めていた猶予時間が経過した事を確認すると、ニィっと加虐的に口の端を歪めて鎮圧を行う。

電子音

 ムネタケのコミュニケから痴漢撃退用の非常警報音が最大出力で発振される。

「っ!」

「きゃっ!?」

 耳を押さえてうずくまるアキトとユリカ。
 だが他のブリッジクルーに被害は無い。
 ムネタケは、武力鎮圧をする前にちゃんと根回しをしていたのだ。
 各々、耳を塞いでいた手を離す。

「再会の時間は終了よ、そろそろ仕事の時間だわ。職務を思い出しなさいミスマル・ユリカ、ナデシコ艦長」

 半眼でユリカを睨むムネタケ。
 仕事もキッチリとしろ、そう視線で語っていた。
 そんな強い視線の先でユリカは、いっそ天晴れと言える程に能天気な仕草で立ち上がる。

「いったーぃ。いきなり何をするんですか。吃驚するじゃないですかっ!」

「し・ご・と・の・じ・か・ん そう言ったのが聞こえなかったかしら?」

 一言一言、思いっきり力を込めて言うムネタケに、ユリカはポンと右の握り拳で左掌を叩く。

「おぉ!」

「じゃないわよっ!」

「ボルテージを上げると血圧も上がりますよ?」

「誰が上げさせてるのよ、誰が!!」

 

「何時もこんな感じなのか?」

 頭を振って立ち上がったアキト。
 ダメージが抜け切れないのだろう、少しばかり表情が厳しい。
 それをハルカが笑顔で肯定する。
 あんな感じだと。
 その言葉に若干の驚きを感じるアキト。
 アキトの記憶で2人は、それ程に会話をしていた様には見えなかったのだから。

「どうぞ」

 目の前に差し出された紙コップ。
 ミナトだった。

「あっどうも」

 素直にそれを貰うアキト。
 中身は、よく冷えたスポーツドリンクだった。
 元々このブリッジ第3層は会議にも使う事が想定されており、飲み物類も完備されていたのだ。
 アキトが紙コップに口を付けるのを待って、ハルカは答えを続ける。

「まっ大声上げちゃいるけど、仲は悪くは無いと思うわよ?」

「そうですよね。ホントに嫌ってたら無視しあうものですからね」

「そういうものなのですか?」

「そういうものなのルリルリ」

「はぁ」

 何というか、女学校の如き雰囲気を見せるハルカ、メグミ、ルリらにアキトは少し圧される様に曖昧に笑うと、正直な感想を口にする。

「それはありがたいな」

 指揮官達が対立していては碌な事にならない。
 ユリカが艦長として最上位の指揮権を握っているが、ムネタケの持つ運用監督の名も虚仮脅しでは無いのだから。

 “ナデシコを運用する上で、その意見は最大限に尊重する”

 ネルガルと連合宇宙軍が取り交わした契約書には、その文章が刻まれていた。
 連合宇宙軍も政治的な理由からネルガル側の所有権を認めてはいるが、とは云え強力な戦闘能力を秘めた艦を全くの野放しにする積りは無かったのだ。
 あらゆる意味に於いてムネタケはナデシコのNo.2であった。

 

 

「そう云う訳で、僕が説明します」

 少しばかり腰の引けた態度で状況説明を開始しようとするジュン。
 その後には、拗ねた様に口を結んでいるユリカと疲れ果てた表情をしたムネタケが立っていた。
 他に適任者が居ない。
 それが、そう云う訳であった。
 その事は誰が見ても理解出来たが為、何とも不思議な一言目に関して誰も口を挟もうとはしなかった。
 緊張からか空咳を1つすると、ジュンは全く別人の様な引き締まった表情で説明を始めた。

「本ナデシコが先程、1521より第3種戦闘配置に入った理由は、地球連合軍および日本国防軍からの第2種支援要請によってです」

 第2種支援要請。
 それは、戦闘艦であるナデシコの指揮権を民間企業のネルガルに残すにあたって連合宇宙軍――地球連合側が定めた運用規範の1つであった。
 其処には、前線に於いて地球連合傘下の軍事組織が支援要請を出した場合にナデシコ側は、最大限その要請に従う義務が在ると定められていた。
 一応の対価は払われるとは云え、この要請は事実上の命令であった。

 そんなナデシコへの支援要請であるが、その必要な状況と規模によって第1種から第4種まで分けられていた。
 ナデシコの全力を発揮しての支援から、その電子戦能力など能力の一部で支援を行う事や、或いは補給物資の譲与まで様々であった。
 その第2種。
 これは、ナデシコの運用に支障が無い限りにおいて最大限の支援を行うという内容であった。

「目的は日本近海でのCHULIP狩りです」

 その言葉に従って、足元の大型ディスプレイに日本近海の状況が表示される。
 そこには、日本近海に存在する大規模戦力の尽くが投入される旨が記載されていた。
 日本は地球連合の経済、その実に3割近くを支える大経済国家なのだ。
 アメリカや欧州の経済活動が混乱から壊乱と言ってよい状況を鑑みれば、日本の安定は、地球連合の未来を左右すると言っても過言では無いのだから。
 地球連合地上軍の海洋戦力の主力、超大型戦闘空母であるプロメテウスとアスカを中心に5隻の空母が集中投入される事が表示されている。
 近代の海洋戦力としては、空前の規模となっていた。
 ざわめきが広がる。

「ほう」

 表示される状況に、一応は軍人のアキトが感嘆の声を上げた。
 確かに大規模で、そして本気だと。
 その声に、隣に立っていたルリが尋ねる。
 そうなのですか、と。
 聡く、そして何よりもナデシコへと乗船するに当って一応の軍事教養を学んでいたルリだが、状況表から戦力の集中までは理解出来ても、本気(・・)と云うのを何処で読むのかまでは理解出来なかった。
 真剣に問いて来たルリに、アキトは丁寧に教える。
 戦力の構成にあると。

「まだ慣熟訓練の未了なアドミラル56や、艦齢30年近い老朽艦のひしょうまで日本海軍は投入しようとしている。彼らの主力空母、ひりゅうはインド洋に居るからとは云え、戦力を集中させる為に尋常では無い努力を行っている。そういう訳だよ」

 最後にアキトは、艦の状況や装備、人員の錬度まで念頭に入れて見れば立案者が何を考えて部隊を集めたかが判ると言ってしめた。
 そんなアキトの言葉に素直に頷くルリ。
 情報。
 或いは数字だけでは見えないものがある事、そしてその重要さをルリは深く認識していた。

「ナデシコの役割は邀撃です。横須賀から此方に向かっている連合宇宙軍第5艦隊旗艦、トビウメを中心とした打撃集団(トビウメ・ストライク・グループ)に所属する事になります。合流は3時間後、1850を予定しています」

「皆さん、結果次第ではボーナスもあるそうですんで頑張りましょう!」

 ジュンの説明が終ると共にユリカが、誠にユリカらしく気の抜けた形で話を締める。
 当然、最後に右腕を突き出してVサインをする。
 これがこの艦長の性格なのだと云う事を短い時間で掴んでいたブリッジクルー達は、その仕草を驚く事無く受け入れていた。
 若干、溜息交じりではあったが。
 そして最後に、ムネタケが口を開く。
 空咳を1つして、視線を集めると混じりっけ無しの本音を口にする。

「いい、アンタたち。今度が本番よ。初戦がまぐれ勝ちで無い事を実証してくれる事を期待するわ」

 何よりもアタシの為に。
 本音の裏に願いを乗せて、ムネタケは激励を行っていた。

 

2005 7/9 Ver4.01


<ケイ氏の独り言>

 まぁその何と申しますか、遅くなって申し訳ありません。
 言葉もありません。
 何が悪いかと言えば、要するにリドリータンとフェティと云う事で。
 何と云うか、ツンデレ最高!
 沢近タン(;´Д`)ハァハァでアスカタン(;`Д´)ゲハァハァである、と(かなりマテ

 閑話休題(それはさておき)

 書いてる私が言える科白でもありませんが、ヴィクトルたん可哀想(熱核爆
 まぁライトな軍オタ趣味全開とも言えますが(お
 そして欧州、ヤッパリ地獄でしたな。
 ヒャッホーッ! 欧州は地獄だぜっ!! な感じで。

>代理人さん

 宜しい、ならば明るくしてみせようじゃ無いか!
 題して、“明るいナデシコ”!!
 ………………駄目だ、一瞬で皆なお星様になってしまう映像が脳裏に(熱核自爆

 

 

 

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

欧州総軍は世界最強ォォォォォッ!

・・・・・・・・・作中でもそうかどうかはもちろん知りません(爆)。

しかしこのユリカ本当にいい感じだなぁ。
「おぉ!」は個人的にヒットだった(笑)。

 

 

>それが厨房長のホウメイ・ゲレルであった。

>それが厨房長のホウメイ・ゲレルであった。

>それが厨房長のホウメイ・ゲレルであった。

 

なにーっ!?

 

※ホウメイ・ゲレル・・・麻宮騎亞のコミック版「ナデシコ」に出てくる女性提督。
 TV版のホウメイさん(リュウ・ホウメイ)とよく似た外見だが生粋の軍人。
 最後にはナデシコクルーの道を切り開くべく特攻する。

 

・・・実は軍からの刺客だったりしないだろうなぁ、このホウメイさん(爆)。